JP2009095143A - 車両の制御装置、制御方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の使用状況に応じて回転電機の絶縁性能の低下を抑制する。
【解決手段】HV−ECUは、基準温度に対応する熱履歴を積算するステップ(S100)と、寿命予測を実行する予め定められた条件が成立すると(S102にてYES)、走行寿命距離を予測するステップ(S104)と、走行寿命が走行保証距離を下回ると(S106にてNO)、負荷低減処理を実行するステップ(S108)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図5
【解決手段】HV−ECUは、基準温度に対応する熱履歴を積算するステップ(S100)と、寿命予測を実行する予め定められた条件が成立すると(S102にてYES)、走行寿命距離を予測するステップ(S104)と、走行寿命が走行保証距離を下回ると(S106にてNO)、負荷低減処理を実行するステップ(S108)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図5
Description
本発明は、エンジンおよび回転電機が搭載される車両の制御に関し、特に車両の使用状況に応じて回転電機の絶縁性能の低下を抑制する技術に関する。
近年、環境問題対策の1つとして、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド車両が注目されている。このようなハイブリッド車両に搭載された回転電機において絶縁性能の経年劣化は避けられない。そのため、少なくとも予め定められた距離の走行が保証されるように回転電機の絶縁性能が確保される。
しかしながら、たとえば、ハイブリッド車両が登坂走行、けん引走行あるいはサーキット走行等の加減速を多用する走行あるいは急発進を繰り返す走行が頻繁に行なわれるなど車両の使用状況においては、回転電機への負荷が高く、コイル温度が上昇した状態が継続する。そのため、回転電機に対して熱履歴が蓄積して、絶縁性能の劣化の進行が速くなる可能性がある。
電気機器の劣化の度合を精度高く推定する技術として、たとえば、特開2002−367842号公報(特許文献1)は、電気機器に用いるコイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の運転温度を考慮したより正確な評価ができるようにして、電気機器の寿命をより正確に診断する劣化度評価方法を開示する。この劣化度評価方法は、電気機器からコイル絶縁紙の試料を採取し、採取した試料の平均重合度残率の測定値から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、評価基準温度におけるコイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との第1の関係、及び電気機器が使用される温度におけるコイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との第2の関係を求め、採取した試料の平均重合度残率の測定値を第2の関係にあてはめて引張強さ残率を求め、第1の関係において、求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価することを特徴とする。
上述した公報に開示された劣化評価方法によると、コイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の運転温度を考慮してより正確な評価ができるようになり、電気機器の寿命をより正確に診断することができる。
特開2002−367842号公報
しかしながら、上述した公報に開示された劣化評価方法においては、電気機器の運転温度を考慮して劣化度を正確に評価しているに過ぎないため、回転電機の絶縁性能の低下を抑制することができない。そのため、車両の使用状況によっては、保証された走行距離に到達する前に回転電機の絶縁性能が劣化するという問題を解決することができない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の使用状況に応じて回転電機の絶縁性能の低下を抑制する車両の制御装置、制御方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
第1の発明に係る車両の制御装置は、少なくとも回転電機を駆動源とする車両の制御装置である。この制御装置は、回転電機のコイル温度を検出するための手段と、車両の走行距離を検出するための手段と、検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換するための手段と、検出された走行距離と変換された熱履歴とに基づいて車両の走行距離の上限を予測するための予測手段と、予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと回転電機の負荷が低下するように回転電機を制御するための制御手段とを含む。第7の発明に係る車両の制御方法は、第1の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第1の発明によると、検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換することにより、コイル温度が予め定められた温度であるときの回転電機の使用期間を算出することができる。検出された走行距離と変換された熱履歴とにより現在までの走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合を算出することができる。回転電機において予め定められた温度を基準とする熱履歴の上限値は予め定まる。そのため、検出された走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合と熱履歴の上限値とに基づいて車両の走行距離の上限を予測することができる。予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと回転電機の負荷が低下するように回転電機を制御することにより、コイル温度の上昇を抑制することができる。そのため、熱履歴の蓄積の度合を減少することができる。これにより、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少して、回転電機の絶縁性能の低下を抑制することができる。したがって、車両の使用状況に応じて回転電機の絶縁性能の低下を抑制する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
