JP2009087740A - 燃料電池の製造方法及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力密度が向上された燃料電池の製造方法及び燃料電池を提供する。
【解決手段】膜電極接合体を具備する燃料電池の製造方法であって、前記膜電極接合体1は、燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に介在された電解質膜8とを備える積層体に加熱プレスを施す工程と、前記積層体を水中で煮沸する工程とを具備する方法により製造されることを特徴とする燃料電池の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の各種携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可能とするために、これら携帯用電子機器の電源に燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料のみを補給すれば連続して長時間発電することができるという特徴を有している。このため、燃料電池を小型化できれば、携帯用電子機器の電源として極めて有利なシステムといえる。
直接メタノール型燃料電池(DMFC:direct methanol fuel cell)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯機器用の電源として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また内部気化型等のパッシブ方式が知られている。これらのうち、パッシブ方式はDMFCの小型化に対して有利である。
内部気化型等のパッシブ型DMFCにおいては、燃料タンク内に収容された液体燃料を気化させ、この液体燃料の気化成分を燃料極に供給している。液体燃料の気化成分の供給は、例えば液体燃料を燃料含浸層に含浸させ、この燃料含浸層から燃料気化層等を介して液体燃料の気化成分を燃料極に供給する手法が挙げられる(例えば特許文献1〜3参照)。
ところで、特許文献4,5には、カーボンペーパを耐圧容器にて95℃の熱水中に浸漬することにより、カーボンペーパに親水化処理を施し、これをアノード拡散層として用いることが記載されている。
しかしながら、特許文献4,5に記載のアノード拡散層を用いた燃料電池の出力密度は、十分なものではなかった。
特許第3413111号公報 特開2003−317791号公報 特許2004−014148号公報 特開2004−152571号公報 特開2004−152588号公報
本発明は、出力密度が向上された燃料電池の製造方法及び燃料電池を提供しようとするものである。
本発明に係る燃料電池の製造方法は、膜電極接合体を具備する燃料電池の製造方法であって、
前記膜電極接合体は、
燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に介在された電解質膜とを備える積層体に加熱プレスを施す工程と、
前記積層体を水中で煮沸する工程と
を具備する方法により製造されることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池は、前記製造方法により得られることを特徴とするものである。
本発明によれば、出力密度が向上された燃料電池の製造方法及び燃料電池を提供することができる。
前述した特許文献4,5のように熱水による浸漬処理が施されたカーボンペーパをアノード拡散層に用いた場合に、高い出力密度を得られなかった理由を以下に説明する。膜電極接合体を作製する工程では、燃料極と電解質膜と酸化剤極との接着強度を高めるためにこれらを加熱プレスで圧着する。その工程において、熱および圧力の影響で電解質膜の特性が大きく変化することがわかった。具体的には、高温により電解質膜中の水分が放出され、さらに圧力が加わることで電解質の分子間のスペースが圧縮されるため、電解質膜の水の透過度や導電率が大幅に低下することを究明した。その結果、電池反応が阻害され、電池出力も低下傾向を示すことになる。
そこで、本発明では、燃料極と電解質膜と酸化剤極との積層体に加熱プレスを施した後、積層体を水中で煮沸することによって、電解質膜の水の浸透性と導電性を向上させたのである。電解質膜には、例えば、高分子電解質が充填された多孔膜が使用される。積層体の状態で煮沸処理を施すことによって、高分子電解質に水分を浸透させて高分子の網目構造を広げることができるため、電解質膜の水の浸透性と導電性を向上することができる。このようにして得られた膜電極接合体を燃料電池に用いることによって、電池出力の安定化を図ることが可能になる。
