一般に、かかる大型でかつ薄型の画像表示装置の製造では、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を表示装置として採用した画像表示装置では、反射板やバックライト装置を含めて大型の液晶ディスプレイ(LCD)を一体に組み込んだパネルモジュールと共に、所定の形状の筐体(枠体や背面板を含む)を用意し、当該筐体の内部に前記パネルモジュールと共に、当該装置に所望の電力を供給するための電源基板や、種々の入力信号(映像信号)に基づいて表示装置を駆動するための駆動回路基板等を組み込むことが行われる。
ところで、上述した大型でかつ薄型の画像表示装置では、そのデザイン性等をから、上記の電源基板や駆動回路基板等は、上記特許文献1〜4等にも開示されるよう、パネルモジュールの枠体や背面側に取り付ける構造が広く採用されている。加えて、近年においては、画面サイズの更なる大型化に伴い、上記パネルモジュールも、その面積が大型化して来ている。
かかるパネルモジュールは、一般的に、光の反射板となるアルミニウムなどの金属板により、厚さの薄い箱状に形成したフレーム内(底部)に、バックライト装置(細い蛍光管など)を配置し、その表面に大型の液晶ディスプレイ(LCD)を固定することにより構成される。しかしながら、上述したパネルモジュールの面積の大型化に伴い、パネルモジュールの機械的強度を確保することが必要なっており、例えば、上記の特許文献5にも開示されるように、フラットパネルの背面側において、その4つの角を結ぶ対角線に沿った形状、即ち、X字形状の支持部材を設ける構造が提案されている。
しかしながら、上記の従来技術、特に、上記の特許文献5に示されるX字形状の支持部材を設ける構造では、画像表示装置の薄型化において問題となり、必ずしも、実用化に適した支持構造とは言えないものであった。
そこで、本発明では、上述した従来技術における問題点に鑑みて達成されたものであり、より具体的には、画像表示装置の大型化によるパネルモジュールの面積の増大に伴う問題点を解消すると共に、当該パネルモジュールの背面における電源基板や駆動回路基板等の取り付け構造をも含め、装置の薄型化にも適する画像表示装置の支持構造を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明によれば、まず、大型で筐体内に、表示素子を外形略矩形の薄板状のフレーム上に搭載してなるパネルモジュールを取り付けてなる画像表示装置であって、前記パネルモジュールを構成する前記薄板状のフレームの外周に沿って形成された鍔部に、更に、補強部を形成し、前記薄板状のフレームの外周に沿って形成された補強部の対向する一対の間には、複数の支持部材を取り付けると共に、更に、当該複数の支持部材を利用して前記パネルモジュールの裏面側に、当該画像表示装置に必要な回路基板を取り付けた画像表示装置が提供される。
なお、本発明では、前記に記載された画像表示装置において、前記複数の支持部材は、縦方向に配置されており、かつ、その間に前記回路基板を取り付けたことが好ましく、更には、前記パネルモジュールの裏面側には、前記回路基板を取り付けた前記パネルモジュールを覆う裏蓋が設けられ、当該裏蓋の上下に、冷却空気を内部に取り込むための開口部を形成していることが好ましい。又は、前記複数の支持部材の一部を利用して、当該装置の脚部を形成してもよい。
更に、本発明によれば、前記に記載された画像表示装置において、前記回路基板は、その一部に、前記パネルモジュールを構成するフレームとの間に所定の隙間を形成するための部材を備えていることが好ましく、その場合、前記回路基板は、当該装置に電源を供給する電源回路を搭載し、その基板を絶縁板により形成していることが好ましい。
以上の本発明によれば、画像表示装置の大型化によるパネルモジュールの面積の増大に伴う問題点を解消し、即ち、当該パネルモジュールの背面における電源基板や駆動回路基板等の取り付け構造をも含め、装置の薄型化にも適する画像表示装置の支持構造を提供するという、優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施例は、大型の画像表示装置として、液晶ディスプレイ(LCD)を採用したものであり、以下には、この液晶ディスプレイを採用した画像表示装置について、その支持体構造と共に説明を加える。
