JP2009085853A - 計測装置及び計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分析対象光の偏光状態を、波長毎に位相子を取り替えることなく、かつ受光部での分光に際し入射光の偏光方位による偏光特性の影響を受けることなく、高精度に分析することが可能な計測装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】リターダ22及び検光子24を含む変調部20と、変調光を分光する分光部14aと受光部14bから構成され、光強度情報取得部はリターダ及び検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第Nの主軸方位条件に設定された変調部で分析対象光を変調させることによって得られる第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得する。演算処理部は、前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測装置、及び、分析対象光の偏光状態を計測する計測方法に関する。
近年では、新しい液晶表示材料の開発が盛んに行われている。これに伴い、製品検査の計測法にも高精度化が求められている。液晶表示材料用の高分子フィルムとして円偏光フィルムがある。これは、液晶がもつ複屈折や旋光性による狭視野角化や着色による製品劣化を補償することができる。また、複屈折や旋光は、波長依存性を持つため、波長ごとの評価が必要である。その評価方法として、従来、楕円率測定には回転検光子法や回転位相子法が用いられてきた。なお、これらの技術を示す文献として、特開2005−292028号公報や、R. M. A. Azzam, Ellipsometry and polarized light, (1976)が知られている。
特開2005−292028号公報 R. M. A. Azaam, Ellipsometry and polarized light, (1976)
しかし、回転検光子法では、楕円率が逆正弦関数で与えられるため、測定試料の複屈折位相差が90度付近の場合に精度が悪くなる。また、回転位相子法では、測定する波長にあわせて位相子を取り替える必要があるため、波長ごとの評価を効率よく行うことが難しかった。
また、楕円率測定においては、受光部に回折格子を用いて分光を行うが、この回折格子は入射偏光方位によって、検出される光強度が減衰してしまい、特に直線偏光における偏光状態を測定する際、測定精度が悪くなってしまう。
本発明の目的は、分析の対象である分析対象光の偏光状態を、波長毎に位相子を取り替えることなく、かつ受光部での分光に際し入射光の偏光方位による偏光特性の影響を受けることなく、高精度に分析することが可能な計測装置及び計測方法を提供することにある。
(1)本発明に係る計測装置は、
分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測装置であって、
回転可能に構成されたリターダ及び検光子を含む、前記分析対象光を変調させる変調部と、
前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光を分光する分光部と、前記分光部で分光された前記変調光を受光する受光部とを含む分光受光手段と、 前記分光受光手段の受光部で受光された前記変調光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記変調光の光強度情報に基づいて前記分析対象光の偏光特性要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記変調部は、
前記分析対象光が、前記リターダを透過し、その後、前記検光子を透過するように構成されてなり、
前記光強度情報取得部は、
前記リターダの主軸方位と前記検光子の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、前記リターダ及び前記検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得し、
前記演算処理部は、
前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素及び前記変調部の主軸方位条件を反映した前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う。
本発明に係る計測装置では、分析の対象である分析対象光が変調部で変調され、これによって得られた変調光は、分光部で分光された後に受光部に入射する。
本発明では、前記分光部における変調光の分光に際し、変調光の入射偏光方位によって分光効率が変化することに着目した。すなわち、変調光の入射偏光方位によって、分光部で分光される光強度が変化することに着目した。
そして、本発明では、光強度情報取得部で取得される変調光の光強度の理論式は、前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値を持つ部分偏光子とみなし、この部分偏光子の入射方位に関連付けた光強度比を反映するとともに、分析対象光の偏光特性要素及び変調部の主軸方位条件を反映している。
そのため、分光部で分光された変調光の光強度の理論式と実測値とをより正確に対応させることができ、これにより、分析対象光の偏光特性要素をより精度よく算出することが可能となる。
すなわち、本発明によると、分析の対象である分析対象光の偏光状態を、分析対象光の波長毎に位相子を取り替えることなく、しかも、前記分光部における変調光の分光に際し変調光の入射偏光方位による偏光特性の影響を受けることなくOLE_LINK1、高精度に分析することが可能な計測装置を提供することが可能になる。また、本発明によると、リターダ及び検光子を回転させるだけの、単純な駆動系のみで計測装置を構成することができるため、計測効率、及び、計測精度の高い計測装置を提供することが可能になる。
なお、変調光の光強度情報は、変調光を解析処理して得ることができる。そして、変調部が満たすべき第1〜第Nの主軸方位条件は、光強度情報の解析手法にあわせて選択することができる。現在、光強度情報の解析手法として、フーリエ解析法などの種々の手法が知られているが、解析手法によって、解析に適するデータが異なることがある。そのため、本発明では、第1〜第Nの主軸方位条件を、選択する解析手法に適したデータを取得することが可能な設定としてもよい。
ただし、リターダ及び検光子の主軸方位をθ,θとおくと、θ,θは、2θ−2θ≠0、かつ、4θ−2θ≠0、かつ、2θ−2θ≠4θ−2θ≠2θという条件を満たしていてもよい。これによると、フーリエ解析処理により、ストークスパラメータのすべての要素を算出することが可能になる。
本発明に係る計測装置は、光源と受光部とを含み、光源と受光部とを結ぶ光路上に変調部が配置された光学系を含んだ構成をなしていてもよい。このとき、光学系は、光路上であって光源と変調部との間に配置された試料を含んでいてもよい。そして、計測装置は、試料の光学特性要素(複屈折位相差、主軸方位、旋光性、あるいは、ストークスパラメータ、ミュラー行列要素、ジョーンズ行列要素など)を計測する計測装置として構成されていてもよい。試料に入射される入射光の偏光状態を調整することで、これらの光学特性要素を算出することが可能になる。
なお、前記分光部としては、変調光を分光可能な部材であるならば、どのようなタイプの分光手段を使用してもよく、例えば透過型または反射型の回折格子や、プリズムなどを分光部として用いてもよい。
また、前記受光部としては、分光された変調光を電気信号に変換可能なものであるならばどのようなタイプの受光手段を用いてもよく、例えばCCDなどの受光素子を、ライン状に一次元配置した受光部として形成してもよく、また必要に応じて前記受光素子を二次元状にマトリクス配置した受光部としても形成してもよい。
また、本発明に係る計測装置では、変調部を構成する回転可能な検光子の主軸方位が、部分偏光子として動作する前記分光部に対する、変調光の入射偏光方位となる。
