JP2009079582A - 燃料噴射量制御装置及び燃料噴射量制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】アルコール混合燃料を使用した場合において始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることの抑制を図った燃料噴射量制御装置及び燃料噴射量制御システムを提供する。
【解決手段】アルコール混合有りと判定された場合に始動期間燃料噴射量を設定するにあたり、始動時温度が所定範囲であると判定された場合には所定範囲でないと判定された場合に比べて小さく設定する。これによれば、始動時温度が所定範囲である場合にアルコール混合燃料の共沸現象がエンジン出力をアップさせるタイミングで始動期間燃料噴射量を小さくさせるので、その噴射量が過剰に多くなることを抑制できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、内燃機関の燃焼に用いる正規燃料へのアルコール混合有無に応じた燃料噴射制御を行う燃料噴射量制御装置及び燃料噴射量制御システムに関する。
近年では、ガソリンや軽油(以下、これらを正規燃料と呼ぶ)の代替燃料としてエタノール等のアルコールが注目されている。そして、燃料タンクに正規燃料が残っている状態でアルコールを補給してアルコール混合燃料とした場合を想定すると、アルコール混合燃料による燃焼エネルギは同じ量の正規燃料による燃焼エネルギに比べて小さいため、同じ出力トルクを得ようとすると、アルコール混合燃料の場合には正規燃料の場合に比べて燃料噴射量を多くさせる必要がある(特許文献1参照)。
特開平1−216040号公報
ところで、ガソリン等の正規燃料に比べてアルコールは揮発性が低い(気化しにくい)ものの、アルコールを正規燃料に混合してアルコール混合燃料とすると、正規燃料よりも揮発性が高くなるといった共沸現象が生じる。
ここで、一般的に、内燃機関の冷間始動時には、燃料の揮発性が低いため、始動時の燃料噴射量を多く設定することで、始動時の燃焼が安定して行われるようしている。より具体的には、内燃機関の冷間始動時には、噴射した燃料が液体の状態で吸気ポートや燃焼室内に一旦付着し、その後、付着した液体状態の燃料が徐々に気化し、その気化燃料が着火して燃焼し始めるため、燃料の揮発性が低くなっている分、始動時の燃焼を安定させるために、始動時の燃料噴射量を多く設定している。また、アルコール混合燃料を用いた場合には、正規燃料の場合に比べて燃焼エネルギが小さいことを考慮して、更に燃料噴射量を多く設定している(特許文献1参照)。
しかしながら、内燃機関の始動時において、共沸現象による揮発性の変化を考慮せずに、正規燃料の場合に比べて燃料噴射量を単純に多く設定していると、燃料噴射量を過剰に(不必要に)多くさせることとなる、といった不具合が生じることが考えられる。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、アルコール混合燃料を使用した場合において始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることの抑制を図った燃料噴射量制御装置及び燃料噴射量制御システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
<請求項1について>
請求項1記載の発明では、内燃機関の燃焼に用いる正規燃料にアルコールが混合されているか否かを判定するアルコール混合判定手段と、前記内燃機関の始動時温度が所定範囲であるか否かを判定する始動時温度判定手段と、前記内燃機関の始動時における始動期間燃料噴射量を設定する設定手段と、を備え、前記設定手段は、前記アルコール混合判定手段によりアルコール混合有りと判定された場合に前記始動期間燃料噴射量を設定するにあたり、前記始動時温度判定手段により前記始動時温度が所定範囲であると判定された場合には所定範囲でないと判定された場合に比べて小さく設定することを特徴とする。
