JP2009080977A - 燃料電池単セルのシール方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が高く、且つ、電解質膜の熱乾燥収縮及びそれに伴う位置ずれの無い、気密性の高いシール部を有する燃料電池単セルを提供する。
【解決手段】高分子電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体の更に外側を一対のセパレータで挟持した層構成を有し、且つ、シール部となる空隙を有する仮組み立て体を準備し、下側加圧体と、発熱体、昇温防止体とを備える下側加熱加圧部、及び、上側加圧部を備える熱圧着手段を準備し、前記仮組み立て体の前記シール部となる空隙に熱硬化性シール材を充填し、前記仮組み立て体を下側加熱加圧面の上に載置し、当該下側加熱加圧面と上側加圧面とで挟み込んだ後、前記下側加圧体と前記発熱体の間から前記昇温防止体を除去し、前記下側加熱加圧面の温度を昇温させることで前記熱硬化性シール材が硬化し熱圧着を行なうことを特徴とする、燃料電池単セルのシール方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、燃料電池単セルのシール方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノード(燃料極)では(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e …(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソードでは(2)式の反応が進行する。
2H + (1/2)O + 2e → HO …(2)
カソードで生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。このように、燃料電池では、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
図1は、一般的な固体高分子電解質型燃料電池の単セル100を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。単セル100は、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1と、前記電解質膜1を挟んだ一対のカソード電極6及びアノード電極7とでなる膜・電極接合体8を含み、さらに前記膜・電極接合体8を電極の外側から挟んだ一対のセパレータ9及び10とでなる。セパレータと電極の境界にはガス流路11及び12が確保され、アノード側では水素ガスが、カソード側では酸素を含むガス(通常は空気)がそれぞれ連続的に供給される。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成されたものが用いられる。すなわち、カソード電極6はカソード触媒層2とガス拡散層4とを積層したものからなり、アノード電極7はアノード触媒層3とガス拡散層5とを積層したものからなる。
上述のように、燃料及び酸化剤は、通常気体状態(燃料ガス、酸化剤ガス)で燃料電池へ連続的に供給される。したがって、前記2種のガスが単セル外に漏れ出さないためのシール部が必須である。
図1中のシール部13及び14は、カソード電極6及びアノード電極7の外周部に設置され、燃料ガス、酸化剤ガスのいずれかが単セル外に漏れ出すのを防ぐと同時に、燃料ガス及び酸化剤ガスが直接接触して水生成反応を起こすのを防ぐ働きがある。
シール部には、加工のし易さの観点から、熱硬化性樹脂が用いられている。すなわち、加熱前の液状の熱硬化性樹脂を電極の外周部に流し込み、流し込み終了後に加熱し、加熱後に硬化して完成したシール部によって、膜・電極接合体の気密性が確保されるというものである。しかし、この一連の工程においては、流し込んだ液状の熱硬化性樹脂の厚さのばらつきが生じやすく、したがって、単セルの気密性が損なわれるという問題があった。
これまでにも、シール部の設置の工程又はシール部の材質を変えることで、上記問題を克服しようとする試みがなされてきた。特許文献1では、液状の熱硬化性樹脂を所定位置に塗布した後に単セルの仮組み立てを行い、その後に熱圧着し、熱硬化性樹脂を固化させるという工程を採用することにより、液状の熱硬化性樹脂が仮組み立て時に潰れることで、熱硬化性樹脂の厚さのばらつきが平均化されるという提案がされていた。
また特許文献2では、セパレータの間隔を保持するための鉄芯と、鉄芯の外側を覆う熱硬化性樹脂とで構成したシール部を用いることで、鉄芯によってシール部の厚さのばらつきを抑えるとともに、鉄芯の外側を覆う熱硬化性樹脂によってシール機能が果たされるという提案がされていた。
特開2002−246044号公報 特開2005−183220号公報
前記特許文献1及び2では、いずれも熱硬化性樹脂をシール部の構成要素として用いている。セルのシール部に配置した熱硬化性樹脂を硬化させるためには単セルを高温にさらす必要があるが、単セルの生産性を上げるためには従来、予め熱硬化温度以上の温度に設定された装置によって熱圧着を行っていた。しかし、このような装置を用いることで、当該装置に載置された前記単セル中の電解質膜の全面が高温にさらされてしまい、その結果前記電解質膜が熱乾燥状態となり収縮し、シール部が熱硬化する前に電解質膜の位置ずれが起きてしまっていた。さらに、このような電解質膜の位置ずれが起こることで、シール部によって確保されるはずの気密性が低減するおそれがあった。
