JP4142938B2 - ミリ波帯送受信システム、送信装置、及び受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信装置に送信すべき伝送信号を送信装置側でミリ波帯へアップコンバートして無線送信し、受信装置側ではその送信電波を受信し、受信信号をダウンコンバートすることにより元の伝送信号を復元するミリ波帯送受信システム、及び、このシステムを構築するのに好適な送信装置及び受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、広帯域な信号を高品質に無線伝送するために、送信装置側で、受信装置側に伝送すべき伝送信号を、局部発振器で生成した局発信号を用いて、ミリ波帯にアップコンバートし、そのアップコンバートした信号を送信アンテナから放射し、受信装置側では、送信アンテナからの送信電波を受信アンテナにて受信し、その受信信号を、送信装置側と同じ周波数の局発信号を用いて周波数変換することにより、元の伝送信号を復元するよう構成されたミリ波帯送受信システムが知られている。
【0003】
ところで、この種のミリ波帯送受信システムでは、送信装置側及び受信装置側で周波数変換に用いる局発信号の周波数が数十GHzのミリ波帯となるため、その周波数が安定せず、受信装置側で元の伝送信号を正確に復元するのは難しいという問題があった。つまり、送信装置側及び受信装置側の局発信号の周波数差によって、受信装置側で周波数変換した伝送信号にも周波数のズレが生じてしまい、伝送品質が低下するのである。
【0004】
そこで、こうした問題を解決するために、下記(1)、(2)の技術が提案されている。
(1) 送信装置側からは、周波数変換後の伝送信号と伝送信号の周波数変換に用いた送信側局発信号とを同時に送信し、受信装置側では、送信装置側から送信されてきた送信側局発信号を用いて受信側局発信号を生成し、その生成した受信側局発信号を用いて受信信号をダウンコンバートすることにより伝送信号を復元する技術(例えば、特許文献1参照)。
(2) 送信装置側からは、伝送信号と一定周波数のパイロット信号と送信側局発信号とを混合することにより、伝送信号とパイロット信号とを同時にミリ波帯にアップコンバートして受信装置側に送信し、受信装置側では、受信信号を差成分検出ミキサにて混合(所謂二乗検波)することによりアップコンバート後の伝送信号とパイロット信号との差の周波数を有する信号(換言すれば送信側局発信号の変動成分を除去した信号)を生成すると共に、その信号と送信装置側で生成されるパイロット信号と同一周波数のパイロット信号とを混合することにより伝送信号を復元する技術(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−135153号公報
【特許文献2】
特開2002−246921号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)の技術では、受信側局発信号の周波数を送信側局発信号の周波数に一致させることができるので、受信装置側で元の伝送信号を正確に復元することができるものの、受信装置側では、受信信号の中から局発信号を抽出する必要があることから、現在の技術では実用化が難しいという問題があった。
【0007】
つまり、送信装置側及び受信装置側で周波数変換に用いる局発信号は、送信信号と同じミリ波帯であることから、受信装置側で受信信号の中から送信側局発信号を抽出するには、周波数特性が安定したミリ波帯用の狭帯域フィルタが必要となるが、こうしたフィルタを製造するのは極めて難しく、また、製造できても極めて高価であるため、上記(1)の技術でミリ波帯送受信システムを実際に構築するのは難しいのである。
【0008】
一方、上記(2)の技術では、受信装置側で、受信信号の二乗検波によって送信側局発信号の変動成分を除去することから、上記(1)の技術のように、受信信号に含まれる局発信号を抽出することなく、元の伝送信号を正確に復元することができる。
【0009】
しかし、差成分検出ミキサ(乗算器)にて受信信号を二乗検波するには、変調信号である伝送信号に対して、パイロット信号を高レベルにする必要がある。これは、パイロット信号を高レベルで伝送しなければ、変換後の信号のC/N(信号搬送波電力対雑音電力比)が低くなるためであるが、このように伝送信号に対してパイロット信号の信号レベルを高レベルにすると、非線形歪み(IM,XM)が劣化し、復元した伝送信号の特性劣化を招くという問題があった。
【0010】
また、ミリ波帯送受信システムでは、送信装置の送信電力が制限されているため、上記のように伝送信号に対してパイロット信号の信号レベルを高レベルにすると、伝送信号の信号レベルを低レベルに抑えなければならず、その結果、送受信可能な伝送距離が短くなってしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、送信装置側では、伝送信号をアップコンバートした信号を送信し、受信装置側では、受信信号をダウンコンバートすることにより元の伝送信号を復元するミリ波帯送受信システムにおいて、送信装置側から受信装置側に周波数変換用の局発信号を送信することなく、しかも、二乗検波を利用することなく、受信装置側で元の伝送信号を正確に復元できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成するためになされた請求項1記載のミリ波帯送受信システムは、送信すべき伝送信号を送信側局発信号を用いてミリ波帯へアップコンバートし、アップコンバート後の信号を送信アンテナから放射する送信装置と、送信アンテナからの送信電波を受信アンテナにて受信し、その受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより伝送信号を復元する受信装置とから構成されている。
【0013】
そして、送信装置は、送信装置側の送信アンテナと受信装置側の受信アンテナとで形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能な一定周波数の基準信号に基づき送信側局発信号を生成すると共に、その基準信号をその伝送線を介して受信装置に送信し、受信装置は、その伝送線を介して伝送されてきた基準信号に基づき送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成する。