第2の発明に係る車両の制御装置は、エンジンとエンジンの作動に関連して作動する回転電機とが搭載された車両の制御装置である。この制御装置は、回転電機のコイル温度を検出するための手段と、車両の走行距離を検出するための手段と、検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換するための手段と、検出された走行距離と変換された熱履歴とに基づいて車両の走行距離の上限を予測するための予測手段と、予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと回転電機の負荷が低下するようにエンジンおよび回転電機のうちの少なくともいずれか一方を制御するための制御手段とを含む。第8の発明に係る車両の制御方法は、第2の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第2の発明によると、検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換することにより、コイル温度が予め定められた温度であるときの回転電機の使用期間を算出することができる。検出された走行距離と変換された熱履歴とにより現在までの走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合を算出することができる。回転電機において予め定められた温度を基準とする熱履歴の上限値は予め定まる。そのため、検出された走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合と熱履歴の上限値とに基づいて車両の走行距離の上限を予測することができる。予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと回転電機の負荷が低下するようにエンジンおよび回転電機のうちの少なくともいずれか一方を制御することにより、コイル温度の上昇を抑制することができる。そのため、熱履歴の蓄積の度合を減少することができる。これにより、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少して、回転電機の絶縁性能の低下を抑制することができる。したがって、車両の使用状況に応じて回転電機の絶縁性能の低下を抑制する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第2の発明の構成に加えて、車両は、エンジンの出力軸に連結され、エンジンの動力に基づいて発電する回転電機と、エンジンの動力を車両の車輪軸に伝達する動力分割機構とを含む。動力分割機構は、入力されたエンジンの動力を、車輪軸への駆動力または回転電機への動力に分割する。エンジンは、トルクと回転数とが予め定められた最適燃費線に沿って変化するように制御される。制御手段は、出力を保持しつつ、最適燃費線よりも低トルク側になるようにエンジンを制御するための手段を含む。第9の発明に係る車両の制御方法は、第3の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第3の発明によると、出力を保持しつつ、最適燃費線よりも低トルク側になるようにエンジンを制御することにより、エンジンによる回転電機の発電量が減少されるため、回転電機における負荷が低減される。そのため、コイル温度の上昇が抑制されるため、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少する。これにより、回転電機の絶縁性能の低下を抑制することができる。
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、制御手段は、出力が低下するように回転電機を制御するための手段を含む。第10の発明に係る車両の制御方法は、第4の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第4の発明によると、回転電機の出力が低下するように制御されることにより、回転電機における負荷が低減される。そのため、コイル温度の上昇を抑制することができるため、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少する。これにより、回転電機の絶縁性能の低下を抑制することができる。
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、回転電機は、検出されたコイル温度に応じて回転電機に対する負荷が制限される。制御手段は、回転電機に対する負荷の制限を開始するコイル温度が低下するように回転電機を制御するための手段を含む。第11の発明に係る車両の制御方法は、第5の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第5の発明によると、回転電機に対する負荷の制限を開始するコイル温度が低下するように回転電機を制御することにより、回転電機に負荷が増加してコイル温度が上昇したときに早期に回転電機の負荷の制限を開始することができる。そのため、回転電機における負荷が低減されて、コイル温度の上昇が抑制される。これにより、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少するため、回転電機の絶縁性能の低下を抑制することができる。
第6の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、予測手段は、予め定められた温度を基準とする回転電機の絶縁性能の熱履歴の上限と変換された熱履歴と検出された走行距離とに基づいて車両の走行距離の上限を予測するための手段を含む。第12の発明に係る車両の制御方法は、第6の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第6の発明によると、検出された走行距離と変換された熱履歴とにより現在までの走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合を算出することができる。そのため、検出された走行距離に対する履歴の蓄積の度合と回転電機の絶縁性能の熱履歴の上限値とに基づいて車両の走行距離の上限を予測することができる。
