JP2009085115A - ロータリピストンエンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

ロータリピストンエンジンの燃料噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータリピストンエンジンの吸気状態が変化しても安定して、作動室の内壁面への燃料の付着を抑制し、噴射した燃料を均一に拡散させる。
【解決手段】吸気行程にある吸気作動室8内に、複数の噴孔15aから直接燃料を噴射するインジェクタ15を備えたロータリピストンエンジン1の燃料噴射装置である。噴孔15aの一部が吸気ポート11,12,13を指向して燃料を噴射し(非衝突噴霧S1)、残りの噴孔15aがロータ2のフランク面2aに凹むリセス2bを指向して燃料を噴射する(衝突噴霧S2)。燃料噴射時期は、吸気行程前半の吸気流速が所定値以上となる期間内に設定されている。非衝突噴霧S1及び衝突噴霧S2の各噴霧量は、略同一になるように設定されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、いわゆる直噴型のロータリピストンエンジンに関し、特に、その燃焼安定性を向上するための燃焼噴射技術に関する。
この種の技術に関し、例えば、噴射した燃料が点火時に点火プラグの近傍に集中するようにしたものがある(特許文献1)。そこでは、ロータの回転に伴って吸気行程の後半から圧縮行程にかけてロータの回転方向に旋回するように発生する渦流の流れに沿うように燃料を噴射している。
そうすることで、安定した成層化燃焼を実現でき、作動室の内壁面への燃料の付着も軽減できる。
特開平6−288249号公報
その一方で、これとは別の観点から、噴射した燃料を吸気の流れに載せて拡散させ、作動室内に均一な混合気を形成して燃焼させる試みも行われている。
ところが、この場合、ロータリピストンエンジンの作動室における吸気の流動状態がエンジンの運転状態によって大きく変化するため、作動室の内壁面に燃料を付着させずに噴射した燃料を均一に拡散させる、という作用を安定して得ることは難しい。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸気の流動状態が大きく変化しても安定して、作動室内壁面への燃料付着を抑制でき、噴射した燃料を均一に拡散させることのできるロータリピストンエンジンの燃料噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、燃料噴射弁に複数の噴孔を設け、吸気行程にある作動室において、これら噴孔からの燃料の噴霧が、吸気ポートとロータのリセスとをそれぞれ指向するように設定した。
すなわち、具体的には、吸気行程にある作動室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたロータリピストンエンジンの燃料噴射装置であって、上記吸気行程にある作動室に面するロータのフランク面にはリセスが凹設され、上記燃料噴射弁は、燃料を噴射する複数の噴孔を備えており、上記複数の噴孔の一部が、上記吸気行程にある作動室に面して開口する吸気ポートを指向して燃料を噴射するように設けられ、残りの噴孔が、上記リセスを指向して燃料を噴射するように設けられている構成とする。
この構成によれば、まず、上記複数の噴孔の一部からは吸気ポートに向かって燃料が噴射されるが、吸気ポートは作動室に面して開口しており、そこには壁面はないので、燃料の噴霧が付着することはない(以下、非衝突噴霧という)。しかも、その開口から作動室内に向かって流れ込む吸気流との衝突によって、燃料の微粒化及び気化、霧化が促進されるとともに、その吸気流によって燃料が効果的に拡散される。
一方、上記残りの噴孔からはロータのフランク面に凹み形成されたリセスに向かって燃料が噴射される。この燃料の噴霧はロータのリセスに衝突するが(以下、衝突噴霧という)、その一部は作動室内に反射され、燃料の内壁面への付着が抑制されるとともに、燃料が効果的に分散される。
そして、非衝突噴霧は吸気流動の影響を強く受ける一方、衝突噴霧はあまり吸気流動の影響を受けないので、このように、2つの方向に燃料噴霧を振り分けて異なる作用を組み合わせることで、吸気の流動状態の変化による影響を緩和することができ、燃料の内壁面への付着抑制及び燃料の均一拡散を安定して実現することができる。
