JP2009084640A - ワイヤー状金属微粒子含有組成物および導電性半透明フィルム - Google Patents

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【課題】ワイヤー状金属微粒子含有組成物と、この組成物によって得られる高い光線透過率と低い抵抗値とを兼ね備えた導電性半透明フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも長軸が3μm以上及び短軸が70nm以上であってアスペクト比が20〜250であるワイヤー状金属微粒子と沸点が180℃以下の溶媒とを含むワイヤー状金属微粒子含有組成物。このワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層を合成樹脂基材の少なくとも片面に積層した導電性半透明フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ワイヤー状金属微粒子含有組成物、およびこの組成物によって得られる層を基材に積層して形成される、高い光線透過率と低い抵抗値とを兼ね備えた導電性半透明フィルムに関する。
近年、金属ナノ粒子を用いた導電性材料は、配線材料、導電性ペースト、電極材料、センサー、液晶表示素子、ナノ磁石、電磁波シールド、光学材料、偏向材料、環境触媒、燃料電池用高機能触媒などの用途をはじめとして、医薬品の用途としても、最も注目を浴びている材料のひとつである。
例えば、特許文献1には、平均粒径が1〜100nmの金属ナノ粒子を含有する分散液を基板上に付着させ、250℃以下の温度で焼結する方法が開示されている。
しかし、金属ナノ粒子として銀、金と2種類用いる必要があるうえ、導電性能を得るための焼結条件は「200℃×15分」「250℃×15分」であり、合成樹脂製の基板に積層する場合は合成樹脂の選択に大幅な制限がある。加えて、粒子の形状が球状であるゆえ、粒子の表面積が多くなり凝集し易く、分散安定性を確保する為に分散剤を多量に添加する必要があるが、分散剤を多量に用いると、基板上に積層した粒子同士の接触をしにくくし、導電性のバラツキが生じるという問題もある。
特許文献2には、長軸400nm以上及び短軸50nm以下であるワイヤー状金属繊維を含有する塗料組成物をガラス基板に塗布し、乾燥する技術が開示されている。
このワイヤー状金属繊維は、球状よりは導電性能が優れるものの、より高い導電性を有する微細繊維状物などが求められている。また、実施例の乾燥条件が「200℃×1時間」と示すように、高温かつ長時間であるため、特許文献1同様、合成樹脂製の基板に塗布する場合に問題があった。
特表2007−515795号公報 特開2005−317395号公報 特願2007−1256
このように、従来の金属ナノ粒子またはワイヤー状金属繊維を用いた導電性ペーストでは、高い導電性を得るためには、200℃以上の高温で焼結(乾燥)する必要があり、これにより基材の選択に大幅な制限があった。例えば、薄膜化、柔軟性、軽量化、後加工性のし易さ等の観点から基材に合成樹脂を用いようとしても、多くの合成樹脂は200℃以上の高温下で処理すると変形したり溶融したりしてしまうため、使用が困難であった。
本発明は、以上のような諸点を考慮し、ワイヤー状金属微粒子含有組成物と、この組成物から得られる層を積層することによって得られる導電性半透明フィルムとに関し、特に、基材の材質に制限されることなく、高い日射透過率と低い抵抗値とを兼ね備えた導電性半透明フィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために検討を重ねたところ、特定の形状とサイズを有する金属微粒子(具体的には、ワイヤー状の金属微粒子)を基材上にランダムに配位させることで、低温かつ短時間で該金属微粒子層(ワイヤー状の金属微粒子同士が絡まり合って不織布状の層)を形成することができるので、合成樹脂製の基材を使用できるうえ、優れた導電性を有する半透明フィルムが得られるとの知見を得た。
本発明は、このような知見の下でなし得たものであり、以下を要旨とする。
(1)少なくとも長軸が3μm以上及び短軸が70nm以上であってアスペクト比が20〜250であるワイヤー状金属微粒子と、沸点が180℃以下の溶媒とを含むワイヤー状金属微粒子含有組成物。
(2)前記(1)に記載のワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層を、合成樹脂基材の少なくとも片面に積層した導電性半透明フィルム。
