JP2009083385A - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型化させずに、キャリッジを冷却液を利用して冷却可能に構成された液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】往復移動可能なキャリッジに搭載された液滴吐出ヘッドを冷却するための冷却液を循環させる冷却液循環装置が、前記キャリッジ4上に設けられた流入口及び流出口を有する冷却液流路と、装置本体1aに移動不能に設けられた冷却液を貯留する冷却液タンク12と、一端が前記流入口に接続され他端が前記冷却液タンク12に接続された往路チューブ10と、一端が前記流出口に接続され他端が前記冷却液タンク12に接続された復路チューブ11と、前記冷却液タンク12から前記往路チューブ10、前記冷却液流路、及び前記復路チューブ11を順に経て前記冷却液タンク12に戻る冷却液の流路中に設けられ、冷却液の逆流を阻止する逆止弁とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定走査方向において往復移動可能なキャリッジと、該キャリッジに搭載された記録液を吐出する液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドを冷却するための冷却液を循環させる冷却液循環装置とを備えた液滴吐出装置に関する。
このような液滴吐出装置においては、液滴吐出ヘッドを駆動するための電気回路を実装した基板がキャリッジに搭載されることがある。近年、解像度や印刷速度の向上に対する要求から液滴吐出ヘッドの駆動周波数や駆動チャンネル数が増加する傾向にあり、この電気回路や液滴吐出ヘッドからの発熱量も増加する傾向にある。
この熱がキャリッジ内で蓄積されると、キャリッジ内にて液滴吐出ヘッドへと導かれるインクの温度が上昇してインクの粘度が変化する。これにより、液滴吐出ヘッドによるインクの吐出特性が変化して印刷品質が低下するおそれがあった。このようなことから液滴吐出ヘッドを冷却液で冷却する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1には、装置本体側の冷却液タンクに貯留されている冷却液を、キャリッジ内の冷却液流路を経て冷却液タンクに戻すための循環経路を有した冷却液循環装置が開示されている。この装置によれば、冷却液流路を通過する冷却液と液滴吐出ヘッドとの間の熱交換により液滴吐出ヘッドが冷却され、インクの温度上昇が緩和される。
特開平10−291300号公報
しかしながら、特許文献1の装置は、循環経路に沿って冷却液を循環させるべく冷却液に移送力を付与する手段として専用のポンプを必要としている。このため、液滴吐出装置の大型化やコスト増加を招くおそれがあり、また、液滴吐出装置の実用時にはこのようなポンプを駆動するための余分な電力も必要となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大型化させることなく、キャリッジを冷却液を利用して冷却可能な液滴吐出装置を提供することを目的としている。
上記目的達成のため、本発明に係る液滴吐出装置は、所定走査方向において往復移動可能なキャリッジと、該キャリッジに搭載された記録液を吐出する液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドを冷却するための冷却液を循環させる冷却液循環装置とを備えた液滴吐出装置であって、前記冷却液循環装置は、前記キャリッジ上に設けられた流入口及び流出口を有する冷却液流路と、装置本体に移動不能に設けられた冷却液を貯留する冷却液タンクと、一端が前記流入口に接続され他端が前記冷却液タンクに接続された往路チューブと、一端が前記流出口に接続され他端が前記冷却液タンクに接続された復路チューブと、前記冷却液タンクから前記往路チューブ、前記冷却液流路、及び前記復路チューブを順に経て前記冷却液タンクに戻る冷却液の流路中に設けられ、冷却液の逆流を阻止する逆止弁と、を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、キャリッジの往復移動における方向転換時の加減速に伴って往路チューブ及び復路チューブ内の冷却液に慣性力が作用し、これにより冷却液がチューブ内を流れるようになる。また、冷却液の流路中には冷却液の逆流を阻止する逆止弁が設けられている。従って、冷却液タンク内の冷却液は、キャリッジの往復移動に伴って、往路チューブを介して冷却液流路に流入し、ここでキャリッジから熱を吸収し、冷却液流路から流出して復路チューブを介して冷却液タンクへと戻る。このように、一方向に向けた冷却液の循環がキャリッジの往復移動と逆止弁とによって実現されるため、この循環を行わせるために専用のポンプが不要となり、大型化させることなくキャリッジを冷却液を利用して冷却可能な液滴吐出装置が構成される。
また、前記往路チューブ及び前記復路チューブは、前記キャリッジから前記走査方向に延びるようにして引き出されていてもよい。この構成によれば、慣性力の作用方向とチューブの延在方向とが平行となるため、チューブ内の冷却液がスムーズに流れるようになる。なお、前記往路チューブ及び前記復路チューブの引き出し方向が同一の向きとしてもよく、前記冷却液流路は、前記液滴吐出ヘッドに近接して設けられた冷却室と、前記流入口から前記冷却室に至る往路部と前記冷却室から前記流出口に至る復路部とを有し、前記逆止弁が、前記往路部及び前記復路部のそれぞれに設けられていてもよい。
また、前記キャリッジに保持された前記往路部及び前記復路部を形成する流路形成部材を備え、前記往路部及び前記復路部はそれぞれ、前記流路形成部材の上面側と下面側とを貫通してなる貫通部を含み、該貫通部にて冷却液が前記下面側から前記上面側へと流れるようになっており、前記逆止弁が、前記流路形成部材の上面における前記貫通部の開口周辺に形成される弁座部と、該弁座部に載置される弁体とを有していてもよい。この構成によれば、冷却液が下面側から上面側へと流れようとするときには冷却液の動圧により弁座部から弁体が浮上して逆止弁が開弁し、冷却液が上面側から下面側へと逆流しようとするときには冷却液の動圧及び弁体の自重により弁体が沈降して弁座部に着座して貫通部の開口を閉じ、逆止弁が閉弁する。逆止弁は、このように配置される弁体を有しているため、常時開の状態或いは常時閉の状態を維持するための機構を不要としており、冷却液循環装置をコンパクトに構成することができる。
また、前記逆止弁は、前記流路形成部材の上面に設けられて前記弁体の水平移動を規制する規制片を有していてもよい。この構成によれば、弁体の浮上動作及び沈降動作が鉛直方向に案内されるため、逆止弁の開閉を安定して行わせることができる。
また、前記弁体が、打ち抜き成形により前記上下流路の開口形状に合わせて形成されたフィルム体と、該フィルム体の一面に貼着された弾性体とを有し、該弾性体が前記弁座部に載置されていてもよい。この構成によれば、フィルム体の加工を容易に行うことができる。このときフィルム体の周縁は打ち抜きに伴ってダレが生じるが、このフィルム体に弾性体を貼着し、該弾性体を弁座部に載置させるようにしているため、ダレが生じても弁体が弁座部に着座したときのシール性を確保することができる。
また、前記冷却室の少なくとも一部が、容積を可変とする容積可変部をなしていてもよい。この構成によれば、冷却液が往路チューブから冷却液流路内に流れていくときには、その冷却液の動圧を受けて容積可変部が膨張して多量の冷却液を冷却液流路内に取り込むことができるようになる。これにより冷却液の循環量が向上し、冷却効率が向上する。
また、前記キャリッジの移動制御を行うキャリッジ移動制御部と、記録液の吐出制御を行う液滴吐出制御部とを備え、前記キャリッジの温度が所定以上であると判断されるときには、前記液滴吐出制御部が前記液滴吐出ヘッドより記録液を吐出する動作を中断すると共に、前記キャリッジ移動制御部が、前記キャリッジを往復移動させるように構成されていてもよい。この構成によれば、キャリッジの温度が所定温度以上のときには、他の動作を中断して冷却液の循環が優先して行われるため、状況に応じたキャリッジの冷却制御を実現できる。
以上のように、本発明に係る液滴吐出装置によれば、キャリッジを冷却する冷却液を循環させる冷却液循環装置の大型化を避けることができ、液滴吐出装置全体の大型化やコスト増加も避けられる。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明ではインクジェットヘッドからインクを吐出する方向を下方とし、その反対側を上方とする。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ1の要部を示す概略平面図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、装置本体をなす筐体1aの内部にて略平行に配設された一対のガイドレール2,3を有し、そのガイドレール2,3にヘッドユニット4が走査方向にスライド可能に支持されている。ヘッドユニット4は、一対のプーリー5,6に巻き掛けられたタイミングベルト7に接合されており、タイミングベルト7はガイドレール3の延在方向と略平行に配設されている。一方のプーリー6には正逆回転駆動するキャリッジモータ108が設けられており、そのプーリー6が正逆回転駆動されることでタイミングベルト7が往復移動し、ヘッドユニット4がガイドレール2,3に沿って水平面内を一方向に沿って往復走査される。ここで、以下の説明において走査方向の一方側とは図1や図2等の紙面左側と一致しており、走査方向の他方側とは図1や図2等の紙面右側と一致するものとしている。
ヘッドユニット4には、4つのインクカートリッジ(記録液タンク)8からの4色(例えばブラック、シアン、マゼンダ、イエロー)のインク(記録液)を夫々供給するインク流路(記録液流路)60(図13参照)を形成するための4本の可撓性を有するインク供給チューブ9が接続されている。インクカートリッジ8は、筐体1a内に設けられたカートリッジ装着部1bに着脱交換自在に装着され、この装着された状態において筐体1aに固定される。ヘッドユニット4には、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)33(図4参照)が搭載されており、その下方で走査方向と直角する方向(紙送り方向)に搬送される被記録体(例えば、記録用紙)に向けてインクジェットヘッド33からインクが吐出される構成となっている。
