JP2009091101A - エレベータのエミュレーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規CPU15で旧CPU用に記述された制御プログラム21の各命令の実行時間Tを正確に再現する。
【解決手段】旧CPU用に記載された制御プログラム21の各命令を旧CPUで実行した場合の各規定実行時間Tを記憶保持する。そして、この制御プログラム21の各命令を新規CPUで順次エミユレーション処理していく過程で、各命令をエミユレーション処理する処理時間Teを計時し、当該命令の規定実行時間Tから実際の処理時間Teを減算した余時間Taを算出する。そして、一つの命令に対するエミュレーション処理の実行終了後からさらに余時間Ta経過後に、次の命令に対するエミュレーション処理の実行を開始する。
【選択図】 図5
【解決手段】旧CPU用に記載された制御プログラム21の各命令を旧CPUで実行した場合の各規定実行時間Tを記憶保持する。そして、この制御プログラム21の各命令を新規CPUで順次エミユレーション処理していく過程で、各命令をエミユレーション処理する処理時間Teを計時し、当該命令の規定実行時間Tから実際の処理時間Teを減算した余時間Taを算出する。そして、一つの命令に対するエミュレーション処理の実行終了後からさらに余時間Ta経過後に、次の命令に対するエミュレーション処理の実行を開始する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、ビル等の建屋に設置されたエレベータの動作を予め定められた制御プログラムに従って制御するエレベータ制御装置内に組込まれ、旧CPU用に記載された制御プログラムの各命令を新規CPUでエミユレーション処理にて実行するエレベータのエミュレーション装置に関する。
ビル等の建屋に組込まれた1台又は複数台のエレベータからなるエレベータシステムにおいては、各階のエレベータホールに設置されている乗場呼び登録装置の利用客によるボタン操作で乗場呼びが登録される。乗場呼びが登録されると、上記複数のエレベータのうちから、例えば、応答時間が最も短い1台のエレベータに該当ホール呼びを割当てる。その結果、当該エレベータのかごが、ホール呼びが登録された階に移動してドアを開く。利用客がそのエレベータのかごに乗込み、かご内に設けられたかご呼び登録装置のボタンで行き階を指定すると、ドアが閉じ、エレベータのかごは指定階への移動を開始する。
上述したエレベータシステムに組込まれた例えばコンピュータからなるエレベータ制御装置は、上述したエレベータの基本的な動作を、予め定められた制御プログラムに従って制御する。
一方、エレクトロニクス技術の発達に伴い、上述したエレベータ制御装置にも、印刷配線基板上に、CPU、ROM、RAM、各種インターフェース、各種入出力回路等が実装されたマイクロコンピュータが採用されるようになってきた。
そして、このマイクロコンピュータからなるエレベータ制御装置のROMに前述した制御プログラムが書込まれている。そして、CPUは、このROMに書込まれている制御プログラムの各命令を順番に読出して実行していく。
建屋に組込まれたエレベータシステムは、例えば該当建屋の竣工に合わせて稼働開始してから当該建屋が老朽化して立て替えるまでの長期間に亘って稼働し続ける場合が多い。この長期間に亘る稼働期間においては、マイクロコンピュータからなるエレベータ制御装置を構成するCPU等の電子部品は稼働当初に組込まれCPUが故障する場合もある。しかし、この故障発生時点では、同一規格のCPUは生産中止となり、メーカ在庫もない場合が一般的である。
一方、制御プログラムで制御されるエレベータの各種の機器、表示器、各呼び登録装置は、CPUに比較して故障も少なく長寿命である。このような場合、制御プログラムはそのままで、現在時点で存在する新規のCPUを用いて当該制御プログラムを実行すればよい。
しかし、CPUが制御プログラムの各命令を実行する際の命令コードは、CPUの種類やシリーズ毎に異なったコード体系を有している。例えば、あるCPUでは命令コード[00]が書込を示す命令であったとしても、別のCPUでは、命令コード[00]は読出しを示す命令である。そのため、前述したように、旧CPU用に記述された制御プログラムを新規CPUで実行すると、エレベータが誤動作する懸念がある。
そこで、旧CPU用に記述された制御プログラムを命令コード体系の異なる新規CPUで実行する技術として、ソフトウェアエミュレーション手法が開発されている。このエミュレーション手法においては、エミュレーション対象ソフトウェア(旧CPU用に記述された制御プログラム)の命令コードを1つずつ読出して、この命令コードの意味する書込、読出等の実際の処理内容と同一の処理内容を示す新規CPUが理解する命令コードに変換して、この変換された命令コードを新規CPUで実行させる。
