JP2009094798A - マイクロメカニカル共振器 - Google Patents

マイクロメカニカル共振器 Download PDF

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Abstract

【課題】特性ばらつきが抑制され、性能が改善されたマイクロメカニカル共振器を提供する。
【解決手段】マイクロメカニカル共振器100は、基板2と、フレーム部4と、電極6とを備える。フレーム部4は、基板2上に設けられる第1、第2の端部10,12と、第1、第2の端部10,12の間で振動可能に支持される共振ビーム14とを有する。電極8は、基板2上に支持され、共振ビーム14の両端部の間に位置する部分に対向して共振ビーム14に対して静電気力を及ぼす。電極8の共振ビーム14に対向する第1の面には凹凸が形成される。好ましくは、共振ビーム14の電極8に対向する第2の面には凹凸が形成される。
【選択図】図1

Description

この発明は、マイクロメカニカル共振器に関し、特に、共振ビームと電極とを有するマイクロメカニカル共振器に関する。
近年、半導体分野における微細加工技術を利用して、微細な機械構造を電子回路と一体化して形成するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術が開発されており、フィルターや共振器への応用が検討されている。
なかでもこのようなMEMS技術で作成されたマイクロメカニカル共振器は、リモートキーレスエントリシステム、スペクトラム拡散通信等のRF無線に好適に使用される。
このようなMEMS技術で作成されたマイクロメカニカル共振器を利用した信号を生成するための装置および方法の一例が特表2003−532320号公報(特許文献1)に開示されている。
特表2003−532320号公報
たとえば、無線システム等では数百MHzを超える高い発振周波数を使用することがある。このとき、たとえば600MHzの周波数を得るために、200MHzの原発振器の出力を3逓倍して用いることもできる。しかし、逓倍時には、スプリアスが発生する。マイクロメカニカル共振器では、高い周波数を得るために共振器が発振する周波数を逓倍して使用するのではなく、必要とする周波数を直接発振することも可能となる。したがって、マイクロメカニカル共振器は、低位相ノイズが必要とされる製品に使用されることが期待されている。
しかしながら、近年の携帯機器等への適用を考えると、マイクロメカニカル共振器も低消費電力や高S/N比等の性能を一層改善していく必要がある。また、製造特性のばらつきも抑制されることが好ましい。
この発明の目的は、特性ばらつきが抑制され、性能が改善されたマイクロメカニカル共振器を提供することである。
この発明は、要約すると、マイクロメカニカル共振器であって、基板と、基板上に設けられる第1、第2の端部と、第1、第2の端部の間で振動可能に支持される共振ビームとを有するフレーム部と、基板上に支持され、共振ビームの両端部の間に位置する部分に対向して共振ビームに対して静電気力を及ぼすための電極とを備える。電極と共振ビームとが対向する部分において、電極と共振ビームのいずれか一方の面である第1の面には凹凸が形成される。
好ましくは、電極と共振ビームとが対向する部分において、電極と共振ビームのいずれか他方の面であって、前記第1の面に対向する第2の面には凹凸が形成される。
より好ましくは、第1の面の凸部は、第2の面の凸部に対向する位置に設けられる。
好ましくは、第1の面の凸部の面積の総和は、第1の面の凹部の面積の総和よりも大きい。
好ましくは、電極は、共振ビームの一方側に配置される。マイクロメカニカル共振器は、共振ビームの他方側に配置される他の電極をさらに備える。他の電極と共振ビームとが対向する部分において、他の電極と共振ビームのいずれか一方の面である第3の面には凹凸が形成される。
より好ましくは、他の電極と共振ビームとが対向する部分において、他の電極と共振ビームのいずれか他方の面であって、第3の面に対向する第4の面には凹凸が形成される。