【0014】
このため、本発明によれば、送信装置にてアップコンバートに用いられる送信側局発信号の周波数と、受信装置にてダウンコンバートに用いられる受信側局発信号の周波数とを一致させることができ、受信装置側では、送信装置でアップコンバートされる前の元の伝送信号を正確に復元できることになる。
【0015】
そして、本発明によれば、基準信号を第2伝送路としての伝送線を介して伝送する必要はあるものの、上記(1)の従来技術のように、受信装置側で、送信装置から送信されたミリ波帯の局発信号を再生する必要がないので、受信装置の構成を簡単にして、極めて容易に実現できる。また、上記(2)の従来技術のように、二乗検波によって伝送信号を復元する必要がないので、伝送信号の非線形歪み(IM,XM)が劣化するとか、送受信可能な伝送距離が短くなってしまうという問題が発生することもない。
【0016】
ところで、請求項1に記載のミリ波帯送受信システムでは、送信側局発信号と受信側局発信号との周波数を一致させるために、送信装置から受信装置に一定周波数の基準信号を送信するようにしているが、各局発信号の周波数を一致させるためには、受信装置側で、送信装置側の基準信号と同一周波数の基準信号を生成できればよいため、送信装置から受信装置には、必ずしも基準信号を第2伝送路としての伝送線を介してそのまま送信する必要はない。
【0017】
つまり、例えば、請求項2に記載のミリ波帯送受信システムように、送信装置から受信装置には、基準信号と一定の周波数関係にある1又は複数のパイロット信号を、第2伝送路としての伝送線を介して送信し、受信装置側で、そのパイロット信号から送信装置と同じ一定周波数の基準信号を生成するようにしても、請求項1に記載のミリ波帯送受信システムと同様の効果を得ることができる。
【0018】
なお、この請求項2の具体的方法としては、送信装置側では、基準信号を逓倍又は分周することにより一つのパイロット信号を生成して受信装置に送信し、受信装置側では、このパイロット信号を分周又は逓倍することによって基準信号を生成する方法、あるいは、送信装置側では、基準信号の周波数と同じ周波数差を有する2つのパイロット信号を生成して受信装置に送信し、受信装置側では、その2つのパイロット信号の周波数差から基準信号を生成する方法等、種々の方法が考えられる。
【0023】
次に、請求項1又は請求項2に記載のミリ波帯送受信システムのように、基準信号又はパイロット信号の伝送に第2伝送路を用いる場合、第2伝送路としては、同軸ケーブルや光ケーブル等からなる伝送線を使用すればよいが、送信装置と受信装置とを接続可能な既存の伝送線があれば、その伝送線を第2伝送路として利用することが望ましい。
つまり、例えば、共同受信システムが構築された集合住宅等には、地上局のテレビ放送信号を伝送するための伝送線が配線されている。
従って、このような共同受信システム用の伝送線が既に配線されている場合には、請求項3に記載のように、その配線された伝送線を第2伝送路として利用するようにするとよい。
そして、このようにすれば、基準信号又はパイロット信号を伝送するための第2伝送路を別途配線する必要がないため、本発明のミリ波帯送受信システムをより簡単に構築できることになる。
【0024】
一方、送信装置及び受信装置において、基準信号からアップコンバート用及びダウンコンバート用の局発信号を生成する際には、周波数逓倍回路を用いて基準信号をそのまま周波数逓倍するようにしてもよい。
しかし、受信装置側の基準信号は、第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送されたものであるので、送信装置側の基準信号に比べて雑音成分が多く、単に周波数逓倍しただけでは、送信装置及び受信装置で生成される局発信号に含まれる位相雑音が大きく異なることから、受信装置側で復元される伝送信号のC/N(信号搬送波電力対雑音電力比)が低下することが考えられる。
【0025】
そこで、請求項4に記載のように、送信装置及び受信装置では、それぞれ、基準信号に基づき発振器の発振周波数を制御するPLL回路を用いて、各局発信号を生成するようにするとよい。そして、このようにすれば、送信装置及び受信装置で生成される局発信号のC/N等の品質を一定にして、受信装置側で高品質の伝送信号を復元できることになる。
【0026】
また特に、請求項5に記載のように、送信装置及び受信装置において各局発信号を生成するのに用いられる発振器及びPLL回路を、生成した局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分が一致するように構成しておけば、送信装置側で伝送信号をアップコンバートした際に、送信側局発信号に含まれる位相雑音がアップコンバート後の伝送信号に重畳されても、その位相雑音を、受信装置側での受信信号のダウンコンバートによって打ち消すことができ、受信装置側では、より高品質の伝送信号を復元できるようになる。
【0027】
そして、このように送信側及び受信側の局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分を一致させるには、送信装置及び受信装置で局発信号を生成するのに用いられる発振器及びPLL回路を同一構成にするだけでもよいが、好ましくは、送信装置側の発振器及びPLL回路と、受信装置側の発振器及びPLL回路との少なくとも一方を、生成した局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整し得るように構成し、その位相雑音の周波数成分を調整することによって送信側及び受信側の局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分を強制的に一致させるようにするとよい。
【0028】