なお、この場合、上記燃料噴射弁による燃料噴射時期は、吸気行程前半の吸気流速が所定値以上となる期間内に設定するとよい。そうすれば、吸気の運動エネルギーを効率よく利用して、燃料の拡散を促進できる。
特に、実験による検証結果に基づけば、上記リセスを指向する衝突噴霧の噴霧量と、上記吸気ポートを指向する非衝突噴霧の噴霧量とは、略同一に設定するのが好ましい。そうすれば、安定した燃焼性能を得ることができる。尚、ここでいう略同一とは、実質的同一の意味であり、同一の噴霧量近傍の、同じ作用効果が得られる実用上許容される範囲も含む。
また、上記燃料噴射弁の複数の噴孔は、上記ロータの回転軸方向から見て略楕円形状を有する上記ロータ収容室の長軸線近傍において、上記ロータの回転方向遅れ側である吸気ポート寄りに配設するようにしておくとよい。そうすれば、吸気行程にある作動室内へ比較的早期に燃料を噴射することができる。
以上のように、燃料の噴霧を吸気ポートとロータのリセスとに分けて指向させた本発明によれば、作動室における吸気の流動が大きく変化しても、安定して、作動室の内壁面への燃料の付着を抑制することができるとともに、噴射した燃料を均一に拡散させることができ、優れた燃焼性能を発揮するロータリピストンエンジンを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(エンジンの全体構成)
図1及び図2に、本発明の燃料噴射装置を適用したロータリピストンエンジン1(以下、単にエンジン1という)を示す。
図1に示すように、このエンジン1は、2つのロータ2,2を備えた2ロータタイプであり、2つのロータハウジング3,3が、インターミディエイトハウジング4をその間に挟んだ状態で、これらの両側からさらに2つのサイドハウジング5,5で挟み込むようにして一体化されている。尚、図1では、その右側の一部は切り欠いて内部を示すとともに、左側のサイドハウジング3も内部を示すために分離してある。また、図中の符号Xはエキセントリックシャフト6の軸心となる回転軸である。
そして、各ロータハウジング3,3の、平行トロコイド曲線で描かれるトロコイド内周面3a,3aと、これらロータハウジング3,3を両側から挟むサイドハウジング5,5の内側面5a,5aと、インターミディエイトハウジング4の両側の内側面4a,4aとで、図2に示すように、回転軸Xの方向から見て繭のような略楕円形状をしたロータ収容室7が2つ横並びに区画されており、これらロータ収容室7にそれぞれロータ2が1つずつ収容されている。各ロータ収容室7,7は、インターミディエイトハウジング4に対して対称状に配置されており、ロータ2の位置、位相が異なっている点を除けば構成は同じであるため、以下、1つのロータ収容室7について説明する。
ロータ2は、回転軸Xの方向から見て各辺の中央部が膨出する略三角形状をしたブロック体からなり、その外周には、各頂部間に3つの略長方形をしたフランク面2a,2a,2aが備えられている。各フランク面2aの中央部分には、その長軸方向に延びるリセス2bが形成されている。このリセス2bの具体的形状については後述する。
そして、ロータ2は、各頂部に図示しないシール部を有し、これらシール部がロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しており、このロータハウジング3のトロコイド内周面3aと、インターミディエイトハウジング4の内側面4aと、サイドハウジング5の内側面5aと、ロータ2のフランク面2aとで、ロータ収容室7の内部にそれぞれ3つの作動室8,8,8が区画形成されている。
また、ロータ2の内側には位相ギアが設けられている(図示せず)。すなわち、ロータ2の内側の内歯車(ロータギア)とサイドハウジング5側の外歯車(固定ギア)とが噛合するとともに、ロータ2は、インターミディエイトハウジング4及びサイドハウジング5を貫通するエキセントリックシャフト6に対して、遊星回転運動をするように支持されている。
