JP2009085739A - 形状測定装置、形状測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面状態に影響されずに、測定対象の表面形状を正確且つ簡便に測定する。
【解決手段】測定対象物の表面に板状のスリット光を照射して、表面に形成された照射像を二次元撮像手段によって検出する。二次元撮像手段には、受光感度の異なる複数種類の走査線が隣接して設けられている。受光感度の違いによって各走査線で得られる受光量は異なるが、光感度が所定の許容範囲外にある走査線は除いて、許容範囲内の走査線で得られた出力から、照射像の受光位置を走査線毎に検出する。そして、各走査線で得られた受光位置に基づいて測定対象物の形状を測定する。こうすれば、少なくとも何れかの受光感度の走査線では受光位置を検出できるので、受光位置が検出できた走査線を用いて測定することで、測定対象物の表面状態に、より影響されることなく形状を測定することが可能となる。
【選択図】図4
【解決手段】測定対象物の表面に板状のスリット光を照射して、表面に形成された照射像を二次元撮像手段によって検出する。二次元撮像手段には、受光感度の異なる複数種類の走査線が隣接して設けられている。受光感度の違いによって各走査線で得られる受光量は異なるが、光感度が所定の許容範囲外にある走査線は除いて、許容範囲内の走査線で得られた出力から、照射像の受光位置を走査線毎に検出する。そして、各走査線で得られた受光位置に基づいて測定対象物の形状を測定する。こうすれば、少なくとも何れかの受光感度の走査線では受光位置を検出できるので、受光位置が検出できた走査線を用いて測定することで、測定対象物の表面状態に、より影響されることなく形状を測定することが可能となる。
【選択図】図4
Description
本発明は、光などを用いた非接触な手段によって、対象物の形状などを測定する技術に関する。
測定対象物に向けて上方からライン状の光を投射し、測定対象物の表面での反射光をイメージセンサで検出することによって、測定対象物の有無や、寸法、表面形状などを測定する技術が知られている。また、この技術を利用した製品は、変位センサ(あるいは形状測定装置など)と呼ばれて、市場に供給されている。
図8は、変位センサ(あるいは形状測定装置)が測定対象物を測定する原理を示した説明図である。図8(a)には測定領域内に対象物が置かれていない場合が示されており、図8(b)には、測定対象物が置かれている場合が示されている。図8(a)に示したように、測定対象物が置かれていない場合には、上方から照射されたライン状の光は平坦な測定領域を照射するだけなので、イメージセンサではライン状の光による直線状の照射像が検出されるだけである。これに対して測定領域内に対象物が置かれると、図8(b)に示されるように、イメージセンサで検出される照射像は直線形状から変化する。そして、直線形状からの変位量を求めれば、測定領域に置かれた対象物の寸法(幅、高さなど)を精度良く検出することが可能となる。
もっとも、このように測定対象物の寸法を精度良く検出するためには、ライン状の光による照射像をイメージセンサが正確に検出できるように、照射するライン状の光の強さを適切な強さに設定しておくことが重要となる。図8(b)には、イメージセンサによって、ライン状の光による照射像が検出された様子が、拡大して概念的に示されている。図中の拡大した部分に示した実線は、照射される光の強度が適切に設定された場合にイメージセンサで検出される受光量の分布を概念的に表したものである。また、一点鎖線は照射される光の強度が強すぎる場合を表しており、破線は照射される光の強度が弱すぎる場合を表している。図中の拡大部分に実線で示したように、照射される光の強さが適切であれば、イメージセンサで検出された照射像の受光量には明確なピークが現れるので、イメージセンサ上での照射像の位置を正確に検出することができる。これに対して照射される光が強すぎると、図中の拡大部分に一点鎖線で示したようにイメージセンサで検出した受光量の波形が飽和してしまうので、照射像の位置を正確に検出することができなくなる。逆に照射される光が弱すぎる場合にも、受光量のピークがノイズに埋もれてしまうために、照射像の位置を正確に検出することができなくなる。このように、ライン状の光による照射像の位置をイメージセンサで正確に検出するためには、照射されるライン状の光の強度を適切な値に設定しておくことが重要である。
その一方で、測定対象物にも、ライン状の光を反射し難い物と反射し易い物とが存在する。また、同じ測定対象物であっても、例えばツヤ消し加工が施された黒色の表面のように光を反射し難い部分や、あるいは光沢のある明るい色の表面のように光を反射し易い部分が存在している場合も起こり得る。このような対象物を測定する場合、光を反射し難い部分ではイメージセンサで検出される受光量のピークが小さくなり、逆に光を反射し易い部分ではイメージセンサが飽和気味となってしまう。そこで、イメージセンサが検出した受光量を検出して、飽和気味であればスリット光の強さを減少させ、逆にピークが小さすぎればライン状の光を照射する強さを増加させる技術も提案されている(特許文献1)。
しかし、上記の提案されている技術のように、イメージセンサで検出した受光量をライン状の光の照射強度にフィードバック制御したのでは、装置や制御の構成が複雑となり、またフィードバック制御を行う関係上、迅速に計測しようとすると制御の追従が不十分になって測定誤差が生じ易いという問題がある。もちろん、弱い光に対しても十分な感度を有し、強い光に対しても飽和し難くなるようにイメージセンサの感度範囲を拡大することができれば、こうした問題を回避することが可能となるが、実際には、イメージセンサの感度範囲を現状以上に拡大することは容易なことではない。
この発明は上記のような事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、測定対象物の表面状態に影響されることなく、測定対象の表面形状を正確に、且つ簡便に測定することが可能な形状測定装置、および形状測定方法を提供するところにある。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の形状測定装置は次の構成を採用した。すなわち、
