JP2009089469A - コンバータ装置及びモジュール - Google Patents
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Abstract
電源電圧位相センサを用いずに、コンバータ装置を制御するために必要な交流電圧位相初期値,電源周波数,相順,電源電圧及び負荷を推定する手段を実現し、安定した起動が出来るコンバータ装置及びモジュールを提供する。
【解決手段】
コンバータ装置が起動前に、直流側に負荷があり、ダイオード整流動作の状態で、交流電流を検出し、検出した交流電流信号より電圧位相,周波数,相順,電源電圧及び負荷を推定することと、起動時の直流コンデンサの昇圧処理及び位相調整処理により、安定した起動が達成できる。
【選択図】図1
Description
図1は本発明の実施例の交流を直流に変換するコンバータ装置である。
図2に、前記コンバータ装置における、通常運転時の制御部6内のコンバータ制御に関する構成図を示す。
指令電圧演算処理は、検出された交流電流(iu,iv)を3/2変換器14でdc−qc軸座標上の値(idc,iqc)へ変換し、それぞれの指令値(idc *,iqc *)との偏差を求め、ベクトル制御器11を介して指令電圧(Vd *,Vq *)を算出する。
先ず、本実施例のコンバータ装置の起動条件(前提条件)について説明する。
以下は、コンバータ装置が起動する前のダイオード整流電流信号から電源位相,周波数,相順及び負荷の推定方法について説明する。
図4に、ダイオード整流電流信号による制御系位相と周波数の自動調整ブロック図に示し、図7に位相調整制御のシミュレーション結果を示す。
ここで、ダイオード整流時には、電源電流が交流側のリアクトルや直流コンデンサの影響を受けるため、dc軸電流の直流分量の理論値は0ではない。言い換えると、上記位相検出値に多少誤差が残る。そこで、以下の二つの方法で、位相の検出誤差を低減する。
次に電源周波数の検出方法について説明する。
次に電源の相順の検出方法について説明する。
次にコンバータの入力電流の有効電流成分の推定について説明する。
次に電源電圧の推定方法について説明する。
三相ダイオード整流器の直流電圧(Edc)は、一定負荷以上の場合(電流連続モード)、電源の相電圧振幅値(Vs)との関係は次式で表われる。
しかし、交流リアクトルや電源インピダンスなどの影響で、入力電流が変化すると、電源電圧の変動が無くても、直流電圧が図9に示す直流電圧変動曲線24のように変動する。そこで、入力電流の大きさを用いて、(2)式に電源電圧推定値の補償成分を追加すれば、この影響を抑えられる。また、演算処理を簡単化するために、起動前のqc軸電流と直流電圧の関係を直線25に線形近似すると、実際の演算式は(3)式となる。
なお、本実施例では、コンバータ装置の負荷が所定値以上ないと動作させない設定としている。上記推定した有効電流成分と電源電圧の積を計算し、コンバータの交流側の入力電力を求めれば、負荷が消費している電力が推定できる。
次にコンバータ起動時の直流昇圧方法について説明する。
以上説明した位相,周波数,相順,負荷,電源電圧の推定方法を用いて、制御系の初期値を設定して、コンバータ装置の起動ができる。
図10に、位相微調整時のコンバータの制御系を示す。図10は、図2に示す制御構成の一部(位相推定処理周辺)を抜き出して記載したものであり、図2の位相推定器12を位相微調整器26に変更した構成となっている。
(1)制御系位相微調整以外のフィードバック制御をしない。
(2)三相コンバータのdc−qc軸出力指令値Vd *=0,Vq *=Vsとする。ここで
、Vsは前記推定した電源電圧の相電圧振幅値である。
(3)前記推定した制御系位相(θdc)を用いて、dc−qc軸出力指令値(Vd *,V q *)を三相指令値へ逆変換して、各相のPWM制御信号を作成する。
(4)前記推定した電源周波数を用いて、位相増分量を算出して、前記制御系位相(θ dc)を更新する。
よって、検出したdc軸電流を利用して、制御系位相θdcの微調整を行う。
(1)推定した制御系位相を用いて、検出した交流電流をdc−qc軸へ変換する。
(2)dc軸電流idc>(+Idc_lim)の場合、制御系位相にΔθ0を加算する;
idc<(−Idc_lim)の場合、制御系位相にΔθ0を減算する;
(−Idc_lim)<idc<(+Idc_lim)の場合、何もしない。
ここで、Idc_limは、位相調整用電流リッミタ値である。即ち、dc軸電流の 絶対値がこの値以下の場合、位相差が小さいので、位相調整が不要と判断する。 Δθ0は一回の位相調整ステップ量である。この値は、位相微調整処理の1周期 に対応の位相増分量に設定すれば良い。
(3)上記方法で調整した位相を用いて、dc−qc軸出力指令値(Vd *=0,Vq *= Vs)を三相指令値へ逆変換して、各相のPWM制御信号を出力する。
(4)上記調整は短時間内、数回繰返す。