上記のように、熱硬化性樹脂をシール部に用いる際には、熱硬化させるための熱処理時に電解質膜に対する温度の影響を考慮する必要があった。本発明は、単セルの生産性を高く維持したまま、電解質膜の熱乾燥収縮及びそれに伴う位置ずれを抑え、気密性の高いシール部の設置を達成することを目的とする。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、燃料電池単セルの外周をシールする方法であって、高分子電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体の更に外側を一対のセパレータで挟持した層構成を有し、当該層構成中の前記膜・電極接合体の両面において、前記電極の外周からはみ出した高分子電解質膜の外周縁部と前記セパレータの外周縁部とが対峙し、対峙しあう当該高分子電解質膜の外周縁部と当該セパレータの外周縁部との間に前記電極の外周を取り囲むシール部となる空隙を有する仮組み立て体を準備し、上方を向く下側加熱加圧面を有する下側加圧体と、当該下側加圧体の下側に配置され、当該下側加圧体に対し相対的に上下動して当該下側加圧体への接触と当該下側加圧体からの分離を繰り返すことが可能な発熱体と、当該下側加圧体と当該発熱体が分離している時に、当該下側加圧体と当該発熱体の間隙への挿入と当該間隙からの除去を繰り返すことが可能な昇温防止体とを備える下側加熱加圧部、及び、当該下側加熱加圧面と対をなす上側加圧面を有する上側加圧体を備える上側加圧部を備える熱圧着手段を準備し、前記熱圧着手段の初期設定を、前記下側加熱加圧部内で前記下側加圧体と前記発熱体の間に前記昇温防止体が挿入された初期配置、且つ、前記発熱体が熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となり、前記下側加熱加圧面が熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に予め設定し、前記仮組み立て体の前記シール部となる空隙に、前記熱圧着手段による熱圧着の開始前又は途中のいずれかの段階で前記熱硬化性シール材を充填し、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置し、当該下側加熱加圧面と前記上側加圧面とで挟み込んだ後、前記下側加圧体と前記発熱体の間から前記昇温防止体を除去し、前記発熱体を移動して前記下側加圧体と接触させて、前記下側加熱加圧面の温度を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に昇温させることで当該熱硬化性シール材が硬化し熱圧着を行なうことを特徴とする。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置した際に、前記昇温防止体によって前記発熱体の熱が下側加熱加圧面に伝わらないことにより、前記下側加熱加圧面と前記上側加圧面との前記仮組み立て体の挟み込みまでの間の電解質膜の加熱乾燥収縮を防止し、それによって電解質膜の位置ずれを抑制し、且つ、気密性の高いシールを達成することができる。また、予め前記発熱体の温度を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に設定しておくことができることで、前記熱圧着手段の温度設定を変更することなく複数の単セルを次々にシールすることができることから、効率の良い燃料電池単セルの作製が達成できる。さらに、前記下側加圧体は前記仮組み立て体の支持体の役目も果たし、前記昇温防止体の挿入及び除去、並びに前記発熱体の当該下側加圧体への接触及び分離に影響されることなく、前記仮組み立て体を下側加熱加圧面の上に安定して載置することができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記下側加熱加圧面の初期温度を、前記高分子電解質膜について下記の加熱乾燥試験を行ったときに測定される高分子電解質膜の収縮率が3%以下となる温度に設定することが好ましい。加熱乾燥試験としては、縦5cm×横5cmにカットした電解質膜(Nafion、DuPont社製)を、各温度に加熱したホットプレート上に5分放置し、元の寸法より収縮した分を、収縮率として算出する。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、電解質膜の加熱乾燥収縮による位置ずれを極めて小さくすることができるので、十分な気密性を持つシールを達成することができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記下側加熱加圧面の初期温度を、50℃以下に設定することが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、適切な温度設定により、電解質膜の加熱乾燥収縮による位置ずれを極めて小さくすることができ、それによって電解質膜の位置ずれを最小限にとどめることができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記昇温防止体として、断熱材及び冷却手段から選ばれる昇温防止手段が設けられていることが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、前記断熱材又は前記冷媒のいずれかの適切な昇温防止手段の選択により、適切な前記熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる温度を容易に設定することができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記断熱材の熱伝導率が、10W/(m・K)以下であることが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置した際に、電解質膜の熱乾燥収縮を最小限におさえ、それに伴って電解質膜の位置ずれを最小限にとどめることができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記冷却手段が、冷媒を用いる冷却手段であることが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、適切な冷媒を選択することによって、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