本発明によれば、マイクロメカニカル共振器の特性ばらつきが改善されるとともに、低消費電力化、高S/N比を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下において、同一または相当要素には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態に係るMEMS共振器の構造を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係るMEMS共振器の構造を示す平面図である。
図1、図2を参照して、マイクロメカニカル共振器100は、高誘電体基板2と、フレーム部4と、電極6,8とを備える。高誘電体基板2は、たとえば、ガラス基板が好適に用いられるが、他にガリウム砒素基板、セラミックス基板等も使用することが可能である。フレーム部4は、高誘電体基板2上に設けられる第1、第2の端部10,12と、第1、第2の端部10,12の間で振動可能に支持される共振ビーム14とを有する。電極6は、共振ビーム14の第1、第2の端部10,12の間に位置する部分に対向し共振ビーム14に対して静電気力を及ぼすための対向部16,18と、高誘電体基板2上に設けられ対向部16,18を支持する脚部20とを有する。電極8は、共振ビーム14の第1、第2の端部10,12の間に位置する部分に対向し共振ビーム14に対して静電気力を及ぼすための対向部22と、高誘電体基板2上に設けられ対向部22を支持する脚部24とを有する。フレーム部4および電極6,8は単結晶シリコンで形成される。
MEMS共振器は、単結晶シリコン基板上に犠牲層を介在させてその上に多結晶シリコン(ポリシリコン)層を設け、しかる後に犠牲層をエッチングで除去してポリシリコン層を単結晶シリコン基板から浮かせた構造を形成し、このポリシリコン層を共振ビームにする場合が多い。これに対し、本実施の形態のMEMS共振器は、後に図4以下で詳述するように、SOI(Silicon on Insulator)ウェーハを用いて単結晶シリコンで共振ビームを形成している。
したがって、本実施の形態のMEMS共振器は、結晶欠陥等がないので特性が安定しており、ポリシリコン層を使用するものよりも長時間使用することができる。またポリシリコン層の形成プロセスのばらつきに起因する特性ばらつきも抑制される。さらに、厚さが一般的なポリシリコン層(膜厚2〜4μm程度)よりも厚い構造体を形成することもできる。
図2に示されるように、共振ビーム14には、両端部を含む4つの領域に、他の領域よりも断面積が小さなくびれ部が形成されている。そして、3つの非くびれ部にはギャップを挟んで電極の対向部16,22,18がそれぞれ対向している。電極に交流電圧が印加されると、共振ビームが振動する。くびれ部は、共振ビームの振動のちょうど節となる部分に形成されている。くびれ部が形成されていることにより、共振モードが3次で極大となり、1次の共振周波数よりも高い3次の共振周波数の信号を得やすくなる。つまり、リモートキーレスエントリシステム、スペクトラム拡散通信等のRF無線のような高い周波数を用いる用途に向く共振器を実現することができる。なお、図2では、4つの領域にくびれ部を設け、3つの非くびれ部を有する共振ビームの例を示したが、さらに多くのくびれ部を設けてより高次の共振周波数を狙うようにしても良い。
マイクロメカニカル共振器100は、基板2と、フレーム部4と、電極6とを備える。フレーム部4は、基板2上に設けられる第1、第2の端部10,12と、第1、第2の端部10,12の間で振動可能に支持される共振ビーム14とを有する。電極8は、基板2上に支持され、共振ビーム14の両端部の間に位置する部分に対向して共振ビーム14に対して静電気力を及ぼす。電極8の共振ビーム14に対向する第1の面には凹凸が形成される。
好ましくは、共振ビーム14の電極8に対向する第2の面には凹凸が形成される。
図3は、図2のA部を拡大して示した図である。
図3に示すように、電極8の共振ビーム14に対向する第1の面22Aには、凹部22Cと凸部22Bとが形成される。また、共振ビーム14の電極8に対向する第2の面には、凹部14Cと凸部14Bとが形成される。なお、必ずしも共振ビーム14と電極の両方に凹凸を設ける必要は無く、いずれか片方のみに凹凸を設けた場合であっても良い。
なお、図3は共振ビーム14と電極8を対向する部分を代表して拡大して示したが、共振ビーム14と電極6が対向する図2のB部、C部についても同様な形状であるので、説明は繰返さない。
図4は、図2の平面図のIV−IV断面におけるMEMS共振器の断面図である。
