JP2009094958A - 再送信装置及び再送信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣接する放送・通信システムへの影響などを考慮して、受信した無線信号に含まれる不要な帯域成分を除去して再送信を行なう。
【解決手段】再送信装置は、無線周波数信号を中間周波数帯に周波数変換するダウンコンバータと、中間周波数信号の帯域制限を行なう中間周波数帯フィルタと、中間周波数信号を元の無線周波数信号に周波数変換するアップコンバータと、ダウンコンバータ及びアップコンバータで共用されるローカル発振器の組み合わせからなり、2回の周波数変換を行なう。ローカル発振器からアップコンバータへの遅延時間を遅延素子で制御し、ローカル発振器の特性の影響を抑制している。
【選択図】 図2
【解決手段】再送信装置は、無線周波数信号を中間周波数帯に周波数変換するダウンコンバータと、中間周波数信号の帯域制限を行なう中間周波数帯フィルタと、中間周波数信号を元の無線周波数信号に周波数変換するアップコンバータと、ダウンコンバータ及びアップコンバータで共用されるローカル発振器の組み合わせからなり、2回の周波数変換を行なう。ローカル発振器からアップコンバータへの遅延時間を遅延素子で制御し、ローカル発振器の特性の影響を抑制している。
【選択図】 図2
Description
本発明は、受信した無線信号を再度送信する再送信装置及び再送信方法に係り、特に、例えば送信設備と受信設備間を中継するために設けられ、送信設備から送られてくる無線信号の再送信を行なう再送信装置及び再送信方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、地上デジタル放送などのデジタル変調が施された無線信号の再送信を行なう再送信装置及び再送信方法に係り、特に、隣接する放送・通信システムへの影響などを考慮して、受信した無線信号に含まれる不要な帯域成分を除去して再送信を行なう再送信装置及び再送信方法に関する。
無線技術は、地上放送、地上マイクロ波通信、衛星通信、衛星放送など大容量基幹回線から、移動体通信などのアクセス回線に至るまで幅広い役割を果たしている。最近では、デジタル放送や無線LAN(Local Area Network)のようにデジタル・データを無線によって通信するデジタル通信が時代の趨勢である。
デジタル通信では、送信側では伝送信号に対して情報源及び通信路の符号化やデジタル変調が施され、受信側では、送信側とは逆にデジタル復調、並びに情報源及び通信路の復号化が行なわれる。デジタル方式の通信技術によれば、通信の高速化、大容量化が可能であるとともに、雑音や干渉、歪みに対する耐性が増し、高品質化を実現することができる。
また、デジタル変調方式として、マルチキャリア方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式が当業界で知られている。OFDM変調方式によれば、送信データを周波数が直交する複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数利用効率が非常に高く、周波数選択性フェージング妨害(若しくは、マルチパスなどに起因する遅延ひずみ)に強いという特徴がある。FFT(Fast Fourier Transform)アルゴリズムを用いることで、効率的なOFDM変復調器を実装することができる。
例えば日本国内の地上波放送では、2003年10月10日からVHF帯においてデジタル音声放送(ラジオ放送)ISDB−Tsb(Integrated Services Digital Broadcastingfor Terrestrial Sound Broadcasting)が開始され(例えば、非特許文献1を参照のこと)、2003年12月1日から関東・近畿・中京の3大広域圏で地上波のUHF帯(470MHz〜770MHz)を使用するデジタルTV放送のサービスISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting fot Terrestrial)が開始された(例えば、非特許文献2を参照のこと)。ISDB−T方式の地上デジタル放送は6MHzの帯域を分割した13個のOFDMセグメントで構成されるが、このうち中央部の0セグメントは携帯機器向けの「ワンセグ」サービスに割り当てられ、固定受信向けのハイビジョン(HDTV)放送は他の12セグメントを用いて編成される(ワンセグは、日本国内で2006年4月1日から開始されたデジタル・モバイル放送であり、1つのセグメントだけで映像、音声、データを得ることができ、移動体端末装置上では低消費電力で且つ簡易な情報処理によりテレビ放送の視聴が可能になる)。
また、欧州では、有料放送プラットフォーム事業者によるSTB(Set TopBox)の配布などにより放送デジタル化が進み、地上デジタルTV放送(DTTV)並びに地上デジタルラジオ放送のサービスも既に開始されている。
