JP2009094525A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温のSPMなどの処理液を用いる場合でも、基板の処理時に生じる廃液を工場の廃液ユーティリティラインなどに排出することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】ウエハWへの処理液の供給時に生じる高濃度廃液は、廃液配管72および高濃度廃液導入管73を通して希釈タンク8に導入され、ウエハWの水洗時に生じる低濃度廃液は、廃液配管72および一般廃液導入管74を通して気液分離タンク9に導入される。希釈タンク8には、高濃度廃液を希釈および冷却するための冷却水が供給されるようになっている。希釈タンク8の底面には、希釈廃液オーバフロー配管83が挿通されている。この希釈廃液オーバフロー配管83の一端は、希釈タンク8内の所定高さの位置で開放されており、廃液オーバフロー配管83の他端は、たとえば、基板処理装置が設置される工場の廃液ユーティリティラインに接続されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板に対して処理液を用いた処理が行われる。たとえば、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置では、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板の表面に処理液を供給する処理液ノズルとが備えられていて、スピンチャックによって基板が回転されつつ、その回転している基板の表面に処理液ノズルから処理液が供給されることにより、基板の表面の全域に処理液が行き渡って、基板の表面に対する処理液を用いた処理が達成される。
基板の表面に供給された処理液は、基板の周縁から飛散または流下して、スピンチャックを収容している有底円筒形状のカップに受け取られる。カップの底面には、カップに受け取られた処理液(廃液)を排出するための廃液配管と、カップ内の雰囲気を排気するための排気配管とが接続されている。廃液配管および排気配管は、カップの下方へと延びて、それぞれの先端がカップの下方に配置された気液分離ボックス内に挿入されている。これにより、カップに受け取られた処理液およびカップ内の雰囲気は、それぞれ廃液配管および排気配管を通して気液分離ボックスに導入される。
図7は、気液分離ボックスの構成を図解的に示す断面図である。気液分離ボックス901は、たとえば、耐熱性PVC(ポリ塩化ビニル)材料を用いて形成されている。気液分離ボックスの底面には、廃液分離配管902が接続されており、廃液配管903を通して気液分離ボックス901に導入される廃液は、廃液分離配管902に流入して排出されるようになっている。
また、気液分離ボックス901の底面には、気液分離ボックス901内の雰囲気を吸引して排出するための排気吸引管904が挿通されている。排気吸引管904の一端は、気液分離ボックス901内の所定高さの位置で開放されており、排気吸引管904の他端は、常時駆動されている負圧源(図示せず)に接続されている。これにより、気液分離ボックス901内は常に負圧に保たれて、カップ内の雰囲気を排気配管905を通して気液分離ボックス901内に吸い込み、さらに気液分離ボックス901から排気吸引管904を通して排気することができる。また、気液分離ボックス901内の雰囲気が常に排気されているから、気液分離ボックス901から廃液分離配管902に排出される処理液の気化物を含む雰囲気が廃液配管903または排気配管905を通ってカップ内に逆流するおそれがない。
特開平9−64009号公報
基板に対する処理液を用いた処理の中には、たとえば、処理液としてSPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水)を用いて、基板の表面から不要となったレジスト膜を剥離する処理がある。このレジスト剥離処理のためのSPMは、硫酸と過酸化水素水とを化学反応させて生成され、この化学反応時に生じる反応熱を利用して150℃まで昇温する。そして、その高温のSPMが基板に供給されることにより、基板の表面のレジスト膜がSPMに含まれるHSOによって酸化されて剥離される。したがって、上記した従来の基板処理装置でレジスト剥離処理を実施した場合、廃液配管903から気液分離ボックス901に高温のSPMが廃液として導入されることになる。
ところが、耐熱性PVC材料の耐熱温度は80℃程度であるため、耐熱性PVC材料を用いて形成されている気液分離ボックス901は、廃液配管903から導入される高温のSPMに耐えることができない。よって、従来の基板処理装置の構成では、高温のSPMを用いたレジスト剥離処理を行って、その処理時に生じる廃液(高温のSPM)を排出することはできない。
そこで、気液分離ボックス901の材質を、耐熱性および対薬液性に優れたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などに変更することが考えられる。しかしながら、耐熱性PVCからPTFEへの材質変更は、装置のイニシャルコストの増大を招いてしまう。また、気液分離ボックス901の材質をPTFEに変更しても、気液分離ボックス901に導入される高温のSPMをそのまま、廃液分離配管902を通して、基板処理装置が設置される工場の廃液ユーティリティラインに排出することはできない。そのため、廃液分離配管902を流れてくる高温のSPMを希釈および冷却するためのアスピレータユニットを追加して設ける必要があり、装置のイニシャルコストがさらに増大するだけでなく、装置のフットプリントが増大するという問題も生じる。