図2、図4を参照して、共振ビーム14の断面形状は、高誘電体基板2と垂直な方向の辺14Yが高誘電体基板2と平行な方向の辺14Xよりも長い長方形である。
共振ビーム14は高誘電体基板2から所定高さH1だけ離れて第1、第2の端部10,12に支持される。電極8の脚部24は、電極8の対向部22を高誘電体基板2から所定高さH1離れるように支持する。電極8の対向部22の高誘電体基板2と垂直方向の厚さH2は、共振ビーム14の厚さH2と等しい。脚部24の共振ビーム14に対向する側の第1の面24Aは、対向部22の共振ビーム14に対向する第2の面22Aよりも共振ビーム14から離れる方向に後退して形成される。高さは、例えばH1=2μm、H2=10μmとすることができる。
図5は、図2の平面図のV−V断面におけるMEMS共振器の断面図である。
図2、図5を参照して、共振ビーム14の断面形状は、やはり、高誘電体基板2と垂直な方向の辺14Yが高誘電体基板2と平行な方向の辺14Xよりも長い長方形である。
共振ビーム14は高誘電体基板2から所定高さH1だけ離れて第1、第2の端部10,12に支持される。電極6の脚部20は、電極6の対向部18を高誘電体基板2から所定高さH1離れるように支持する。電極6の対向部18の高誘電体基板2と垂直方向の厚さH2は、共振ビーム14の厚さH2と等しい。脚部20の共振ビーム14に対向する側の第1の面20Aは、対向部18の共振ビーム14に対向する第2の面18Aよりも共振ビーム14から離れる方向に後退して形成される。
図4、図5で示したように切込量αを設けることにより、共振ビーム14は、他の方向の振動よりも高誘電体基板2に平行な面内方向の振動が強くなるので、高Q値化が可能である。
図6は、本実施の形態のマイクロメカニカル共振器の製造方法を示したフローチャートである。
図6を参照して、まず工程S1において、SOI基板に金属クロム膜を蒸着で500オングストロームの膜厚で形成する。近年電気・電子機器の高性能化や携帯化が進むにつれて、従来の半導体デバイス材料であるバルクウェーハよりも高速、かつ低消費電力が期待できる新技術のウェーハ、すなわちSOI(Silicon On Insulator)ウェーハが入手しやすくなってきている。
続いて、工程S2においてクロム層のパターニングが行なわれる。
図7は、クロム層のパターニング後のSOI基板の平面図である。
図8は、図7のVIII−VIIIでの断面図である。
図8を参照して、基板102は、SOIウェーハであり、第1、第2の単結晶シリコン層104,108の間に絶縁層106が形成されたものである。SOIウェーハは、大きくSIMOX法とはり合わせ法で製造されるものがあるが、いずれの方法によるウェーハでもよい。はり合わせ法で得られるSOIウェーハは、2枚のシリコンウェーハの一方、あるいは、両方を熱酸化により表面に所望の厚みの酸化膜を形成した後にはり合わせて、熱処理によりはり合わせ強度を上げた後、片側から研削と研磨などにより薄膜化を行って、所望の厚みの第2の単結晶シリコン層108を残すものである。以下、第2の単結晶シリコン層108を活性層とも呼ぶ。はり合わせ法は、活性層(第2の単結晶シリコン層108)、絶縁層106の膜厚の自由度が高いという点で、より好ましい。
第1、第2の単結晶シリコン層104,108、絶縁層106の厚さは、たとえば、それぞれ350μm、12μm、1μmである。
単結晶シリコン層108上に、クロム層110が500オングストロームの膜厚で形成された後、レジストを用いたフォトリソグラフィによってクロムパターン110A、110Bが形成される。クロムパターン110A、110Bは、図2の電極6,8の脚部20,24にそれぞれ対応する領域に形成されている。その他にも、図6に示されるようにクロムパターン110C、110Dが同時に形成される。クロムパターン110C、110Dは、図2のフレーム部4の端部10,12にそれぞれ対応する領域に形成される。
再び図6を参照して、工程S3で金属アルミニウム層が膜厚1000オングストローム蒸着により形成され、さらに工程S4においてアルミニウム層のパターニングが行なわれる。
図9は、アルミニウム層のパターニング後のSOI基板の平面図である。
図10は、図9のX−Xでの断面図である。
