JP2009084549A - 水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法及びベルト重合機 - Google Patents
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Abstract
【課題】
(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体等の、水溶性重合体の板状含水ゲルをベルト重合方法にて製造するにあたり、ベルト基材への付着を防止しながら安定に連続的に製造する方法ならびにベルト重合装置を提供する。
【解決手段】
ステンレス製ベルト重合機により連続的に生産される水溶性重合体板状含水ゲル(1)を製造する方法であって、該製造方法は、当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲル(1)を、一旦、ステンレス製基材面より上部に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材(3)により間欠的に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法である。
【選択図】 図3
(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体等の、水溶性重合体の板状含水ゲルをベルト重合方法にて製造するにあたり、ベルト基材への付着を防止しながら安定に連続的に製造する方法ならびにベルト重合装置を提供する。
【解決手段】
ステンレス製ベルト重合機により連続的に生産される水溶性重合体板状含水ゲル(1)を製造する方法であって、該製造方法は、当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲル(1)を、一旦、ステンレス製基材面より上部に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材(3)により間欠的に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法である。
【選択図】 図3
Description
本発明は、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト重合機での効率的な製造方法に関する。より具体的には、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルの製造方法に関する。より詳しくは、医薬、塗料、製造プロセス、土木・建築等の種々の分野で多岐にわたって使用されている(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の乾燥前段階である含水ゲルを剥離用部材を用いてベルト基材からの剥離を促す装置を設置した効率的なベルト重合機での製造方法及び該ベルト重合機に関する。
従来より水溶性重合体は、凝集性や増粘性等の特性を発揮することが知られており、特に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、これらの特性に優れた重合体として工業的に有用なものである。例えば、医薬分野においては、湿布薬、パップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用され、塗料分野においては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤、粘着性向上剤として使用されている。また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤として多用されている。更に、土木・建築分野においては、掘削土処理剤や浚渫土処理剤、加泥剤として使用され、その他一般工業分野において、食品添加物、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤としても使用されている。このように(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は種々の分野で多岐にわたって使用されている。
このような(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、例えば、重合工程、ゲル解砕工程、乾燥工程等を経て製造され、通常では水溶液重合により(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲル(以下、単に「含水ゲル」、「ゲル」ともいう)を製造することになる。(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルは、付着性があるので、重合により得られた含水ゲルが重合容器底面等に強く付着してしまうことがあり、この場合、含水ゲルを引き剥がす工程が必須となる。
なお、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体と同様の性能を発揮する重合体としてアミド系含水重合体があるが、アミド系含水重合体はもともと低付着性であり、付着性を低く制御したり含水ゲルを引き剥がす工程が必須となるようなものではない。更に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、アミド系重合体よりも広く多くの技術分野において好適に適用することができるものである。
なお、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体と同様の性能を発揮する重合体としてアミド系含水重合体があるが、アミド系含水重合体はもともと低付着性であり、付着性を低く制御したり含水ゲルを引き剥がす工程が必須となるようなものではない。更に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、アミド系重合体よりも広く多くの技術分野において好適に適用することができるものである。
特に、このような(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が、光ベルト重合法等の、ベルト重合機により連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造する方法にあっては、板状含水ゲルが、ベルト基材に付着等を起こしてしまう場合があり、そのような場合は、含水ゲルをベルト基材から剥離するために引き剥がす工程が必須となり、連続的に生産することができない。更に付着の程度が強い場合、水溶性重合体板状含水ゲルが、ベルト基材終端部で重合機の下側まで巻き込まれ、工程がストップする等の多大な問題が発生する。
従来の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法としては、注型重合法を用いたものが開示されている(例えば、特許文献1(特開2006−45357号公報)参照)。
理由は定かではないが、注型重合法で得られる含水ゲルは、基材(ステンレス等)に対する剥離が極端に悪い。このため、注型重合法の場合、通常、鉄製の容器に、フッ素樹脂、例えばテフロン(登録商標)ライニング処理を施したものを重合容器としている。テフロン(登録商標)ライニング処理した重合容器を使用すると、重合により得られた含水ゲルは、比較的容易に重合容器(重合枠)より剥がれる。
またステンレス等の伝導性基材上に0.15mm以下の厚さの離型材を有する基材上で、光重合を行うアクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2(特開2007−56222号公報)参照)。これは、離型材を使用して含水ゲルの剥離性を高めたことにより、含水ゲルを容易に製造することを可能としたものである。
この離型材を使用すると、ゲルの付着トラブルは減少するが、長期間使用すると離型材が劣化し、工程を止めて交換が必要という課題があった。従って、離型材を用いないで剥離性を高めることが、含水ゲルの製造方法を更に安価且つ効率的なものとするために望まれていた。
一方、ベルト重合機を用いて連続生産する場合は、基本的には、無人での長期にわたる連続運転が好ましい。しかし板状含水ゲルのベルト基材への付着等の問題のために、当該板状含水ゲルをベルト基材から引き剥がす工程が生じれば、連続工程における作業効率(例えば、作業工程数、作業時間)、人件費等に大きな差異を生じることになる。
したがって、連続的な製造においては、離型材を用いることなく、且つ、引き剥がすことなしに重合工程を行うことが重要な課題であるとされ、更に効率の良い工程とすることが望まれていた。樹脂製のベルトであっても、またステンレス製のベルト上にフッ素樹脂等を設置する場合でも、長時間にわたる連続運転では、板状含水ゲルの基材への付着の問題は起こり得るので対策が望まれていた。
アクリル酸塩系単量体を主成分とする単量体を重合して製造されるアクリル酸塩系水溶性重合体に関して、ガラス製容器、しかもバッチ式で光照射で重合を行うことが開示されている。(例えば、特許文献3(特開2006−213773号公報)参照)。また、全単量体成分中に占めるアクリル酸系単量体割合、単量体成分の重合時の反応液中の濃度等を特定された部分中和(メタ)アクリル酸系重合体が開示されている(例えば、特許文献4(特開2003−261626号公報)参照)。
また、特許文献4(特開2003−261626号公報)では、ベルト重合機として、船型構造ではないベルト基材(図1、2)、及び、船型構造であり、重合用モノマー液をためてそこで重合させる船型樹脂ベルト(図3〜5)が開示されている。この場合、船型樹脂ベルトであってもベルト基材がフッ素樹脂等の樹脂であるため、前記問題点を有するものである。また、同様なベルトでの重合方法として特許文献5(特開2002−3509号公報)では、4・6フッ素樹脂又はシリコーン樹脂により被覆された可動式樹脂ベルト上での、ビニル系単量体水溶液を連続的に供給して重合した形態が記されている。
これら水溶性重合体板状含水ゲルの製法に関する従来技術をみると、上述のように注型重合法により生産する方法、ベルト重合機を用いて連続生産する方法があるが、ベルト重合機を用いて連続生産する方法が工業的な生産に適し、廉価なかつ効率の良い製造を可能にするといえる。しかしながら、ベルト基材へのゲルの付着トラブルが生じ、これを廉価な方法でもって解決することが、ベルト重合機を用いて連続生産する場合の利点を生かすことができるという点から望まれるところであった。
従来の技術においては、そのような課題を解消するための有効な方策が示されておらず、また廉価なかつ効率の良い解決方法を示唆するものでもないことから、水溶性重合体板状含水ゲルの製法における上述した特有の課題を解消することができる技術開発が待たれるところであった。
特開2006−45357号公報(第2、11−13頁等)
特開2007−56222号公報(第2、13−18頁等)
特開2006−213773号公報(第2頁等)
特開2003−261626号公報(第2頁等)
特開2002−3509号公報(第2、6頁等)
従来の技術においては、そのような課題を解消するための有効な方策が示されておらず、また廉価なかつ効率の良い解決方法を示唆するものでもないことから、水溶性重合体板状含水ゲルの製法における上述した特有の課題を解消することができる技術開発が待たれるところであった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、例えば(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体としての、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト基材への付着を防止しながら安定に連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造する方法及びその重合装置である水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機を提供することを目的とする。
なお、本発明で製造された、例えば(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体としての、水溶性重合体板状含水ゲルは、更に乾燥、粉砕工程等を経て、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体粉体等とし、湿布薬やパップ剤用の添加剤や親水性軟膏基材、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤、掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤等に好適に使用することができる。勿論、芳香剤等用途によっては、水溶性重合体板状含水ゲルとしても使用することも可能である。
本発明者らは、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの連続的な製造方法においてベルト重合機終端部の当該板状含水ゲルが、ベルト基材から剥離し、ベルト基材の上方に巻き取りガイドローラ等を介して搬送される際に起こりえる、ベルト基材面と当該板状含水ゲルとの付着問題に関して着目した。
一旦付着が起こってしまうと、板状含水ゲルがベルト基材に巻きついて、ベルト重合機の下部に巻き込まれる等の大問題が生じる。これにより、ベルト重合機の運転を停止して巻き込まれた板状含水ゲルを取り除く必要が生じて、板状含水ゲルの連続的な生産がストップしたり、重合機が破損したりする場合がある。
そこで、本発明者らは鋭意検討の結果、ベルト重合機終端部の当該板状含水ゲルに、特別な応力を付与し、ベルト基材から剥離を促す方法を発明し、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法を見い出し、当該製造方法が上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に至ったものである。
すなわち、ベルト重合機を用いて水溶性重合体板状含水ゲルを連続的に生産する方法が工業的な生産において有用であるが、この方法において、生産性等の面で従来技術と比較して際立って有利な効果を発揮する手法を見いだしたものである。例えば、ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際には、水溶性重合体板状含水ゲルが粘着性を有することから、特に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルが大きな粘着性を有することから、板状含水ゲルをベルト基材面より上部方向に持ち上げることによって取り外すことになる。本発明においては、この際に従来技術においては全く取られていなかった手法を用いることによって、板状含水ゲルの取り外しの際のトラブルの発生を充分に防ぎ、効率良くかつ簡便で製造コストを上昇させることなく板状含水ゲルの連続生産を可能とするものである。
すなわち、ベルト重合機を用いて水溶性重合体板状含水ゲルを連続的に生産する方法が工業的な生産において有用であるが、この方法において、生産性等の面で従来技術と比較して際立って有利な効果を発揮する手法を見いだしたものである。例えば、ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際には、水溶性重合体板状含水ゲルが粘着性を有することから、特に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルが大きな粘着性を有することから、板状含水ゲルをベルト基材面より上部方向に持ち上げることによって取り外すことになる。本発明においては、この際に従来技術においては全く取られていなかった手法を用いることによって、板状含水ゲルの取り外しの際のトラブルの発生を充分に防ぎ、効率良くかつ簡便で製造コストを上昇させることなく板状含水ゲルの連続生産を可能とするものである。
本発明における新たな手法は、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えるという方法である。具体的には以下に説明するが、その好ましい形態の概略は、板状含水ゲルがベルト基材から持ち上がるところに固定されたスクレーパーを設置するのではなく、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、前後に可動可能な剥離用部材を用いて少なくともどこか1点を突っつくようにして応力を与えるというものである。固定されたスクレーパーなどを設置して、剥離させる場合には、板状含水ゲルの粘着牲によってスクレーパーとベルト基材との間のクリアランスから板状含水ゲルがベルト基材の進行方向に入り込んでしまい、際立った効果が発揮されない。これに対して、本発明のように、当該板状含水ゲルに対して、前後に可動可能な剥離用部材を使用して少なくともどこか1点を突っつくようにして応力を与える場合、さらに板状含水ゲルをロールなどを使用してベルト基材から上方の方向へ引っ張ると、その応力が加えられた1点が起点となって板状含水ゲルがベルト基材から容易に剥がれることになる。本発明においては、ベルト基材の進行方向に対する横方向等において多くの点を突っつかなければならないというものではなく、少なくともどこか1点を突っつくようにして応力を与える、好ましくは、少なくともどこか1点に対して連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えるようにすればよい。このような手法を取ることは、無人化して連続生産を行うということにおいて、支障をきたすものではなく、無人化連続生産工程において良く適合するものである。
なお、本明細書中、「ベルト」を「ベルト基材」又は「連続ベルト基材」ともいい、「ベルト面」を「ベルト基材面」ともいう。ベルト基材は、言い換えれば、基材ベルトでもある。例えば、「金属ベルト基材」を「金属基材ベルト」ともいい、「連続ベルト基材」を「連続基材ベルト」ともいう。ベルト重合機は、ベルト重合装置ともいう。「クリアランス」は、本明細書中、ベルト基材とスクレーパーの間のすきまを意味する。
連続ベルト基材とは、含水ゲルの連続的な製造を可能にするベルト重合機上のベルト基材であればよい。
また水溶性重合体板状含水ゲルにおける板状の形状について、ベルト重合機によって製造される水溶性重合体含水ゲルの形状であればよく、厳密に板状でなくてもよい。
すなわち本発明は、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であるが、板状等の形状に限定されるものではなく、ベルト重合機を用いて水溶性重合体含水ゲルを製造する方法であればよい。
「水溶性重合体板状含水ゲル」を「板状含水ゲル」、「含水ゲル」、「板状ゲル」又は「ゲル」ともいう。
なお、本明細書中、「ベルト」を「ベルト基材」又は「連続ベルト基材」ともいい、「ベルト面」を「ベルト基材面」ともいう。ベルト基材は、言い換えれば、基材ベルトでもある。例えば、「金属ベルト基材」を「金属基材ベルト」ともいい、「連続ベルト基材」を「連続基材ベルト」ともいう。ベルト重合機は、ベルト重合装置ともいう。「クリアランス」は、本明細書中、ベルト基材とスクレーパーの間のすきまを意味する。
連続ベルト基材とは、含水ゲルの連続的な製造を可能にするベルト重合機上のベルト基材であればよい。
また水溶性重合体板状含水ゲルにおける板状の形状について、ベルト重合機によって製造される水溶性重合体含水ゲルの形状であればよく、厳密に板状でなくてもよい。
すなわち本発明は、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であるが、板状等の形状に限定されるものではなく、ベルト重合機を用いて水溶性重合体含水ゲルを製造する方法であればよい。
「水溶性重合体板状含水ゲル」を「板状含水ゲル」、「含水ゲル」、「板状ゲル」又は「ゲル」ともいう。
以下に本発明の具体的な構成を示す。
本発明は、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機を用いて、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程を含む水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であって、上記製造方法は、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法である。