(5)上記位相調整結果をまとめて起動時の位相補償量として保存する。次の起動時は 、推定した制御系位相に前回保存した位相補償量を直接加算することにより、初 期位相誤差の低減ができる。
以上、位相,周波数,相順,負荷,電源電圧の推定方法及び起動直後の位相微調整方法について説明してきた。以上の方法により、起動時過電流や過電圧を抑制することは可能であるが、更に抑制するためには、起動シーケンスが重要である。
コンバータが停止状態で、入力交流電流と直流電圧を検出し、先に説明した電源位 相,周波数,相順,電源電圧及び負荷の大きさ推定処理を行う。起動条件(電源位 相と周波数推定処理が終了、且つ推定負荷が所定値以上)をクリアすると、「昇圧 」処理へ行く。
直流コンデンサの充電処理を行う。コンバータ回路4の下アームもしくは上アーム の各スイッチング素子だけオン・オフ制御信号を与え、直流電圧を設定値まで徐々 に昇圧させる。また、昇圧中に、検出した位相と周波数を用いて、制御系位相を更 新する。
III.位相微調整
直流電圧が昇圧設定値に達したら、先に説明した通り、dc−qc軸の出力電圧指 令を固定しながら、検出電流を用いて、制御系位相の微調整を行い、位相誤差を更 に低減する。また、位相誤差の低減により、小型の交流リアクトルを用いても、起 動時過電流の抑制ができる。
IV.通常運転
制御系位相を微調整した後は、図2に示す通常の電源電圧位相センサレス制御へ切 り替える。
本発明を利用すれば、交流電圧や位相センサが省略できるので、制御基板の小型化とコストの低減ができる。また、短時間でスムーズな(過電圧,過電流現象なし)起動できるコンバータ装置を提供することができる。
2 リップルフィルタ
3 リアクトル
4 コンバータ回路
5 平滑コンデンサ
6 制御部
7a,7b 交流電流検出回路
8 直流電圧検出回路
9 負荷
10 電圧制御器
11 ベクトル制御器
12 位相推定器
13 2/3変換器
14 3/2変換器
15 PWM制御器
16 ローパスフィルタもしくは平均処理器
17 比例・積分制御器もしくは積分制御器
18 積分器
19 dc軸電流
20 dc軸電流の直流成分
21 電源電圧の実位相
22 制御系位相
23 サンプル&ホールド
24 直流電圧変動曲線
25 直流電圧変動の近似直線
26 位相微調整器
101 制御基板
102 半導体素子(パワーモジュール)
Claims (20)
- 入力側がリアクトルを介して交流電源に接続され、出力側の直流端子間に平滑コンデンサが接続され、交流を直流に変換するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の交流電流を検出する電流検出回路と、前記コンバータを制御する制御手段を備えたコンバータ装置において、
前記コンバータ回路の起動前に、前記電流検出回路で検出した電流を用いて前記交流電源の周波数,位相、又は、相順を推定することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項1において、
前記交流電源の周波数と位相の推定は、
前記電流検出回路から検出した電流信号を制御系位相により回転座標(dq軸座標)へ変換し、d軸電流成分から直流成分を抽出し、前記直流成分が0もしくは所定値になるように周波数調整分を算出し、前記周波数調整分と制御系の周波数初期値を加算することにより制御系周波数を算出し、前記周波数を積分することにより制御系位相を算出し、前記制御系位相をフィードバックすることにより推定することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項2において、
前記交流電源の位相の推定値に位相補償量を加算することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項2において、
前記直流成分が0もしくは所定値になるように周波数調整分を算出するために、
比例補償器、もしくは積分比例補償器を使用することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項3において、
サンプル&ホールドを用いて前記制御系の周波数の初期値を周期的更新することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項2において、
前記制御系周波数もしくは前記d軸電流分量の直流成分が所定時間以上、安定するか否かにより、電源の相順を判断することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項1において、
前記電流検出回路から検出した電流信号を回転座標(dq軸座標)へ変換し、d軸電流成分から直流成分を抽出し、
前記d軸電流の直流成分が0になるように、前記dq軸座標変換用の位相を調整することにより、q軸電流の直流成分から前記コンバータ装置の入力電流の有効成分を推定することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項7において、