(2)本発明に係る計測装置は、
分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測装置であって、
回転可能に構成されたリターダ及び検光子を含む変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光を分光部で分光し受光部に入射することにより得られる変調光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記変調光の光強度情報に基づいて前記分析対象光の偏光特性要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
を含み、
前記変調光は、
前記分析対象光が、前記リターダを透過し、その後、前記検光子を透過した光であり、
前記光強度情報取得部は、
前記リターダの主軸方位と前記検光子の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、前記リターダ及び前記検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得し、
前記演算処理部は、
前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素及び前記変調部の主軸方位条件を反映した前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う。
本発明に係る計測装置では、分析の対象である分析対象光が変調部で変調され、これによって得られた変調光は、分光部で分光された後に受光部に入射する。
本発明では、前記分光部における変調光の分光に際し、変調光の入射偏光方位によって分光効率が変化することに着目した。すなわち、変調光の入射偏光方位によって、分光部で分光される光強度が変化することに着目した。
そして、本発明では、光強度情報取得部で取得される変調光の光強度の理論式は、前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値を持つ部分偏光子とみなし、この部分偏光子の入射方位に関連付けた光強度比を反映するとともに、分析対象光の偏光特性要素及び変調部の主軸方位条件を反映している。
そのため、変調光の光強度の理論式と実測値とを対応させることによって、分析対象光の偏光特性要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、分析の対象である分析対象光の偏光状態を、分析対象光の波長毎に位相子を取り替えることなく、しかも、前記分光部における変調光の分光に際し変調光の入射偏光方位による偏光特性の影響を受けることなく、高精度に分析することが可能な計測装置を提供することが可能になる。
なお、変調光の光強度情報は、変調光を解析処理して得ることができる。そして、変調部が満たすべき第1〜第Nの主軸方位条件は、光強度情報の解析手法にあわせて選択することができる。現在、光強度情報の解析手法として、フーリエ解析法などの種々の手法が知られているが、解析手法によって、解析に適するデータが異なることがある。そのため、本発明では、第1〜第Nの主軸方位条件を、選択する解析手法に適したデータを取得することが可能な設定としてもよい。
ただし、リターダ及び検光子の主軸方位をθ,θとおくと、θ,θは、2θ−2θ≠0、かつ、4θ−2θ≠0、かつ、2θ−2θ≠4θ−2θ≠2θという条件を満たしていてもよい。これによると、フーリエ解析処理により、ストークスパラメータのすべての要素を算出することが可能になる。
なお、前記分光部としては、変調光を分光可能な部材であるならば、どのようなタイプの分光手段を使用してもよく、例えば透過型または反射型の回折格子や、プリズムなどを分光部として用いてもよい。
また、前記受光部としては、分光された変調光を電気信号に変換可能なものであるならばどのようなタイプの受光手段を用いてもよく、例えばCCDなどの受光素子を、ライン状に一次元配置した受光部として形成してもよく、また必要に応じて前記受光素子を二次元状にマトリクス配置した受光部としても形成してもよい。
また、本発明に係る計測装置では、変調部を構成する回転可能な検光子の主軸方位が、部分偏光子として動作する前記分光部に対する、変調光の入射偏光方位となる。
(3)この計測装置において、
前記リターダ及び前記検光子の主軸方位を、それぞれ、θ,θとおくと、
前記変調部の第Kの主軸方位条件(Kは1〜Nの各整数)は、
(θ,θ=(180×L×K/N、180×M×K/N)
(ただし、L,Mは1以上の整数で、L≠M,L≠2M,2L≠M)
であってもよい。
上記のように、リターダ及び検光子の主軸方位を、それぞれ等間隔に設定し、リターダ及び検光子をそれぞれ180度以上(360度以上)の帯域で変化させることによって、データの解析処理(フーリエ解析処理)による解析精度を高めることができる。
なお、この計測装置では、例えば、L=2、M=6、N=30としてもよい。また、リターダ及び検光子の主軸方位は、上記の条件に初期位相を含んだ設定としてもよい。
(4)本発明に係る計測装置は、
前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比は、予め測定光の波長と対応付けた偏光特性データとして用意され、
前記演算処理部は、
前記検光子の主軸方位θを前記部分偏光子の入射偏光方位とし、この入射偏光方位及び前記分析対象光の波長により前記偏光特性データから特定される光強度比を反映した光強度の理論式を用いる。
(5)本発明に係る計測装置は、
前記光強度の理論式は、
前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素、前記変調部の主軸方位条件、前記リターダの複屈折位相差を反映した偏光マトリクスに基づく演算式である。
(6)この計測装置において、
前記光強度情報取得部は、
前記リターダ及び前記検光子が、回転比が1対3になるように回転する前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得してもよい。
(7)この計測装置において、
前記演算処理部は、
前記光強度情報取得部で取得された光強度情報を解析処理して得られる複数のピークスペクトルと、前記理論式とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行ってもよい。
このとき、光強度情報を解析する手法として、例えばDFTやFFTを利用することができる。
(8)この計測装置において、
前記演算処理部は、
前記偏光特性要素を算出する処理に先立って、前記分析対象光に変えて所定の偏光状態を示すサンプル光を前記変調部で変調させることによって得られる変調光の光強度情報と前記変調光の理論式とに基づいて前記リターダの複屈折位相差を算出する、複屈折位相差算出処理を行い、
前記複屈折位相差算出処理によって算出された前記リターダの複屈折位相差に基づいて前記偏光特性要素を算出する処理を行ってもよい。
この計測装置を利用すれば、リターダの複屈折位相差を算出することができる。そのため、リターダの複屈折位相差を予め算出しておいて、この値を利用して偏光特性要素を算出する処理を行えば、演算処理速度を高めることができる。
(9)この計測装置において、
前記演算処理部は、前記分析対象光のストークスパラメータを算出してもよい。
(10)この計測装置において、
前記演算処理部は、前記分析対象光の楕円率及び主軸方位の少なくとも一方を算出してもよい。
(11)この計測装置において、
前記リターダ及び前記検光子を回転駆動させる第1及び第2のアクチュエータと、
前記リターダ及び前記検光子の主軸方位を検出する第1及び第2の検出部と、
前記第1及び第2のアクチュエータの動作を制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、
をさらに含み、
前記制御信号生成部は、前記第1及び第2の検出部からの検出信号に基づいて、前記制御信号を生成してもよい。