置した際に、電解質膜の熱乾燥収縮を最小限におさえ、それに伴って電解質膜の位置ずれを最小限にとどめることができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記下側加圧体の熱伝導率が50W/(m・K)以上であることが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、前記下側加圧体が十分な熱伝導率を有することにより、前記下側加圧体と前記発熱体の間から前記昇温防止体を除去し、その後に前記下側加圧体と前記発熱体とを接触させた時に、前記下側加熱加圧面の温度を速やかに熱硬化温度へ上昇させることができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、前記熱圧着手段の前記上側加圧面は加熱機能を有し、当該上側加圧面を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に予め加熱して熱圧着することが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、前記仮組み立て体の両面を加熱することができるため、片面のみを加熱した時よりも、より均一なシールを作製することができ、且つ、短時間で燃料電池単セルの作製を達成することができる。
本発明によれば、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置した際に、前記昇温防止体によって前記発熱体の温度が下側加熱加圧面に伝わらないことにより、前記下側加熱加圧面と前記上側加圧面との前記仮組み立て体の挟み込みまでの間の電解質膜の加熱乾燥収縮を防止し、それによって電解質膜の位置ずれを抑制し、且つ、気密性の高いシールを達成することができる。また、予め前記発熱体の温度を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に設定しておくことができることで、前記熱圧着手段の温度設定を変更することなく複数の単セルを次々にシールすることができることから、効率の良い燃料電池単セルの作製が達成できる。さらに、前記下側加圧体は前記仮組み立て体の支持体の役目も果たし、前記昇温防止体の挿入及び除去、並びに前記発熱体の当該下側加圧体への接触及び分離に影響されることなく、前記仮組み立て体を下側加熱加圧面の上に安定して載置することができる。
本発明の燃料電池単セルのシール方法は、燃料電池単セルの外周をシールする方法であって、高分子電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体の更に外側を一対のセパレータで挟持した層構成を有し、当該層構成中の前記膜・電極接合体の両面において、前記電極の外周からはみ出した高分子電解質膜の外周縁部と前記セパレータの外周縁部とが対峙し、対峙しあう当該高分子電解質膜の外周縁部と当該セパレータの外周縁部との間に前記電極の外周を取り囲むシール部となる空隙を有する仮組み立て体を準備し、上方を向く下側加熱加圧面を有する下側加圧体と、当該下側加圧体の下側に配置され、当該下側加圧体に対し相対的に上下動して当該下側加圧体への接触と当該下側加圧体からの分離を繰り返すことが可能な発熱体と、当該下側加圧体と当該発熱体が分離している時に、当該下側加圧体と当該発熱体の間隙への挿入と当該間隙からの除去を繰り返すことが可能な昇温防止体とを備える下側加熱加圧部、及び、当該下側加熱加圧面と対をなす上側加圧面を有する上側加圧体を備える上側加圧部を備える熱圧着手段を準備し、前記熱圧着手段の初期設定を、前記下側加熱加圧部内で前記下側加圧体と前記発熱体の間に前記昇温防止体が挿入された初期配置、且つ、前記発熱体が熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となり、前記下側加熱加圧面が熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に予め設定し、前記仮組み立て体の前記シール部となる空隙に、前記熱圧着手段による熱圧着の開始前又は途中のいずれかの段階で前記熱硬化性シール材を充填し、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置し、当該下側加熱加圧面と前記上側加圧面とで挟み込んだ後、前記下側加圧体と前記発熱体の間から前記昇温防止体を除去し、前記発熱体を移動して前記下側加圧体と接触させて、前記下側加熱加圧面の温度を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に昇温させることで当該熱硬化性シール材が硬化し熱圧着を行なうことを特徴とする。
前記上側加圧体は、均一な硬化を行う観点から加熱可能なもの(加熱加圧板など)を用いることが好ましいが、加熱機能が無くてもよい。
上記「当該下側加圧体に対し相対的に上下動して当該下側加圧体への接触と当該下側加圧体からの分離を繰り返すことが可能な発熱体」とは、前記下側加圧体が固定されている所に前記発熱体が上昇・下降する場合だけでなく、前記発熱体が固定されている所に前記下側加圧体が下降・上昇する場合も含む。さらに前記下側加圧体及び前記発熱体のどちらも上昇・下降する場合も含む。また、接触とは前記下側加圧体及び前記発熱体の一部分同士が触れ合っている場合も含み、また、前記下側加圧体及び前記発熱体の全面が接触している場合も含む。ただし、分離は前記下側加圧体及び前記発熱体の全面が完全に離れていることを意味する。
上記「当該下側加圧体と当該発熱体が分離している時に、当該下側加圧体と当該発熱体の間隙への挿入と当該間隙からの除去を繰り返すことが可能な昇温防止体」とは、前記下側加圧体と前記発熱体とが完全に離れる程に当該昇温防止体が挿入されることを意味し、また、前記下側加圧体と前記発熱体の一部分同士又は全面が接触することが可能な程に前記昇温防止体が除去されることを意味する。また、前記昇温防止体の挿入・除去の動作は繰り返すことが可能であるという意味は、前記下側加圧体と前記発熱体が分離している時には、前記熱圧着手段の他の構成要素の動作にかかわらず、何度でも行うことが可能であるという意味である。