(3)前記(1)に記載のワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる前記層が200℃未満の温度で熱処理されて形成される前記(2)に記載の導電性半透明フィルム。
(4)表面抵抗値が10Ω以下であることを特徴とする前記(2)または(3)に記載の導電性半透明フィルム。
(5)波長400〜800nmの可視光線透過率の平均値が15%以上であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載の導電性半透明フィルム。
本発明によれば、基材の材質に制限がなく、合成樹脂基材を用いることができるため、薄くて、軽く、可撓性があり、曲げ、打抜き、融着、カットなどの加工性に優れた高い導電性を有する半透明フィルムを得ることが出来る。
本発明のワイヤー状金属微粒子含有組成物は、少なくとも長軸が3μm以上及び短軸が70nm以上であってアスペクト比が20〜250であるワイヤー状金属微粒子と、沸点が180℃以下の溶媒とを含むことが重要である。
ワイヤー状金属微粒子の配合量は、溶媒100重量部に対して、3〜80重量部が好ましく、より好ましくは、7〜60重量部である。金属微粒子の量が3重量部未満であると、例えば基材に積層する場合、金属微粒子同士の絡み合いが少ないため導電性半透明フィルム表面抵抗値が高くなり、また80重量部より多いと、導電性は高くなるが色が濃くなるので可視光線透過率が低下したり、ワイヤー状金属微粒子含有組成物の粘度が高くなり金属微粒子の分散安定性に支障が出たり、コーティング特性が悪化する傾向にある。
ワイヤー状金属微粒子の長軸が3μm未満または短軸が70nm未満であると、金属微粒子同士の絡み合う確率を十分に上げられず、基材として合成樹脂を用いた際に、該基材を損傷しない程度に熱処理温度を低くかつ熱処理時間を短くすることができない。長軸と短軸の上限値については、アスペクト比が20〜250の範囲内であれば、特に限定されないが、大きすぎると取扱い性が低下するので、長軸は150μm程度、短軸は1,000nm程度である。
本発明では、ワイヤー状金属微粒子のアスペクト比を上記範囲内とすることで、金属微粒子同士が相互に絡み合いやすい状態になり、容易に不織布状を呈し高い導電性を有することが出来る。アスペクト比が20未満であると、短軸に対する長軸の長さが短くなり(ワイヤー状というよりロッド状に近くなり)、金属微粒子同士の絡みや接触の確率が低下し、低温・短時間の熱処理でワイヤー状金属微粒子層の形成が困難になるばかりか、高い導電性も得られにくい。一方、アスペクト比が250を超えると、金属微粒子同士の絡みや接触は多くなるが、短軸に対する長軸の長さが極端に長すぎるため、後述の溶媒との組成物にした場合、金属微粒子の分散安定性が低下し、金属微粒子同士が溶媒中で凝集して、基材上に均一な積層体を形成することが困難となる。
なお、本発明における金属微粒子の90%以上が前記長軸、短軸およびアスペクト比の範囲を満たしていれば(つまり本発明でいう「ワイヤー状」であれば)、微量の球状微粒子等を含有していても差し支えない。また、90%以上の金属微粒子が前記長軸、短軸およびアスペクト比の範囲を満たしていれば、軸の長さやアスペクト比が同等のもののみから構成されていても、軸の長さやアスペクト比が異なるものが混在していても差し支えない。
また、金属としては、ニッケル、銅、銀、金、白金、ビスマスなどが挙げられ、中でも、本願所望のアスペクト比が得られやすい(ワイヤー状を形成しやすい)銀が好適に用いられる。
このようなワイヤー状金属微粒子の合成方法は、長軸、短軸およびアスペクト比を前記範囲内とすることが可能であるならば、電解法、化学還元法、光還元法など特に限定されないが、例えば、本発明者による先提案の下記方法が挙げられる(特願2007−1256参照)。
本発明のワイヤー状金属微粒子含有組成物には、沸点が180℃以下の溶媒が配合される。
沸点が180℃以下の溶媒としては、例えば、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素類、脂環式炭化水素類等が使用できるが、金属微粒子の分散安定性の観点から、メタノールやエタノール等の低級アルコール類が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を併用することもできる。
沸点が180℃よりも高いものを用いると、該ワイヤー状金属微粒子含有組成物を基材に積層した場合、高温で長時間熱に晒さなければならないので、特に合成樹脂基材等の耐熱性に劣る基材を用いた場合、基材の変形や溶融等の不都合が生じるおそれがある。
