JP2009091397A - 耐炎ポリマー含有分散体の製造方法 - Google Patents

耐炎ポリマー含有分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
高い耐炎性を有する耐炎ポリマー含有分散体を、より安価で簡便に製造する方法を提供する。具体的には、より安価な求核剤を少量用いて耐炎ポリマー含有分散体を製造する方法を提供することを目的とする。また、分散媒回収後に生じる廃棄物を削減することを目的とする。
【解決手段】
アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対し、0.1重量%以下の金属水酸化物を用いることで、求核剤の量を減少させることにに成功した。加えて分散媒回収後に残る廃棄物が削減できることを見出した。すなわち本発明は、アクリロニトリル系ポリマーに対100重量部に対し、0.1重量部以下の金属水酸化物を含有する求核剤と酸化剤を反応させることを特徴とする耐炎ポリマー含有分散体の製造方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアクリロニトリル系耐炎ポリマー含有分散体の製造方法に関するものである。
ポリアクリロニトリル系繊維等の有機繊維を原料とする耐炎繊維は、耐炎性、難撚性、摩耗性および耐腐食性に優れていることから、航空機等の防炎断熱材やブレーキ板として利用されており、さらには耐炎性の無機繊維にはないドレープ性や紡織加工性を有することから、溶接作業等で飛散する高熱の鉄粉や溶接火花等から人体を保護するスパッタシートとして用いられている。さらに、この耐炎繊維は、断熱材としても広く用いられてきており、人体への有害性から規制されるようになったアスベストに代わる素材として注目され、その需要は高まっている。
さらに耐炎繊維は、炭素繊維の中間原料としても重要である。炭素繊維は、力学的特性や軽量性などの優れた諸性質を有することから様々な用途に利用されている。炭素繊維の用途としては、例えば、航空機や人工衛星などの宇宙・航空用材料、ゴルフシャフト、釣竿、自転車のタイヤホイールなどのスポーツ産業材料、および橋桁補強剤や風車などの建築構造材料などが挙げられる。さらには、自動車、船舶および列車などの運搬機械用途分野でも炭素繊維の利用は増えつつある。また、炭素繊維は高い導電性を有しているため、パソコンの筐体等の電子機器部品への応用も始まっている。今後、炭素繊維に対する需要はさらに高まり、その安定かつ大量供給が強く望まれている。
炭素繊維は、主にポリアクリロニトリル(PAN)分散体を紡糸・製糸することによりPAN系繊維へと誘導し、それを不活性雰囲気下で高温焼成することによって得ることができる。そのPAN系繊維を炭素繊維や耐熱繊維および耐炎繊維の前駆体繊維とする場合、PAN系繊維を空気中で200〜300℃のような高温で加熱する耐炎化工程を経る。しかしながら、その耐炎化工程では発熱反応が進行するため、大量のPAN系繊維を耐炎化する際には除熱が必要になる。ところが、PAN系繊維は固体であるために除熱が難しく、さらにはPAN系繊維のストランド数が増えると繊維束内での蓄熱が起こり易くなるので、さらに除熱が困難になるという問題点がある。
除熱の方法について、現在までに様々な提案がなされてきているが(特許文献1参照)、実質的には、限られたストランド数で、緻密な温度制御の下、長時間処理するという製造方法が用いられている。この耐炎化工程は、需要が大きく高まっている耐炎繊維、そして炭素繊維の安定かつ大量供給の大きな足かせとなっている。
一方で、PAN共重合体の溶液を、求核剤および/または酸化剤を用いて化学反応により耐炎化して、耐炎ポリマー溶液を得る技術が報告されている(特許文献2参照)。すなわち、耐炎化時の発熱を溶媒により除熱し、問題となっている耐炎化工程を経ずに耐炎繊維や炭素繊維を得る方法である。
また、アクリロニトリル系ポリマー分散体に求核剤および酸化剤を加える化学反応により耐炎ポリマーを製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。当該公報の実施例には、アクリロニトリルポリマー12.5重量部に対し、フタルイミドカリウムあるいはカリウム−tert−ブトキシドを0.03重量部、オルトニトロトルエン3.0重量部を加えて耐炎ポリマーを製造する方法が記載されている。すなわち、アクリロニトリルポリマー100重量部に対し0.24重量部の求核剤で耐炎化反応が進行する事が開示されている。また、求核剤の例示には、金属水酸化物が記載されている。
しかしながら、これら耐炎ポリマー含有分散体の製造方法では、耐炎化反応が十分に進まないといった問題や、より優れた耐炎ポリマーを得る際には必要とされる求核剤および酸化剤の使用量が多く、生じる副生物や残留反応剤により、分散媒の回収が困難であったり、多量の廃棄物が出る問題があった。また、特許文献3では、求核剤の添加量の好適な範囲は、前駆体ポリマー100重量部に対し、0.1〜500重量部としており、0.1重量部以下の範囲について具体的な言及はない。
特開2006−081223号公報 特開2007−31564号公報 特開2007−63526号公報
