JP2009083678A - 自動二輪車のカウル構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロントカウル60側方のフロントサイドカウル65の側面に車体前後方向に延びる切り込み部69を設け、この切り込み部69より上の上部フロントサイドカウル部66が切り込み部69より下の下部フロントサイドカウル部67よりも前面視で車幅方向外側に張り出すようにした。
【選択図】図2
Description
この発明によれば、フロントサイドカウルの側面に、車体前後方向に延びる切れ込み部を設け、この切れ込み部より上の上部フロントサイドカウル部が、切れ込み部より下の下部フロントサイドカウル部よりも前面視で車幅方向外側に張り出すので、バンクさせる際の揺動中心となる車輪の接地点から離れたカウル上側でより走行風が剥離し易くなり、簡易な形状でバンクさせる操作荷重を低く抑えることができる。
また、フロントサイドカウルは、フロントカウルの前部下端を頂点として後方へ向かい略V字形状に延びると共に、切れ込み部が頂点近傍から後方へ延び、上部フロントサイドカウルが、車体フレーム上方に支持される燃料タンク側面を覆うように延び、下部フロントサイドカウル部が後ろ下がりに延在して燃料タンクの下方に支持されるエンジンの上部を覆うように延びるので、簡易な形状で車体前方からの走行風を乗員側とエンジン側とに振り分けて流すことができる。
また、燃料タンク及び燃料タンク後方のシートの下で車体側部を覆う下に凸形状のサイドカバーを有し、下部フロントサイドカウル部は、サイドカバーと少なくとも一部が重なるように延びるので、エンジンの排熱が乗員に伝わるのを効果的に遮断することができる。
また、上部フロントサイドカウル部の上面に凹み面を設けたので、上部フロントサイドカウル部に沿って流れる走行風の一部を乗員側に流れないように調整でき、乗員への風量を調整して快適性を向上することができる。
また、上部フロントサイドカウル部の背面にルーバ付き開口部を設けると共に、下部フロントサイドカウル部の内面を、フロントサイドカウルの前部下端に設けたエアインテークダクト部から吸入した空気を燃料タンク下へ導く形状にしたので、上部フロントサイドカウル部内側の空気をルーバ付き開口部から円滑に排出して乗員側に導くと共に、エンジンの冷却性及び燃料タンクへの熱遮蔽性を向上することができる。
図1は本発明の実施形態に係るカウル構造を備えた自動二輪車の側面図であり、図2はその正面図である。
この自動二輪車10は、図1に示すように、車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部に取り付けられたヘッドパイプ12に回動自在に支持された左右一対のフロントフォーク13、13と、フロントフォーク13、13の上端部を支持するトップブリッジ14に取り付けられた操舵用のハンドル15と、フロントフォーク13に回転自在に支持された前輪16と、車体フレーム11に支持されたエンジン17と、エンジン17に排気管18を介して連結された排気マフラー19と、車体フレーム11の後下部のピボット20に上下に揺動自在に支持されたリアスイングアーム21と、このリアスイングアーム21の後端部に回転自在に支持された後輪22とを備え、リアスイングアーム21と車体フレーム11との間にリアクッション23が配設されている。
このエンジン17は、空冷単気筒エンジンであり、シリンダブロック17B及びシリンダヘッド17Cの周囲に空冷用フィンが設けられ、また、クランクケース17Aに対してシリンダブロック17Bが略垂直(実際はやや前傾)に配置される縦置きエンジンが適用されている。
また、リアシートカウル72は、シートレール37に固定されてシート42の左右をサイドカバー71の後縁近傍から後ろ上がりに延出するようになめらかな曲面形状で後方に延在し、外観を向上しつつ、車体前方からの走行風を当該リアシートカウル72に沿って後方へ円滑に流し、空気抵抗を低減することができる。
フロントアッパカウル61は、車体フレーム11に図示せぬカウルステーを介してヘッドパイプ12の前方に固定され、図3に示すように、ヘッドライト81及びスクリーン82が配置される。