この場合、新規CPUは、制御プログラムの一つの命令を実行する手順として、該当命令の命令コードを読取る。読取った命令コードを同一意味を有した新規CPUの命令コードにコード変換する。次に、この変換した命令コードを実行する。したがって、結果的に、新規CPUは、制御プログラムの一つの命令をコード変換処理を含む複数の処理で実行することになる。
したがって、このエミュレーション処理を実施するエミュレーション装置内に組込まれた新規CPUは、エミュレーション対象の旧CPUよりも充分に高速動作する必要がある。そのため、このエミュレーション装置が組込まれたエレベータ制御装置に接続された、制御プログラムで制御されるエレベータの各種の機器、表示器、各呼び登録装置とのインターフェース部分は、元々の制御プログラムで想定している規定タイミングより速いタイミングで動作する。
したがって、エミュレーション装置の制御対象に対する制御タイミングを、処理速度が低い旧CPUを用いた場合の制御タイミングに調整する必要がある。この制御タイミングを調整する手法が特許文献1の「エミュレート装置及び主ミュレート方法」に提案されている。この提案では、新規CPUにおける一定間隔毎に命令の実行数を監視し、エミュレーション対象の旧CPUにおける本来の一定間隔毎の実行数との差が生じた場合には、新規CPUにおけるエミュレーション処理を一時停止(待機)して両者間のタイミング調整を行っている。また、他の方法としては、ユーザの目に触れる表示部分の制御でタイミング調整を行う方法がある。
特開2007―4719号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたエミュレーション手法においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
すなわち、外部に対する制御のタイミング調整は行っているものの、命令1つ1つのエミュレーション処理の実行時間はエミュレーション対象の旧CPUでの実行時間とは当然一致しない。しかしながら、エレベータの動作を制御する制御プログラムにおいては、エレベータのかごの移動制御とドアの開閉制御との関係のように、エミュレーション対象となる制御プログラムに、実行する命令の種類によって微妙な制御タイミングを設定している場合がある。このような場合においては、制御プログラムの各命令の実行時間の絶対時間や、各命令の各実行時間の大小関係も、エミユレーション装置で忠実に再現される必要がある。
また、上記特許文献1のエミュレート手法においては、このエミュレート装置内に組込まれたエミュレーション処理を実行する新規のCPUに対して、エミュレーション処理以外の付加的な一般的なアプリケーション処理を、このエミュレーション処理と同時に実行することは困難であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エレベータの動作を制御する旧CPU用に記述された制御プログラムの各命令を新規CPUで順次エミユレーション処理を実行していく過程において、旧CPUで制御プログラムの各命令を実行した時の各命令の実行時間を確実に再現でき、さらに、余裕処理能力を利用して、エミュレーション処理以外の付加的な一般的なアプリケーション処理をも実行することができ、たとえ制御プログラムを実行するCPUが変更になったとしても、エレベータに対する制御精度を十分に維持できるエレベータのエミユレーション装置を提供することを目的とする。
上記課題を解消するために、本発明は、予め定められた制御プログラムに従ってエレベータの動作を制御するエレベータ制御装置内に組込まれ、第1のCPU用に記載された制御プログラムの各命令に対して第2のCPUにてエミュレーション処理を順次実行するエレベータのエミュレーション装置において、
制御プログラムの各命令を第1のCPUで実行した場合の規定実行時間を記憶する実行時間記憶手段と、制御プログラムの各命令を順次エミュレーション処理を第2のCPUで実行する場合に実行開始から実行終了までの処理時間を計時する処理時間計時手段と、この処理時間計時手段で計時された各命令の処理時間を対応する各命令の規定実行時間から減算した各余時間を算出する余時間算出手段と、制御プログラムの一つの命令に対する第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後からさらに算出された余時間経過後に、制御プログラムの次の命令に対する第2のCPUによるエミュレーション処理の実行を開始する実行開始時間調整手段とを備えている。