なお、このように基準信号から局発信号を生成する発振器及びPLL回路の調整によって、局発信号の位相雑音の周波数成分を調整する方法については、特開2002−51319号公報に開示されているように、従来より公知であるため、本明細書では、詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、請求項6に記載の発明は、上述した請求項1〜請求項5に記載のミリ波帯送受信システムを、衛星受信アンテナにて受信及びダウンコンバートされた衛星放送の中間周波信号(BS/CS−IF信号:以下、必要がない限り“衛星放送の中間周波信号”と記す)を伝送信号として送信装置から受信装置に再送信するシステムに適用したものである。
【0030】
そして、この請求項6に記載のミリ波帯送受信システムによれば、送信装置が、衛星放送の中間周波信号をミリ波帯にアップコンバートして、受信装置に無線送信し、受信装置は、その送信電波を受信してダウンコンバートすることにより、衛星放送の中間周波信号を正確に復元し、衛星放送受信機に出力することから、従来のように、衛星受信アンテナからの受信信号(BS/CS−IF信号)を同軸ケーブル等からなる伝送線を介して衛星放送受信機まで伝送する必要がなく、衛星放送の受信システムを極めて簡単に構築できることになる。
【0031】
また、例えば、テレビ放送を受信し、その受信信号を複数の端末に伝送する共同受信システムにおいて、その共同受信システムを構成する伝送線や伝送用機器(増幅器、分配器、分岐器等)の伝送可能周波数が、VHF、UHFといった地上波のテレビ放送の周波数帯域(最大770MHz)までしか対応しておらず、衛星放送の中間周波信号(1〜2GHz)を伝送できないような場合であっても、請求項6に記載のミリ波帯送受信システムを利用すれば、共同受信システムを構成する伝送線や伝送用機器を衛星放送対応型に変更することなく各端末に衛星放送の中間周波信号を配信することができるようになり、既存の集合住宅などでのサービスを向上することができる。
【0032】
そして、特に、こうした既存の共同受信システムに本発明を適用し、各端末に受信装置を設置する際には、上述した請求項3に記載の発明のように、第2伝送路として、既存の共同受信システムに配線された伝送線を利用するとよい。つまり、このようにすれば、基準信号を伝送するための伝送線を別途設ける必要がなく、各端末に衛星放送の中間周波信号を配信可能な共同受信システムを簡単に構築できることになる。
【0033】
次に、請求項7に記載の発明は、送信すべき伝送信号を送信側局発信号を用いてミリ波帯へアップコンバートし、アップコンバート後の伝送信号を送信アンテナから受信装置へ無線送信する送信装置に関するものである。
そして、この送信装置においては、基準信号発生手段が、送信アンテナにて形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能な一定周波数の基準信号を発生すると共に、その基準信号をその伝送線を介して受信装置へ送信し、送信側の局発信号生成手段が、基準信号発生手段が発生した基準信号に基づき送信側局発信号を生成し、送信側の周波数変換手段が、送信側の局発信号生成手段にて生成された送信側局発信号を用いて伝送信号をミリ波帯へアップコンバートし、送信アンテナへ出力する。
【0034】
一方、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の送信装置から送信されたミリ波帯の送信電波を受信アンテナにて受信し、その受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、送信装置がミリ波帯にアップコンバートする前の伝送信号を復元する受信装置に関するものである。
【0035】
そして、この受信装置においては、受信側の局発信号生成手段が、送信装置から第2伝送路を構成する伝送線を介して送信されてきた基準信号に基づき送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成し、受信側の周波数変換手段が、受信側の局発信号生成手段にて生成された受信側局発信号を用いて受信信号をダウンコンバートすることにより、送信装置側でアップコンバートされる前の伝送信号を復元する。
【0036】
したがって、この請求項8に記載の受信装置と請求項7に記載の送信装置とを用いれば、請求項1に記載のミリ波帯送受信システムを構築できることになり、受信装置側では、受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、送信装置から送信されたアップコンバート前の伝送信号を正確に復元できることになる。
【0037】
次に、請求項9に記載の送信装置においては、基準信号発生手段が、一定周波数の基準信号を発生し、送信側の局発信号生成手段が、その基準信号に基づき送信側局発信号を生成し、送信側の周波数変換手段が、その生成された送信側局発信号を用いて伝送信号をミリ波帯へアップコンバートして送信アンテナへ出力し、パイロット信号生成手段が、送信アンテナにて形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能で、基準信号と一定の周波数関係にある1又は複数のパイロット信号を生成し、その生成したパイロット信号を前記伝送線を介して前記受信装置へ送信する。
【0038】
一方、請求項10に記載の受信装置においては、基準信号生成手段が、送信装置から第2伝送路を構成する伝送線を介して送信されてきたパイロット信号に基づき送信装置と同じ一定周波数の基準信号を生成し、受信側の局発信号生成手段が、その生成された基準信号に基づき送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成し、受信側の周波数変換手段が、その生成された受信側局発信号を用いて受信信号をダウンコンバートすることにより伝送信号を復元する。
【0039】
したがって、この請求項10に記載の受信装置と請求項9に記載の送信装置とを用いれば、請求項2に記載のミリ波帯送受信システムを構築できることになり、受信装置側では、受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、送信装置から送信されたアップコンバート前の伝送信号を正確に復元できることになる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施例のミリ波帯送受信システム全体の構成を表す構成図である。