ノーズ部62には、ヘッドライト81を収容するためのヘッドライト開口部62A(図2参照)が設けられると共に、このヘッドライト開口部62Aの上方に、フロントアッパカウル61後方に収容されるメータ類を遮光するメータバイザ部62B(図2参照)が設けられ、このメータバイザ部62B(図2参照)の前面にスクリーン82が取り付けられる。
このようにノーズサイド部63の上側側面63Aが、ノーズ部62に沿って傾斜すると共に、車体正面視で車体外側下方に向かって傾斜する傾斜面に形成されるので、ノーズ部62及びスクリーン82と略一体となって車体前方からの走行風を斜め上方に円滑に流すと共に、前影投影面積を下げつつ走行風を車体の左右方向に円滑に流し、空気抵抗を下げつつシート42に着座する乗員に直接あたる風を低減して風防効果及び整流効果を奏することができる。
フロントサイドカウル65は、図5に示すように、エアインテークダクト部64の側方(つまり、フロントカウル60の前部下端)を頂点として後方へ向かい略V字形状に延びるカバー形状に形成され、後ろ上がりに延在する上部フロントサイドカウル部66と、後ろ下がりに延在する下部フロントサイドカウル部67とからなる一体のカバーに形成されている。
これら上部フロントサイドカウル部66及び下部フロントサイドカウル部67は、上記頂点から後方へ行くに従って徐々に車幅方向外側へ張り出すわん曲形状に形成され、燃料タンク41の前部側方で上下に分岐して後方へ延び、これらカウル部66、67の後縁が、燃料タンク41に設けられたニーグリップ部41Aの凹みの輪郭線に略一致するように側面視略V字状に切り欠かれた形状に形成されている。
この上部フロントサイドカウル部66は、図6(B)に示すように、車体正面視で、車体下方に行くに従って車幅方向外側に傾斜する上側傾斜面(上側側面)66Aと、車体下方に行くに従って車幅方向内側に傾斜する下側傾斜面(下側側面)66Bとからなる、内側に開放した断面略V字形状に形成されている。
この上側傾斜面66Aは、図5に示すように、シート42に着座する乗員に向けて後ろ上がりに延びる面に形成され、これによって車体前方からの走行風を乗員の特に上半身側に向けて導く導風面として機能させることができる。
さらに、上部フロントサイドカウル部66の上面(上側傾斜面66Aに相当)の後部には、略球状に凹む凹み面66Cが設けられている。このため、この凹み面66Cによって上記整流溝68を流れる走行風の一部を上向きに変えることができ、整流溝68に沿って流れる走行風の一部を乗員の上半身上側(肩部など)や乗員側に流れない方向に流すことができ、走行風を乗員に向けてスポット的に流すのではなく、上下にその範囲を拡げて適度な風量の走行風を乗員に流すことができる。すなわち、本構成では、この整流溝68の上流側に配置されるフロントウインカ83、83と、整流溝68の下流側に配置される凹み面66Cによって乗員に向かう走行風の風量及び範囲を調整することができる。
この下部フロントカウル部67は、図6(B)に示すように、車体正面視で、車体下方に行くに従って車幅方向外側に傾斜する上側傾斜面(上側側面)67Aと、車体側面方向に臨み車体下方に行くにつれて車幅方向内側に傾斜する下側傾斜面(下側側面)67Bと、この下側傾斜面67Bの下端から車幅方向外側に向かって屈曲するフリップ部67Cとを備えて構成される。
また、本構成のフロントサイドカウル65は、図6(A)(B)に示すように、下部フロントカウル部67の車幅方向外側への張り出し量(図中符号W1)よりも上部フロントサイドカウル部66の張り出し量(図中符号W2)が多くなるように形成されており、すなわち、上部フロントサイドカウル部66の方が、車体前方から後方へ向かって車幅方向に張り出す際の傾斜が大きく設定されている。
この傾斜が大きくなるほど、これら車体側方を覆うカウル部66、67に沿って流れる走行風が後方で剥離し易くなるため、上部フロントサイドカウル部66の方が、下部フロントサイドカウル部67よりも走行風を剥離させることができる。