上記「持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点」とは、ベルト基材面から上部に持ち上げられた水溶性重合体板状含水ゲルの下面側であって、ステンレス製ベルト基材から板状含水ゲルが剥離する境界線上の点である。本発明の製造方法においては、該境界線上の少なくとも1点に向けて、応力を与えることになる。
この構成を採用することで、当該板状含水ゲルが金属ベルトに付着しても適宜、剥離が促されるのでベルト重合装置で長期にわたって連続的な製造が可能になる。これにより、製造効率が向上され、設備費、人件費等の費用を低減して経済的に有利なものとすることができる。
本発明は、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機を用いて、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程を含む水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であって、上記製造方法は、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法である。
上記「持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点」とは、ベルト基材面から上部に持ち上げられた水溶性重合体板状含水ゲルの下面側であって、ステンレス製ベルト基材から板状含水ゲルが剥離する境界線上の点である。本発明の製造方法においては、該境界線上の少なくとも1点に向けて、応力を与えることになる。
この構成を採用することで、当該板状含水ゲルが金属ベルトに付着しても適宜、剥離が促されるのでベルト重合装置で長期にわたって連続的な製造が可能になる。これにより、製造効率が向上され、設備費、人件費等の費用を低減して経済的に有利なものとすることができる。
また、本発明の好ましい形態としては、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機を用いて、重合性単量体を使用して重合させることより連続的に生産される水溶性重合体板状含水ゲルを製造する方法であって、該製造方法は、重合して得られた当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲルを、一旦、当該ステンレス製ベルト基材面より上部に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えるようにする、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法である。
例えば、当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部に持ち上げる形態が好ましい。上記「終端部」とは、ベルト基材上において、板状含水ゲルをベルト基材面より上部に持ち上げる箇所であり、厳密にベルト重合機におけるベルト基材の折り返し部に限られるものではない。
更に、本発明にあっては、剥離用部材の材質が、ステンレス製ベルト基材より柔らかい材質であることや、より具体例を示せば、剥離用部材の材質が樹脂である形態は好ましい形態である。更には上記樹脂がフッ素樹脂であることは、本願発明の好ましい形態である。剥離用部材の材質を考慮することで、例えばSUSベルト基材等への傷が防止できる。
例えば、当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部に持ち上げる形態が好ましい。上記「終端部」とは、ベルト基材上において、板状含水ゲルをベルト基材面より上部に持ち上げる箇所であり、厳密にベルト重合機におけるベルト基材の折り返し部に限られるものではない。
更に、本発明にあっては、剥離用部材の材質が、ステンレス製ベルト基材より柔らかい材質であることや、より具体例を示せば、剥離用部材の材質が樹脂である形態は好ましい形態である。更には上記樹脂がフッ素樹脂であることは、本願発明の好ましい形態である。剥離用部材の材質を考慮することで、例えばSUSベルト基材等への傷が防止できる。
更に、本発明の別の形態にあっては、剥離用部材の材質が軟質金属であればよい。軟質金属は、板状含水ゲルより表面硬度が高く、ステンレス製ベルト基材より表面硬度が低いものであればよく、金属硬度の一般的な定義に従ってステンレスよりも軟質であると評価されるものであればよい。
具体的には、その軟質金属の硬度が、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度で、50N/mm2以上であるものを採用すれば、含水ゲルに充分な応力を与えることができ、300N/mm2以下であるものを採用すれば、SUS金属ベルト基材に傷がつきにくくなる。
具体的には、その軟質金属の硬度が、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度で、50N/mm2以上であるものを採用すれば、含水ゲルに充分な応力を与えることができ、300N/mm2以下であるものを採用すれば、SUS金属ベルト基材に傷がつきにくくなる。
本発明の、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の好ましい対象は、上記板状含水ゲルの水の含有量が、40〜80質量%である形態である。
より具体的な構成としては、当該水溶性重合体板状含水ゲルが、重合に使用される全単量体成分を100モル%として、(メタ)アクリル酸(塩)を60〜100モル%の範囲で含む単量体成分を重合することにより製造されるものである。
また、本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であることが好ましい。
また、本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であることが好ましい。
上記、当該板状含水ゲルのベルト基材からの剥離をより容易にする、あるいは、より好ましい光ベルトでの重合の条件としては、水溶性重合体板状含水ゲルの厚みが6〜60mmであることが重要である。
また、上記で説明した、当該水溶性重合体板状含水ゲルは、重合に使用される全単量体成分及び重合溶媒の総量を基準にして、少なくとも水を40〜80質量%含む重合用媒体(単量体成分+重合溶媒)を重合することにより製造されるものであることは、本発明の、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法にあっては、好ましい実施形態である。
また本発明の別の実施形態にあっては、重合性単量体を使用して重合させることより得られる水溶性重合体板状含水ゲルを製造するための、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機であって、当該ベルト重合機は、重合して得られた当該ベルト重合機の終端部近傍において板状含水ゲルを、一旦、当該ステンレス製ベルト基材面より上部に持ち上げられるようになっており、更に、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的かつ間欠的に応力を与えるための剥離用部材を稼動する装置を当該ベルト重合機の終端部に有することを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲル製造用のベルト重合装置を供給することである。
更に、本発明のもう一つの好適な実施形態にあっては、本発明は、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機であり、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程で使用する水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機であって、上記ベルト重合機が、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げる装置、及び、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える装置を備える水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機でもある。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機を用いることにより、上述したように好適に含水ゲルをステンレス製ベルト基材面より剥離することができ、水溶性重合体板状含水ゲルを安定かつ連続的に生産することが可能となる。
更に、本発明のもう一つの好適な実施形態にあっては、本発明は、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機であり、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程で使用する水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機であって、上記ベルト重合機が、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げる装置、及び、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える装置を備える水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機でもある。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機を用いることにより、上述したように好適に含水ゲルをステンレス製ベルト基材面より剥離することができ、水溶性重合体板状含水ゲルを安定かつ連続的に生産することが可能となる。
本発明者は、更に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法について種々検討したところ、重合工程において得られる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを低付着性とすることができれば、ベルト重合機終端部の当該板状含水ゲルに、応力を付与し、ベルト基材から剥離を促す方法と併用すれば、更に安定で(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造することも提案する。
具体的には、本発明にかかる、板状含水ゲルとステンレス製基材との接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法にあっては、より好ましい形態としては、重合する対象原料及びその重合条件として、重合時に使用する全単量体100モル%に対して(メタ)アクリル酸(塩)が60モル%以上である単量体成分を含む重合液を用いて、単量体成分を含む重合液のpHを7〜14とすると共に、該含水ゲルと接するベルト面がステンレス製であるベルト重合機を用いて、ゲル厚を6〜60mm且つ重合ピーク温度を100℃以下に制御して水溶液重合を行う場合には、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルが低付着性を示すようになり、より効率的に連続的に製造することができることを見いだした。
また、このような重合工程において重合時に使用する全単量体100モル%に対して(メタ)アクリル酸(塩)を80モル%以上としたり、重合液のpHを8〜13としたり、ゲル厚を10〜30mmに制御したり、重合ピーク温度を95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下、更に好ましくは75℃以下に制御したりすると、含水ゲルがより低付着性となって更に高効率で製造することができるものである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、剥離用部材により応力を与えるものであることが好ましい。中でも、上記製造方法が連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える形態が本発明の好ましい形態である。
このような形態により、水溶性重合体板状含水ゲルを好適な時期及び態様でベルト基材から剥離させることが可能となり、より安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することができる。
好ましくは、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、剥離用部材により突っつく形態、より好ましくは、ベルト基材と含水ゲルとの界面である接点又は板状含水ゲルの下面であって該接点の近傍を突っつく形態である。これにより、剥離動作が速やかに開始することになる。更に好ましくは、剥離用部材がベルトに接触するようにして上記接点又はその近辺に応力を付加する形態である。上記剥離用部材がベルトに接触するようにするとは、剥離用部材がベルト基材上に沿って、好ましくは、その上を滑りながら往復運動することであり、このような形態により接点に向けて応力を与える形態は、本発明の製造方法における好ましい実施形態である。
また本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向(横方向)の中央部又はその近傍に応力を与えるようにすることが好ましい。このような形態により、含水ゲルをベルト基材から剥離させるためにより好適に応力を作用させることができ、より容易に水溶性重合体板状含水ゲルをベルト基材から剥離させることができることになる。すなわち、含水ゲルとベルト基材との境界線より含水ゲルを一挙に剥離させることができる。これによって、より安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが可能となる。
本明細書中、板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向(横方向)というときは、略垂直方向(横方向)を含むものである。すなわち、垂直方向(横方向)からズレていてもよく、例えば、板状含水ゲルがベルト基材から剥がれる界面が垂直方向(横方向)であってもよく、それから斜めにズレた方向であってもよい。
また板状含水ゲルの進行方向に対して中央部とは、上記垂直方向(横方向)における略中央部(中央部又はその近傍)を含むものである。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、剥離用部材により応力を与えるものであることが好ましい。中でも、上記製造方法が連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える形態が本発明の好ましい形態である。
このような形態により、水溶性重合体板状含水ゲルを好適な時期及び態様でベルト基材から剥離させることが可能となり、より安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することができる。
好ましくは、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、剥離用部材により突っつく形態、より好ましくは、ベルト基材と含水ゲルとの界面である接点又は板状含水ゲルの下面であって該接点の近傍を突っつく形態である。これにより、剥離動作が速やかに開始することになる。更に好ましくは、剥離用部材がベルトに接触するようにして上記接点又はその近辺に応力を付加する形態である。上記剥離用部材がベルトに接触するようにするとは、剥離用部材がベルト基材上に沿って、好ましくは、その上を滑りながら往復運動することであり、このような形態により接点に向けて応力を与える形態は、本発明の製造方法における好ましい実施形態である。
また本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向(横方向)の中央部又はその近傍に応力を与えるようにすることが好ましい。このような形態により、含水ゲルをベルト基材から剥離させるためにより好適に応力を作用させることができ、より容易に水溶性重合体板状含水ゲルをベルト基材から剥離させることができることになる。すなわち、含水ゲルとベルト基材との境界線より含水ゲルを一挙に剥離させることができる。これによって、より安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが可能となる。
本明細書中、板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向(横方向)というときは、略垂直方向(横方向)を含むものである。すなわち、垂直方向(横方向)からズレていてもよく、例えば、板状含水ゲルがベルト基材から剥がれる界面が垂直方向(横方向)であってもよく、それから斜めにズレた方向であってもよい。
また板状含水ゲルの進行方向に対して中央部とは、上記垂直方向(横方向)における略中央部(中央部又はその近傍)を含むものである。
本発明の製造方法の好ましい形態においては、剥離用部材が、間欠的に板状含水ゲルの下面に、すなわち板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて応力を与えるので、ベルト重合機を用いて含水ゲルを該含水ゲルと接するベルト面から連続的に剥がし続けることになる。当該ベルト基材への付着が発生するか等の観測をする手間を省くには、製造中に連続的にその応力を付与することが好ましい。
引き剥がすための形態は、特に限定されないが、重合の初期、すなわちベルト基材面に付着している含水ゲルの末端部分を初めにベルト基材面から剥離させる際には、ベルトの終端部で板状含水ゲルを人力、又は、なんらかの装置等で剥離させる。なお図8では簡略化するために、剥離用部材で当該ゲルを剥離させる作用を与えている。その後、図1、図3、図5に例示されるようなベルト面から板状含水ゲルを引き上げ、ローラーに導く形態を行う。図2には、ベルト重合機の出口、あるいは終端部に剥離用部材が取り付けられている状態を示す。図3がその方式の概念図であり、これらの装置が備わったベルト重合機を使用し含水ゲルがベルト面に残留することなく排出される形態等が好ましい。
具体的には、ステンレス製ベルト重合機により連続的に生産される水溶性重合体板状含水ゲルを製造する方法であって、該製造方法は、当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲルを、一旦、ステンレス製基材面より上部に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える形態である。また、上記連続的な往復運動が、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿ったものである形態はより好ましい。(図1、図2、図3等の形態を参照のこと)。
好ましくは、上記連続的な往復運動が、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿ったもの、又は、進行方向に略平行の向きである形態である。言い換えれば、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する剥離用部材により応力を与える形態が本発明の製造方法の好ましい実施形態である。ここで、「ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する」とは、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿って往復運動することであり、例えば矢印Sにより図示されるような方向に往復運動することである。
また、この剥離用部材が、当該板状含水ゲルの先端面、又は、板状含水ゲルの下面に対して、ベルト基材の進行方向に沿って、又は、ベルト基材の進行方向に略平行の向きで、ベルト基材上を往復稼動する形態が好ましい。
このような形態により、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト基材への付着を防止しながら安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することができる本発明の効果がより顕著に発揮されることになる。