本発明の目的は、高い耐炎性を有する耐炎ポリマー含有分散体を、より安価で簡便に製造する方法を提供することにある。具体的には、より安価な求核剤を少量用いて耐炎ポリマー含有分散体を製造する方法を提供することを目的とする。また、分散媒回収後に生じる廃棄物を削減することを目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対し、0.1重量部以下の金属水酸化物を用いることで、求核剤の量を減少させることに成功した。加えて分散媒回収後の廃棄物が削減できることを見出した。すなわち本発明は、アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対し、0.01から0.1重量部の金属水酸化物を含有する求核剤と酸化剤を反応させることを特徴とする耐炎ポリマー含有分散体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、求核剤は安価なものを少量用いるだけでよく、耐炎ポリマー含有分散体を簡便に製造することが可能である。また、求核剤が少ないために副生物や未反応試薬の量が減少し、分散媒回収後の廃棄物が削減される。
本発明において、耐炎ポリマーとは、耐炎性を有するポリマーである。耐炎とは「防炎」という用語と実質的に同義であり、「難撚」という用語の意味を含んで使用される。具体的に、耐炎性とは燃焼が継続しにくい、すなわち燃えにくい性質を示す総称である。
また、耐炎ポリマー含有分散体とは、耐炎ポリマーを主とする成分が、有機溶媒等の分散媒中に分散している粘性流体状物である。粘性流体状物は、賦形や成形する際に流動性を有するものであればよく、室温で流動性を有するものはもちろんのこと、ある温度で流動性のない固体やゲル状物であっても、加熱やせん断により加工温度付近で流動性を有するもの全てを含むものである。具体的には、ゾル、ゲル、エマルジョン、サスペンジョンといった状態が含まれる。また、本発明における耐炎ポリマー分散体には、耐炎ポリマー溶液も含まれる。ここで、溶液とは、耐炎ポリマーを主とする成分が溶媒に溶解している状態を示す。溶解とは、複数の異なる物質が混合・拡散して均一な液体となることをいう。
本発明において、アクリロニトリル系ポリマーとは、アクリロニトリルを重合成分として30重量%以上含有する重合体をいい、アクリロニトリル単独重合体の他、アクリロニトリルと他の単量体との共重合体、アクリロニトリルと他の重合体とのグラフト共重合体、アクリロニトリル系重合体を含む混合重合体等が含まれる。アクリロニトリル系重合体中に含まれるアクリロニトリルの含有量は50%以上が好ましく、70%以上であればより好ましい。
本発明において、アクリロニトリル系ポリマーの分子量は、成形方法に応じた粘性を有する分子量とすればよい。好ましくは、質量平均分子量(Mw)が1000〜1000000であり、より好ましくは10000〜500000であり、さらに好ましくは20000〜300000である。アクリロニトリル系ポリマーの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
本発明において、分散媒とは、アクリロニトリル系ポリマーおよび耐炎ポリマーを分散させる媒体であり、極性有機溶媒、または、アミン系化合物であることが好ましく、これらを単一もしくは混合して用いることができる。
極性有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、スルホラン、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、エチレングリコールおよびジエチレングリコール等が挙げられる。中でも、DMSO、NMP、DMFおよびDMAcが好ましく、特にDMSOとDMFが好ましく用いられる。これらの極性有機溶媒は、単一もしくは2種以上混合して用いてもよい。
アミン系化合物としては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン等のエタノールアミン系化合物、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン等のアルキルアミン系化合物、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンのジアミノアルキレン系化合物、ピペラジン、モルホリン等の環状アルキルアミン系化合物、アンモニア、ベンジルアミン、フェネチルアミン等が挙げられる。中でもエタノールアミン、プロパノールアミン、エチレンジアミン、ベンジルアミンが好ましく、特にエタノールアミンが好ましい。
アミン系化合物はポリアクリロニトリル系化合物に対して求核剤として働くことが知られている(特許文献2参照)が、金属水酸化物はアミン系の求核剤と比較して反応速度が大幅に速いため、アミン系化合物は加えなくても十分な耐炎性を有する耐炎ポリマーを得ることができる。一方でアミンを共存させることにより耐炎ポリマーの分散性が向上し、耐炎ポリマー分散体の流動性が改善される場合もある。
本発明において、分散媒中のポリアクリロニトリル系ポリマーの量は3重量パーセントから20重量パーセントが好ましい。中でも、3重量パーセントから15重量パーセントがより好ましい。ポリアクリロニトリル系ポリマーが20重量パーセント以上の場合は、耐炎ポリマー分散体の流動性が低下し、成形加工が行いにくくなる。