制御プログラムの各命令を第1のCPUで実行した場合の規定実行時間を記憶する実行時間記憶手段と、制御プログラムの各命令を順次エミュレーション処理を第2のCPUで実行する場合に実行開始から実行終了までの処理時間を計時する処理時間計時手段と、この処理時間計時手段で計時された各命令の処理時間を対応する各命令の規定実行時間から減算した各余時間を算出する余時間算出手段と、制御プログラムの一つの命令に対する第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後からさらに算出された余時間経過後に、制御プログラムの次の命令に対する第2のCPUによるエミュレーション処理の実行を開始する実行開始時間調整手段とを備えている。
このように構成されたエレベータのエミュレーション装置においては、第1のCPU用に記載された制御プログラムの各命令を第1(旧)のCPUで実行した場合の各実行時間が規定実行時間として予め記憶保持されている。そして、この制御プログラムの各命令を第2(新規)のCPUで順次エミユレーション処理していく過程で、各命令をエミユレーション処理する処理時間を計時し、当該命令の規定実行時間から実際の処理時間を減算した余時間を算出する。そして、一つの命令に対するエミュレーション処理の実行終了後からさらに算出された余時間経過後に、次の命令に対するエミュレーション処理の実行を開始する。
したがって、第2のCPUで順次エミユレーション処理を順次実行していく過程において、第1のCPUで制御プログラムの各命令を実行した時の各命令の実行時間を確実に再現できる。
また、別の発明は、上記発明のエレベータのエミュレーション装置において、制御プログラムの一つの命令に対する第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後から次の命令に対するエミュレーション処理の実行開始までの余時間にエレベータの動作状態をモニタするモニタ手段を備えている。
前述したように、エミュレーション処理を行う第2のCPUの処理速度は第1のCPUの処理速度に比較して格段に高く設定されている。したがって、第2のCPUは、エミュレーション処理を終了しても、規定実行時間に達する迄に余時間が生じるので、この余時間を利用して、第2のCPUは、エミュレーション処理以外の付加的な一般的なアプリケーション処理として例えばエレベータの動作状態をモニタするモニタ手段を実行することが可能である。
また、別の発明は、上記発明のエレベータのエミュレーション装置において、余時間に、モニタ手段にてモニタされたエレベータの動作状態をエレベータ制御装置に通信回線を介して接続された監視センターへ送信する監視手段を備えている。
また、別の発明は、上記発明のエレベータのエミュレーション装置において、前記余時間に当該命令の実行結果を記憶する記憶部に対するメモリチェックを行うメモリチェック手段を備えている。
さらに、別の発明においては、このメモリチェック手段におけるチェック結果に基づいて実行結果の異常有無を判定し、異常判定したとき、エレベータの動作を停止する異常検出手段を備えている。
このように、制御プログラムの一つの命令に対する第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後から次の命令に対するエミュレーション処理の実行開始までの余時間において、エミュレーション処理以外の付加的な一般的なアプリケーション処理をも実行することができるので、エレベータに対する監視、及び安全運転をより確実にできる。
本発明においては、制御プログラムの各命令を順次エミユレーション処理を順次実行していく過程において、第1(旧)のCPUで制御プログラムの各命令を実行した時の各命令の実行時間を確実に再現でき、さらに、余裕処理能力を利用して、エミュレーション処理以外の付加的な一般的なアプリケーション処理をも実行することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明のエレベータのエミュレーション装置が組込まれたエレベータシステムの概略構成図である。建屋内に形成された昇降路1内に主ロープ2にシーブ3を介してかご4、及び釣合錘5が懸架され、この主ロープ2を昇降路1内の天井近傍の側壁に固定された巻上機6で巻き上げることによってエレベータのかご4を昇降路1内で上下移動することが可能となる。電動機が組込まれている巻上機6は駆動部7内に組込まれたインバータ制御部にて駆動される。そして、駆動部7は、エレベータシステム全体の動作を制御するエレベータ制御装置8からのかご4の移動階を指定した移動指令が印加される。
このエレベータ制御装置8には、各階のエレベータホールに設置されている乗場呼び登録装置9からの乗場呼び、かご4内に設けられたかご呼び登録装置10からのかご呼びが入力される。さらに、このエレベータ制御装置8に遠隔監視端末11がシリアル伝送路で接続され、この遠隔監視端末11に一般の電話回線網等の通信回線を介して中央監視センター12が接続されている。そして、エレベータ制御装置8は、乗場呼び登録装置9からの乗場呼び、かご呼び登録装置10からのかご呼びに応じてかご4を各呼びが指定する階へ移動する移動指令を駆動部7へ出力する。