ここでいう熱硬化温度とは、通常液体である樹脂が、単独または添加物を加えて加熱されることにより反応し、3次元構造または網状構造となり硬化する温度である。
ここで、前記仮組み立て体について、図を用いて詳しく説明する。図2は、仮組み立て体200を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。前記仮組み立て体200は、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)21と、前記電解質膜21を挟んだ一対のカソード電極26及びアノード電極27とでなる膜・電極接合体28を含み、さらに前記膜・電極接合体28を電極の外側から挟んだ一対のセパレータ29及び30とでなる。セパレータと電極の境界にはガス流路31及び32が確保されている。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成されたものが用いられる。すなわち、カソード電極26はカソード触媒層22とガス拡散層24とを積層したものからなり、アノード電極27はアノード触媒層23とガス拡散層25とを積層したものからなる。
さらに、対峙しあう前記電解質膜21の外周縁部と前記セパレータ29及び30の各外周縁部との間には、前記カソード電極26及び前記アノード電極27の各外周を取り囲むシール部となる空隙33及び34が設けられている。
ここで、高分子電解質膜とは、燃料電池において使用される高分子電解質膜であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
触媒層は、触媒、導電性材料及び高分子電解質を含有する触媒インクを用いて形成することができる。
触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、燃料極の燃料の酸化反応又は酸化剤極の酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。
触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。導電性材料は、触媒層に導電性を付与するための導電性材料としての役割も担っている。
触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクをガス拡散層シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよいし、或いは、電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、電解質膜表面に触媒層を形成してもよい。或いは、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、該転写シートを、電解質膜又はガス拡散シートと熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、電解質膜表面上に触媒層を形成するか、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよい。
触媒インクは上記のような触媒と電極用電解質とを、溶媒に溶解又は分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、触媒及び電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、単位面積当りの触媒成分量が、0.01〜2.0mg/cm程度となるようにすればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
ガス拡散層を形成するガス拡散層シートとしては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層シートは、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
撥水層を導電性多孔質体上に形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層インクを、導電性多孔質体の少なくとも触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。撥水層の厚さは、通常、1〜50μm程度でよい。撥水層インクを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
また、導電性多孔質体は、触媒層と面する側に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂をバーコーター等によって含浸塗布することによって、触媒層内の水分がガス拡散層の外へ効率良く排出されるように加工されていてもよい。
上記したような方法によって触媒層を形成した電解質膜及びガス拡散層シートは、適宜、重ね併せて熱圧着等し、互いに接合することで、膜・電極接合体が得られる。
作製された膜・電極接合体は、さらに、セパレータで狭持され、仮組み立て体を形成する。セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
熱硬化性シール材は、セパレータで膜・電極接合体を挟持する前に、前記シール部となる空隙33及び34に塗布又は注入し、その後セパレータで挟持してもよいし、又は、セパレータで挟持した後の前記シール部となる空隙33及び34に塗布又は注入してもよい。あるいは、前記熱圧着手段による熱圧着途中において前記シール部となる空隙33及び34に注入して充填してもよい。