ライン状の光を測定対象物に照射して、該ライン状の光が該測定対象物の表面に形成する線状の照射像を二次元撮像手段によって検出することにより、該測定対象物の形状を測定する形状測定装置であって、
前記二次元撮像手段によって得られた前記照射像の受光量を、該照射像に交差する方向に設けられた走査線に沿って検出することにより、該二次元撮像手段での該照射像の受光位置を該走査線毎に検出する受光位置検出手段と、
前記走査線毎に得られた受光位置に基づいて、前記測定対象物の形状を測定する測定手段と
を備え、
前記二次元撮像手段には、受光感度の異なる複数種類の走査線が、互いに隣接して周期的に繰り返された状態で設けられており、
前記受光位置検出手段は、前記受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について、前記受光位置を検出する手段であることを要旨とする。
ライン状の光を測定対象物に照射して、該ライン状の光が該測定対象物の表面に形成する線状の照射像を二次元撮像手段によって検出することにより、該測定対象物の形状を測定する形状測定装置であって、
前記二次元撮像手段によって得られた前記照射像の受光量を、該照射像に交差する方向に設けられた走査線に沿って検出することにより、該二次元撮像手段での該照射像の受光位置を該走査線毎に検出する受光位置検出手段と、
前記走査線毎に得られた受光位置に基づいて、前記測定対象物の形状を測定する測定手段と
を備え、
前記二次元撮像手段には、受光感度の異なる複数種類の走査線が、互いに隣接して周期的に繰り返された状態で設けられており、
前記受光位置検出手段は、前記受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について、前記受光位置を検出する手段であることを要旨とする。
また、上記の形状測定装置に対応する本発明の形状測定方法は、
ライン状の光を測定対象物に照射して、該ライン状の光が該測定対象物の表面に形成する線状の照射像を二次元的に検出することにより、該測定対象物の形状を測定する形状測定方法であって、
異なる受光感度を有する複数種類の走査線が互いに隣接して周期的に繰り返されるように配置された二次元撮像手段を用いて、前記特定対象物の表面に形成された照射像を検出する工程と、
前記二次元撮像手段によって得られた前記照射像の受光量を前記走査線に沿って検出することにより、該走査線毎に該照射像の受光位置を検出する工程と、
前記走査線毎に得られた受光位置に基づいて、前記測定対象物の形状を測定する工程と
を備え、
前記受光位置を検出する工程は、前記受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について、前記受光位置を検出する工程であることを要旨とする。
ライン状の光を測定対象物に照射して、該ライン状の光が該測定対象物の表面に形成する線状の照射像を二次元的に検出することにより、該測定対象物の形状を測定する形状測定方法であって、
異なる受光感度を有する複数種類の走査線が互いに隣接して周期的に繰り返されるように配置された二次元撮像手段を用いて、前記特定対象物の表面に形成された照射像を検出する工程と、
前記二次元撮像手段によって得られた前記照射像の受光量を前記走査線に沿って検出することにより、該走査線毎に該照射像の受光位置を検出する工程と、
前記走査線毎に得られた受光位置に基づいて、前記測定対象物の形状を測定する工程と
を備え、
前記受光位置を検出する工程は、前記受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について、前記受光位置を検出する工程であることを要旨とする。
かかる本発明の形状測定装置および形状測定方法においては、ライン状の光が測定対象物の表面に形成した照射像を、二次元撮像手段によって検出する。そして、照射像に交差する方向の走査線に沿って検出した受光量から、照射像の受光位置を走査線毎に検出した後、走査線毎に得られた受光位置に基づいて、測定対象物の形状を測定する。ここで、照射像を検出する二次元撮像手段には、受光感度の異なる複数種類の走査線が互いに隣接し、且つ、周期的に繰り返された状態で設けられている。そして、走査線毎に受光位置を検出するに際しては、受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について受光位置を検出して、得られた受光位置に基づいて測定対象物の形状を測定するようになっている。例えば、受光量が所定の許容範囲を上回る走査線が存在する場合には、その上回った走査線を除いた残余の走査線について受光位置を検出し、受光量が所定の許容範囲を下回る走査線が存在する場合には、その下回った走査線を除いた残余の走査線について受光位置を検出した後、得られた受光位置に基づいて測定対象物の形状を測定する。
このように、受光感度の異なる複数種類の走査線を互いに隣接させ且つ周期的に繰り返す状態で設けておけば、たとえ、ある受光感度の走査線では照射像の受光位置を検出することができなかったとしても、この走査線に隣接する他の走査線では受光位置を検出可能な場合が起こり得る。逆に、この走査線では受光位置を検出できなかった場合でも、これに隣接する他の走査線では受光位置を検出可能なことも起こり得る。このことから、受光量が所定の許容範囲外にあって、受光位置を検出できない走査線が存在する場合でも、この走査線を除いた他の走査線で検出された受光位置に基づいて測定することで、測定対象物の表面状態に、より影響されることなく、形状を測定することが可能となる。また、照射する光の強さをフィードバックするといった制御も不要なので、制御や装置構成が複雑化したり、制御の遅れに起因した測定誤差が生じる虞もない。
また、かかる本発明の形状測定装置においては、二次元撮像手段に設けられた複数の走査線の中で、受光感度が同じ種類の走査線毎に、受光感度を変更可能としても良い。
測定しようとする対象物の表面状態によっては、最適な受光感度が異なっている場合も起こり得るので、各走査線の受光感度を変更できれば、より適切な感度に設定することが可能となって便利である。このとき、受光感度が同じ種類の走査線毎に、受光感度を変更可能としておけば、走査線毎に受光感度を変更する必要がないので好ましい。尚、「受光感度が同じ種類の走査線毎に変更可能」とは、必ずしも、受光感度が同じ種類の走査線だけを変更するものでなくても構わない。例えば、受光感度が高い走査線および低い走査線の2種類の走査線が存在するのであれば、受光感度の高い走査線だけ、あるいは受光感度の低い走査線だけ、感度を変更する場合に限らず、受光感度の高い走査線および低い走査線をまとめて、感度を上げたり下げたりするようしても構わない。