金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム等、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムが好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが好ましい。
本発明において、金属水酸化物は、アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対し、0.001から0.1重量部加えることが必要である。かかる範囲の量を加えることにより、十分な耐炎性を有するポリマーが得られる。中でも0.02から0.08重量部添加することが好ましい。0.1重量部以上添加すると、耐炎ポリマー分散体の流動性低下が顕著となる。また、添加量が0.01重量部以下では実質的に反応が進行せず、耐炎ポリマーが得られない。
本発明において、酸化剤とは、アクリロニトリル系ポリマーに金属水酸化物を加えて生成する反応中間体を、酸素の導入または脱水素反応により、耐炎構造に変換する反応剤である。本目的を達成するための酸化剤としては、ニトロ化合物を用いることができる。ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、2−ニトロエタノール等の脂肪族ニトロ化合物、ニトロベンゼン、オルト−ニトロトルエン、パラ−ニトロトルエン、メタ−ニトロトルエン、オルト−ニトロフェノール、メタ−ニトロフェノール、パラ−ニトロフェノール、メタ−クロロニトロベンゼン、パラ−クロロニトロベンゼン、メタ−ブロモニトロベンゼン、パラ−ブロモニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物が挙げられる。中でもニトロベンゼン、オルト−ニトロトルエン、パラ−ニトロトルエン、オルト−ニトロフェノールが好ましく、特にニトロベンゼン、オルト−ニトロフェノール、パラ−ニトロトルエンが好ましい。
加える酸化剤の量は、アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対し、1から60重量部の範囲が好ましい。中でも、3から30重量部が好ましい。1重量部以下では酸化反応が進行しない場合があり、60重量部以上では、これ以下の量で酸化反応がほぼ完結するため、耐炎ポリマー分散体の性能は改善されない。
反応温度は用いる分散媒、金属水酸化物および酸化剤により適宜選択されるが、通常20℃から180℃で十分な効果が得られる。中でも30℃から160℃で反応させることが好ましく、60℃から150℃であればより好ましい。
本発明の耐炎ポリマー分散体は、それを賦形した後に、その耐炎ポリマー分散体から分散媒を除去して耐熱高分子体成形品とすることができる。賦形工程においては、繊維状、シート状、その他立体形状に賦形することで立体成形品を得ることができる。好ましくは、繊維状またはフィルム状に賦形する。分散媒を除去する方法に特に制限はないが、例えば特許文献3に示される方法で実施することができる。
耐炎ポリマー分散体を賦形して成形品を得、さらに分散媒を回収した後に残った残渣が廃棄物となる。廃棄物には、未反応の求核剤および酸化剤や、これらが反応することにより生成する副生物が含まれる。用いる求核剤および酸化剤の種類にもよるが、一般にこれらを多く用いるほど、廃棄物量が多くなる。廃棄物量は少ないほど良いが、耐炎ポリマー成形品100重量部に対し、20重量部以下が好ましく、特に10重量部以下が好ましい。
繊維状の成形品は、長繊維状であっても短繊維状であってもよい。長繊維状の場合には引き揃えてそのまま炭素繊維の原料として用いることができる。短繊維状の場合には、例えば捲縮糸として、織物、編物、不織布等に用いることができる。
また、被コーティング基材に、本発明の耐炎ポリマー溶液をコーティングし、溶媒を除去することにより、耐炎ポリマーでコーティングされた耐炎成形品とすることもできる。
耐炎性を評価する具体的な手段としては、例えばJIS Z 2150(1966)には、薄い材料の防炎試験方法(45°メッケルバーナー法)が記載されている。評価すべき試料(厚さ5mm未満のボード、プレート、シート、フィルムおよび厚手布地等)を、バーナーで特定時間加熱し、着火後の残炎時間や炭化長等を評価することにより判定することができる。残炎時間は短い方が、炭化長も短い方が耐炎(防炎)性能が優秀と判定される。また、繊維製品の場合、JIS L 1091(1977)に繊維の燃焼試験方法が記載されている。その方法で試験した後に、炭化面積や残炎時間を測定することにより同様に判定することができる。
ポリアクリロニトリル系ポリマーを原料とする耐炎ポリマーの構造は完全には明確となっていないが、アクリロニトリル系耐炎繊維を解析した文献(ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス,パートA:ポリマー・ケミストリー・エディション)(J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.Ed.),1986年,第24巻,p.3101)では、ニトリル基の熱的な環化と、それに続いて起こる酸化反応によって生じるナフチリジン環やアクリドン環、水素化ナフチリジン環構造を有すると考えられており、構造から一般的にはラダーポリマーと呼ばれている。