【0044】
図1に示すように、本実施例のミリ波帯送受信システムは、集合住宅等の屋上に設置されたBS/CSアンテナ2からの受信信号を、集合住宅内の各家庭に無線にて配信するものであり、BS/CSアンテナ2が設置された屋上付近に設けられた送信装置30と、各家庭で送信装置30を見渡せる位置(例えばベランダ等)に設置された複数の受信装置50とから構成されている。
【0045】
BS/CSアンテナ2は、反射鏡2aと、支持腕を介して反射鏡2aの焦点位置に配置された受信ユニット2bとからなり、放送/通信衛星(BS/CS)からの送信電波を受信して、その受信信号(周波数:例えば11.7GHz〜12.75GHz)を、受信ユニット2bに内蔵されたコンバータ20(図2参照)によって、受信信号よりも低い所定周波数帯(例えば、1032〜2071MHz)の中間周波信号(BS/CS−IF信号)にダウンコンバートして出力する周知のものであり、本発明の衛星受信アンテナに相当する。
【0046】
そして、このBS/CSアンテナ2から出力されるBS/CS−IF信号は、同軸ケーブルからなる伝送線L1を介して送信装置30に入力され、送信装置30は、その入力されたBS/CS−IF信号を、ミリ波帯(本実施例では60GHz帯)にアップコンバートして、送信アンテナ40から放射する。
【0047】
また、BS/CSアンテナ2と送信装置30とを接続する伝送線L1上には、BS/CSアンテナ2の受信ユニット2b(詳しくはコンバータ20)と送信装置30とに電源を供給するための電源挿入器12が設けられており、BS/CSアンテナ2の受信ユニット2b(詳しくはコンバータ20)及び送信装置30には、この電源挿入器12及び伝送線L1を介して、電源装置14から出力される直流の電源電圧(DC15V)が供給される。
【0048】
一方、受信装置50は、送信アンテナ40からの送信電波(ミリ波帯)を、受信アンテナ51で受信し、その受信信号をダウンコンバートすることにより、BS/CSアンテナ2が出力した元のBS/CS−IF信号を復元し、同軸ケーブルからなる伝送線L2を介して、対応する部屋に設置されたBS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置に出力する。
【0049】
また、BS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置は、同軸ケーブルを介してBS/CSアンテナに直接、電源を供給できるようにするために、伝送線L2が接続される受信信号の入力端子から電源電圧(DC15V)を出力できるようになっているので、本実施例では、受信装置50が、BS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置から伝送線L2を介して電源供給を受けて動作するようにされている。
【0050】
また次に、本実施例のミリ波帯送受信システムが構築される集合住宅等の屋上には、BS/CSアンテナ2とは別に、VHF帯放送チャンネルでの地上局のテレビ放送やFM放送局からの送信電波を受信するVHFアンテナ4、及び、UHF帯放送チャンネルでの地上局のテレビ放送の送信電波を受信するUHFアンテナ6が設置されている。
【0051】
そして、VHFアンテナ4から出力される受信信号(FM・VHF)及びUHFアンテナ6から出力される受信信号(UHF)は、それぞれ、同軸ケーブルからなる伝送線L3、L4を介して、増幅器(所謂ブースター)8に入力され、この増幅器8で増幅・混合された後、端末側の伝送線L5上に出力される。
【0052】
また、この伝送線L5には分配器9が接続されており、増幅器8にて増幅・混合された受信信号(FM・VHF+UHF)は、この分配器9にて複数系統(図では4系統)に分配され、さらに、その分配された各系統の伝送線L6及びこの伝送線L6上に直列に接続された複数の直列ユニット10を介して、集合住宅内の各部屋まで伝送される。
【0053】
つまり、本実施例のミリ波帯受信システムが構築された集合住宅には、一般的に別途、地上波テレビ放送を各部屋に伝送する共同受信システムが構築されている。
また、各部屋では、同軸ケーブルからなる伝送線L7を介してテレビ受信機17を直列ユニット10に接続すれば、VHFアンテナ4及びUHFアンテナ6からの受信信号をテレビ受信機17に入力して、地上波のテレビ放送を視聴できるが、直列ユニット10には、送信装置30から電源挿入器12側に出力され、共同受信システムの伝送路を介して各直列ユニット10まで伝送されてきた基準信号のみを選択的に取り出し、他の信号(FM・VHF+UHF)をテレビ受信機17側に出力するための分波器16が接続されている。
【0054】
そして、この分波器16にて抽出された基準信号は、同軸ケーブルからなる伝送線L8を介して、受信装置50とBS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置とを接続する伝送線L2上に設けられた混合器19まで伝送され、この混合器19にて電源電圧(DC15V)と混合されて、受信装置50に入力される。
【0055】
なお、送信装置30が電源挿入器12側に出力する基準信号は、送信装置30でBS/CS−IF信号をアップコンバートするのに用いられる局発信号(送信側局発信号)の周波数と、受信装置50で受信信号をダウンコンバートするのに用いられる局発信号(受信側局発信号)の周波数とを一致させるためのものであり、本実施例では、VHF帯でしかもテレビ放送で利用されていない一定周波数f0(例えば190MHz)の正弦波が使用されている。
【0056】
そして、この基準信号は、同軸ケーブルからなる伝送線L9を介して、電源挿入器12から、VHFアンテナ4と増幅器8とを接続する伝送線L3上に設けられた混合器15まで伝送され、この混合器15にて、VHFアンテナ4からの受信信号(FM・VHF)と混合されて、増幅器8側に出力される。
【0057】
このため、送信装置30が出力した基準信号は、VHFアンテナ4及びUHFアンテナ6からの受信信号と一緒に各部屋まで伝送され、さらに、各部屋に設けられた分波器16、伝送線L8、混合器19及び伝送線L2を介して、各部屋の受信装置50まで伝送されることになる。