また、上述した本発明の形状測定装置においては、所定数の走査線において受光位置を検出できなかった場合には、その旨を報知するようにしてもよい。
ある走査線の受光量が許容範囲外になると、その走査線が除かれた残余の走査線に基づいて測定対象物の形状が測定されるので、欠落した走査線が発生し、その分だけ、計測精度の低下を引き起こす。従って、所定数の走査線において受光位置が検出できなかった場合には、その旨を報知することで、計測精度が低下している可能性があることを容易に認識することが可能となる。また、受光位置が検出できない走査線の発生を報知することで、走査線の受光感度を調整して測定精度を維持することも可能となるので好ましい。
また、上述した本発明の形状測定装置においては、二次元撮像手段を構成する複数種類の走査線の中で、受光感度が最も高い走査線の受光感度については、その二次元撮像手段で設定可能な最大の受光感度に設定してもよい。また、受光感度が最も低い走査線の受光感度については、設定可能な最小の受光感度に設定してもよい。
前述したように、本発明の形状測定装置では、受光感度が高い側の走査線、あるいは受光感度が低い側の走査線の少なくとも一方について受光位置が検出できれば、測定対象物の形状を測定できる。このため上述したように、二次元撮像手段で設定可能な最大の受光感度および最小の受光感度に設定しても、実用上は大部分の場合が、精度良く計測することが可能である。しかも、このような方法によれば、受光感度を設定するために試行錯誤を繰り返す必要もないので好適である。
また、上述したようにして、最も高い受光感度(設定可能な最大感度)および最も低い受光感度(設定可能な最小感度)が設定された形状測定装置では、最も高い受光感度および最も低い受光感度を、次のようにして変更するようにしても良い。先ず、最も高い受光感度の走査線および最も低い受光感度の走査線の何れでも受光位置が検出できない場合には、最も高い受光感度を所定の減少量だけ低減させると共に、最も低い受光感度を所定の増加量だけ増加させる。そして、このように、最も高い受光感度および最も低い受光感度を共に変更した場合には、変更後の受光感度で、再度、照射像を検出して、走査線毎に受光位置を検出するようにしても良い。
こうすれば、万が一、高い方の受光感度が、測定対象物の表面に対しては高すぎると同時に、低い方の受光感度は低すぎるような場合が発生しても、自動的に受光感度が修正されて、測定対象物の形状を測定することが可能となるので好適である。また、常に、その二次元撮像手段で設定可能な最高の受光感度および最低の受光感度から、少しずつ感度範囲を狭める方向に受光感度を調整することになるので、測定対象物の表面からの受光量が、二次元撮像手段の許容範囲内に入って居さえすれば、どのような測定対象物であっても精度良く形状を測定することが可能となる。
尚、上述した本発明の形状測定装置においては、二次元撮像手段を構成する複数種類の走査線の中で、受光感度が最も高い走査線の受光感度、および、受光感度が最も低い走査線の受光感度については、次のような感度に設定しても良い。先ず、最も高い受光感度については、黒色でツヤのない表面にライン状の光を照射して形成された照射像を、二次元撮像手段で検出する。そして、このとき得られた照射像の受光量が、所定の許容範囲の下限を上回るような受光感度に設定する。また、最も低い受光感度については、白色で光沢のある表面に形成された照射像を、二次元撮像手段で検出し、このとき得られた照射像の受光量が、所定の許容範囲の増減を下回るような受光感度に設定してもよい。
黒色でツヤのない表面は、光をたいへん反射し難い表面であり、このような表面に形成された照射像を二次元撮像手段で検出した場合、比較的小さな受光量しか検出することができない。一方、白色で光沢のある表面は、光をたいへん良く反射する表面であり、このような表面に形成された照射像を二次元撮像手段で検出すると、受光量がたいへん大きくなる。ここで、最も高い受光感度の走査線は、光を反射し難い表面に形成された照射像を検出するための走査線であることに鑑みれば、最も高い受光感度については、黒色でツヤのない表面に形成された照射像を検出し、これによって得られた照射像の受光量が、所定の許容範囲の増減を下回るような受光感度に設定しておくことが望ましい。同様に、最も低い受光感度については、白色で光沢のある表面に形成された照射像を検出し、これによって得られた照射像の受光量が、所定の許容範囲の増減を下回るような受光感度に設定しておくことが望ましい。そして、最も高い受光感度および最も低い受光感度をこのように設定しておけば、大部分の場合は、測定対象物の表面状態に拘わらず、形状を精度良く測定することが可能となるので好ましい。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.本実施例の形状測定装置:
C.変形例:
C−1.第1の変形例:
C−2.第2の変形例:
A.装置構成:
B.本実施例の形状測定装置:
C.変形例:
C−1.第1の変形例:
C−2.第2の変形例:
A.装置構成:
図1は、本実施例の形状測定装置10の構成を示した説明図である。図示されているように、本実施例の形状測定装置10は大まかに言えば、実際に測定を行うセンサヘッド部100と、センサヘッド部100を制御するコントロール部200とから構成されている。センサヘッド部100は、測定対象物に向かってライン状の光を照射する投光部102と、投光部102を駆動する投光回路104と、ライン状の光が測定対象物に照射されることによって対象物表面に形成された線状の照射像を検出するイメージセンサ106と、イメージセンサ106が検出した受光量の信号を受け取る受光回路108と、イメージセンサ106に対して受光感度を設定する感度設定回路110などから構成されている。