図9、図10を参照して、パターニング後のクロムパターン110A,110B等の上にさらに金属アルミニウム層112が1000オングストロームの膜厚で形成された後、レジストを用いたフォトリソグラフィによってアルミニウムパターン112A,112B,112Cが形成される。アルミニウムパターン112Aは、図2の電極8の脚部24および対向部22に対応する領域に形成されている。アルミニウムパターン112Cは、図2の電極6の脚部20および対向部16,18に対応する領域に形成されている。アルミニウムパターン112Bは、図2の共振ビーム14に対応する領域に形成されている。
その他にも、図9に示されるようにアルミニウムパターン112D、112Eが同時に形成される。アルミニウムパターン112D、112Eは、図2のフレーム部4の端部10,12にそれぞれ対応する領域に形成される。
再び図6を参照して、工程S4のアルミニウム層のパターニングの後には、工程S5においてアルミニウム層をマスクとして、シリコン深掘エッチングが行なわれる。
図11は、工程S5のシリコン深掘エッチング工程後の断面図である。
図11を参照して、アルミニウムパターンが存在していない部分では、活性層108が絶縁層106に到達するまで、たとえば、誘導結合型反応性イオンエッチング(ICP−RIE:Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)等による異方性ドライエッチングによって深掘される。エッチング深さは、活性層の厚さに等しく、たとえば12μmである。
その後図6の工程S6において深掘エッチングのマスクとして使用していたアルミニウムパターンを除去する。そして、残るクロムパターンをマスクとして、シリコン浅掘エッチングが行なわれる。
図12は、工程S7のシリコン浅掘エッチング工程後の断面図である。
図12を参照して、異方性ドライエッチングによってクロムパターンが存在していない部分では、活性層の表面がエッチングされる。このエッチング深さは、たとえば2μmであり、図11で示した深掘エッチングよりも浅い。これにより、電極となる単結晶シリコン層108A,108Cの表面には段差が形成される。また、共振ビームとなる単結晶シリコン層108Bは、表面がエッチングされる。これにより、共振ビームは、後に表面部分に接着されるガラス等の高誘電体基板からわずかに浮いて支持され、また電極の対向部と共振ビームとは厚さが等しくなる。
その後図6の工程S8においてマスクとして使用していたクロムパターンを除去する。そして、工程S9において活性層の表面にガラス基板等の高誘電体基板を接合する。
図13は、工程S9のガラス基板接合後の状態を示した断面図である。
図13においては、図8,図10,図11,図12とは上下が逆転して示されている。高誘電体基板114は、ガラス基板が好適に用いられるが、他の高誘電体であっても良い。たとえば、ガリウム砒素基板、セラミック基板等を用いることも可能である。
高誘電体基板114の表面は平坦であるので、図11において活性層の表面に形成された段差の凸部のみが高誘電体基板と接合される。接合は、たとえば、ガラスとシリコンとを加熱して高電圧を印加する陽極接合等を用いることができる。
さらに、図6の工程S10のシリコンバックエッチングによって、単結晶シリコン層104と絶縁層106とが除去される。
図14は、工程S10のシリコンバックエッチング後の状態を示した断面図である。
図14において、高誘電体基板114上に単結晶シリコンで形成された共振器が完成した状態が示される。単結晶シリコン層108Cは、図2の電極8の脚部24と対向部22が一体化されたものである。また、単結晶シリコン層108Aは、図2の電極6の脚部20と対向部18が一体化されたものである。また、単結晶シリコン層108Bは、図2の端部10,12に支持されている共振ビーム14である。
再び図6を参照して、本実施の形態のMEMS共振器の製造方法についてまとめておく。このマイクロメカニカル共振器の製造方法は、第1、第2の単結晶シリコン層104,108の間に絶縁層106が形成されたSOI基板102の第2の単結晶シリコン層108上に第1のマスキングパターンであるクロムパターン110A,110Bを形成する工程S1,S2と、第1のマスキングパターンの形成後に第2のマスキングパターンであるアルミニウムパターン112A,112B,112Cをさらに形成する工程S3,S4と、第2のマスキングパターンによりマスキングされた領域以外における第2の単結晶シリコン層を絶縁層まで深掘エッチングする工程S5と、第2のマスキングパターン除去後に第1のマスキングパターンによりマスキングされた領域以外の第2の単結晶シリコン層を絶縁層にいたる途中まで浅掘エッチングする工程S7と、第1のマスキングパターン除去後に第1のマスキングパターン(クロムパターン110A,110B)でマスキングされていた第2の単結晶シリコン層108の表面部に高誘電体基板114を貼り付ける工程S9と、高誘電体基板114貼り付け後に第1の単結晶シリコン層104および絶縁層106を除去する工程S10とを含む。