また、後に詳述するが、本インクジェットプリンタ1には、ヘッドユニット4内に形成された冷却液流路43(図14,図15参照)と、冷却液の貯留と冷却を行うラジエータタンク(冷却液タンク)12(図1参照)と、互いに独立してラジエータタンク12と冷却液流路43とを接続する冷却液往路55及び冷却液復路56(図14参照)と、この冷却液往路55、冷却液流路43及び冷却液復路56を流れる冷却液の逆流を阻止する逆止弁23〜25とを備えた冷却液循環装置90を有しており、ヘッドユニット4を冷却液を利用して冷却可能になっている。この冷却液循環装置90は、冷却液に移送力を付与するためにヘッドユニット4の往復移動を利用する。すなわち、該装置90は、この移送力付与手段としての、上記プーリー5,6及びタイミングベルト7と、プーリー6を駆動するキャリッジモータ108と、該キャリッジモータ108を駆動する走査ドライバ105(図19参照)と、該走査ドライバ105を制御する制御部100(図19参照)と、逆流防止用の逆止弁23〜25(図4参照)とを更に備える。そのうち、プーリー5,6、タイミングベルト7、キャリッジモータ108、走査ドライバ105及び制御部100は、ヘッドユニット4を往復移動させるための手段として機能する。
図1に示すように、ヘッドユニット4には、冷却液往路を形成するための可撓性を有する往路チューブ10と、冷却液復路を形成するための可撓性を有する復路チューブ11とが接続されており、往路チューブ10と復路チューブ11とはラジエータタンク12で連結されている。よって、往路チューブ10と復路チューブ11とにおいて冷却液が循環可能となっている。さらに、ヘッドユニット4には、ヘッドユニット4の流路内にトラップされたエアを抜き出すための可撓性を有する負圧吸引チューブ13の一端が接続されており、その負圧吸引チューブ13の他端は負圧ポンプ(負圧印加手段)14に接続されている。ラジエータタンク12及び負圧ポンプ14についても、筐体1a内に固定されている。
図2は図1に示すインクジェットプリンタ1のヘッドユニット4の平面図である。図3は図1に示すインクジェットプリンタ1のヘッドユニット4の斜視図である。図4は図1に示すインクジェットプリンタ1のヘッドユニット4の分解斜視図である。なお、図4では流路形成部材22の上面に溶着されるフィルムの図示が省略されている。
図2乃至図4に示すように、ヘッドユニット4は、ジョイント20,21、流路形成部材(基材)22、逆止弁23〜25,ネジ26、気液分離膜27,29、フラットフィルム28、ダンパーフィルム(可撓性フィルム)30、弾性シール部材31、キャリッジ32及びインクジェットヘッド33を備えている。
図4に示すように、キャリッジ32は、開口を上方に向けた矩形箱状の凹状部32aと、この凹状部32aの紙送り方向(長手方向)の両側上端からフランジ状に突出するレールガイド部32bとを有しており、このレールガイド部32bがガイドレール2,3(図1参照)に支持されることによりヘッドユニット4がこのガイドレール2,3に案内される。キャリッジ32の底壁部32cの下面にはインクジェットヘッド33が取り付けられる。キャリッジ32の凹状部32a内には弾性シール部材31が収容され、この状態において、逆止弁23〜25や気液分離膜27,29やフラットフィルム28やダンパーフィルム30を設けた流路形成部材22が、凹状部32aの開口を塞ぐと共にレールガイド部32bの上面に載置されるようにして、キャリッジ32と組み付けられる。流路形成部材22及びレールガイド部32bの所要箇所にはネジ穴22h,32hが設けられており、該ネジ穴22h,32hにネジ26が挿入されて流路形成部材22がキャリッジ32と締結され、ヘッドユニット4が図3に示すような組付状態となる。
流路形成部材22は、略平板状であり、その上下面に複数の溝が形成されており、その溝を封止するように上下面にフィルムを熱溶着することで、キャリッジ側インク流路42、冷却液流路43及びエア排出流路44等の複数の流路が設けられる。紙送り方向の下流側かつ走査方向の一方側の上面には冷却液流入口22b、冷却液流出口22c及び負圧吸引口22dが設けられ、紙送り方向の下流側かつ走査方向の他方側の上面には4つのインク流入口22aが設けられている。
インク用のジョイント20は、流路形成部材22の上面に取り付けられてインク流入口22aに嵌合される基部20aと、基部20aからキャリッジ32の走査方向の一方側(図2中左側)に導出された4本のインク継手管部(記録液継手管)20bとを有している。インク継手管部20bにはインク供給チューブ(記録液供給管)9が接続され、これによりインク供給チューブ9の内部流路が、ジョイント20の内部流路を介してインク流入口22aと連通する。ジョイント20は硬質な樹脂(例えば、ポリプロピレン等)からなり、インク供給チューブ9は軟質な樹脂(例えば、ナイロン等)からなり、ジョイント20はインク供給チューブ9よりも硬度が大きくなっている。よって、インク供給チューブ9におけるインク継手管部20bとの接続部分付近は、キャリッジ32の走査方向の一方側(図2中左側)に導出された状態が保たれている。
冷却液用及び負圧吸引用のジョイント21は、流路形成部材22の上面に取り付けられて冷却液流入口22b、冷却液流出口22c及び負圧吸引口22dに嵌合される基部21aと、基部21aからキャリッジ32の走査方向の他方側(図2中右側)に導出された4本の継手管部21b,21c,21d,21eとを有している。4本の継手管部21b,21c,21d,21eのうち2本は、冷却液用の冷却液継手管部21b,21cであり、うち1本は負圧吸引用の負圧継手管部21dであり、残りの1本は不使用の継手管部21eである(部品共用化を図るべくジョイント21はジョイント20と同一構造であるため、使用しない継手管部21eが存在する)。冷却液継手管部21bには往路チューブ10が接続され、これにより往路チューブ10の内部流路がジョイント21の内部流路を介して冷却液流入口22bと連通する。冷却液継手管部21cには復路チューブ11が接続され、これにより復路チューブ11の内部流路がジョイント21の内部流路を介して冷却液流出口22cと連通する。負圧継手管部21dには負圧吸引チューブ13が接続されており、これにより負圧吸引チューブ13の内部流路がジョイント21の内部流路を介して負圧吸引口22dと連通する。ジョイント21は硬質な樹脂(例えば、ポリプロピレン等)からなり、往路チューブ10、復路チューブ11及び負圧吸引チューブ13は軟質な樹脂(例えば、ナイロン等)からなり、ジョイント21は往路チューブ10、復路チューブ11及び負圧吸引チューブ13よりも硬度が大きくなっている。よって、往路チューブ10、復路チューブ11及び負圧吸引チューブ13における冷却液継手管部21b,21c,21dとの接続部分付近は、キャリッジ32の走査方向の他方側(図2中右側)に導出された状態が保たれている。
図5は図4に示すヘッドユニット4の流路形成部材22及びダンパーフィルム30の下方から見た斜視図である。図5に示すように、流路形成部材22の下面に形成された溝をフラットフィルム28で封止して各種流路が形成される。なお、インク流入口22a、冷却液流入口22b、冷却液流出口22c及び負圧吸引口22dは流路形成部材22を上下に貫通してなる。図5に示すように、流路形成部材22の下面側には、インク流入口22aと連通するキャリッジ側インク流路42の一部42aと、冷却液流入口22b及び冷却液流出口22cに連通する冷却液流路43の一部43a,43kと、負圧吸引口22dに連通するエア排出流路44の一部44aとが形成される。
流路形成部材22の下面の紙送り方向上流側には、周状リブ22jが下方に向けて突出している。その周状リブ22jの内側に、マッチモールド法により立体的に熱間成形された可撓性を有する単層の薄膜樹脂からなるダンパーフィルム30が熱溶着されている。そして、流路形成部材22の下面とこのダンパーフィルム30との間で、インク流路42の一部分でありインクの圧力変動を緩和する大インクダンパー室40及び小インクダンパー室41が形成される。
図6は図5に示す流路形成部材22の下方から見た要部拡大斜視図である。図6に示すように、流路形成部材22の下面における周状リブ22jの内側には、ダンパーフィルム30が溶着される大周状隆起部22kが設けられており、その大周状隆起部22kは、4種類のインク毎に平面視で略長方形状の大インクダンパー室40(図5参照)を区画するように流路形成部材22の長手方向(紙送り方向)に並設されている。また、大周状隆起部22kに隣接して小周状隆起部22sが設けられており、4種類のインク毎に平面視で略長方形状の小インクダンパー室41(図5参照)を区画するように流路形成部材22の幅方向(走査方向)に並設されている。
流路形成部材22の下面における大周状隆起部22kの内側には、その長辺方向(走査方向)の両側に流入口22m及び流出口22nが形成されている。流入口22m及び流出口22nは、流路形成部材22の上面のキャリッジ側インク流路42と連通する孔である。流入口22mと流出口22nとの間には、ダンパーフィルム30の後述する大膨出部30b〜e内の大インクダンパー室40に向けて突出する突起部22p,22qが設けられている。これら突起部22p,22qは、後述する大膨出部30b〜eが大気圧中にある状態において大膨出部30b〜eと非接触となるように設けられている。突起部22pと突起部22qとの間には、気液分離膜29(半透膜)が取り付けられる膜取付部22rが平面視で略長方形状に凹設されている。気液分離膜29は、気体を透過させ、液体を透過させないものである。膜取付部22rに取り付けられた気液分離膜29は、後述する大膨出部30b〜eの開口30xに対向する。膜取付部22rには、流路形成部材22の上面のエア排出流路44と連通する孔22x(図9参照)が設けられている。
流路形成部材22の下面における小周状隆起部22sの内側には、その長辺方向(紙送り方向)の両側に流入口22t及び流出口22uが形成されている。流入口22t及び流出口22uは、流路形成部材22の上面のキャリッジ側インク流路42と連通する孔である。流路形成部材22の周状リブ22jには、その流出口22uに流路形成部材22の上面側で連通した4つのインク通路22j1が上下方向に形成されている。そして、流路形成部材22の上面には、インク通路22j1及び流出口22uに対応する位置を覆う気液分離膜27が取り付けられている。気液分離膜27は、気体を透過させ、液体を透過させないものである。