ポリアクリロニトリル系ポリマーを原料として用いた耐炎化では、前述のように耐炎化が進行するに伴いナフチリジン環が生じると考えられている。その結果、ナフチリジン環の炭素間二重結合に由来する1600cm−1の赤外吸光度(A1600)が増加する。すなわち、1600cm−1の吸光度が、耐炎化進行の目安となる。赤外吸光度は、耐炎ポリマー含有分散体を熱水中で脱溶媒をおこなった後に、乾燥、粉砕したものを、KBr錠剤法により測定できる。この方法に従い、120℃の温度で3時間乾燥させた耐炎ポリマー2mgを、300mgの臭化カリウムを用いて赤外スペクトル測定を行った際の1600cm−1における吸光度(A1600)は、耐炎ポリマーが耐炎性を発揮するためには、0.4以上である必要がある。より好ましくは0.6以上である。
また、上述のように、ポリアクリロニトリル系ポリマーでは、ニトリル基の消費により耐炎構造が形成するため、ニトリルの消費率も耐炎化の進行を測る目安となる。ニトリル消費率は、赤外吸収スペクトルでポリアクリロニトリル系ポリマー由来のニトリル基のピーク面積と、得られた耐炎ポリマーのニトリル基のピーク面積を比較し、面積の減少率から求めることができる。未反応のニトリル基が残存しても、耐炎性を損なわない限り本発明では支障はないが、耐炎ポリマーが耐炎性を発揮するためには、通常この減少率が20%以上である必要がある。なかでも30%以上が好ましく、特に50%以上が好ましい。
また、ポリアクリロニトリル系ポリマーの分子間に微量架橋結合が生じることがあっても、溶解性を損なわない限り、本発明では支障はない。これらの観点から、ポリアクリロニトリル系ポリマーは、直鎖状であっても枝分かれしていても構わない。
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各物性値または特性は、以下の方法により測定した。
<耐炎ポリマーの単離と濃度測定>
耐炎ポリマーを含有する分散体を秤量し、約4gを500mlの蒸留水中に入れ、これを沸騰させた。一旦固形物を取り出し、再度500mlの蒸留水中に入れて、これを沸騰させた。残った固形分をアルミニウムパンに乗せ、120℃の温度のオーブンで1時間乾燥し耐炎ポリマーを単離した。単離した固形分を秤量し、元の耐炎ポリマーを含有する分散体の重量との比を計算して濃度を求めた。
<廃棄物量測定>
耐炎ポリマーの単離操作で、分散媒の除去に用いた水1000mlをホットプレートで蒸発乾固させ、水及び分散媒を除き、残った固体の重量を測定した。廃棄物量は、耐炎ポリマーに対する重量比で計算した。
<赤外吸収スペクトルによる耐炎化進行度およびニトリル消費率の測定>
耐炎ポリマーを高温熱水中で脱溶媒した後に、凍結粉砕した物2mgと赤外求光用KBr300mgとを乳鉢にて粉砕混合したものを錠剤成型器にて加工した錠剤を用い、FT−IR測定器(島津製作所製)を用いて測定した。
(実施例1)
アクリロニトリルホモポリマー12重量部とニトロベンゼン1.5重量部をジメチルスルホキシド86.5重量部に分散させ、水酸化ナトリウム0.003重量部を加え、150℃で70分間撹拌した。30℃まで冷却し、ジメチルスルホキシド中に耐炎ポリマーが分散した分散体を得た。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は13.6重量%であった。IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.4を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は70%であった。また、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し1.7%であった。
(実施例2)
アクリロニトリルホモポリマー18重量部とニトロベンゼン1.5重量部をジメチルスルホキシド80.5重量部に分散させ、水酸化ナトリウム0.005重量部を加え、150℃で25分間撹拌した。30℃まで冷却し、ジメチルスルホキシド中に耐炎ポリマーが分散した分散体を得た。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は19.8重量%であった。IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.5を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は90%であった。また、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し1.7%であった。
(実施例3)
アクリロニトリルホモポリマー10重量部と、パラ−ニトロトルエン6重量部、モノエタノールアミン20重量部をジメチルスルホキシド64重量部に分散させ、水酸化ナトリウム0.005重量部を加え、150℃に昇温し、10分間撹拌した。30℃まで冷却し(反応液が発熱するため、冷却までに時間を要する)、ジメチルスルホキシド中に耐炎ポリマーが分散した分散体を得た。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は12.5重量%であった。IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.6を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は99%であった。また、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し7%であった。