図1は、本実施例の形状測定装置10の構成を示した説明図である。図示されているように、本実施例の形状測定装置10は大まかに言えば、実際に測定を行うセンサヘッド部100と、センサヘッド部100を制御するコントロール部200とから構成されている。センサヘッド部100は、測定対象物に向かってライン状の光を照射する投光部102と、投光部102を駆動する投光回路104と、ライン状の光が測定対象物に照射されることによって対象物表面に形成された線状の照射像を検出するイメージセンサ106と、イメージセンサ106が検出した受光量の信号を受け取る受光回路108と、イメージセンサ106に対して受光感度を設定する感度設定回路110などから構成されている。
投光部102には、レーザーダイオードや、シリンドリカルレンズ、スリット状の細い隙間が形成された光学絞りなどが設けられており、レーザーダイオードから発生された光を、幅が数十mmで厚さが数十μm程度のライン状の光(以下では、「スリット光」と称する)に成形して、測定対象物に向けて照射する。イメージセンサ106は、CCD(Charge-Coupled Device )やCMOSなどを用いた二次元撮像素子によって構成されており、スリット光が測定対象物の表面に形成した線状の照射像を、測定対象物からの反射光を受光することによって検出する。受光回路108は、イメージセンサ106が検出した照射像の受光量を、イメージセンサ106に設けられた複数の走査線に沿って検出し、走査線毎に受光量のピーク位置(後述する受光位置)を検出する。
コントロール部200には、CPU202を中心として、CPU202がデータを読み書きするためのメモリ204や、CPU202が処理結果を表示するための表示部206、CPU202に対する操作を設定するための操作部208、CPU202が外部の機器とデータをやり取りするための出力回路210などが搭載されている。このうち、CPU202は、投光部102からスリット光を照射するべく投光回路104を制御したり、受光回路108を制御してイメージセンサ106の走査線に沿って受光量を読み出すと共に、受光回路108が走査線毎に検出したピーク位置を受け取って解析することにより、測定対象物の形状を測定する。また、CPU202は、感度設定回路110を制御することにより、イメージセンサ106の受光感度を設定することも可能となっている。
図2は、スリット光によって測定対象物の表面に形成された照射像を、イメージセンサ106で検出している様子を概念的に示した説明図である。図2(a)には、測定対象物の表面で反射したスリット光による照射像が、イメージセンサ106のほぼ中央に映っている様子が示されている。また、図中の左上隅の部分には、イメージセンサ106の一部が拡大して示されている。図中の拡大図に示されるように、イメージセンサ106には複数の小さな受光素子が格子状に敷き詰められて構成されている。個々の受光素子は、一辺の大きさが代表的には数μm〜数十μm程度の微細な半導体素子であり、光を受けると光電効果によって受光量に応じた電荷を発生させる機能を有している。イメージセンサ106は、これら受光素子で発生した電荷を、受光素子の列に沿って一列毎に読み出すことにより、二次元画像を検出することが可能となっている。
尚、電荷を読み出す受光素子列は、走査線と呼ばれている。また、イメージセンサ106には、個々の受光素子で発生した電荷を読み出す方式の違いによって、いわゆるCCDイメージセンサ(または、単にCCD)と呼ばれるタイプのセンサや、CMOSイメージセンサと呼ばれるタイプのセンサなど、種々のタイプが存在するが、本実施例のイメージセンサ106としては、どのようなタイプのイメージセンサであっても用いることが可能である。
図2(b)には、イメージセンサ106上にスリット光の照射像が映っている状態で、走査線に沿って電荷を読み出した時に得られる信号波形が示されている。上述したように個々の受光素子はたいへん微細なので、スリット光の照射像を横断する方向に走査した場合でも、図示されているように、複数の受光素子にまたがって受光量の分布が検出される。図中に示した黒丸は、個々の受光素子で得られた受光量(すなわち電荷量)を表している。こうして個々の受光素子で得られた受光量の中からピーク強度が得られる受光素子の位置(受光位置)を検出することによって、イメージセンサ106上での照射像の位置を、非常に高い精度で検出することができる。コントロール部200のCPU202は、このようにして走査線毎に得られた受光位置を解析することにより、測定対象物の形状を非常に高い精度で測定することが可能となる。
もっとも、測定対象物の表面が、ツヤ消しがされた黒色の表面のようにスリット光を反射し難い表面であった場合には、受光量の明確なピークが得られないので、イメージセンサ106での受光位置を正確に検出することが困難となる。また逆に、測定対象物の表面が、明るい色(例えば白色)で光沢がある表面のようにスリット光を反射し易い表面であった場合にも、受光素子の出力が飽和してしまうので、イメージセンサ106での受光位置を正確に検出することが困難となる。そこで本実施例の形状測定装置では、このような場合でも測定対象物の形状を精度よく測定することが可能となるように、次のような構成を採用している。
B.本実施例の形状測定装置:
図3は、本実施例の形状測定装置10に搭載されたイメージセンサ106の構造を概念的に示した説明図である。前述したように、イメージセンサ106には複数の受光素子が格子状に配列して搭載されている。図3では、各受光素子を小さな正方形によって表している。また、各受光素子には、電荷を読み出すための読み出し回路が接続されており、受光素子に蓄積されている電荷を走査線に沿って読み出すことが可能となっている。尚、電荷を読み出す方式としては、いわゆるCCDイメージセンサで採用されているように、読み出し回路に印加する電圧を切り換えていくことで、各受光素子に蓄積された電荷を順繰りに転送しながら読み出す方式と、いわゆるCMOSイメージセンサで採用されているように、受光素子に組み込んだスイッチング回路を切り換えることで、受光素子毎に電荷を読み出していく方式とが存在している。本実施例のイメージセンサ106は、何れの方式も採用可能であり、図3では、これらの方式の読み出し回路をまとめて実線の直線によって概念的に表している。