ここで、本発明者は、試験を行い、エタノール濃度(アルコール濃度)が高いほど共沸現象により揮発性が高くなる知見を得た。また、本発明者は、使用する燃料の揮発性の違いよる、内燃機関始動時の出力軸回転速度(エンジン回転速度)の挙動の違いに着目して、エンジン(内燃機関)の始動時のエンジン回転速度の変化を、アルコール混合燃料と正規燃料との各々の場合で計測する試験を行った。また、始動時エンジン温度の条件を変化させて同様の試験を実施した。その結果、本発明者は、「内燃機関の始動時温度が所定範囲以内であれば、アルコール濃度が0パーセントの正規燃焼のエンジン回転速度(出力回転速度)のピーク値よりも、アルコールが混合されている燃料(アルコール混合燃料)のエンジン回転速度のピーク値の方が高い値となる」という知見を得た。すなわち、始動時エンジン温度が高すぎると、低揮発性の燃料であっても噴射燃料は直ちに気化することとなるため、燃料の揮発性の違いがエンジン回転速度の変化の違いとして現れなくなる。また、始動時エンジン温度が低すぎると、高揮発性の燃料であっても噴射燃料はなかなか気化しないこととなるため、燃料の揮発性の違いがエンジン回転速度の変化の違いとして現れなくなる。つまり、アルコールが混合された燃料が用いられ、且つ、始動時温度が所定範囲である場合には、共沸現象の影響により、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることがわかった。
そこで、本発明は、アルコール混合有りの場合に始動期間燃料噴射量を設定するにあたり、始動時温度が所定範囲である場合には所定範囲でないと判定された場合に比べて小さく設定する。これによれば、始動時温度が所定範囲である場合にアルコール混合燃料の共沸現象がエンジン出力をアップさせる期間中、始動期間燃料噴射量が小さく設定される。そのため、内燃機関の出力軸の回転速度(エンジン回転速度)のピーク値が、過剰に高くなってしまうことを抑制でき、ひいては、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることを抑制できる。
<請求項2について>
また、請求項2記載の発明のように、アルコール混合有りの場合に始動期間燃料噴射量を設定するにあたり、始動時温度が所定範囲である場合には所定範囲でないと判定された場合に比べて減量させるよう補正する補正手段を有すると良い。このように補正することで始動期間燃料噴射量を設定しても、内燃機関の出力軸の回転速度(エンジン回転速度)のピーク値が、過剰に高くなってしまうことを抑制でき、ひいては、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることを抑制できる。
<請求項3について>
図4にて例示される如く、各々のアルコール濃度に対するピーク値NEP(0),NEP(10),NEP(20)が発生した後、図中の符号t1に示すようにエンジン回転速度はアルコール濃度に拘わらず同じ値に近づく。このことは次の理由によると考察される(なお、図4において、実線はアルコールが混合していない正規燃料、図中の点線はアルコールが全体量に対して10%混合しているアルコール濃度10%の混合燃料、図中の一点鎖線はアルコール濃度20%の混合燃料の計測結果を示す)。すなわち、内燃機関の運転に伴い温度が上昇すると、低揮発性の燃料であっても噴射燃料は直ちに気化することとなるため、共沸現象による燃料の揮発性の違いがエンジン回転速度の違いとして現れなくなる。ちなみに、図4には経過時間10secまでの試験結果が示されているが、10sec以降においては、アルコール混合燃料の燃焼エネルギが小さいことに起因して、アルコール濃度が高いほどエンジン回転速度は低下する。
以上により、上記t1範囲にてエンジン回転速度がアルコール濃度に拘わらず同じ値に近づく時点(以下、単にt1時点と呼ぶ)以降は、設定手段による小さくする設定を禁止することで燃料噴射量が過剰に少なくなることを回避できる、との知見を本発明者は得た。さらに、燃料噴射弁からの燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式の内燃機関においては、噴射燃料が直ちに気化するか否かは吸気ポートの温度に大きく依存する(つまり、t1時点のタイミングは吸気ポート温度に大きく依存する)ことに本発明者は着目した。具体的には、吸気ポート温度がある所定温度に達した時点(t1に相当する時点)で、共沸現象による燃料の揮発性の違いがエンジン回転速度の違いとして現れなくなる。
これらの知見及び着目に基づき、請求項3記載の発明では、燃料噴射弁からの燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式の内燃機関に適用され、前記設定手段は、前記内燃機関の始動後、前記吸気ポートの温度が予め設定された所定温度に達するまで前記小さくする設定を実行し、前記所定温度に達した後は前記小さくする設定を禁止することを特徴とする。そのため、共沸現象による燃料の揮発性の違いがエンジン回転速度の違いとして現れなくなるt1の時点以降において、燃料噴射量が過剰に少なくなることを回避できる。