【0058】
なお、混合器19は、BS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置から出力された電源電圧(DC15V)と基準信号とを受信装置50にだけ選択的に出力し、受信装置50から出力されたBS/CS−IF信号をBS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置にだけ選択的に出力できるように、信号分離用のフィルタを内蔵している。また、同様に、電源挿入器12も、電源装置14から入力された電源電圧(DC15V)を、BS/CSアンテナ2と送信装置30とにだけ選択的に出力し、送信装置30から出力された基準信号を、混合器15にだけ選択的に出力できるように、電源分離フィルタを内蔵している。
【0059】
次に、図2は、BS/CSアンテナ2の受信ユニット2bに内蔵されたコンバータ20と送信装置30の構成を表すブロック図である。
図2に示すように、コンバータ20は、反射鏡2aにて集波されたBS/CS放送波を受信する受信部21と、この受信部21からの受信信号を増幅する増幅回路22と、受信信号を周波数変換(ダウンコンバート)するための一定周波数f1(例えば、10.678GHz)の局発信号を発生する局部発振器23と、局部発振器23が発生した局発信号と増幅回路22で増幅された受信信号とを混合することにより、受信信号を1〜2GHz帯(例えば、1032MHz〜2071MHz)のBS/CS−IF信号にダウンコンバートするミキサ24と、ミキサ24から出力される信号の内、ダウンコンバート後のBS/CS−IF信号のみを選択的に通過させるバンドパスフィルタ(以下、BPFという)25と、BPF25を通過したBS/CS−IF信号を増幅する増幅回路26とを備え、この増幅回路26にて増幅されたBS/CS−IF信号を、出力端子T0から出力するように構成されている。
【0060】
なお、コンバータ20の出力端子T0と増幅回路26との間の経路上には、電源挿入器12を介して電源装置14から供給された電源電圧(DC15V)を取り出し、増幅回路22、26や局部発振器23等の電源供給が必要な内部回路に供給する電源分離フィルタ27が設けられている。
【0061】
一方、送信装置30は、コンバータ20から出力されたBS/CS−IF信号を入力するための入力端子T1と、この入力端子T1にBS/CS−IF信号と共に供給された電源電圧(DC15V)を取り出し、内部回路に供給する電源分離フィルタ31と、電源分離フィルタ31を通過したBS/CS−IF信号の信号レベルを高周波側ほど信号レベルが高くなるように(換言すれば所謂チルト特性となるように)調整するイコライザ(EQ)32と、イコライザ32でレベル調整されたBS/CS−IF信号を増幅する増幅回路33とを備える。
【0062】
また、送信装置30には、電圧制御型の可変発振器(以下、VCOという)35が備えられており、このVCO35から出力される高周波信号の周波数を逓倍回路36にて所定逓倍することにより、BS/CS−IF信号をミリ波帯にアップコンバートするのに必要な所定周波数f2(例えば59.0GHz)の送信側局発信号を生成するようにされている。
【0063】
そして、この生成された送信側局発信号は、増幅回路33から出力されるBS/CS−IF信号と共に、送信側の周波数変換手段としてのミキサ37に入力され、このミキサ37にて、これら各信号が混合されることにより、BS/CS−IF信号がミリ波帯(例えば60GHz帯)の信号にアップコンバートされる。
【0064】
また、アップコンバートされたミリ波帯の信号(BS/CS−IF)は、その信号のみを選択的に通過させるBPF38を介して、ミリ波帯用の増幅回路39に入力され、この増幅回路39にてさらに増幅された後、送信アンテナ40から受信装置50に向けて再送信される。
【0065】
また、送信装置30には、送信側局発信号の周波数f2を一定にするために、VCO35から出力される高周波信号を取り込み、この高周波信号と、送信装置30に内蔵された基準発振器42から出力された一定周波数f0の基準信号との位相を比較して、各信号の位相が一致するようにVCO35の発振周波数を制御するPLL回路44が設けられている。
【0066】
またさらに、送信装置30には、基準発振器42が発生した基準信号を伝送線L1に出力するための出力端子T2が設けられており、この出力端子T2から出力された基準信号は、上述したように、伝送線L1、電源挿入器12、伝送線L9、混合器15、伝送線L3、増幅器8、伝送線L5、分配器9、伝送線L6、直列ユニット10を介して、各部屋まで伝送され、さらに、各部屋に設けられた分波器16、伝送線L8、混合器19、伝送線L2を介して、各部屋の受信装置50に伝送される。
【0067】
なお、このように、送信装置30から受信装置50に基準信号をそのまま伝送するために、共同受信システムの伝送線(同軸ケーブル)を利用して形成される伝送路は、本発明の第2伝送路に相当する。また、送信装置30に設けられた基準発振器42は、本発明の基準信号発生手段に相当し、VCO35、PLL44、及び逓倍回路36は、本発明の送信側の局発信号生成手段に相当する。
【0068】
次に、図3は、受信装置50の構成を表すブロック図である。
図3に示すように、受信装置50は、受信アンテナ51からの受信信号(ミリ波帯)を増幅するミリ波帯用の増幅回路52と、この増幅回路52で増幅された受信信号を周波数変換(ダウンコンバート)するためのミキサ54と、VCO56と、このVCO56から出力される高周波信号の周波数を所定逓倍することにより、ミキサ54にて受信信号をダウンコンバートするのに必要な受信側局発信号を生成する逓倍回路58とが備えられている。
【0069】
なお、この逓倍回路58は、送信装置30側の逓倍回路36と同一構成にされており、VCO56から逓倍回路58に入力される高周波信号は、後述するPLL回路68の動作によって、送信装置30側の逓倍回路36に入力される高周波信号と同一周波数に制御されている。
【0070】