好ましくは、第2の単結晶シリコン層108により、共振ビーム14および電極6,8が形成される。高誘電体基板2は、共振ビーム14および電極6,8を支持する。
図15は、本実施の形態のMEMS共振器の動作を説明するための図である。
図15を参照して、2つの電極6,8には高周波電源から交流電圧VIが印加される。端部12にはコイルLを介して主電圧電源から主電圧VPが印加される。すると、共振ビーム14と電極6,8との間に交番静電気力が発生し、その静電気力によって共振ビーム14が高誘電体基板の表面と平行な面内で振動する。この共振ビーム14の面内振動により、共振ビームと両電極との間の静電容量が変化し、端部10およびキャパシタCを経由して、一方端が接地された抵抗Rの他方端からその静電容量の変化が高周波信号VOとして出力される。
ここで、共振ビームと電極とが対向する面に凹凸を設ける効果について説明する。第1には、共振ビームが振動しやすくなり、低消費電力化が実現できるということである。
その第1の理由は、凹凸を設けることにより共振ビームと電極との間のギャップにおける空気の流通が良くなることである。すなわち、共振ビームが振動すると、対向する電極との間で空気の収縮と膨張が繰り返し生じる。対応する面同士が鏡面のように平坦で、かつ対向する面積が広いと空気の流通が悪いので振動する際の抗力となり、振動の減衰(ダンピング)の原因となる。これに対し、細かい凹凸を設けることによりギャップにおける空気の流通が改善されると、抗力が減少し、振動のダンピングが抑えられ、駆動電力が小さくても発振させることが可能となる。
第2の理由は、凸部の端部効果(fringe effect)により、駆動力が増大するからである。電極の端部では、電気力線の分布が電極の中央部と異なることが知られている。図3の凸部22Bの各々を小さな電極と考えると、凸部の振動ビームに対向する面以外にも、凹部の内面からも電気力線が振動ビームに向かう。したがって、細かな凹凸を設けるほうが電極の対向部22から共振ビーム14に向かう電気力線の本数が増えることになる。電気力線の本数が多いほど振動の駆動力である静電力は増加するので、凹凸を設けることにより駆動力が増大する。
第2の効果は、共振器の出力信号のS/N比が良くなることである。これも、端部効果によるものであり、電極と共振ビーム間のギャップ部分の静電容量が増加するからである。
図16は、平行平板コンデンサのモデルを示した図である。
図17は、図16のモデルにおいて端部効果を考慮した場合の静電容量Cの増大率を示した図である。
図16,図17を参照して、端部効果を考慮しない場合の静電容量を1とし、電極の半径をR、電極間の距離をdとすると、d/R=0.2,0.1,0.05,0.02,0.01において、静電容量Cの増大率はそれぞれ1.286,1.167,1.094,1.042,1.023である(出典:飯田修一監訳、バークレー物理学コース2「電磁気学上」(丸善(株))(昭和45年)119ページ)。
すなわち、ギャップの距離が等しければ、電極の面積が小さいほど端部効果が大きくなり、d/R=0.2では静電容量Cの増大率は1.286になる。つまり、電極の先端部分を小さな面積に細かく区切れば端部効果により、静電容量Cは増大する。
図15で説明したように、共振ビーム14の面内振動により、共振ビームと両電極との間の静電容量Cが変化し、その静電容量Cの変化が、端部10から高周波信号VOとして出力される。したがって、静電容量Cが大きければ、静電容量Cの変化の幅も大きくなり、同じ入力VIに対して凹凸を設けた電極の方が強い信号を出力する。このため、共振器出力のS/N比が改善される。