上記「連続的な往復運動がベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿った」形態とは、往復運動の向きがベルト基材の進行方向と平行であること又は略平行であることである。
また、この剥離用部材が、当該板状含水ゲルの先端面、又は、板状含水ゲルの下面に対して、ベルト基材の進行方向に沿って、又は、ベルト基材の進行方向に略平行の向きで、ベルト基材上を往復稼動する形態が好ましい。
このような形態により、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト基材への付着を防止しながら安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することができる本発明の効果がより顕著に発揮されることになる。
上記「連続的な往復運動がベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿った」形態とは、往復運動の向きがベルト基材の進行方向と平行であること又は略平行であることである。
例えば、この剥離用部材の当該ベルト基材上の上記往復運動であるが、ベルト重合機の出口または終点部に、付設された剥離用部材(突っつき棒)の稼動用装置を介して行う形態が好ましい。稼動用装置とは、部材に往復運動を付与できる装置であれば特に限定しない。例えば、モーターからの回転軸が延長したクランク軸でありその一部架台に固定されたもので、モーターからの回転運動がクランクにより横方向の運動に変換され当該剥離用部材に往復運動をさせることができる。
また、当該剥離用部材が油圧式のピストン装置に接続されていてもよい。その場合は、剥離用部材の動作時期、間隔等を油圧ピストンで適宜設定する。勿論これ以外の公知の稼動装置を使用してもよい。
また、ステンレス製ベルト重合機により連続的に生産される水溶性重合体板状含水ゲルを製造するにあたり、当該ベルト重合機の終端部における板状含水ゲルを、一旦、ステンレス製基材面より上部に持ち上げる工程で、センサー等により、板状含水ゲルの基材面との密着状態を検出し、剥離を促す必要があると判断するシーケンサーを通じ、モーター回路、あるいは、ピストン動作回路が作動し、当該剥離用部材を作動させるような装置が設置されていてもよい。
また、当該剥離用部材がベルト面を左右に移動する形態を併用してもよい。なお本明細書では、ベルト基材の両側に設置されたエッジロープの片方を左、もう一方の片方を右というようにして、この左右に移動する形態とすることも可能である。このように剥離用部材が移動することで、効率的に、当該板状ゲルの先端面あるいは板状含水ゲルの下面に対して間欠的に応力を与えることができる。
また、当該板状含水ゲルを製造する初期の段で、人力等でベルト重合機の終端部でまず、当該板状ゲルの先端部に対して応力を作用させ、ベルト基材から板状含水ゲルを剥離させる。そしてベルト基材の上方向へ誘導する。この最初の剥離は、図8の右端部で示したように、剥離部材3を活用することもできる。勿論、他の剥離装置を別途使用してもよいし、人力等で剥離させてもかまわない。また、この板状含水ゲル1のベルト基材4の上方向への誘導も、図3で示すようにローラー(上方向ガイドローラ)2を介し、更に板状含水ゲル搬送ローラー22や、板状含水ゲル搬送ガイド21を介して搬出する形態が好ましい。
よって、本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法にあっては、当該板状含水ゲルをベルト基材4から剥離させた後は、ローラーや、板状含水ゲル搬送ローラーや板状含水ゲル搬送ガイドが設置されたベルト重合機を使用して行う形態がより好ましい。
一旦、この往復運動に寄与する応力が、剥離用部材の先端部を介して、ベルト基材に付着しかかっている当該板状含水ゲルの少なくとも一部に付与されると、当該板状含水ゲルは上方へのテンションが与えられているので、含水ゲルにおける応力が加えられた箇所のみがベルト基材面から剥離するのではなく、ベルト基材に付着しかかった他の当該含水ゲルが一連となって、上方へ引っ張られベルト基材から剥離されるようになる。本発明における、剥離用部材の先端部の形状は、平板状や棒状であってもよいが、当該板状含水ゲルに対して、効率よく剥離を促す応力を加えるためには、尖端状である場合が好ましい。尖端状とは、尖端部の角度が5°以上、170°未満であることを意味する。尖端部の角度が10°以上、150°以下であることが更に好ましい。尖端部の角度とは、尖端部が三角形又はそれに類する形状をしている場合、剥離用部材の尖端部の内側の角度であり、言い換えると、頂点(最も先の点)及び2辺によって形成される尖端部において、内側と外側の互いに反対側にある二つの角(共役角)のうち、内側の小さいほうの角(劣角)である。なお、尖端部の最も先が点であるとは限らず、まるみを帯びている等、本発明の作用効果を発揮することができる形状であればよい。そのような場合、上記尖端部の角度は、図示するように計測すればよい。
上記剥離用部材の大きさは、本発明の製造方法におけるベルト重合機や含水ゲルの大きさ等に応じて適宜設定することができるが、例えば上記剥離用部材の幅の最大値は、1cm以上が好ましく、2cm以上のものがより好ましく、3cm以上のものが更に好ましい。上限は、例えば10cmが好ましい。また例えば上記剥離用部材の長さは、20cm以上のものが好ましく、30cm以上のものがより好ましく、50cm以上のものが更に好ましい。上限は、例えば200cmが好ましい。
上記ベルト基材の大きさは、本発明の製造方法における生産規模に応じて適宜設定することができる。実製造装置におけるベルト基材の横幅は、例えば30cm以上が好ましく、50cm以上がより好ましく、100cm以上が更に好ましい。上限は、例えば200cmが好ましく、180cmがより好ましく、160cmが更に好ましい。
上記剥離用部材の大きさ、ベルト基材の大きさを上述した範囲内のものとすることにより、本発明の製造方法をより好適に水溶性重合体板状含水ゲルの工業的生産に適用することが可能となる。
上記剥離用部材の大きさは、本発明の製造方法におけるベルト重合機や含水ゲルの大きさ等に応じて適宜設定することができるが、例えば上記剥離用部材の幅の最大値は、1cm以上が好ましく、2cm以上のものがより好ましく、3cm以上のものが更に好ましい。上限は、例えば10cmが好ましい。また例えば上記剥離用部材の長さは、20cm以上のものが好ましく、30cm以上のものがより好ましく、50cm以上のものが更に好ましい。上限は、例えば200cmが好ましい。
上記ベルト基材の大きさは、本発明の製造方法における生産規模に応じて適宜設定することができる。実製造装置におけるベルト基材の横幅は、例えば30cm以上が好ましく、50cm以上がより好ましく、100cm以上が更に好ましい。上限は、例えば200cmが好ましく、180cmがより好ましく、160cmが更に好ましい。
上記剥離用部材の大きさ、ベルト基材の大きさを上述した範囲内のものとすることにより、本発明の製造方法をより好適に水溶性重合体板状含水ゲルの工業的生産に適用することが可能となる。
また、この剥離用部材の先端部を介して与えられる応力であるが、剥離を促すことのできる応力を付与できる範囲であれば、当該板状含水ゲルの下面に対する突付き方向は必ずしも垂直である必要はなく、その角度は、剥離を促すことのできる応力、剥離用部材の形状、剥離部材の往復運動をさせる稼動装置の設置条件を考慮し設定でき、例えば少々斜め方向からであっても付与することができる。
上記剥離用部材の設置の容易さ、ベルト重合機の終端部に設置するという条件から考慮すると、剥離用部材の設置場所はベルト重合機の終端部が好ましい。また、ベルト進行方向に沿った形、つまりベルト基材の両サイドに設置されるエッジロープに平行な方向で、さらに好ましくは、板状含水ゲルに対して垂直な方向に応力が付与されるように設置することが好ましい。また剥離用部材を往復運動させる装置の形式、手法も特に限定されない。
上記で説明したように、ベルト重合機の終端部にあっては、連続生産するにあたり、当該板状含水ゲル(1)に対して、ベルト進行方向に対して斜め上方の方向への引っ張りテンションが、ローラー(2)等で付与されている形態がより好ましい。つまり、本発明における、剥離用部材(3)の先端部から当該板状ゲル付着部に対して付与される応力と、当該板状含水ゲル(1)に対して付与されるベルト進行方向に対して斜め上方の方向への引っ張りテンションとを利用する形態は、含水ゲルのベルト基材への付着を防止する非常に有効な手段となり、本発明の好ましい実施形態の一つである。
その結果、当該板状含水ゲルのSUS金属ベルト基材面への付着を防止することができる。すなわち、当該板状含水ゲルが金属ベルト基材面に付着しそうになっても、この、剥離用部材が連続的に稼動しているので、随時、付着しそうになったゲルに対して突っつくような往復運動の応力、あるいは、剥離させるような応力をゲルに対して付与することができ、合わせて当該ゲルはベルト基材上方へのテンションが付与されているので、当該板状含水ゲルが金属ベルト基材面へ付着することを効果的に防止することができるのである。よって、剥離用部材を当該板状含水ゲルを製造する工程で、連続的に稼動させる形態はより好ましい実施形態である。
また、上記剥離用部材が、尖端形状の部材、棒状物又は板状物である突付き部材を使用する形態であることが好ましい。すなわち、上記の剥離用部材が尖端形状の部材、又は、棒状物若しくは板状物である形態が好ましい。また、図2で示すように多少湾曲していてもかまわない。例えば、ベルトに沿って湾曲している剥離用部材は、ベルトに接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることができる点で好ましい。
本発明の実施にあたっては、当該板状含水ゲルに与えられる応力の方向は適宜設定可能である。つまり、剥離用部材が稼動し、当該板状含水ゲル面の少なくとも一部に対して与えられる応力は、当該ゲルが基材より剥離されるのであれば、その応力が作用する方向、角度等は適宜工夫あるいは変更することができる。
代表図の、図3、図4では、剥離用部材は、若干上方方向の角度で、また、ベルト重合機を上方から俯瞰したときに、当該ゲル面に対して略垂直な方向で、往復運動させていることが示されている。この応力の方向は上記で説明したように、与える方向は適宜工夫することができる。このように、剥離用部材をゲル面に対して略垂直な方向で、往復運動させる形態は、本発明の製造方法における好ましい形態である。
また、剥離用部材の先の形状は、板状含水ゲルに応力を与え剥離を促すことのできる形状であればよく、棒状であってもいし、平板状であってもよい。剥離用部材の数も1個に限定されず複数であってもよく、所望の数を設置すればよい。また、ベルト基材とほぼ同じ大きさの平板状であってもかまわない。その場合は、左右運動を付与する必要はなく、往復運動だけで本発明の目的が達成される場合もある。また、油圧ピストン等を複数設置し剥離用部材を複数、異なるタイミングでゲルに対して往復運動させることも有効である。
また本発明の趣旨は、光重合方法等で連続的に製造される当該板状含水ゲルが、ベルト基材面に付着、密着したときに、当該板状含水ゲルに剥離用部材にて、突っつくような応力を与えることにある。その結果、当該板状含水ゲルに対しては、連続生産時には必然ベルト進行方向、上方向等に引っ張られるテンションが常時かかっているので、基材面からの剥離が促され、うまく、基材面から剥離を促すことができるのである。よって、剥離用部材は、間欠的にかつ連続的に往復運動するように稼動させる形態がより好ましい。
本発明にかかる、剥離用部材の含水ゲル面に対する突っつき動作(往復運動)がなければ、人手による監視が必要となる場合があり工程を煩雑にする。また一旦連続生産の最中に、当該板状含水ゲルがベルト基材上に付着し、ベルト重合機の下部等への巻き込み現象や、ベルト基材上への持ち上がり現象等が発生すると、連続生産が不可能になり多大な問題が生じる。
しかし、本発明にかかる、剥離用部材の含水ゲル面に対する突っつき動作(往復運動)を付与できる装置を採用した板状含水ゲルの製造装置を採用することで、上記問題点が解決できる。
なお、剥離用部材が往復運動する形態においては、通常ではベルト基材が進行することによって、また剥離用部材の往復運動によって含水ゲルが剥離用部材の尖端に触れて応力が与えられることになる。剥離用部材の尖端が含水ゲルに接触する位置(ベルト重合機における位置)は、正常に運転されている場合、略同一であり、その位置で含水ゲルに対して応力を与えることになる。
なお、剥離用部材が往復運動する形態においては、通常ではベルト基材が進行することによって、また剥離用部材の往復運動によって含水ゲルが剥離用部材の尖端に触れて応力が与えられることになる。剥離用部材の尖端が含水ゲルに接触する位置(ベルト重合機における位置)は、正常に運転されている場合、略同一であり、その位置で含水ゲルに対して応力を与えることになる。
また、剥離用部材の形態をとらなくても、エアブロー方式等で高圧の気体を使用して、間欠的に板状ゲルに応力を付与し剥離を促すこともできる。当然のことながら、剥離用部材で剥離のための応力を付与することと、エアブロー方式が併設されていてもよい。
また、ベルト基材の終端部付近で、板状ゲルがベルト基材へ付着したら問題になる箇所に、光センサー及びセンサーからの信号を剥離部材の稼動装置へ流す信号経路等を設置し、板状ゲルの基材への付着現象をセンサーが検出し、その検出信号が発せられ剥離用部材が動作をし始めるという機構を併設してもよい。
また剥離用部材を動作させても含水ゲルをベルト基材面から剥離することができず、含水ゲルがベルト重合機の下部に巻き込まれてしまうおそれがある場合に、板状ゲルのベルト重合機下部への付着現象をセンサーが検出すること等により、このような状況を感知して対処できるようにされていてもよい。すなわち、安全装置としてセンサーを取り付けてもよい。これにより、無人で含水ゲルを製造する際に不具合が発生して重合機が破損する等の重大な問題の発生を回避することができる。
上記含水ゲルがベルト基材へ付着したら問題になる箇所とは、含水ゲルがベルト基材面より正常に剥離され続けている場合の含水ゲルとベルト基材との境界線よりベルト基材進行方向側のベルト基材部分をいう。板状含水ゲルが当該箇所に付着すると、含水ゲルがベルト基材面より上部方向に持ち上げにくくなり、また当該箇所に含水ゲルが付着すると、含水ゲルがベルト基材に付着したままベルト重合機のベルト基材に伴って進行していくことになり、含水ゲルが重合機の下側に巻き込まれた場合は、工程をストップして取り除く作業を行う必要が生じるおそれがあり、また重合機が破損する等の重大な問題が発生するおそれがある。上記問題になる箇所に含水ゲルが付着した場合に、上記接点に向けて応力を与えることにより、含水ゲルをベルト基材面の当該箇所から一挙に剥離させることができ、このような場合においても本発明の有利な効果を発揮することができる。
また剥離用部材を動作させても含水ゲルをベルト基材面から剥離することができず、含水ゲルがベルト重合機の下部に巻き込まれてしまうおそれがある場合に、板状ゲルのベルト重合機下部への付着現象をセンサーが検出すること等により、このような状況を感知して対処できるようにされていてもよい。すなわち、安全装置としてセンサーを取り付けてもよい。これにより、無人で含水ゲルを製造する際に不具合が発生して重合機が破損する等の重大な問題の発生を回避することができる。
上記含水ゲルがベルト基材へ付着したら問題になる箇所とは、含水ゲルがベルト基材面より正常に剥離され続けている場合の含水ゲルとベルト基材との境界線よりベルト基材進行方向側のベルト基材部分をいう。板状含水ゲルが当該箇所に付着すると、含水ゲルがベルト基材面より上部方向に持ち上げにくくなり、また当該箇所に含水ゲルが付着すると、含水ゲルがベルト基材に付着したままベルト重合機のベルト基材に伴って進行していくことになり、含水ゲルが重合機の下側に巻き込まれた場合は、工程をストップして取り除く作業を行う必要が生じるおそれがあり、また重合機が破損する等の重大な問題が発生するおそれがある。上記問題になる箇所に含水ゲルが付着した場合に、上記接点に向けて応力を与えることにより、含水ゲルをベルト基材面の当該箇所から一挙に剥離させることができ、このような場合においても本発明の有利な効果を発揮することができる。
より好ましくは、板状含水ゲルの製造工程中、連続的にあるいは継続的に、剥離用部材の間欠的な往復を継続させる。その理由は、なんらかの条件で含水ゲルがベルト基材上に付着しても、連続的に動作させておけば、剥離のための応力を適宜、含水ゲルに付与できるので、効率的にベルト基材からの剥離を促すことができるからである。
上記剥離用部材を連続的に動作させる場合は、剥離用部材を常に往復運動させ続ける形態であってもよいが、含水ゲルが上記問題になる箇所に付着すれば上記接点に向けて少なくとも1回は応力を与えることができ、含水ゲルをベルト基材から剥離させることができる程度の頻度で動作させる形態としてもよい。
上記剥離用部材を連続的に動作させる場合は、剥離用部材を常に往復運動させ続ける形態であってもよいが、含水ゲルが上記問題になる箇所に付着すれば上記接点に向けて少なくとも1回は応力を与えることができ、含水ゲルをベルト基材から剥離させることができる程度の頻度で動作させる形態としてもよい。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法において、上記剥離用部材は、板状含水ゲルより表面硬度が高く、ステンレス製ベルト基材より表面硬度が低いことが好ましい。
すなわち、上記剥離用部材の材質であるが、剥離用部材の材質が、板状含水ゲルより表面硬度が高い材質であれば、本発明の製造方法が本発明の効果を発揮するうえで好適な形態となる。また、ベルト重合機の含水ゲルと接するベルト面(ベルト基材)より硬度がやわらかい材料であれば、すなわち、剥離用部材の材質が、ステンレス製基材より柔らかい材質であれば、ベルト面への傷がつきにくいので好ましく使用可能である。
例えば、ベルト基材の材質がSUS(ビッカース硬度で、およそ550N/mm2)である場合には、上記剥離用部材は、ビッカース硬度で400N/mm2以下、好ましくは300N/mm2以下の材料の使用が好ましい。より好ましくは、200N/mm2以下である。更に好ましくは、150N/mm2以下である。下限としては、10N/mm2以上が好ましく、20N/mm2以上がより好ましく、50N/mm2以上が更に好ましい。
すなわち、上記剥離用部材の材質であるが、剥離用部材の材質が、板状含水ゲルより表面硬度が高い材質であれば、本発明の製造方法が本発明の効果を発揮するうえで好適な形態となる。また、ベルト重合機の含水ゲルと接するベルト面(ベルト基材)より硬度がやわらかい材料であれば、すなわち、剥離用部材の材質が、ステンレス製基材より柔らかい材質であれば、ベルト面への傷がつきにくいので好ましく使用可能である。
例えば、ベルト基材の材質がSUS(ビッカース硬度で、およそ550N/mm2)である場合には、上記剥離用部材は、ビッカース硬度で400N/mm2以下、好ましくは300N/mm2以下の材料の使用が好ましい。より好ましくは、200N/mm2以下である。更に好ましくは、150N/mm2以下である。下限としては、10N/mm2以上が好ましく、20N/mm2以上がより好ましく、50N/mm2以上が更に好ましい。
例えば、軟質金属の代表である真鍮は、ビッカース硬度で100N/mm2程度であり、より好ましい材質といえる。なお、ビッカース硬度の測定は,JIS Z2251で定められている。これは原理的には圧子痕の対角線長さを測定して計算される表面積で材料に負荷された荷重量を除したものである。また、ビッカース硬度は、対面角136°のダイヤモンド四角錐(圧子)を測定物に一定荷重で押し込み、出来たくぼみの大きさで硬さを測定するものである。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法において、上記剥離用部材は、樹脂及び軟質金属からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、上記剥離用部材により間欠的に充分な応力を与えることが可能となるとともに、剥離用部材が連続的な使用に耐え得る強度を有するものとすることができ、またベルト基材等への傷をほぼ防止することが可能となり、本発明の製造方法がより効率的かつ安全なものとなる。