すなわち、ロータ2の回転運動は内歯車と外歯車との噛み合いによって規定され、ロータ2は、3つのシール部が各々ロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しつつ、エキセントリックシャフト6の偏心輪6aの周りを自転しながら、回転軸Xの周りに自転と同方向に公転する(この自転、公転を含め、広い意味で単にロータの回転という)。そして、ロータ2が1回転する間に3つの作動室8,8,8が周方向に移動し、それぞれで吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程が行われて、これにより発生する回転力がロータ2を介してエキセントリックシャフト6から出力される。
より具体的に、図2において、ロータ2は矢印で示すように、時計回りに回転しており、回転軸Xを通るロータ収容室7の長軸Yを境に分けられるロータ収容室7の左側が概ね吸気及び排気行程の領域となり、右側が概ね圧縮及び膨張行程の領域となっている。
そして、左上側の作動室8に着目すると、これは吸気と噴射された燃料とで混合気を形成する吸気行程を示しており、この作動室8がロータ2の回転に連れて圧縮行程に移行すると、その内部にて混合気が圧縮される。その後、図の右側に示す作動室8のように圧縮行程の終盤から膨張行程にかけて所定のタイミングにて点火プラグ9,9により点火されて、燃焼・膨張行程が行われる。そして、最後に図の左下側の作動室8のような排気行程に至ると、燃焼ガスが排気ポート10から排気された後、再び吸気行程に戻って各行程が繰り返されるようになっている。本発明の燃料噴射装置は、上記各行程のうち、吸気行程を対象としているため、その吸気行程にある作動室8(以下、吸気作動室8という)について更に詳しく説明する。
(燃料噴射装置の構成)
吸気作動室8は、先に説明したようにロータ2の回転に伴ってロータ収容室7の長軸Y方向の一端側(図2の上側)において形成されており、この吸気作動室8内に直接燃料を噴射するようにインジェクタ15(燃料噴射弁)が配設されている。
この吸気作動室8には、複数の吸気ポート11,12,13が連通している。すなわち、吸気作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aには、ロータ収容室7の外周側の短軸Z寄りに第1吸気ポート11が開口している。また、図1に示すように、吸気作動室8に面するサイドハウジング5の内側面5aには、第1吸気ポート11に対向するように、そのロータ収容室7の外周側の短軸Z寄りに第2吸気ポート12及び第3吸気ポート13が開口している。
そうして、例えば、エンジン1の低回転域では、第1吸気ポート11のみから吸気され、吸気量が不足するようになると第2吸気ポート12からも吸気され(中回転域)、更に吸気量が不足するようになると第3吸気ポート13からも吸気されて(高回転域)、吸気量が変化しても最適な吸気流速を維持して、エンジン1の低負荷低回転から高負荷高回転までの全運転領域に渡って効率よく吸気できるようになっている。
ところが、このようにエンジン1の運転状態によって吸気量、吸気方向等が大きく変化すると、吸気作動室8内の流動状態も大きく変化することとなり、その変化に燃料の噴射を対応させることが燃焼安定性を向上させるうえで重要となる。
そこで、まず、このような複数の吸気ポート11,12,13を備えた吸気作動室8に対し、吸気による燃料の拡散性が最適となるように、燃料噴射時期が、吸気行程前半の吸気流速が所定値以上となる期間内に設定されている。換言すれば、吸気作動室8が、エキセン角で下死点後−150°(−150°ABDC)となるタイミングを中心とした期間内に、燃料噴射時期が設定されている。
具体的には、図3に示すような吸気作動室8内における吸気の流動解析を行い、吸気行程の各期間における吸気の運動エネルギーを調べた。図中の矢印線は、各点における吸気流の向きを示している。
尚、ここでいうエキセン角とは、図3の(b)に仮想線で示すように、ロータ2の頂部が下端に位置し、吸気作動室8の容積が最大になる状態(下死点:BDC)を基準(0°ABDC)とし、これに対するエキセントリックシャフト6の回転方向側への回転角であり、実線で示すように、ロータ2が逆方向に約80°戻った状態が−150°ABDCに相当している。