<請求項4について>
ここで、共沸現象はアルコール濃度が低すぎると顕著に現れなくなることは勿論であるが、ガソリンの性状等によってはアルコール濃度が高すぎても共沸現象が顕著に現れなくなり揮発性が低下することがある。
そこで、請求項4記載の発明では、正規燃料とアルコールとが混入された全燃料に対するアルコールの濃度を取得するアルコール濃度取得手段を備え、前記設定手段は、前記アルコール濃度取得手段により取得されたアルコール濃度が所定範囲であることを条件として前記小さくする設定を行うことを特徴とする。これによれば、共沸現象が顕著に現れる条件(アルコール濃度が所定範囲であるとの条件)を満たす場合に前記小さくする設定を行うので、共沸現象が顕著に現れない時に小さくする設定を行ってしまい、始動期間燃料噴射量が適正値よりも少なくなってしまうおそれを低減できる。
<請求項5について>
上記図4の試験結果に現れているように、アルコール濃度が高いほど共沸現象に起因したピーク値上昇の度合いが大きくなる。このことは、本発明に反して共沸現象を考慮せずに始動時温度とは無関係に始動期間燃料噴射量を設定した場合には、アルコール濃度が高いほど始動期間燃料噴射量の過多量が多くなることを意味する。
そこで、請求項5記載の発明では、前記正規燃料に対するアルコールの濃度を取得するアルコール濃度取得手段を備え、前記設定手段は前記小さくする設定を行うにあたり、前記アルコール濃度取得手段により取得されたアルコール濃度が高いほどより小さく設定することを特徴とする。そのため、アルコール濃度に応じて始動期間燃料噴射量が最適な量に近づけられるので、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることをアルコール濃度に応じてきめ細かく抑制できる。
<請求項6,7について>
なお、正規燃料はガソリンであることを特徴とする。
また、正規燃料は軽油であっても良い。
<請求項8について>
請求項8記載の発明では、燃料噴射弁と上記燃料噴射量制御装置とを備えることを特徴とする燃料噴射量制御システムである。この燃料噴射量制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明に係る燃料噴射量制御装置を具体化した一実施形態について説明する。なお、ここでは一例として、特にこの装置が、4輪自動車用のレシプロ式エンジン(内燃機関)を対象にしてエンジン制御を行うシステム(エンジン制御システム)に組み込まれた場合について説明する。また、本実施形態が対象とするエンジンは正規燃料をガソリンとした点火式エンジンであり、このガソリンにアルコールを混合したアルコール混合燃料を用いても対応できるように図られたエンジンである。本実施形態では混合するアルコールとしてエタノールを想定している。
図1は、エンジン制御システムの概要を示す構成図であり、エンジンECU10(燃料噴射量制御装置)には、クランク角センサ21(回転速度センサ)、吸気量センサ22、冷却水温度センサ23、シリンダ温度センサ24及びアルコールセンサ25からの検出信号が入力される。クランク角センサ21はエンジン30のクランク軸31(出力軸)の回転速度NEを検出する。吸気量センサ22は吸入空気流量Q(エンジン負荷)を検出する。冷却水温度センサ23はエンジン冷却水の温度TWを検出する。シリンダ温度センサ24はシリンダブロック32に取り付けられてシリンダブロック32の温度TE(エンジン30の温度)を検出する。
アルコールセンサ25は、図示しない燃料タンク内に設けられており、燃料中のアルコール濃度Cを検出する。このアルコールセンサ25は、燃料中に浸漬された1対の白金電極を有し、アルコール濃度に応じた電極間の抵抗値の変化により、出力電圧Vが変化するものである。この他、静電容量型のアルコールセンサを用いてもよい。
エンジンECU10はマイクロコンピュータを有しており、各種検出信号NE,Q,TW,TE,C等に基づき燃料噴射弁33の作動を制御することで、燃焼室に流入する燃料の噴射量及び噴射時期を制御する。なお、燃料噴射弁33は吸気ポート34に取り付けられており、燃料を吸気ポート34に噴射するポート噴射式が本実施形態では採用されている。
次に、燃料噴射量(1燃焼サイクルあたりに噴射される燃料の量)の設定手法について図1を用いて以下に説明する。