そこで、この発明の目的は、高温のSPMなどの処理液を用いる場合でも、基板の処理時に生じる廃液を工場の廃液ユーティリティラインなどに排出することができる基板処理装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)に対して処理液を用いた処理を行うための処理室(1)と、一定液位まで液体を貯留することができ、上記処理室から排出される高濃度廃液およびその高濃度廃液を希釈するための希釈用液が導入される希釈容器(8)と、廃棄されるべき処理液が流通する廃液ユーティリティラインに接続され、この希釈容器から上記一定液位を超えて溢れる液体を上記廃液ユーティリティラインに排出するためのオーバフロー配管(83)と、上記処理室から排気される処理対象の基板の周囲の雰囲気および上記処理室から排出される低濃度廃液が導入されて、その導入された雰囲気および低濃度廃液を分離して(個別に)排出する気液分離容器(9)とを含むことを特徴とする基板処理装置である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、処理液を高濃度に含む高濃度廃液は、希釈容器に導入されて、その希釈容器内で希釈用液によって希釈されるので、アスピレータユニットを用いなくても、容器からの廃液をそのまま工場の廃液ユーティリティラインに排出することができる。一方、処理液が多く含まれない低濃度廃液は、気液分離容器を介してそのまま排出しても、工場の廃液ユーティリティラインに悪影響を与えるおそれはない。
また、高濃度廃液が導かれる希釈容器は、低濃度廃液が導入されない分、従来の基板処理装置に備えられている気液分離ボックスよりもサイズを小さくできるから、希釈容器をPTFE製またはPFA製(perfluoro−alkylvinyl−ether−tetrafluoro−ethlene−copolymer)にしても大幅なコストアップを招くことがない。
請求項2記載の発明は、上記処理室から排出される廃液の導入先を切り替えるための切替バルブ(75)と、上記処理室から排出される高濃度廃液が上記希釈容器に導入され、上記処理室から排出される低濃度廃液が上記気液分離容器に導入されるように、上記切替バルブの切替えを制御する切替制御手段(100)とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。
この構成により、処理室から排出される高濃度廃液と低濃度廃液とを、それぞれ希釈容器および気液分離容器に分別して導入することができる。
請求項3に記載の発明は、高濃度廃液を希釈するための希釈用液を上記希釈容器に供給する第1希釈用液供給手段(81,82)と、上記希釈容器内に溜められた液体の温度を検出するための第1液温検出手段(84)と、上記第1希釈用液供給手段を制御して、上記希釈容器への高濃度廃液の導入開始に応答して上記希釈容器への希釈用液の所定流量での供給を開始させ、上記希釈容器への廃液の導入停止後、上記第1液温検出手段による検出温度が予め定める供給停止温度以下に下がったことに応答して上記希釈容器への希釈用液の所定流量での供給を停止させる第1希釈用液供給制御手段(100,T2〜T6)とをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置である。
この構成によれば、希釈容器への高濃度廃液の導入が開始されてから、高濃度廃液の導入停止後、希釈容器内に貯留されている液体の液温が予め定める供給停止温度以下に下がるまで、希釈用液を希釈容器に供給し続けることにより、希釈容器内に貯留されている液体を十分に希釈することができる。よって、その後、高濃度廃液が再び希釈容器に導入されたときに、その導入される高濃度廃液を希釈容器に貯留されている液体で十分に希釈して排出することができる。
請求項4に記載の発明は、上記第1希釈用液供給手段は、上記希釈容器へ供給すべき希釈用液が流通する第1希釈用液配管(82)と、上記第1希釈用液配管に介装されて、開状態で希釈用液を上記所定流量で流通させ、閉状態で希釈用液を上記所定流量よりも小さな微小流量で流通させる第1スローリーク機能付バルブ(81)とを備えていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1スローリーク機能付バルブが閉じられている間も、希釈用液が微小流量で希釈容器に供給し続けられるから、高濃度廃液の導入が停止されている期間内に、希釈容器内に貯留されている液体を確実に希釈することができる。また、処理液として純水などが用いられる場合には、希釈容器内におけるバクテリアの発生などを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、低濃度廃液を希釈するための希釈用液を上記気液分離容器に供給する第2希釈用液供給手段(91,92)と、上記気液分離容器内に溜められた液体の温度を検出するための第2液温検出手段(95)と、上記第2希釈用液供給手段を制御して、上記気液分離容器への低濃度廃液の導入開始に応答して上記気液分離容器への希釈用液の所定流量での供給を開始させ、上記第2液温検出手段による検出温度が予め定める供給停止温度以下に下がったことに応答して上記気液分離容器への希釈用液の所定流量での供給を停止させる第2希釈用液供給制御手段(100,E2,E3,E4)とをさらに含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、気液分離容器への低濃度廃液の導入が開始されてから、低濃度廃液の導入停止後、気液分離容器内に貯留されている液体の液温が予め定める供給停止温度以下に下がるまで、希釈用液を気液分離容器に供給し続けることにより、気液分離容器内に貯留されている液体を十分に希釈することができる。よって、その後、低濃度廃液が再び気液分離容器に導入されたときに、その導入される低濃度廃液を気液分離容器に貯留されている液体で十分に希釈して排出することができる。
請求項6に記載の発明は、上記第2希釈用液供給手段は、上記気液分離容器へ供給すべき希釈用液が流通する第2希釈用液配管(92)と、上記第2希釈用液配管に介装されて、開状態で希釈用液を上記所定流量で流通させ、閉状態で希釈用液を上記所定流量よりも小さな微小流量で流通させる第2スローリーク機能付バルブ(91)とを備えていることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第2スローリーク機能付バルブが閉じられている間も、希釈用液が微小流量で気液分離容器に供給し続けられるから、低濃度廃液の導入が停止されている期間内に、気液分離容器内に貯留されている液体を確実に希釈することができる。また、処理液として純水などが用いられる場合には、気液分離容器内におけるバクテリアの発生などを防止することができる。