煮沸方法であるが、ビーカー等の容器内に注いだ水中で煮沸する方法を採用することができる。その際、容器に積層体を固定した状態で煮沸処理を行っても良いし、容器に積層体を固定しない状態で煮沸処理を行っても良い。水量は膜電極接合体が十分に浸漬する深さとなる量が必要である。また、電解質膜と電極との接着力が低い場合には、電解質膜を挟んでいる電極の上下から煮沸中に押さえることも可能である。膜の部分のみを押さえてしわの発生を防止することもできる。煮沸時間は5分〜5時間程度が必要であり、あまり短時間であると十分に水が含浸しないために燃料電池として出力が上がらないが、必要以上に長時間煮沸しても特性の向上は得られない。好ましくは30分〜3時間程度である。また煮沸水に若干のメタノールやエタノールあるいはプロパノールのようなアルコールを添加するか、酸性水溶液を煮沸水に使用することで、水透過度や導電性をさらに向上させることができる。
なお、煮沸処理前に行われる加熱プレスの条件は、温度を110℃以上、180℃以下で、かつ圧力を10kg/cm2以上、100kg/cm2以下とすることが望ましい。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、それらの図面は図解のために提供されるものであり、本発明はそれらの図面に限定されるものではない。
図1は本発明の燃料電池をパッシブ型(内部気化型)DMFCに適用した一実施形態の構成を示す断面図である。図1に示すパッシブ型DMFCは、起電部を構成する膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)1と、燃料タンク2と、これらの間に配置された気液分離層3とを備えている。膜電極接合体1は、アノード触媒層4およびアノードガス拡散層5からなるアノード(燃料極)と、カソード触媒層6およびカソードガス拡散層7からなるカソード(酸化剤極/空気極)と、アノード触媒層4とカソード触媒層6との間に介在されたプロトン伝導性の電解質膜8とを備えている。
アノード触媒層4およびカソード触媒層6に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。具体的には、アノード触媒層4にはメタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を、またカソード触媒層6には白金やPt−Ni等を用いることが好ましい。さらに、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒、あるいは無担持触媒を使用してもよい。
アノード触媒層4に積層されるアノードガス拡散層5は、アノード触媒層4に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層4の集電体も兼ねている。一方、カソード触媒層6に積層されるカソードガス拡散層7は、カソード触媒層6に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層6の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層5にはアノード導電層9が積層され、カソードガス拡散層7にはカソード導電層10が積層されている。
電解質膜8は、多孔膜と、多孔膜に充填されたプロトン伝導性の高分子電解質とを有する。多孔膜の空孔内にプロトン伝導性の高分子電解質を充填したものを電解質膜として用いることによって、電解質膜の強度と寸法安定性を向上することができる。
電解質膜の厚さは特に限定されるものではないが、通常3〜200μm、好ましくは4〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。薄すぎると実用に耐える膜強度が得られず、厚すぎると電気抵抗が高くなり、燃料電池の電解質膜として好ましくない。膜厚は多孔膜の厚み等を適切に選択する事により制御できる。
多孔膜の厚さは、1〜200μmが好ましく、特に2〜20μmが求められる。さらに酸、アルカリ処理に対して劣化しないことが好まれる。材質としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどがあげられる。高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸などのスルホン酸基を有するポリマー等が挙げられる。燃料電池の出力特性向上の観点から、ポリスチレンスルホン酸を用いると良い。