また、流路形成部材22の周状リブ22jの紙送り方向の下流側には、冷却液流路43からの冷却液が下方へ流れる冷却液通路22j2が形成されている。流路形成部材22の周状リブ22jの紙送り方向の奥側における走査方向の両側には、後述する冷却液ダンパー室49からの冷却液が上方へ流れる一対の冷却液通路22j3が形成されている。流路形成部材22の周状リブ22jの外側における冷却液通路22j3の近傍には、冷却液が下方に流れる一対の冷却液通路筒部22vが形成されている。流路形成部材22の周状リブ22jの外側における紙送り方向の下流側には、後述するICチップ冷却通路51からの冷却液が上方に流れる一対の冷却液通路筒部22wが形成されている。また、流路形成部材22の周状リブ22jには、内側の2つのインク通路22j1の間に、後述する冷却液ダンパー室49を気液分離膜27に連通させる冷却液通路22j4が上下方向に形成されている。
図7は図5に示すダンパーフィルム30を上方から見た斜視図である。図7に示すように、ダンパーフィルム30は、流路形成部材22の大周状隆起部22k及び小周状隆起部22s(図6参照)に接合される接合面30aと、接合面30aに形成されて大周状隆起部22k及び小周状隆起部22s(図6参照)より若干小さい略長方形状の開口30x,30yと、開口30x,30yの周縁から流路形成部材22(図5参照)から離反する重力方向に立体的に膨出する大膨出部30b〜e及び小膨出部30f〜iとを有している。よって、ダンパーフィルム30の接合面30aを流路形成部材22に接合して開口30x,30yを塞ぐことで、4つの大膨出部30b〜eの内部空間が4種類のインク流路の一部分である大インクダンパー室40を形成し、4つの小膨出部30f〜iの内部空間が4種類のインク流路の一部分である小インクダンパー室41を形成する。即ち、1種類のインクにつき上流側に大インクダンパー室40が配置され、下流側に小インクダンパー室41が配置され、1つのキャリッジ側インク流路42中にインクダンパー室40,41が複数配置されている。
図7は図5に示すダンパーフィルム30の上方から見た斜視図である。図7に示すように、ダンパーフィルム30は、流路形成部材22の大周状隆起部22k及び小周状隆起部22s(図6参照)に接合される接合面30aと、接合面30aに形成されて大周状隆起部22k及び小周状隆起部22s(図6参照)より若干小さい略長方形状の開口30x,30yと、開口30x,30yの周縁から流路形成部材22(図5参照)から離反する重力方向に立体的に膨出する大膨出部30b〜e及び小膨出部30f〜iとを有している。よって、ダンパーフィルム30の接合面30aを流路形成部材22に接合して開口30x,30yを塞ぐことで、4つの大膨出部30b〜eの内部空間が4種類のインク流路の一部分である大インクダンパー室40を形成し、4つの小膨出部30f〜iの内部空間が4種類のインク流路の一部分である小インクダンパー室41を形成する。即ち、1種類のインクにつき上流側に大インクダンパー室40が配置され、下流側に小インクダンパー室41が配置され、1つのキャリッジ側インク流路42中にインクダンパー室40,41が複数配置されている。
大膨出部30b〜eは、開口30xの長辺の縁部から重力方向に突出して互いに対向する一対の主平面30j,30k,30q,30rと、開口30xの短辺の縁部から重力方向に突出して互いに対向する一対の副面30m,30n,30s,30tと、主平面30j,30k,30q,30rと副面30m,30n,30s,30tとを互いに接続する副面30p,30uとを有している。つまり、面積の大きい主平面30j,30k,30q,30rが撓んで棒出部30b〜e内の空間に大きな容積変化が生じうるようにすることで、上方から見た平面視における大膨出部30b〜eの面積が小さくても大きな圧力変動吸収効果を得ることができるようになっている。
大膨出部30bと大膨出部30cとは、互いに重力方向の長さが異なるだけで略同一形状である。大膨出部30d及び大膨出部30eの副面30s,30tには、主平面30q,30rに直交する断面が谷状である谷部30v,30wが設けられている。また、大膨出部30d及び大膨出部30eの副面30uは、主平面30q,30rに直交する断面が山状である山部となっている。つまり、谷状又は山状の副面30s,30t,30uによる蛇腹効果で主平面30q,30rがその法線方向に移動しうるため、平面視における膨出部30d,30eの面積が小さくても、より大きな圧力変動吸収効果を得ることができるようになっている。また、小膨出部30f〜iは、大膨出部30b,30cよりも小さいだけで形状は略同一であるため詳細な説明は省略する。なお、谷部又は山部は、全ての大膨出部30b〜eの副面に設けてもよいし、全く設けなくてもよい。
再び図4に戻ると、弾性シール部材31は、ゴム等の弾性材からなり、平面視で略長方形状の平板部31aを有している。平板部31aの上面中央部分には、ダンパーフィルム30の大膨出部30b〜e及び小膨出部30f〜iに対応するように平面視で長方形状の凹部31bが形成されて薄肉となっている。平板部31aの走査方向の両側端面には、後述するICチップ37に向けて突出する押圧部31hが設けられている。
平板部31aの紙送り方向(長手方向)の上流側には、流路形成部材22の4つのインク通路22j1(図6参照)に液密的に連通する4つのインク孔31cが形成されている。平板部31aの紙送り方向の下流側には、流路形成部材22の冷却液通路22j2(図6参照)に液密的に連通する冷却液孔31dが形成されている。平板部31aのインク孔31cの走査方向の両側には、流路形成部材22の一対の冷却液通路22j3(図6参照)に液密的に連通する一対の冷却液孔31eが形成されている。平板部31aの4つのインク孔31cのうち内側の2つのインク孔の間には、流路形成部材22の冷却液通路22j4(図6参照)に液密的に連通する冷却液孔31fが形成されている。
平板部31aの走査方向の両側上方には、平板部31aと一体的に形成されている棒状部31j,31kが平板部31aの長手方向に沿って延在している。棒状部31j,31kの下面には、後述するキャリッジ32の冷却液が流れる溝部32fに上方から圧入して封止する帯状突起部31m,31nが形成されている。棒状部31j,31kの紙送り方向の上流側には、流路形成部材22の一対の冷却液通路筒部22v(図6参照)に液密的に連通する一対の冷却液通路筒部31pが形成されている。棒状部31j,31kの紙送り方向の下流側には、流路形成部材22の一対の冷却液通路筒部22w(図6参照)に液密的に連通する一対の冷却液通路筒部31qが形成されている。以上のように、弾性シール部材31は、インク流路60(図13参照)を形成する壁の一部と冷却液循環流路61(図14参照)を形成する壁の一部とを兼ねており、インク流路60と冷却液循環流路61の両方を封止している。
前述したキャリッジ32は樹脂からなり、底壁部32cの紙送り方向(長手方向)の上流側には、弾性シール部材31のインク孔31cと液密的に連通するインク孔32g(図7参照)が形成されている。凹状部32aの走査方向の両側は、外壁部32d及び内壁部32eを有する二重壁構造となっている。外壁部32dと内壁部32eとの間には、ICチップ冷却通路51となる溝部32fが形成されている。また、内壁部32e及びレールガイド部32bには、アルミニウム等の金属からなるヒートシンク45,46がインサート成形により埋設されている。さらに、底壁部32cにおける内壁部32eよりも内側の部分においては、流路形成部材22の周状リブ22jに対応する位置にシール台部32jが上方に突出している。そのシール台部32jと内壁部32eとの間には、後述するフレキシブルフラット配線材36の延出部36a,36bを下方から上方に挿通させるためのスリット部32kが底壁部32cに設けられている。
インクジェットヘッド33は、キャリッジ32の底壁部32cの下面に取り付けられている。インクジェットヘッド33は、インクを4つのインク流入口34aから多数のノズルまで導く複数のインク室を有する流路ユニット34と、その流路ユニット34の上面に積層されて流路ユニット34内のインクにノズルに向かう吐出圧力を選択的に付与する圧電駆動式のアクチュエータ35とを有している。流路ユニット34のインク流入口34aはフィルタ38で覆われている。インク流入口34aは、キャリッジ32のインク孔32gと液密的に連通している。
アクチュエータ35の上面には、フレキシブルフラット配線材36が接合されている。フレキシブルフラット配線材36は、アクチュエータ35の上面より走査方向の両側に向けて延出する一対の延出部36a,36bを有しており、一対の延出部36a,36bの下面側(一対の延出部36a,36bを上方に向けた状態では外面側)にアクチュエータ駆動用のICチップ37が設けられている。ICチップ37及びアクチュエータ35は、インクジェットヘッド33の吐出動作に伴って発熱する発熱体となる。
図8は図2のV−V線断面図である。図9は図2のVI−VI線断面図である。図8及び図9に示すように、弾性シール部材31の平板部31aが、流路形成部材22の周状リブ22jとキャリッジ32のシール台部32jとの間で挟持されている。そして、弾性シール部材31の下面と、キャリッジ32の底壁部32cの上面と、キャリッジ32のシール台部32jの内周面とで区画された空間に冷却液ダンパー室49が形成されている。この冷却液ダンパー室49は、冷却液流路43の一部をなし、インクジェットヘッド33のアクチュエータ35に対応する位置に設けられており、アクチュエータ35と底壁部32cを介して隣接している。即ち、冷却液ダンパー室49は、アクチュエータ35を冷却するアクチュエータ冷却通路を兼ねている。また、弾性シール部材31の平板部31aの上面と、ダンパーフィルム30の外面と、流路形成部材22の周状リブ22jの内周面とで区画された密封空間に空気層48が形成されている。
インクダンパー室40,41と冷却液ダンパー室49とは、ダンパーフィルム30の膨出部30b〜i、弾性シール部材31の平板部31a及び空気層48により仕切られている。即ち、膨出部30b〜i、平板部31a及び空気層48により、インクダンパー室40,41と冷却液ダンパー室49とを相互に圧力伝達可能とする圧力伝達手段50が形成されている。