エンジンECU10は、基本噴射量算出手段11、補正量算出手段12、噴射量設定手段13、アルコール補正量算出手段14、アルコール補正抑制手段15及び吸気ポート温度推定手段16等を備えている。燃料噴射量の設定はこれらの手段11〜16(特許請求の範囲に記載の設定手段に相当)により実行される。これらの手段11〜16はマイクロコンピュータのプラグラムにより機能するものである。但し、当該プログラムに相当する回路をハード的に構成させてもよい。
エンジン30の始動を開始した時点(クランキング開始時点)からエンジン回転速度NEが設定値(例えば500rpm)を超えるまでは、冷却水温度TWに応じて吸入空気流量Qとは無関係に燃料噴射量(始動時噴射量)を設定する。この設定は噴射量設定手段13によりなされ、この設定による燃料噴射を始動時噴射と呼ぶ。なお、上記設定値は、スタータモータからクランク軸31への動力伝達が遮断されるクランキング上限値に設定して好適である。
一方、エンジン回転速度NEが設定値を超えた後は、エンジン回転速度NEと、吸入空気流量Qにより算出されるエンジン負荷とに基づき基本噴射量を算出するとともに、後に詳述する始動後増量、暖機増量、加速増量等の補正量を算出する。そして、基本噴射量に補正量を加算して最終的な噴射量を設定する。前記基本噴射量の算出は基本噴射量算出手段11によりなされ、前記補正量の算出は補正量算出手段12によりなされ、前記最終的な噴射量の設定は噴射量設定手段13によりなされる。このように基本噴射量に補正量を加算して設定された燃料噴射を通常時噴射と呼ぶ。
ちなみに、始動時噴射量は基本噴射量に対して極めて多い量(例えば2倍以上)である。そこで、始動時噴射から通常時噴射に切り換わる時に噴射量が急激に少なくなることを回避すべく、始動後増量により徐々に噴射量が少なくなるように設定される。よって、始動後増量の値は、始動時噴射量と基本噴射量との差分に基づき算出されるとともに、通常時噴射に切り換わった時点から徐々に少なくなるように算出される。また、暖機増量は冷間時に燃焼を安定させるためのものであり、冷却水温度TWに応じて算出される。
ところで、正規燃料(本実施形態ではガソリン)にアルコール(本実施形態ではエタノール)を混合させたアルコール混合燃料に関し、アルコール混合燃料による燃焼エネルギは同じ量の正規燃料による燃焼エネルギに比べて小さい。よって、同じ出力トルクを得ようとすると、アルコール混合燃料の場合には正規燃料の場合に比べて燃料噴射量を増量させる必要がある。
そこで、アルコール補正量算出手段14(アルコール混合判定手段)は、アルコールセンサ25からの検出信号に基づきアルコール混入の有無を判定し、アルコールの混入有りと判定された場合にアルコール補正量を算出する。また、アルコール補正量算出手段14(アルコール濃度取得手段)は、アルコールセンサ25の検出信号からアルコール濃度を取得し、取得したアルコール濃度が高いほどアルコール補正量の値を多くするよう算出する。なお、アルコール濃度は、正規燃料とアルコール等が混入された全燃料に対するアルコールの濃度である。
そして、噴射量設定手段13は、通常時噴射の場合には、補正量算出手段12により算出された補正量を基本噴射量に加算するとともに、アルコール補正量をも加算して最終的な噴射量を設定する。一方、始動時噴射の場合には、冷却水温度TWに応じて吸入空気流量Qとは無関係に算出した先述の始動時噴射量にアルコール補正量を加算して最終的な噴射量を設定する。
ところで、ガソリン等の正規燃料に比べてアルコールは揮発性が低い(気化しにくい)ものの、アルコールを正規燃料に混合してアルコール混合燃料とすると、正規燃料よりも揮発性が高くなるといった共沸現象が生じる。
そこで、本発明者は、正規燃料にアルコールが混入されることにより生じる共沸現象による揮発性の違いを把握するために試験を行った。図3は、当該共沸現象により揮発性が高くなることを表す試験結果であり、燃料温度と蒸発率との関係を示すグラフである。図3中の実線はエタノール濃度0%のガソリン、点線は、前記ガソリンにエタノールを混合したエタノール濃度10%の混合燃料、一点鎖線は、前記ガソリンにエタノールを混合したエタノール濃度20%の混合燃料を示す。この試験では、計測する燃料を液体の状態にて40℃から徐々に加熱していった時に、その燃料が液体の状態でどれだけ残っているかを計測することで、どれだけ蒸発したかを算出した結果である(JIS:K2422、ISO:5277参照)。つまり、温度上昇にともなう蒸発率変化を計測している。この試験結果によれば、エタノール濃度(アルコール濃度)が高いほど共沸現象により揮発性が高くなる。