(12)本発明に係る計測方法は、
分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測方法であって、
回転可能に構成されたリターダ及び検光子を含む変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光を分光部で分光し受光部に入射することにより得られる変調光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
前記変調光の光強度情報に基づいて前記分析対象光の偏光特性要素を算出する演算処理を行う演算処理手順と、
を含み、
前記変調光は、
前記分析対象光が、前記リターダを透過し、その後、前記検光子を透過した光であり、
前記光強度情報取得手順では、
前記リターダの主軸方位と前記検光子の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、前記リターダ及び前記検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得し、
前記演算処理手順では、
前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素及び前記変調部の主軸方位条件を反映した前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う。
本発明に係る計測方法では、分析の対象である分析対象光が変調部で変調され、これによって得られた変調光は、分光部で分光された後に受光部に入射する。
本発明では、前記分光部における変調光の分光に際し、変調光の入射偏光方位によって分光効率が変化することに着目した。すなわち、変調光の入射偏光方位によって、分光部で分光される光強度が変化することに着目した。
そして、本発明では、光強度情報取得部で取得される変調光の光強度の理論式は、前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値を持つ部分偏光子とみなし、この部分偏光子の入射方位に関連付けた光強度比を反映するとともに、分析対象光の偏光特性要素及び変調部の主軸方位条件を反映している。
そのため、変調光の光強度の理論式と実測値とを対応させることによって、分析対象光の偏光特性要素を算出することが可能になる。
すなわち、本発明によると、分析の対象である分析対象光の偏光状態を、分析対象光の波長毎に位相子を取り替えることなく、しかも、前記分光部における変調光の分光に際し変調光の入射偏光方位による偏光特性の影響を受けることなく、高精度に分析することが可能な計測方法を提供することが可能になる。
なお、変調光の光強度情報は、変調光を解析処理して得ることができる。そして、変調部が満たすべき第1〜第Nの主軸方位条件は、光強度情報の解析手法にあわせて選択することができる。現在、光強度情報の解析手法として、フーリエ解析法などの種々の手法が知られているが、解析手法によって、解析に適するデータが異なることがある。そのため、本発明では、第1〜第Nの主軸方位条件を、選択する解析手法に適したデータを取得することが可能な設定としてもよい。
ただし、リターダ及び検光子の主軸方位をθ,θとおくと、θ,θは、2θ−2θ≠0、かつ、4θ−2θ≠0、かつ、2θ−2θ≠4θ−2θ≠2θという条件を満たしていてもよい。これによると、フーリエ解析処理により、ストークスパラメータのすべての要素を算出することが可能になる。
(13)この計測方法において、
前記リターダ及び前記検光子の主軸方位を、それぞれ、θ,θとおくと、
前記変調部の第Kの主軸方位条件(Kは1〜Nの各整数)は、
(θ、θ=(180×L×K/N、180×M×K/N)
(ただし、L,Mは1以上の整数で、L≠M,L≠2M,2L≠M)
であってもよい。
上記のように、リターダ及び検光子の主軸方位を、それぞれ等間隔に設定し、リターダ及び検光子をそれぞれ180度以上(360度以上)の帯域で変化させることによって、データの解析処理(フーリエ解析処理)による解析精度を高めることができる。
なお、この計測方法では、例えば、L=2、M=6、N=30としてもよい。また、リターダ及び検光子の主軸方位は、上記の条件に初期位相を含んだ設定としてもよい。
(14)本発明に係る計測方法は、
前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比は、予め測定光の波長と対応付けた偏光特性データとして用意され、
前記演算処理手順では、
前記検光子の主軸方位θを前記部分偏光子の入射偏光方位とし、この入射偏光方位及び前記分析対象光の波長により前記偏光特性データから特定される光強度比を反映した光強度の理論式を用いる。
(15)この計測方法において、
前記光強度の理論式は、
前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素、前記変調部の主軸方位条件、前記リターダの複屈折位相差を反映した偏光マトリクスに基づく演算式としてもよい。
(16)この計測方法において、
前記光強度情報取得手順では、
前記リターダ及び前記検光子の回転比が1対3になるように回転する前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得してもよい。
(17)この計測方法において、
前記演算処理手順では、
前記光強度情報取得手順で取得された光強度情報を解析処理して得られる複数のピークスペクトルと、前記理論式とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行ってもよい。
(18)この計測方法において、
前記偏光特性要素を算出する処理に先立って、前記分析対象光に変えて所定の偏光状態を示すサンプル光を前記変調部で変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得し、前記光強度情報と前記変調光の理論式とに基づいて前記リターダの複屈折位相差を算出する、複屈折位相差算出処理手順をさらに含み、
前記演算処理手順では、
前記複屈折位相差算出処理手順で算出された前記リターダの複屈折位相差に基づいて前記偏光特性要素を算出する処理を行ってもよい。
この計測方法によれば、リターダの複屈折位相差を算出することができる。そのため、リターダの複屈折位相差を予め算出しておいて、この値を利用して偏光特性要素を算出する処理を行えば、演算処理速度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
以下、本発明を適用した実施の形態に係る計測装置として、試料100から出射した光(分析対象光)の偏光状態を計測する計測装置1について説明する。なお、本発明に適用可能な試料100の性質は特に限定されない。
(1)装置構成
図1及び図2は、計測装置1の装置構成を説明するための図である。なお、図1(A)は、本発明(計測装置1)に適用可能な光学系10を模式的に示す図であり、図2は、計測装置1の構成を説明するためのブロック図である。
また、図1(B)は、図1(A)に示す分光受光器14を構成する分光部としての回折格子14aと、受光部としての光検出アレイ14bを模式的に示す図である。
計測装置1は、光学系10と、光強度情報取得部30と、演算処理部50とを含む。光強度情報取得部30では、変調部20で分析対象光(試料100によって変調した光)を変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得する。すなわち、計測装置1では、光強度情報取得部30は、光源12から出射され、光学系10に含まれる光学素子及び試料100によって変調された光(変調光)の光強度情報を取得する。また、計測装置1では、演算処理部50は、変調光の光強度の理論式と、変調光の光強度情報とに基づいて、試料100によって変調した光(分析対象光)の光学特性要素を算出する処理を行う。なお、試料100は、光を透過させる物質であってもよく、光を反射させる物質であってもよい。
以下、計測装置1の装置構成について説明する。
1−1:光学系10