上記軟質金属は、上述したように、板状含水ゲルより表面硬度が高く、ステンレス製ベルト基材より表面硬度が低いものであればよく、金属硬度の一般的な定義に従ってステンレスよりも軟質であると評価されるものであればよい。具体的には、その軟質金属の表面硬度が、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度で、50N/mm2以上であるものを採用すれば、含水ゲルに充分な応力を与えることができ、300N/mm2以下であるものを採用すれば、SUS金属ベルト基材に傷がつきにくくなる。すなわち、上記軟質金属は、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度による表面硬度が50〜300N/mm2であることが本発明の好ましい実施形態である。下限としては、より好ましくは、60N/mm2であり、更に好ましくは、80N/mm2である。上限としては、より好ましくは280N/mm2であり、更に好ましくは260N/mm2である。
上記軟質金属としては、例えば、銅、錫、亜鉛、鉛、アルミニウム又は真鍮等のこれらの合金等が挙げられる。中でも、真鍮が好ましい。
これにより、上記剥離用部材により間欠的に充分な応力を与えることが可能となるとともに、剥離用部材が連続的な使用に耐え得る強度を有するものとすることができ、またベルト基材等への傷をほぼ防止することが可能となり、本発明の製造方法がより効率的かつ安全なものとなる。
上記軟質金属は、上述したように、板状含水ゲルより表面硬度が高く、ステンレス製ベルト基材より表面硬度が低いものであればよく、金属硬度の一般的な定義に従ってステンレスよりも軟質であると評価されるものであればよい。具体的には、その軟質金属の表面硬度が、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度で、50N/mm2以上であるものを採用すれば、含水ゲルに充分な応力を与えることができ、300N/mm2以下であるものを採用すれば、SUS金属ベルト基材に傷がつきにくくなる。すなわち、上記軟質金属は、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度による表面硬度が50〜300N/mm2であることが本発明の好ましい実施形態である。下限としては、より好ましくは、60N/mm2であり、更に好ましくは、80N/mm2である。上限としては、より好ましくは280N/mm2であり、更に好ましくは260N/mm2である。
上記軟質金属としては、例えば、銅、錫、亜鉛、鉛、アルミニウム又は真鍮等のこれらの合金等が挙げられる。中でも、真鍮が好ましい。
また、上記剥離用部材の材質が樹脂である形態もまた本発明の好ましい形態である。上記樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル/エチレン−プロピレン−ジエン/スチレン(AES)樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂等のスチレン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリアクリレート樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンエチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;エポキシ樹脂;フッ素樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂等が好ましく採用できる。比較的、耐溶剤性のある樹脂を採用することが好ましい。中でも、フッ素樹脂がより好ましく、テフロン(登録商標)が更に好ましい。フッ素樹脂であれば、硬度も適度で、更に樹脂表面への、板状含水ゲルの付着等の問題も発生しにくいので好ましい材質と言える。上記樹脂の好ましい表面硬度は、上述した軟質金属の好ましい表面硬度と同様である。
本発明の製造方法において、ベルト重合機の含水ゲルと接するベルト面(ベルト基材)は、ステンレス製である。これらの中でも、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。ステンレス鋼としては、例えば、SUS301、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS630等が挙げられる。中でも、SUS301が特に好ましい。
上記では好ましい形態としてベルト重合機の基材面としてSUSを紹介したが、本発明にかかる、剥離用部材の含水ゲル面に対する突っつき動作(往復運動)を付与できる装置を採用した板状含水ゲルの製造装置は、SUS以外のベルト基材、例えば樹脂ベルト、又は、形状では重合用液たまりのある船型ベルト等の装置の終端部で、ベルトと板状含水ゲルの付着が発生しそうな箇所に設置することも可能である。
上記含水ゲルと接するベルト面の表面粗度(Ra)としては、1μm以下を使うことができるが、好ましくは0.005〜0.6μmであり、更に好ましくは0.02〜0.5μmである。特に好ましくは0.1〜0.4μmである。
上記ベルト面を研磨することにより、ベルト面を滑らかにすることが可能である。
本発明の好ましい形態としては、ベルト面上に離型材が貼られておらず、含水ゲルと該含水ゲルと接するベルト面との間にテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂製の離型シートや離型フィルムを用いることなく含水ゲルを製造する形態、すなわち、含水ゲルの製造において含水ゲルとベルト面とが直接接する形態であり、低コストで含水ゲルを製造することができるところにも本発明の技術的意義がある。
本発明の好ましい形態としては、ベルト面上に離型材が貼られておらず、含水ゲルと該含水ゲルと接するベルト面との間にテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂製の離型シートや離型フィルムを用いることなく含水ゲルを製造する形態、すなわち、含水ゲルの製造において含水ゲルとベルト面とが直接接する形態であり、低コストで含水ゲルを製造することができるところにも本発明の技術的意義がある。
従来のベルト重合装置で水溶性重合体板状含水ゲルを製造する場合、ベルト重合機の終端部で当該ゲルとベルト基材との間で剥離不良が発生した場合、ベルト基材の上方に搬送されず、当該板状含水ゲルが、ベルト基材上に盛り上がり、滞留し、連続生産がストップすることもある。また、板状含水ゲルがベルト基材から剥離せず、下部まで同伴しベルト重合機の下部に巻き込まれる等して、生産がストップすることもある。かかる問題点に対し、本願発明の製造方法を施すことで、効率よく含水ゲルの剥離を促すことができるのでより安定に製造を行うことができる。
上記、本発明の製造方法で用いられる剥離用部材により間欠的に与えられた応力は、該水溶性重合体板状含水ゲルが、ベルト重合機の終端部で、ステンレス製基材面に付着してステンレス製ベルト基材面の上部に持ち上げ難くなった時に、該板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点のうち、少なくとも1箇所に、応力を与え板状含水ゲルのステンレス製ベルト基材からの剥離を促すことができるのである。
本発明では、離型材が装着されていないベルト面(SUS基材)を用いて、ベルト重合機終端部にて、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材により、間欠的に応力を与えることにより、効果的に板状含水ゲルの剥離を促し、また、ベルト基材上への付着を防止しながら連続的に長期にわたって、安定に製造を実施する形態がより好ましい形態である。
より好ましくは、ベルト基材から剥離後のゲルを、持ち上げて上方向へ誘導するための装置である、誘導ローラー等が設置された装置で当該ゲルを上方向へ誘導する。
より好ましくは、上記剥離用部材は、当該水溶性重合体板状含水ゲルが、ベルト重合機の終端部で、ステンレス製基材面に付着してステンレス製ベルト基材面の上部に持ち上げ難くなった時に、当該板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材の接点のうち、少なくとも1箇所に、応力を与え板状含水ゲルのステンレス製ベルト基材からの剥離を促すように稼動する。
本発明はまた、ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機であり、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程で使用する水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機であって、上記ベルト重合機は、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げる装置、及び、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える装置を備える水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機でもある。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機を用いることにより、上述したように好適に含水ゲルをステンレス製ベルト基材面より剥離することができ、水溶性重合体板状含水ゲルを安定かつ連続的に生産することが可能となる。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機の好ましい実施形態は、本発明の水溶性重合体板状含水ゲルにおける好ましい実施形態と同様である。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機において、上記ベルト重合機は、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える装置を備えるものであることが好ましい。
このような形態とすることにより、水溶性重合体板状含水ゲルをベルト基材から好適な時期、態様で剥離させること、またより安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが可能なベルト重合機とすることができる。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機の好ましい実施形態は、本発明の水溶性重合体板状含水ゲルにおける好ましい実施形態と同様である。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機において、上記ベルト重合機は、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える装置を備えるものであることが好ましい。
このような形態とすることにより、水溶性重合体板状含水ゲルをベルト基材から好適な時期、態様で剥離させること、またより安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが可能なベルト重合機とすることができる。
より好ましくは、本明細書に示すように、重合液のpHの管理、ベルト重合機のピーク温度管理等を合わせて行うことにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルをより低付着性のものとし、本発明の剥離部材と併用することで板状含水ゲルをより安定に製造することできる。
本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の好ましい形態の一つである低付着性(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、全単量体成分における(メタ)アクリル酸(塩)の割合、全単量体成分を含む重合液のpH、ゲル厚及び重合ピーク温度を望ましい範囲とすると共に、特定のゲル剥離方法を採用することにより、作業員が含水ゲルを該含水ゲルと接するベルト面から引き剥がす作業をほぼ不要としたものである。これにより連続的な含水ゲルの製造が可能となり、製造効率が向上され、設備費、人件費等の費用を低減して経済的に低付着性(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが出来るものである。
上記含水ゲルと接するベルト面とは、重合して得られた含水ゲルがベルト基材と接する面をいい、ベルト基材の上面を意味する。本発明の好ましい形態である、低付着性(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを連続的に製造するとは、人手が必要な工程を介することなく、該含水ゲルを製造し続けることをいう。
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法(重合方法)は、ベルト重合機を用いて水溶液重合するものである。このような方法により、水溶性重合体板状含水ゲルを効率的かつ容易に製造することができ、これを乾燥することにより、例えば高粘度で不溶解分が少なく重合率の高い重合体を得ることができる。
上記水溶液重合においては、例えば、窒素ガスをバブリングする等の方法により、水溶液(重合液)中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。
本発明の製造方法の好ましい実施形態としては、例えば単量体成分を含む溶液(以下、モノマー液ともいう)の入ったモノマー槽からモノマー液を抜き出し、触媒槽より触媒を含む溶液(以下、触媒液ともいう)を抜き出し、モノマー液と触媒液とが混合器で混合され、重合液としてベルト重合機に供給される形態が好ましい。
上記触媒を含む溶液の溶媒は、重合の際に通常用いられる溶媒と同一であることが好ましく、例えば水が好ましい。すなわち、触媒液としては、例えば触媒水溶液が好ましい。
上記モノマー液又は触媒液の抜き出しは、例えばギヤーポンプを用いて単位時間当たりに一定量を抜き出すことが好ましい。例えば、単位時間当たりにモノマー液を抜き出す質量が単位時間当たりに触媒液を抜き出す質量に対して、3〜500倍が好ましく、10〜200倍がより好ましい。
上記重合液の液比重(g/cm3)は、0.9〜1.5が好ましく、1.0〜1.3がより好ましく、1.05〜1.25が更に好ましい。
上記触媒を含む溶液の溶媒は、重合の際に通常用いられる溶媒と同一であることが好ましく、例えば水が好ましい。すなわち、触媒液としては、例えば触媒水溶液が好ましい。
上記モノマー液又は触媒液の抜き出しは、例えばギヤーポンプを用いて単位時間当たりに一定量を抜き出すことが好ましい。例えば、単位時間当たりにモノマー液を抜き出す質量が単位時間当たりに触媒液を抜き出す質量に対して、3〜500倍が好ましく、10〜200倍がより好ましい。
上記重合液の液比重(g/cm3)は、0.9〜1.5が好ましく、1.0〜1.3がより好ましく、1.05〜1.25が更に好ましい。
以下に本発明を実施するにあたり、採用するより好ましい重合条件、好ましい使用される原料単量体等を詳細に説明する。
本発明の、水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法にあっては、好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造する形態に適応させればよい。その場合は、製造される含水ゲルのベルト基材への付着性をなるべく低く調整する重合条件を採用して、当該板状含水ゲルを製造することが好ましい。その好ましい製造方法は、単量体成分を含む重合液のpHを7〜14とすると共に、該含水ゲルと接するベルト面がステンレス製であるベルト重合機を用いて、ゲル厚を6〜60mm且つ重合ピーク温度を95℃以下に制御して重合を行う工程を含むものである。
上記重合液のpHを上記範囲内のものとすることにより、ベルト重合機で製造される当該板状含水ゲルのベルト基材への付着性を充分に低いものに制御することができる。重合液のpHは、例えばアクリル酸ナトリウム36%水溶液において、中和度(モル%)に対するpH(25℃)の値として示すことができ、例えば、pH7は、中和度としては99モル%程度である。
上記重合液のpHが7より低い場合、含水ゲルが該含水ゲルと接するベルト面上に強く付着し、引き剥がすことが困難となる場合があるが、本発明にかかる、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることにより、重合液のpHが少々変動しても安定してベルト重合、及び当該板状含水ゲルの剥離が可能となる場合があるが、より安定してベルト重合、及び当該板状含水ゲルの剥離が可能とするためには、本発明にかかる、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることに加え、重合液のpHを8〜13の範囲とし、製造される板状含水ゲルのベルト基材への付着性をより低い状態にしておくことが好ましい。
また、pHが14より大きい場合、余剰のアルカリが製品中に残留する場合もありえる。また、アゾ系重合開始剤のように、pHが高すぎると分解が悪くなり結果として重合速度が大幅に遅れることがある。
より具体的には、当該水溶性重合体板状含水ゲルが、重合に使用される全単量体成分を100モル%として、(メタ)アクリル酸(塩)を60〜100モル%の範囲で含む単量体成分を重合することにより製造されるものである形態は、本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法に関しては、好ましい形態である。
また、当該水溶性重合体板状含水ゲルが、重合に使用される全単量体成分及び重合溶媒の総量を基準にして、少なくとも水を40〜80質量%含む重合用媒体(単量体成分+重合溶媒)を重合することにより製造されるものは好ましい実施形態となり、その結果、水溶性重合体板状含水ゲルの水の含有量は40〜80質量%の範囲のものとなる。すなわち、本発明の製造方法において、上記水溶性重合体板状含水ゲルは、含水ゲル100質量%に対して、水の含有量が40〜80質量%であることが好ましい。
なお、上記水の含有量の好適な範囲は、重合用媒体(単量体成分+重合溶媒)を重合するための好適な態様を考慮して決定されるものであるが、上記範囲内であることは、ゲルの硬さ(応力がゲルに伝達できるような適度なゲル状態)、ゲルの剥離性等の面においても好適である。
なお、上記水の含有量の好適な範囲は、重合用媒体(単量体成分+重合溶媒)を重合するための好適な態様を考慮して決定されるものであるが、上記範囲内であることは、ゲルの硬さ(応力がゲルに伝達できるような適度なゲル状態)、ゲルの剥離性等の面においても好適である。
上記ゲル厚は、6〜60mmに制御されるのが好ましい。すなわち、上記水溶性重合体板状含水ゲルの厚みが、6〜60mmであることが本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法における好ましい形態である。より好ましくは、上記ゲル厚は、8〜50mmに制御されるものである。ゲル厚とは、ベルト重合機の該含水ゲルと接するベルト面上の含水ゲルの厚みをいう。6mmより小さいと、含水ゲルの付着性が高くなり、剥離用部材により含水ゲルに応力を付与しても、ベルト基材から引き剥がすことが困難となる場合がある。60mmを超えると、例えば、ベルト下面よりのシャワリング等による重合熱の除去が充分でなくなる結果、重合ピーク温度が95℃を超えるようになり、より含水ゲルの剥がれが悪くなる場合がある。
よって、本発明のより好ましい製造方法では、ゲル厚を8〜50mmに制御されるものであり、更に好ましくはゲル厚を10〜30mmに制御する。なお、上記ゲル厚と重合液厚とは異なるものである。ゲル厚は、通常重合液厚より少し薄くなる。これは、重合による体積収縮のためである。
上記重合ピーク温度は、より好ましくは、90℃以下で行うことが好ましい。本発明において、重合ピーク温度とは、重合開始後に重合液の温度が上昇し降下又は同温度を保持するときに形成されるピーク温度(極大値)であり、該ピーク温度が一つできる場合にはそのピーク温度を意味し、該ピーク温度が複数できる場合には、最も高いピーク温度を意味する。すなわち、時間を横軸、重合液の温度を縦軸とした場合、温度が上昇し降下するときに形成されるピークのうち、重合開始後最も温度が高いものを重合ピーク温度とする。例えば、一定の光強度又は温度条件で重合する場合の温度パターンの場合、通常では、ピークは一つしかできないことから、該ピークのピーク温度を重合ピーク温度とする。重合の途中で光強度又は温度等を上昇させる場合、最初に現れたピークに続いて光強度を上昇させた後に残留モノマーの急速重合に伴って2個目のピークが現れることがあるが、この場合には、最も温度が高いものを重合ピーク温度とすることになる。