ところで、地上放送では、送信設備からの電波が届きにくい不感地帯が存在するために、中継放送局(relay station)などの設備を設け、親局からの放送信号を再送信中継して不感地帯を解消するのが一般的である。
放送信号を再送信する際、空チャンネルの不足から、隣接する中継局に全く同じ周波数を割り当てるSFN(Single Frequency Network)という放送形態が好ましい。
再送信の際に、送信アンテナからの電波が受信アンテナに回り込んで発振を引き起こすという回り込み現象が問題になる。また、アナログ放送では、同一周波数の再送信信号が放送局からの直接波に対するゴースト波となり、受信状態はむしろ悪化する可能性がある。従来の放送システムでは、混信を避けるために、中継局には異なる周波数を割り当てることが多い。
これに対し、日本と欧州の地上デジタル放送ではOFDM変調方式を採用しており、ガード・インターバル以内であれば、再送信に伴う遅延波による妨害を軽減することができ、SFNすなわち同一周波数で再送信することが可能である。
実際に現在、東京タワーからの地上デジタルTV放送の電波は、平塚中継局から同一周波数で再送信されている。さらに、地下街のような閉塞空間や駅待合室のような半閉塞空間といった局所的な不感地帯に対しても、同一周波数での中継を小規模な再送信装置(「リピータ」、又は「ギャップ・フィラー(Gap−Filler)」と呼ぶこともある)で実現させる動きがある。後者の場合、アンテナを内蔵したポータブル受信機は、再送信装置から再送信される放送信号によって、屋内でも良好な受信状態を得ることができる。
例えば、ビル内や室内などのテレビ電波の届きにくい場所で、ISDB−T受信機により地上デジタルTV放送を簡易に受信できる室内再送信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。同システムでは、ISDB−Tの電波が届く室内に設置された受信用アンテナで受信したISDB−T信号を、再送信装置が増幅するとともに弱電界レベルに調整して、電波の届かない他の室内に設けた再送信用アンテナからISDB−T受信機に再送するようになっている。
この種の再送信装置において無線信号の再送信を行なう際には、隣接する放送・通信システムへの影響などを考慮して、受信した無線信号に含まれる不要な帯域成分を除去して再送信を行なうことが好ましいと思料される。
希望波に隣接する周波数帯への影響を抑制するためには、バンドパス・フィルタには急峻な周波数応答が要求される。例えば、国内地上デジタル放送において規定される地上デジタル放送波スペクトラム・マスクは±2.79MHzを通過帯域とし、±4.36MHzを−50dB減衰域とされ、非常に急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタを用いる必要がある。
しかしながら、このようなバンドパス・フィルタは非常に大型で高価であり、放送局に設置の送信設備ならばともかく、各地域に散在する中継設備や、ビルの構内など局所的な不感地帯の解消に用いられるリピータ若しくはギャップ・フィラーに適用することは現実的でない。
これに対し、中間周波数(IF)帯であれば、例えばSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタのように、急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタを製作することは、無線周波数(RF)帯で急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタを製作することに比較すると容易である。
そこで、無線周波数帯の受信信号を中間周波数帯に一旦ダウンコンバートし、この中間周波数信号をSAWフィルタに通して不要な帯域成分を除去した後、再び元の無線周波数帯にアップコンバートする方法が用いられることがある(例えば、特許文献2を参照のこと)。中間周波数信号に対して処理を施すという同様の方法は、地上デジタル放送信号を同一周波数でパススルーする際のOFDMシグナル・プロセッサにも広く適用されている(例えば、非特許文献3を参照のこと)。
ところが、SAWフィルタは急峻な周波数応答を備えるものの、遅延が大きいという問題がある(例えば、数マイクロ秒程度)。このため、中間周波数帯で帯域制限処理した後にアップコンバートする際には、中間周波数帯で用いるSAWフィルタを通過する際に生じる遅延時間のために、ローカル周波数信号に含まれる位相雑音の位相変調成分は完全に逆相では足されなくなり、位相変調成分の抑圧比が減衰してしまう。
勿論、位相雑音特性の問題は、例えば高精度で位相雑音が十分低い良好な特性のローカル発振器を用いることで解決することができる。しかしながら、このような高精度の発振器は非常に高価であり、各地域に散在する中継設備やリピータ若しくはギャップ・フィラーに高価なバンドパス・フィルタを適用することと同様に、装置全体の大きなコストアップ要因となる。