熱硬化性シール材は、加熱前は液状等の流動性の高い状態、加熱後は固体又はゴム状等の流動性の全く無い状態である性質を持つことが必要であり、そのような観点から、熱硬化性シール材は熱硬化性樹脂であるのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、加硫ゴム、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、ジアリルフタレートが挙げられる。
以下、図面を参照しながら本発明の熱圧着工程について詳しく説明する。図3は本発明の熱圧着工程の典型例の層構成を模式的に示した斜視図である。図2に示したような仮組み立て体41は、上側加圧体42と下側加熱加圧部43によって挟持され、加熱される。前記下側加熱加圧部43は、下側加圧体44と当該下側加圧体44の下側に配置され、当該下側加圧体に対し相対的に上下動することが可能な発熱体46との間に、昇温防止体45が挿入された初期配置になっており、すなわち、前記下側加熱加圧部43の構成は、上から前記下側加圧体44、前記昇温防止体45、前記発熱体46の順に積み重なっている。
また、前記発熱体46が熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となり、前記下側加圧体44の有する下側加熱加圧面が前記熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に予め設定されている。前記発熱体46が有する前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上の温度は、挿入された前記昇温防止体45のために前記下側加熱加圧面に伝わることはなく、したがってこの初期設定では、前記下側加熱加圧面を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に保ち続けることができる。
前記下側加圧体44と前記昇温防止体45、及び前記昇温防止体45と前記発熱体46の各界面は、途中操作において前記昇温防止体45が前記下側加熱加圧面に平行方向に支障なく除去・挿入が行える程滑らかであるのが好ましい。なお、前記各界面は平面であることが好ましいが、平面でなくても構わない。
図4は、本発明の熱圧着工程の典型例を模式的に示した図であり、仮組み立て体が前記上側加圧体42と前記下側加熱加圧部43によって挟持される一連の工程を表す断面模式図である。
図4(a)は、前記初期配置の前記下側加熱加圧部43の有する前記下側加熱加圧面の上に仮組み立て体を載置した図の主要部である。この時、下側加圧体44の有する下側加熱加圧面が前記熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に予め設定してあるため、前記仮組み立て体中の電解質膜が加熱乾燥収縮を起こすことはなく、したがって電解質膜の位置ずれは防止されている。
図4(b)は、図4(a)の状態にさらに上側加圧体42を乗せて、前記仮組み立て体を、前記下側加熱加圧部43と前記上側加圧体42とで挟み込んでいる図の主要部である。前記上側加圧体42は、加熱機能を有し、前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に設定されているのが好ましい。仮に前記上側加圧体42が前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に設定されている時、仮組み立て体の上面は前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に加熱されてしまうが、前記下側加熱加圧部43と前記上側加圧体42による挟持と同時に前記上側加圧体42による加熱が始まるため、当該上側加圧体42による仮組み立て体の全面加熱を行うとしても、加圧板の拘束力によって電解質膜の乾燥収縮による位置ずれへの悪影響は及ぼさない。
図4(c)は、図4(b)の状態から前記昇温防止体45を除去した後、前記発熱体46を前記下側加圧体44に相対的に上昇させ、前記下側加圧体44及び前記発熱体46を接触させて熱圧着している図の主要部である。この時、前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上の温度となっている前記発熱体46の熱が速やかに前記下側加圧体44へと伝わり、その結果、前記下側加熱加圧面の温度が前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となり、前記仮組み立て体の下面において加熱が始まることになる。
図4(a)において、仮に下側加熱加圧面の全面が前記熱硬化温度以上に初期設定されている下側加圧体を用いたとすると、下側加熱加圧部と上側加圧体とによる仮組み立て体の挟持よりも先に、仮組み立て体の下面の加熱が始まってしまうため、電解質膜の乾燥収縮が起こり、電解質膜の位置ずれを抑えることができなくなってしまう。
また本典型例は、予め常時前記発熱体46を前記熱硬化温度以上の温度に加熱していることにより、例えば、下側加熱加圧部と上側加圧体とによる仮組み立て体の挟持を行うごとに、下側加熱加圧部の加熱及び冷却を繰り返して熱圧着する方法よりも生産性が高く、短い時間でより多くの仮組み立て体の熱圧着を行うことができる。
なお、図4(a)及び(b)中の前記シール部となる空隙33及び34には、熱圧着の開始前又は途中のいずれかの段階で、図4(c)中に示すように、前記熱硬化性シール材47及び48が充填される。
加熱後、前記下側加圧体44と前記上側加圧体42の間から取り外すことで、上述したシール部13及び14を有する前記単セル100が完成する。なお、前記仮組み立て体を前記下側加熱加圧面の上に載置してから(図4(a)の状態)、当該下側加熱加圧面と前記上側加圧面とで挟み込んで熱圧着する(図4(c)の状態)までの時間は、たとえば前記発熱体46が80〜140℃に設定されている時は、10〜30分であるのが好ましい。