光学系10は、光源12と分光受光部14とを含む。光学系10は、また、光源12と分光受光部14とを結ぶ光路L上に設けられた、リターダ22、検光子24を含む。リターダ22及び検光子24は、試料100から出射された光(分析対象光)を変調させる光学素子である。すなわち、リターダ22及び検光子24は、光路Lにおける、試料100の下流側に配置される。リターダ22と検光子24とをあわせて、変調部20と呼ぶことができる。以下、光学系10の各要素について説明する。
光学系10は、光源12を含む。光源12は、光を発生し、出射する装置である。本実施の形態では、光源12として、所与の波長(波数)帯域成分を含む光を出射する装置を利用してもよい。例えば、光源12として、ハロゲンランプなどの白色光源を使用してもよい。光源12は、あるいは、所与の波長(波数)の光を出射する光源であってもよい。このとき、光源12は、単色光を出射する発光装置であるといえる。光源12として、レーザーやSLDなどを利用してもよい。なお、光源12は、出射する光の波長(波数)を変更することが可能な構成をなしていてもよい。
光学系10は、リターダ22を含む。リターダ22は、透過する光の波長によってその複屈折位相差の大きさが異なる光学素子である。従って、リターダ22を透過した光は、その波長によって偏光状態が変化することになる。なお、計測装置1では、リターダ22(変調部20)に入射する光を、分析対象光と称してもよい。試料100とリターダ22との間に光学素子を配置しない場合には、試料100から出射した光を指して、分析対象光と称してもよい。また、本発明では、リターダ22として、0次のリターダを利用する。
光学系10は、検光子24を含む。検光子24は、リターダ22を透過した光(リターダ22から出射した光)を直線偏光とする出射側の偏光子である。そして、光学系10では、検光子24を透過した光(検光子24から出射された光)が、分光受光部14に入射する。
本発明では、リターダ22と検光子24とをあわせて、変調部20と称する。そして、リターダ22及び検光子24は、主軸方位が変更可能に構成されてなる。リターダ22及び検光子24は、回転させることによって、主軸方位を変更することができるように構成されていてもよい。そして、計測装置1では、分析対象光を変調部20で変調させることによって得られる光を、変調光と称する。
図1(B)に示すように、光学系10は、分光受光器14を含む。分光受光器14は、分光手段としての回折格子14aと、受光手段としての光検出アレイ14bとを含む。
回折格子14aは、反射型として形成してもよく、また透過型として形成してもよい。ここでは反射型として形成された回折格子14aが用いられている。
分析対象光(試料100によって変調された光)が所与の帯域成分を含む光である場合には、分光受光部14に入射する変調光も帯域成分を含む光となる。このときに、分光部としての回折格子14aによって変調光を波長毎に分光し、それぞれの受光素子で各波長の光の強度を計測すれば、複数の波長帯における変調光の光強度を、同時に計測することができる。
なお、分光部としては、回折格子14a以外に、所与の帯域成分を含む光(例えば白色光)を、波長毎に分光する分光手段としての機能があるならば、他の分光手段、例えばプリズムなどを用いてもよい。
また、受光手段としての光検出アレイ14bは複数の受光素子を組み合わせて構成され、入射した光を例えば光電変換することによって、入射光の強度を測定する光学装置(光学素子)である。受光素子としては、例えば、CCDを利用してもよい。
光学系10は、また、光路L上に設けられた偏光子28を含んでいてもよい(図2参照)。偏光子28は、光路Lにおける、試料100の上流側に配置される。すなわち、光学系10によると、光源12から出射された光を、偏光子28を介して試料100に入射させ、試料100によって変調された光を、リターダ22及び検光子24(変調部20)を介して分光受光部14に入射させるように構成されてなる。すなわち、光源12から出射された光を偏光子28及び試料100によって変調させた光が、計測装置1における分析対象光となる。
なお、本実施の形態に係る計測装置1は、変調部20(リターダ22)に入射する光(分析対象光)の偏光状態を計測する装置である。そのため、光路Lにおける変調部20よりも上流側の構成は、特に限定されるものではない。例えば、計測装置1では、偏光子28を含まない光学系を利用してもよい(図1参照)。
1−2:光強度情報取得部30
光強度情報取得部30は、変調光の光強度情報を取得する。すなわち、光強度情報取得部30は、変調部20に入射する光(分析対象光)を変調部20で変調させることによって得られる光(変調光)の光強度情報を取得する。なお、光強度情報取得部30で行われる、変調光の光強度情報を取得する処理を、光強度情報取得処理と称してもよい。
計測装置1では、光強度情報取得部30は、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、リターダ22及び検光子24の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された変調部20で分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光(複数の変調光)の光強度情報を取得する。
すなわち、光強度情報取得部30では、第1〜第N(Nは2以上の整数)の光強度情報、すなわち、N個の光強度情報を取得する。ここで、第1〜第Nの光強度情報は、それぞれ、第1〜第Nの主軸方位条件に設定された変調部20によって変調された変調光の光強度である。そして、第1〜第Nの主軸方位条件とは、相互に、光学素子(リターダ22及び検光子24)の少なくとも1つの主軸方位設定が異なっている。また、第1〜第Nの主軸方位条件では、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とは、所定の関係を満たしている。
なお、リターダ22の主軸方位をθと、検光子24との主軸方位をθとそれぞれおくと、第Kの主軸方位条件は、(θ、θ=(180×L×K/N、180×M×K/N)であってもよい。ただし、L,Mは1以上の整数であり、L≠Mを満たす。なお、L,Mは、偶数であってもよい。また、MはLの奇数倍(LはMの奇数倍)であってもよい。例えば、L=2、M=6、N=30としてもよい。θ及びθをそれぞれ等間隔に設定し、リターダ22及び検光子24をそれぞれ180度以上(360度以上)の帯域で変化させることによって、データの解析処理(フーリエ解析処理)による解析精度を高めることができる。
ただし、本発明では、変調部20は、必ずしも上述の主軸方位条件を満たしている必要はない。すなわち、本発明では、既に公知となっているいずれかの解析手法を適用することができるため、選択した解析手法に適したデータを取得することが可能な、いずれかの主軸方位条件で光強度情報を取得してもよい。あるいは、上述の主軸方位条件に初期位相を考慮して、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とを決定してもよい。
変調部20から出力される変調光は、分光受光器14の回折格子14aに入射する。
図1(B)に示すように、検光子24を介して回折格子14aに入射する変調光の入射偏光方位は、検光子24の主軸方位θとして与えられる。
本実施の形態では、入射する光の偏光方位によって、回折格子14aが反射または透過する光の強度が変化し、特に直線偏光では、光の偏光方位による減衰が大きくなり、これが、測定対象光の偏光特性要素の測定精度を低下させる大きな要因となることに着目した。
そして、本実施の形態では、前記特性を有する分光手段としての回折格子14aを、部分偏光子(偏光特性を有するもの)として扱い、他の光学素子、具体的には検光子24、リターダ22と同様に偏光マトリクスを定める。そして、回折格子14aの偏光特性をキャリブレーション(補正)する、という構成を採用する。
これにより、分析対象光の偏光特性要素の測定精度をより高めることが可能となる。その詳細は後述する。