また、内燃機関の冷間始動時には、噴射した燃料が液体の状態で吸気ポートや燃焼室内に一旦付着し、その後、付着した液体状態の燃料が徐々に気化し、その気化燃料が着火して燃焼し始めるため、使用する燃料の揮発性の違いに応じて、内燃機関始動時の出力軸回転速度(エンジン回転速度)の挙動に違いが現れる。そこで、本発明者は、内燃機関始動時におけるエンジン回転速度の挙動の違いを確認すべく、エンジン(内燃機関)の始動時のエンジン回転速度の変化を、アルコール混合燃料と正規燃料との各々の場合で計測する試験を行った。図4は、当該試験の結果を示すグラフであり、図中の実線はアルコールが混合していない正規燃料、図中の点線はアルコールが全体量に対して10%混合しているアルコール濃度10%の混合燃料、図中の一点鎖線はアルコール濃度20%の混合燃料の計測結果を示す。なお、当該試験では始動時のエンジン温度を25℃として実施した。
図4に示す試験結果から本発明者は次の知見を得た。すなわち、内燃機関始動時から所定期間T(例えば3秒)にて現れるエンジン回転速度のピーク値NEPに関し、アルコール濃度0%の正規燃料のピーク値NEP(0)よりも、アルコール混合燃料のピーク値NEP(10),NEP(20)の方が高い値となる。
さらに本発明者は、始動時エンジン温度の条件を変化させて同様の試験を実施した。その結果、アルコール濃度の違いによる上記ピーク値NEPの違いは、始動時エンジン温度が所定範囲外(例えば20℃〜100℃の範囲外)の時には顕著に現れない、との知見を得た。このことは次の理由によると考察される。すなわち、始動時エンジン温度が高すぎると、低揮発性の燃料であっても噴射燃料は直ちに気化することとなるため、燃料の揮発性の違いが上記ピーク値NEPの違いとして現れなくなる。また、始動時エンジン温度が低すぎると、高揮発性の燃料であっても噴射燃料はなかなか気化しないこととなるため、燃料の揮発性の違いが上記ピーク値NEPの違いとして現れなくなる。
上記知見をまとめると、『内燃機関の始動時温度が所定範囲内であれば、アルコール濃度が0%の正規燃料のピーク値NEP(0)よりもアルコール混合燃料のピーク値NEP(10),NEP(20)の方が高い値となる』と言うことができる。
つまり、共沸現象を考慮せずに(つまり、冷却水温度TWが所定範囲であるか否かとは無関係に)始動期間燃料噴射量を設定した場合には、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなる。なお、前記「始動期間」とは、上述した始動時噴射が実行される期間と、通常時噴射における始動後増量及び暖気増量の少なくとも一方が加算されている期間とを含む期間の総称である。
そこで、アルコール補正抑制手段15(補正手段、始動時温度判定手段)は、エンジン始動開始時点(クランキング開始時点)における冷却水温度TWが予め設定された所定範囲(例えば20℃〜100℃の範囲)である場合には、アルコール補正量算出手段14により算出されたアルコール補正量を減量するよう補正する。換言すれば、アルコール混合による燃焼エネルギ低減を鑑みて増量補正するにあたり、過剰に増量しないように抑制する。この減量補正による減量の値は、アルコール濃度が高いほど大きい値となるよう算出する。
吸気ポート温度推定手段16は、シリンダブロック32の温度TE(エンジン30の温度)に基づき、吸気ポート34の内壁面のうち燃料噴射弁33に対向する部分(図1中の符号34aの部分)の温度を推定する。この温度を吸気ポート温度TPと呼ぶ。そして、アルコール補正抑制手段15は、吸気ポート温度TPが予め設定された所定温度に達するまで上記減量補正を実行し、前記所定温度に達した後は減量補正の実行を禁止する。
次に、アルコール補正抑制手段15による処理内容を、図2を用いてより具体的に説明する。図2に示す処理は、エンジンECU10のマイクロコンピュータにより所定の時間周期(例えば10msec周期)又は所定クランク角毎で繰り返し実行される。また、当該処理は、車両乗員によりイグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして開始される。
そして、アルコール濃度Cが所定範囲α1〜β1であり(S10:YES)、エンジン始動時の冷却水温TWが所定範囲α2〜β2であり(S20:YES)、吸気ポート温度TPが所定温度α3以下である(S30:YES)との条件を満たした場合に、ステップS40において、アルコール補正量算出手段14により算出されたアルコール補正量を減量するよう補正する。つまり、アルコール混合による燃焼エネルギ低減を鑑みて増量補正するにあたり、過剰に増量しないように抑制する。