このエレベータ制御装置8内には、図2に示すように、エミュレーション装置13が組込まれている。図2において、バスライン14に対して、第2のCPUとしての新規CPU15、タイマ16、各種可変データを記憶するメモリが形成されているRAM17、ROM18、前記遠隔監視端末11との間で各種情報交換を実施するインタフェース回路19、前記乗場呼び登録装置9からの乗場呼び及びかご呼び登録装置10からのかご呼びが入力されるとともに各表示器に対して表示データを送信するインタフェース回路20が接続されている。なお、駆動部7に対するかご4の移動制御指令もこのインタフェース回路20を介して送出jされている。
新規CPU15は、本来、バスライン14に接続されていた第1のCPUとしての旧CPUが故障したので、この旧CPUに代えて、バスライン14に接続したCPUである。この新規CPU15の命令コード体系は、旧CPUの命令コード体系と完全に一致していなくて不一致の部分か多々ある。また、新規CPU15は後述するように、旧CPU用に記載された制御プログラム21の各命令をエミュレーション処理するので、新規CPU15の処理速度は、旧CPUの処理速度に対して格段に高く設定されている。
ROM18内には、エミュレーション対象ソフトとしての前述した旧CPU用に記載された制御プログラム21、エミュレーション処理を実施するためのエミュレーションプログラム22、コード変換テーブル23、及び命令実行時間テーブル24が設けられている。
すなわち、このエミュレーション装置13は、旧CPUが正常動作していた状態のエレベータ制御装置8の旧CPUを新規CPU15に置き換え、かつ、ROM18内に、エミュレーションプログラム22、コード変換テーブル23、及び命令実行時間テーブル24を追加したものである。
命令実行時間テーブル24内には、図3に示すように、制御プログラム21の各プログラムステップSPの命令(旧命令コードCDA)とこの命令を旧CPUで実行した場合の規定実行時間Tが予め測定されて記憶されている。
コード変換テーブル23内には、図4に示すように、旧CPU向けに記述された制御プログラム21の各命令コードCDA毎に、新規CPU15の同一処理内容を指示する新規CPUの命令コードCDNが記憶されている。
タイマ16は、新規CPU15にて、起動されると計時を開始する。さらに、このタイマ16は、新規CPU15にて、余時間Taが初期設定され起動されると、余時間Taを減額更新していき、余時間Taが「0」まで、減額されると、新規CPU15に対して、タイマ割込をかける。
図5は、このような構成のエミュレーション装置13のエミュレーションプログラム22に設定されたエミュレーション装置13が行う各処理の概要を示す機能ブロック図である。
命令コード読出部25は、エレベータ制御装置8の電源がされると、ROM18の制御プログラム21の1つの命令コードCDAを読出して、命令コード変換部26へ送出する。また、処理時間計時部28は、命令コード読出部25が1つの命令コードCDAの読出しを開始すると、タイマ16を起動して、当該命令コードCDAに対するエミュレーション処理の処理時間の計時を開始する。
命令コード変換部26は、入力した旧CPU向けの命令コードCDAを、コード変換テーブル23を用いて、新規CPU15向けの命令コードCDNに変換する。そして、命令実行部27は、この新規CPU15向けにコード変換された命令コードCDNを実行する。命令実行部27は、実行結果をRAM17に形成されたメモリに書込むと共にインタフェース回路20を介して駆動部7へ送出して、実際のエレベータを駆動制御する。
命令実行部27は、制御プログラム21の命令コードCDAの読み出し開始から、実行結果の出力終了時刻までのエミュレーション処理が終了すると、処理時間計時部28に対して終了通知を送付する。
処理時間計時部28は、終了通知を受領すると、タイマ16の計時動作を停止して、このタイマ値を当該命令のエミュレーション処理時間Teと決定する。そして、エミュレーション処理時間Teを余時間算出部29へ送出する。余時間算出部29は、命令実行時間テーブル24の該当プログラムステップSPの対応する命令コードCDAの規定実行時間Tから、エミュレーション処理時間Teを減算して、余時間Taを算出する。
余時間Ta=規定実行時間T―エミュレーション処理時間Te
実行開始時間調整部30は、余時間Taをタイマ16に初期設定して、減額起動する。余時間Taが「0」まで、減額されると、タイマ16からのタイマ割込みを受けて、命令コード読出部25に対して、次の一つの命令コードCDAに対する読出しを指示する。