第3の効果は、精度良く製造することが可能となり、特性ばらつきが小さくなるということである。これは、図6の工程S5および図11で示した深掘エッチング時のマイクロローディング効果の影響を受けにくくなるという理由である。マイクロローディング効果とは、ドライエッチング時に、狭ギャップで対向長が長い部分には、エッチングガスが入りにくくなることである。共振ビームと電極とが対向する部分は、たとえばギャップが1.5μmで、対向長が150μmにも達する。このため、ギャップの中央部分にはマイクロローディング効果によりエッチングガスが入りにくく、精度良くギャップを形成することが難しい。
電極と共振ビームとが対向する部分の電極側または共振ビーム側のいずれか一方またはその両方に凹凸を設けることにより、エッチングガスが入りやすくなり、精度良くギャップが形成できるようになる。このため製造も容易となると共に、寸法ばらつきが小さくなることにより特性も改善される。
[変形例]
図18は、電極と共振ビームの対向部分の形状の第1の変形例を示した図である。
図18の例では、共振ビーム214の凸部が電極222の凹部に対向するように配置されている。凸部の先端は、いずれも四角形の形状である。言い換えると、凸部が互い違いに配置されるように電極と共振ビームとが対向している。
図19は、電極と共振ビームの対向部分の形状の第2の変形例を示した図である。
図19の例では、共振ビーム324の凸部が電極322の凸部に対向するように配置されている。凸部の先端は、尖っておりいずれも三角形の形状である。言い換えると、平面図で先端が尖っている凸部同士が対向するように、電極と共振ビームに凸部が形成されている。
図20は、電極と共振ビームの対向部分の形状の第3の変形例を示した図である。
図20の例では、共振ビーム424の凸部が電極422の凸部に対向するように配置されている。共振ビーム424凸部の先端は、尖っており三角形の形状である。また、電極422の凸部の先端は、四角形の形状である。言い換えると、平面図で先端が尖っている凸部と四角形状の凸部とが対向するように、電極と共振ビームに凸部が形成されている。
以上のような変形例でも、図3に示した場合と同様な効果が期待できる。なお、図3の実施の形態および図18〜図20変形例では、いずれも共振ビームと電極の両方に凹凸が形成された形状を例示したが、共振ビームまたは電極のいずれか一方のみに凹凸を形成しても一定の効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、凹凸を設けることにより共振ビームと電極との間のギャップにおける空気の流通が良くなるので、振動のダンピングが抑えられ、駆動電力が小さくても発振させることが可能となる。
また、細かな凹凸を設けることにより、電極の対向部22から共振ビーム14に向かう電気力線の本数が増え静電力が増加するので、凹凸を設けることにより駆動力が増大する。
さらに、凹凸の端部効果により電極と共振ビーム間のギャップ部分の静電容量が増加するので、共振器の出力信号のS/N比が良くなる。
深掘エッチング時のマイクロローディング効果の影響を受けにくくなるので、ギャップ部分を精度良く製造でき、共振器の特性ばらつきを小さくすることができる。
なお、本実施の形態では、結晶欠陥がなく特性的に優れる単結晶シリコンで共振ビームと電極を形成した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。シリコン基板上に犠牲層を積層して、その上に多結晶シリコン(ポリシリコン)で共振ビームを形成しその後犠牲層を除去する方法で作成した共振器においても、本実施の形態と同様に電極と共振ビームの対向する部分に電極と共振ビームの少なくとも一方に凹凸を形成すれば、同様な効果を得ることができる。
なお、図2では、4つの領域にくびれ部を設け、3つの非くびれ部を有する共振ビームの例を示したが、さらに多くのくびれ部を設けてより高次の共振周波数を狙うようにしても良い。また、一切くびれ部を設けない共振ビームにした場合でも、電極または共振ビームの対向部に凹凸を設けることによって、同様な効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施の形態に係るMEMS共振器の構造を示す斜視図である。 本実施の形態に係るMEMS共振器の構造を示す平面図である。 図2のA部を拡大して示した図である。 図2の平面図のIV−IV断面におけるMEMS共振器の断面図である。 図2の平面図のV−V断面におけるMEMS共振器の断面図である。 