まず、添付の図1は、本発明の一実施の形態になる画像表示装置の全体構成が、その展開図によって示されており、この図において、符号100は、大型の画像表示装置としての液晶ディスプレイ(LCD)を示している。なお、この液晶ディスプレイ(LCD)は、通常、例えば、薄いアルミニウム板を、その概略断面を「コ」の字状に形成した、底が浅くかつ大面積の箱状に形成したフレーム110の開口側に取り付けられており、以下、これをパネルモジュールと称する。なお、このフレーム110の底面には、外形が略矩形の薄板状の液晶ディスプレイ(LCD)に対してその背面から光を照射して(所謂、バックライト)所望の輝度を得るため、例えば、複数の蛍光管が配置され、又は、発光ダイオード等からなる発光体が取り付けられている。さらに、このパネルモジュールの裏面には、以下にも詳細に説明するが、信号基板や電源基板等、装置に必要な基板類が取り付けられると共に、その下辺には、当該装置を設置するための脚部(スタンド)120が取り付けられている。
そして、上述したパネルモジュール100の表面には、例えば、合成樹脂等の射出成形により形成された、通常、ベゼルと呼ばれる外枠体200が取り付けられると共に、当該モジュールの裏側には、やはり、例えば、合成樹脂等の射出成形により形成された裏蓋(背面カバー)300が取り付けられている。
次に、添付の図2には、上述した画像表示装置において、特に、パネルモジュール100だけを取り出して、その背面側から見た場合の斜視図を示している。そして、本発明の実施の形態によれば、上記にも既に説明したように、特に、画像表示装置の大型化に伴うパネルモジュールの面積の増大に伴う問題点である、所謂、パネルモジュールの機械的強度を確保することを目的として、当該パネルモジュール100を背面から支持することとなるフレーム110の外周に沿って形成された鍔部111の一部(外側)を、更に、例えば絞り加工により折り曲げて、図中にその一部断面に示すように、断面略「コ」の字状に形成されている。即ち、このフレーム110の外周鍔部111に絞り加工により形成される枠状の補強部112によれば、簡単に、かつ、付加的な補強材を用いることなく、フレーム110に液晶ディスプレイ(LCD)を取り付けた後の当該パネルモジュール100において、その機械的強度を確保することが可能となる。なお、かかるパネルモジュールの機械的強度を確保するための構造は、製造コストの低減に有利であり、特に、50インチ以下のサイズの画像表示装置において有利であろう。なお、このフレーム110の外周に沿って形成された鍔部111の一部(外側)を折り曲げる形状は、上記の断面略「コ」の字状に限定されるものではなく、例えば、添付の図3にも示すように、断面略半円形(図3(a))、又は、三角形等の形状(図3(b))であってもよい。
しかしながら、本発明では、上記パネルモジュール200の機械的強度を確保するための補強構造としては、上述した構造、即ち、上記フレーム110の外周の鍔部111に絞り加工した断面「コ」の字状の補強部112に限定することなく、その他、上記フレーム110の外周においてその機械的を確保することが出来るもの(フレームに対して枠状の補強構造)であればよく、例えば、添付の図4にも示すように、フレーム110の外周寸法(縦及び横)に対応した複数の長さの金属パイプ400、予め、用意しておき、当該複数の金属パイプ400を、例えば、ネジ410等により鍔部111に固定すると共に、各角部における金属パイプ400の間を、図示のような外形「L」字状の部材420により固定することも可能である。なお、かかる補強構造は、パネルモジュール200の機械的強度を確保するための補強構造としては、上記の構造よりも優れており、比較的大型の装置、例えば、50インチ以上サイズの画像表示装置における補強構造として有利であろう。