この結果、受信側の周波数変換手段としてのミキサ54に入力される受信側局発信号の周波数は、送信側局発信号と同一周波数f2(例えば59.0GHz)となり、送信装置30から送信されたミリ波帯のBS/CS−IF信号は、ミキサ54にて、送信装置30側でアップコンバートされる前の元のBS/CS−IF信号にダウンコンバートされることになる。
【0071】
次に、ミキサ54にてダウンコンバートされた受信信号は、ダウンコンバート後のBS/CS−IF信号のみを選択的に通過させるBPF60を介して、増幅回路61に出力され、この増幅回路61にて所定レベルまで増幅された後、イコライザ62に入力される。
【0072】
そして、このイコライザ62に入力されたBS/CS−IF信号は、イコライザ62にて、帯域内の信号レベルがチルト特性となるようにレベル調整された後、BS/CS−IF信号を通過させ、BS/CS−IF信号よりも低周波の信号の通過を阻止するハイパスフィルタ(以下、HPFという)63を介して、出力端子T3まで伝送され、出力端子T3から各部屋のBS/CSチューナ18(若しくはBS/CS受信装置)へと出力される。
【0073】
また、出力端子T3には、BS/CSチューナ18から供給される電源電圧(DC15V)や、送信装置30から共同受信システムの伝送路を介して伝送されてくる基準信号が入力されることから、HPF63と出力端子T3との間の経路上には、電源電圧(DC15V)を取り出し、受信装置50の内部回路に電源を供給する電源分離フィルタ64が設けられ、さらに、この電源分離フィルタ64とHPF63との間の信号経路には、伝送線L2から出力端子T3に入力された基準信号を選択的に取り出し、BS/CS−IF信号の通過を阻止するローパスフィルタ(以下、LPFという)66が設けられている。そして、このLPF66にて抽出された基準信号は、PLL回路68に入力される。
【0074】
PLL回路68は、送信装置30側のPLL回路44と同様、VCO56から出力される高周波信号を取り込み、この高周波信号と、LPF66を介して入力された基準信号との位相を比較して、各信号の位相が一致するようにVCO56の発振周波数を制御するものである。
【0075】
そして、PLL回路68がVCO56の発振周波数を制御するのに用いる基準信号は、送信装置30側で生成された基準信号であるため、VCO56の発振周波数は、送信装置30側のVCO35と同一周波数となり、さらに、逓倍回路58は送信装置30側の逓倍回路36と同一構成であるため、逓倍回路58から出力される受信側局発信号の周波数は、送信側局発信号の周波数と完全に一致することになる。
【0076】
また、本実施例では、送信側局発信号及び受信側局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分についても一致させるために、受信装置50側のVCO56及びPLL回路68の周波数特性を調整することによって、送信装置30及び受信装置50に設けられたVCO35、56が発生する高周波信号に含まれる位相雑音の周波数成分を一致させている。
【0077】
以上説明したように、本実施例のミリ波帯送受信システムにおいては、送信装置30においてアップコンバート用の局発信号(送信側局発信号)を生成するのに用いた基準信号を、共同受信システムの伝送路を介して、各受信装置50に伝送し、各受信装置50では、その伝送されてきた基準信号を用いて、ダウンコンバート用の局発信号(受信側局発信号)を生成するように構成されている。
【0078】
したがって、本実施例のミリ波帯送受信システムによれば、送信側局発信号の周波数と受信側局発信号の周波数とを一致させることができ、受信装置50側では、送信装置30から送信されてきた受信信号から、送信装置30側でアップコンバートされる前のBS/CS−IF信号(つまりBS/CSアンテナ2のコンバータ20から出力されたBS/CS−IF信号)を正確に復元できる。
【0079】
このため、本実施例のミリ波帯送受信システムによれば、BS/CS−IF信号をミリ波帯で再送信しているにもかかわらず、各部屋に設けられたBS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置に対して、BS/CSアンテナ2のコンバータ20の出力とほぼ同じBS/CS−IF信号を配信することができ、各部屋ではBS/CS放送を良好に視聴することができるようになる。
【0080】
つまり、本実施例の送信装置30は、BS/CSアンテナ2のコンバータ20にて周波数f1の局発信号を用いてダウンコンバートされたBS/CS−IF信号を、ミリ波帯にアップコンバートして、受信装置50に無線送信するため、その送信信号は、正規の周波数に対して、コンバータ20内の局部発振器23の周波数変動△f1と、送信側局発信号の周波数変動△f2とを加えた周波数(△f1+△f2)だけ変動することになる。
【0081】
また、受信装置50は、受信アンテナ51からの受信信号をダウンコンバートすることによりBS/CS−IF信号を復元するため、復元されたBS/CS−IF信号は、上記周波数変動(△f1+△f2)に受信側局発信号の周波数変動△f3を加えた周波数(△f=(△f1+△f2+△f3)だけ変動することになる。
【0082】
これに対して、BS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置は、BS/CSアンテナ2から出力されるBS/CS−IF信号を受けて所望チャンネルのBS/CS放送を選局することを前提として設計されているため、BS/CSアンテナ2内の局部発振器23の発振周波数f1が変動しても、その変動分△f1が予め規定されている許容範囲内であれば、BS/CS放送を問題なく選局することができるが、送信装置30側でのアップコンバート及び受信装置50側でのダウンコンバートによって生じる周波数変動(△f2、△f3)がBS/CS−IF信号に加えられると、BS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置側でBS/CS放送を正常に選局・復元することができなくなってしまう。
【0083】