上記重合液の温度は、例えば重合液(含水ゲル)の厚み方向中央部の温度を白金線測温抵抗体温度計を用いて測定することにより求めることができる。
上記重合ピーク温度が95℃を超えると、含水ゲルが該含水ゲルと接するベルト面上に強く付着しやすくなり、その結果、ベルト重合においては引き剥がすことが困難となる場合もある。付着性が高くなる原因は明らかではないが、重合ピーク温度が高いために重合反応が過度に進行することとなり、得られる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の分子量が充分に高いものとならず、粘着性の高い成分が残存しているためであると推察される。よって連続的に間欠的に応力を付与する剥離用部材の促す剥離効果を高めるためには、上記重合ピーク温度は、95℃以下に制御することが好ましい。
より好ましくは90℃以下である。
より好ましくは90℃以下である。
また、本発明にかかる、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることにより、重合時のピーク温度が変動しても(例えば上記重合ピーク温度が95℃を超えた場合でも)、剥離用部材の稼動条件を工夫するとか、剥離用部材の形状、設置数等を考慮することで、安定してベルト重合、及び、当該板状含水ゲルの剥離が可能となる。
また、重合ピーク温度が高くなると、通常ベルト重合機出口での温度も高いものとなる。
本発明の製造方法は、上記重合ピーク温度を100℃以下に制御することが好ましい。より好ましくは、95℃以下である。更には、本発明の製造方法は、重合ピーク温度を90℃以下に制御することが好ましい。重合ピーク温度の下限としては、分子量が充分なものとなる温度であればよく、30℃以上であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上である。よってより好ましくは、重合ピーク温度は、30℃〜100℃の範囲で制御する。より好ましくは、40℃から95℃の範囲で制御する。更に好ましくは40℃から90℃の範囲で制御する。また、重合開始温度としては、15〜50℃が好ましい。
本発明の製造方法は、上記重合ピーク温度を100℃以下に制御することが好ましい。より好ましくは、95℃以下である。更には、本発明の製造方法は、重合ピーク温度を90℃以下に制御することが好ましい。重合ピーク温度の下限としては、分子量が充分なものとなる温度であればよく、30℃以上であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上である。よってより好ましくは、重合ピーク温度は、30℃〜100℃の範囲で制御する。より好ましくは、40℃から95℃の範囲で制御する。更に好ましくは40℃から90℃の範囲で制御する。また、重合開始温度としては、15〜50℃が好ましい。
上記製造方法においては、重合ピーク温度を90℃以下になるように制御して行われるものが好ましいものであるが、重合ピーク温度の制御は、ステンレス製のベルト基材の下面を水と接触させることによって行うことが好ましい形態の1つである。水と接触させることによって熱伝導性に優れたステンレス製のベルト基材の下面を冷却し、当該ベルト基材を介して重合液を充分に冷却することができ、特に含水ゲルの付着性に大きく影響する該含水ゲルと接するベルト面周辺の重合液を充分に冷却することができる。
ステンレス製のベルト基材の下面を水と接触させる形態は、特に限定されないが、例えばベルト面の下部より水がシャワー状に散布される形態が好ましい。
ステンレス製のベルト基材の下面を水と接触させる形態は、特に限定されないが、例えばベルト面の下部より水がシャワー状に散布される形態が好ましい。
上記ベルト基材の下面を接触させる水の温度は、重合液を冷却できる温度であれば特に限定されないが、5〜40℃であることが好ましい。本発明においては、熱伝導度に優れたステンレス製のベルト基材上で重合するため、比較的高温の冷却水を使用しても重合液を充分に冷却することができ、分子量の高くかつ残留単量体含量の少ないアクリル酸(塩)重合体が安価に得られることになる。通常、夏場においては、冷却塔における水温の上限は35℃程度となる。本願発明の製造方法によると35℃程度の比較的高温度の水を冷却水として使用することができるため、冷却水を冷却するための冷凍機が不要となり設備費が安くなる。上記水の温度としてより好ましくは、10〜38℃であり、更に好ましくは、20〜35℃である。
また後述するように、上記重合ピーク温度の制御は、紫外線を用いた光重合によって重合を行う場合、紫外線の照射条件を調整すること等によっても行うこともできる。
本発明のより好ましい、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法は、重合時に使用する全単量体100モル%に対して(メタ)アクリル酸(塩)が60モル%以上である単量体成分を含む重合液を水溶液重合して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造する方法である。
上記(メタ)アクリル酸(塩)の割合は、重合時に使用する全単量体100モル%中の(メタ)アクリル酸(塩)の割合(モル%)であり、本発明では、60モル%以上に特定されることになる。すなわち、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを構成することになる単量体成分の全量を100モル%とすると、そのうち(メタ)アクリル酸(塩)の割合が60モル%以上となるようにすればよい。(メタ)アクリル酸(塩)単量体の比率が高い程、特に60モル%以上とすることにより、重合して得られた含水ゲルの付着性が高くなり、ベルト基材から剥離しにくくなることから、応力を与えることにより含水ゲルをベルトから剥離したり、含水ゲルの付着性を低いものとする本発明の効果がより顕著になる。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法において、上記単量体成分は、(メタ)アクリル酸(塩)が80モル%以上であることが好ましい。更に好ましくは、90モル%以上である。
なお、(メタ)アクリル酸(塩)の上限は、単量体成分の実質的に全てが(メタ)アクリル酸(塩)である100モル%とすることができ、したがって、(メタ)アクリル酸(塩)の範囲は、重合時に使用する全単量体100モル%に対して、60〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることがより好ましい。すなわち、上記水溶性重合体板状含水ゲルが、全単量体成分100モル%に対して、(メタ)アクリル酸(塩)60〜100モル%を含有する単量体成分を重合することにより製造されるものであることが本発明の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法における好ましい実施形態である。より好ましくは、90〜100モル%である。
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体部分中和塩及び/又は(メタ)アクリル酸水溶性重合体完全中和塩を意味する。これらの具体的な化合物については、後述するとおりである。
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体部分中和塩及び/又は(メタ)アクリル酸水溶性重合体完全中和塩を意味する。これらの具体的な化合物については、後述するとおりである。
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体により形成される、水を含んでなる板状のゲル状物である。この含水ゲル状物を粉砕、あるいは解砕し、更に乾燥させ、必要に応じ、更に乾燥粉体を分級等し、当該重合体粉末を製造することもできる。
更に上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの重量平均分子量としては、50万〜1000万であることが好ましい。重量平均分子量が50万を下回るとベルト面より含水ゲルの剥離が悪くなる場合がある。また、1000万を越える重合体を得るには長時間を要するようになり好ましくないものである。より好ましくは、100万〜700万であり、更に好ましくは、200万〜600万であり、特に好ましくは、300万〜500万である。
上記重量平均分子量の測定方法は、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により測定するものである。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
本発明の、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法に採用できる具体的な重合工程について、以下に更に説明する。当該重合工程では、上述したように(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合することとなる。上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルは、このようにして得られる重合体により形成される、重合溶媒としての水を含んでなるゲル状物であるが、(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
本発明の、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法に採用できる具体的な重合工程について、以下に更に説明する。当該重合工程では、上述したように(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合することとなる。上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルは、このようにして得られる重合体により形成される、重合溶媒としての水を含んでなるゲル状物であるが、(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
上記単量体成分としては、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体やその他の単量体を含んでいてもよく、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体及びこれら酸型単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの重合において、アクリルアミド系単量体を使用することにより形成される含水ゲルは低付着性となるため、該単量体を使用しない形態ほど、付着性を低いものとする本発明の効果がより顕著となる。更に、アクリルアミド系単量体は、重合性が充分ではなく残存しやすいこと、残存した場合には安全性が充分とはならず高温で加水分解を起こしやすいことから、上記のその他単量体としてのアクリルアミド系単量体の使用量は、重合時に使用される全単量体100モル%に対して、30モル%以下とすることが好ましい。より好ましくは20〜0モル%、更に好ましくは10〜0モル%、特に好ましくは5〜0モル%の範囲内とすることである。アクリルアミド系単量体を実質的に用いないことが最も好ましい。
重合時の単量体濃度としては、20〜60質量%とすることが好ましい。重合時の単量体濃度がこの範囲を外れた場合、ステンレス製のベルト面からゲルの剥離が悪くなる場合がある。単量体濃度が20質量%を下回るとこの傾向が強くなるものである。より好ましくは、25〜55質量%であり、更に好ましくは、30〜50質量%である。
重合時の単量体濃度としては、20〜60質量%とすることが好ましい。重合時の単量体濃度がこの範囲を外れた場合、ステンレス製のベルト面からゲルの剥離が悪くなる場合がある。単量体濃度が20質量%を下回るとこの傾向が強くなるものである。より好ましくは、25〜55質量%であり、更に好ましくは、30〜50質量%である。
上記重合方式としては、光重合や熱重合のいずれでも製造することができるが、本発明の製造方法は、光重合によって重合を行うことが好ましい。
本発明の光重合の形態は、紫外線を用いる形態であり、中でも上記紫外線として近紫外線を使用する形態が好ましい。上記光重合は、第1段目の反応として、10W/m2以下の紫外線を用いることによって行うことが好ましい形態の1つである。10W/m2を超える場合、光量が高過ぎて重合ピーク温度が高くなり、充分に高い分子量の重合体を得ることができず、また、不溶解分が多く発生するおそれがある。より好ましくは、8W/m2以下であり、更に好ましくは、6W/m2以下である。下限値としては、1W/m2以上であることが好ましい。1W/m2未満であると、重合反応を充分に促進できないおそれがある。より好ましくは、1.5W/m2以上であり、更に好ましくは、2W/m2以上である。なお、本発明で紫外線とは、主要な波長範囲が10〜500nmの光であり、近紫外線とは、主要な波長範囲が300〜500nmの光のことである。
本発明の光重合の形態は、紫外線を用いる形態であり、中でも上記紫外線として近紫外線を使用する形態が好ましい。上記光重合は、第1段目の反応として、10W/m2以下の紫外線を用いることによって行うことが好ましい形態の1つである。10W/m2を超える場合、光量が高過ぎて重合ピーク温度が高くなり、充分に高い分子量の重合体を得ることができず、また、不溶解分が多く発生するおそれがある。より好ましくは、8W/m2以下であり、更に好ましくは、6W/m2以下である。下限値としては、1W/m2以上であることが好ましい。1W/m2未満であると、重合反応を充分に促進できないおそれがある。より好ましくは、1.5W/m2以上であり、更に好ましくは、2W/m2以上である。なお、本発明で紫外線とは、主要な波長範囲が10〜500nmの光であり、近紫外線とは、主要な波長範囲が300〜500nmの光のことである。
上記、10W/m2以下の紫外線は、照射時間が5分以上であることが好ましい。照射時間が5分未満であると、後述する第2段目の反応により、重合ピーク温度が80℃を超える結果、高い分子量の重合体が得られないおそれがある。より好ましくは、15分以上である。照射時間の上限としては、100分未満であることが好ましく、100分以上である場合には、生産性が低くなり、本発明の作用効果が充分に得られないことになる。より好ましくは、80分未満であり、更に好ましくは、60分未満である。なお、上記照射時間は、当該重合液のベルト基材上での移動距離、ベルトの移動速度、ベルトの有効長さ等を考慮して決定できる。
上記光重合は、第1段目の反応として、10W/m2以下の紫外線を照射して重合する工程と、次いで、第2段目の反応として10W/m2を超える紫外線を照射することにより重合を完結する工程とを含むことが好ましい。このように異なる強度の紫外線を2段階に分けて照射することにより、単量体の重合が促進され、得られる重合体を充分に分子量の高いものとすることができると共に、重合体中に残存する単量体を低減でき、得られるアクリル酸(塩)系水溶性重合体を品質の高いものとすることができる。上記10W/m2以下の紫外線を照射して重合する工程(一次反応時)では、0W/m2を超え10W/m2以下の光を照射し、上記10W/m2超える紫外線を照射することにより重合を完結する工程(二次反応時)では、10W/m2を超える光を照射するものであることが好ましい。従って、一次反応時は、10W/m2以下の範囲の強度ならどのような光を照射してもよく、二次反応時は、10W/m2を超える範囲の強度ならどのような光を照射してもよい。このような強度範囲を満足するものであれば、光強度は特に限定されず、例えば、光照射強度を強/弱繰り返し変化させる方法であってもよい。また、光をオン、オフにして光の強度を変化させる形態を含んでいてもよい。このように光の強度を変化させる形態においては、例えば光をオン、オフにする場合、オフにして光が照射されず、光強度が0W/m2を超えない時があっても、オンの時の光強度が上記強度範囲を満足するものであればよい。すなわち、光を照射する時の光強度(オンの時の光強度)が上記好ましい強度範囲を満足するものであれば、本発明の好ましい形態である。
第2段で照射する10W/m2を超える紫外線が、10W/m2以下である場合、光量が低過ぎて残存する単量体を充分に減少させることができないおそれがある。より好ましくは、12W/m2を超えるものである。上限値としては、100W/m2以下であることが好ましい。100W/m2を超えるものであると、照射強度が強過ぎて、製品が着色したり、充分に高い分子量の重合体が得られないおそれがある。より好ましくは、80W/m2以下であり、更に好ましくは、50W/m2以下である。
上記2段階目の紫外線の照射時間としては、残存する単量体を充分に低減でき照射時間であれば特に限定されないが、1〜30分であることが好ましい。より好ましくは、3〜20分であり、更に好ましくは、5〜15分である。
上記2段階目の紫外線の照射時間としては、残存する単量体を充分に低減でき照射時間であれば特に限定されないが、1〜30分であることが好ましい。より好ましくは、3〜20分であり、更に好ましくは、5〜15分である。
上記重合工程において紫外線を放射するランプとしては、例えば、白熱電球;ハロゲン電球;蛍光ランプ及びメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、低圧ナトリウムランプ、水銀ランプ等のHID(HIGH INTENSITY DISCHARGE LAMPS)ランプ等が好ましい。中でもHIDランプが好ましく、蛍光水銀ランプ、白熱色蛍光水銀ランプ、透明水銀ランプ、チョークレス水銀ランプ、及び、ブラックライト水銀ランプ等の水銀ランプがより好ましい。特に、近紫外線だけを放射するブラックライト水銀ランプが特に好ましい。また、紫外線の波長領域としては、300nm以上であり、また、500nm以下であることが好適である。300nm未満の波長の紫外線を照射した場合、重合反応が急激化し、高粘度で残存単量体の量が少ないアクリル酸塩系重合体が得られない場合がある。
なお、本明細書中、紫外線の光照射強度は、紫外線が照射される重合液の上面部、すなわち重合液表面において測定される光照射強度である。光照射強度は、例えば下記の光量計で測定することができる。
装置:UVメーター
メーカー:株式会社カスタム
型式:本体 UVA−365
センサー:UVセンサー(スペクトラ応答性 300nm〜400nm)
なお、紫外線の強度に関する問題としては、その強度が強すぎると重合制御が困難となる問題、すなわち突沸問題と不溶解分が増える傾向にあるという品質問題がある。最初は強度を弱くして一次反応を行い、次いで強度を強くすることで、このような問題に対しても有利となる。
装置:UVメーター
メーカー:株式会社カスタム
型式:本体 UVA−365
センサー:UVセンサー(スペクトラ応答性 300nm〜400nm)
なお、紫外線の強度に関する問題としては、その強度が強すぎると重合制御が困難となる問題、すなわち突沸問題と不溶解分が増える傾向にあるという品質問題がある。最初は強度を弱くして一次反応を行い、次いで強度を強くすることで、このような問題に対しても有利となる。
上記紫外線の強度を変更する方法としては、照射強度の異なる紫外線ランプを用いる方法、インバーター制御により照射強度を増減する方法、紫外線ランプと重合液との間に、減光板を設置する方法等により紫外線の照射強度を変更することができる。また、上記重合工程において、ステンレス製のベルトと紫外線ランプとの間に、パンチングメタル等の減光板を設置する等して紫外線照射強度を変更することができ、同一のランプを用いる場合であっても異なる複数の減光板を用いることで、照射強度を適宜変更することができるので、強度の異なった紫外線を2段階で照射することができ、本発明の方法として用いることができる。本発明の光重合の形態は、上記紫外線として近紫外線を使用する形態が好ましい。
図7を用いて本発明の好ましい形態である、(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の製造方法の実施の一形態を説明する。なお、図7において、7は光照射の方向を表す矢印であり、8はベルト運転方向を示す矢印である。