本発明の目的は、地上デジタル放送などのデジタル変調が施された無線信号の再送信を好適に行なうことができる、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、隣接する放送・通信システムへの影響などを考慮して、受信した無線信号に含まれる不要な帯域成分を除去して再送信を行なうことができる、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、無線周波数帯の受信信号を中間周波数帯に一旦ダウンコンバートし、中間周波数帯域にて不要な帯域成分を除去した後、再び元の無線周波数帯にアップコンバートする方法によって好適に再送信を行なうことができる、小型で且つ安価に製作される、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、中間周波数帯域にて不要な帯域成分を除去してから再び元の無線周波数帯にアップコンバートする際に、中間周波数帯フィルタの遅延に拘らず、ローカル発振器の位相雑音の位相変調成分を好適に抑圧することができる、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、受信した無線信号を再度送信する再送信装置であって、
所定のローカル周波数からなるローカル信号を発生するローカル信号生成部と、
前記ローカル信号生成部におけるローカル周波数を制御する周波数制御部と、
無線周波数帯の受信信号を前記ローカル信号と周波数合成して中間周波数帯に変換するダウンコンバータと、
中間周波数帯の受信信号から不要成分を除去するIFバンドパス・フィルタと、 前記ローカル信号に所定の遅延時間を与える遅延手段と、
前記IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数帯信号を、前記遅延手段により遅延時間が与えられた前記ローカル信号と周波数合成して、入力周波数と一致する無線信号を出力するアップコンバータと、
を具備することを特徴とする再送信装置である。
所定のローカル周波数からなるローカル信号を発生するローカル信号生成部と、
前記ローカル信号生成部におけるローカル周波数を制御する周波数制御部と、
無線周波数帯の受信信号を前記ローカル信号と周波数合成して中間周波数帯に変換するダウンコンバータと、
中間周波数帯の受信信号から不要成分を除去するIFバンドパス・フィルタと、 前記ローカル信号に所定の遅延時間を与える遅延手段と、
前記IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数帯信号を、前記遅延手段により遅延時間が与えられた前記ローカル信号と周波数合成して、入力周波数と一致する無線信号を出力するアップコンバータと、
を具備することを特徴とする再送信装置である。
無線技術のデジタル化は時代の趨勢であり、例えばデジタル放送サービスが各国で開始されている。地上放送などでは難視聴地域が存在し、また、ビルの陰など局所的に電波が届きにくい場所があるため、適宜、中継放送局や再送信装置が設置されるのが一般的である。
日本と欧州などの地上デジタル放送ではOFDM変調方式を採用していることから、中継局や再送信装置ではSFNすなわち同一周波数で再送信することが可能である。この主の再送信装置において無線信号の再送信を行なう際、隣接する放送・通信システムへの影響などを考慮して、受信した無線信号に含まれる不要な帯域成分をバンドパス・フィルタにより除去して再送信を行なう必要がある。
無線周波数帯で急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタを製作することは難しいことから、一旦中間周波数帯にダウンコンバートして中間周波数帯でSAWフィルタなどにより不要帯域成分を除去した後、同じローカル周波数を用いて元の無線周波数帯にアップコンバートして出力するという、2回の周波数変換を行なう方法が知られている。
ところが、この方法では、IFバンドパス・フィルタとして用いるSAWフィルタを通過する際に生じる遅延時間のために、中間周波数帯で帯域制限処理した後にアップコンバートする際には、ローカル周波数信号に含まれる位相雑音の位相変調成分は完全に逆相では足されなくなり、位相変調成分の抑圧比が減衰してしまうという、ローカル発振器の位相雑音による性能の劣化が懸念される。
そこで、本発明に係る再送信装置では、ローカル発振器が生成するローカル信号を、IFバンドパス・フィルタを通過した後の(すなわち遅延された)中間周波数信号とは位相雑音による位相変調成分がほぼ逆相となるように調整する位相変調成分調整手段を備え、中間周波数帯で帯域制限処理した後に、位相変調成分調整手段により調整された後のローカル信号を用いてアップコンバートするようにしている。