図9に示すように、ダンパーフィルム30の膨出部30d内の大インクダンパー室40には、突起部22p,22qが膨出部30dと非接触状態で突出している。流入口22mから大インクダンパー室40に流入したインクは、突起部22pを避けるように迂回して大インクダンパー室40の中央部に流れる。この大インクダンパー室40の中央部にあるインクに含まれる気泡は、浮力で上昇し、気液分離膜29を介してエア排出流路44に導かれる。そして、この大インクダンパー室40の中央部にあるインクは、突起部22qを避けるように迂回して流出口22nへと流れる。
また、キャリッジ32の外壁部32dと内壁部32eとの間に形成された溝部32fには、弾性シール部材31の棒状部31jの帯状突起部31m,31nが上方から圧入され、ICチップ冷却通路51を形成している。このICチップ冷却通路51は、冷却液流路43及び冷却液ダンパー室49に連通している。ヒートシンク45は、ICチップ冷却通路51に露出するように内壁部32eにインサート成形されることで内壁部を兼ねている。つまり、ヒートシンク45は、内壁部32eの内面32p(ICチップ冷却通路51を画定する面)の一部を兼ねるようにICチップ冷却通路51に露出し、内壁部32eの外面32q側には露出していない。
キャリッジ32の内壁部32eと弾性シール部材31の平板部31aとの間を、フレキシブルフラット配線材36の延出部36a,36bが上方に向けて通過しており、ICチップ37が弾性シール部材31の押圧部31hにより内壁部32eに押し付けられている。つまり、ICチップ37は、キャリッジ32の内壁部32eのヒートシンク45を被覆する薄肉の樹脂部分である被覆部32mの外面32q側に当接している。また、ICチップ冷却通路51を画定する外壁部32dには、ヒートシンクは設けられておらず、ICチップ37の近傍を通過するICチップ冷却通路51の外壁部32dがキャリッジ32の最外壁となっている。
図10は図4に示すヘッドユニット4のヒートシンク45,46の斜視図である。図10に示すように、ヒートシンク45,46は、金属板をプレス加工したものである。ヒートシンク45は、キャリッジ32の一方のレールガイド部32b(図4参照)に埋設された平面視矩形状の鍔部45aと、鍔部45aの長辺側の端縁部の中央部分から下方に折り曲げられた垂直部45bと、垂直部45bの下端に連続してキャリッジ32の壁の一部を兼ねる垂直幅広部45cと、垂直幅広部45cの両端からキャリッジ32の各内壁部32e(図4参照)に沿って延出する受熱部45d,45eとを有している。即ち、ヒートシンク45の受熱部45d,45eが、ICチップ冷却通路51に露出するようにキャリッジ32の内壁部32e(図4参照)に埋設されている。そして、一対のICチップ37(図4参照)のうち一方に対応する受熱部45dと、他方に対応する受熱部45eとが、1つのヒートシンク45として一体に形成された状態となっている。
また、ヒートシンク45の鍔部45aには、キャリッジ32のネジ穴32hと合致するネジ穴45fが形成されている。つまり、ネジ26は、流路形成部材22のネジ穴22hと、キャリッジ32のネジ穴32hと、ヒートシンク45のネジ穴45fに挿通して互いを締結している。ヒートシンク46は、キャリッジ32の他方のレールガイド部32b(図4参照)に埋設された平面視矩形状の鍔部46aと、鍔部45aの長辺側の端縁部から下方に折り曲げられた垂直部45bとを有しており、その鍔部46aにはキャリッジ32のネジ穴32hと合致するネジ穴46cが形成されており、ネジ26が流路形成部材22のネジ穴22h、キャリッジ32のネジ穴32h及びこのネジ穴46cに挿通される。
図11は図9のXI矢視方向から見たヒートシンク45,46及びICチップ37に注目した図面である。図11の符号Xで表したハッチング領域は、ICチップ冷却通路51を画定する内壁部32eの内面32p(図9参照)へICチップ37を投影したときの投影領域である。図11の符号Yで表したハッチング領域は、ICチップ冷却通路51を画定する内壁部32eの内面32p(図9参照)へヒートシンク45の受熱部45dを投影したときの投影領域である。なお、投影の方向は、ICチップ37と内壁部32eの内面32pとを最短距離で結ぶラインに沿った方向であり、該ラインを法線とする面が投影面となっている。図11に示すように、ICチップ37の投影領域Xは、ヒートシンク45の受熱部45dの投影領域Yに包含されている。こうすることで、ICチップ37から放たれる熱がヒートシンク45の受熱部45dへと十分に熱伝達されるようになっている。
図12は図4に示すインクジェットヘッド33の要部断面図である。図12に示すように、インクジェットヘッド33は、前述したように流路ユニット34とアクチュエータ35とが積層接着されている。流路ユニット34は、内部にインク室を構成する開口を有する複数のプレート74〜78が積層接着された構成となっている。最下層のプレート78には、複数のノズル84が下方に向けて開口して列状に配置されている。最上層のプレート74には、複数の圧力室(液体室)82が形成され、複数のノズル84に対応して列状に配置されている。圧力室82の一端部にはノズル84と連通する流出路83が設けられており、圧力室82の他端部には共通液室80に連通する接続流路81が設けられている。共通液室80は、複数の圧力室82に平面視で連続して重なるようにインク色ごとに走査方向に直交する列方向に延在配置されている。共通液室80には、流路ユニット34の上面に開口するインク流入口34a(図4参照)を通してインクが供給される。
アクチュエータ35は、PZT等からなる複数のシート状の圧電体70が積層されており、圧力室82を覆うように配置されている。各圧電体70のうち、下から偶数段目の圧電体70の上面には、圧力室82に対応した箇所に個別電極71が設けられており、下から奇数段目の圧電体70の上面には、複数の圧力室82に対応して連続して形成された共通電極72が設けられている。つまり、個別電極71と共通電極72とは、最下層及び最上層の圧電体を除いて1層の圧電体70を挟むように対向配置されており、この個別電極71と共通電極72とで挟まれた領域がそれぞれ駆動部となっている。そして、フレキシブルフラット配線材36(図4参照)を介してICチップ37(図4参照)によりアクチュエータ35の個別電極71と共通電極72との間に電圧を印加することにより、圧電体70の所要箇所を積層方向に歪ませて所要の圧力室82の容積を変化させ、インクをノズル84から吐出させる構成となっている。
図13は図4に示すヘッドユニット4に形成された4つのキャリッジ側インク流路42のうち1つを表した斜視図である。図2及び図13に示すように、キャリッジ側インク流路42は、ヘッドユニット4から走査方向の一方側(図2中左側)に導出された導出部54を有している。この導出部54は、ジョイント20のインク継手管部20bの内部流路と、インク供給チューブ9のインク継手管部20bに接続された部分付近の内部流路とで形成されている。なお、インクカートリッジ8からインクジェットヘッド33までのインク流路60は、インク供給チューブ9内の流路及びキャリッジ側インク流路42により構成されている。
キャリッジ側インク流路42は、インク流入口22aと連通して流路形成部材22の下面側を紙送り方向の下流側に延びる第1流路42a(図5も参照)と、第1流路42aの端部にて流路形成部材22を上下に貫通してなる第2流路42b(図2,図5も参照)と、流路形成部材22の上面側にて第2流路42bの上面側開口を大インクダンパー室の流入口22mと連通させる第3流路42c(図2も参照)と、大インクダンパー室40と、大インクダンパー室の流出口22nと小インクダンパー室41の流入口22tとを流路形成部材22の上面側にて連通させる第4流路42d(図2も参照)と、小インクダンパー室41と、小インクダンパー室41の流出口22uとインク通路22j1とを流路形成部材22の上面側にて連通させる第5流路42e(図2,図8も参照)と、このインク通路22j1、弾性シール部材31のインク孔31c及びキャリッジ32のインク孔32gが液密的に連通してなり上下に延びる第6流路42f(図8も参照)とを含んでなる。
図14は図4に示すヘッドユニット4に形成された冷却液流路43の斜視図である。図2、図4及び図10に示すように、冷却液流路43は、冷却液流入口22bに接続された冷却液往路55と、冷却液流出口22cに接続された冷却液復路56とに連通している。冷却液往路55は、ジョイント21の冷却液継手管部21bの内部流路と、往路チューブ10の内部流路とで形成されている。冷却液復路56は、ジョイント21の冷却液継手管部21cの内部流路と、復路チューブ11の内部流路とで形成されている。
なお、冷却液復路56の内径は、冷却液往路55の内径よりも大とすることで、冷却液復路56の流路抵抗が冷却液往路55の流路抵抗よりも小となっている。また、往路チューブ10及び復路チューブ11の内径はインク供給チューブ9の内径よりも大であり、往路チューブ10及び復路チューブ11の硬度は、インク供給チューブ9の硬度よりも小となっている。
そして、冷却液往路55及び冷却液復路56は、ヘッドユニット4から走査方向の他方側(図2中右側)に導出された導出部57,58を有している。この導出部57,58は、ジョイント21の冷却液継手管部21b,21cの内部流路と、往路チューブ10及び復路チューブ11の冷却液継手管部21b,21cに接続された部分付近の内部流路とで形成されている。冷却液ダンパー室49の上流側で且つ導出部57の下流側には逆止弁23が設けられており、冷却液ダンパー室49の下流側で且つ導出部58の上流側には逆止弁24,25が設けられている。また、冷却液流路43は、一対のICチップ37(図9参照)に対応するICチップ冷却通路51を冷却液ダンパー室49から並列に分岐している。なお、ラジエータタンク12内の流路、往路チューブ10内の流路、ジョイント21内の流路、冷却液流路43、復路チューブ11内の流路により冷却液循環流路61が形成されている。
図15は、図14に示す冷却液流路43とICチップ37及びアクチュエータ35との位置関係を説明する斜視図である。図15に示すように、冷却液流路43の冷却液ダンパー室49は、インクジェットヘッド33のアクチュエータ35の近傍である上方に配置されている。また、冷却液流路43の並列した各ICチップ冷却通路51は、フレキシブルフラット配線材36の延出部36aに設けられたICチップ37の近傍である側方にそれぞれ配置されている。よって、冷却液流路43を流れる冷却液は、インクジェットヘッド33のアクチュエータ35の近傍を通過した後に、ICチップ37の近傍を通過するようになっている。