図7は、減光板を設ける形態であり、ベルト基材(ステンレス製)4と紫外線ランプ5との間に、減光板6が設置されている。この場合、ベルト4を稼働させることで、重合液が減光板6の下部を移動していくことになる。ここに紫外線ランプ5により一定強度の紫外線を照射すると、減光板6が設置されている部分を移動するときは、光照射強度が低下した紫外線(例えば10W/m2以下の近紫外線)が重合液に照射され、減光板6が設置されていない部分を移動するときはこの一定強度の紫外線(例えば10W/m2を超える近紫外線)が重合液に照射されることになる。従って、重合液をベルト4によって移動させ、減光板6が設けられた部分と設けられていない部分とを通過することにより、光照射強度を変更することができる。
上記ベルト進行方向側の幅(ワーク幅ともいう)としては、100mm以上が好ましく、また、3000mm以下が好ましい。より好ましくは150mm以上であり、更に好ましくは200mm以上であり、また、より好ましくは2500mm以下であり、更に好ましくは2000mm以下である。
上記ベルトの長さ(重合長ともいう)としては、1000mm以上が好ましく、また、30000mm以下が好ましい。より好ましくは1500mm以上であり、更に好ましくは2000mm以上であり、また、より好ましくは20000mm以下であり、更に好ましくは15000mm以下である。
上記ベルトの速度は、2cm/min以上が好ましく、5cm/min以上がより好ましい。200cm/min以下が好ましく、100cm/min以下がより好ましい。
重合液(含水ゲル)がベルト上に滞留する時間は、5分以上が好ましい。5分以上とすることにより、含水ゲルを充分高分子量のものとすることができ、付着性を低いものとすることができる。10分以上がより好ましく、15分以上が更に好ましい。また、100分以下が好ましい。100分以下とすることにより、本発明の製造方法がより効率的なものになる。50分以下がより好ましく、40分以下が更に好ましい。
上記ベルトの長さ(重合長ともいう)としては、1000mm以上が好ましく、また、30000mm以下が好ましい。より好ましくは1500mm以上であり、更に好ましくは2000mm以上であり、また、より好ましくは20000mm以下であり、更に好ましくは15000mm以下である。
上記ベルトの速度は、2cm/min以上が好ましく、5cm/min以上がより好ましい。200cm/min以下が好ましく、100cm/min以下がより好ましい。
重合液(含水ゲル)がベルト上に滞留する時間は、5分以上が好ましい。5分以上とすることにより、含水ゲルを充分高分子量のものとすることができ、付着性を低いものとすることができる。10分以上がより好ましく、15分以上が更に好ましい。また、100分以下が好ましい。100分以下とすることにより、本発明の製造方法がより効率的なものになる。50分以下がより好ましく、40分以下が更に好ましい。
上記光重合は、単量体を、光重合開始剤を用いて重合させることが好ましい。光重合開始剤を用いて重合させることで、重合体を高粘度のものとすることができ、また、残存する単量体の量を低減することができる。この場合、上記重合液に光重合開始剤を配合することが好ましい。
上記光重合開始剤としては、その作用効果を発揮するものであれば特に限定されないが、アゾ系開始剤が好ましい。アゾ系開始剤としては、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が好適である。これらの中でも、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ系水溶性開始剤がより好ましい。このように、上記重合工程は、重合開始剤がアゾ系水溶性開始剤であるアクリル酸塩系重合体の製造方法アゾ系水溶性開始剤もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記光重合開始剤としては、その作用効果を発揮するものであれば特に限定されないが、アゾ系開始剤が好ましい。アゾ系開始剤としては、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が好適である。これらの中でも、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ系水溶性開始剤がより好ましい。このように、上記重合工程は、重合開始剤がアゾ系水溶性開始剤であるアクリル酸塩系重合体の製造方法アゾ系水溶性開始剤もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記光重合開始剤としては、アゾ系水溶性開始剤以外の光重合開始剤を用いることができる。このような光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記光重合開始剤の使用量としては、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、アクリル酸(塩)系水溶性重合体の分子量や重合率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。特に好ましくは、0.01g以上であり、また0.1g以下である。光重合開始剤は、以下に記載した熱重合開始剤と併用することは勿論可能である。
本発明の製造方法において光重合によって重合を行う場合は、熱重合開始剤を光重合開始剤と併用することも可能である。
本発明の製造方法において熱重合によって重合を行う場合は、熱重合開始剤を用いることになる。
熱重合開始剤を用いることにより、残存する単量体の量を低減することができる。
上記熱重合開始剤としては、水性媒体に可溶な広い範囲の重合開始剤が使用可能であるが、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4′−アゾビス−(4−シアノバレリン酸)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;過酢酸、過コハク酸等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の製造方法において熱重合によって重合を行う場合は、熱重合開始剤を用いることになる。
熱重合開始剤を用いることにより、残存する単量体の量を低減することができる。
上記熱重合開始剤としては、水性媒体に可溶な広い範囲の重合開始剤が使用可能であるが、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4′−アゾビス−(4−シアノバレリン酸)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;過酢酸、過コハク酸等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記熱重合開始剤の使用量としては、単量体成分1モルに対して、0.0001〜0.05gの範囲内が好ましい。更に好ましくは、0.001〜0.03gである。これら熱重合開始剤の分解を促進するために、有機又は無機系の還元剤を併用することも可能である。
還元剤を使用する場合は、単量体成分1モルに対して、0.001〜1gが好ましい。
還元剤を使用する場合は、単量体成分1モルに対して、0.001〜1gが好ましい。
上記重合方法においてはまた、上記重合開始剤とともに連鎖移動剤を併用することによってもできる。適当量の連鎖移動剤を使用することにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの重量平均分子量がより大きくなる等品質を向上させることができ、その結果、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類が好適である。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。また、更に好ましくは、0.001g以上であり、また、0.15g以下であり、特に好ましくは、0.005g以上であり、また、0.10g以下である。
上記重合溶媒としては、水が好適に用いられる。また、水以外にも本発明の効果を損わない範囲で少量の親水性有機溶媒等を適宜併用してもよい。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類、低級エーテル類等が好適である。
本発明の製造方法における重合工程は、単量体成分が多官能基を有する単量体(架橋剤)を実質的に含まない条件下で行うことが好ましい。また上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの重合において、多官能基を有する単量体を使用することにより形成される含水ゲルは架橋体となり、これはそもそも低付着性となるため、該単量体を使用しない形態、すなわち重合体がリニアーな構造を有する形態ほど、付着性を低いものとする本発明の効果がより顕著となる。
すなわち、本発明においては、製造対象が特定組成の水溶性樹脂の含水ゲルをSUSの金属ベルト基材で連続的に製造する場合、当該金属ベルト基材への付着性の低い含水ゲルを効率よく製造することができるところに、顕著な技術的効果がある。
すなわち、本発明においては、製造対象が特定組成の水溶性樹脂の含水ゲルをSUSの金属ベルト基材で連続的に製造する場合、当該金属ベルト基材への付着性の低い含水ゲルを効率よく製造することができるところに、顕著な技術的効果がある。
本願発明における含水ゲル中の残留単量体量としては、重合反応に使用した全単量体に対して5モル%以下が好ましい。3モル%以下がより好ましく、1モル%以下が特に好ましい。ゲル中の残留単量体量が全単量体に対して5モル%を超えた場合、ベルト面からゲルの剥離が悪くなる場合がある。
本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルは、更に押出工程、乾燥工程及び粉砕工程に供して、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体(粉体)を製造することができる。ここで、押出工程は、重合工程で得られた重合体のゲル状物を押し出しすることにより、乾燥しやすいように解砕する工程である。粉砕工程は、その乾燥物を一定の大きさ(粒度)に砕く工程である。このようにして得られた粉粒体を次の分級工程で分級してもよい。上記工程としては特に限定されず、通常行われる方法が採用される。
上記水溶性重合体板状含水ゲルの処理工程としては、例えば、重合、押出、乾燥、粉砕、分級の順に、これらの工程を含むことが好ましい。このような工程を経ることにより、種々の分野に好適に使用できる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が得られることとなる。
以下では、本発明の実施形態を図面を用いて例示して説明する。
図1は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の一つの好適な形態を示す実写真画像である。本発明の製造方法におけるベルト重合機の終端部(含水ゲルが持ち上げられてベルト重合機から取り外される部分)及びその近辺が写っている。ベルト重合機の終端部を過ぎると、金属ベルト基材が下方向に向かって進行し、巻き戻されて重合開始部に行くことを繰り返し、連続的に含水ゲルの製造が行われることになる(ベルト重合機の全体図は図9等に示されている)。
ベルト重合機の終端部においては、含水ゲルが金属ベルト基材の上方にあるローラーを介してベルト基材から持ち上げられている。ローラーによって含水ゲルが持ち上げられていること等により、ベルト基材に付着している含水ゲルには上向きのテンションが付与されることになる。
上記ベルト基材上において、ベルト重合機の架台に付設されている稼動用装置(写真右下方向にあるが、写っていない)に取り付けられた剥離用部材(尖端形状の突っつき棒)の先端部がベルトの進行方向に沿って、ベルトから含水ゲルが剥離する境界付近とそこから少し離れた位置との間を、ベルト基材上を滑りながら往復運動しているが、写真においては、当該往復運動の途中の状態が示されている。この図においては、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向の中央部又はその近傍に応力を与える好適な形態が示されている。また剥離用部材の連続的な往復運動がベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿ったもの、又は、進行方向に略平行の向きである好適な形態が示されている。なお、剥離用部材の稼働装置は、図2の実写真画像において示されている。
このような形態により、剥離用部材が連続的に往復運動して、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点又は該接点の近傍を突っつくことになり、該接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることになる。
この形態においては、剥離用部材がベルト基材に沿って湾曲しているので、ベルトに接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることになる。
上述したように応力を与えることにより、含水ゲルとベルト基材との境界線より含水ゲルを一挙に剥離させることができる。このような有利な効果は、ベルト重合機による含水ゲルの製造において際立ったものである。その結果、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト基材への付着(含水ゲルがベルト基材に付着したままベルト重合機の下部に行ってしまうというようなトラブル)を防止しながら安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが可能となる。
本発明では、このような実施形態において、上述したようにベルト基材の進行方向に対する横方向等において多くの点を突っつかなければならないというものではなく、少なくともどこか1点を突っつくようにして応力を与える、好ましくは、少なくともどこか1点に対して連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えるようにすればよいというものでる。本実施形態は、含水ゲルの横方向における中央部付近の1点に対して、尖端形状の剥離用部材を用いて間欠的に応力を与えるというものである。このような手法を取ることは、無人化連続生産工程において良く適合するものである。
図1は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の一つの好適な形態を示す実写真画像である。本発明の製造方法におけるベルト重合機の終端部(含水ゲルが持ち上げられてベルト重合機から取り外される部分)及びその近辺が写っている。ベルト重合機の終端部を過ぎると、金属ベルト基材が下方向に向かって進行し、巻き戻されて重合開始部に行くことを繰り返し、連続的に含水ゲルの製造が行われることになる(ベルト重合機の全体図は図9等に示されている)。
ベルト重合機の終端部においては、含水ゲルが金属ベルト基材の上方にあるローラーを介してベルト基材から持ち上げられている。ローラーによって含水ゲルが持ち上げられていること等により、ベルト基材に付着している含水ゲルには上向きのテンションが付与されることになる。
上記ベルト基材上において、ベルト重合機の架台に付設されている稼動用装置(写真右下方向にあるが、写っていない)に取り付けられた剥離用部材(尖端形状の突っつき棒)の先端部がベルトの進行方向に沿って、ベルトから含水ゲルが剥離する境界付近とそこから少し離れた位置との間を、ベルト基材上を滑りながら往復運動しているが、写真においては、当該往復運動の途中の状態が示されている。この図においては、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向の中央部又はその近傍に応力を与える好適な形態が示されている。また剥離用部材の連続的な往復運動がベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿ったもの、又は、進行方向に略平行の向きである好適な形態が示されている。なお、剥離用部材の稼働装置は、図2の実写真画像において示されている。
このような形態により、剥離用部材が連続的に往復運動して、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点又は該接点の近傍を突っつくことになり、該接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることになる。
この形態においては、剥離用部材がベルト基材に沿って湾曲しているので、ベルトに接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることになる。
上述したように応力を与えることにより、含水ゲルとベルト基材との境界線より含水ゲルを一挙に剥離させることができる。このような有利な効果は、ベルト重合機による含水ゲルの製造において際立ったものである。その結果、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト基材への付着(含水ゲルがベルト基材に付着したままベルト重合機の下部に行ってしまうというようなトラブル)を防止しながら安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することが可能となる。
本発明では、このような実施形態において、上述したようにベルト基材の進行方向に対する横方向等において多くの点を突っつかなければならないというものではなく、少なくともどこか1点を突っつくようにして応力を与える、好ましくは、少なくともどこか1点に対して連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えるようにすればよいというものでる。本実施形態は、含水ゲルの横方向における中央部付近の1点に対して、尖端形状の剥離用部材を用いて間欠的に応力を与えるというものである。このような手法を取ることは、無人化連続生産工程において良く適合するものである。
図2は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の一つの好適な形態を示す実写真画像であり、図1に示した本発明の実施形態を異なる角度から写したものである。この図においては、ベルト基材から剥離された含水ゲルが板状含水ゲル搬送ローラーにより下向きに搬送されているところが写っている。また剥離用部材の稼動用装置の部分が写っている。
この図においても、金属ベルト基材上には剥離用部材(突っつき棒)の端部が接触し(写真上部方向にあるが、接触部分は写っていない)、もう一方の端部は、稼動用装置に接続され、該稼動用装置は、ベルト重合機の架台に付設されている。稼動用装置とは例えば、この図において示されているように、モーターからの回転軸を延長してクランク軸とし、剥離用部材の先端部がベルトの進行方向に沿って往復運動するように設計されたものである。これによって、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に間欠的に応力を与えるように剥離用部材を動かすことができる。稼動用装置は、その一部がベルト重合機の架台に固定されたものである。稼働用装置自体の略図は、図11に例示されている。
この図においても、金属ベルト基材上には剥離用部材(突っつき棒)の端部が接触し(写真上部方向にあるが、接触部分は写っていない)、もう一方の端部は、稼動用装置に接続され、該稼動用装置は、ベルト重合機の架台に付設されている。稼動用装置とは例えば、この図において示されているように、モーターからの回転軸を延長してクランク軸とし、剥離用部材の先端部がベルトの進行方向に沿って往復運動するように設計されたものである。これによって、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に間欠的に応力を与えるように剥離用部材を動かすことができる。稼動用装置は、その一部がベルト重合機の架台に固定されたものである。稼働用装置自体の略図は、図11に例示されている。
図3及び図4は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の一つの好適な形態を示す概念図(工程図)である。本発明の製造方法におけるベルト重合機の終端部及びその近辺を示すものである。