実行開始時間調整部30は、余時間Taをタイマ16に初期設定して、減額起動する。余時間Taが「0」まで、減額されると、タイマ16からのタイマ割込みを受けて、命令コード読出部25に対して、次の一つの命令コードCDAに対する読出しを指示する。
また、モニタ部31は、余時間Ta内において、例えば遠隔監視端末11からの送信要求に応じて、エレベータの動作状態をモニタして、インタフェース回路19、遠隔監視端末11を介して中央監視センター12へ送信する。よって、中央監視センター12で当該エレベータの動作状態を監視できる。
また、メモリチェック部32は、余時間Ta内において、RAM17のメモリ内に書込まれている各命令の実行結果のデータをチェックする。そして、異常検出部33は、データをチェックにおける異常有無を判定し、異常判定したとき、エレベータの動作を停止する。
図6は、このように構成されたエレベータのエミュレーション装置13の全体動作を示す流れ図である。
エレベータ制御装置8の電源が投入され、制御プログラム21に対する実行指令が入力すると(ステップS1)、制御プログラム21のプログラムステップSPを初期化する(S2)。SP=1。
そして、タイマ16に、初期値=0を設定して、タイマ16を起動して、当該命令コードCDAに対するエミュレーション処理の処理時間Teの計時を開始する(S3)。
制御プログラム21のプログラムステップSPの命令コードCDAを読出して(S4)、コード変換テーブル23を用いて、この旧CPU用の命令コードCDAを新規CPU15用の命令コードCDNに変換する(S5)。そして、変換された命令コードCDNを実行する(S6)。タイマ16に計時されている現在の時間を当該命令コードCDAに対するエミュレーション処理時間Teとして読取る(S7)。
次に、命令実行時間テーブル24の該当プログラムステップSPの対応する命令コードCDAの規定実行時間Tを読取り(S8)、エミュレーション処理時間Teを減算して、余時間Taを算出する(S9)。
余時間Ta=規定実行時間T―エミュレーション処理時間Te
そして、余時間Taをタイマ16に初期設定して、減額起動する(S10)。そして、モニタ部31にて、エレベータの動作状態をモニタして、モニタ結果の中央監視センター12への送信を開始する(S11)。同時に、RAM17のメモリ内に書込まれている各命令の実行結果のデータのチェックを開始する(S12)。
そして、余時間Taをタイマ16に初期設定して、減額起動する(S10)。そして、モニタ部31にて、エレベータの動作状態をモニタして、モニタ結果の中央監視センター12への送信を開始する(S11)。同時に、RAM17のメモリ内に書込まれている各命令の実行結果のデータのチェックを開始する(S12)。
そして、タイマ16から、タイマ割込みが入力されると、このプログラムステップSPにて実行した命令コードCDAの規定実行時間Tが経過したので(S13)、モニタ動作を中断する。さらに、この時点でメモリチェックが終了していない場合は(S14)、一旦、メモリチェックを中断して、プログラムステップSPを更新する(S15)。SP=SP+1。
更新後のプログラムステップSPが最終のプログラムステップSPmを超えていないことを確認すると(S16)、S3へ戻り、タイマ16に、初期値=0を設定して、タイマ16を起動して、次の命令コードCDAに対するエミュレーション処理の処理時間Teの計時を開始する(S4)。
また、タイマ割込みが入力された時点で、メモリチェックが終了している場合(S14)であっても、メモリチェック結果に異常が検出されないと(17)、S15へ進み、プログラムステップSPを更新する。メモリチェック結果に異常が検出されると、エレベータの動作を停止する(S18)。
また、S16にて、更新後のプログラムステップSPが最終のプログラムステップSPmを超えた場合は、制御プログラム21に対する実行処理が終了したので、この流れ図を終了する。
このように構成されたエレベータのエミュレーション装置13においては、旧CPU用に記載された制御プログラム21の各命令コードCDAを旧CPUで実行した場合の各規定実行時間Tが予め命令実行時間テーブル24に記憶保持されている。そして、この制御プログラム21の各命令コードCDAを新規CPU15の各命令コードCDNに変換して順次実行(エミユレーション処理)していく過程で、各命令をエミユレーション処理する処理時間Teを計時し、当該命令の規定実行時間Tから実際の処理時間Teを減算した余時間Taを算出する。そして、一つの命令に対するエミュレーション処理の実行終了後からさらに余時間Ta経過後に、次の命令に対するエミュレーション処理の実行を開始する。
したがって、新規CPU15で順次エミユレーション処理を実行していく過程において、旧CPUで制御プログラム21の各命令を実行した時の各命令の実行時間を確実に再現できる。よって、たとえ制御プログラム21を実行する旧CPUが新規CPU15に変更になったとしても、エレベータに対する制御精度を十分に維持できる。