なお、図14に示すように、冷却液流路43は、冷却液流入口22bから流路形成部材22の下面側を紙送り方向の下流側に延びる第1流路43aと(図5も参照)、第1流路43aの端部にて流路形成部材22を上下に貫通してなる第2流路43b(図2,図5,図16を参照)と、第2流路43bの上面側開口と冷却液通路22j2の上面側開口とを流路形成部材22の上面側にて連通させる第3流路43c(図2も参照)と、この冷却液通路22j2及び弾性シール部材31の冷却液孔31dが液密的に連通してなり上下に延びる第4流路43d(図8も参照)と、第4流路43dの下端と連通する冷却液ダンパー室49と、弾性シール部材31の冷却液孔31e及び流路形成部材22の冷却液通路22j3が液密的に連通してなり冷却液ダンパー室49における紙送り方向の上流側から上方に延びる一対の第5流路43e(図2も参照)と、この冷却液通路22j3の上面側開口を冷却液通路筒部22vの上面側開口と流路形成部材22の上面側にて連通させる一対の第6流路43f(図2も参照)と、冷却液通路筒部22vの内部空間により形成されて上下に延びる一対の第7流路43g(図2も参照)と、第7流路43gの下端と連通する一対のICチップ冷却通路51と、冷却液通路筒部22wの内部空間により形成されてICチップ冷却通路51における紙送り方向の下流側から上方に延びる一対の第8流路43h(図17も参照)と、流路形成部材22の上面側にて一対の冷却液通路筒部22wの上面側開口を互いに連通させる第9流路43iと、流路形成部材22を上下に貫通してなり第9流路43iを流路形成部材22の下面側と連通させる第10流路43j(図2,図5も参照)と、流路形成部材22の下面側にて第10流路43jの下面側開口と冷却液流出口22cとを連通させる第11流路43k(図5も参照)とを含んでなる。
このように、第1乃至第4流路43a〜43dにより、冷却液流入口22aから冷却液ダンパー室49までの流路(往路部)が形成され、冷却液ダンパー室49及びICチップ冷却通路51がヘッドユニット4内の発熱体たるアクチュエータ35及びICチップ37との熱交換を行う空間(冷却室)として機能し、第8乃至第11流路43h〜43kにより、冷却液ダンパー室49から冷却液流出口22cまでの流路(復路部)が形成される。
更に、冷却液流路43は、冷却液流出口22cに向かう流路とは別の流路として、弾性シール部材31の冷却液孔31f及び流路形成部材22の冷却液通路22j4が液密的に連通してなり冷却液ダンパー室49における紙送り方向の上流側から上方に延びる第12流路43lを含む。
このように冷却液流路43のうち、第2流路43b(図2,図5,図16参照)、第4流路43d、第5流路43e、第7流路43g、第8流路43h、第10流路43jは、流路形成部材22を上下に貫通する流路(貫通部)となっており、冷却液ダンパー室49に対して上流側に位置する第2流路43bと、ICチップ冷却通路51に対して下流側に位置する第8流路43hとにおいては、冷却液が下方から上方に向けて流れることとなる。前述の逆止弁23〜25は、このような第2流路43b及び一対の第8流路43hに設けられている。
図16は、図14に示す冷却液流路43の第2流路43bを示すヘッドユニット4の部分縦断面図であり、図17は、図14に示す冷却液流路43の第8流路43hを示すヘッドユニット4の部分縦断面図である。図16に示すように、第2流路43bに設けられる逆止弁23は、第2流路43bの上面側開口の周縁に設けられた弁座部23aと、第2流路43bの上面側開口よりも大径の円盤状に形成されて該弁座部23aに着座可能に設けられた弁体23bとを有してなる。図17に示すように、第8流路43hに設けられる逆止弁24(逆止弁25も同様)はそれぞれ、第8流路43hの上面側開口の周縁に設けられた弁座部24aと、第8流路43hの上面側開口よりも大径の円盤状に形成されて該弁座部24aに着座可能に設けられる弁体24bとを有してなる。
弁体23b,24bは、冷却液よりも比重が大きく冷却液流路43内で浮動自在となっている。これにより、冷却液が冷却液流入口22bから冷却液流出口22cに向かうと逆止弁23〜25が浮いて第2流路43bと第3流路43cとが連通されると共に、第8流路43hと第9流路43iとが連通される。一方、冷却液が冷却液流出口22cから冷却液流入口22bに向かうと逆止弁23〜25が沈降して第2流路43b及び第8流路43hを塞ぐようになっている。
図2及び図16に示すように、弁座部23aの外周縁部には、周方向に等間隔をおいて4つの規制片22eが上方に延びるようにして設けられている。このため、弁体23bは浮動時及び沈降時にこの規制片22eによって水平方向への移動が規制され、第2流路43bの軸線に沿って鉛直方向に案内される。このため、逆止弁23の開閉動作を安定して行わせることができる。図2及び図17に示すように、一対の第8流路43hに設けられる逆止弁24,25の弁座部の外周縁部においても、それぞれ同様にして4つの規制片22fが設けられており、逆止弁24,25の開閉動作を安定して行わせることができる。
なお、図16に示すように、弁体23bは、円形状に打ち抜き加工してなるフィルム体23cと、ゴム材や合成樹脂材等の弾性材料からなりフィルム体23cと同径の円盤状に形成された弾性体23dとを備えている。このようにフィルム体23cは打ち抜き加工により容易に作製されるが、その周縁部に打ち抜き方向に向けてダレが生じる場合がある。弾性体23dはこのフィルム体23cの一面を覆うようにして貼り付けられている。この貼り付けにより弁体23bは、フィルム体23cの打ち抜き方向に関わらず裏表の判別が容易になる。そして、このような弁体23bのうち弾性体23d側の面を弁座部23aに載置させるようにしている。これにより、逆止弁23の閉弁時には、フィルム体23cに打ち抜きによってダレが生じていても弾性体23dが弁座部23aに密着するようになり、シール性が確保される。図17にも示すように、第8流路43hに設けられる逆止弁24,25の弁体についても、同様の構成となっている。
図18は、図4に示すヘッドユニット4に形成されたエア排出流路44の斜視図である。図18に示すように、エア排出流路44は、負圧吸引口22dから流路形成部材22の下面側を延びる第1流路44a(図5も参照)と、流路形成部材22を上下に貫通してなり第1流路44aを流路形成部材22の上面側と連通させる第2流路44b(図2,図5も参照)と、第2流路44bの上面側開口と連通して流路形成部材22の上面側を紙送り方向の上流側へと延びる第3流路44c(図2も参照)と、第3流路44cと連通する共通排気室44d(図4も参照)とを有する。共通排気室44dは、気液分離膜27を介してキャリッジ側インク流路42の4つの第5流路42eと連通していると共に、冷却液流路43の第12流路43l(冷却液通路22j4)と連通している(図2も参照)。また、エア排出流路44の第3流路44cは、紙送り方向に並設された4つの大インクダンパー室40それぞれの流入口22mと流出口22nとの間を延びるようにして形成されており、第3流路44cは、4つの大インクダンパー室40内に設けられた気液分離膜29及び流路形成部材22に形成された孔22xを介して各大インクダンパー室40と連通している(図2も参照)。また、負圧吸引口22dからはジョイント21の負圧継手管部21dの内部流路を介して負圧吸引チューブ13の内部流路に連通している。これらエア排出流路44、ジョイント21内の流路、及び負圧吸引チューブ13の内部流路により排気流路62が形成され、負圧ポンプ14が駆動されると該排気流路62に負圧が印加されることとなる。
図19は、インクジェットプリンタ1の制御部(キャリッジ移動制御部、液滴吐出制御部)100の構成を示すブロック図である。この制御部100は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを備え、上述したインクジェットプリンタ1の動作の制御を統括して行うように構成されている。制御部100には、インクジェットプリンタ1の筐体に備えられてオペレータが操作可能な操作パネル101が接続されると共に、パーソナルコンピュータ等の外部情報機器102と接続可能になっている。また、制御部100には、被記録体を搬送させる搬送ローラ107を駆動する搬送ドライバ103と、ICチップ37に内蔵されてアクチュエータ35を駆動する吐出ドライバ104と、キャリッジモータ108を駆動する走査ドライバ105と、負圧ポンプ14を駆動する吸引ドライバ106とが接続されている。更に、制御部100には、ヘッドユニット4内の温度を検出する温度検出器109が接続されている。
このインクジェットプリンタ1の制御部100は、外部情報機器102等から送られた画像データに基づき、搬送ドライバ103に制御信号を出力して搬送モータ107を駆動して被記録体を紙送り方向に搬送しつつ、走査ドライバ105に制御信号を出力してキャリッジモータ108を駆動してヘッドユニット4を走査方向に往復移動させると共に、吐出ドライバ104に制御信号を出力してアクチュエータ35を駆動してインクジェットヘッド33からインクを適宜タイミングで吐出させることにより、印刷動作を実施する制御を行う。
ところで、ヘッドユニット4内には吐出ドライバ104やアクチュエータ35等の電子機器が搭載されているため、インクジェットプリンタ1の製品出荷時等には搬送時に冷却液から該電子機器を保全するため、冷却液流路43内を空の状態としておくことが好ましい。従って、本インクジェットプリンタ1においては、製品出荷時にはラジエータタンク12内のみに冷却液が充填されている状態としている。そして、制御部100は、インクジェットプリンタ1に最初に電力が供給されたときに、負圧ポンプ14を作動させて冷却液を冷却液流路43に導入する冷却液初期導入動作を実施するように構成されている。即ち、インクジェットプリンタ1に最初に電力が供給されたことが検出されると、制御部100により、吸引ドライバ106に駆動信号が出力されて負圧ポンプ14が駆動され、これにより負圧吸引チューブ13を介して排気流路62に負圧が印加される。排気流路62は、気液分離膜27を介して空となっている冷却液流路43(43l)と連通しているため、気液分離膜27を介して冷却液流路43内にも負圧が印加されるようになる。ラジエータタンク12に貯留されている冷却液は、往路チューブ10或いは復路チューブ11を通ってヘッドユニット4まで導かれ、冷却液ダンパー室49に流れ込み、冷却液流路43内にあった気体成分は負圧ポンプ14によって排気流路62へと吸引される。これにより、冷却液ダンパー室49及び往路チューブ10は冷却液でほぼ満たされた状態となる。