具体的には、本発明に係る再送信装置は、ローカル発振器が生成するローカル信号に所定の遅延時間を与える遅延手段を設け、IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数帯信号をアップコンバートする際には、この遅延手段により遅延時間が調整されたローカル信号を用いて周波数合成を行なうように構成されており、結果的にはローカル発振器の位相雑音による劣化をほとんど受けなくて済む。また、ローカル発振器の周波数誤差の影響も受けなくなる。
なお、RF帯における遅延手段として、例えばSAWを使った小型のものなどを使用できる。
本発明は、サブキャリア間隔近傍の変調周波数成分の位相雑音の影響を大きく受けるというOFDM信号の性質を好適に利用したものであり、サブキャリアから十分離れた変調周波数成分の位相雑音の影響は軽微となる。
すなわち、本発明に係る再送信装置は、2回の周波数変換を行なう構成を採用するがローカル発振器の特性の影響が小さいので、ローカル発振器の特性を高く求める必要がなく、装置を安価に製作することができる。
本発明によれば、地上デジタル放送などのデジタル変調が施された無線信号の再送信を好適に行なうことができる、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することができる。
また、本発明によれば、隣接する放送・通信システムへの影響などを考慮して、受信した無線信号に含まれる不要な帯域成分を除去して再送信を行なうことができる、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することができる。
また、本発明によれば、無線周波数信号を中間周波数帯に周波数変換するダウンコンバータと、中間周波数信号の帯域制限を行なう中間周波数帯フィルタと、中間周波数信号を元の無線周波数信号に周波数変換するアップコンバータと、ダウンコンバータ及びアップコンバータで共用されるローカル発振器の組み合わせを基本回路構成とし、小型で且つ安価に製作される、優れた再送信装置及び再送信方法を提供することができる。
本発明に係る再送信装置は、無線周波数帯において急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタと捉えることもでき、通過特性を入力信号の周波数に拘らず常に一定値にすることができる。また、中間周波数帯フィルタを変更することによって、複数の周波数の入力信号の通過特性を簡単に変更することができる。
本発明に係る再送信装置は、2回の周波数変換を行なう構成を採用するが、ローカル発振器から周波数変換器(アップコンバータ)への遅延時間を遅延素子で制御することで、結果的にはローカル発振器の位相雑音による劣化をほとんど受けず、また、ローカル発振器の周波数誤差の影響も受けない。すなわち、ローカル発振器の特性の影響が小さいので、ローカル発振器の特性を高く求める必要がなく、装置を安価に製作することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
図1には、主として地上デジタル放送用の再送信装置の構成例を示している。図示の再送信装置は、無線周波数帯の受信信号を中間周波数帯に一旦ダウンコンバートし、この中間周波数信号をSAWフィルタに通して不要な帯域成分を除去した後、再び元の無線周波数帯にアップコンバートする方法を採用している。
図示の再送信装置100に無線周波数帯finの入力信号が入力されると、RFバンドパス・フィルタ101は、所望帯域の成分のみを通過させる。LNA(低雑音増幅器)102は、RFバンドパス・フィルタ101を通過した後の信号を低雑音増幅する。
ローカル信号生成回路108は、ローカル周波数からなる信号fLOを生成する。また、周波数制御部109は、妨害波とすべき隣接チャンネルに応じてローカル信号生成器108による出力周波数fLOを制御する。
第1の周波数混合器103は、LNA102を通過した後の無線周波数信号を周波数fLOのローカル信号と周波数混合して、中間周波数帯fifにダウンコンバートする。IFバンドパス・フィルタ104は、中間周波数帯fifにおいて、広帯域雑音やスプリアスなどの劣化を招来するような不要成分を除去する。そして、IF増幅器105は、ダウンコンバートされた中間周波数信号を増幅する。
第2の周波数混合器106は、不要成分を除去した後の中間周波数fifの信号を周波数fLOのローカル信号と周波数混合して、無線周波数帯foutにアップコンバートする。RF増幅器107は、アップコンバートした無線周波数信号を増幅する。
図1に示した再送信装置は、無線周波数信号を中間周波数帯に周波数変換するダウンコンバータと、中間周波数信号の帯域制限を行なう中間周波数帯フィルタと、中間周波数信号を元の無線周波数信号に周波数変換するアップコンバータと、ダウンコンバータ及びアップコンバータで共用されるローカル発振器の組み合わせを基本回路構成として2回の周波数変換を行なう方法を採用するが、任意の入力周波数の不要成分を除去する急峻な無線周波数帯のバンドパス・フィルタと捉えることもできる。