請求項7に記載の発明は、上記希釈容器は、上記気液分離容器よりも小さなサイズに形成されていることが好ましい。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。この基板処理装置は、基板の一例であるシリコン半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という。)の表面(上面)にSPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水)を供給して、そのウエハWの表面から不要になったレジスト膜を剥離するレジスト剥離処理を行う枚葉式の装置であり、隔壁で区画された処理室1内に、ウエハWをほぼ水平に保持して回転させるためのスピンチャック2と、このスピンチャック2に保持されたウエハWの表面にSPMを供給するためのノズル3と、ウエハWから流下または飛散するSPMなどの処理液を受け取るためのカップ4とを備えている。
スピンチャック2は、たとえば、複数個の挟持部材21でウエハWを挟持することにより、ウエハWをほぼ水平な姿勢で保持することができ、さらにその状態でほぼ鉛直な軸線まわりに回転することによって、その保持したウエハWをほぼ水平な姿勢を保ったまま回転させることができる。
スピンチャック2の側方には、旋回軸31が鉛直方向にほぼ沿って配置されており、ノズル3は、その旋回軸31の上端部からほぼ水平に延びたノズルアーム32の先端部に取り付けられている。旋回軸31は、その中心軸線まわりに回転可能に設けられていて、旋回軸31を回転させることにより、ノズル3をスピンチャック2に保持されたウエハWの上方に配置したり、カップ4の外側に設定された待機位置に配置したりすることができる。また、旋回軸31を所定の角度範囲内で往復回転させることにより、スピンチャック2に保持されたウエハWの上方でノズルアーム32を揺動させることができ、これに伴って、スピンチャック2に保持されたウエハWの表面上で、ノズル3からのSPMの供給位置をスキャン(移動)させることができる。
ノズル3には、耐薬液性および耐熱性に優れたPFA(perfluoro−alkylvinyl−ether−tetrafluoro−ethlene−copolymer)製の処理液配管5の先端が接続されている。処理液配管5の他端は、処理室1外へ延びており、処理室1に隣接して設けられた流体ボックス6内に配置されたミキシングバルブ61に接続されている。
ミキシングバルブ61は、硫酸ポート611、過酸化水素水ポート612および窒素ガスポート613の3つの入力ポートを有している。これらの硫酸ポート611、過酸化水素水ポート612および窒素ガスポート613には、それぞれ、硫酸供給源からの一定温度(たとえば、80℃)に温度調節された硫酸を供給するための硫酸配管62、過酸化水素水供給源からの過酸化水素水を供給するための過酸化水素水配管63および窒素ガス供給源からの窒素ガスを供給するための窒素ガス配管64が接続されている。
硫酸配管62の途中部には、ミキシングバルブ61への硫酸の供給/停止を切り換えるための硫酸バルブ621と、硫酸配管62を流れる硫酸の流量を検出するための硫酸流量計622とが、硫酸の流通方向上流側からこの順に介装されている。また、硫酸配管62には、硫酸の流通方向に関して硫酸バルブ621よりも上流側の分岐点において、硫酸帰還路65が分岐接続されており、硫酸バルブ621が閉じられている期間は、硫酸配管62を流れてくる硫酸が硫酸帰還路65を通って硫酸供給源に戻されるようになっている。これにより、硫酸バルブ621が閉じられている期間には、硫酸供給源、硫酸配管62および硫酸帰還路65からなる硫酸循環路を一定温度に温度調節された硫酸が循環し、硫酸配管62の硫酸バルブ621の下流側の部分に硫酸が滞ることがないので、硫酸バルブ621の開成直後から一定温度に温度調節された硫酸をミキシングバルブ61に供給することができる。
過酸化水素水配管63の途中部には、ミキシングバルブ61への過酸化水素水の供給/停止を切り換えるための過酸化水素水バルブ631と、過酸化水素水配管63を流れる過酸化水素水の流量を検出するための過酸化水素水流量計632とが、過酸化水素水の流通方向上流側からこの順に介装されている。また、過酸化水素水配管63には、過酸化水素水の流通方向に関して過酸化水素水バルブ631よりも上流側の分岐点において、過酸化水素水帰還路66が分岐接続されており、過酸化水素水バルブ631が閉じられている期間は、過酸化水素水配管63を流れてくる過酸化水素水が過酸化水素水帰還路66を通って過酸化水素水供給源に戻されるようになっている。これにより、過酸化水素水バルブ631が閉じられている期間には、過酸化水素水供給源、過酸化水素水配管63および過酸化水素水帰還路66からなる過酸化水素水循環路を過酸化水素水が循環し、過酸化水素水配管63の過酸化水素水バルブ631の下流側の部分に過酸化水素水が滞ることが防止されている。なお、この実施形態では、過酸化水素水は温度調節されておらず、過酸化水素水配管63には室温(約25℃)程度の過酸化水素水が流れる。
窒素ガス配管64の途中部には、ミキシングバルブ61への窒素ガスの供給/停止を切り換えるための窒素ガスバルブ641が介装されている。
硫酸バルブ621および過酸化水素水バルブ631が開かれるとともに、ミキシングバルブ61の硫酸ポート611および過酸化水素水ポート612が開かれると、硫酸配管62および過酸化水素水配管63からそれぞれ硫酸および過酸化水素水がミキシングバルブ61に流入し、このミキシングバルブ61で硫酸と過酸化水素水とが合流することによって、硫酸および過酸化水素水の混合液が作成される。この作成された硫酸および過酸化水素水の混合液は、ミキシングバルブ61から処理液配管5に流出し、処理液配管5をノズル3に向けて流れる。