第13の発明に係るプログラムは、第7〜12のいずれかの発明に係る車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラムであって、第14の発明に係る記録媒体は、第7〜12のいずれかの発明に係る車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラムを記録した媒体である。
第13または第14の発明によると、コンピュータ(汎用でも専用でもよい)を用いて、第7〜12のいずれかの発明に係る車両の制御方法を実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置が適用されるハイブリッド車両の制御ブロック図を説明する。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置が適用されるハイブリッド車両の制御ブロック図を説明する。
ハイブリッド車両は、駆動源としての、たとえばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)120と、回転電機であるモータジェネレータ(MG)140を含む。なお、図1においては、説明の便宜上、モータジェネレータ140を、モータ140Aとジェネレータ140B(あるいはモータジェネレータ140B)と表現するが、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、モータ140Aがジェネレータとして機能したり、ジェネレータ140Bがモータとして機能したりする。
エンジン120の吸気通路122には、吸入空気のほこりを捕捉するエアクリーナー122A、エアクリーナー122Aを通ってエンジン120に吸入される空気量を検知するエアフローメータ122B、エンジン120に吸入される空気量を調整するためのバルブである電子スロットルバルブ122Cが設けられている。電子スロットルバルブ122Cにはスロットルポジションセンサが設けられている。エンジンECU280には、エアフローメータ122Bにより検知された吸入空気量や、スロットルポジションセンサにより検知された電子スロットルバルブ122Cの開度等が入力される。
エンジン120には、複数の気筒および各気筒に燃料を噴射する燃料噴射装置130が設けられる。燃料噴射装置130は、エンジンECU280からの燃料噴射制御信号に基づいて各気筒に対して適切な時期に適切な量の燃料を噴射する。
また、エンジン120の排気通路124には、三元触媒コンバータ124Bと、三元触媒コンバータ124Bに導入される排気における空燃比(A/F)を検知する空燃比センサ124Aと、三元触媒コンバータ124Bの温度を検知する触媒温度センサ124Cと、消音器124Dとが設けられている。エンジンECU(Electronic Control Unit)280には、空燃比センサ124Aにより検知された三元触媒コンバータ124Bに導入される排気の空燃比や、触媒温度センサ124Cにより検知された三元触媒コンバータ124Bの温度等が入力される。
なお、空燃比センサ124Aは、エンジン120で燃焼された混合気の空燃比に比例した出力電圧を発生する全域空燃比センサ(リニア空燃比センサ)である。本実施の形態において、空燃比センサ124Aは、検出素子を有し、エンジン120の排出ガスの検出素子への接触によりエンジン120の空燃比に対応した信号を出力する。なお、空燃比センサ124Aとしては、エンジン120で燃焼された混合気の空燃比が理論空燃比に対してリッチであるかリーンであるかをオン−オフ的に検出するO2センサを用いてもよい。
また、エンジンECU280には、エンジン120の冷却水の温度を検知する水温検知センサ360からエンジン冷却水温を示す信号が入力される。エンジン120の出力軸には、クランクポジションセンサ380が設けられており、エンジンECU280には、クランクポジションセンサ380から出力軸の回転数を示す信号が入力される。
ハイブリッド車両には、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達する減速機180と、エンジン120の発生する動力を駆動輪160とジェネレータ140Bとの2経路に分配する動力分割機構(たとえば、遊星歯車機構)200と、モータジェネレータ140を駆動するための電力を充電する走行用バッテリ220と、走行用バッテリ220の直流とモータ140Aおよびジェネレータ140Bの交流とを変換しながら電流制御を行なうインバータ240と、走行用バッテリ220の充放電状態を管理制御するバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECUという)260と、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280と、ハイブリッド車両の状態に応じてモータジェネレータ140およびバッテリECU260、インバータ240等を制御するMG−ECU300と、バッテリECU260、エンジンECU280およびMG−ECU300等を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するHV−ECU320等を含む。なお、走行用バッテリではなくキャパシタ等の蓄電機構であってもよい。
本実施の形態においては、走行用バッテリ220とインバータ240との間にはコンバータ242が設けられている。これは、走行用バッテリ220の定格電圧が、モータ140Aやモータジェネレータ140Bの定格電圧よりも低いので、走行用バッテリ220からモータ140Aやモータジェネレータ140Bに電力を供給するときには、コンバータ242で電力を昇圧する。このコンバータ242には平滑コンデンサが内蔵されており、コンバータ242が昇圧動作を行なう際には、この平滑コンデンサに電荷が蓄えられる。
なお、図1においては、各ECUを別構成しているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい(たとえば、図1に、点線で示すように、MG−ECU300とHV−ECU320とを統合したECUとすることがその一例である)。
運転席にはアクセルペダル(図示せず)が設けられており、アクセルポジションセンサ(図示せず)は、アクセルペダルの踏込み量を検知する。アクセルポジションセンサは、アクセルペダルの踏込み量を示す信号をHV−ECU320に出力する。HV−ECU320は、踏込み量に対応する要求駆動力に応じて、モータ140A、ジェネレータ140BおよびエンジンECU280を介してエンジン120の出力あるいは発電量を制御する。