IF帯の固定周波数で急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタを製作することは、無線周波数帯で周波数応答を持つバンドパス・フィルタを製作することに比較すると容易である。例えばSAWフィルタのように、携帯電話機などの無線機器でも雑音除去に一般的に使用されている事例がある。
急峻な周波数応答特性を持つIFバンドパス・フィルタ104で不要輻射は十分落とされた信号は、その後、第2の周波数混合器106で再度、Mixer1で混合したのと同じfloの周波数のローカル信号と混合され、入力信号の無線周波数finと同じ無線周波数foutからなる出力信号が得られる。
ローカル信号の周波数floは、入力信号の周波数finに応じ、以下の(1)又は(2)の関係式に沿ったローカル信号の周波数信号が周波数制御部109からの制御で発生させられる。
上式(1)の関係式を用いる場合には出力周波数foutは下式(3)となり、また、上式(2)の関係式を用いる場合には出力周波数foutは下式(4)となる。
第1の周波数混合器103と第2の周波数混合器106において同一のローカル信号floで2回の周波数変換を行なうことで、結果的に出力信号foutは入力信号finと全く同一の周波数で、不要成分が減衰された信号となる。つまり、当該再送信回路は、任意の周波数信号の不要成分を急峻な周波数応答で除去するバンドパス・フィルタとしての機能を果たしたこととなる。
ここで、ローカル信号生成回路108が生成するローカル信号の周波数floに多少の周波数ずれが発生した場合であっても、上式(3)及び(4)から明らかなように、ローカル信号の周波数ずれは、ダウンコンバートとアップコンバートという2回にわたる周波数変換でキャンセルされることから、出力信号の周波数にずれが生じることはない。
なお、一般的には、ローカル信号生成回路108はVCO(Voltage Controlled Oscilator:電圧制御発振器)として、周波数制御部109はPLL(Phase Lock Loop)回路で構成することができる。勿論、固定周波数発振器を複数用意し、試験すべき隣接チャネルに応じて適宜いずれかの発振器を選択するように構成してもよい。
また、IFバンドパス・フィルタ104は、交換可能に取り付けるように構成してもよい。具体的には、再送信装置100を実装したプリント基板上にソケットを設け、当該ソケットに対しIFバンドパス・フィルタ104を装着並びに取り外し可能としてある。このような場合、IFバンドパス・フィルタ104を交換するだけで、任意の周波数の入力信号の通過特性をすべて一度に簡単に変更することができる。
図1に示した回路構成では、ローカル信号生成回路108が生成するローカル信号の周波数floに付随する位相雑音は、ダウンコンバートとアップコンバートという2回にわたる周波数変換においてローカル信号が逆相で付加されることによって、周波数ずれが出力周波数に影響を与えないのと同様に位相雑音もキャンセルされ、出力信号の周波数foutに大きな劣化は生じることはない。
ところが、IFバンドパス・フィルタ104として用いるSAWフィルタを通過する際に生じる遅延時間のために、中間周波数帯で帯域制限処理した後にアップコンバートする際には、ローカル周波数信号に含まれる位相雑音の位相変調成分は完全に逆相では足されなくなり、位相変調成分の抑圧比が減衰してしまうという、ローカル信号生成回路108が持つ位相雑音による性能の劣化が懸念される。SAWフィルタは(中間周波数帯において)急峻な周波数応答を備えるものの、遅延が大きいことが知られている(例えば、数マイクロ秒程度)。
ローカル信号生成回路108の位相誤差に起因する変調周波数をfmodとし、IFバンドパス・フィルタ104での遅延時間τ=t1とすると、2回の周波数変換が行なわれた出力の位相変調成分の抑圧比は、下式(5)で表される。
一例として、遅延時間t1=3.7マイクロ秒の場合であれば、位相変調成分の抑圧比は、図3に示すように、遅延時間の逆数Δf=1/t1で周期的に変化したものとなる。
OFDM信号では、その特性から、サブキャリア間隔近傍の変調周波数成分の位相雑音の影響を大きく受ける性質があり、サブキャリアから十分離れた変調周波数成分の位相雑音の影響は軽微となる。
そこで、図1に示した再送信装置の改良として、図2に示すような再送信装置100−2を提案する。同装置100−2は、ローカル信号生成回路108から第2の周波数混合器106の間に、遅延時間t2を持つ遅延素子110を挿入している。この遅延素子110は、IFバンドパス・フィルタ104を通過した後の中間周波数信号とは位相雑音による位相変調成分がほぼ逆相となるようにローカル信号を調整するという作用を持つ。この場合の2回の周波数変換が行なわれた出力の位相変調成分の抑圧比は、下式(6)〜(8)で表される。
上式から、IFバンドパス・フィルタ104の遅延時間t1と遅延素子110のt2の差Δtが小さくなれば、上記抑圧比の変化する周期Δfは大きくなることが分かる。位相変調成分の抑圧比が周期的に変化することは上述したが、例えば遅延時間の差Δt=0.1マイクロ秒の場合であれば、位相変調成分の抑圧比が変化する周期は10MHz周期となる(図4を参照のこと)。