吸気行程における−210°〜−60°ABDCの範囲で、吸気作動室8内での吸気の運動エネルギーを比較した結果を図4のグラフに示す。このグラフに示すように、−150°ABDCをピークに吸気の運動エネルギーが大きくて、吸気流速も大きく、激しい吸気流の流動が形成されていることがわかる。従って、吸気行程前半の−150°ABDCを中心にして、−170°〜−130°ABDCの範囲、更に好ましくは−160°〜−140°ABDCの期間内で燃料を噴射すれば、効率よく燃料を拡散させることができる。
そして、その燃料の噴射は、ロータ収容室7の吸気作動室8が形成される側に設けられた1つのインジェクタ15から直接、吸気作動室8内に噴射されるように構成されている(例えば、図2参照)。このインジェクタ15は、先端部に燃料を噴射する複数の噴孔15a,・・・を有するマルチホール型であり、本実施形態では、図5に示すように、8個の噴孔15aがある。各噴孔15aは、それぞれ噴孔径(断面積)やその長さ、角度の設定によって噴霧量やその噴霧方向を調整できるようになっており、最適な燃料の噴射が行えるように、これら噴孔の噴射方向及び噴射位置に工夫が凝らされている。
まず、その噴射方向であるが、図6の(a)に示すように、燃料の噴霧が吸気作動室8の内壁に衝突しないように、一部の噴孔15a(ここでは4つの噴孔)は吸気ポート11,12,13を指向して燃料を噴射するように設定されている(これら噴孔15a,・・・から噴射される噴霧をまとめて非衝突噴霧S1という)。一方、同図の(b)に示すように、燃料の噴霧がロータ2に衝突するように、残り噴孔15a(ここでは4つの噴孔)は回転するロータ2のフランク面2aに凹むリセス2bを指向して燃料を噴射するように設定されている(これら噴孔15a,・・・から噴射される噴霧をまとめて衝突噴霧S2という)。尚、図5は−150°ABDCの状態を示している。
具体的には、図6の(a)において、非衝突噴霧S1では、ロータ収容室7の長軸Yに対して吸気ポート11,12,13側に略40°傾斜した方向にその噴霧中心が一致するように各噴孔15a,・・・を指向させている。この略40°は、この状態(−150°ABDC)における吸気作動室8の両端に位置するロータ2の頂部を結ぶ直線とロータ収容室7の長軸Yとの傾斜角に基づくものである。
一方、衝突噴霧S2では、図6の(b)に示すように、リセス2bの形状に合わせてロータ収容室7の長軸Yに対して吸気ポート11,12,13側に0°〜30°傾斜した方向にその噴霧中心が一致するように各噴孔15a,・・・を指向させている。
ここで、リセス2bの形状について具体的に説明すると、図1に示すように、リセス2bは、ロータ2の各フランク面2aの略中央部位で、フランク面2aから緩やかに内側に傾斜した曲面を有する凹みであり、フランク面2aの長軸方向に延びた長細形状をしている。そのため、このリセス2bの表面に向けて噴射された燃料は、図7の矢印線で示すように、リセス2bの表面に衝突すると、吸気作動室8内の中央に向けて反射され、吸気作動室8の内側面4a,5aに付着し難くなっている。
次に、噴射位置であるが、8つの噴孔15a,・・・は、ロータ収容室7の長軸Y線近傍のロータ2の回転方向遅れ側である吸気ポート11,12,13寄りに配設され、そこから吸気作動室8内に臨むように構成されている。
具体的には、図6の(a)において、吸気作動室8に面するロータ収容室7を区画するトロコイド内周面3aに接する40°傾斜した接線L1と、吸気作動室8に面するロータ2のリセス2bの表面に接する40°傾斜した接線L2との間の中間線L3が、トロコイド内周面3aと交わる長軸Y側の部位に各噴孔15a,・・・が設けられている。こうすることで、吸気作動室8内に比較的早期に燃料を噴射することができ、また、略40°の非衝突噴霧S1の燃料噴射方向と相俟って、非衝突噴霧S1で噴射した燃料が衝突せずに吸気作動室8内を飛ぶ噴霧距離を大きくすることができる。
更に、このように振り分けた非衝突噴霧S1の噴霧量と衝突噴霧S2の噴霧量とは、略同一に設定するのが好ましい。この噴霧量の割合は、各種実験によって見出されたものである。以下、その実験1〜3の内容について説明する。
まず、実験を行うにあたって、図8に示すように、非衝突噴霧S1と衝突噴霧S2の、噴霧量の比率が異なる噴霧条件を設定した。例えば図中、条件Aは、比較例として全噴霧量を非衝突噴霧S1に設定したものであり(S1:100、S2:0)、条件B〜Dは、試験例として噴霧量を振り分けたものである(例えば、BはS1:75、S2:25)。また、各条件の下側には、その噴霧状態の概略図を示してある。