(実施例4)
アクリロニトリルホモポリマー18重量部とニトロベンゼン1.5重量部をジメチルスルホキシド80.5重量部に分散させ、水酸化カリウム0.005重量部を加え、150℃で25分間撹拌した。30℃まで冷却し、ジメチルスルホキシド中に耐炎ポリマーが分散した分散体を得た。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は19.7重量%であった。IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.4を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は90%であった。また、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し1.8%であった。
(実施例5)
アクリロニトリルホモポリマー10重量部とニトロベンゼン1.0重量部をジメチルスルホキシド89重量部に分散させ、水酸化リチウム0.005重量部を加え、150℃で30分間撹拌した。30℃まで冷却し、ジメチルスルホキシド中に耐炎ポリマーが分散した分散体を得た。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は11.0重量%であった。IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.2を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は81%であった。また、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し1.6%であった。
(実施例6)
アクリロニトリルホモポリマー18重量部とニトロベンゼン1.5重量部をジメチルスルホキシド80.5重量部に分散させ、水酸化ナトリウム0.005重量部を加え、130℃で40分間撹拌した。30℃まで冷却し、ジメチルスルホキシド中に耐炎ポリマーが分散した分散体を得た。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は19.5重量%であった。IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.0を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は89%であった。また、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し1.6%であった。
(比較例1)
アクリロニトリルホモポリマー10重量部とニトロベンゼン1.5重量部をジメチルスルホキシド88.5重量部に分散させ、フタルイミドカリウム0.003重量部を加え、150℃で120分間撹拌した。30℃まで冷却したが、ジメチルスルホキシド中の耐炎ポリマー分散体の着色は薄かった。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマーの濃度は10.1重量%であり、IRで解析したところ、1600cm−1にピークは観測されず、ニトリルも消費されなかった。
(比較例2)
アクリロニトリルホモポリマー10重量部とオルト−ニトロトルエン3.0重量部をジメチルスルホキシド79.0重量部に分散させ、フタルイミドカリウム8.0重量部を加え、150℃で30分撹拌した。得られた耐炎ポリマーを含有する分散体の耐炎ポリマー濃度は12.1重量%であり、IRで解析したところ、1600cm−1に吸光度1.5を示すピークが存在した。また、ニトリル消費率は92%であった。しかしながら、廃棄物量は、耐炎ポリマー重量に対し51%であった。
本発明の耐炎ポリマー分散体は、分散体の状態から耐炎繊維に成形することで、防炎繊維として広く利用することができる。また、耐炎繊維を炭化することで炭素繊維とし、複合材料の補強繊維として広く利用できる。
また、耐炎ポリマー溶液は繊維以外にシートや成形品等の任意の形状にも成形でき、特にコーティング等の用途に好適である。また、耐炎成形品を炭素成形品にすることも容易であるため、電気・電子部品等にも有用となる。

Claims (5)

  1. アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対し、0.01から0.1重量部の金属水酸化物を含有する求核剤と、酸化剤とを反応させることを特徴とする、耐炎ポリマー含有分散体の製造方法。
  2. 前記アクリロニトリル系ポリマー濃度が3重量%から20重量%である、請求項1記載の耐炎ポリマー含有分散体の製造方法。
  3. 分散媒が極性有機溶媒もしくはアミン系化合物、またはこれらの混合物である、請求項1または2に記載の耐炎ポリマー含有分散体の製造方法。
  4. 前記酸化剤としてニトロ化合物を用いる、請求項1から3のいずれかに記載の耐炎ポリマー含有分散体の製造方法。
  5. 前記金属水酸化物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または、水酸化リチウムである、請求項1から4のいずれかに記載の耐炎ポリマー含有分散体の製造方法。
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