現実には各々の遅延時間t1とt2を全く同一にすることは難しいが、その時間差Δtを0.1マイクロ秒程度に抑えることは可能である。したがって、Δt=0.1マイクロ秒であれば、サブキャリア間隔が約1kHzのOFDM信号であるISDB−T信号では、1kHz周辺では十分な位相変調成分の劣化比を確保することができ、劣化は軽微となる。
なお、RF帯における遅延素子は、例えばSAWを使った小型のものなどを使用できる。
本発明に係る再送信装置は、受信したOFDM信号をそのまま再送信する以外にも、特定の周波数成分のみの切り出しに用いることができる。
例えば、13セグメントのうちワンセグのみを切り出して再送信するワンセグ切り出し方式が提案されている(例えば、特開2006−222516号公報を参照のこと)。地下街や駅待合室のような不感地帯は、局所的で且つ多数点在するため、高価な中継局を設置することはできない。他方、このような不感地帯では主に携帯機器での地上デジタルTV放送の視聴が見込まれることから、ワンセグ切り出し方式による再送信装置によれば、送信出力を軽減できるとともに、放送は受信による回路設計を容易化することができる。本発明に係る再送信装置を適用することで、他のセグメントの成分を好適に除去して固定受信に対する影響の確率を軽減することが可能である。
また、本発明に係る再送信装置は、RF帯でのバンドパス・フィルタとして幅広く適用することができる。
例えば地上波デジタルテレビ放送用チューナのような高周波受信機の性能を検討するには妨害抑圧比を測定する妨害波試験が必須であるが、広帯域雑音やスプリアスなどの劣化を生じないように妨害波信号の不要成分を除去する必要があり、本発明に係る再送信装置をバンドパス・フィルタに適用することが考えられる。
図5には、放送や通信機器における妨害抑圧比を測定する妨害波試験システム10の構成例を模式的に示している。図示のように、希望波信号発生器11で発生する希望波信号と、妨害波信号発生器12によって発生する希望波近くの周波数帯の妨害波信号を混合器14で周波数合成し、これを被検対象となる受信機15で受信し、その際のビット・エラー率(BER)などをビット・エラー率測定計16で測定し、妨害抑圧比を評価する。ここで、妨害波信号発生器12から出力される妨害波信号をバンドパス・フィルタ(BPF)などのフィルタ回路13に通して不要な成分を除去するが、フィルタ回路13は、図1又は図2に示した再送信装置で構成することができる。
妨害波試験においては、希望波信号に対し妨害波信号のレベルを30〜40dB程度高くする必要があるところが、妨害波信号発生器12から出力される妨害波信号に不要な成分が含まれると、広帯域雑音やスプリアスなどの劣化を生じることから(図6を参照のこと)、妨害波による影響を正確に測定することができなくなる。これに対し、妨害波信号発生器12から出力される妨害波信号を、図1又は図2に示した再送信装置からなるフィルタ回路13に通して、不要な成分を除去することができる(図7を参照のこと)。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本発明に係る再送信装置は、無線周波数帯において急峻な周波数応答を持つバンドパス・フィルタと捉えることもでき、例えば、ワンセグ切り出し方式による地上デジタル放送の再送信や、デジタル有線テレビジョン放送パルススルー方式のOFDMシグナル・プロセッサ、地上デジタル放送用ブースタ、地上デジタル放送の隣接チャンネル妨害試験におけるフィルタなどに適用することができる。
また、本発明に係る再送信装置は、地上波デジタル放送以外にも、第4世代移動通信や、無線LANといった、OFDM伝送方式のさまざまなデジタル通信技術に適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
10…妨害波試験装置
11…希望波信号発生器
12…妨害波信号発生器
13…フィルタ回路
14…混合器
15…受信機
100…再送信装置
101…RFバンドパス・フィルタ
102…低雑音増幅器(LNA)
103…第1の周波数混合器
104…IFバンドパス・フィルタ
105…IF増幅器
106…第2の周波数混合器
107…RF増幅器
108…ローカル信号生成回路
109…周波数制御部
110…遅延素子
11…希望波信号発生器
12…妨害波信号発生器
13…フィルタ回路
14…混合器
15…受信機
100…再送信装置
101…RFバンドパス・フィルタ
102…低雑音増幅器(LNA)
103…第1の周波数混合器
104…IFバンドパス・フィルタ
105…IF増幅器
106…第2の周波数混合器
107…RF増幅器
108…ローカル信号生成回路
109…周波数制御部
110…遅延素子
Claims (6)
- 受信した無線信号を再度送信する再送信装置であって、
所定のローカル周波数からなるローカル信号を発生するローカル信号生成部と、
前記ローカル信号生成部におけるローカル周波数を制御する周波数制御部と、