このように、車体側方を覆うカウル部66、67で走行風が剥離すると、旋回走行時には車体を旋回方向内側へバンクさせる特有の姿勢にコントロールする自動二輪車10では、バンクさせ易くなる。特に、本構成では、バンクさせる際の揺動中心となる車輪(前輪16、後輪22)の接地点から離れたカウル上側でより走行風を剥離し易くしたカウル形状にしているので、バンク操作時の車輪の接地点からのモーメントが低減され、バンクさせる操作荷重を低く抑えることができる。
上述のようにフロントサイドカウル65は、フロントアッパカウル61の前部から燃料タンク41側方を覆う前後に長いカウル形状を有しており、図7に示すように、このフロントサイドカウル65の前側がフロントアッパカウル61側に固定されると共に、後側が燃料タンク41に固定される。なお、図7において、符号85、85は、フロントアッパカウル61のノーズサイド部63、63の背面を覆うインナーカバーであり、このインナーカバー85、85は、ねじ100、100によりノーズサイド部63、63に固定されると共に、ねじ101、101によりフロントサイドカウル65に固定される(図9参照)。
一方、フロントサイドカウル65の上側傾斜面(上側側面)66Aには、燃料タンク41上部のねじ締結部41Fのねじ孔に連通するねじ挿通部65Aが設けられ、フロントサイドカウル65の下側傾斜面(下側側面)67Bにもねじ挿通部65Bが設けられ、また、フロントサイドカウル65の内側には、インナーカバー85を固定するためのねじ101が締結されるねじ締結部96が設けられる。
続いて、フロントサイドカウル65上部に設けられた上述のねじ挿通部65Aにねじ107を車体外側から挿通し、燃料タンク41のねじ締結部41Fに締結することによって、フロントサイドカウル65が燃料タンク41に固定される。
図10は、車体右側のフロントサイドカウル65を周辺構成と共に示す斜視図である。この図に示すように、フロントサイドカウル65はエンジン17の上部(ヘッドカバー17D)を覆うだけなので、エンジン17のシリンダヘッド17Cに側方から挿入固定された点火プラグ120を覆わず、フロントサイドカウル65を外さずに点火プラグ120を容易に着脱することが可能である。
また、フロントサイドカウル65が、フロントカウル60の前部を頂点として後方へ向かい略V字形状に延び、上部フロントサイドカウル部66が後ろ上がりに延在して燃料タンク41の側面を覆い、下部フロントサイドカウル部67が後ろ下がりに延在してエンジン17の上部を覆うので、簡易な形状で車体前方からの走行風を上下に分離して乗員側とエンジン17側とに振り分けて流すことができる。従って、乗員に快適な走行風を送ると共に、エンジン17の冷却効果及び熱遮蔽効果を向上することができる。
また、下部フロントサイドカウル部67が後ろ下がりに延びてサイドカバー71の少なくとも一部と重なるので、エンジン17の排熱が乗員に伝わるのをより効果的に遮断することができる。
また、下部フロントサイドカウル部67の下端に車幅方向外側に向かって屈曲するフリップ部67Cを設けたので、下部フロントサイドカウル部67に沿って下方へ流れる走行風をフロントサイドカウル65から剥離させ整流効果を向上することができる。
さらに、上部フロントサイドカウル部66の背面にルーバ付き開口部66Eを設け、下部フロントサイドカウル部67内側の空気を切れ込み部69によって燃料タンク41下へ導くようにしたので、上部フロントサイドカウル部66内側の空気をルーバ付き開口部66Eから円滑に排出して乗員側に導くと共に、下部フロントサイドカウル部67内側の空気でエンジン17の冷却性及び燃料タンク41への熱遮蔽性を向上することができる。
また、フロントサイドカウル65がフロントアッパカウル61の側方を着脱自在に覆うので、フロントサイドカウル65をフロントアッパカウル61から取り外して燃料タンク41の着脱等の各種メンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、下部フロントサイドカウル部67の下側傾斜面(下側側面)67Bが車体下方にいくにつれ車体内側に傾斜する面に形成されるので、このカウル部67に沿って流れる走行風を確実にエンジン17側に導くことができる。