図3は、本実施例の形状測定装置10に搭載されたイメージセンサ106の構造を概念的に示した説明図である。前述したように、イメージセンサ106には複数の受光素子が格子状に配列して搭載されている。図3では、各受光素子を小さな正方形によって表している。また、各受光素子には、電荷を読み出すための読み出し回路が接続されており、受光素子に蓄積されている電荷を走査線に沿って読み出すことが可能となっている。尚、電荷を読み出す方式としては、いわゆるCCDイメージセンサで採用されているように、読み出し回路に印加する電圧を切り換えていくことで、各受光素子に蓄積された電荷を順繰りに転送しながら読み出す方式と、いわゆるCMOSイメージセンサで採用されているように、受光素子に組み込んだスイッチング回路を切り換えることで、受光素子毎に電荷を読み出していく方式とが存在している。本実施例のイメージセンサ106は、何れの方式も採用可能であり、図3では、これらの方式の読み出し回路をまとめて実線の直線によって概念的に表している。
また、本実施例のイメージセンサ106では、互いに隣接する走査線毎に、受光素子の受光感度が異なる感度に設定されている。図中に白抜きの小さな正方形で示した受光素子は、高い受光感度に設定された受光素子を表しており、斜線を付した正方形で示した受光素子は、低い受光感度に設定された受光素子を表している。受光素子の感度を設定する方法にも種々の方法が考えられるが、本実施例では、イメージセンサ106の外部から走査線毎に感度を調整可能なように、次の何れかの方法を採用している。
先ず、イメージセンサ106が、いわゆるCCDイメージセンサと呼ばれるタイプである場合には、走査線毎に受光素子の基板電圧を変更可能となっている。そして、基板電圧を高くするほど、いわゆる電子シャッターの原理によって受光素子が電荷を蓄積する時間が短くなり、受光感度が低くなる。逆に、基板電圧を低くするほど、受光素子が電荷を蓄積する時間が長くなって受光感度が高くなる。このように、イメージセンサ106がCCDイメージセンサと呼ばれるタイプである場合には、基板電圧を低めに設定した走査線(図3では、白抜きの受光素子の走査線に対応)と、基板電圧を高めに設定した走査線(図3では、斜線を付した受光素子の走査線に対応)とが交互に設けられている。
これに対して、イメージセンサ106が、いわゆるCMOSイメージセンサと呼ばれるタイプである場合には、次のようにして各受光素子の受光感度が設定されている。先ず、CMOSイメージセンサは、個々の受光素子の内部にオペアンプが組み込まれており、そして周知のように、オペアンプは外部から加える電圧によって増幅率を設定することが可能である。このことから、CMOSイメージセンサの場合には、受光素子内部のオペアンプに印加する電圧を走査線毎に適切な値に設定することによって、高感度の受光素子の走査線と、低感度の受光素子の走査線とが交互に設けられている。
図3中で破線によって示した矢印は、感度設定回路110が上述した方法によって、隣接する走査線毎に異なる受光感度を設定している様子を概念的に示したものである。
以上に説明したように、本実施例のイメージセンサ106は、高感度の受光素子による走査線と、低感度の受光素子による走査線とが交互に配置されている。このため、測定対象物の表面が、黒いツヤ消しの表面のような反射率の低い表面であっても、あるいは、光沢がある白い表面のような反射率の高い表面であっても、測定対象物の形状を精度よく測定することが可能となる。以下では、この点について詳しく説明する。
図4は、本実施例の形状測定装置10を用いることにより、物体表面の反射率に拘わらず、測定対象物を精度よく測定可能な理由を示した説明図である。図4(a)は、物体表面の反射率が高い場合に、各走査線で得られた出力波形を概念的に表している。また、図4(b)は、物体表面の反射率が標準的な値の場合を表しており、図4(c)は、物体表面の反射率が低い場合を表している。また、何れの反射率の場合についても、破線で示された波形は、高受光感度の走査線で得られた出力波形を表しており、実線で示された波形は、低受光感度の走査線で得られた出力波形を表している。更に、各走査線の出力波形が表示された部分の左方には、それぞれの反射率で得られる高受光感度の走査線での出力波形(破線で示した波形)、および低受光感度の走査線での出力波形(実線で示した波形)が示されている。
図4(a)に示されているように、測定対象物の表面の反射率が高い場合には、イメージセンサ106の各受光素子に到達する光量が増えるので、高受光感度の走査線での出力波形は飽和してしまう(左側の破線で示した出力波形を参照のこと)。これに対して、低受光感度の走査線については、受光量が増えることが良い方向に作用して、出力波形に明確なピークを得ることができる。このことから、測定対象物の表面の反射率が高い場合には、低受光感度の走査線で得られた出力波形を用いれば、イメージセンサ106上での照射像の受光位置(すなわち、出力波形のピーク位置)を精度良く検出することが可能となる。図4(a)中に示した黒塗りの矢印は、低受光感度の走査線に基づいて、照射像の受光位置が検出された様子を概念的に表したものである。また、図4(a)中で、破線の出力波形(高受光感度の走査線の出力波形)が細い線で示されているのは、これら出力波形が受光位置の検出に用いられないことを表したものである。
一方、一番下の図4(c)に示されているように、測定対象物の表面の反射率が低い場合には、イメージセンサ106の各受光素子に到達する光量が減少するので、低受光感度の走査線での出力波形はノイズに埋もれて明確なピークを検出することができない。これに対して、高受光感度の走査線については、受光量が少ないことを感度で補うことができるので、明確なピークを有する出力波形を得ることができる。従って、測定対象物の表面の反射率が低い場合には、高受光感度の走査線で得られた出力波形を用いることにより、イメージセンサ106上での走者像の受光位置を精度良く検出することができる。図4(c)中に示した白抜きの矢印は、高受光感度の走査線に基づいて、照射像の受光位置が検出された様子を概念的に表したものである。また、図4(c)中で、実線で示した低受光感度の出力波形が細い線で示されているのは、これら出力波形が受光位置の検出に用いられないことを表したものである。
また、図4(b)は、測定対象物の表面が標準的な反射率を有する場合を表している。この場合は、イメージセンサ106の各受光素子に到達する光は標準的な光量となるので、高受光感度の走査線および低受光感度の走査線の何れでも明確なピークを有する出力波形を得ることができる。図4(b)には、破線で示した高受光感度の走査線の出力波形、および実線で示した低受光感度の走査線の出力波形の何れからも、照射像の受光位置(出力波形のピーク位置)が検出されている様子が示されている。