このように、電力が最初に供給されるときになって初めて冷却液流路43に冷却液が導入されるようにしているため、ヘッドユニット4内の電子機器が実用に供されるまでの間冷却液から保全されるようになる。なお、この初期冷却液導入動作を実施するタイミングは、上記のタイミングに限らず、少なくとも、ヘッドユニット4内の発熱の原因となる吐出ドライバ104が稼動されてヘッドユニット4内の冷却を必要とする印刷動作が最初に実施される前であれば、どのようなタイミングであってもよい。
図20は図2に示すヘッドユニット4の右端(他端)におけるターン時を表した模式図である。図20に示すように、ヘッドユニット4が走査方向の右端でターンするとき、ヘッドユニット4が所定の減速度で減速されて右端で停止状態となった後、所定の加速度で加速しながら左方に移動していく。従って、キャリッジ側インク流路42の導出部54にあるインクの慣性力によりキャリッジ側インク流路42に正圧が加わる一方、冷却液復路56の導出部58の冷却液の慣性力により冷却液流路43には負圧が加わる。つまり、冷却液流路43からの冷却液は、逆止弁23により冷却液往路55には逆流しないものの、逆止弁24,25を通過して冷却液復路56へと流出し、冷却液流路43に負圧が生じる。そして、冷却液往路55の導出部57の冷却液にかかる走査方向の右方向への慣性力が無くなると、冷却液流路43の前記負圧により、冷却液往路55の冷却液が逆止弁23を通過して冷却液流路43へと流入する。
図21は図2に示すヘッドユニット4の左端(一端)におけるターン時を表した模式図である。図21に示すように、ヘッドユニット4が走査方向の左端でターンするとき、キャリッジ側インク流路42の導出部54にあるインクの慣性力によりキャリッジ側インク流路42に負圧が加わる一方、冷却液往路55の導出部57の冷却液の慣性力により冷却液流路43には正圧が加わる。つまり、冷却液往路55からの冷却液は、逆止弁23を通過して冷却液流路43へと流入するが、冷却液流路43からの冷却液は、逆止弁24,25により冷却液復路56には流出せず、冷却液流路43の正圧が増加する。そして、冷却液復路56の導出部58の冷却液にかかる走査方向の左方向への慣性力が無くなると、冷却液流路43の前記正圧により、冷却液流路43の冷却液が逆止弁24,25を通過して冷却液復路56へと流出する。即ち、冷却液は、電動のポンプ等を使用することなく、ヘッドユニット4の往復移動により冷却液にかかる慣性力を利用して循環するようになっている。
以上に説明した構成によれば、インク流路60の導出部54をヘッドユニット4から導出する向きと、冷却液往路55及び冷却液復路56の導出部57,58をヘッドユニット4から導出する向きとが反対であるため、ヘッドユニット4の右端におけるターン時には、その慣性力の影響により、キャリッジ側インク流路42に正圧が発生し、冷却液流路43には負圧が発生する。また、ヘッドユニット4の左端におけるターン時には、その慣性力の影響により、キャリッジ側インク流路42に負圧が発生し、冷却液流路43には正圧が発生する。かつ、キャリッジ側インク流路42のインクダンパー室40,41と、冷却液流路43の冷却液ダンパー室49とは、相互に圧力伝達可能となるように圧力伝達手段50を介して仕切られている。
その結果、ヘッドユニット4の移動により生じるキャリッジ側インク流路42内の圧力変動は、圧力伝達手段50を介して冷却液流路43で効果的に吸収することが可能となる。よって、冷却用の冷却液流路43を圧力変動吸収用にも利用して、ダンパー性能を効果的に向上させることができる。
また、冷却液復路56の内径は冷却液往路55の内径よりも大であり、冷却液復路56の流路抵抗が冷却液往路55の流路抵抗よりも小であるので、キャリッジ側インク流路42から圧力伝達手段50を介して冷却液流路43に圧力が加わると、冷却液流路43内の冷却液が流路抵抗の小さい冷却液復路56へとスムーズに導かれて、効果的に圧力吸収することができる。また、冷却液流路43内の冷却液が冷却液復路56へと流れやすくなるので、冷却液の循環も促進されて放熱効率が向上する。
さらに、キャリッジ側インク流路42と冷却液流路43とはダンパーフィルム30、弾性シール部材31及び空気層48を介して互いに隣り合うように配置されているため、正圧がかかっている流路42,43の容積が大きくなり且つ負圧がかかっている流路43,42の容積が小さくなるように、ダンパーフィルム30の膨出部30b〜i及び弾性シール部材31の平板部31aが変形する。これにより、キャリッジ側インク流路42の圧力変動と冷却液流路43の圧力変動とを交換的に吸収することができる。また、ダンパーフィルム30の膨出部30b〜iと弾性シール部材31の平板部31aとの間に空気層48が介在しているので、キャリッジ側インク流路42で生じる圧力変動を柔軟に吸収することができる。
しかも、往路チューブ10及び復路チューブ11の導出方向が同一方向であるため、図21で示すように一端でターンするときには、往路側の逆止弁23が開弁し、復路側の逆止弁24,25が閉弁する。冷却液が逆止弁23を通過して冷却液ダンパー室49に流れ込むと、復路側が堰き止められているため、大インクダンパー室40の収縮に付随させて冷却液ダンパー室49を効率よく膨張させることができる。また、これにより冷却液ダンパー室49内に多くの冷却液を導入することができる。これに対し、図20に示すように他端でターンするときには、往路側の逆止弁23が閉弁し、復路側の逆止弁24,25が開弁する。すなわち、冷却液が逆止弁24,25を通過して冷却液ダンパー室49から流れ出すものの冷却液ダンパー室49には冷却液が供給されないため、大インクダンパー室40の膨張に付随させて大インクダンパー室40を効率よく収縮させることができる。しかも、この収縮作動により冷却液には動圧が付与され、多量に取り込まれた冷却液の排出を勢いよく行わせることができる。このように、冷却液流路43の一部の容積が可変となっているため、該容積の可変部分にて冷却液に対するポンピング動作を働かせることができ、冷却液の循環をスムーズに行わせることができる。このポンピング動作に大インクダンパー室40の容積変動が利用されており、インク流路42内の圧力変動の緩和と冷却液のポンピング動作とを同時に行わせることができる。
さらに、ダンパーフィルム30は膨出部30b〜iにより立体的に形成されているため、従来の平面状のダンパー壁に比べて変形可能量が大きくなる。よって、平面視の占有面積が小さくても圧力変動を十分に吸収でき、インクジェットプリンタ1のコンパクト化を図ることが可能となる。さらに、流路形成部材22の周状リブ22jが膨出部30b〜iを囲む位置に設けられているので、製造時において周状リブ22jがダンパーフィルム30を風等から保護し、ダンパーフィルム30を流路形成部材22に対して正しく熱溶着しやすくなる。また、周状リブ22jにより平板状の流路形成部材22の剛性が向上して変形しにくくなるので、各流路42,43のシール性も向上する。
また、膨出部30b〜iは重力方向に向けて膨出しており、インクが自重により膨出部30b〜i内のダンパー室40,41に溜まるので、膨出部30b〜iがしぼんで密着してしまうことを防止することもできる。
また、ダンパーフィルム30はマッチモールド法により熱間成形されており、フィルム厚さが全体にわたって均一に成形されるので、製品間におけるフィルム剛性の差や、同一フィルムに生じた局所的な剛性の差に起因する、圧力変動吸収効果のバラツキを防止することができる。また、ダンパーフィルム30は熱溶着により流路形成部材22に接合されているので、流路形成部材22とダンパーフィルム30との間に形成されるダンパー室40,41のシール性が向上する。さらに、ダンパーフィルム30が単層フィルムであることにより、膨出部30b〜iを深く成形してもフィルム厚さを均一に保つことができる。
また、膨出部30b〜iは、主平面30j,30k,30q,30rと副面30m,30n,30s,30t,30p,30uとを有し、面積の大きい主平面30j,30k,30q,30rが撓むことで、ダンパー室40,41に大きな容積変化が生じうるので、平面視における膨出部30b〜iの面積が小さくても、大きな圧力変動吸収効果を得ることができる。さらに、膨出部30b〜iは、副面30s,30t,30uに設けられた谷部30v,30w及び山部30uによる蛇腹効果で主平面30q,30rがその法線方向に大きく移動しうるため、平面視における膨出部30dの面積が小さくても、より大きな圧力変動吸収効果を得ることができる。
さらに、インク流路60の1つの流路中にダンパー室40,41が複数配置されているので、色の異なる夫々のインクは、複数のダンパー室40,41により上流から下流にかけて順次その圧力変動が吸収されていくので、効果的かつ確実に圧力変動吸収を行うことができる。
また、流路形成部材22には、大膨出部30b〜e内のダンパー室40に突出する突起部22p,22qが形成されているので、可撓性を有する大膨出部30b〜eが不意に倒れようとしても突起部22p,22qが支持するので、製造時において大膨出部30b〜eが潰れた状態でダンパーフィルム30が流路形成部材22に接合されるのを防止することができる。さらに、突起部22p,22qは、大膨出部30b〜eが大気圧中にある状態において大膨出部30b〜eと非接触となるように配置されているので、通常は突起部22p,22qが大膨出部30b〜eに当たらないので、製造時などにダンパーフィルム30が損傷するのを防ぐことができる。
また、流路形成部材22には、大膨出部30b〜eが対向する位置に流入口22m及び流出口22nが形成され、突起部22p,22qは、流入口22mと流出口22nとの間に配置されており、突起部22p,22qが、流入口22mから流出口22nへ向かうインクの流れを阻害するので、ダンパー室40で時間をかけてインクの圧力変動を十分に緩衝することができる。さらに、流入口22m,22tが膨出部30b〜iの開口30x,30yの長辺方向の一端部側にあることで、流入口22m,22tからダンパー室40,41に導入された直後の高い圧力は、容積拡張に対する反力の大きい膨出部30b〜iの端部領域を利用して速やかに圧力変動吸収することができる。また、流出口22n,22uは長辺方向において流入口22m,22tと反対側の他端部側に設けられており、流入口22m,22tと流出口22n,22uとの間の距離が長くなるので、十分に圧力変動吸収したうえで流出口22,22uからインクを流出させることができる。