本発明のワイヤー状金属微粒子含有組成物には、バインダー、分散剤、着色剤、粘度調整剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、表面調整剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、乾き調整剤、その他各種の添加剤を配合してもよい。
このワイヤー状金属微粒子含有組成物は、スクリーン印刷、グラビア塗工、スプレー塗工、マイヤーバー塗工、コンマロール塗工などの公知方法により、任意の基材の少なくとも片面に積層することができる。積層方法によって、ワイヤー状金属微粒子含有組成物の粘度を適宜調節してもよい。
バインダーは基材との密着性を高めるために配合される。このバインダーとしては、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂などを用いることができる。
アクリル系樹脂は、耐候性に優れて、耐アルカリ性が良い。アクリル系樹脂の熱硬化型は架橋構造を有する為、耐熱性、耐候性に優れる。セルロース系樹脂は、耐熱性、耐アルカリ性が良い。ウレタン系樹脂は、アクリル系樹脂の特徴に加えて密着性に優れる。シリコーン系樹脂は、ウレタン系樹脂の特徴に加えてより密着性に優れ、架橋構造である為、耐候性、耐汚性に優れる。フッ素系樹脂は、密着性に優れ、熱、紫外線、耐候性、耐薬品性に優れる。アルキド系樹脂は、速乾性であり耐油性、耐候性に優れる。エポキシ系樹脂は、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、高強度である。
しかしながら、耐熱性や耐候性の観点から架橋型のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂が好ましく、より好ましくは架橋型アクリル系樹脂である。架橋型アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、溶媒への分散性が良い為、本発明のワイヤー状金属微粒子含有組成物に好適な材料である。
このようなバインダーは、必要に応じて前述のワイヤー状金属微粒子含有組成物中のワイヤー状金属微粒子100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部配合してもよい。5重量部未満では、バインダーを添加する効果が得られない。100重量部を超えると、基材との密着性は向上するがバインダー成分の含有量が多く、導電性が悪化する。
分散剤は、ワイヤー状金属微粒子の分散性を向上させるために配合される。この分散剤としては、アミノ基、メルカプト基、チオ基、シアノ基を有する化合物が好適である。窒素原子や硫黄原子はワイヤー状金属微粒子への高い吸着性を示すので、ワイヤー状金属微粒子を前述の溶媒へ分散させたときに高い分散安定性を示す。
分散剤は、必要に応じて前述のワイヤー状金属微粒子含有組成物中のワイヤー状金属微粒子100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部配合してもよい。1重量部未満では、分散剤を添加する効果が得られない。100重量部を超えると、ワイヤー状金属微粒子同士の凝集をより防止しやすくなるが、分散剤自体には導電性が無いので、高い導電性を得ることが困難となる。
着色剤としては、染料や顔料などが挙げられるが、添加に関しては、可視光線領域の透過性を損なわないように考慮する必要がある。
本発明の導電性半透明フィルムは、上記したようなワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層を、合成樹脂基材の少なくとも片面に積層したものである。
例えば、ワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層を、合成樹脂基材の両外層に積層することも可能であり、また合成樹脂基材間に積層することもできる。
合成樹脂基材の少なくとも片面に形成されるワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層の厚みは、得られる導電性半透明フィルムの目的により適宜選択ことができるが、好ましくは乾燥厚みで0.1〜100μmであり、より好ましくは0.5〜50μmである。
ワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層の厚みが薄すぎると、所望の表面抵抗値とすることができなくなる可能性があるうえ、耐久性も劣る。また厚すぎると、表面抵抗値は低くなるが、透明性が極端に悪くなり、例えば太陽光発電による色素増感型太陽電池では太陽光線の透過が低くなり、色素の光吸収量が減少して光電変換効率が下がる。また、液晶ディスプレイや有機EL駆動装置として用いた場合も視認性及び駆動性の低下の原因になる。