コンバータ回路の直流電圧を検出し、前記直流電圧の検出値により、電源電圧を推定することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項7において、
前記推定した入力電流の有効成分(Iq)と前記直流電圧の検出値を用いて、
下記近似演算式により、前記電源電圧の相電圧振幅値(Vs)を推定することを特徴とするコンバータ装置。
Vs=(Edc+Ki×Iq)×0.6
ここで、Kiが演算用定数(電源電圧の定格値により調整する)。 - 請求項7において、
前記推定した電源電圧と、前記推定した入力電流の有効成分により、入力電力を計算し、直流負荷の大きさを推定することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項10において、
前記推定した直流負荷の大きさ,前記推定した入力電流の有効成分、もしくは前記推定した入力電流の大きさが、所定値より大きい場合、前記コンバータ装置を起動することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項1において、
前記コンバータ装置が起動前に、前記コンバータ回路を構成するスイッチング素子群のうち、上アームのスイッチング素子群もしくは下アームのスイッチング素子群にオン・オフ制御信号与え、前記オン・オフ信号のパルス幅を調整することにより、前記平滑コンデンサの直流電圧を所定値に制御することを特徴とするコンバータ装置。 - 入力側がリアクトルを介して交流電源に接続され、出力側の直流端子間に平滑コンデンサが接続され、交流を直流に変換するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の交流電流を検出する電流検出回路と、前記コンバータを制御する制御手段を備えたコンバータ装置において、
前記コンバータ回路の起動前に、前記電流検出回路から検出した電流信号を制御系位相により回転座標(dq軸座標)へ変換し、d軸電流成分から直流成分を抽出し、前記直流成分が0もしくは所定値になるように周波数調整分を算出し、前記周波数調整分と制御系の周波数初期値を加算することにより制御系周波数を算出し、前記周波数を積分することにより制御系位相を算出し、前記制御系位相をフィードバックすることにより前記交流電源の位相,周波数,相順,電源電圧,入力電流、又は、直流負荷の大きさを推定するコンバータ装置。 - 請求項13において、
推定した情報を用いて、制御系の初期値を設定し、前記スイッチング素子群のオン・オフ動作により直流電圧を所定値まで昇圧した後の短時間に、
無効電力分量(d軸)の出力電圧指令を0、有効電力分量(q軸)の出力電圧指令を電源電圧に固定して、前記交流検出回路から検出した電流信号により制御系の位相微調整を行うことを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項15において、
前記位相調整量を、前記d軸電流の大きさが所定値以上の場合、所定の調整ステップ値とし、前記d軸電流の大きさが所定値未満の場合、0として制御系位相の微調整を行い、起動時過電流過電圧を抑えることを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項15において、
前記制御系位相の微調整を行う同時に、位相調整量を位相補償量に累算して、次回起動時に、前記位相補償量を用いることにより、起動時初期位相誤差を低減することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項14において、
前記コンバータ装置が起動前に、前記コンバータ回路を構成するスイッチング素子群のうち、上アームのスイッチング素子群もしくは下アームのスイッチング素子群にオン・オフ制御信号与え、前記オン・オフ信号のパルス幅を調整することにより、前記平滑コンデンサの直流電圧を所定値に昇圧することを特徴とするコンバータ装置。 - 請求項18において、
前記コンバータ装置が起動時に、請求項13記載の推定処理、請求項18記載の昇圧処理,請求項14記載の位相微調整,通常の運転、の順番で行うことを特徴とするコンバータ装置。 - 入力側がリアクトルを介して交流電源に接続され、出力側の直流端子間に平滑コンデンサが接続され、交流を直流に変換するコンバータ回路と、前記コンバータ回路の交流電流を検出する電流検出回路と、前記コンバータを制御する制御手段を備えたモジュールにおいて、
前記コンバータ回路の起動前に、前記電流検出回路で検出した電流を用いて前記交流電源の周波数,位相、又は、相順を推定することを特徴とするモジュール。
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