ミキシングバルブ61では、硫酸配管62からの硫酸と過酸化水素水配管63からの過酸化水素水とが単に合流するだけであり、ミキシングバルブ61から処理液配管5に流出する混合液は、硫酸と過酸化水素水とが十分に混ざり合ったSPMには至っていない。そこで、処理液配管5には、その処理液配管5を流れる硫酸および過酸化水素水の混合液を撹拌してSPMを生成するための撹拌フィン付流通管51が介装されている。
撹拌フィン付流通管51は、管部材内に、それぞれ液体流通方向を軸にほぼ180度のねじれを加えた長方形板状体からなる複数の撹拌フィンを、液体流通方向に沿う管中心軸まわりの回転角度を90度ずつ交互に異ならせて配置した構成のものであり、たとえば、株式会社ノリタケカンパニーリミテド・アドバンス電気工業株式会社製の商品名「MXシリーズ:インラインミキサー」を用いることができる。撹拌フィン付流通管51では、硫酸および過酸化水素水の混合液が十分に撹拌されることにより、硫酸と過酸化水素水との化学反応(HSO+H→HSO+HO)が生じて、強い酸化力を有するHSOを含むSPMが生成される。その際、化学反応による発熱(反応熱)を生じ、この発熱によって、SPMの液温は、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜を良好に剥離可能な高温度(たとえば、80℃以上)まで確実に昇温する。
撹拌フィン付流通管51は、ノズルアーム32に取り付けられることによって処理室1内に設けられている。より具体的には、図2に示すように、ノズルアーム32の上面には、取付台511が固定されており、撹拌フィン付流通管51は、流体流通方向の下流側が上流側よりも低くなるように傾斜をつけた状態で取付台511に取り付けられている。また、ノズルアーム32の先端部には、ブラケット321が固定されており、このブラケット321にノズル3が取り付けられている。ノズル3は、く字状に屈曲した管状のストレートノズルであって、先端の吐出口を鉛直下方に向けた状態で取り付けられており、ノズル3の先端と撹拌フィン付流通管51の流体流通方向下流側の端部との間の配管長Lは、たとえば、200mm程度に設計されている。
これにより、撹拌フィン付流通管51で生成される高温度のSPMは、その液温が低下することなくノズル3に供給される。よって、スピンチャック2に保持されているウエハWに高温度のSPMを供給することができ、ウエハWの表面から不要なレジスト膜を残すことなく良好に剥離して除去することができる。
図1を再び参照して、カップ4の底面には、カップ4内の雰囲気を排気するための耐熱性PVCまたはPFA製の排気配管71と、カップ4に受け取られたSPMなどの廃液(ウエハWの処理に用いられた後に廃棄されるべき処理液)を排出するためのPFA製の廃液配管72とが接続されている。
廃液配管72の先端には、廃液配管72を流れてくる廃液を流体ボックス6内に設けられた希釈タンク8に導くためのPFA製の高濃度廃液導入管73と、廃液配管72を流れてくる廃液を処理室1の下方に設けられた気液分離タンク9に導くための一般廃液導入管74とが分岐して接続されている。そして、高濃度廃液導入管73と一般廃液導入管74との分岐点には、廃液配管72を流れてくる廃液の導入先を高濃度廃液導入管73(希釈タンク8)と一般廃液導入管74(気液分離タンク9)とに切り替えるための廃液切替バルブ75が介装されている。
希釈タンク8は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)材料またはPFA材料を用いて、気液分離タンク9よりもかなり小さなサイズに形成されている。希釈タンク8には、高濃度廃液導入管73から導入される廃液(高濃度廃液)を希釈および冷却するための冷却水が、希釈タンク用冷却水バルブ81および希釈タンク用冷却水配管82を介して供給されるようになっている。希釈タンク用冷却水バルブ81は、スローリーク機能付きのバルブであり、この希釈タンク用冷却水バルブ81を開いた状態では、希釈タンク用冷却水配管82から希釈タンク8に所定の大流量で冷却水が供給され、希釈タンク用冷却水バルブ81を閉じた状態であっても、希釈タンク用冷却水配管82から希釈タンク8に所定の微小流量(上記所定の大流量よりも小さな流量)で冷却水が供給される。
希釈タンク8の底面には、希釈廃液オーバフロー配管83が挿通されている。この希釈廃液オーバフロー配管83の一端は、希釈タンク8内の所定高さの位置で開放されており、廃液オーバフロー配管83の他端は、たとえば、この基板処理装置が設置される工場の廃液ユーティリティラインに接続されている。これにより、希釈タンク8内に希釈廃液オーバフロー配管83の一端の高さ(上記所定高さ)まで液体を貯留させることができ、その高さを超えて希釈廃液オーバフロー配管83に流れ込む液体を廃液ユーティリティラインへと排出することができる。
気液分離タンク9は、平面視において処理室1とほぼ同じサイズに形成されている。気液分離タンク9には、一般廃液導入管74から廃液(低濃度廃液)が導入される以外に、排気配管71を通してカップ4内から排気される雰囲気が導入されるようになっている。また、気液分離タンク9には、一般廃液導入管74から導入される廃液を希釈および冷却するための冷却水が、気液分離タンク用冷却水バルブ91および気液分離タンク用冷却水配管92を介して供給されるようになっている。気液分離タンク用冷却水バルブ91は、スローリーク機能付きのバルブであり、この気液分離タンク用冷却水バルブ91を開いた状態では、気液分離タンク用冷却水配管92から気液分離タンク9に所定の大流量で冷却水が供給され、気液分離タンク用冷却水バルブ91を閉じた状態であっても、気液分離タンク用冷却水配管92から気液分離タンク9に所定の微小流量(上記所定の大流量よりも小さな流量)で冷却水が供給される。