電解質膜8は、例えば、以下に説明する方法で作製される。まず、スチレンスルホン酸エステルを含む電解質前駆体を多孔膜に充填する。電解質前駆体には、モノマーであるスチレンスルホン酸エステルの他に、架橋剤としてジビニルベンゼンや反応促進剤として過酸化ベンゾイルなどを含有させることができる。電解質前駆体から加熱重合によりポリスチレンスルホン酸エステルを合成する。次いで、ポリスチレンスルホン酸エステルに加水分解を施すことによりポリスチレンスルホン酸塩を形成する。加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液による加熱処理によって行われる。ひきつづき、ポリスチレンスルホン酸塩からプロトン置換により高分子電解質であるポリスチレンスルホン酸を得る。プロトン置換は、例えば、硫酸などの酸性水溶液による加熱処理によってなされる。
上記作製方法とは異なる方法として、多孔膜にポリスチレンを充填した後、濃硫酸でスルホン化処理する方法が考えられるが、硫酸のポリスチレンへの浸透が多孔膜によって阻害されるため、スルホン化が十分に進行しない。処理温度を上げるなど過酷な条件にすると、硫酸が多孔膜を分解する恐れがある。上記作製方法を採用することにより、高いプロトン伝導性を有する電解質膜を得ることができる。
アノード導電層9およびカソード導電層10は、例えば金のような導電性金属材料からなるメッシュや多孔膜、あるいは薄膜等で構成されている。なお、電解質膜8とアノード導電層9との間、および電解質膜8とカソード導電層10との間には、ゴム製のOリング11、12が介在されており、これによって膜電極接合体2からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
燃料タンク2の内部には、液体燃料Fとして各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が収容されている。メタノール水溶液の濃度は50モル%を超える高濃度にすることが望ましい。また、純メタノールの純度は、95重量%以上100重量%以下にすることが望ましい。これにより、エネルギー密度が高く、かつ出力特性に優れた小型の燃料電池を実現することができる。なお、液体燃料Fは必ずしもメタノール燃料に限られるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
燃料タンク2は膜電極接合体1側が開口されており、この開口部と膜電極接合体1との間に気液分離層3が設置されている。気液分離層3は、メタノール燃料Fの気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離膜(気体選択透過膜)である。気液分離層3には、例えば、メタノール透過性を有する撥水性膜を使用することができる。メタノール透過性を有する撥水性膜としては、例えば、シリコーンシート、ポリエチレン多孔膜、ポリプロピレン多孔膜、ポリエチレン−ポリプロピレン多孔膜、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜のようなフッ素樹脂多孔膜等を挙げることができる。ここで、メタノール燃料Fの気化成分とは、メタノール水溶液を使用した場合にはメタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合気体、純メタノールを使用した場合にはメタノールの気化成分を意味する。
気液分離層3とアノード導電層9の間には、フレーム13が配置されている。フレーム13で囲まれた空間は、アノードへの気化燃料の供給量を調整するための気化燃料収容室14として機能する。
膜電極接合体1のカソード導電層10上には保湿層15が積層されており、さらにその上にはカバー16が積層されている。カバー16は酸化剤である空気の取入れ量を調整する機能を有し、その調整はカバー16に形成された空気導入口17の個数やサイズ等を変更することで行う。保湿層15はカソード触媒層6で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制する役割を果たすと共に、カソードガス拡散層7に酸化剤を均一に導入することで、カソード触媒層6への酸化剤の均一拡散を促進する機能も有している。保湿層15は例えば多孔質構造の部材で構成され、具体的な構成材料としてはポリエチレンやポリプロピレンの多孔質体等が挙げられる。
保湿層15は、JIS P−8117−1998で規定される透気度が50秒/100cm3以下であることが望ましい。これは、透気度が50秒/100cm3を超えると、空気導入口17からカソードへの空気拡散が阻害されて高出力を得られない恐れがあるからである。透気度のさらに好ましい範囲は、10秒/100cm3以下である。