シール部が完成した単セルを取り外した後、接触している前記下側加圧体44と前記発熱体46とを分離し、当該下側加圧体44と当該発熱体46との間隙へ前記昇温防止体45を挿入することにより、続く新たな仮組み立て体の熱圧着に備えることができる。
上述のように電解質膜の加熱乾燥収縮防止の観点から、前記下側加熱加圧面の初期温度を、50℃以下に設定するのが好ましい。なお、前記温度は50℃以下である限り、作業雰囲気温度以上でも差し支えない。これは、50℃以下であれば、作業雰囲気未満に冷却する必要なく電解質膜の加熱乾燥収縮防止という目的が達成できるからである。
また、前記下側加圧体44が前記発熱体46と接触した際に速やかに前記下側加熱加圧面の温度が前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となるのが好ましいため、前記下側加圧体44の熱伝導率が50W/(m・K)以上であることが好ましく、材料の例としては、銀、銅、鉄、アルミ、金、若しくはステンレス等又はこれらの混合物を用いることができ、特に銅を用いるのが最も好ましい。さらに、前記下側加圧体は前記仮組み立て体の支持体の役目も果たすため、仮組み立て体の載置及び熱圧着によって形状を変えないことが理想であり、したがって、熱伝導の観点からも前記下側加圧体44は、厚さ5〜30mmの銅板であるのが最も好ましい。
さらに、前記熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる温度を達成するために、前記昇温防止体45として、断熱材及び冷却手段から選ばれる昇温防止手段が設けられているのが好ましい。前記昇温防止手段は、断熱材及び冷却手段を組み合わせて用いてもよく、また上述したように、前記下側加圧体44が前記仮組み立て体の支持体として機能しているため、前記昇温防止手段の挿入及び除去は容易に行うことができる。
前記冷却手段を用いる場合には、冷媒を用いるのが好ましい。冷媒としては、安価で取り扱い容易な水を用いることができる。この場合、水は液体であるため、水を密閉した容器を設置してもよいし、又は管を通し、水を連続的に流してもよい。
前記断熱材を用いる場合は、前記断熱材の熱伝導率が10W/(m・K)以下であることが好ましく、具体的には、アルミナなどのセラミクス、シリカ、セメント、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ロックウール、グラスウール、発泡ガラス、フェノールフォーム、又は高発泡ポリエチレンを用いるのが好ましい。また、前記断熱材は断熱の効果を常に一定の水準に保つため、熱圧着のたびに毎回交換することが好ましい。
前記発熱体46は前記下側加圧体44に対する密着性があり、前記下側加圧体44との接触時にまんべんなく接触するのが好ましい。これは、前記下側加圧体44の有する前記下側加熱加圧面の迅速な昇温を促すためである。なお、図4(a)及び(b)においては、前記発熱体46は前記昇温防止体45に対しても隙間なくぴったりと接触しているように示されているが、前記発熱体46と前記昇温防止体45とは特にこのように接触している必要はなく、隙間が空いていてもよい。さらに、前記発熱体46は当該発熱体46自身が発熱機構を有するか又は当該発熱機構と接続している必要があり、発熱機構の手法としては、電気的発熱、可燃性ガス若しくは液体の燃焼、若しくは熱媒の循環等又はこれらを組み合わせた手法を用いることができる。
これらの条件から、前記発熱体46はステンレス、鉄、若しくはアルミ等の金属又はこれらの合金から構成されているのが好ましい。
前記上側加圧体42は、加熱機能を有し、前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に設定されているのが好ましい。また、前記上側加圧体42はステンレス、鉄、若しくはアルミ等の金属又はこれらの合金から構成されている板状のものであるのが好ましい。さらに前記加熱機能は、電気的発熱、可燃性ガス若しくは液体の燃焼、若しくは熱媒の循環等又はこれらを組み合わせた手法を用いて前記上側加圧体42の温度を設定するのが好ましい。
図5は、本発明の熱圧着工程の第2の典型例を模式的に示した図であり、発熱体として,上記典型例に示すような金属又は合金を用いたものとは異なる、可撓性気密膜、流動性熱媒体及び流動性熱媒体調節装置を用いた例を示した一連の断面模式図である。
図5(a)は、初期配置の下側加熱加圧部52の有する下側加熱加圧面の上に、図2に示すような仮組み立て体を載置した図の主要部である。なお、ここで初期配置とは、下側加熱加圧部52内で下側加圧体53と可撓性気密膜46aとの間に昇温防止体54が挿入されている状態のことをいい、すなわち、前記下側加熱加圧部52の構成は、上から前記下側加圧体53、前記昇温防止体54、前記可撓性気密膜46aの順に積み重なっている。さらに、図には示されていないが、前記可撓性気密膜46aは流動性熱媒体調節装置に接続されており、さらに前記膜46aの内部には流動性熱媒体が一定量流し入れられている。前記流動性熱媒体調節装置は、前記流動性熱媒体の温度及び前記膜46aへの流入・排出速度を管理する装置であり、その設定は後述する流動性熱媒体に用いられる材料の種類に応じて適宜調節される。
図5(b)は、図5(a)の状態にさらに上側加圧体51を乗せて、前記仮組み立て体を、前記下側加熱加圧部52と前記上側加圧体51とで挟み込んでいる図の主要部である。
上述のように前記可撓性気密膜46aの中には、流動性熱媒体が一定量流し入れられており、前記流動性熱媒体調節装置の温度管理によって、前記可撓性気密膜46a全体が予め前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上の温度に設定されている。前記可撓性気密膜46aが有する熱は、挿入された前記昇温防止体54のために前記下側加熱加圧面に伝わることはなく、したがってこの初期設定では、前記下側加熱加圧面を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に保ち続けることができる。また、この時の流動性熱媒体としては、加熱の容易さ、安全性、流入・排出のし易さ等の観点から、シリコーンオイル、エチレングリコール、又はDowthermA(商品名。ダウケミカル社製)を用いるのが好ましい。