続いて、再び、上記の図2に戻り、上記パネルモジュール100の補強構造である、フレーム110の外周鍔部111に絞り加工により形成された補強部112を利用して、その背面側に、当該装置の入力信号である映像信号を入力として所定の信号処理を行うための信号基板500と、更には、当該信号基板を含め、上記パネルモジュール200の各部に供給され、画像表示や駆動に必要となる各種の電圧電源を供給するための電源基板510を含めた各種の回路基板を取り付けるための構造について説明する。
即ち、上記図2からも明らかなように、上記パネルモジュール100の背面側において、その中央部を中心として、例えば、金属板を所定の形状(本例では、断面略「コ」の字形状)に形成した複数本(本例では、合計3本)の支持部材600、600…が、上記フレーム110の外周鍔部111に形成された補強部112を利用して、縦方向に(即ち、外周鍔部に形成された対向する一対の補強部に直交して)、取り付けられている。なお、この図示の例では、その両端の2本の支持部材600、600が、更に、下方に伸びており、もって、装置の脚部(スタンド)120を形成している。そして、各支持部材600は、その長手方向(図の縦方向)において、上記フレーム110の外周鍔部111に形成された補強部112に対応する上下の位置(2ヶ所)には、当該断面略「コ」の字状に形成された溝に嵌り込んでネジ611等により固定される、所謂、固定部610、610が形成されている。
上述した支持部材600によれば、その上下の位置(2ヶ所)に形成された固定部610、610が、パネルモジュール100の機械的強度を確保するための補強構造である補強部112(即ち、枠状の補強部が形成された鍔部111)に固定され、フレーム110の裏面には直接取り付けられていない、即ち、パネルモジュール200には固定されていないことから、当該パネルモジュール100に負荷を掛けない構造となっている。なお、上記では、両端の2本の支持部材600、600が下方に伸びて、装置の脚部(スタンド)120を形成している例を示しており、かかる場合においても、特に、当該脚部(スタンド)120からの負荷が、直接、当該パネルモジュール100に掛かることを回避することが出来ることから有利である。しかしながら、本発明はこれに限定されることなく、上記両端の2本の支持部材600、600を、中央部の支持部材600と同様の構造とすることも可能である。なお、かかる場合には、例えば、上記脚部(スタンド)120を、上記パネルモジュール100の下辺に形成した補強部112を利用して、例えば、その下辺中央部に取り付けることが好ましいであろう。
そして、上述した信号基板500、更には、電源基板510等は、これら複数本の支持部材600、600…を利用することにより、当該パネルモジュール200の背面側に残された狭小なスペース内において、効率よく、取り付けることが可能になる。即ち、図示のように、信号基板500及び電源基板510には、それぞれ、その基板の一部(本例では角部)に形成された保持部501、511を利用して、例えば、上記と同様に、ネジ611等によって支持部材600、600…に取り付けられる。なお、ここで、図に破線で示すように、当該装置を外部と接続するための端子を複数備えた、所謂、端子基板を、上述した信号基板500とは別体に設ける(例えば、上記信号基板500の下部)ことによれば、製品の仕向け地の変更などによっても、容易に変更することが可能であることから、好ましいであろう。
また、添付の図5には、複数本の支持部材600、600…を利用して取り付ける信号基板500及び電源基板510のうち、特に、後者の電源基板510の好適な構造を示す。なお、この電源基板510を構成する絶縁基板512としては、例えば、DuPont社の製品であるノーメックス(NOMEX)紙(登録商標)等、可撓性を有する絶縁紙又は板を使用し、外形略方形状に切り出して形成する(図5(a)や図5(b)を参照)。そして、図5(a)に示すように、外形略「T」形状の平頭ピン等520、530を、それぞれ複数個、所定の箇所に、その表面から打ち込み(取り付け)、もって、図5(b)に示すように、当該中央部の平頭ピン520、両側部530の先端が基板512を貫通して、絶縁基板512の裏面においてその先端を突出するようにし、もって、フレーム110の裏面との間に所定の隙間を確保するためのスペーサとする。なお、これら平頭ピン520の突出高さは、その中央部の平頭ピンの高さ「hc」が、両側部の平頭ピンの高さ「hs」よりも僅かに大きく(hc>hs)なるように設定されている。