しかし、本実施例では、送信側局発信号及び受信側局発信号を共通の基準信号を用いて生成するようにしているので、その基準信号の周波数変動によって送信側局発信号及び受信側局発信号の周波数が変動したとしても、その変動量を一致させることができることから、受信装置50から各部屋に設置されたBS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置には、BS/CSアンテナ2のコンバータ20の出力とほぼ同じ(換言すれば周波数変動が許容範囲内の)BS/CS−IF信号を配信することができ、各部屋ではBS/CS放送を良好に視聴できるようになるのである。
【0084】
またさらに、本実施例では、受信装置50側のVCO56及びPLL回路68の周波数特性を調整することによって、送信装置30及び受信装置50に設けられたVCO35、56が発生する高周波信号に含まれる位相雑音の周波数成分を一致させ、しかも、送信装置30側の逓倍回路36と受信装置50側の逓倍回路58を同一構成にしていることから、送信側局発信号及び受信側局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分についても一致させることができる。
【0085】
このため、送信装置30側でのアップコンバートによってBS/CS−IF信号に重畳された位相雑音成分を、受信装置50側でのダウンコンバートによって打ち消すことができ、各部屋の受信装置50から、BS/CSチューナ18等のBS/CS受信装置には、位相雑音の少ない高品質なBS/CS−IF信号を配信することが可能となる。よって、各部屋ではBS/CS放送を単に視聴できるだけでなく、ノイズのない綺麗な画像及び音声を再生できることになる。
【0086】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、送信装置30から受信装置50には、基準信号を既存の共同受信システムの伝送路を介して送信するものとして説明したが、本発明のミリ波帯送受信システムが設置される場所に基準信号を有線で伝送可能な伝送路がない場合には、送信装置30及び受信装置50に基準信号送信用の送信アンテナ及び受信アンテナをそれぞれ設け、各装置30、50間で基準信号を無線にて送受信するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施例では、送信装置30から受信装置50には、送信装置30側の基準発振器42が発生した基準信号を、共同受信システムの伝送線(同軸ケーブル)を利用して形成される伝送路(第2伝送路)を介して、そのまま送信するようにしたが、例えば、送信装置50側には、図4(a)に示すように、基準信号が発生した周波数f0(例えば10MHz)の基準信号を周波数逓倍することにより共同受信システムの伝送線を介して伝送可能な周波数f4(例えば190MHz)のパイロット信号(PILOT)を生成するパイロット信号生成回路46を設けて、このパイロット信号生成回路46で生成されたパイロット信号(PILOT)を出力端子T2から出力するようにし、受信装置50側には、図4(b)に示すようにLPF66で抽出された周波数f4のパイロット信号(PILOT)から周波数f0の基準信号を復元する基準信号生成回路70を設け、この基準信号生成回路70で生成した基準信号をPLL回路68に入力するようにしてもよい。
【0088】
つまり、このようにしても、受信装置50側では、送信装置30と同じ周波数f0の基準信号を用いて受信側局発信号を生成することができるようになり、上記実施例と同様の効果を得ることができる。なお、図4に示したパイロット信号生成回路46は、本発明のパイロット信号生成手段に相当し、同じく、基準信号生成回路70は、本発明の基準信号生成手段に相当する。
【0089】
また、このように送信装置30及び受信装置50にパイロット信号生成回路46及び基準信号生成回路70を設ける場合、パイロット信号生成回路46では、周波数の和又は差が基準信号の周波数となる複数のパイロット信号を生成し、基準信号生成回路70では、その複数のパイロット信号を用いて送信装置30側と同じ基準信号を生成するようにしてもよい。
【0093】
またさらに、上記実施例では、BS/CSアンテナ2から出力されるBS/CS−IF信号をミリ波帯に変換して再送信するシステムについて説明したが、本発明は、所望の伝送信号をミリ波帯にアップコンバートして無線送信するシステムであれば、どのようなシステムであっても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のミリ波帯送受信システム全体の構成を表す構成図である。
【図2】 BS/CSアンテナのコンバータ及び送信装置の構成を表すブロック図である。
【図3】 受信装置の構成を表すブロック図である。
【図4】 第2伝送路を介してパイロット信号を送受信するようにした送信装置及び受信装置の構成例を表すブロック図である。
【符号の説明】
2…BS/CSアンテナ、8…増幅器、9…分配器、10…直列ユニット、12…電源挿入器、14…電源装置、15…混合器、16…分波器、18…BS/CSチューナ、19…混合器、L1〜L9…伝送線、20…コンバータ、30…送信装置、35…VCO、36…逓倍回路、37…ミキサ、40…送信アンテナ、42…基準発振器、44…PLL回路、46…パイロット信号生成回路、50…受信装置、51…受信アンテナ、54…ミキサ、56…VCO、58…逓倍回路、68…PLL回路、70…基準信号生成回路。
Claims (10)
- 送信すべき伝送信号を送信側局発信号を用いてミリ波帯へアップコンバートし、該アップコンバート後の信号を送信アンテナから放射する送信装置と、
前記送信アンテナからの送信電波を受信アンテナにて受信し、該受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、前記伝送信号を復元する受信装置と、
を備えたミリ波帯送受信システムであって、
前記送信装置は、前記送信アンテナと受信アンテナとで形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能な一定周波数の基準信号に基づき前記送信側局発信号を生成すると共に、該基準信号を前記伝送線を介して前記受信装置に送信し、