ベルト重合機の終端部においては、含水ゲルがベルト基材4の上方にあるローラー2を介してベルト基材4から持ち上げられている。ローラー2によって含水ゲルが持ち上げられていること等により、ベルト基材4に付着している含水ゲルには上向きのテンションが付与されることになる。
上記ベルト基材4上において、ベルト重合機の架台に付設されている稼動用装置(示していない)に取り付けられた剥離用部材3(尖端形状の突っつき棒)の先端部がベルト基材4の進行方向に沿って、ベルト基材4から含水ゲルが剥離する境界付近とそこから少し離れた位置との間を、ベルト基材4上を滑りながら往復運動しているが、図3においては、当該往復運動の途中の状態が示されており、実質的に図1に示したベルト重合機の終端部近辺の実写真画像を線図により示したものである。図4においては、剥離用部材が、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点又は該接点の近傍を突っついているところ(剥離用部材と含水ゲルとが接触しているところ)を示したものである。これらの図においては、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向の中央部又はその近傍に応力を与える好適な形態が示されている。また剥離用部材の連続的な往復運動がベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿ったもの、又は、進行方向に略平行の向きである好適な形態が示されている。
このような形態により、剥離用部材3が連続的に往復運動して、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材4との接点又は該接点の近傍を突っつくことになり、該接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることになる。
この形態においては、剥離用部材3がベルト基材4に沿って湾曲しているので、ベルト基材4に接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることになる。
上述したように応力を与えることによる効果等は、図1において上述した通りである。
図中A矢印(往復運動方向)は、剥離用部材3の稼動方向を示している。またB矢印(左右運動方向)は、剥離用部材3の動きとして付加されていてもよい運動方向であって、ベルト基材4に対して横断する左右の運動方向を示す。なお、往復運動及び左右運動を付加する装置に関しては図示していない。B矢印(左右運動方向)は、必須な要素ではない。剥離用部材3の先端は、平板状あるいは棒状でも使用可能であるが、図3及び図4では、略鋭角、すなわち尖端状となっている。
図3及び図4において、含水ゲルは、ベルト基材面より上部に持ち上げられローラー2を介し、更に板状含水ゲル搬送ローラー22及び板状含水ゲル搬送ガイド21に沿って上方に引っ張られながら搬出される。このように、含水ゲルがベルト基材から剥離されてローラー2上を通過するまでの間、含水ゲルが上方に引っ張られることになる。
本明細書中、「板状含水ゲル搬送ローラー」を「搬送用ローラー」ともいい、「板状含水ゲル搬送ガイド」を「ガイド」ともいう。
ベルト重合機の終端部においては、含水ゲルがベルト基材4の上方にあるローラー2を介してベルト基材4から持ち上げられている。ローラー2によって含水ゲルが持ち上げられていること等により、ベルト基材4に付着している含水ゲルには上向きのテンションが付与されることになる。
上記ベルト基材4上において、ベルト重合機の架台に付設されている稼動用装置(示していない)に取り付けられた剥離用部材3(尖端形状の突っつき棒)の先端部がベルト基材4の進行方向に沿って、ベルト基材4から含水ゲルが剥離する境界付近とそこから少し離れた位置との間を、ベルト基材4上を滑りながら往復運動しているが、図3においては、当該往復運動の途中の状態が示されており、実質的に図1に示したベルト重合機の終端部近辺の実写真画像を線図により示したものである。図4においては、剥離用部材が、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点又は該接点の近傍を突っついているところ(剥離用部材と含水ゲルとが接触しているところ)を示したものである。これらの図においては、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向の中央部又はその近傍に応力を与える好適な形態が示されている。また剥離用部材の連続的な往復運動がベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿ったもの、又は、進行方向に略平行の向きである好適な形態が示されている。
このような形態により、剥離用部材3が連続的に往復運動して、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材4との接点又は該接点の近傍を突っつくことになり、該接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることになる。
この形態においては、剥離用部材3がベルト基材4に沿って湾曲しているので、ベルト基材4に接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることになる。
上述したように応力を与えることによる効果等は、図1において上述した通りである。
図中A矢印(往復運動方向)は、剥離用部材3の稼動方向を示している。またB矢印(左右運動方向)は、剥離用部材3の動きとして付加されていてもよい運動方向であって、ベルト基材4に対して横断する左右の運動方向を示す。なお、往復運動及び左右運動を付加する装置に関しては図示していない。B矢印(左右運動方向)は、必須な要素ではない。剥離用部材3の先端は、平板状あるいは棒状でも使用可能であるが、図3及び図4では、略鋭角、すなわち尖端状となっている。
図3及び図4において、含水ゲルは、ベルト基材面より上部に持ち上げられローラー2を介し、更に板状含水ゲル搬送ローラー22及び板状含水ゲル搬送ガイド21に沿って上方に引っ張られながら搬出される。このように、含水ゲルがベルト基材から剥離されてローラー2上を通過するまでの間、含水ゲルが上方に引っ張られることになる。
本明細書中、「板状含水ゲル搬送ローラー」を「搬送用ローラー」ともいい、「板状含水ゲル搬送ガイド」を「ガイド」ともいう。
図5及び図6は、図3等における剥離用部材3の稼動状態を側面から見た概略図である。本発明の製造方法におけるベルト重合機の終端部及びその近辺を示したものである。剥離用部材3の往復運動による稼動方向を示す矢印のみが示されている。剥離用部材が連続的に往復運動して、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点又は該接点の近傍を突っつくことになり、該接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることになる。このような形態により、含水ゲルとベルト基材との境界線より含水ゲルを剥離して連続生産することができる。
図5は、図3等と同様に剥離用部材3がベルト基材4に沿って湾曲している形態を示すものであり、これにより、ベルト基材4に接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることができる。図6は、図3等と異なり剥離用部材3が湾曲していないものである。
図7は、本発明の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の実施の一形態を示す概念図である。なお、SUS製ベルト基材4の側面左右の両端にはエッジロープ堰18が設置されているが、図7中には示していない。
図8は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造する装置の一形態を示す図である。なお、SUS製ベルト基材の側面左右の両端にはエッジロープ(堰)18が設置されており、図中においては、手前にあるエッジロープの図示を一部省略している。この図では、剥離用部材3は、終端部で当該ゲルの終端部を最初に上部へ持ち上げる操作をする前の状態である。
図9は、図8において、剥離用部材3が終端部で当該ゲルの終端部を最初に上部へ持ち上げる操作をした後の状態である。
上記ゲルの終端部とは、ベルト重合機における重合において最初に得られる板状含水ゲルのベルト進行方向の先端部をいう。
図5は、図3等と同様に剥離用部材3がベルト基材4に沿って湾曲している形態を示すものであり、これにより、ベルト基材4に接触するようにして上記接点に向けて好適に応力を与えることができる。図6は、図3等と異なり剥離用部材3が湾曲していないものである。
図7は、本発明の(メタ)アクリル酸系水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法の実施の一形態を示す概念図である。なお、SUS製ベルト基材4の側面左右の両端にはエッジロープ堰18が設置されているが、図7中には示していない。
図8は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造する装置の一形態を示す図である。なお、SUS製ベルト基材の側面左右の両端にはエッジロープ(堰)18が設置されており、図中においては、手前にあるエッジロープの図示を一部省略している。この図では、剥離用部材3は、終端部で当該ゲルの終端部を最初に上部へ持ち上げる操作をする前の状態である。
図9は、図8において、剥離用部材3が終端部で当該ゲルの終端部を最初に上部へ持ち上げる操作をした後の状態である。
上記ゲルの終端部とは、ベルト重合機における重合において最初に得られる板状含水ゲルのベルト進行方向の先端部をいう。
図10は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造する際に使用できるSUS製ベルト基材部分4を示す装置の一形態を示す斜視概略図である。この概略図においては、SUS製ベルト基材の両端にエッジロープ18が配置されている。また、ベルト重合機の終端部に、剥離用部材3(図ではD、E、Fで表示)の変更設置形態を例示する。なお、この図は、エッジロープとSUS製ベルト基材との配置関係、及び、これらと剥離用部材3との配置関係を示すためのものであり、エッジロープ及びSUS製ベルト基材以外の部材については図示していない。XとYは中心軸をZとして上部から見たときの角度である。すなわち、Xは、Dで表示される剥離用部材3の向きと中心軸Zとの上部から見たときの角度であり、Yは、Fで表示される剥離用部材3の向きと中心軸Zとの上部から見たときの角度である。
図11は、本発明で使用する、剥離用部材3の当該板状含水ゲルへの往復運動(突っつき動作)を発生させる機構の一例を示したものである。モーター31からのクランク軸32が、架台34に治具33で固定されており、モーター軸の回転運動を、クランク作用で剥離用部材3の往復運動に変更する機構である。
例えばこの機構によって、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える本発明の好ましい形態とすることができる。
図12は、本発明の製造方法における含水ゲルとベルトとの接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える剥離用部材3の当該板状含水ゲルへの往復運動(突っつき動作)の一例を示したものであり、実質的に図4の部分拡大図である。図12には、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する剥離用部材により応力を与える好適な形態が示されている。ここで、「ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する」とは、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿って往復運動することであり、例えば矢印Sにより図示されるような方向に往復運動することである。また、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向の中央部又はその近傍に応力を与える好適な形態が示されている。
図13は、本発明の製造方法における剥離用部材3の尖端部の形状の一例を示したものである。(a)尖端部が三角形又はそれに類する形状をしている場合、「尖端部の角度」は、剥離用部材の尖端部の内側の角度(角度A)であり、言い換えると、頂点(最も先の点)及び2辺によって形成される尖端部において、内側と外側の互いに反対側にある二つの角(共役角)のうち、内側の小さいほうの角(劣角)である。なお、角度Bは、外側の大きい方の角(優角)である。(b)尖端部の最も先が点ではなく、まるみを帯びている等の形状である場合、「尖端部の角度」は、Aで示される角度である。
例えばこの機構によって、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える本発明の好ましい形態とすることができる。
図12は、本発明の製造方法における含水ゲルとベルトとの接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える剥離用部材3の当該板状含水ゲルへの往復運動(突っつき動作)の一例を示したものであり、実質的に図4の部分拡大図である。図12には、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する剥離用部材により応力を与える好適な形態が示されている。ここで、「ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する」とは、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に沿って往復運動することであり、例えば矢印Sにより図示されるような方向に往復運動することである。また、板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルの進行方向に対して垂直方向の中央部又はその近傍に応力を与える好適な形態が示されている。
図13は、本発明の製造方法における剥離用部材3の尖端部の形状の一例を示したものである。(a)尖端部が三角形又はそれに類する形状をしている場合、「尖端部の角度」は、剥離用部材の尖端部の内側の角度(角度A)であり、言い換えると、頂点(最も先の点)及び2辺によって形成される尖端部において、内側と外側の互いに反対側にある二つの角(共役角)のうち、内側の小さいほうの角(劣角)である。なお、角度Bは、外側の大きい方の角(優角)である。(b)尖端部の最も先が点ではなく、まるみを帯びている等の形状である場合、「尖端部の角度」は、Aで示される角度である。
本発明の製造方法は、上述の構成よりなり、水溶性重合体板状含水ゲルのベルト基材への付着(含水ゲルがベルト基材に付着したままベルト重合機の下部に行ってしまうというようなトラブル)を防止しながら安定かつ連続的に水溶性重合体板状含水ゲルを製造することができ、製造効率が向上され、設備費、人件費等の費用を低減して経済的に有利なものとすることができる。
例えば、本発明の、ベルト重合機の終端部における、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に、応力を与える構成を採用することによって、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルが、ベルト基材の上方に巻き取りガイドローラ等を介して搬送される際に起こりえる問題点である、ベルト基材面と当該板状含水ゲルとの付着を解消することができるものである。
従って、本発明は、一旦付着が起こってしまうと、ベルト重合機の下部に巻き込まれる等の大問題が生じることを未然に防止できる、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの連続的な製造方法でもある。
例えば、本発明の、ベルト重合機の終端部における、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に、応力を与える構成を採用することによって、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルが、ベルト基材の上方に巻き取りガイドローラ等を介して搬送される際に起こりえる問題点である、ベルト基材面と当該板状含水ゲルとの付着を解消することができるものである。
従って、本発明は、一旦付着が起こってしまうと、ベルト重合機の下部に巻き込まれる等の大問題が生じることを未然に防止できる、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルの連続的な製造方法でもある。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例で使用したゲル、すなわち本発明の製造方法により得られた含水ゲルは、全て残留単量体量が1モル%以下であった。
また重合体の重量平均分子量の測定は、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により行った。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
また重合体の重量平均分子量の測定は、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により行った。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
(実施例1)
容量200Lのステンレス製ドラムにアクリル酸ナトリウム37%水溶液149.7部、70%グリセリン水溶液1.99部を入れ、攪拌下、5%硫酸を添加してpHを10.0に調整した。
次いで、イオン交換水を添加して全量を152.3部にした。次いで、窒素ガスをバブリングして、溶存酸素を4ppmに下げることによりモノマー液(1)を作製した。
次に、容量2Lのステンレス製容器に、重合触媒として2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(和光純薬工業社製、商品名V−50)0.0235部及びイオン交換水1.543部を添加し、攪拌して溶解した。このようにして触媒水溶液(1)を作製した。該触媒水溶液中の触媒V−50の濃度は1.5%であった。
容量200Lのステンレス製ドラムにアクリル酸ナトリウム37%水溶液149.7部、70%グリセリン水溶液1.99部を入れ、攪拌下、5%硫酸を添加してpHを10.0に調整した。
次いで、イオン交換水を添加して全量を152.3部にした。次いで、窒素ガスをバブリングして、溶存酸素を4ppmに下げることによりモノマー液(1)を作製した。
次に、容量2Lのステンレス製容器に、重合触媒として2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(和光純薬工業社製、商品名V−50)0.0235部及びイオン交換水1.543部を添加し、攪拌して溶解した。このようにして触媒水溶液(1)を作製した。該触媒水溶液中の触媒V−50の濃度は1.5%であった。
図3〜図7、図9〜図10は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造する装置の形態を示す図である。ベルト基材(ステンレス製)の両端にはシリコン製エッジロープ(堰)が設置されている。また、図10は、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲルを製造する装置の一形態を示す斜視概略図で、ベルト基材(ステンレス製)の両端にはシリコン製エッジロープ(堰)が設置されている。なお、図10ではエッジロープとベルト基材(ステンレス製)との配置関係がわかるようにエッジロープ及びベルト基材(ステンレス製)以外の部材については図示していない。また図10ではD、E、Fとして本発明で採用する剥離用部材の設置例を示している。図中Zはベルト基材の中心軸である。当該剥離用部材はXやYで示されるように、剥離効果に影響がなければ少々斜め方向から応力を付与する形態であってもかまわない。
図9に示した重合設備において、モノマー槽9よりギヤーポンプP1を用いてモノマー液を33.85部/Hrの割合で抜き出した。また、触媒槽よりギヤーポンプP2を用いて触媒水溶液を0.348部/Hrの割合で抜き出した。