また、ヒートシンク45が冷却液に直接触れるので、ヒートシンク45がICチップ37などから受けた熱は効率良く冷却液へと放熱される。かつ、ICチップ冷却通路51の内面32pへICチップ37を投影したときの投影領域Xが、ICチップ冷却通路51の内面32pへヒートシンク45を投影したときの投影領域Yに包含されるようにヒートシンク45が設けられているので、ICチップ37が小さくてもヒートシンク45へと十分に熱伝達することができる。よって、装置が小型化されても放熱効率を向上することができる。さらに、ヒートシンク45は、ICチップ冷却通路51を画定する内壁部32eの一部を兼ねるように設けられているので、装置のコンパクト化にも貢献する。
また、ヒートシンク45,46は予めキャリッジ32にインサート成形されているので、装置組立時にヒートシンク45,46をキャリッジ32に組み付けずに済み、組立作業性が向上する。また、金属製のヒートシンク45,46がインサートされていることで、樹脂製のキャリッジ32の剛性が高まるので、キャリッジ32の肉厚を薄くしてコンパクト化を図ることもできる。
また、ICチップ37と金属製のヒートシンク45との間には、ヒートシンク45を樹脂製のキャリッジ32の被覆部32mが介在することとなるので、ICチップ37の損傷を防ぐことができる。さらに、ICチップ冷却通路51の外壁部32dにはヒートシンクが設けられておらず、その外壁部32dがキャリッジ32の最外壁となっているので、外壁部からも大気中に放熱され、キャリッジ32内部に熱がこもるのを抑制することができる。
また、ICチップ37は、弾性シール部材31によりヒートシンク45の受熱部45d,45e側に向けて付勢されているので、ICチップ37からの熱を安定的にヒートシンク45に伝達することができる。かつ、弾性シール部材31がICチップ37を付勢する部材を兼ねているので、部品点数および組立工数の増大を抑制することもできる。さらに、弾性シール部材31は、インク流路60を形成する壁と冷却液循環流路61を形成する壁との両方を兼ねているので、部品点数および組立工数の増大を抑制することができる。
また、一対のICチップ37にそれぞれ対応する受熱部37d,37eが1つのヒートシンク45で一体に形成されているので、各ICチップ37の発熱量が互いに相違する場合に、発熱量の小さい方のICチップ37に対応配置されたヒートシンク45の部位も、発熱量の大きい方のICチップ37の放熱に寄与し、全体としてヒートシンク45の熱容量を上げることができる。
また、冷却液循環流路61は、アクチュエータ35の近傍を通過した後に、ICチップ37の近傍を通過するように配置されているので、冷却液がICチップ37からの受けた熱をインクジェットヘッド33側へと運ぶことを防止することができ、安定した吐出性能を維持することが可能となる。さらに、冷却液循環流路61は、各ICチップ37に対応して並列に分岐しているので、各ICチップ37を均等に冷却することができる。
さらに、往路チューブ10及び復路チューブ11の内径はインク供給チューブ9の内径よりも大きいが、往路チューブ10及び復路チューブ11の硬度はインク供給チューブ9の硬度よりも小さいので、往路チューブ10及び復路チューブ11を曲げて取り回す際の曲率を大きくすることができ、インクジェットプリンタ1のコンパクト化を図ることが可能となる。
ところで、本インクジェットプリンタ1においては、印刷動作の実施に伴うヘッドユニット4の往復移動により冷却液を循環させるようにしているが、印刷する画像データによっては吐出ドライバ104の駆動数が大量となり、ヘッドユニット4内の温度上昇が非常に大きくなることもある。図22は、このような状況に鑑みてヘッドユニット4内の温度に応じて実施される冷却制御の処理内容を説明するフローチャートである。この処理は、印刷動作の実施中やインクジェットプリンタ1の待機中に適宜の時間間隔で行われる。
図22に示すように、該インクジェットプリンタ1においては、温度検出器109の検出データに基づいてヘッドユニット4内の温度と、制御部100のROMに予め記憶されている第1温度とが比較される(ステップS101)。ヘッドユニット4内の温度が第1温度よりも低温である場合には、この制御の処理を終了し、印刷動作の実施中には印刷動作が継続して行われ、待機中である場合にはその待機状態が継続される。ヘッドユニット4内の温度が第1温度よりも高温である場合には、印刷動作の実施中であるか否かが判断され(ステップS102)、実施中で無ければ下記ステップS104に進む。実施中であれば、搬送ドライバ103、吐出ドライバ104及び走査ドライバ105への制御信号の出力を停止して印刷動作を中断し(ステップS103)、ステップS104に進む。
このステップS104においては、走査ドライバ105にのみ駆動信号が出力され、ヘッドユニット4が所定の走査範囲において往復移動される。この走査範囲はインク吐出領域と一致している必要はなく、ヘッドユニット4のターン時に冷却液を循環させるのに必要な慣性力を作用させる加減速が行われるだけの走査距離が確保されていればよい。例えば印刷動作中にはインク吐出領域の中間領域にて等速運動を行うが、この等速運動区間を省略して往復移動させてもよい。このようにヘッドユニット4が移動制御されるため、冷却液が高速で循環するようになる。
そして、ヘッドユニット4内の温度と、制御部100のROMに予め記憶されて第1温度よりも低温に設定された第2温度とが比較される(ステップS105)。ヘッドユニット4内の温度が第2温度よりも高温である場合には、ステップS104に戻り再びこの比較判断処理が行われる。即ち、ヘッドユニット4内の温度が第2温度未満になったと判断されるまで、上述したヘッドユニット4の往復移動が行われる。
ヘッドユニット4内の温度が第2温度未満になると、印刷動作を中断している状態であるか否かが判断され(ステップS106)、そうでなければこの制御の処理を終了する。印刷動作を中断している状態であるときには、搬送ドライバ103、吐出ドライバ104及び走査ドライバ105に制御信号を出力し、印刷動作を再開する(ステップS107)。
このように、ヘッドユニット4内の温度が所定の第1温度に達すると、吐出ドライバ104を停止させ、冷却液を循環させるべくヘッドユニット4の往復移動を優先して行うようになっている。従って、少なくともヘッドユニット4内の温度がこの第1温度を超えることがなく、ヘッドユニット4内の温度が過度に温度上昇するのを避けることができる。
また、この第1温度は、冷却動作の実施を開始するか否かを判断するための閾値温度として利用され、第2温度は、冷却動作の実施を終了するか否かを判断するための閾値温度として利用されるが、第2温度が第1温度よりも低温に設定されている。このため、この冷却動作の終了後直ちにまた冷却動作が開始されるようなことを防ぐことができる。したがって、ヘッドユニット4が高温になるおそれがあるときにも印刷動作の中断が頻繁に行われなくなる。
そして、このような印刷動作の開始前や終了後や、インクジェットプリンタ1が所定の期間を超える長期に亘って休止された後に起動されたときや、インクカートリッジ8の着脱交換が行われた直後など、所定のタイミングで制御部100は、吸引ドライバ106に制御信号を出力し、負圧ポンプ14を駆動する。この負圧ポンプ14の駆動により、排気流路62に負圧が印加されると、大インクダンパー室40或いは小インクダンパー室41にトラップされているエアが気液分離膜27,29を通過してエア排気流路44に排除され、これらダンパー室がインクで満たされた状態となる。これにより、インクジェットヘッド33にエアが侵入するおそれがなくなり、インクジェットヘッド33によるインクの吐出動作が安定して行われるようになる。また同時に、冷却液ダンパー室49等に侵入したエアが冷却液排気流路43l(冷却液通路22j4)を通って気液分離膜27を通過し、共通排気室44dから第3流路44cへと排除される。
このように、適宜のタイミングで負圧ポンプ14が駆動されることにより、冷却液流路43内に侵入しているエアを排除することもできるようになる。したがって、冷却液流路43内の冷却液の循環がこのエアにより阻害されるおそれがなくなり、冷却液の循環動作を安定して行わせることができるようになる。
ここで、流路形成部材22には、冷却液流路43及びインク流路60が開口する共通排気室44dが形成され、この共通排気室44d内にこれらの開口を覆って気液分離膜27が設けられている。この共通排気室44dと負圧ポンプ14が接続された負圧吸引チューブ13とが連通されているため、2つの独立した流路からのエアの排除を単一の負圧ポンプ14により行うことができるようになっており、インクジェットプリンタ1をコンパクトに構成することができる。また、気液分離膜27は、このような共通排気室44d内の開口を覆う単一のものとすることができ、2つの独立した流路それぞれに気液分離膜を設ける必要がなく、部品点数を省略しつつ冷却液流路43及びインク流路60から同時にエアを排除可能な装置を構成することができるようになる。
このように本実施形態のインクジェットプリンタ1は、インク流路60からエアを排除する動作と、冷却液流路43からエアを排除する動作と、冷却液の初期導入とが単一の負圧ポンプ14を利用して実施されるようになっている。また、冷却液の循環は、シャトルタイプのインクジェットプリンタ1においては元々備えられているキャリッジモータ108により駆動されるキャリッジの往復移動時に作用する慣性力を利用して行われている。このように、ヘッドユニット4の冷却に冷却液を利用するにあたり、専用の駆動源を必要としておらず、インクジェットプリンタ1をコンパクトに構成することができる。
なお、図23は、本発明の別の実施形態に係るインクジェットプリンタのインクカートリッジ118の内部構成を示すインクカートリッジ118の縦断面図である。この別の実施形態に係るインクジェットプリンタでは、ラジエータタンク12が省略されると共に、4つのインクカートリッジ8のうち1つが図23に示す形態のインクカートリッジ118と置き換えられる点を除けば、上記実施形態のインクジェットプリンタ1と同様の構成となっている。以下、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複説明を省略する。