前記受信装置は、前記伝送線を介して伝送されてきた基準信号に基づき前記送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成することを特徴とするミリ波帯送受信システム。 - 送信すべき伝送信号を送信側局発信号を用いてミリ波帯へアップコンバートし、該アップコンバート後の信号を送信アンテナから放射する送信装置と、
前記送信アンテナからの送信電波を受信アンテナにて受信し、該受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、前記伝送信号を復元する受信装置と、
を備えたミリ波帯送受信システムであって、
前記送信装置は、一定周波数の基準信号に基づき前記送信側局発信号を生成すると共に、前記送信アンテナと受信アンテナとで形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能で前記基準信号と一定の周波数関係にある1又は複数のパイロット信号を前記伝送線を介して前記受信装置に送信し、
前記受信装置は、前記伝送線を介して伝送されてきた1又は複数のパイロット信号から前記一定周波数の基準信号を生成し、該生成した基準信号に基づき前記送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成することを特徴とするミリ波帯送受信システム。 - 前記第2伝送路を構成する伝送線は、地上局のテレビ放送信号を伝送するために既存の共同受信システムに配線された伝送線であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミリ波帯送受信システム。
- 前記送信装置及び前記受信装置は、それぞれ、前記基準信号に基づき発振器の発振周波数を制御するPLL回路を用いて、前記各局発信号を生成することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれか記載のミリ波帯送受信システム。
- 前記送信装置及び前記受信装置において前記各局発信号を生成するのに用いられる発振器及びPLL回路は、生成した局発信号に含まれる位相雑音の周波数成分がほぼ一致するように構成されていることを特徴とする請求項4記載のミリ波帯送受信システム。
- 前記送信装置がアップコンバートする伝送信号は、衛星受信アンテナにて受信及びダウンコンバートされた衛星放送の中間周波信号であり、
前記受信装置は、ダウンコンバート後の伝送信号である衛星放送の中間周波信号を、衛星放送受信機に出力することを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか記載のミリ波帯送受信システム。 - 送信すべき伝送信号を送信側局発信号を用いてミリ波帯へアップコンバートし、該アップコンバート後の伝送信号を送信アンテナから受信装置へ無線送信する送信装置であって、
前記送信アンテナにて形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能な一定周波数の基準信号を発生すると共に、該基準信号を前記伝送線を介して前記受信装置へ送信する基準信号発生手段と、
該基準信号発生手段が発生した基準信号に基づき前記送信側局発信号を生成する送信側の局発信号生成手段と、
該送信側の局発信号生成手段にて生成された送信側局発信号を用いて前記伝送信号をミリ波帯へアップコンバートして、前記送信アンテナへ出力する送信側の周波数変換手段と、
を備えたことを特徴とする送信装置。 - 請求項7に記載の送信装置から送信されたミリ波帯の送信電波を受信アンテナにて受信し、該受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、前記送信装置がミリ波帯にアップコンバートする前の伝送信号を復元する受信装置であって、
前記送信装置から前記伝送線を介して送信されてきた基準信号に基づき前記送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成する受信側の局発信号生成手段と、
該受信側の局発信号生成手段にて生成された受信側局発信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートすることにより、前記伝送信号を復元する受信側の周波数変換手段と、
を備えたことを特徴とする受信装置。 - 送信すべき伝送信号を送信側局発信号を用いてミリ波帯へアップコンバートし、該アップコンバート後の伝送信号を送信アンテナから受信装置へ無線送信する送信装置であって、
一定周波数の基準信号を発生する基準信号発生手段と、
前記送信アンテナにて形成される無線伝送路とは異なる第2伝送路を構成する伝送線を介して伝送可能で、前記基準信号と一定の周波数関係にある1又は複数のパイロット信号を生成すると共に、該生成したパイロット信号を前記伝送線を介して前記受信装置へ送信するパイロット信号生成手段と、
該基準信号発生手段が発生した基準信号に基づき前記送信側局発信号を生成する送信側の局発信号生成手段と、
該送信側の局発信号生成手段にて生成された送信側局発信号を用いて前記伝送信号をミリ波帯へアップコンバートして、前記送信アンテナへ出力する送信側の周波数変換手段と、
を備えたことを特徴とする送信装置。 - 請求項9に記載の送信装置から送信されたミリ波帯の送信電波を受信アンテナにて受信し、該受信信号を受信側局発信号を用いてダウンコンバートすることにより、前記送信装置がミリ波帯にアップコンバートする前の伝送信号を復元する受信装置であって、
前記送信装置から前記伝送線を介して送信されてきたパイロット信号に基づき前記送信装置と同じ一定周波数の基準信号を生成する基準信号生成手段と、
該基準信号生成手段にて生成された基準信号に基づき前記送信側局発信号と同一周波数の受信側局発信号を生成する受信側の局発信号生成手段と、
該受信側の局発信号生成手段にて生成された受信側局発信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートすることにより、前記伝送信号を復元する受信側の周波数変換手段と、
を備えたことを特徴とする受信装置。
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