なお、この図5(a)及び(b)は、図4(a)及び(b)の発熱体46として可撓性気密膜46aを用いた図であるということ以外は図4(a)及び(b)と同じ図であり、したがって電解質膜の乾燥収縮による位置ずれへの悪影響が無い等の効果は、図4(a)及び(b)となんら変わりが無い。
図5(c)は、図5(b)の状態から前記昇温防止体54を除去した後、前記可撓性気密膜46aの中に流動性熱媒体をさらに流し入れることで膨張させ、前記下側加圧体53に相対的に上昇させ、前記下側加圧体53及び前記可撓性気密膜46aを接触させて熱圧着している図の主要部である。この時、前記可撓性気密膜46aの前記熱硬化性シール材の熱が速やかに前記下側加圧体53へと伝わり、その結果、前記下側加熱加圧面の温度が前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となり、前記仮組み立て体の下面において加熱が始まることになる。
前記下側加圧体53と前記昇温防止体54、及び前記昇温防止体54と前記可撓性気密膜46aの各界面は、途中操作において前記昇温防止体54が前記下側加熱加圧面に平行方向に支障なく除去・挿入が行える程滑らかであるのが好ましい。なお、前記各界面は平面であることが好ましいが、平面でなくても構わない。
なお、図5(a)及び(b)中の前記シール部となる空隙33及び34には、熱圧着の開始前又は途中のいずれかの段階で、図5(c)中に示すように、前記熱硬化性シール材55及び56が充填される。
加熱後、前記下側加圧体53と前記上側加圧体51の間から取り外すことで、上述したシール部13及び14を有する前記単セル100が完成する。
このように発熱体として可撓性気密膜を用いた熱圧着を行うことによって、流動性熱媒体の量を加減することで発熱体の上昇及び下降が容易に可能である。また、流動性熱媒体の温度を調節することによって、容易に発熱体の温度を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上の温度へと設定することができる。
典型例及び第2の典型例のいずれにおいても、前記下側加熱加圧面の初期温度を、前記高分子電解質膜について後述する加熱乾燥試験を行ったときに測定される高分子電解質膜の収縮率が3%以下となる温度に設定することが好ましい。
このような構成の燃料電池単セルのシール方法は、前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置した際に、前記昇温防止体によって前記発熱体の熱が下側加熱加圧面に伝わらないことにより、前記下側加熱加圧面と前記上側加圧面との前記仮組み立て体の挟み込みまでの間の電解質膜の加熱乾燥収縮を防止し、それによって電解質膜の位置ずれを抑制し、且つ、気密性の高いシールを達成することができる。仮に、挟持する前に加熱を仮組み立て体の全面によって行うとすると、電解質膜が熱乾燥状態となり収縮が起こり、電解質膜の位置ずれを防ぐことができない。
また、予め温度設定がされている装置を用いて熱圧着を行うことによって、例えば熱圧着のたびごとに昇温/冷却を繰り返さなければならない熱圧着工程とは異なり、単セルのシール時間短縮につながり、時間効率の良い燃料電池単セルの作製を達成することができる。
さらに、前記下側加圧体は前記仮組み立て体の支持体の役目も果たし、前記昇温防止体の挿入及び除去、並びに前記発熱体の当該下側加圧体への接触及び分離に影響されることなく、前記仮組み立て体を下側加熱加圧面の上に安定して載置することができる。
そして、前記昇温防止体として、断熱材及び冷却手段から選ばれる昇温防止手段を設けるという、簡便な方法により、容易に前記熱硬化温度未満の温度を設定することができ、且つ、前記冷却手段として冷媒を用いるか、又は、上述した熱伝導率を有する断熱材の素材を適宜選択するか、又はその両方の手段を併せて用いるかすることによって、適切な熱硬化温度未満の温度を容易に達成することができる。
さらに、前記下側加圧体が十分な熱伝導率を有することにより、前記下側加圧体と前記発熱体の間から前記昇温防止体を除去し、その後に前記下側加圧体と前記発熱体とを接触させた時に、前記下側加熱加圧面の温度を速やかに熱硬化温度へ上昇させることができる。
また、熱硬化温度及び熱硬化温度未満の温度を適切な温度に設定することにより、熱圧着後のシール部による単セルの気密性を確保し、且つ、電解質膜の加熱乾燥収縮による位置ずれを極めて小さくすることによって電解質膜の位置ずれを最小限にとどめることができる。
さらに、前記熱圧着手段の前記上側加圧面が加熱機能を有していることにより、前記仮組み立て体の両面を加熱することができるため、片面のみを加熱した時よりも、より均一なシールを作製することができ、また、更に短時間で燃料電池単セルの作製を達成することができる。
また、後述する加熱乾燥試験を行ったときに測定される高分子電解質膜の収縮率が3%以下となる温度に設定することにより、熱圧着後の電解質膜の加熱乾燥収縮による位置ずれを極めて小さくすることができる。
(加熱乾燥試験)
図6は、電解質膜の延伸方向及び当該延伸方向に垂直な方向の、仮組み立て体のシール部となる空隙より内側に対応する領域の温度と収縮率の相関を示した図である。なお、電解質膜としてはナフィオン(商品名。デュポン社製)を用いた。
本発明においては、前記領域の温度は、電解質膜が全く収縮しない常温が最も望ましい。ただし、実際の生産ラインでは、微小な収縮であれば歩留りが大きく低下することはないため、前記領域の温度に許容範囲を設けることができる。加熱乾燥試験としては、縦5cm×横5cmにカットした電解質膜(Nafion、DuPont社製)を、各温度に加熱したホットプレート上に5分放置し、元の寸法より収縮した分を、収縮率として算出した。図6に示される通り、収縮率3%以内を許容範囲と設定すると、前記領域の温度は、電解質膜の延伸方向及び当該延伸方向に垂直な方向のいずれにおいても、50℃まで許容することができる。