本実施の形態のマイクロメカニカル共振器の製造方法を示したフローチャートである。 クロム層のパターニング後のSOI基板の平面図である。 図7のVIII−VIIIでの断面図である。 アルミニウム層のパターニング後のSOI基板の平面図である。 図9のX−Xでの断面図である。 工程S5のシリコン深掘エッチング工程後の断面図である。 工程S7のシリコン浅掘エッチング工程後の断面図である。 工程S9のガラス基板接合後の状態を示した断面図である。 工程S10のシリコンバックエッチング後の状態を示した断面図である。 本実施の形態のMEMS共振器の動作を説明するための図である。 平行平板コンデンサのモデルを示した図である。 図16のモデルにおいて端部効果を考慮した場合の静電容量Cの増大率を示した図である。 電極と共振ビームの対向部分の形状の第1の変形例を示した図である。 電極と共振ビームの対向部分の形状の第2の変形例を示した図である。 電極と共振ビームの対向部分の形状の第3の変形例を示した図である。
符号の説明
2 高誘電体基板、4 フレーム部、6,8,222,322,422 電極、10,12 端部、14,214,324,424 共振ビーム、14B,22B 凸部、14C,22C 凹部、14Y,14X 辺、16,18,22 対向部、18A,20A,22A,24A 面、20,24 脚部、100 マイクロメカニカル共振器、102 基板、104,108,108A〜108C 単結晶シリコン層、106 絶縁層、110A〜110D クロムパターン、110 クロム層、112A〜112E アルミニウムパターン、112 金属アルミニウム層、114 高誘電体基板。

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられる第1、第2の端部と、前記第1、第2の端部の間で振動可能に支持される共振ビームとを有するフレーム部と、
    前記基板上に支持され、前記共振ビームの前記両端部の間に位置する部分に対向して前記共振ビームに対して静電気力を及ぼすための電極とを備え、
    前記電極と前記共振ビームとが対向する部分において、前記電極と前記共振ビームのいずれか一方の面である第1の面には凹凸が形成される、マイクロメカニカル共振器。
  2. 前記電極と前記共振ビームとが対向する部分において、前記電極と前記共振ビームのいずれか他方の面であって、前記第1の面に対向する第2の面には凹凸が形成される、請求項1に記載のマイクロメカニカル共振器。
  3. 前記第1の面の凸部は、前記第2の面の凸部に対向する位置に設けられる、請求項2に記載のマイクロメカニカル共振器。
  4. 前記第1の面の凸部の面積の総和は、前記第1の面の凹部の面積の総和よりも大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロメカニカル共振器。
  5. 前記電極は、前記共振ビームの一方側に配置され、
    前記共振ビームの他方側に配置される他の電極をさらに備え、
    前記他の電極と前記共振ビームとが対向する部分において、前記他の電極と前記共振ビームのいずれか一方の面である第3の面には凹凸が形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロメカニカル共振器。
  6. 前記他の電極と前記共振ビームとが対向する部分において、前記他の電極と前記共振ビームのいずれか他方の面であって、前記第3の面に対向する第4の面には凹凸が形成される、請求項5に記載のマイクロメカニカル共振器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012029052A (ja) * 2010-07-23 2012-02-09 Ritsumeikan 電極構造要素と振動構造要素を近接して配置する方法およびこれを用いたmemsデバイス
JP2014166610A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> フォノニック導波路とその製造方法
JP2015076721A (ja) * 2013-10-09 2015-04-20 日本電信電話株式会社 メカニカルリング共振器

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