さらに、車速センサ330は、車両の速度に関連した物理量を検出するセンサである。「車両の速度に関連した物理量」とは、たとえば、車輪軸の回転数であってもよいし、トランスミッションの出力軸の回転数であってもよい。車速センサ330は、検出した物理量をエンジンECU280に送信する。
動力分割機構200は、エンジン120の動力を、駆動輪160とモータジェネレータ140Bとの両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。モータジェネレータ140Bの回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合には、モータジェネレータ140のモータ140Aのみによりハイブリッド車両の走行を行ない、通常走行時には、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行ない、他方でジェネレータ140Bを駆動して発電を行なう。この時、発生する電力でモータ140Aを駆動して駆動輪160の駆動補助を行なう。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力をモータ140Aに供給してモータ140Aの出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。
一方、減速時には、駆動輪160により従動するモータ140Aがジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。なお、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加してジェネレータ140Bによる発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加する。もちろん、低速走行時でも必要に応じてエンジン120の駆動力を増加する制御を行なう場合もある。たとえば、上述のように走行用バッテリ220の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン120の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合等である。
さらに、図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、車両の運転状態や走行用バッテリ220の状態によっては、燃費を向上させるために、エンジン120を停止させる。そして、その後も車両の運転状態や走行用バッテリ220の状態を検知して、エンジン120を再始動させる。このように、このエンジン120は間欠運転され、従来の車両(エンジンしか搭載していない車両)においては、イグニッションスイッチがSTART位置にまで回されてエンジンが始動すると、イグニッションスイッチがON位置からACC位置またはOFF位置にされるまでエンジンが停止しない点で異なる。
コイル温度センサ370は、ジェネレータ(MG(1))140Bのコイル温度を検出する。コイル温度センサ370は、ジェネレータ140Bのコイル温度に対応する信号をHV−ECU320に送信する。
なお、ジェネレータ140Bのコイル温度に対応する信号は、MG−ECU300を経由してHV−ECU320に入力されるようにしてもよい。また、コイル温度センサ370は、たとえば、サーミスタである。
以上のような構成を有するハイブリッド車両において、本発明は、HV−ECU320が、車両に搭載され、エンジン120の作動に関連して作動するジェネレータ140Bのコイル温度の熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換して、車両の走行距離と変換された熱履歴に基づいて走行距離の上限を予測して、予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いとジェネレータ140Bの負荷が低下するようにエンジン120およびモータジェネレータ140のうちの少なくともいずれか一方を制御する点に特徴を有する。
また、HV−ECU320は、予め定められた温度を基準とするジェネレータ140Bの絶縁性能の熱履歴の上限と変換された熱履歴と車両の走行距離とに基づいて車両の走行距離の上限を予測する。
具体的には、HV−ECU320は、計算サイクル毎(サンプル時間毎)にコイル温度センサ370から受信するジェネレータ140Bのコイル温度を記憶する。サンプル時間の期間は、検出されたコイル温度でジェネレータ140Bが使用された期間(以下、熱履歴ともいう)を示す。HV−ECU320は、得られたジェネレータ140Bの熱履歴をアレニウス則に従ってコイル温度が基準温度であるときにジェネレータ140Bが使用された期間(以下、基準温度に対応する熱履歴ともいう)に換算する。
なお、基準温度は、予め定められた温度であって、本実施の形態においては、たとえば、150℃であるとして説明するが、特にこれに限定されるものではない。
HV−ECU320は、計算サイクル毎に算出される基準温度に対応する熱履歴を積算する。これにより、現在までの基準温度に対応する熱履歴の総和、すなわち、基準温度での使用期間を算出することができる。
HV−ECU320は、基準温度に対応する熱履歴の上限値、すなわち、基準温度での使用可能期間を予めメモリ等に記憶している。ジェネレータ140Bの基準温度での使用可能期間は、実験等により設定されればよく、特に限定されるものではない。
HV−ECU320は、積算された基準温度での使用期間と現在までの車両の走行距離と基準温度での使用可能期間とに基づいて車両の走行可能距離を算出する。HV−ECU320は、予め走行寿命距離として利用者に対して保証された距離(以下、走行保証距離という)をメモリ等に記憶している。HV−ECU320は、走行可能距離が走行保証距離を下回る場合に、ジェネレータ140Bの負荷が低下するようにエンジン120およびジェネレータ140Bのうちの少なくともいずれか一方を制御する。本実施の形態において、HV−ECU320は、ジェネレータ140Bの負荷が低下するようにエンジン120およびジェネレータ140Bを制御する。
図2に、本実施の形態に係る車両の制御装置であるHV−ECU320の機能ブロック図を示す。HV−ECU320は、入力インターフェース(以下、入力I/Fと記載する)350と、演算処理部400と、記憶部500と、出力インターフェース(以下、出力I/Fと記載する)600とを含む。