モノマー液と触媒液は混合器11で混合され、重合液として34.2部/Hrの割合でベルト重合機に供給された。該重合液中のアクリル酸ナトリウムの濃度は36%であった。また、液比重は1.173であった。グリセリンは、アクリル酸ナトリウムに対して2.5%の添加量であり、V−50はアクリル酸ナトリウム1モルに対して0.04gの添加量であった。また、pHは10.0であった。
ベルト重合機はワーク幅300mm、重合長2700mmであり、10.8cm/minの速度で連続的に稼動した。また、ベルト基材の材質はSUS301であり、研磨グレードはJIS G4305に規定される2Bに相当するものであり、ベルト面の表面粗度(Ra)が0.4μmであった。上記JIS G4305に規定される2Bは、「冷間圧延後、熱処理、酸洗又はこれに準じる処理を施した後、適当な光沢を得る程度に冷間圧延して仕上げたもの。」を意味する((社)特殊鋼倶楽部編集委員会ステンレス鋼ワーキンググループ、「ステンレス鋼の利用状況」、(株)特殊鋼倶楽部、平成元年3月25日、p264の記載内容を参照のこと)。またSUS301以外でも例えば、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS630等も使うことができる。その場合もRaを1μm以下とすることが好ましい。
上記ベルト面より20cm上部にUVランプ(ブラックライト水銀ランプ 東芝ライテック社製 商品名H250BL−L250W)が6本設置された。ランプの直下には、ランプ毎に減光用のパンチングメタルが配置された。
上記パンチングメタルは重合液の入口部から数えて1〜4枚は開口率が28.3%であり、5〜6枚は開口率が51%であった。このようにすることにより、重合液の入口部から1〜4枚のパンチングメタルの下でベルト面の直上の光強度を約13W/m2に調整した。また、5〜6枚のパンチングメタルの下でベルト面の直上の光強度を約13W/m2に調整した。
上記ベルト面上の気相部には、重合液の入口部から出口部に向けて、気相部の酸素濃度が約8容量%となるように、窒素ガスが通気した。また、ベルト面の下部より温度35℃の温水がシャワー状に散布され、重合で発生する熱を除去した。
該ベルト重合機に上記した重合液を34.2部/Hrの割合で連続的に供給した。
該ベルト重合機に上記した重合液を34.2部/Hrの割合で連続的に供給した。
重合液の温度を25℃とすることにより、重合開始時の温度を25℃とした。
上記ベルトには離型材は貼っていなかった。すなわち、含水ゲルと該含水ゲルと接するベルト面との間にテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂製離型材や他の離型材を用いることなく含水ゲルを製造した。当該ベルト重合機終端部には、図1、図2、図3に示すように、ベルト重合機終端部に、剥離用部材3を、モーターの回転軸とギアを介して結合させたクランク棒を介して設置した。
上記ベルトには離型材は貼っていなかった。すなわち、含水ゲルと該含水ゲルと接するベルト面との間にテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂製離型材や他の離型材を用いることなく含水ゲルを製造した。当該ベルト重合機終端部には、図1、図2、図3に示すように、ベルト重合機終端部に、剥離用部材3を、モーターの回転軸とギアを介して結合させたクランク棒を介して設置した。
なお、クランク軸は、モーター軸からの回転動作により、剥離用部材をゲル面に対して、突出するように(突っつくように)往復運動させるために、一部は架台に固定した。この方式によりモーターを稼動させると、ベルト重合機終端部に設置された剥離用部材が往復運動を間欠的に行えるようになった。
上記ベルト重合機の出口より厚み14mmの含水ゲルが連続的に排出されたが、ベルト面に付着することなしに極めて容易に剥離しながら連続的に排出された。重合期間中、重合液(含水ゲル)の厚み方向中央部の温度を白金線測温抵抗体温度計で測定したところ、最高温度(ピーク温度)として90℃であった。24時間の連続運転を行なったが、付着トラブルは全く発生しなかった。従って、無人運転が可能となった。
長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
得られた重合体の分子量は、光散乱密度計を用いて測定した結果、460万であった。
長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
得られた重合体の分子量は、光散乱密度計を用いて測定した結果、460万であった。
(実施例2)
実施例1で用いた剥離用部材3の代わりに、形状が同等で材質が軟質金属の1種である真鍮製の剥離用部材を用いた他は実施例1と同様にして重合を行なった。
ゲルはベルト面に付着することなしに極めて容易に剥離しながら連続的に排出された。
長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
実施例1で用いた剥離用部材3の代わりに、形状が同等で材質が軟質金属の1種である真鍮製の剥離用部材を用いた他は実施例1と同様にして重合を行なった。
ゲルはベルト面に付着することなしに極めて容易に剥離しながら連続的に排出された。
長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
(実施例3)
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて12.08部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて0.124部/Hrとし、つまり重合液として12.20部/Hrとし、重合開始温度を50℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
ゲルはベルト面に時々付着するものの比較的容易に剥離しながら、連続的に排出された。ゲルの厚みは5mmであった。完全なる無人運転は困難な状況であった。
しかし、長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて12.08部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて0.124部/Hrとし、つまり重合液として12.20部/Hrとし、重合開始温度を50℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
ゲルはベルト面に時々付着するものの比較的容易に剥離しながら、連続的に排出された。ゲルの厚みは5mmであった。完全なる無人運転は困難な状況であった。
しかし、長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
(実施例4)
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて14.51部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて0.149部/Hrとし、つまり重合液として14.66部/Hrとし、重合開始温度を40℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
ゲルはベルト面に付着することなしに容易に剥離しながら連続的に排出された。
つまり、無人運転が可能であった。ゲルの厚みは6mmであった。長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて14.51部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて0.149部/Hrとし、つまり重合液として14.66部/Hrとし、重合開始温度を40℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
ゲルはベルト面に付着することなしに容易に剥離しながら連続的に排出された。
つまり、無人運転が可能であった。ゲルの厚みは6mmであった。長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
(実施例5)
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて145.1部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて1.49部/Hrとし、つまり重合液として146.6部/Hrとし、重合開始温度を15℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
重合期間中、重合液(含水ゲル)の厚み方向中央部の温度を白金線測温抵抗体温度計で測定したところ、最高温度(ピーク温度)として95℃であった。
ゲルはベルト面に付着することなしに容易に剥離しながら連続的に排出された。
つまり、無人運転が可能であった。ゲルの厚みは60mmであった。長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて145.1部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて1.49部/Hrとし、つまり重合液として146.6部/Hrとし、重合開始温度を15℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
重合期間中、重合液(含水ゲル)の厚み方向中央部の温度を白金線測温抵抗体温度計で測定したところ、最高温度(ピーク温度)として95℃であった。
ゲルはベルト面に付着することなしに容易に剥離しながら連続的に排出された。
つまり、無人運転が可能であった。ゲルの厚みは60mmであった。長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
(実施例6)
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて157.2部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて1.62部/Hrとし、つまり重合液として158.8部/Hrとし、重合開始温度を15℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
重合期間中、重合液(含水ゲル)の厚み方向中央部の温度を白金線測温抵抗体温度計で測定したところ、最高温度(ピーク温度)として102℃であった。
ゲルはベルト面に時々付着するものの比較的容易に剥離しながら、連続的に排出された。その厚みは65mmであった。完全なる無人運転は困難な状況であった。長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
実施例1においてモノマー液33.85部/Hrに代えて157.2部/Hrとし、触媒水溶液0.348部/Hrに代えて1.62部/Hrとし、つまり重合液として158.8部/Hrとし、重合開始温度を15℃とした他は実施例1と同様に重合を行った。
重合期間中、重合液(含水ゲル)の厚み方向中央部の温度を白金線測温抵抗体温度計で測定したところ、最高温度(ピーク温度)として102℃であった。
ゲルはベルト面に時々付着するものの比較的容易に剥離しながら、連続的に排出された。その厚みは65mmであった。完全なる無人運転は困難な状況であった。長時間の連続運転でも、ステンレス製ベルト面上には、剥離用部材の往復運動に基づく傷は認められなかった。
(比較例1)
剥離用部材を使用しなかった他は、実施例1と同様に運転を行なったが。ゲルがベルト基材に付着して剥がれない場合があった。このため、ゲルがベルトの下側にまで移行することがあった。従って、この製造方法では、無人化での運転は不可能であった。
(比較例2)
モノマー液として30%アクリルアミド水溶液33.85部/Hrを用い、重合開始温度を25℃とした他は実施例1と同等にして重合を行なった。得られたゲルの厚みは16mmであった。得られた含水ゲルは剥離用部材を使用しなくてもベルト面に付着することなしに容易に剥離しながら連続的に排出された。つまり、無人運転が可能であった。
当該比較例2においては、アクリルアミド水溶液をモノマー液としたため、アクリルアミド系重合体の含水ゲルが得られることになる。この含水ゲルは、本発明において好適に適用される(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体と比較して元来粘着性が低いものであることから剥離用部材を使用しなくても連続生産が可能であった。これに対して、本発明における含水ゲル、特に好ましい形態である(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の含水ゲルの場合、比較例1に示されるように剥離用部材を使用しないと、無人化での連続生産ができない。このような含水ゲルに対して剥離用部材を使用し、無人化での連続生産を可能とするところに本発明の重要な技術的意義があり、このことが上記実施例と比較例とによって立証されている。
剥離用部材を使用しなかった他は、実施例1と同様に運転を行なったが。ゲルがベルト基材に付着して剥がれない場合があった。このため、ゲルがベルトの下側にまで移行することがあった。従って、この製造方法では、無人化での運転は不可能であった。
(比較例2)
モノマー液として30%アクリルアミド水溶液33.85部/Hrを用い、重合開始温度を25℃とした他は実施例1と同等にして重合を行なった。得られたゲルの厚みは16mmであった。得られた含水ゲルは剥離用部材を使用しなくてもベルト面に付着することなしに容易に剥離しながら連続的に排出された。つまり、無人運転が可能であった。
当該比較例2においては、アクリルアミド水溶液をモノマー液としたため、アクリルアミド系重合体の含水ゲルが得られることになる。この含水ゲルは、本発明において好適に適用される(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体と比較して元来粘着性が低いものであることから剥離用部材を使用しなくても連続生産が可能であった。これに対して、本発明における含水ゲル、特に好ましい形態である(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の含水ゲルの場合、比較例1に示されるように剥離用部材を使用しないと、無人化での連続生産ができない。このような含水ゲルに対して剥離用部材を使用し、無人化での連続生産を可能とするところに本発明の重要な技術的意義があり、このことが上記実施例と比較例とによって立証されている。
上述した実施例及び比較例では、剥離用部材として樹脂又は軟質金属を用いているが、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、本発明の製造方法において応力を与えるところに本発明の本質的特徴があり、この応力が同様の対象に向けて与えられるものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明の製造方法とすれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、剥離用部材により応力を与える場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。
1:(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体板状含水ゲル
2:ローラー
3:剥離用部材
4:ベルト基材(ステンレス製)
5:紫外線ランプ
6:減光板
7:光照射方向
8:ベルト運転方向
9:モノマー槽
10:触媒槽
11:混合器
12:ギヤーポンプP1
13:ギヤーポンプP2
14:ブラックライト水銀ランプ(H250BL−L)、東芝ライテック株式会社製
15:減光板(開口率10.1%、パンチングメタル)
16:減光板(開口率51%、パンチングメタル)
17:スプレーノズル
18:堰(エッジロープ)
21:板状含水ゲル搬送ガイド
22:板状含水ゲル搬送ローラー
31:モーター
32:クランク軸
33:クランク軸固定用治具
34:架台
2:ローラー
3:剥離用部材
4:ベルト基材(ステンレス製)
5:紫外線ランプ
6:減光板
7:光照射方向
8:ベルト運転方向
9:モノマー槽
10:触媒槽
11:混合器
12:ギヤーポンプP1
13:ギヤーポンプP2
14:ブラックライト水銀ランプ(H250BL−L)、東芝ライテック株式会社製
15:減光板(開口率10.1%、パンチングメタル)
16:減光板(開口率51%、パンチングメタル)
17:スプレーノズル
18:堰(エッジロープ)
21:板状含水ゲル搬送ガイド
22:板状含水ゲル搬送ローラー
31:モーター
32:クランク軸
33:クランク軸固定用治具
34:架台
Claims (11)
- ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機を用いて、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程を含む水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法であって、
該製造方法は、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げるとともに、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。 - 前記製造方法は、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与えることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記製造方法は、ベルト重合機のベルト基材の進行方向に略平行の向きで往復運動する剥離用部材により応力を与えることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記剥離用部材は、板状含水ゲルより表面硬度が高く、ステンレス製ベルト基材より表面硬度が低いことを特徴とする請求項2又は3に記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記剥離用部材は、樹脂及び軟質金属からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記軟質金属は、JIS Z2251に規定されるビッカース硬度による表面硬度が50〜300N/mm2であることを特徴とする請求項5に記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記水溶性重合体板状含水ゲルは、含水ゲル100質量%に対して、水の含有量が40〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記水溶性重合体板状含水ゲルは、全単量体成分100モル%に対して、(メタ)アクリル酸(塩)60〜100モル%を含有する単量体成分を重合することにより製造されるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- 前記水溶性重合体板状含水ゲルの厚みは、6〜60mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の水溶性重合体板状含水ゲルの製造方法。
- ステンレス製ベルト基材を有するベルト重合機であり、重合性単量体を使用して該ステンレス製ベルト基材上で重合させることにより連続的に生産する工程で使用する水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機であって、
該ベルト重合機は、当該ベルト重合機から板状含水ゲルを取り外す際に、重合して得られた板状含水ゲルを、当該ステンレス製ベルト基材面より上部方向に持ち上げる装置、及び、持ち上げられた板状含水ゲルの下面であって板状含水ゲルとステンレス製ベルト基材との接点に向けて、少なくとも1箇所に応力を与える装置を備えることを特徴とする水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機。 - 前記ベルト重合機は、連続的に往復運動する剥離用部材により間欠的に応力を与える装置を備えることを特徴とする請求項10に記載の水溶性重合体板状含水ゲル製造用ベルト重合機。
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