保湿層15は、JIS L−1099−1993 A−1法で規定される透湿度が6000g/m224h以下であることが望ましい。なお、上記透湿度の値は、JIS L−1099−1993 A−1法の測定方法で示されている通り、40±2℃の温度の値である。透湿度が6000g/m224hを超えると、カソードからの水分蒸発量が多くなり、カソードからアノードへの水拡散を促進する効果を十分に得られない恐れがあるからである。また、透湿度を500g/m224h未満にすると、過剰量の水がアノードへ供給されて高出力を得られない恐れがあることから、透湿度は、500〜6000g/m224hの範囲にすることが望ましい。透湿度のさらに好ましい範囲は、1000〜4000g/m224hである。
そして、燃料タンク2上に気液分離層3、膜電極接合体1、保湿層15、カバー16を順に積層し、さらにその上から例えばステンレス製の外装カバー(図示しない)を被せて全体を保持することによって、この実施形態のパッシブ型DMFCが構成されている。外装カバーにはカバー16に形成された空気導入口17と対応する部分に開口が設けられており、これにより酸化剤の取り入れ、並びにカソード触媒層6への拡散を可能としている。
上述した構成を有するパッシブ型DMFCにおいては、燃料タンク2内のメタノール燃料等の液体燃料Fが気化し、この気化成分が気液分離層3を透過して膜電極接合体1に供給される。膜電極接合体1内において、メタノール燃料Fの気化成分はアノードガス拡散層5で拡散されてアノード触媒層4に供給される。アノード触媒層4に供給された気化成分は、下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
なお、メタノール燃料Fとして純メタノールを使用した場合には、燃料タンク2から水蒸気が供給されないため、カソード触媒層6で生成した水や電解質膜8中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起するか、あるいは上記した(1)式の内部改質反応によらず、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応が生じる。
内部改質反応で生成されたプロトン(H+)は電解質膜8を伝導し、カソード触媒層6に到達する。カバー16の空気導入口17から取り入れられた空気(酸化剤)は、保湿層15、カソード導電層10、カソードガス拡散層7を拡散して、カソード触媒層6に供給される。カソード触媒層6に供給された空気は、次の(2)式に示す反応を生じさせる。この反応によって、水の生成を伴う発電反応が生じる。
(3/2)O2+6H++6e- → 3H2O …(2)
保湿層15は、発電反応によりカソード触媒層に生成した水の蒸散を抑制するため、発電反応が進行すると、カソード触媒層における水分貯蔵量が増加する。その結果、浸透圧現象によって、アノード触媒層側へ電解質膜を介して水が移動する。本発明の方法で製造された膜電極接合体を使用することによって、カソード触媒層からアノード触媒層への水の移動を促すことができる。また、電解質膜の導電率を向上することができる。これらの結果、高い出力密度を安定して得ることが可能となる。
なお、上述した実施形態においては、本発明の燃料電池をパッシブ型(内部気化型)DMFCに適用した例について説明したが、本発明は、燃料タンクの液体燃料の気化成分を燃料極側に供給するものに限られず、種々の燃料電池に適用可能である。例えば、液体燃料を燃料極に供給するアクティブ型DMFCへの適用が可能である。
[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
厚さ25ミクロンのポリエチレン多孔膜にスチレンスルホン酸エステル、ジビニルベンゼン及び過酸化ベンゾイルの混合物(電解質前駆体)を含浸させ、プレスで圧力をかけながら120℃、15分加熱しモノマー(スチレンスルホン酸エステル)を重合した。得られたポリスチレンスルホン酸エステルを加水分解してポリスチレンスルホン酸ナトリウムにするために、膜を30wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した。その後、膜を30wt%の硫酸中で3時間煮沸してプロトン置換によりスルホン酸基を生成させた。これにより、多孔膜中に充填した混合物にプロトン伝導性が付与され、電解質(ポリスチレンスルホン酸)として機能する。
PtRu合金(Pt:Ru=1:1)粒子が担持されたカーボンブラックからなるアノード触媒に、水及びメトキシプロパノールを添加し、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをカーボンペーパからなるアノードガス拡散層に塗布した後、乾燥することにより燃料極(アノード)を形成した。
Pt粒子が担持されたカーボンブラックからなるカソード触媒に、水及びメトキシプロパノールを加え、これらを混合することによりペーストを調製した。得られたペーストをカーボンペーパからなるカソードガス拡散層に塗布した後、乾燥することにより酸化剤極(カソード)を作製した。