上記のようにして形成された電源基板510の絶縁基板512には、図5(b)に示す裏面の上に、各種の電圧電源を供給するための電源回路を構成する素子(図5(c)において、破線で示す)が形成される。そして、当該電源基板510は、
上記図2に示すように、その絶縁基板512を支持部材600、600…を利用して、パネルモジュール100の背面側に残された狭小なスペース内に配置される。その際、図5(c)に示すように、絶縁基板512(特に、その裏面に設けられる、破線で示した素子)は、特に、その中央部の平頭ピン520の働きにより、パネルモジュール100のフレーム110の裏面に対して所望の距離だけ離隔した位置に配置され、更に、その際、外部からの力により押圧されて絶縁基板512が撓んでも、その両側部の平頭ピン530の働きによれば、なお、フレーム110の裏面に対して所定の距離だけ離隔した位置に確保される。
即ち、上述した平頭ピン520、530を備えた絶縁基板512によれば、上記電源回路を構成する素子とフレーム110との間に、必要な所定の距離を、確実に、確保する(素子とフレームとの接触を防止する)ことが可能となる。そのため、かかる構造は、パネルモジュールのフレームとの接触によって故障を生じる可能性のある電源基板510の絶縁基板として、特に、好適に適用されるであろう。
加えて、パネルモジュール200の背面側に設けられた支持部材600、600の変形例、特に、上述したパネルモジュールのフレーム110を接地するために好適な構造について、添付の図6を参照しながら説明を加える。なお、これは、画像表示装置の大型化によるパネルモジュールの面積の増大に伴い、なお良好な性能を維持するためには、パネルモジュールのフレーム110の接地位置を、複数箇所で確保することが好ましいとの見地による。
即ち、図6(a)にも示すように、上記支持部材600の途中における所望の箇所に、単数又は複数の、図6(b)に示すような窪部(接地部)630を形成しておき、当該支持部材600をパネルモジュールのフレーム110の背面側に取り付けた後に、やはり、金属等の導電性の部材からネジ631等を取り付けることにより、上記支持部材とフレームとの間を電通状態とし、もって、パネルモジュールの全体における接地状態を良好に確保するものである。
最後に、添付の図7には、上記のようにして、パネルモジュールの裏側に取り付けられた複数本の支持部材600、600…を利用して、上記信号基板500や電源基板510等の回路基板を取り付けた後、その上(パネルモジュールの裏面)から裏蓋(背面カバー)300を取り付ける様子(状態)が示されている。そして、上記信号基板500や電源基板510は、上述したその構造からも明らかなように、パネルモジュールの背面側において、フレーム110との間に隙間を形成して取り付けられていることから、図に矢印で示すように、裏蓋(背面カバー)300の下部に形成した開口部301を介してその内部に流入した空気は、上記の隙間及び素子の近傍を通過して、もって、信号基板500や電源基板510を冷却しながら、上方に移動する。その後、裏蓋(背面カバー)300の上部に形成した開口部302、302…から外部に流出することとなる。
即ち、上記の構造によれば、信号基板500や電源基板510などの回路基板を、パネルモジュールの裏側に取り付けられた複数本の支持部材…を利用して、パネルモジュールの背面側に残された狭小なスペース内に配置することを可能とすると共に、当該回路基板の冷却をも、確実に、確保することが出来るという優れた効果を生じる。また、このことからも、上記複数の支持部材600、600…は、信号基板500や電源基板510を冷却する空気が流れる方向、即ち、縦方向に取り付けることが好ましい。
100…液晶ディスプレイ(パネルモジュール)、110…フレーム、111…鍔部、112…補強部、120…脚部(スタンド)、200…外枠体、300…裏蓋(背面カバー)、500…信号基板、510…電源基板、600…支持部材、512…絶縁基板、520、530…平頭ピン、630…窪部(接地部)、301、302…開口部