また、制御プログラム21の一つの命令に対する新規CPU15によるエミュレーション処理の実行終了後から次の命令に対するエミュレーション処理の実行開始までの余時間Taにおいて、エミュレーション処理以外の、エレベータ動作のモニタ処理、メモリチェック処理、異常検出処理等の付加的な一般的なアプリケーション処理をも実行することができるので、エレベータに対する監視、及び安全運転をより確実にできる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば第1のCPUと第2のCPUとが、同一時期に製造された、互いに処理速度、及び命令コード体系が異なるCPUの組合せであってもよい。
1…昇降路、4…かご、6…巻上機、7…駆動部、8…エレベータ制御装置、9…乗場呼び登録装置、10…かご呼び登録装置、11…遠隔監視端末、12…中央監視センター、13…エミュレーション装置、14…バスライン、15…新規CPU、16…タイマ、17…RAM、18…ROM、19,20…インタフェース回路、21…制御プログラム、22…エミュレーションプログラム、23…コード変換テーブル、24…命令実行時間テーブル、25…命令コード読出部、26…命令コード変換部、27…命令実行部、28…処理時間計時部、29…余時間算出部、30…実行開始時間調整部、31…モニタ部、32…メモリチェック部、33…異常検出部
Claims (5)
- 予め定められた制御プログラムに従ってエレベータの動作を制御するエレベータ制御装置内に組込まれ、第1のCPU用に記載された前記制御プログラムの各命令に対して第2のCPUにてエミュレーション処理を順次実行するエレベータのエミュレーション装置において、
前記制御プログラムの各命令を前記第1のCPUで実行した場合の規定実行時間を記憶する実行時間記憶手段と、
前記制御プログラムの各命令を順次エミュレーション処理を前記第2のCPUで実行する場合に実行開始から実行終了までの処理時間を計時する処理時間計時手段と、
この処理時間計時手段で計時された各命令の処理時間を対応する各命令の規定実行時間から減算した各余時間を算出する余時間算出手段と、
前記制御プログラムの一つの命令に対する前記第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後からさらに前記算出された余時間経過後に、前記制御プログラムの次の命令に対する前記第2のCPUによるエミュレーション処理の実行を開始する実行開始時間調整手段と
を備えたことを特徴とするエレベータのエミュレーション装置。 - 前記制御プログラムの一つの命令に対する前記第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後から次の命令に対するエミュレーション処理の実行開始までの余時間に前記エレベータの動作状態をモニタするモニタ手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのエミュレーション装置。
- 前記余時間に、前記モニタ手段にてモニタされたエレベータの動作状態を前記エレベータ制御装置に通信回線を介して接続された監視センターへ送信する監視手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のエレベータのエミュレーション装置。
- 前記制御プログラムの一つの命令に対する前記第2のCPUによるエミュレーション処理の実行終了後から次の命令に対するエミュレーション処理の実行開始までの余時間に当該命令の実行結果を記憶する記憶部に対するメモリチェックを行うメモリチェック手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータのエミュレーション装置。
- 前記メモリチェック手段におけるチェック結果に基づいて前記実行結果の異常有無を判定し、異常判定したとき、エレベータの動作を停止する異常検出手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のエレベータのエミュレーション装置。
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JP2014001079A (ja) * | 2013-10-08 | 2014-01-09 | Japan Elevator Service Co Ltd | 遠隔監視支援装置、遠隔監視システム、遠隔監視支援プログラムおよび遠隔監視プログラム |
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