以上により、図1に示す構成では、アルコール混入有りと判定された場合に燃料噴射量を増量補正する燃料噴射量制御装置において、エンジンの始動時温度が所定範囲であれば、前記増量補正分を減量することとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)始動時噴射及び通常時噴射による噴射量(始動期間燃料噴射量)を設定するにあたり、アルコール混合有りの場合にはアルコール補正量の分だけ噴射量が増量されるものの、エンジン始動開始時点における冷却水温度TWが所定範囲α2〜β2である場合には、アルコール補正量が減量される。これによれば、アルコール混合燃料の共沸現象がエンジン出力をアップさせる期間中、始動期間燃料噴射量が減量されるので、アルコール混合による燃焼エネルギ低減を鑑みて増量補正するにあたり、過剰に増量しないように抑制される。そのため、エンジン回転速度NEのピーク値NEPが、図4に示すように過剰に高くなってしまうことを抑制でき、ひいては、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることを抑制できる。
(2)吸気ポート温度TPが所定温度α3に達するまでは、アルコール補正抑制手段15によりアルコール補正量の減量補正が実行され、吸気ポート温度TPが所定温度α3に達した後は、前記減量補正が禁止される。そのため、共沸現象による燃料の揮発性の違いがエンジン回転速度の違いとして現れなくなる先述した図4中のt1時点(つまり、吸気ポート温度TPが所定温度α3に達したと推定される時点)以降において、始動期間燃料噴射量が過剰に少なくなることを回避できる。
(3)アルコール補正抑制手段15によるアルコール補正量の減量補正は、アルコール濃度Cが所定範囲α1〜β1であることを条件として実行される。そのため、共沸現象が顕著に現れる条件(アルコール濃度Cが所定範囲α1〜β1であるとの条件)を満たす場合に、アルコール補正抑制手段15によるアルコール補正量の減量補正が実行されるので、共沸現象が顕著に現れない時に減量補正を実行してしまい、始動期間燃料噴射量が適正値よりも少なくなってしまうおそれを低減できる。
(4)アルコール補正抑制手段15によるアルコール補正量の減量補正の値は、アルコール濃度が高いほど大きい値となるよう算出される。そのため、アルコール濃度に応じて始動期間燃料噴射量が最適な量に近づけられるので、始動期間燃料噴射量が過剰に多くなることをアルコール濃度に応じてきめ細かく抑制できる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、例えば次のように実施しても良い。
・上記実施形態では、アルコール補正抑制手段15を始動期間中に機能させるにあたり、その始動期間を、始動時噴射が実行される期間と、通常時噴射における始動後増量及び暖気増量の少なくとも一方が加算されている期間とを含む期間としているが、始動時噴射が実行される期間のみとしてもよいし、エンジン始動開始時点(クランキング開始時点)又は燃焼が完爆した時点から予め設定された期間としてもよい。
・上記実施形態では、アルコール補正抑制手段15による減量補正を、吸気ポート温度TPが所定温度に達するまで実行させており、その吸気ポート温度TPをシリンダブロック32の温度TE(エンジン30の温度)に基づき推定しているが、排気温度や吸気温度に基づき推定するようにしてもよい。また、冷却水温TWに基づき推定してもよいが、この場合、吸気ポート34の内壁面34aの温度上昇に対する冷却水温TWの温度上昇は応答遅れが大きいことを考慮しなければならない。
・上記実施形態では、アルコール補正抑制手段15による減量補正量をアルコール補正量から減算させているが、本発明は減量補正量をアルコール補正量から減算させる手法に限定されるものではなく、例えば、補正量算出手段12による補正量や基本噴射量から減算させるようにしてもよい。
・また、上記実施形態では、アルコール補正抑制手段15による減量補正量をアルコール補正量から減算させているが、アルコール濃度、吸気ポートの温度等からアルコール補正量を算出するマップを用いて、直接アルコール補正量を算出しても良い。なお、このマップは、同じアルコール濃度で、吸気ポートの温度が所定範囲の場合には、吸気ポートの温度が所定範囲でない場合に比べ、アルコール補正量が小さくなるように設定されている。