図23に示すように、このインクカートリッジ118は、矩形箱状のケーシング119を有し、該ケーシング119内の中央部分に側面視楕円形状のフィルムパック120が収容される。フィルムパック120の外面とケーシング119の内面とに囲まれてインク貯留室118aが形成されており、このインク貯留室内118a内には所定の色のインクが貯留される。ケーシング119には該インク貯留室を外部と連通させるインク供給孔119aが形成されており、このインク供給孔119aにインク供給チューブ9が外側から接続される。フィルムパック120の内面に囲まれて冷却液貯留室118bが形成されており、この冷却液貯留室118b内には、上記実施形態ではラジエータタンク12に貯留されていた冷却液が貯留される。ケーシング119にはこの冷却液貯留室118bを外部と連通させる冷却液流出孔119b及び冷却液流入孔119cが形成されており、冷却液流出孔119bに往路チューブ10が外側から接続され、冷却液流入孔119cに復路チューブ11が外側から接続されている。従って本実施形態の冷却液循環経路61は、この冷却液貯留室118b、往路チューブ10、ジョイント21の内部流路、冷却液流路43、復路チューブ11から形成される。
このように、冷却液貯留室118bがインクカートリッジ118内に設けられており、インクカートリッジ118内の冷却液は、ケーシング119、インク貯留室118b内に貯留されているインク、及びフィルムパック120により覆われるようにして外気から保護された状態となっている。特に、インクにより外側を覆われた状態となっているため、冷却液貯留室118bから冷却液が外部に蒸発する可能性と、外部から冷却液貯留室118b内にエアが侵入する可能性が低くなり、長期に亘ってヘッドユニット4を冷却液を利用して冷却可能な状態で維持することができる。
また、往路チューブ10及び復路チューブ11の導出方向は、ヘッドユニット4の走査方向において互いに逆方向となっていてもよい。図24及び図25に示す本発明の別の実施形態においては、復路チューブ11が左方(一方)に導出されているのに対し、往路チューブ10が右方(他方)に導出されている。
図24は、このように構成されたインクジェットプリンタのヘッドユニット4の右端(他端)におけるターン時を表した模式図である。図24に示すように、ヘッドユニット4が走査方向の右端でターンするときには、冷却液往路55及び冷却液復路56のいずれの導出部57,58の冷却液に対しても、右方すなわち逆流方向の慣性力が作用する。このときには、逆止弁23〜25が閉弁してこの逆流を阻止するため、冷却液ダンパー室49内では冷却液の流出入が行われない。
図25は図24に示すヘッドユニット4の左端(一端)におけるターン時を表した模式図である。図25に示すように、ヘッドユニット4が走査方向の左端でターンするときには、冷却液往路55及び冷却液復路56のいずれの導出部57,58の冷却液に対しても、左方すなわち循環する方向の慣性力が作用する。このときには、逆止弁23〜25が開弁し、往路チューブ10から冷却液流路43内に冷却液が流入すると共に、冷却液流路43から復路チューブ11へと冷却液が流出する。往復移動が繰り返されることにより、冷却液が冷却液循環経路61内を一方向に循環する。
このように、往路チューブ10及び復路チューブ11の導出方向に応じて冷却液の逆流を阻止すべく適切に逆止弁を設けることにより、電動のポンプ等を使用することなく、ヘッドユニット4の往復移動により冷却液にかかる慣性力を利用して冷却液を循環させることができる。
なお、前述した実施形態は本発明をインクジェットプリンタに適用したものであるが、インク以外の液体、例えば着色液を吐出して液晶表示装置のカラーフィルタを製造する装置、導電液を吐出して電気配線を形成する装置などに使用する液滴吐出装置に適用してもよい。
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの要部を示す概略平面図である。 図1に示すインクジェットプリンタのヘッドユニットの平面図である。 図1に示すインクジェットプリンタのヘッドユニットの斜視図である。 図1に示すインクジェットプリンタのヘッドユニットの分解斜視図である。 図4に示すヘッドユニットの流路形成部材及びダンパーフィルムの下方から見た斜視図である。 図5に示す流路形成部材の下方から見た要部拡大斜視図である。 図5に示すダンパーフィルムの上方から見た斜視図である。 図2のV−V線断面図である。 図2のVI−VI線断面図である。 図4に示すヘッドユニットのヒートシンクの斜視図である。 図9のXI矢視方向から見たヒートシンク及びICチップに注目した図面である。 図4に示すインクジェットヘッドの要部断面図である。 図4に示すヘッドユニットに形成された4つのインク流路のうち1つを表した斜視図である。 図4に示すヘッドユニットに形成された冷却液流路の斜視図である。 図14に示す冷却液流路とICチップ及びアクチュエータとの位置関係を説明する斜視図である。 図10に示す冷却液流路のうち第2流路を示すヘッドユニットの部分縦断面図である。 図10に示す冷却液流路のうち第8流路を示すヘッドユニット4の部分縦断面図である。 図4に示すヘッドユニットに形成されたエア排出流路の斜視図である。 図1に示すインクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。 図2に示すヘッドユニットの右端におけるターン時を表した模式図である。 図2に示すヘッドユニットの左端におけるターン時を表した模式図である。 図19に示す制御部により実施されるヘッドユニット内の温度に応じたキャリッジの動作の制御内容を説明するフローチャートである。 本発明の別の実施形態に係るインクジェットプリンタのインクカートリッジの内部構成を示したインクカートリッジの縦断面図である。 本発明の別の実施形態に係るインクジェットプリンタのヘッドユニットの右端におけるターン時を表した模式図である。 図24に示すヘッドユニットの左端におけるターン時を表した模式図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)
1a 筐体(装置本体)
4 ヘッドユニット
10 往路チューブ
11 復路チューブ
12 ラジエータタンク(冷却液タンク)
22 流路形成部材
22e,22f 規制片
23〜25 逆止弁
23a 弁座部
23b 弁体
23c フィルム体
23d 弾性体
32 キャリッジ
33 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)
43 冷却液流路
43a〜43d 第1〜第4流路(往路部)
43h〜43k 第8〜第11流路(復路部)
49 冷却液ダンパー室(冷却室、容積可変部)
51 ICチップ冷却通路(冷却室)
55 冷却液往路
56 冷却液復路
90 冷却液循環装置
100 制御部(キャリッジ移動制御部、液滴吐出制御部)
104 吐出ドライバ
105 走査ドライバ
108 キャリッジモータ

Claims (9)

  1. 所定走査方向において往復移動可能なキャリッジと、
    該キャリッジに搭載された記録液を吐出する液滴吐出ヘッドと、
    該液滴吐出ヘッドを冷却するための冷却液を循環させる冷却液循環装置と、を備えた液滴吐出装置であって、
    前記冷却液循環装置は、
    前記キャリッジ上に設けられた流入口及び流出口を有する冷却液流路と、
    装置本体に移動不能に設けられた冷却液を貯留する冷却液タンクと、
    一端が前記流入口に接続され他端が前記冷却液タンクに接続された往路チューブと、
    一端が前記流出口に接続され他端が前記冷却液タンクに接続された復路チューブと、
    前記冷却液タンクから前記往路チューブ、前記冷却液流路、及び前記復路チューブを順に経て前記冷却液タンクに戻る冷却液の流路中に設けられ、冷却液の逆流を阻止する逆止弁と、を有していることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記往路チューブ及び前記復路チューブは、前記キャリッジから前記走査方向に延びるようにして引き出されている請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記往路チューブ及び前記復路チューブの引き出し方向が同一の向きである請求項2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記冷却液流路は、前記液滴吐出ヘッドに近接して設けられた冷却室と、前記流入口から前記冷却室に至る往路部と前記冷却室から前記流出口に至る復路部とを有しており、
    前記逆止弁が、前記往路部及び前記復路部のそれぞれに設けられている請求項1乃至3の何れかに記載の液滴吐出装置。
  5. 前記キャリッジに保持された前記往路部及び前記復路部を形成する流路形成部材を備え、
    前記往路部及び前記復路部はそれぞれ、前記流路形成部材の上面側と下面側とを貫通してなる貫通部を含み、該貫通部にて冷却液が前記下面側から前記上面側へと流れるようになっており、
    前記逆止弁が、前記流路形成部材の上面における前記貫通部の開口周辺に形成される弁座部と、該弁座部に載置される弁体とを有する請求項4に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記逆止弁は、前記流路形成部材の上面に設けられて前記弁体の水平移動を規制する規制片を有する請求項5に記載の液滴吐出装置。
  7. 前記弁体が、打ち抜き成形により前記上下流路の開口形状に合わせて形成されたフィルム体と、該フィルム体の一面に貼着された弾性体とを有し、該弾性体が前記弁座部に載置される請求項5又は6に記載の液滴吐出装置。
  8. 前記冷却室の少なくとも一部が、容積を可変とする容積可変部をなしている請求項1乃至7の何れかに記載の液滴吐出装置。
  9. 前記キャリッジの移動制御を行うキャリッジ移動制御部と、記録液の吐出制御を行う液滴吐出制御部とを備え、
    前記キャリッジの温度が所定以上であると判断されるときには、前記液滴吐出制御部が前記液滴吐出ヘッドより記録液を吐出する動作を中断すると共に、前記キャリッジ移動制御部が、前記キャリッジを往復移動させるように構成されている請求項1乃至8の何れかに記載の液滴吐出装置。
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