入力I/F350は、コイル温度センサ370からのコイル温度信号と、車速センサ330からの車速信号とを受信して、演算処理部400に送信する。
演算処理部400は、熱履歴算出部402と、走行寿命予測部404と、寿命判定部406と、負荷低減処理部408とを含む。
熱履歴算出部402は、コイル温度センサ370からのコイル温度信号と、サンプル時間とに基づいて基準温度(150℃)に対応する熱履歴を算出する。そして、熱履歴算出部402は、算出された熱履歴を前回の計算サイクルまでに積算された熱履歴に加算する。
熱履歴算出部402は、上述のようにして、ジェネレータ140Bにおける現在までの基準温度での使用期間を算出する。
走行寿命予測部404は、走行寿命予測を実行する予め定められた条件が成立すると、現在までの基準温度での使用期間に基づいてジェネレータ140Bに基づく走行寿命を予測する。
具体的には、走行寿命予測部404は、予め定められた条件が成立すると、受信された車速とサンプル時間とから前回の計算サイクルから今回の計算サイクルまでの走行距離を算出して、前回の計算まで積算された走行距離に算出された走行距離を加算することにより現在までの車両の走行距離を算出する。「予め定められた条件」とは、たとえば、運転者の独自のパターンを判定することが可能な予め定められた期間が経過するという条件である。予め定められた期間は、たとえば、1または2ヶ月であってもよいし、1または2年であってもよいものとする。なお、走行期間の計測は、たとえば、車両のイグニッションスイッチがオンされる毎にイグニッションスイッチがオフされるまでの期間が積算されることにより行なわれるようにしてもよいし、予め定められた速度以上の車速が検出される期間が積算されることにより行なわれるようにしてもよい。また、走行期間の計測は、予め定められた期間の経過毎に初期値(たとえば、ゼロ)にリセットされるようにしてもよい。
走行寿命予測部404は、現在までの車両の走行距離と現在までの基準温度での使用期間とジェネレータ140Bにおける基準温度での使用可能期間とに基づいてジェネレータ140Bに基づく車両の走行寿命距離を予測する。たとえば、走行寿命予測部404は、使用期間と走行距離との比に基づいて使用可能期間に対する走行寿命距離を算出する。
寿命判定部406は、予測された走行寿命距離が走行保証距離以上であるか否かを判定する。なお、寿命判定部406は、たとえば、走行寿命距離が走行保証距離以上であると、寿命判定フラグをオンするようにしてもよい。
負荷低減処理部408は、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、ジェネレータ140Bの負荷が低下するようにエンジン120およびジェネレータ140Bのうちの少なくともいずれか一方を制御する。
具体的には、負荷低減処理部408は、エンジン120の動作点が最適燃費線よりも低トルク側の動作点になるようにエンジン120を制御する。また、負荷低減処理部308は、出力(発電量)が低下するようにジェネレータ140Bを制御する。
通常、エンジン120は、図3に示すように、アクセルペダルの踏み込み量あるいはクルーズコントロール等により要求される出力に応じて最適燃費線を動作線として制御される。ここで、たとえば、エンジン120がA点で動作している場合を想定する。図3において、縦軸は、エンジントルクを示し、横軸は、エンジン回転数を示す。
負荷低減処理部408は、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、エンジン120の動作点がA点からA点の等パワーライン上であって、低トルク側のA’点に移動するようにエンジン120を制御する。なお、A’点は、A点よりも低トルク側の動作点であれば、特に限定されるものではないが、少なくとも走行寿命距離が増加する動作点に設定される。負荷低減処理部408は、エンジン120の動作点がA点からA’点になるように出力I/F600を経由してエンジンECU280にエンジン制御信号を送信する。
また、エンジン120が図3に示す最適燃費線上のA点を動作点として制御されるとともに場合、ジェネレータ140Bは、図4に示すB点を動作点として制御される。図4において、縦軸は、ジェネレータ140Bの発電トルクを示し、横軸は、ジェネレータ140Bの回転数を示す。
負荷低減処理部408は、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、ジェネレータ140Bの動作点がB点からB’点に移動するようにジェネレータ140Bを制御する。なお、負荷低減処理部408は、エンジン120の動作点をA点から低トルク側のA’点へ移動するとともに、ジェネレータ140Bの動作点をB点からB’点に移動するようにしてもよい。なお、B’点は、B点よりも低トルク側あるいは低回転数側の動作点であれば、特に限定されるものではないが、少なくとも走行寿命距離が増加する動作点に設定される。負荷低減処理部408は、ジェネレータ140Bの動作点がB点からB’点になるように出力I/F600を経由してMG−ECU300にジェネレータ制御信号を送信する。
また、本実施の形態において、熱履歴算出部402と、走行寿命予測部404と、寿命判定部406と、負荷低減処理部408とは、いずれも演算処理部400であるCPUが記憶部500に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
記憶部500には、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じて演算処理部400からデータが読み出されたり、格納されたりする。
以下、図5を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置であるHV−ECU320で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、HV−ECU320は、検出されたコイル温度に基づいて基準温度(150℃)に対応する熱履歴を算出する。
S102にて、HV−ECU320は、寿命の予測を実行する予め定められた条件が成立するか否かを判定する。予め定められた条件が成立すると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS100に戻される。