無線周波数帯の受信信号を前記ローカル信号と周波数合成して中間周波数帯に変換するダウンコンバータと、
中間周波数帯の受信信号から不要成分を除去するIFバンドパス・フィルタと、
前記ローカル信号生成部が生成するローカル信号を、IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数信号とは前記ローカル信号生成部が持つ位相雑音による位相変調成分がほぼ逆相となるように調整する位相変調成分調整手段と、
前記IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数帯信号を、前記位相変調成分調整手段により調整された前記ローカル信号と周波数合成して、入力周波数と一致する無線信号を出力するアップコンバータと、
を具備することを特徴とする再送信装置。 - 前記IFバンドパス・フィルタは交換可能に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の再送信装置。 - 前記IFバンドパス・フィルタはSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタである、
ことを特徴とする請求項1に記載の再送信装置。 - 前記位相変調成分調整手段は、前記ローカル信号に所定の遅延時間を与える遅延素子であり、
前記アップコンバータは、前記IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数帯信号を、前記遅延素子により遅延時間が与えられた前記ローカル信号と周波数合成して、入力周波数と一致する無線信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の再送信装置。 - 前記遅延素子は、前記IFバンドパス・フィルタとほぼ同じ遅延時間を持つ、
ことを特徴とする請求項4に記載の再送信装置。 - 受信した無線信号を再度送信する再送信方法であって、
所定のローカル周波数からなるローカル信号を発生するローカル信号生成ステップと、
無線周波数帯の受信信号を前記ローカル信号と周波数合成して中間周波数帯に変換する第1の周波数変換ステップと、
中間周波数帯の受信信号から不要成分を除去するIFバンドパス・フィルタと、
前記ローカル信号生成部が生成するローカル信号を、IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数信号とは前記ローカル信号生成部が持つ位相雑音による位相変調成分がほぼ逆相となるように調整する位相変調成分調整ステップと、
前記IFバンドパス・フィルタを通過した後の中間周波数帯信号を、前記位相変調成分調整手段により調整された前記ローカル信号と周波数合成して、入力周波数と一致する無線信号を出力する第2の周波数変換ステップと、
を具備することを特徴とする再送信方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007265662A JP2009094958A (ja) | 2007-10-11 | 2007-10-11 | 再送信装置及び再送信方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007265662A JP2009094958A (ja) | 2007-10-11 | 2007-10-11 | 再送信装置及び再送信方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014504490A (ja) * | 2010-12-20 | 2014-02-20 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 | 信号の位相混入を低減するための方法及び装置 |
CN106654485A (zh) * | 2016-11-22 | 2017-05-10 | 中国电子科技集团公司第五十五研究所 | 一种微波频段超大延时方法及系统 |
US10270513B2 (en) | 2016-08-11 | 2019-04-23 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Broadcast receiving apparatus and method for controlling thereof |
-
2007
- 2007-10-11 JP JP2007265662A patent/JP2009094958A/ja active Pending
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CN106654485B (zh) * | 2016-11-22 | 2020-01-24 | 中国电子科技集团公司第五十五研究所 | 一种微波频段超大延时方法及系统 |
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