気液分離タンク9の底面には、一般廃液オーバフロー配管93が挿通されている。この一般廃液オーバフロー配管93の一端は、気液分離タンク9内の所定高さの位置で開放されており、一般廃液オーバフロー配管93の他端は、たとえば、この基板処理装置が設置される工場の廃液ユーティリティラインに接続されている。これにより、気液分離タンク9内に一般廃液オーバフロー配管93の一端の高さ(上記所定高さ)まで液体を貯留させることができ、その高さを超えて一般廃液オーバフロー配管93に流れ込む液体を廃液ユーティリティラインへと排出することができる。
気液分離タンク9の底面にはさらに、気液分離タンク9内の雰囲気を吸引して排出するための排気吸引管94が挿通されている。排気吸引管94の一端は、気液分離タンク9内の一般廃液オーバフロー配管93の一端よりも高い位置で開放されており、排気吸引管94の他端は、常時駆動されている負圧源(図示せず)に接続されている。これにより、気液分離タンク9内は常に負圧に保たれて、カップ4内の雰囲気を排気配管71を通して気液分離タンク9内に吸い込み、さらに気液分離タンク9から排気吸引管94を通して排気することができる。また、気液分離タンク9内の雰囲気が常に排気されているから、気液分離タンク9内に貯留された液体の気化物を含む雰囲気が一般廃液導入管74および廃液配管72または排気配管71を通ってカップ4内に流入(逆流)するおそれがない。
また、希釈タンク8内には、希釈タンク8に貯留されている液体の液温を検出するための希釈廃液温度センサ84が設けられており、気液分離タンク9内には、気液分離タンク9に貯留されている液体の液温を検出するための一般廃液温度センサ95が設けられている。
図3は、この基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。この基板処理装置はさらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置100を備えている。
制御装置100には、希釈廃液温度センサ84および一般廃液温度センサ95などの各種センサ類からの検出信号が入力されるようになっている。また、制御装置100には、スピンチャック2に回転駆動力を入力するためのチャック駆動機構22、旋回軸31にノズルアーム32の揺動駆動力を入力するためのアーム駆動機構33、ミキシングバルブ61、硫酸バルブ621、過酸化水素水バルブ631、窒素ガスバルブ641、廃液切替バルブ75、希釈タンク用冷却水バルブ81および気液分離タンク用冷却水バルブ91などが制御対象として接続されている。
制御装置100は、予め作成されたプログラムに従って、各種センサ類からの入力信号に基づいて、チャック駆動機構22、アーム駆動機構33および廃液切替バルブ75を制御し、また、ミキシングバルブ61の各ポート611〜613、硫酸バルブ621、過酸化水素水バルブ631、窒素ガスバルブ641、希釈タンク用冷却水バルブ81および気液分離タンク用冷却水バルブ91の開閉を制御する。これにより、ノズル3からSPMを吐出させて、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜を剥離するSPM供給工程、SPMによるレジスト膜剥離後のウエハWの表面に純水を供給して、ウエハWに付着したSPMを純水で洗い流すリンス工程、およびリンス工程後のウエハWを高速回転させて乾燥させるスピンドライ工程など、レジスト剥離処理に含まれる各工程が実施される。
図4は、SPM吐出工程について説明するためのフローチャートである。処理対象のウエハWは、搬送ロボット(図示せず)によって搬入されてきて、その搬送ロボットからスピンチャック2に受け渡される。スピンチャック2にウエハWが保持されると、スピンチャック2によってウエハWが所定の回転速度で回転される(ステップS1)。また、ノズルアーム32が旋回されて、ノズル3がカップ4の外側に設定された待機位置からスピンチャック2に保持されたウエハWの上方に配置される(ステップS2)。
つづいて、ミキシングバルブ61の硫酸ポート611および過酸化水素水ポート612が開かれるとともに、硫酸バルブ621および過酸化水素水バルブ631が開かれる(ステップS3)。硫酸配管62および過酸化水素水配管63からミキシングバルブ61にそれぞれ流入する硫酸および過酸化水素水は、ミキシングバルブ61で合流して、硫酸および過酸化水素水の混合液となって処理液配管5を流れる。そして、撹拌フィン付流通管51を通過する際に十分に撹拌されることによって、強い酸化力を有するHSOを含む高温のSPMとなってノズル3に供給され、ノズル3からスピンチャック2によって回転されているウエハWの表面に供給される。
その一方で、ノズルアーム32の揺動が開始されて(ステップS4)、ノズルアーム32が所定の角度範囲内で繰り返し揺動される。このノズルアーム32の揺動によって、ノズル3からの高温のSPMが導かれるウエハWの表面上の供給位置が、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を円弧状の軌跡を描きつつ繰り返しスキャンされる。また、ウエハWの表面に供給されたSPMは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、その供給位置からウエハWの周縁に向けて、ウエハWの表面上を拡がりつつ流れる。これによって、ウエハWの表面全域にSPMがむらなく行き渡り、ウエハWの表面に形成されているレジスト膜がSPMに含まれるHSOの強い酸化力によって剥離される。
ミキシングバルブ61の硫酸ポート611および過酸化水素水ポート612、硫酸バルブ621ならびに過酸化水素水バルブ631が開かれてから所定のSPM供給時間が経過すると(ステップS5のYES)、ミキシングバルブ61の硫酸ポート611および過酸化水素水ポート612が閉じられるとともに、硫酸バルブ621および過酸化水素水バルブ631が閉じられて(ステップS6)、ミキシングバルブ61への硫酸および過酸化水素水の供給が停止される。ミキシングバルブ61への硫酸および過酸化水素水の供給停止に応答して、処理液配管5内の硫酸および過酸化水素水の混合液の流通が停止し、硫酸および過酸化水素水の供給停止後のミキシングバルブ61および処理液配管5内に硫酸および過酸化水素水の混合液が滞留した状態となる。