一般的な固体高分子電解質型燃料電池の単セル100を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 仮組み立て体200を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明の熱圧着工程の典型例の層構成を模式的に示した斜視図である。 仮組み立て体が上側加圧体42と下側加熱加圧部43によって挟持される一連の工程を表す断面模式図である。 本発明の熱圧着工程の第2の典型例を模式的に示した図であり、発熱体として,典型例に示すような金属又は合金を用いたものとは異なる、可撓性気密膜、流動性熱媒体及び流動性熱媒体調節装置を用いた例を示した一連の断面模式図である。 電解質膜の延伸方向及び当該延伸方向に垂直な方向の、仮組み立て体のシール部となる空隙より内側に対応する領域の温度と収縮率の相関を示した図である。
符号の説明
1…固体高分子電解質膜
2…カソード触媒層
3…アノード触媒層
4,5…ガス拡散層
6…カソード電極
7…アノード電極
8…膜・電極接合体
9,10…セパレータ
11,12…ガス流路
13,14…シール部
21…固体高分子電解質膜
22…カソード触媒層
23…アノード触媒層
24,25…ガス拡散層
26…カソード電極
27…アノード電極
28…膜・電極接合体
29,30…セパレータ
31,32…ガス流路
33,34…シール部となる空隙
41…仮組み立て体
42…上側加圧体
43…下側加熱加圧部
44…下側加圧体
45…昇温防止体
46…発熱体
46a…可撓性気密膜
47,48…熱硬化性シール材
51…上側加圧体
52…下側加熱加圧部
53…下側加圧体
54…昇温防止体
55,56…熱硬化性シール材
100…単セル
200…仮組み立て体

Claims (8)

  1. 燃料電池単セルの外周をシールする方法であって、
    高分子電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体の更に外側を一対のセパレータで挟持した層構成を有し、当該層構成中の前記膜・電極接合体の両面において、前記電極の外周からはみ出した高分子電解質膜の外周縁部と前記セパレータの外周縁部とが対峙し、対峙しあう当該高分子電解質膜の外周縁部と当該セパレータの外周縁部との間に前記電極の外周を取り囲むシール部となる空隙を有する仮組み立て体を準備し、
    上方を向く下側加熱加圧面を有する下側加圧体と、当該下側加圧体の下側に配置され、当該下側加圧体に対し相対的に上下動して当該下側加圧体への接触と当該下側加圧体からの分離を繰り返すことが可能な発熱体と、当該下側加圧体と当該発熱体が分離している時に、当該下側加圧体と当該発熱体の間隙への挿入と当該間隙からの除去を繰り返すことが可能な昇温防止体とを備える下側加熱加圧部、及び、当該下側加熱加圧面と対をなす上側加圧面を有する上側加圧体を備える上側加圧部を備える熱圧着手段を準備し、
    前記熱圧着手段の初期設定を、前記下側加熱加圧部内で前記下側加圧体と前記発熱体の間に前記昇温防止体が挿入された初期配置、且つ、前記発熱体が熱硬化性シール材の熱硬化温度以上となり、前記下側加熱加圧面が熱硬化性シール材の熱硬化温度未満となる初期温度に予め設定し、
    前記仮組み立て体の前記シール部となる空隙に、前記熱圧着手段による熱圧着の開始前又は途中のいずれかの段階で前記熱硬化性シール材を充填し、
    前記仮組み立て体を、初期設定した前記熱圧着手段の下側加熱加圧面の上に載置し、当該下側加熱加圧面と前記上側加圧面とで挟み込んだ後、前記下側加圧体と前記発熱体の間から前記昇温防止体を除去し、前記発熱体を移動して前記下側加圧体と接触させて、前記下側加熱加圧面の温度を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に昇温させることで当該熱硬化性シール材が硬化し熱圧着を行なうことを特徴とする、燃料電池単セルのシール方法。
  2. 前記下側加熱加圧面の初期温度を、前記高分子電解質膜について下記の加熱乾燥試験を行ったときに測定される高分子電解質膜の収縮率が3%以下となる温度に設定する、請求項1に記載の燃料電池単セルのシール方法:加熱乾燥試験としては、縦5cm×横5cmにカットした電解質膜(Nafion、DuPont社製)を、各温度に加熱したホットプレート上に5分放置し、元の寸法より収縮した分を、収縮率として算出する。
  3. 前記下側加熱加圧面の初期温度を、50℃以下に設定する、請求項1に記載の燃料電池単セルのシール方法。
  4. 前記昇温防止体として、断熱材及び冷却手段から選ばれる昇温防止手段が設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池単セルのシール方法。
  5. 前記断熱材の熱伝導率が、10W/(m・K)以下である、請求項4に記載の燃料電池単セルのシール方法。
  6. 前記冷却手段が、冷媒を用いる冷却手段である、請求項4に記載の燃料電池単セルのシール方法。
  7. 前記下側加圧体の熱伝導率が50W/(m・K)以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料電池の単セルのシール方法。
  8. 前記熱圧着手段の前記上側加圧面は加熱機能を有し、当該上側加圧面を前記熱硬化性シール材の熱硬化温度以上に予め加熱して熱圧着する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の燃料電池単セルのシール方法。
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