このように、本実施例の形状測定装置10では、測定対象物の表面の反射率が高い場合から低い場合までの広い範囲で、測定対象物の表面を精度良く測定することが可能となる。
尚、図4(a)に示したように高受光感度の走査線での出力波形が飽和したり、図4(c)に示したように低受光感度の走査線での出力波形で十分なピークが現れなかった場合は、一つおきの走査線で受光位置を検出することになるので、走査線に直交する方向への分解能は半分になってしまう。そこで、高受光感度あるいは低受光感度の走査線の何れか一方で受光位置を検出できなかった場合には、その旨を示す信号を外部あるいはCPU202に向かって出力するようにしても良い。図3中で受光回路108から出力されるNG信号は、高受光感度あるいは低受光感度の走査線の何れか一方で受光位置を検出できなかった場合に出力される信号を示している。このようにNG信号が出力されるようにしておけば、測定対象物の表面の反射率が高すぎる、あるいは低すぎるために、走査線に交差する方向への分解能が低下した場合でも、そのことを直ちに認識することが可能となる。
ここで、高受光感度の走査線を構成する受光素子、および低受光感度の走査線を構成する受光素子の感度を設定する際の考え方について簡単に説明しておく。図5は、高感度用の受光素子の感度、および低感度用の受光素子の感度を設定する様子を示した説明図である。図中の中央上段には、受光素子を標準的な感度に設定して、極めて高反射率の表面(例えば、光沢のある白色の表面)、標準的な反射率の表面、極めて低反射率の表面(例えば、ツヤ消しの黒色の表面)をそれぞれ測定した場合に得られる出力波形が、概念的に示されている。
標準的な受光感度に設定されている状態で、標準的な反射率の表面を測定すると、図中に実線で示されるように明確なピークを持った出力波形が得られるが、極めて高反射率の表面では、図中に破線で示されるように出力波形が飽和してしまう。逆に、極めて低反射率の表面では、図中に一点鎖線で示されるように十分な大きさのピークを検出することができない。得られた出力波形から受光位置を検出するためには、出力波形が飽和しておらず(すなわち出力値が255に達しておらず)、且つ、ある程度の大きさのピークがあれば可能であるが、通常は、上限側と下限側とに若干の余裕を持たせて、検出可能な出力範囲が定められており、得られた出力波形の最大値が、この検出可能出力範囲内に収まっている場合に受光位置(すなわち、出力波形のピーク位置)を検出することで、安定して正確な受光位置を検出するようになっている。
ここで、高感度用の受光素子の感度は、図中に一点鎖線で示した極めて低反射率の表面であっても、出力波形の最大値が、検出可能な出力範囲に到達する程度に、高い受光感度に設定すればよい。図5の下段右側には、このような受光感度に設定された走査線で得られる出力波形が、概念的に示されている。図示されているように、高受光感度の走査線では、破線で示した極めて高い反射率の表面についての出力波形は完全に飽和しており、実線で示した標準的な反射率の表面の出力波形もほとんど飽和しかかっている。しかし、一点鎖線で示した極めて低い反射率の表面についての出力波形は、検出可能な出力範囲内まで出力が拡大されており、受光位置を精度良く検出することが可能となっている。
一方、低感度用の受光素子の感度は、極めて高反射率の表面であっても(上段中央の図中に破線を参照)、出力波形の最大値が検出可能な出力範囲に収まる程度に、低い受光感度に設定すればよい。図5の下段左側には、このような低受光感度の走査線で得られる出力波形が、概念的に示されている。図示されているように、一点鎖線で示した極めて低反射率の表面の出力波形ではほとんどピークが現れておらず、また、実線で示した標準的な反射率の表面でも、かろうじて検出可能な程度のピークが現れているに過ぎない。しかし、破線で示した極めて高い反射率の表面については、出力波形の最大値が、検出可能な出力範囲内まで抑制されており、このような出力波形を用いれば受光位置を精度良く検出することが可能である。
本実施例の形状測定装置10に搭載されたイメージセンサ106は、以上のようにして、高感度用および低感度用の受光素子の受光感度が設定されている。その結果、低反射率から高反射率までの、どのような反射率の表面を有する測定対象物であっても、表面の形状を精度良く測定することが可能となる。また、スリット光の強さをフィードバック制御する必要もないので、形状測定装置10の構造や制御が複雑になることもなく、更に、測定対象物が速い速度で移動していたり、あるいは測定対象物の表面で高反射率の箇所と低反射率の箇所とが短い周期で切り換わっているような場合でも、表面形状を精度良く測定することが可能となっている。
尚、以上のようにして設定された高感度用あるいは低感度用受光素子の受光感度は、必ずしも固定されている必要はなく、図3を用いて前述した感度設定回路110からの設定によって、感度を変更することも可能である。例えば、もっぱら低反射率の表面ばかりを測定する場合には、低感度用の受光素子の感度を若干、高めに変更しても良い。尚、このとき高感度用の受光素子についても、必要に応じて感度を調整しても構わないことはもちろんである。また、逆に、もっぱら高反射率の表面ばかりを測定するのであれば、高感度用の受光素子の感度を(もちろん、必要に応じて低感度用の受光素子の感度も)、若干低めとなるように変更しても良い。
また、こうした受光感度の変更は、操作部208からの走査に基づいて、CPU202が感度設定回路110を制御することによって行っても良いし、あるいは、感度設定回路110内に可変抵抗を設けておき、抵抗値を手動で調整することによって行うことも可能である。
更には、図3を用いて前述したNG信号を出力する際に、高受光感度用の走査線の出力波形が飽和したのか、あるいは低受光感度用の走査線の出力波形で十分なピークが現れなかったのかを識別可能なNG信号を、CPU202に向かって出力することとして、出力波形が飽和した旨のNG信号を受け取った場合には、CPU202が自動的に、高感度用の受光素子の感度を若干低下させ、逆に、出力波形に十分なピークが現れなかった旨のNG信号を受け取った場合には、低感度用の受光素子の感度を自動的に若干増加させるようにしても良い。