ミキシングバルブ61への硫酸および過酸化水素水の供給停止後、ミキシングバルブ61の窒素ガスポート613が開かれるとともに、窒素ガスバルブ641が開かれて(ステップS7)、窒素ガス配管64からミキシングバルブ61に窒素ガスが供給される。ミキシングバルブ61に供給される窒素ガスは、ミキシングバルブ61から処理液配管5へと流れて、ミキシングバルブ61および処理液配管5内に滞留している硫酸および過酸化水素水の混合液をノズル3に向けて圧送する。こうして処理液配管5内を流れる硫酸および過酸化水素水の混合液は、撹拌フィン付流通管51を通過することによって高温のSPMとなり、ウエハWの上方で往復揺動しているノズルアーム32の先端のノズル3から吐出される。
ミキシングバルブ61への窒素ガスの供給が所定のガス圧送時間(ミキシングバルブ641に供給された窒素ガスがノズル3から吐出されるまでの時間、すなわち、ミキシングバルブ61および処理液配管5内に滞留している混合液をすべてノズル3から吐出させるのに十分な時間)にわたって行われると(ステップS8のYES)、ミキシングバルブ61の窒素ガスポート613および窒素ガスバルブ641が閉じられる(ステップS9)。そして、ノズルアーム32が旋回されて、ノズル3がウエハWの上方からカップ4の外側に設定された待機位置へと戻される(ステップS10)。
このように、ミキシングバルブ61への硫酸および過酸化水素水の供給停止後、ミキシングバルブ61に窒素ガスが供給されて、ミキシングバルブ61および処理液配管5内に滞留している硫酸および過酸化水素水の混合液がSPMとなってノズル3から押し出される。これにより、ミキシングバルブ61および処理液配管5内に硫酸および過酸化水素水の混合液が滞留したまま放置されることがない。よって、従来の基板処理装置とは異なり、プリディスペンスを行わなくても、ウエハWに劣化(処理能力が低下)したSPMが供給されることがない。また、SPM吐出工程の全期間を通して、ウエハWに対してほぼ一定の処理能力を有するSPMを供給することができるから、ウエハW間における処理のばらつきやウエハWの処理不良を生じるおそれがない。
さらに、ノズル3から押し出されるSPMは、ウエハWの表面に供給されて、ウエハWの表面のレジスト膜の剥離に寄与するから、プリディスペンスの手法とは異なり、高価なSPMが無駄になることがない。
さらにまた、ノズル3がウエハWの上方からカップ4の外側に設定された待機位置に戻される時には、ミキシングバルブ61、処理液配管5およびノズル3内に硫酸および過酸化水素水の混合液またはSPMは残っていないから、そのノズル3の移動の途中で、ノズル3からSPMが漏れ出るといったことがない。よって、カップ4外がSPMによって汚染されるおそれがない。
なお、カップ4外の汚染を防止する観点からは、窒素ガスによってノズル3から押し出されるSPMがウエハWの表面に供給されなくてもよく、たとえば、ノズル3がウエハWの上方からカップ4の外側に設定された待機位置に戻される途中、ノズル3から吐出されるSPMがカップ4内に受け取られる位置にノズル3が存在している間に、ミキシングバルブ61への窒素ガスの供給が行われてもよい。
図5は、SPM吐出工程時に生じる廃液の処理について説明するためのフローチャートである。希釈タンク用冷却水バルブ81はスローリーク機能付きのバルブであって、希釈タンク用冷却水バルブ81が閉じられている間も希釈タンク用冷却水配管82から希釈タンク8に冷却水が所定の微小流量で供給されているから、SPM吐出工程の開始時点で、希釈タンク8内には、ほぼ冷却水のみを含む液体が所定高さまで貯留されている。
SPM吐出工程が開始されると、廃液切替バルブ75が制御されて、廃液配管72を流れてくる廃液の導入先が希釈タンク8に切り替えられる(ステップT1)。また、希釈タンク用冷却水バルブ81が開かれて(ステップT2)、希釈タンク用冷却水配管82から希釈タンク8に所定の大流量で冷却水が供給される。
SPM吐出工程では、ウエハWに対して高温のSPMが供給され、ウエハWから流下または飛散するSPMがカップ4に受け取られるから、カップ4から廃液配管72を通して高濃度廃液導入管73に流れ込む廃液は、ほぼ高温のSPMのみからなる高濃度廃液(SPMを高濃度に含む廃液)である。したがって、SPM吐出工程では、高濃度廃液導入管73から希釈タンク8に高濃度廃液が導入され、その導入された高濃度廃液が、希釈タンク8に貯留されている液体(冷却水)に混入されることになる。また、その希釈タンク8に貯留されている液体に、希釈タンク用冷却水配管82から希釈タンク8に供給される冷却水が大流量で混入される。これにより、希釈タンク8に導入される高濃度廃液は、希釈タンク8に貯留されている液体および希釈タンク用冷却水配管82から供給される冷却水によって希釈および冷却される。そして、十分に希釈および冷却された廃液(高濃度廃液と多量の冷却水との混合液)は、希釈タンク8内に突出した希釈廃液オーバフロー配管83の上端を超えると、希釈廃液オーバフロー配管83に流入して廃液ユーティリティラインへと排出される。
SPM吐出工程が終了すると(ステップT3のYES)、廃液切替バルブ75が制御されて、廃液配管72を流れてくる廃液の導入先が気液分離タンク9に切り替えられる(ステップT4)。また、SPM吐出工程の終了後は、希釈廃液温度センサ84による検出温度(希釈タンク8に貯留されている液体の液温)が予め定める供給停止温度(たとえば40℃)以下に低下したか否かが繰り返し調べられる(ステップT5)。そして、希釈廃液温度センサ84による検出温度が供給停止温度以下に低下すると、希釈タンク用冷却水バルブ81が閉じられて(ステップT6)、それ以降は、SPM吐出工程が再び実施されるまで、希釈タンク用冷却水配管82から希釈タンク8に微小流量で冷却水が供給される。