S104にて、HV−ECU320は、走行寿命距離を予測する。S106にて、HV−ECU320は、予測された走行寿命距離が走行保証距離以上であるか否かを判定する。走行寿命距離が走行保証距離以上であると(S106にてYES)、この処理は終了する。もしそうでないと(S106にてNO)、処理はS108に移される。S108にて、HV−ECU320は、負荷低減処理を実行する。
以上のような構成およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両の制御装置であるHV−ECU320の動作について説明する。
サンプル時間毎にジェネレータ140Bのコイル温度が検出されて、検出されたコイル温度の熱履歴が基準温度に対応するジェネレータ140Bの熱履歴に変換される。変換された熱履歴が前回の計算において積算された熱履歴に加算されて基準温度での使用期間が算出される(S100)。
前回走行寿命が予測されてから予め定められた期間が経過することにより、寿命予測を実行する予め定められた条件が成立すると(S102にてYES)、基準温度での使用期間と基準温度での使用可能期間と現在までの走行距離とに基づいて走行寿命距離が予測される(S104)。
予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると(S106にてYES)、負荷低減処理が実施される(S108)。本実施の形態においては、エンジン120の動作点を低トルク側に移動させつつ、ジェネレータ140Bの出力が低下されるが、ジェネレータ140Bの負荷が低減されればよく、エンジン120およびジェネレータ140Bのうちの少なくともいずれか一方が制御されればよい。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、基準温度に対応する熱履歴に変換することにより、基準温度での使用期間を算出することができる。検出された走行距離と使用期間と使用可能期間に基づいて走行寿命距離を予測することができる。予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いとジェネレータの負荷が低下するようにエンジンおよびジェネレータのうち少なくともいずれか一方を制御することにより、コイル温度の上昇を抑制することができるため、熱履歴の蓄積の度合を減少することができる。これにより、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少するため、ジェネレータの絶縁性能の低下を抑制することができる。したがって、車両の使用状況に応じて回転電機の絶縁性能の低下を抑制する車両の制御装置、制御方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
さらに、ジェネレータの出力(発電量)が低下するように制御されることにより、ジェネレータにおける負荷が低減される。そのため、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少する。これにより、ジェネレータの絶縁性能の低下を抑制することができる。
さらに、出力を保持しつつ、最適燃費線よりも低トルク側になるようにエンジンを制御することにより、エンジンによるジェネレータの発電量が減少されるため、ジェネレータにおける負荷が低減される。そのため、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少する。これにより、ジェネレータの絶縁性能の低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態において、HV−ECUは、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、エンジンの動作点を低トルク側に移動させつつ、ジェネレータの出力を低下するようにしたが、負荷低減処理としては、特にこれらの制御に限定されるものではない。たとえば、HV−ECUは、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、ジェネレータにおけるMG出力制限制御の開始温度を低下するようにしてもよい。
「MG出力制限制御」とは、ジェネレータの温度(コイル温度)と予め定められた負荷率制限マップとに基づいて出力を制限する制御である。負荷率制限マップは、たとえば、ジェネレータのコイル温度と負荷率(%)との関係を示すマップである。
負荷率制限マップにおいて、コイル温度が予め定められた温度に上昇するまでは、負荷率は、100%に設定される。そのため、コイル温度が設定温度になるまで、ジェネレータの出力が制限されない状態となる。
さらに、負荷率制限マップにおいて、コイル温度が設定温度以上になると、負荷率は、コイル温度の増加とともに負荷率が減少するように設定される。そのため、コイル温度が増加するほど負荷率が減少して出力が制限された状態になる。
HV−ECUは、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、走行寿命距離が走行保証距離以上となるMG出力制限制御の開始温度(すなわち、上述の設定温度)をたとえば、マップ、数式あるいは表を用いて算出する。HV−ECUは、ジェネレータのMG出力制限制御の開始温度を再設定する。なお、HV−ECUは、複数の負荷率制限マップから算出された開始温度に対応するマップを選択するようにしてもよい。
このようにすると、ジェネレータの負荷が増加してコイル温度が上昇したときに早期にジェネレータの負荷の制限を開始することができる。そのため、ジェネレータにおける負荷が低減されて、コイル温度の上昇が抑制される。これにより、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少するため、ジェネレータの絶縁性能の低下を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る車両の制御装置について説明する。本実施の形態に係る車両の制御装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置が搭載される車両の構成と比較して、コイル温度センサ370がモータAのコイル温度を検出する点およびHV−ECU320の機能ブロックの動作が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