本発明の導電性半透明フィルムでは、ワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層が、200℃未満の温度で熱処理されてなることが好ましい。
200℃以上の温度で熱処理すると、合成樹脂基材を傷める虞がある。
なお、熱処理時間については、ワイヤー状金属微粒子の配合量や前述したワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層の厚み、熱処理温度とのバランスによって、合成樹脂基材を傷めない程度に適宜設定すればよく、本発明においては1〜30分程度とすることが好適である。
合成樹脂基材としては、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリスチレン系、ポリブタジエン系、ポリ酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリアセタール系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系、ポリイミド系、酢酸セルロース系、セロファン系、ウレタン系、ポリビニルアルコール系、トリアセチルセルロース系、ポリエステル系、不飽和ポリエステル系、アリル系、アルキド系、エポキシ系、シリコーン系、ナイロン系樹脂等が挙げられる。使用用途により適宜、上記の樹脂を2種類以上組み合わせて使用することもできる。
中でも、高い透明性を有し、機械的強度が強く、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系基材が好ましい。
合成樹脂基材の厚みは、特に限定されないが、10〜1000μm程度が好ましい。
合成樹脂基材が薄すぎると、ワイヤー状金属微粒子含有組成物を積層する際に合成樹脂基材にシワが入り易くなり、均一の積層が困難になる傾向がある。また、厚すぎれば、ワイヤー状金属微粒子含有組成物の積層は容易になるが、薄くて、軽く、曲げることが可能な導電性半透明フィルムが得られにくい。
本発明の半透明導電性フィルムの表面抵抗値は10Ω以下であることが好ましい。
なお、本願明細書における表面抵抗は、三菱化学社製 商品名“ロレスタ・GP”を用いて、4端針法によって測定している。
本発明の半透明導電性フィルムでは、波長400〜800nmの可視光線透過率の平均値が15%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。
15%より低いと、例えば、フレキシブル電極として本発明の半透明性導電材料を用いた場合、太陽光発電による色素増感型太陽電池では太陽光線の透過が低くなると色素の光吸収量が減少して光電変換効率が下がる。また、液晶ディスプレイや有機EL駆動装置として用いた場合も視認性及び駆動性の低下の原因になる。
以上のような合成樹脂基材の少なくとも片面にワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層を積層した半透明導電性フィルムの厚みについては、一般的な導電性フィルムとして使用される厚みであれば特に問題なく、例えば20〜1100μm程度が好適である。
〔金属微粒子を合成する〕
(合成方法1)
エチレングリコール500mLを加熱し、塩化白金20mgを添加した。
次に、この混合溶液へ、硝酸銀15gとポリビニルピロリドン20gをエチレングリコール750mLに溶解した混合溶液を12mL/minの割合で滴下した。滴下終了後30分後にサンプリングを行い、金属粒子の形状を電子顕微鏡で確認した。平均長軸12μm、平均短軸250nm(アスペクト比48)のワイヤー状金属微粒子であった。
(合成方法2)
硝酸銀5gとポリビニルピロリドン20gをエチレングリコール750mLに溶解した以外は合成方法1と同様の方法で合成した。平均長軸25μm、平均短軸100nmの(アスペクト比250)のワイヤー状金属微粒子であった。
(合成方法3)
硝酸銀5gとポリビニルピロリドン40gをエチレングリコール750mLに溶解した以外は合成方法1と同様の方法で合成した。平均粒径180nmの球状の金属微粒子であった。
(合成方法4)
硝酸銀50gとポリビニルピロリドン100gをエチレングリコール750mLに溶解し、塩化白金を100mg添加し、混合溶液を10mL/minの割合で滴下した以外は合成方法1と同様の方法で合成した。平均長軸8μm、平均短軸500nm(アスペクト比16)のワイヤー状金属微粒子であった。