このようにして、SPM吐出工程時にカップ4から排出される高濃度廃液は、希釈タンク8で十分に希釈および冷却されることにより、十分に希釈および冷却された廃液となって、希釈タンク8から希釈廃液オーバフロー配管83を通して排出される。従来の基板処理装置では、高温のSPMを処理液として用いた場合、気液分離ボックスから排出される廃液(高温のSPMを高濃度に含む廃液)を希釈および冷却するためにアスピレータユニットを付設する必要があったのに対し、この基板処理装置では、十分に希釈および冷却された廃液が希釈タンク8から排出されるので、そのようなアスピレータユニットが不要である。よって、そのアスピレータユニットが不要な分だけ、装置のイニシャルコストおよびフットプリントを低減させることができる。
なお、希釈廃液温度センサ84による検出温度を常に監視して、希釈廃液温度センサ84による検出温度が第1温度(たとえば40℃)に達した場合には、希釈タンク用冷却水バルブ81を開成して希釈タンク8内に冷却水を大量に注いで廃液の温度を低下させるのが好ましい。さらには、万が一、冷却水配管82に関連する供給系統の不具合などにより温度低下が十分に行われない場合(異常時)に備えて、希釈廃液温度センサ84による検出温度が上記第1温度よりも高い第2温度(たとえば80℃)を超えた場合には、基板処理装置の稼働を即停止させるようにすることが好ましい。こうすることにより、何らかの原因で十分に希釈および冷却されていない廃液が希釈タンク8から排出されることを確実に防止することができ、この基板処理装置の安全性をさらに高めることができる。
図6は、リンス工程以降に生じる廃液の処理について説明するためのフローチャートである。気液分離タンク用冷却水バルブ91はスローリーク機能付きのバルブであって、気液分離タンク用冷却水バルブ91が閉じられている間も気液分離タンク用冷却水配管92から気液分離タンク9に冷却水が所定の微小流量で供給されているから、リンス工程の開始時点で、気液分離タンク9内には、ほぼ冷却水のみを含む液体が所定高さまで貯留されている。
SPM吐出工程が終了し、これに引き続いてリンス工程が開始されると、廃液切替バルブ75が制御されて、廃液配管72を流れてくる廃液の導入先が気液分離タンク9に切り替えられる(ステップE1)。また、気液分離タンク用冷却水バルブ91が開かれて(ステップE2)、気液分離タンク用冷却水配管92から気液分離タンク9に所定の大流量で冷却水が供給される。
リンス工程では、ウエハWに対して純水が供給され、ウエハWに付着しているSPMを洗い流した純水がカップ4に受け取られるから、カップ4から廃液配管72を通して一般廃液導入管74に流れ込む廃液は、微量のSPMを含む純水からなる低濃度廃液である。したがって、リンス工程では、一般廃液導入管74から気液分離タンク9に低濃度廃液が導入され、その導入された低濃度廃液が、気液分離タンク9に貯留されている液体(冷却水)に混入されることになる。また、その気液分離タンク9に貯留されている液体に、気液分離タンク用冷却水配管92から気液分離タンク9に供給される冷却水が大流量で混入される。これにより、気液分離タンク9に導入される低濃度廃液は、気液分離タンク9に貯留されている液体および気液分離タンク用冷却水配管92から新たに供給される冷却水によってさらに希釈される。そして、その希釈された廃液は、気液分離タンク9内に突出した一般廃液オーバフロー配管93の上端を超えると、一般廃液オーバフロー配管93に流入して廃液ユーティリティラインへと排出される。
リンス工程の終了後は、一般廃液温度センサ95による検出温度(気液分離タンク9に貯留されている液体の液温)が予め定める供給停止温度(たとえば40℃)以下に低下したか否かが繰り返し調べられる(ステップE3)。そして、一般廃液温度センサ95による検出温度が供給停止温度以下に低下すると、気液分離タンク用冷却水バルブ91が閉じられて(ステップE4)、それ以降は、リンス工程が再び実施されるまで、気液分離タンク用冷却水配管92から気液分離タンク9に微小流量で冷却水が供給される。
このように、気液分離タンク9に導入される廃液は、リンス工程時以降にカップ4から排出される低濃度廃液であり、SPMをほとんど含まないから、希釈タンク8に比べて大型の気液分離タンク9を耐薬液性および耐熱性に優れたPTFE材料またはPFA材料で構成しなくてもよい。これにより、PTFE製またはPFA製の気液分離タンクを採用した装置に比べて、装置のイニシャルコストを大幅に低減させることができる。
なお、リンス工程時以降にカップ4から排出される低濃度廃液も希釈タンク8に導入して、希釈タンク8から希釈廃液オーバフロー配管83を通して排出することも考えられるが、そのためには、希釈タンク8を気液分離タンク9と同等のサイズに形成する必要がある。PFA製の希釈タンク8が大型になると、装置のイニシャルコストが大幅にアップするので、リンス工程時以降にカップ4から排出される低濃度廃液をも希釈タンク8に導入することは望ましいとは言えない。
また、この実施形態では、気液分離タンク9に液体が溜められていて、気液分離タンク9に導入される廃液は、気液分離タンク9でさらに希釈された廃液となって、気液分離タンク9から一般廃液オーバフロー配管93を通して排出される。これによって、たとえ気液分離タンク9にSPMの高濃度廃液が流れ込んでも、その高濃度廃液を十分に希釈および冷却して排出することができる。
さらに、一般廃液温度センサ95による検出温度を常に監視して、一般廃液温度センサ95による検出温度が第1温度(たとえば40℃)に達した場合には、気液分離タンク用冷却水バルブ91を開成して気液分離タンク9内に冷却水を大量に注いで廃液の温度を低下させるのが好ましい。さらには、万が一、冷却水配管92に関連する供給系統の不具合などにより温度低下が十分に行われない場合(異常時)に備えて、一般廃液温度センサ95による検出温度が上記第1温度よりも高い第2温度(たとえば80℃)を超えた場合には、基板処理装置の稼働を即停止させるようにしてもよい。こうすることにより、何らかの原因で十分に希釈および冷却されていない廃液が気液分離タンク9から排出されることを確実に防止することができ、この基板処理装置の安全性をさらに高めることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、スピンチャック2としては、ウエハWの下面を真空吸着することにより、ウエハWをほぼ水平な姿勢で保持し、さらにその状態でほぼ鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持したウエハWを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