以下、第2の実施の形態に係る車両の制御装置について説明する。本実施の形態に係る車両の制御装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置が搭載される車両の構成と比較して、コイル温度センサ370がモータAのコイル温度を検出する点およびHV−ECU320の機能ブロックの動作が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態において、車両は、少なくとも回転電機を駆動源とする車両であればよい。そのため、車両は、ハイブリッド車両、電気自動車あるいは燃料電池車であってもよい。
コイル温度センサ370は、モータ140Aのコイル温度を検出する。コイル温度センサ370は、モータ140Aのコイル温度に対応する信号をHV−ECU320に送信する。
熱履歴算出部402は、コイル温度センサ370からのコイル温度信号に基づいてモータ140Aにおける現在までの基準温度での使用期間を算出する。なお、使用期間の算出方法は、上述の第1の実施の形態におけるジェネレータ140Bの使用期間の算出方法と同様のため、その詳細な説明を繰り返さない。
走行寿命予測部404は、予め定められた条件が成立すると、現在までの車両の走行距離と現在までの基準温度での使用期間とモータ140Aにおける基準温度での使用可能期間とに基づいてモータ140Aに基づく車両の走行寿命距離を予測する。なお、走行寿命距離の算出方法は、上述の第1の実施の形態におけるジェネレータ140Bの使用期間に基づく走行寿命距離の算出方法と同様のため、その詳細な説明は繰り返さない。
負荷低減処理部408は、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、負荷が低下するようにモータ140Aを制御する。
具体的には、負荷低減処理部408は、アクセルペダルの踏み込み量あるいはクルーズコントロール等による出力要求に対してモータ140Aにおいて発現する駆動トルクを通常よりも低下させる。負荷低減処理部408は、駆動トルクの低下の態様として、たとえば、駆動トルクが予め定められた分だけ低下するようにモータ140Aを制御するようにしてもよいし、予め定められた割合だけ低下するようにモータ140Aを制御するようにしてもよいし、走行寿命距離が走行保証距離を下回る度合に応じて駆動トルクの低下量あるいは低下の割合を設定して、モータ140Aを制御するようにしてもよい。低下量あるいは低下の割合は、少なくとも走行寿命距離が増加するように設定される。
負荷低減処理部408は、駆動トルクの指令値に対応するモータ制御信号を出力I/F600を経由してMG−ECU300に送信する。あるいは、負荷低減処理部408は、モータ140Aの駆動トルクを低下する制御を実行する実行フラグをオンし、実行フラグがオンされるとMG−ECU300が、駆動トルクを低下する制御を実行するようにしてもよい。
なお、負荷低減処理部408は、たとえば、寿命判定フラグがオンであると、負荷が低下するようにモータ140Aを制御するようにしてもよい。
本実施の形態に係る車両の制御装置であるHV−ECU320で実行されるプログラムの制御構造は、図5で説明したフローチャートと同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る車両の制御装置であるHV−ECU320の動作について説明する。
サンプル時間毎にモータ140Aのコイル温度が検出されて、検出されたコイル温度の熱履歴が基準温度に対応するモータ140Aの熱履歴に変換される。変換された熱履歴が前回の計算において積算された熱履歴に加算されて基準温度での使用期間が算出される(S100)。
前回走行寿命が予測されてから予め定められた期間が経過することにより、寿命予測を実行する予め定められた条件が成立すると(S102にてYES)、基準温度での使用期間と基準温度での使用可能期間と現在までの走行距離とに基づいて走行寿命距離が予測される(S104)。
予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると(S106にてYES)、負荷低減処理が実施される(S108)。本実施の形態においては、モータ140Aの出力が低下される。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置により発現する作用効果と同様の作用効果を有する。
なお、本実施の形態において、HV−ECUは、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、モータの出力を低下するようにしたが、負荷低減処理としては、特にこれに限定されるものではない。たとえば、HV−ECUは、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、モータにおけるMG出力制限制御の開始温度を低下するようにしてもよい。MG出力制限制御については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
HV−ECUは、予測された走行寿命距離が走行保証距離を下回ると、走行寿命距離が走行保証距離以上となるモータのMG出力制限制御の開始温度を算出する。そして、HV−ECUは、モータのMG出力制限制御の開始温度を再設定する。
このようにすると、モータの負荷が増加してコイル温度が上昇したときに早期にモータの負荷の制限を開始することができる。そのため、モータにおける負荷が低減されて、コイル温度の上昇が抑制される。これにより、走行距離に対する熱履歴の蓄積の度合が減少するため、モータの絶縁性能の低下を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
120 エンジン、122 吸気通路、122A エアクリーナー、122B エアフローメータ、122C 電子スロットルバルブ、124 排気通路、124A 空燃比センサ、124B 三元触媒コンバータ、124C 触媒温度センサ、124D 消音器、130 燃料噴射装置、140 モータジェネレータ、140A モータ、140B ジェネレータ、160 駆動輪、180 減速機、200 動力分割機構、220 走行用バッテリ、240 インバータ、242 コンバータ、260 バッテリECU、280 エンジンECU、300 MG−ECU、320 HV−ECU、330 車速センサ、350 入力I/F、360 水温センサ、370 コイル温度センサ、380 クランクポジションセンサ、400 演算処理部、402 熱履歴算出部、404 走行寿命予測部、406 寿命判定部、408 負荷低減処理部、500 記憶部、600 出力I/F。