そして、光強度情報取得部30で取得された複数の光強度情報は、記憶装置40に格納されてもよい。記憶装置40は、変調部20(リターダ22及び検光子24)の主軸方位情報(第1〜第Nの主軸方位条件)と、第1〜第Nの光強度情報とを対応付けて格納してもよい。そして、記憶装置40に格納された光強度情報に基づいて、演算処理部50が、分析対象光の偏光状態を計測する処理を行う。
なお、計測装置1では、光強度情報取得部30で、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、リターダ22及び検光子24の少なくとも一方の主軸方位が異なる変調部20で分析対象光を変調させることによって得られる複数の変調光の光強度情報を取得すると言ってもよい。
すなわち、光強度情報取得部30では、複数の変調光の光強度情報を取得する。そして、当該複数の変調光とは、それぞれ、分析対象光を、光学素子(リターダ22及び検光子24)の少なくとも一方の主軸方位の設定が異なる変調部20で変調させることによって得られる光である。また、複数の変調光とは、それぞれ、分析対象光を、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とが所与の関係を満たす変調部20で変調させることによって得られる光であるといえる。
1−3:演算処理部50
演算処理部50は、分析対象光の偏光状態を計測する演算処理を行う。演算処理部50は、変調光の光強度の理論式と、変調光の光強度情報とに基づいて、分析対象光の偏光特性要素を算出する処理(偏光特性要素算出処理)を行い、分析対象光の偏光状態を計測する。後で詳述するが、変調光の光強度の理論式は、分析対象光の偏光状態を示すパラメータを含んでいる。そのため、変調光の光強度の理論式と、変調光の光強度情報とを利用すれば、分析対象光の偏光状態を示すパラメータ(偏光特性要素)を算出することが可能になる。そして、分析対象光の偏光特性要素を算出すれば、分析対象光の偏光状態を計測することができる。
1−4:駆動・検出部
計測装置1は、第1及び第2の駆動・検出部62,64をさらに含んでいてもよい。駆動・検出部のうち、駆動部は、光学系を構成する光学素子の主軸方位を可変設定するアクチュエータである。また、検出部は、光学素子の主軸方位を検出するセンサである。計測装置1では、第1の駆動・検出部62は、リターダ22を回転駆動させ、リターダ22の主軸方位を検出する。また、第2の駆動・検出部64は、検光子24を回転駆動し、検光子24の主軸方位を検出する。
そして、計測装置1は、第1及び第2の駆動・検出部62,64の動作を制御する制御信号生成部65をさらに含んでいてもよい。例えば、制御信号生成部65は、第1及び第2の駆動・検出部62,64からの検出信号に基づいて制御信号を生成し、第1及び第2の駆動・検出部62,64の動作を制御するように構成されていてもよい。
1−5:制御装置70
計測装置1は、制御装置70を含んでいてもよい。制御装置70は、計測装置1の動作を統括制御する機能を有していてもよい。すなわち、制御装置70は、第1及び第2の駆動・検出部62,64を制御して光学素子の主軸方位を設定し、光源12の発光動作を制御し、そして、光強度情報取得部30及び演算処理部50の動作を制御してもよい。
制御装置70は、記憶装置40及び演算処理部50を含んでいてもよい。なお、記憶装置40は、種々のデータを一時記憶する機能を有する。記憶装置40は、例えば、変調光の光強度情報を、リターダ22及び検光子24の主軸方位情報と対応付けて記憶してもよい。そして、演算処理部50は、記憶装置40に格納された光強度情報に基づいて、分析対象光の偏光特性要素を算出する処理を行ってもよい。制御装置70は、また、制御信号生成部65を含んでいてもよい。
なお、計測装置1は、特に制御装置70(演算処理部50)において、コンピュータを利用した処理が可能である。ここで、コンピュータとは、プロセッサ(処理部:CPU等)、メモリ(記憶部)、入力装置、及び、出力装置を基本的な構成要素とする物理的装置(システム)を言う。
図3には、制御装置70を構成する、演算処理システムの機能ブロックの一例を示す。
処理部110は、情報記憶媒体130に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体130には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
処理部110の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
記憶部120は、処理部などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。
情報記憶媒体130(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。計測装置1では、情報記憶媒体130に格納されたプログラムに基づいて、変調部20(リターダ22及び検光子24)の主軸方位が設定され、光源12の発光動作が制御されてもよい。
(2)偏光特性計測原理
次に、本実施の形態に係る計測装置が採用する、偏光状態を計測する原理(偏光特性要素を算出する原理)を説明する。図10には、その原理図が示されている。
2−1:変調光の光強度の理論式
リターダ22のミュラー行列Rと、検光子24のミュラー行列Aと、部分偏光子として機能する回折格子14aのミュラー行列Pとは、
と表すことができる。
なお、δ(λ),θ,θは、リターダ22の持つ複屈折位相差、リターダ22の回転角(主軸方位)、検光子24の回転角(主軸方位)である。なお、リターダ22の複屈折位相差は波長依存性を有するため、波長λの関数となる。すなわち、式(1)は、リターダ22に波長λの光が入射した場合の、リターダ22の複屈折位相差である。
t(λ)は、部分偏光子として機能する回折格子14aの光強度比を表し、具体的には部分偏光子の透過軸に対する消光軸の光強度比を表す。
本実施の形態の計測方法では、前記回折格子14aを、部分偏光子(偏光特性を有するもの)として扱い、光強度比t(λ)で表される偏光マトリクスを定め、回折格子14aの偏光特性をキャリブレーション(補正)する、という構成を採用する
即ち、回折格子14aは、入射する光の入射偏光方位によって回折効率が変化する。そのため、入射偏光方位によって、光検出アレー14bで検出される光強度が減衰する。
この現象を、直線偏光を分析対象光として回折格子14aに入射し確認した。直線偏光の入射偏光方位を、0〜360度変化させ、このとき光検出アレー14bで検出される光強度を測定した。この測定は、回折格子14aに波長の異なる3種類の直線偏光を入射させ行った。具体的には480nm、580nm、680nmの波長の光を測定光として用い、実験を行った。
この結果、図9に示す偏光特性が得られた。この測定結果を見ると、各波長とも、検出される光強度は入射偏光方位により完全に消光しない2周期の波となって振動していることが判明した。
本実施の形態では、この2周期の波の振動を部分偏光子と見なすことによって、回折格子14aの偏光特性を考慮したキャリブレーションを行うものである。ここにおいて前記部分偏光子、即ち回折格子14aの光強度比t(λ)は、図9の偏光特性の縦軸の値として与えられる。
なお、以降の説明では、理解を簡単なものとするために、リターダ22の主軸方位θをθ、検光子24の主軸方位θを3θとし、3θ=θの関係を満たす変調光の光強度情報を取得するものとする。
試料100を出射後の光(分析対象光)の偏光状態Sin(ストークスパラメータ)を、
と表すと、分析対象光を変調部20で変調させ、回折格子14aで分光することによって得られる変調光の偏光状態であるSoutは、
と表すことができる。
なお、Sinにおけるs(λ)は光強度、s(λ)は直線偏光成分、s(λ)は
45度偏光成分、s(λ)は円偏光成分のベクトル量を表す。
そして、Soutにおけるs(λ)は、分光受光部14に入射する光(変調光)の光強度成分である。変調光の光S0outは、式(4)から、
と表すことができる。