・上記実施形態では、始動時温度が所定範囲であると判定された場合には、噴射量設定手段13及びアルコール補正量算出手段14により設定した噴射量を、アルコール補正抑制手段15により補正することで、所定範囲でないと判定された場合(共沸現象による影響をうけない場合)に比べて始動期間燃料噴射量を小さく設定している。つまり、設定した噴射量を補正することで始動期間燃料噴射量を小さくするよう設定していると言える。本発明はこのように補正を用いた内容に限定されず、始動時温度が所定範囲であると判定された場合には、始動期間燃料噴射量を直接設定(共沸現象による影響をうけない場合に比べて小さく設定)しても良い。
・上記実施形態では、正規燃料としてガソリンを、アルコールとしてエタノールを想定したが、これに限定されることはなく、正規燃料として、軽油を用いても良いし、アルコールとして、他のアルコール類をもちいても良い。
本発明の一実施形態に係るエンジン制御システムの概要を示す構成図。 図1のアルコール補正抑制手段により実行される処理内容を示すフローチャート。 共沸現象による揮発性の変化を計測した試験結果を示すグラフ。 エンジン始動時のエンジン回転速度の変化を、アルコール混合燃料と正規燃料との各々の場合で計測した試験の試験結果を示すグラフ。
符号の説明
10…ECU(設定手段)、14…アルコール補正量算出手段(設定手段、アルコール混合判定手段)、15…アルコール補正抑制手段(設定手段、補正手段、始動時温度判定手段)、16…吸気ポート温度推定手段(設定手段)、30…エンジン(内燃機関)。

Claims (8)

  1. 内燃機関の燃焼に用いる正規燃料にアルコールが混合されているか否かを判定するアルコール混合判定手段と、
    前記内燃機関の始動時温度が所定範囲であるか否かを判定する始動時温度判定手段と、
    前記内燃機関の始動期間における始動期間燃料噴射量を設定する設定手段と、
    を備え、
    前記設定手段は、前記アルコール混合判定手段によりアルコール混合有りと判定された場合に前記始動期間燃料噴射量を設定するにあたり、前記始動時温度判定手段により前記始動時温度が所定範囲であると判定された場合には所定範囲でないと判定された場合に比べて小さく設定することを特徴とする燃料噴射量制御装置。
  2. 前記設定手段は、
    前記アルコール混合判定手段によりアルコール混合有りと判定された場合に前記始動期間燃料噴射量を設定するにあたり、前記始動時温度判定手段により前記始動時温度が所定範囲であると判定された場合には所定範囲でないと判定された場合に比べて減量させるよう補正する補正手段を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。
  3. 燃料噴射弁からの燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式の内燃機関に適用され、
    前記設定手段は、前記内燃機関の始動後、前記吸気ポートの温度が予め設定された所定温度に達するまで前記小さくする設定を実行し、前記所定温度に達した後は前記小さくする設定を禁止することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料噴射量制御装置。
  4. 全燃料に対するアルコールの濃度を取得するアルコール濃度取得手段を備え、
    前記設定手段は、前記アルコール濃度取得手段により取得されたアルコール濃度が所定範囲であることを条件として前記小さくする設定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射量制御装置。
  5. 全燃料に対するアルコールの濃度を取得するアルコール濃度取得手段を備え、
    前記設定手段は前記小さくする設定を行うにあたり、前記アルコール濃度取得手段により取得されたアルコール濃度が高いほどより小さく設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料噴射量制御装置。
  6. 前記正規燃料はガソリンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃料噴射量制御装置。
  7. 前記正規燃料は軽油であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃料噴射量制御装置。
  8. 燃料噴射弁と、請求項1〜7のいずれか1つに記載の燃料噴射量制御装置とを備えることを特徴とする燃料噴射量制御システム。
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