Claims (14)
- 少なくとも回転電機を駆動源とする車両の制御装置であって、
前記回転電機のコイル温度を検出するための手段と、
前記車両の走行距離を検出するための手段と、
前記検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換するための手段と、
前記検出された走行距離と前記変換された熱履歴とに基づいて前記車両の走行距離の上限を予測するための予測手段と、
前記予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと前記回転電機の負荷が低下するように前記回転電機を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - エンジンと前記エンジンの作動に関連して作動する回転電機とが搭載された車両の制御装置であって、
前記回転電機のコイル温度を検出するための手段と、
前記車両の走行距離を検出するための手段と、
前記検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換するための手段と、
前記検出された走行距離と前記変換された熱履歴とに基づいて前記車両の走行距離の上限を予測するための予測手段と、
前記予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと前記回転電機の負荷が低下するように前記エンジンおよび前記回転電機のうちの少なくともいずれか一方を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - 前記車両は、前記エンジンの出力軸に連結され、前記エンジンの動力に基づいて発電する前記回転電機と、前記エンジンの動力を前記車両の車輪軸に伝達する動力分割機構とを含み、前記動力分割機構は、入力された前記エンジンの動力を、前記車輪軸への駆動力または前記回転電機への動力に分割し、
前記エンジンは、トルクと回転数とが予め定められた最適燃費線に沿って変化するように制御され、
前記制御手段は、出力を保持しつつ、前記最適燃費線よりも低トルク側になるように前記エンジンを制御するための手段を含む、請求項2に記載の車両の制御装置。 - 前記制御手段は、出力が低下するように前記回転電機を制御するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 前記回転電機は、前記検出されたコイル温度に応じて前記回転電機に対する負荷が制限され、
前記制御手段は、前記回転電機に対する負荷の制限を開始するコイル温度が低下するように前記回転電機を制御するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 前記予測手段は、前記予め定められた温度を基準とする前記回転電機の絶縁性能の熱履歴の上限と前記変換された熱履歴と前記検出された走行距離とに基づいて前記車両の走行距離の上限を予測するための手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 少なくとも回転電機を駆動源とする車両の制御方法であって、
前記回転電機のコイル温度を検出するステップと、
前記車両の走行距離を検出するステップと、
前記検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換するステップと、
前記検出された走行距離と前記変換された熱履歴とに基づいて前記車両の走行距離の上限を予測する予測ステップと、
前記予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと前記回転電機の負荷が低下するように前記回転電機を制御する制御ステップとを含む、車両の制御方法。 - エンジンと前記エンジンの作動に関連して作動する回転電機とが搭載された車両の制御方法であって、
前記回転電機のコイル温度を検出するステップと、
前記車両の走行距離を検出するステップと、
前記検出されたコイル温度に基づく熱履歴を、予め定められた温度を基準とする熱履歴に変換するステップと、
前記検出された走行距離と前記変換された熱履歴とに基づいて前記車両の走行距離の上限を予測する予測ステップと、
前記予測された走行距離の上限が予め定められた走行距離よりも低いと前記回転電機の負荷が低下するように前記エンジンおよび前記回転電機のうちの少なくともいずれか一方を制御する制御ステップとを含む、車両の制御方法。 - 前記車両は、前記エンジンの出力軸に連結され、前記エンジンの動力に基づいて発電する前記回転電機と、前記エンジンの動力を前記車両の車輪軸に伝達する動力分割機構とを含み、前記動力分割機構は、入力された前記エンジンの動力を、前記車輪軸への駆動力または前記回転電機への動力に分割し、
前記エンジンは、トルクと回転数とが予め定められた最適燃費線に沿って変化するように制御され、
前記制御ステップは、出力を保持しつつ、前記最適燃費線よりも低トルク側になるように前記エンジンを制御するステップを含む、請求項8に記載の車両の制御方法。 - 前記制御ステップは、出力が低下するように前記回転電機を制御するステップを含む、請求項7〜9のいずれかに記載の車両の制御方法。
- 前記回転電機は、前記検出されたコイル温度に応じて前記回転電機に対する負荷が制限され、
前記制御ステップは、前記回転電機に対する負荷の制限を開始するコイル温度が低下するように前記回転電機を制御するステップを含む、請求項7〜10のいずれかに記載の車両の制御方法。 - 前記予測ステップは、前記予め定められた温度を基準とする前記回転電機の絶縁性能の熱履歴の上限と前記変換された熱履歴と前記検出された走行距離とに基づいて前記車両の走行距離の上限を予測するステップを含む、請求項7〜11のいずれかに記載の車両の制御方法。
- 請求項7〜12のいずれかに記載の車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラム。
- 請求項7〜12のいずれかに記載の車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラムを記録した記録媒体。
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2007
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