また、上部フロントサイドカウル部66が車体内側に開放した断面V字形状を有すると共に下部フロントサイドカウル部67も屈曲断面に形成されるので、これらの断面係数を高くでき、カウル強度を向上することができる。
また、上部フロントサイドカウル部66と下部フロントサイドカウル部67の後縁が、燃料タンク41に設けられたニーグリップ部41Aの凹みの輪郭線に略一致する形状に形成されるので、乗員の足が干渉するのを確実に回避し、ニーグリップをし易くできる。なお、これらカウル部66、67の後縁がニーグリップ部41Aの凹みの輪郭線の略一致する形状に限らず、ニーグリップし易いように一部或いは全体が凹みの輪郭線に沿う形状であってもよい。
また、この整流溝68が、フロントアッパカウル61の前端近傍から後ろ上がりに延びるので、乗員に向けて走行風を導くことができ、かつ、この整流溝68の前部にフロントウインカ83を設けることによって乗員に流れる風量を適度に低減することができる。
11 車体フレーム
17 エンジン
41 燃料タンク
41F ねじ締結部(フロントサイドカウル支持部材)
41R 屈曲部(フロントサイドカウル支持部材)
42 シート
50 車体カバー
60 フロントカウル
61 フロントアッパカウル
62 ノーズ部
63 ノーズサイド部
64 エアインテークダクト部
65 フロントサイドカウル
66 上部フロントサイドカウル部
66C 凹み面
67 下部フロントサイドカウル部
68 整流溝
69 切れ込み部
71 サイドカバー
Claims (6)
- 車体前部を覆うフロントカウルを備えた自動二輪車のカウル構造において、
前記フロントカウルは、車体前部中央を覆うフロントアッパカウルと、前記フロントアッパカウルの側方に設けられるフロントサイドカウルとを備え、
前記フロントサイドカウルの側面に、車体前後方向に延びる切れ込み部を設け、この切れ込み部より上の上部フロントサイドカウル部が、前記切れ込み部より下の下部フロントサイドカウル部よりも前面視で車幅方向外側に張り出すことを特徴とする自動二輪車のカウル構造。 - 前記フロントサイドカウルは、前記フロントカウルの前部下端を頂点として後方へ向かい略V字形状に延びると共に、前記切れ込み部が前記頂点近傍から後方へ延び、前記上部フロントサイドカウルが、車体フレーム上方に支持される燃料タンク側面を覆うように延び、前記下部フロントサイドカウル部が後ろ下がりに延在して前記燃料タンクの下方に支持されるエンジンの上部を覆うように延びることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のカウル構造。
- 前記燃料タンク下から燃料タンク後方のシート下の車体側部を覆うサイドカバーを有し、前記下部フロントサイドカウル部は、前記サイドカバーと少なくとも一部が重なるように延びることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車のカウル構造。
- 前記下部フロントサイドカウル部の下端に車幅方向外側に向かって屈曲するフリップ部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動二輪車のカウル構造。
- 前記上部フロントサイドカウル部の上面に凹み面を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の自動二輪車のカウル構造。
- 前記上部フロントサイドカウル部の背面にルーバ付き開口部を設けると共に、前記下部フロントサイドカウル部の内面を、前記フロントサイドカウルの前部下端に設けたエアインテークダクト部から吸入した空気を燃料タンク下へ導く形状にしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の自動二輪車のカウル構造。
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