(合成方法5)
ブチレングリコール500mLを加熱し、塩化白金5mgを添加した。
次に、この混合溶液へ、硝酸銀10gとポリビニルピロリドン20gをブチレングリコール750mLに溶解した混合溶液を14mL/minの割合で滴下した。滴下終了後30分後にサンプリングを行い、金属粒子の形状を電子顕微鏡で確認した。平均長軸1μm、平均短軸45nm(アスペクト比25)のワイヤー状金属微粒子であった。
〔導電性半透明フィルムの作成〕
上記合成方法1〜5により得られたワイヤー状(又は球状)金属微粒子に、表1,2に示す溶媒やバインダー、分散剤を表1、2に示す割合でそれぞれ配合し、混合攪拌により金属微粒子含有組成物を得た。
次に、各金属微粒子含有組成物を、厚み50μmのポリエステルフィルム(以後、PET)、ポリエチレンフィルム(以後、PE)、ポリプロピレンフィルム(以後、PP)及びポリエチレンナフタレート(以後、PEN)上に、バーコーターにて乾燥後の厚みが3μmになるように塗布して、表1、2に示す温度と時間で熱処理し、導電性半透明フィルムを作成した。
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(使用原料)
・メタノール(沸点64.5℃)
・エタノール(沸点78.3℃)
・1,3−ブチレングリコール(沸点207.5℃)
得られた各フィルムについて、400〜800nmにおける可視光線透過率(%)と表面抵抗値(Ω)とを測定し、その評価結果を併せて表1,2に示す。
可視光線透過率は、400〜800nm領域における平均光線透過率であり、自記分光光度計(日本分光社製 商品名“V−570”)にて測定した。尚、評価結果は以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:平均光線透過率が15%以上
×:平均光線透過率が15%未満
表1,2から、実施例1〜19の導電性フィルムは、比較例1〜4のものと比較して、表面抵抗値が極めて低く、優れた導電性を有する。
また、実施例1〜18の導電性フィルムは、その可視光線透過率が15%以上であり、いずれも半透明であることが明らかである。
比較例1は球状の金属微粒子を用いたため、比較例2はアスペクト比が20未満の金属微粒子を用いたため、比較例3は長軸、短軸ともに短い金属微粒子を用いたため、表面抵抗値の低い導電性フィルムが得られなかった。比較例4は、沸点が207.5℃の1,3−ブチレングリコールを用いた為、溶媒の乾燥が不十分となり表面がべた付いて実質的に使用できる導電性フィルムが得られず、また、表面抵抗値および可視光透過率の測定ができなかった。
(参考例1)
基材をガラスにし、熱処理温度を200℃×1時間にした以外は、実施例2と同様な方法で作成した結果、表面抵抗が×10Ωであった。
(参考例2)
熱処理温度を200℃×1時間にした以外は、実施例15と同様な方法で作成した結果、合成樹脂基材が熱処理条件に耐えることができず、溶融してサンプルを得ることが出来なかった。
本発明のワイヤー状金属微粒子含有組成物は、コストや材料の枯渇が問題視されているITOの代用として、広範な分野に好適に使用され得る。
例えば、次世代太陽光発電による色素増感型太陽電池の電極、液晶ディスプレイや有機EL駆動装置等としても好適である。

Claims (5)

  1. 少なくとも長軸が3μm以上及び短軸が70nm以上であってアスペクト比が20〜250であるワイヤー状金属微粒子と、沸点が180℃以下の溶媒とを含むワイヤー状金属微粒子含有組成物。
  2. 請求項1に記載のワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる層を、合成樹脂基材の少なくとも片面に積層した導電性半透明フィルム。
  3. 請求項1に記載のワイヤー状金属微粒子含有組成物から得られる前記層が200℃未満の温度で熱処理されて形成される請求項2に記載の導電性半透明フィルム。
  4. 表面抵抗値が10Ω以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の導電性半透明フィルム。
  5. 波長400〜800nmの可視光線透過率の平均値が15%以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の導電性半透明フィルム。
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