得られた電解質膜の一方の面に燃料極を、かつ他方の面に酸化剤極を積層した。得られた積層体を125℃で5分間加熱しながら30kg/cm2の圧力でプレスした。この積層体に沸騰した水中で3時間煮沸を施すことにより膜電極接合体を作製した。
気液分離膜として、シリコーンゴムシートを用意した。また、保湿板として厚さが500μmで、透気度が2秒/100cm3(JIS P−8117−1998)で、透湿度が4000g/m224h(JIS L−1099−1993 A−1法)のポリエチレン製多孔質フィルムを用意した。
図1に示す内部気化型燃料電池に煮沸処理を行った膜電極接合体を取り付け、100%メタノールを注入してIV測定を行った。その結果を図2に示す。
(比較例1)
煮沸処理を行わずに膜電極接合体を作製すること以外は前述した実施例1で説明したのと同様にして内部気化型燃料電池を製造した。得られた燃料電池のIV測定結果を図2に示す。
図2から明らかな通りに、煮沸処理を行うことにより製造された膜電極接合体を用いる実施例1の燃料電池は、煮沸処理を行っていない膜電極接合体を用いる比較例1の燃料電池に比して、出力密度が高く、また、電圧カーブの平坦性にも優れていることがわかる。
(実施例2)
実施例1で説明したのと同様な方法で膜電極接合体を製造した。この膜電極接合体の燃料極に1Mのメタノール水溶液からなる液体燃料を供給し、酸化剤極に空気を供給することによってIV測定を行った。その結果を図3に示す。
(比較例2)
比較例1で説明したのと同様な方法で膜電極接合体を製造した。この膜電極接合体の燃料極に1Mのメタノール水溶液からなる液体燃料を供給し、酸化剤極に空気を供給することによってIV測定を行った。その結果を図3に示す。
図3から明らかな通りに、煮沸処理を行うことにより製造された膜電極接合体を用いる実施例2の燃料電池は、煮沸処理を行っていない膜電極接合体を用いる比較例2の燃料電池に比して、出力密度が高く、また、電圧カーブの平坦性にも優れていることがわかる。
また、図2と図3の結果を比較することにより、煮沸処理による効果は内部気化型の方に顕著に表れていることがわかる。これは、内部気化型では、燃料極への水供給がもっぱら電解質膜を介して行われるため、電解質膜の水透過性が電池性能に大きな影響を与えるからである。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の一実施形態による燃料電池の構成を示す断面図。 実施例1及び比較例1のパッシブ型DMFCにおける電流密度と電圧と出力密度との関係を示す特性図。 実施例2及び比較例2のアクティブ型DMFCにおける電流密度と電圧と出力密度との関係を示す特性図。
符号の説明
1…膜電極接合体、2…燃料タンク、3…気液分離層、4…アノード触媒層、5…アノードガス拡散層、6…カソード触媒層、7…カソードガス拡散層、8…電解質膜、9…アノード導電層、10…カソード導電層、11,12…シール材、13…フレーム、14…気化燃料収容室、15…保湿層、16…カバー、17…空気導入口。

Claims (5)

  1. 膜電極接合体を具備する燃料電池の製造方法であって、
    前記膜電極接合体は、
    燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に介在された電解質膜とを備える積層体に加熱プレスを施す工程と、
    前記積層体を水中で煮沸する工程と
    を具備する方法により製造されることを特徴とする燃料電池の製造方法。
  2. 前記電解質膜は、多孔膜と、前記多孔膜に充填された高分子電解質とを含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の製造方法。
  3. 前記高分子電解質は、ポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池の製造方法。
  4. 前記電解質膜は、
    スチレンスルホン酸エステルを含む電解質前駆体を前記多孔膜に充填する工程と、
    前記電解質前駆体から加熱重合によりポリスチレンスルホン酸エステルを合成する工程と、
    前記ポリスチレンスルホン酸エステルに加水分解を施すことによりポリスチレンスルホン酸塩を形成する工程と、
    前記ポリスチレンスルホン酸塩からプロトン置換により前記高分子電解質を得る工程と
    を具備する方法により製造されることを特徴とする請求項3記載の燃料電池の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1項記載の方法で製造されたことを特徴とする燃料電池。
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