あるいは、高受光感度用の走査線および低受光感度の走査線のそれぞれについてNG信号を出力可能としておき、高受光感度用の走査線については、出力波形が飽和した旨のNG信号を出力し、低受光感度用の走査線については、出力波形に十分なピークが存在しない旨のNG信号を出力するようにしても良い。そして、高受光感度用および低受光感度用の何れの走査線についてもNG信号が出力された場合には、高受光感度用の走査線については受光感度を若干低下させ、低受光感度用の走査線については受光感度を若干増加させた後、再測定を行って、何れか一方の走査線についてのNG信号が出力されなくなるまで、こうした動作を繰り返すようにしても良い。こうすれば、予め高め(例えば、イメージセンサ106で設定可能な最大値)の受光感度および低め(例えば、イメージセンサ106で設定可能な最小値)の受光感度を設定しておくだけで、どのような表面状態の測定対象物であっても、形状を自動的に且つ精度良く測定することが可能となる。
C.変形例:
上述した本実施例の形状測定装置10には、種々の変形例が存在している。以下では、これらの変形例について簡単に説明する。
上述した本実施例の形状測定装置10には、種々の変形例が存在している。以下では、これらの変形例について簡単に説明する。
C−1.第1の変形例:
上述した実施例では、受光素子の感度は、高受光感度および低受光感度の2種類のみが設定されているものとして説明した。しかし、受光感度の種類は2種類に限らず、より多くの受光感度を設定しても良い。
上述した実施例では、受光素子の感度は、高受光感度および低受光感度の2種類のみが設定されているものとして説明した。しかし、受光感度の種類は2種類に限らず、より多くの受光感度を設定しても良い。
図6は、高受光感度、中受光感度、および低受光感度の3種類の受光素子を用いて構成した第1の変形例のイメージセンサ106を概念的に示した説明図である。図示した例では、高感度の受光素子による走査線と、中感度の受光素子による走査線と、低感度の受光素子による走査線とを、この順番で互いに隣接するように配置することによって、イメージセンサ106が構成されている。尚、各受光感度の走査線を配置する順番は、図6に例示した順番に限られるものではなく、例えば、高受光感度の走査線、低受光感度の走査線、中受光感度の走査線の順番で配置しても良い。
このように、高受光感度の走査線と、低受光感度の走査線とに加えて、その中間の感度を有する中受光感度の走査線を設けて、これら異なる感度の走査線を互いに隣接するように配置してイメージセンサ106を構成しておけば、たとえ高感度側の走査線での出力波形が飽和したり、あるいは低感度側の走査線の出力波形でピークが検出できなかった場合でも、残りの2つの走査線で得られた出力波形から受光位置(すなわち、出力波形のピーク位置)を検出することができる。このため、上述した実施例のように、高受光感度および低受光感度の2種類の走査線しかない場合には、何れか一方の走査線で受光位置が検出できなくなると、走査線に直交する方向への解像度は半分に低下してしまう。これに対して、高受光感度、中受光感度、低受光感度の3種類の走査線を組み合わせた場合には、高受光感度あるいは低受光感度の何れか一方の走査線で受光位置を検出できなくても、残りの2つの走査線で受光位置を検出することができるので、解像度は1/3しか低下せず、依然として2/3の解像度を維持することができる。
また、こうした第1の変形例のイメージセンサ106においても、出力波形が飽和したり、あるいは十分なピークが得られない出力波形を検出した場合には、受光回路108からNG信号を出力するようにしても良い。このとき、前述した実施例のように、出力波形が飽和しているのか、十分なピークが得られないかの何れであるかを識別可能な態様でNG信号を出力するようにしても良い。
更には、少なくとも中受光感度の走査線についてだけは、出力波形の飽和あるいはピーク強度不足の何れであるかを識別可能な態様でNG信号を出力し、高受光感度および低受光感度の走査線については、単に受光位置(出力波形のピーク位置)が検出できないことを示すNG信号を出力するようにしても良い。そして、中受光感度の走査線の出力波形が飽和している場合には、中受光感度の走査線の感度を若干低く修正し、逆に中受光感度の出力波形のピーク強度が不足している場合には、中受光感度の走査線の感度を若干高く修正しても良い。
中受光感度の走査線の出力波形が飽和しているということは、測定対象物の表面の反射率が極めて高いということであり、低受光感度の走査線では良好な出力波形が得られている筈である。また、出力波形が飽和しているとは言え、中受光感度の走査線は元々がそれほど高い感度に設定されているわけではないので、若干感度を抑えるだけで、出力の飽和が解消されて良好な出力波形が得られるものと考えられる。一方、中受光感度の走査線で出力波形のピーク強度が不足しているということは、測定対象物の表面の反射率が極めて低いということであり、高受光感度の走査線では良好な出力波形が得られている筈である。また、出力波形のピーク高度が不足しているとは言え、中受光感度の走査線は元々がそれほど低い感度に設定されているわけではないので、若干感度を高くするだけで、ピーク強度の不足が解消されて良好な出力波形が得られるものと考えられる。このように、中受光感度の走査線については、たとえ出力波形が飽和したり、ピーク強度が不足した場合でも、僅かに受光感度を調整するだけで、良好な出力波形が得られるようにすることができる。その結果、たとえ高受光感度側あるいは低受光感度側の何れか一方の走査線で受光位置(ピーク位置)が検出できなかった場合でも、常に残りの2つの感度の走査線では受光位置を検出することができるので、走査線に直交する方向への解像度の低下を抑制することが可能となる。
C−2.第2の変形例:
上述した実施例では、1つの走査線は、同じ感度の受光素子によって構成されているものとして説明した。換言すれば、例えば図3に示したように、高感度の受光素子および低感度の受光素子は、それぞれ走査線の方向に配列されていることになる。しかし、高感度の受光素子と低感度の受光素子とを、千鳥格子状に配列してイメージセンサ106を構成しても良い。
上述した実施例では、1つの走査線は、同じ感度の受光素子によって構成されているものとして説明した。換言すれば、例えば図3に示したように、高感度の受光素子および低感度の受光素子は、それぞれ走査線の方向に配列されていることになる。しかし、高感度の受光素子と低感度の受光素子とを、千鳥格子状に配列してイメージセンサ106を構成しても良い。