(実験1)
このような条件A〜Dの各噴霧条件において、所定の噴射圧力(12MPa)における燃費改善率(%)の比較を行った。その結果を図9のグラフに示す。図の縦軸は燃費改善率(%)であり、横軸は全噴霧量を100としたときの衝突噴霧S2の割合を示している。尚、燃費改善率(%)は、公知のポート噴射型のロータリピストンエンジンに対するものであり、一般的な低回転数、低負荷の所定の条件(エンジン回転数:1500rpm、BMEP:294kPa等)の下で比較した。
図に示すように、比較例も含め、いずれの条件でも約2%の燃費改善率の増加が認められたが、なかでも条件C(S1:50、S2:50)の燃費改善率が最も高く、噴霧量の差が大きくなるに従って、燃費改善率が低くなる傾向が認められた。また、図示しないが、燃料の噴射圧を変えた場合には、噴霧量の差が大きくなるほど、燃費改善率のばらつきが大きくなる傾向も認められたことから、燃費改善率の観点からすると、衝突噴霧S2の噴霧量の割合は、全噴霧量を100としておおよそ30〜60とするのが好ましく、中でも両者を同じに設定するのがより好ましいことが確認された。
(実験2)
次に、吸気の流動状態の変化が燃料改善率に及ぼす影響について調べた。エンジン1の運転状態に連動して吸気の流動状態が大きく変化することは先に説明したが、その変化に対して安定した効率な燃焼を実現させる必要があるからである。
実験では、第1吸気ポート11のみから吸気した場合と、第1及び第2の吸気ポート11,12から吸気した場合と、この第1及び第2の吸気ポート11,12から吸気した場合において、その吸気量を半分に絞った場合の3つの吸気状態で燃費改善率(%)を比較した。尚、その他の諸条件は先の試験と同様である。
その結果を図10のグラフに示す。そこには、比較例である上記条件A(S1:100:S2:0)と、試験例である上記条件D(S1:25、S2:75)の結果を示している。尚、図中符号Pは、第1吸気ポート11から吸気した場合を示し、符号P+Sは第1及び第2の吸気ポート11,12から吸気した場合、符号P+S/2は第1及び第2の吸気ポート11,12から吸気量を半分に絞って吸気した場合を示している。
このグラフから明らかなように、条件Dでは、吸気状態の異なるいずれの条件でも2%近くの燃費改善率が認められ、ばらつきも小さく安定もしていた。条件Aでは、2%を超える燃費改善率を示す条件も認められたが、その一方で0.5%にも満たない条件も認められ、燃費改善率が大きくばらつく傾向が認められた。これは、主として、条件Aでは全噴霧量が吸気ポート11,12,13に向けて噴射されているため、吸気状態の影響を強く受けたのに対し、条件Dでは噴霧量を振り分けたことで、その影響が抑制されたものと思われる。
従って、このように非衝突噴霧S1だけでなく、その一部を衝突噴霧S2に振り分けることで、吸気状態の変化に対しても、優れた燃費改善率を安定して発揮させられることが確認された。
(実験3)
燃料が吸気作動室8の内壁面に付着すると、燃焼不良を招いて微量のスモークが発生する。このスモークの発生を抑制することは、燃費の改善と同様にエンジンの燃焼性能上、重要な課題となっている。そこで、噴霧量の割合がスモークの発生に及ぼす影響を調べるために、先に説明した吸気行程(−210°〜−60°ABDC)の各タイミングで燃料噴射を行い、そのときのスモークの発生量(FSN)を比較した。尚、エンジンの回転数等、その他の諸条件は先の実験1等と同様である。
その結果を図11のグラフに示す。そこには、上記条件B(S1:75、S2:25)と、上記条件D(S1:25、S2:75)の結果を示している。図に示すように、条件Bでは、吸気行程の広い範囲でスモークの発生が認められず、−100°ABDCを過ぎて僅かに発生が認められた。一方、条件Dでは、吸気行程の初期ではスモークの発生は認められなかったが、−140°ABDCを過ぎるとスモークが発生する傾向が認められた。これは、衝突噴霧S2では回転するロータ2のリセス2bの反射を利用しているため、ロータ2の回転角度の影響を受け易く、その噴霧量の割合が増加すると、付着量が多くなり、気化、霧化が不十分になって燃焼不良が増加したものと思われる。従って、衝突噴霧S2の割合を過度に増やすことは、スモークの発生を招くおそれがあると考えられ、スモーク発生を抑制する観点からすれば、衝突噴霧S2の噴霧量の割合は75を超えないのが好ましく、また、それ以下であればスモークの発生を効果的に抑制できることが確認された。