ところで、光強度における各項の振幅成分は、式(5)を回転角θに対し離散フーリエ解析することで、次式で示すフーリエスペクトルとして表すことが出来る。
そして、式(6a)〜式(6f)を利用すると、リターダ22の複屈折位相差δ(λ)は、a、a、b、bを用いて、
と表すことができる。
なお、後述するとおり、式(6a)〜式(6f)の各左辺は、光強度情報から算出可能であることから、これらの値を式(7)に代入することで、複屈折位相差δ(λ)を算出することができる。
さらに、式(6a)〜式(6f)を利用すると、分析対象光のストークスパラメータであるs(λ),s(λ),s(λ),s(λ)は、それぞれ、
と表すことができる。
式(6a)〜式(6f)の各左辺、及び、リターダ22の複屈折位相差δ(λ)が算出可能であることから、これらの値を式(8a)〜式(8d)に代入することで、分析対象光のストークスパラメータの各値も算出可能である。
そして、分析対象光の楕円率ε(λ)と主軸方位φ(λ)(楕円方位角)は、ストークスパラメータを用いて、
と表すことができる。
また、s0(λ)=s3(λ)の場合、s1(λ)2+s2(λ)2が0になる。このときの楕円率ε(λ)は、
と表すことができる。
以上のことから、本発明が採用する原理によると、波長λの分析対象光の偏光特性要素を算出することができ、波長λの分析対象光の偏光特性(偏光状態)を計測することができることがわかる。すなわち、複屈折位相差に波長依存性が表れるリターダを利用した場合でも、分析対象光の全波長における偏光特性計測を行うことが可能であることがわかる。
2−2:実測値の利用
式(6a)〜式(6f)の左辺が示す、a、a、a、b、b、b、は、光強度のバイアス成分、cos成分、及び、sin成分を示している。つまり、フーリエ係数である。そのため、これらの係数は、光強度情報(光強度の実測値)を利用して、数値としてその値を算出することができる。
そして、これらの値を利用すると、式(7)、及び、式(8a)〜式(8d)から、ストークスパラメータの各値を算出することができる。
そして、ストークスパラメータの各値を利用すると、式(9a)及び式(9b)から、楕円率及び主軸方位を数値として算出することができる。
2−3:リターダ22及び検光子24が満たすべき主軸方位条件
先に説明したように、変調光の光強度の理論式は式(5)で表すことができるが、リターダ22の主軸方位θと、検光子24の主軸方位θの設定いかんによっては、すべてのストークスパラメータs(λ),s(λ),s(λ),s(λ)を算出できない事態が発生しうる。
例えば、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とが2θ−2θ=0の関係を満たす変調部によって変調された光の光強度の理論式では、式(5)の第4項は0になり、得られた光強度を解析処理してもs(λ)を測定することができなくなる。すなわち、s(λ)を測定するためには、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とは、2θ−2θ≠0という条件を満たしている必要がある。
同様に考えると、すべてのストークスパラメータを算出するためには、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とが、2θ−2θ≠0、かつ、4θ−2θ≠0、かつ、2θ−2θ≠4θ−2θ≠2θを満たしている必要がある。
すなわち、リターダ22の主軸方位と検光子24の主軸方位とが上記の関係を満たしている場合には、すべてのストークスパラメータを算出することができる。そのため、効率のよい計測が可能になる。
具体的には、光強度情報取得部30では、リターダ22の主軸方位θと検光子24の主軸方位θとが、3θ=θの関係を満たす変調部20によって分析対象光を変調させ、それによって得られる変調光の光強度情報を取得してもよい。これによると、リターダ22と検光子24とが上記の条件を満たすことができるため、すべてのストークスパラメータを算出することが可能になる。
例えば、リターダ22と検光子24とを、回転比が1:3になるように回転させて、一定の期間毎に光強度情報を取得してもよい。これにより、すべてのストークスパラメータを算出可能な光強度情報を、効率よく取得することができる。
(3)計測手順
次に、本実施の形態に係る計測装置による偏光状態の計測手順について説明する。
図4及び図5は、本実施の形態に係る計測装置の動作フローチャートを示す。
3−1:光強度情報取得手順
図4は、光強度情報取得手順のフローチャートである。
光強度情報取得手順では、まず、リターダ22及び検光子24(変調部20)の主軸方位を設定する(ステップS10)。
この状態で、光源12から光を出射し、光学素子及び試料100によって変調された光(変調光)を、分光受光部14で受光する。そして、光強度情報取得部30で、分光受光部14が受光した光(変調光)の光強度情報を取得する(ステップS12)。
なお、光強度情報取得手順では、複数の変調光の光強度情報(第1〜第Nの変調光の光強度情報)を取得する。ここで、第1〜第Nの変調光は、第1〜第Nの主軸方位条件に設定された変調部20で分析対象光を変調させることによって得られる測定光である。すなわち、光強度情報取得手順では、上記のステップS10及びステップS12を、光学素子の主軸方位設定を変更して複数回行う。
詳しくは、計測装置1では、はじめに、光学素子の主軸方位を第1の条件に設定して、第1の光強度情報を取得する。そして、上述の記憶装置40に、第1の条件(主軸方位情報)と第1の光強度情報とを対応付けして格納する。続いて、光学素子の主軸方位を第2の条件に設定(変更)して、第2の光強度情報を取得し、記憶装置40で、第2の条件と第2の光強度情報とを対応付けして格納する。以下、この動作を繰り返し、N個の主軸方位情報と、N個の光強度情報を取得し、それぞれを対応させて、記憶装置40に格納してもよい。
なお、光学系の光学素子の主軸方位は、制御信号生成部65により、駆動・検出部62,64のアクチュエータを動作させて設定(変更)してもよい。また、光学系の光学素子の主軸方位情報は、検出部で検出してもよく、予めプログラムされた情報に従ってもよい。
3−2:演算処理手順
図5は、演算処理手順のフローチャートである。
演算処理手順では、光強度情報取得手順で取得された変調光の光強度情報と、変調光の理論式とに基づいて、分析対象光の偏光特性要素を算出する。
演算処理手順では、まず、式(6a)〜(6f)で表されるa、a、a、b、b、bの各値を算出する(ステップS20)。
次に、式(7)及び式(8a)〜式(8d)に基づいて、リターダ22の複屈折位相差δ(λ)と、分析対象光のストークスパラメータs(λ),s(λ),s(λ),s(λ)を算出する(ステップS22)。
そして、分析対象光のストークスパラメータの各値を利用して、式(9a)及び式(9b)に基づいて、分析対象光の楕円率ε(λ)及び主軸方位φ(λ)を算出する(ステップS24)。
以上の手順によって、分析対象光の偏光特性要素である楕円率と主軸方位を算出することができ、分析対象光の偏光状態を計測することができる。
(4)リターダ22の複屈折位相差δ(λ)について
上述したように、計測装置1によると、複屈折位相差が未知のリターダを利用した場合であっても、式(7)からリターダ22の複屈折位相差δ(λ)を算出することができるため、これを用いて分析対象光のストークスパラメータを算出することができる。
ところが、分析対象光のストークスパラメータが、Sin={s(λ),s(λ),s(λ),s(λ)}={1,0,0,1}になる場合には、式(7)を用いて複屈折位相差δ(λ)を算出することができなくなる。この事態を避けるため、リターダ22の複屈折位相差δ(λ)を予め算出し、キャリブレーションデータを取得し、この値を利用して計測を行ってもよい。
具体的には、分析対象光に変えて、ストークスパラメータが{1,0,0,1}ではないサンプル光を変調部20に入射させて光強度情報取得処理を行い、取得された光強度情報と、光強度の理論式(式(7)参照)とに基づいて、複屈折位相差δ(λ)を、キャリブレーションデータとして算出する処理を行ってもよい。そして、本手順によって算出された複屈折位相差δ(λ)を記憶装置40に格納し、記憶装置40に格納された複屈折位相差δ(λ)を利用して、上述した偏光特性要素を算出する処理を行ってもよい。