図7は、高感度の受光素子と、低感度の受光素子とを千鳥格子状に配列して構成した第2の変形例のイメージセンサ106を概念的に示した説明図である。図示した第2の変形例のイメージセンサ106では、走査線の出力波形を読み出す際に、先ず1つおきの受光素子から信号を読み出し、次いで、先ほど読み飛ばした1つおきの受光素子からの信号を読み出す。すなわち、1本の走査線あたり2回の走査を行って信号を読み出すのである。こうすることで、高感度の受光素子から得られた出力信号と、低感度の受光素子の出力信号とを分離した状態で取得することができる。そして、高感度の受光素子の出力信号が飽和していれば、低感度の受光素子の出力信号に基づいて受光位置(出力信号がピークとなる受光素子の位置)を検出し、逆に低感度の受光素子の出力信号に十分なピークが現れていなければ、高感度の受光しその出力信号に基づいて受光位置を検出する。
こうすれば、高感度あるいは低感度の何れかの受光素子からの信号に基づいて受光位置を検出することができるので、何れの走査線でも必ず受光位置を検出することができる。その結果、走査線に直交する方向への分解能が低下することなく、測定対象物の表面形状を測定することができる。もちろん、高感度の受光素子で飽和が発生した場合、あるいは低感度の受光素子でピーク強度不足が発生した場合には、走査線の方向には1つおきの受光素子でしか信号が得られない。しかし、この場合でも、図7に示したように、高感度の受光素子と低感度の受光素子とが千鳥格子状に配置されているので、たとえ進行が得られない受光素子が発生しても、その左右(走査線に交差する方向)の受光素子では信号が得られていることが多い。このことから、左右の受光素子で得られた信号を考慮することで、走査線の方向への分解能が低下することも、ある程度まで補うことが可能となる。
もちろん、このような第2の変形例においても、高感度の受光素子で飽和が発生したり、あるいは低感度の受光素子でピーク強度不足が発生すると、走査線の方向への分解能が若干低下するので、受光回路108からNG信号を出力して、分解能が低下していることを報知するようにしても良い。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
10…形状測定装置、 100…センサヘッド部、 102…投光部、
104…投光回路、 106…イメージセンサ、 108…受光回路、
110…感度設定回路、 200…コントロール部、 202…CPU、
204…メモリ、 206…表示部、 208…操作部、 210…出力回路
104…投光回路、 106…イメージセンサ、 108…受光回路、
110…感度設定回路、 200…コントロール部、 202…CPU、
204…メモリ、 206…表示部、 208…操作部、 210…出力回路
Claims (6)
- ライン状の光を測定対象物に照射して、該ライン状の光が該測定対象物の表面に形成する線状の照射像を二次元撮像手段によって検出することにより、該測定対象物の形状を測定する形状測定装置であって、
前記二次元撮像手段によって得られた前記照射像の受光量を、該照射像に交差する方向に設けられた走査線に沿って検出することにより、該二次元撮像手段での該照射像の受光位置を該走査線毎に検出する受光位置検出手段と、
前記走査線毎に得られた受光位置に基づいて、前記測定対象物の形状を測定する測定手段と
を備え、
前記二次元撮像手段には、受光感度の異なる複数種類の走査線が、互いに隣接して周期的に繰り返された状態で設けられており、
前記受光位置検出手段は、前記受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について、前記受光位置を検出する手段である形状測定装置。 - 請求項1に記載の形状測定装置であって、
前記二次元撮像手段を構成する前記走査線の受光感度を、該受光感度が同じ種類の該走査線毎に変更する受光感度変更手段を備える形状測定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の形状測定装置であって、
所定数の前記走査線において、前記受光位置検出手段によって該走査線の前記受光位置が検出されなかった場合には、その旨を報知する報知手段を備える形状測定装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の形状測定装置であって、
前記二次元撮像手段を構成する複数種類の前記走査線の中で、前記受光感度が最も高い走査線の受光感度は、該二次元撮像手段で設定可能な最大の受光感度に設定されており、
前記二次元撮像手段を構成する複数種類の前記走査線の中で、前記受光感度が最も低い走査線の受光感度は、該二次元撮像手段で設定可能な最小の受光感度に設定されている形状測定装置。 - 請求項4に記載の形状測定装置であって、
前記受光感度変更手段は、前記最も高い受光感度の走査線および前記最も低い受光感度の走査線での前記受光位置を前記受光位置検出手段によって検出できない場合には、前記最も高い受光感度を所定の減少量だけ低減させると共に、前記最も低い受光感度を所定の増加量だけ増加させた後、前記二次元撮像手段および前記受光位置検出手段に対して再検出を行わせる手段である形状測定装置。 - ライン状の光を測定対象物に照射して、該ライン状の光が該測定対象物の表面に形成する線状の照射像を二次元的に検出することにより、該測定対象物の形状を測定する形状測定方法であって、
異なる受光感度を有する複数種類の走査線が互いに隣接して周期的に繰り返されるように配置された二次元撮像手段を用いて、前記特定対象物の表面に形成された照射像を検出する工程と、
前記二次元撮像手段によって得られた前記照射像の受光量を前記走査線に沿って検出することにより、該走査線毎に該照射像の受光位置を検出する工程と、
前記走査線毎に得られた受光位置に基づいて、前記測定対象物の形状を測定する工程と
を備え、
前記受光位置を検出する工程は、前記受光量が所定の許容範囲外にある走査線を除いた残余の走査線について、前記受光位置を検出する工程である形状測定方法。
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