以上説明したように、ロータリピストンエンジンに本発明の燃料供給装置を適用すれば、燃料の付着が効果的に抑制できるとともに噴射した燃料を均一に拡散でき、安定した効率のよい燃焼を実現することができるようになる。
尚、本発明の構成は、前記実施形態のものに限定されることはなく、その他の種々の構成を包含する。すなわち、前記実施形態では、2ロータタイプのエンジン1を示したが、これに限るものではない。また、噴孔15aの個数は2個以上あればよい。吸気ポートの数も3つに限られず、2つであってもよい。インジェクタ15の複数の噴孔15aは、ロータ収容室7の長軸Y線上、あるいはその近傍の、吸気ポート11,12,13から離れた方に配設することもできる。
本発明の実施形態に係るロータリピストンエンジンの概要を示す斜視図である。 同エンジンの要部の示す、一部を簡略化した断面図である。 吸気作動室8における流動解析を説明するための図である。(a)は斜視図であり、(b)はその側面図である。 吸気作動室8における流動解析の結果を示すグラフである。 インジェクタの噴孔の模式図である。 燃料噴射装置の具体的構成を説明するための図である。(a)は非衝突噴霧の構成を、(b)は衝突噴霧の構成を示している。 リセスでの燃料の反射を説明するための図である。 実験での噴霧条件をまとめた図である。 実験1の結果を示すグラフである。 実験2の結果を示すグラフである。 実験3の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 ロータリピストンエンジン
2 ロータ
2a フランク面
2b リセス
3 ロータハウジング
4 インターミディエイトハウジング
5 サイドハウジング
7 ロータ収容室
8 作動室(吸気作動室)
11 第1吸気ポート
12 第2吸気ポート
13 第3吸気ポート
15 インジェクタ(燃料噴射弁)
15a 噴孔
X 回転軸
Y 長軸
Z 短軸

Claims (4)

  1. 吸気行程にある作動室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたロータリピストンエンジンの燃料噴射装置であって、
    上記吸気行程にある作動室に面するロータのフランク面にはリセスが凹設され、
    上記燃料噴射弁は、燃料を噴射する複数の噴孔を備えており、
    上記複数の噴孔の一部が、上記吸気行程にある作動室に面して開口する吸気ポートを指向して燃料を噴射するように設けられ、
    残りの噴孔が、上記リセスを指向して燃料を噴射するように設けられていることを特徴とするロータリピストンエンジンの燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載のロータリピストンエンジンの燃料噴射装置において、
    上記燃料噴射弁による燃料噴射時期が、吸気行程前半の吸気流速が所定値以上となる期間内に設定されていることを特徴とするロータリピストンエンジンの燃料噴射装置。
  3. 請求項1又は2に記載のロータリピストンエンジンの燃料噴射装置において、
    上記リセスを指向した燃料噴霧である衝突噴霧、及び上記吸気ポートを指向した燃料噴霧である非衝突噴霧の各噴霧量が、略同一に設定されていることを特徴とするロータリピストンエンジンの燃料噴射装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のロータリピストンエンジンの燃料噴射装置において、
    上記ロータの回転軸方向から見て、ロータ収容室は略楕円形状を有し、
    上記燃料噴射弁の複数の噴孔が、上記ロータ収容室の長軸線近傍において上記ロータの回転方向遅れ側である吸気ポート寄りに配設されていることを特徴とするロータリピストンエンジンの燃料噴射装置。
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