なお、複屈折位相差δ(λ)は、リターダ22に固有の値となるため、これは一度算出し、記憶装置40に格納することで、以降、複屈折位相差δ(λ)を算出する作業を行う必要がなくなり、演算効率を高めることができる。
(5)変形例
以下、本発明を適用した実施の形態の変形例に係る計測装置について説明する。なお、本実施の形態でも、既に説明した内容を可能な限り適用するものとする。
本実施の形態に係る計測装置では、光強度情報取得部30は、リターダ22及び検光子24が所与の回転比で回転する変調部20で分析対象光を変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得する。これによると、光強度情報取得部30は、図6に示すように、連続的に強度が変化する変調光の光強度情報をアナログ情報として取得することができる。
図6に示すように、光強度は周期を持つ関数ととらえることができる。そのため、これを解析処理(例えばフーリエ解析処理)すると、図7に示すように、ピークスペクトルを抽出することができる。これらのピークスペクトルを、光強度の理論式(上述した式(6a)〜式(6f)の左辺)に対応させれば、式(8a)〜式(8d)に基づいて、分析対象光のストークスパラメータを算出することができる。
(6)検証結果
本発明の計測原理及びその精度を確認するために検証実験を行った。以下、その結果を示す。
測定装置の精度を確認するために、直線偏光を解析した。検光子24として、消光比10−5のグラントムソンプリズムを用いて、楕円率0(直線偏光)の検証を行った。この検光子24からの出射偏光の楕円率は、その消光比から1/100000が理論値となる。
図8は、回折格子14aの入射偏光方位に対する偏光特性を考慮せず゛に分析対象光の楕円率を求めた結果である。
本実施例の計測装置では、回折格子14aの入射方位に対する偏光特性をキャリブレーションし、楕円率の測定精度を図8に示す場合に比べ一桁上げることを目標とした。
図9には、回折格子14aの入射偏光方位に対する光強度の偏光特性が示されている。
そして、本実施の形態の計測装置を用い、グラムトムソンプリズム偏光子(検光子24)から出射される偏光状態の楕円率を求めると、図11(A)に示す実験結果が得られた。この実験結果から、本実施の形態の計測装置では、回折格子14aの偏光特性を考慮しない手法に比べて約一桁測定精度が向上していることが確認された。
図11(B)には、グラントムソン偏光子(検光子24)を0度〜360度まで10度おきに回転させ、その方位を計測した結果を示す。楕円方位角は、線形性よく変化している。
これにより、回折格子14aの偏光特性を考慮した計測を行うことにより、測定精度が向上したことが確認された。実験では、本実施の形態の計測装置の測定精度は1/10000のを達成した。
その測定精度は、波長420nmでは8/100、波長580nmでは3/10000、波長750nmでは7/10000となった。
次に、図12に示すように、実際に試料をいれて楕円率の計測を行った。なお、本実験では、試料100として、光機能性高分子座標である位相差フィルムを評価した。サンプルに用いたのは、波長560nmに対し1/4波長フィルムと1/2波長フィルムである。実験ではこれらフィルムを、検光子24の角度に対して0度〜180度まで5度おきに回転させ、位相差フィルムからの出射偏光状態の楕円率を計測した。
1/2波長フィルムの計測結果では、波長560nmにおいてフィルムの回転角によらず0.0002となった。波長420nmでは、楕円率がピーク値をとり、その値は0.999であった。
1/4波長フィルムの計測結果も理論通りに、波長560nmで楕円率1となり、その誤差は5/10000となった。
これにより、本実施の形態に係る計測法によれば、光機能性高分子材料から出力される楕円偏光の楕円率0及び1付近においても、高精度に計測可能であることが確認された。
なお、前記実施の形態では、分光手段として反射型の回折格子14aを用いる場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らず、反射型の回折格子を用いてもよく、又分光特性があるならば、これ以外の光学素子、例えばプリズム等を用いてもよい。
図1は、本発明の実施の形態に係る計測装置を説明するための図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る計測装置を説明するための図である。 図3は、演算処理システムの機能ブロックの一例を示す図である。 図4は、光強度情報取得手順を説明するためのフローチャート図である。 図5は、偏光特性要素算出手順を説明するためのフローチャート図である。 図6は、光強度情報の一例を示す図である。 図7は、光強度情報の一例を示す図である。 図8は、検証実験について説明するための図である。 図9は、検証実験について説明するための図である。 図10は、偏光状態を計測する原理図である。 図11は、検証実験について説明するための図である。 図12は、検証実験について説明するための図である。
符号の説明
14…受光分光器
14a…回折格子
14b…光検出アレー
20…変調部
22…リターダ
24…検光子
30…光強度情報取得部
40…記憶手段
50…演算処理部
100…試料

Claims (18)

  1. 分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測装置であって、
    回転可能に構成されたリターダ及び検光子を含む、前記分析対象光を変調させる変調部と、
    前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光を分光する分光部と、前記分光部で分光された前記変調光を受光する受光部とを含む分光受光手段と、
    前記分光受光手段の受光部で受光された前記変調光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記変調光の光強度情報に基づいて前記分析対象光の偏光特性要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記変調部は、
    前記分析対象光が、前記リターダを透過し、その後、前記検光子を透過するように構成されてなり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記リターダの主軸方位と前記検光子の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、前記リターダ及び前記検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素及び前記変調部の主軸方位条件を反映した前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測装置。
  2. 分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測装置であって、
    回転可能に構成されたリターダ及び検光子を含む変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光を分光部で分光し受光部に入射することにより得られる変調光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
    前記変調光の光強度情報に基づいて前記分析対象光の偏光特性要素を算出する演算処理を行う演算処理部と、
    を含み、
    前記変調光は、
    前記分析対象光が、前記リターダを透過し、その後、前記検光子を透過した光であり、
    前記光強度情報取得部は、
    前記リターダの主軸方位と前記検光子の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、前記リターダ及び前記検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得し、