また、上記の実施形態では、気液分離タンク9を所定高さまで液体を貯留可能な構造にしているが、この気液分離タンク9に代えて、カップ4から廃液配管72および一般廃液導入管74を通して排出される廃液を貯留せずに排出する構成の気液分離ボックス(図7参照)が採用されてもよい。
さらに、ウエハWの表面から不要になったレジスト膜を剥離するレジスト剥離処理を例にとったが、処理対象となる基板は、ウエハWに限らず、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディプレイパネル用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの他の種類の基板であってもよい。また、基板に対する処理は、レジスト剥離処理以外の処理であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す図である。 撹拌フィン付流通管の取付状態を説明するための図である。 上記基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。 SPM吐出工程について説明するためのフローチャートである。 SPM吐出工程時に生じる廃液の処理について説明するためのフローチャートである。 リンス工程以降に生じる廃液の処理について説明するためのフローチャートである。 気液分離ボックスの構成を図解的に示す断面図である。
符号の説明
1 処理室
8 希釈タンク
9 気液分離タンク
72 廃液配管
73 高濃度廃液導入管
74 一般廃液導入管
75 廃液切替バルブ
81 希釈タンク用冷却水バルブ
82 希釈タンク用冷却水配管
83 希釈廃液オーバフロー配管
84 希釈廃液温度センサ
91 気液分離タンク用冷却水バルブ
92 気液分離タンク用冷却水配管
93 一般廃液オーバフロー配管
95 一般廃液温度センサ
100 制御装置
W ウエハ

Claims (7)

  1. 基板に対して処理液を用いた処理を行うための処理室と、
    一定液位まで液体を貯留することができ、上記処理室から排出される高濃度廃液およびその高濃度廃液を希釈するための希釈用液が導入される希釈容器と、
    廃棄されるべき処理液が流通する廃液ユーティリティラインに接続され、この希釈容器から上記一定液位を超えて溢れる液体を上記廃液ユーティリティラインに排出するためのオーバフロー配管と、
    上記処理室から排気される処理対象の基板の周囲の雰囲気および上記処理室から排出される低濃度廃液が導入されて、その導入された雰囲気および低濃度廃液を分離して排出する気液分離容器とを含むことを特徴とする基板処理装置。
  2. 上記処理室から排出される廃液の導入先を切り替えるための切替バルブと、
    上記処理室から排出される高濃度廃液が上記希釈容器に導入され、上記処理室から排出される低濃度廃液が上記気液分離容器に導入されるように、上記切替バルブの切替えを制御する切替制御手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 高濃度廃液を希釈するための希釈用液を上記希釈容器に供給する第1希釈用液供給手段と、
    上記希釈容器内に溜められた液体の温度を検出するための第1液温検出手段と、
    上記第1希釈用液供給手段を制御して、上記希釈容器への高濃度廃液の導入開始に応答して上記希釈容器への希釈用液の所定流量での供給を開始させ、上記希釈容器への廃液の導入停止後、上記第1液温検出手段による検出温度が予め定める供給停止温度以下に下がったことに応答して上記希釈容器への希釈用液の所定流量での供給を停止させる第1希釈用液供給制御手段とをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
  4. 上記第1希釈用液供給手段は、
    上記希釈容器へ供給すべき希釈用液が流通する第1希釈用液配管と、
    上記第1希釈用液配管に介装されて、開状態で希釈用液を上記所定流量で流通させ、閉状態で希釈用液を上記所定流量よりも小さな微小流量で流通させる第1スローリーク機能付バルブとを備えていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
  5. 低濃度廃液を希釈するための希釈用液を上記気液分離容器に供給する第2希釈用液供給手段と、
    上記気液分離容器内に溜められた液体の温度を検出するための第2液温検出手段と、
    上記第2希釈用液供給手段を制御して、上記気液分離容器への低濃度廃液の導入開始に応答して上記気液分離容器への希釈用液の所定流量での供給を開始させ、上記第2液温検出手段による検出温度が予め定める供給停止温度以下に下がったことに応答して上記気液分離容器への希釈用液の所定流量での供給を停止させる第2希釈用液供給制御手段とをさらに含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  6. 上記第2希釈用液供給手段は、
    上記気液分離容器へ供給すべき希釈用液が流通する第2希釈用液配管と、
    上記第2希釈用液配管に介装されて、開状態で希釈用液を上記所定流量で流通させ、閉状態で希釈用液を上記所定流量よりも小さな微小流量で流通させる第2スローリーク機能付バルブとを備えていることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
  7. 上記希釈容器は、上記気液分離容器よりも小さなサイズに形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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