    前記演算処理部は、
    前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素及び前記変調部の主軸方位条件を反映した前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記リターダ及び前記検光子の主軸方位を、それぞれ、θ,θとおくと、
    前記変調部の第Kの主軸方位条件(Kは1〜Nの各整数)は、
    (θ、θ=(180×L×K/N、180×M×K/N)
    (ただし、L,Mは1以上の整数で、L≠M,L≠2M,2L≠M)
    である計測装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比は、予め測定光の波長と対応付けた偏光特性データとして用意され、
    前記演算処理部は、
    前記検光子の主軸方位θを前記部分偏光子の入射偏光方位とし、この入射偏光方位及び前記分析対象光の波長により前記偏光特性データから特定される光強度比を反映した光強度の理論式を用いる計測装置。
  5. 請求項4において、
    前記光強度の理論式は、
    前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素、前記変調部の主軸方位条件、前記リターダの複屈折位相差を反映した偏光マトリクスに基づく演算式である計測装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記光強度情報取得部は、
    前記リターダ及び前記検光子が、回転比が1対3になるように回転する前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得する計測装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記光強度情報取得部で取得された光強度情報を解析処理して得られる複数のピークスペクトルと、前記理論式とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記偏光特性要素を算出する処理に先立って、前記分析対象光に変えて所定の偏光状態を示すサンプル光を前記変調部で変調させることによって得られる変調光の光強度情報と前記変調光の理論式とに基づいて前記リターダの複屈折位相差を算出する、複屈折位相差算出処理を行い、
    前記複屈折位相差算出処理によって算出された前記リターダの複屈折位相差に基づいて前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、
    前記演算処理部は、前記分析対象光のストークスパラメータを算出する計測装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかにおいて、
    前記演算処理部は、前記分析対象光の楕円率及び主軸方位の少なくとも一方を算出する計測装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかにおいて、
    前記リターダ及び前記検光子を回転駆動させる第1及び第2のアクチュエータと、
    前記リターダ及び前記検光子の主軸方位を検出する第1及び第2の検出部と、
    前記第1及び第2のアクチュエータの動作を制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、
    をさらに含み、
    前記制御信号生成部は、前記第1及び第2の検出部からの検出信号に基づいて、前記制御信号を生成する計測装置。
  12. 分析の対象である分析対象光の偏光状態を計測する計測方法であって、
    回転可能に構成されたリターダ及び検光子を含む変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光を分光部で分光し受光部に入射することにより得られる変調光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
    前記変調光の光強度情報に基づいて前記分析対象光の偏光特性要素を算出する演算処理を行う演算処理手順と、
    を含み、
    前記変調光は、
    前記分析対象光が、前記リターダを透過し、その後、前記検光子を透過した光であり、
    前記光強度情報取得手順では、
    前記リターダの主軸方位と前記検光子の主軸方位とが所与の関係を満たし、かつ、前記リターダ及び前記検光子の主軸方位の少なくとも一方が異なる第1〜第N(Nは2以上の整数)の主軸方位条件に設定された前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる、第1〜第Nの変調光の光強度情報を取得し、
    前記演算処理手順では、
    前記分光部を光の吸収軸に対する透過軸の光強度比が所与の値をもつ部分偏光子とみなし、前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素及び前記変調部の主軸方位条件を反映した前記第1〜第Nの変調光の光強度の理論式と、前記第1〜第Nの変調光の光強度情報とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測方法。
  13. 請求項12において、
    前記リターダ及び前記検光子の主軸方位を、それぞれ、θ,θとおくと、
    前記変調部の第Kの主軸方位条件(Kは1〜Nの各整数)は、
    (θ、θ=(180×L×K/N、180×M×K/N)
    (ただし、L,Mは1以上の整数で、L≠M,L≠2M,2L≠M)
    である計測方法。
  14. 請求項12、13のいずれかにおいて、
    前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比は、予め測定光の波長と対応付けた偏光特性データとして用意され、
    前記演算処理手順では、
    前記検光子の主軸方位θを前記部分偏光子の入射偏光方位とし、この入射偏光方位及び前記分析対象光の波長により前記偏光特性データから特定される光強度比を反映した光強度の理論式を用いる計測方法。
  15. 請求項14において、
    前記光強度の理論式は、
    前記部分偏光子の入射偏光方位に関連付けた光強度比、前記分析対象光の偏光特性要素、前記変調部の主軸方位条件、前記リターダの複屈折位相差を反映した偏光マトリクスに基づく演算式である計測方法。
  16. 請求項12〜15のいずれかにおいて、
    前記光強度情報取得手順では、
    前記リターダ及び前記検光子の回転比が1対3になるように回転する前記変調部で前記分析対象光を変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得する計測方法。
  17. 請求項12〜16のいずれかにおいて、
    前記演算処理手順では、
    前記光強度情報取得手順で取得された光強度情報を解析処理して得られる複数のピークスペクトルと、前記理論式とに基づいて、前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測方法。
  18. 請求項12〜17のいずれかにおいて、
    前記偏光特性要素を算出する処理に先立って、前記分析対象光に変えて所定の偏光状態を示すサンプル光を前記変調部で変調させることによって得られる変調光の光強度情報を取得し、前記光強度情報と前記変調光の理論式とに基づいて前記リターダの複屈折位相差を算出する、複屈折位相差算出処理手順をさらに含み、
    前記演算処理手順では、
    前記複屈折位相差算出処理手順で算出された前記リターダの複屈折位相差に基づいて前記偏光特性要素を算出する処理を行う計測方法。
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