JP2009052456A - アルコール混合判定装置及びアルコール混合判定システム - Google Patents

アルコール混合判定装置及びアルコール混合判定システム Download PDF

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Abstract

【課題】システム異常による空燃比リーンずれとアルコール混合による空燃比リーンずれとを判別できるアルコール混合判定装置を提供する。
【解決手段】目標空燃比に対する実空燃比のリーン側へのずれ量が所定量以上であると判定された場合であって、エンジン始動時温度が所定範囲であるとの条件下でエンジン始動時に現れるエンジン回転速度のピーク値NEPが所定値以上である場合(ケース(1))には、アルコールが混合されていると判定する。一方、リーン側ずれ量が所定量以上であると判定された場合であっても、前記条件下で前記ピーク値NEPが前記所定値未満である場合(ケース(3))にはシステム異常であると判定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、内燃機関の燃焼に用いる正規燃料にアルコールが混合されているか否かを判定するアルコール混合判定装置に関する。
近年では、ガソリンや軽油(以下、これらを正規燃料と呼ぶ)の代替燃料としてエタノール等のアルコールが注目されている。そして、燃料タンクに正規燃料が残っている状態でアルコールを補給してアルコール混合燃料とした場合を想定すると、正規燃料とアルコール混合燃料とでは物性が異なるため、物性の違いに応じて燃料噴射量や点火時期等の内燃機関の制御内容を変更する必要がある。
具体的には、アルコール混合燃料による燃焼エネルギーは同じ量の正規燃料による燃焼エネルギーに比べて小さいため、同じ出力トルクを得ようとすると、アルコール混合燃料の場合には燃料噴射量を多くする必要がある。そこで、実空燃比が目標空燃比に近づくように目標燃料噴射量を空燃比フィードバック制御するにあたり、アルコール混合燃料の場合には正規燃料の場合に比べて目標燃料噴射量を多くするよう制御内容を変更する必要がある。
但し、アルコールを燃焼させると、その物性上、化学反応の生成物として酸素が発生する。したがって、例えば実空燃比が目標空燃比に近づくように目標燃料噴射量を空燃比フィードバック制御しても、アルコール混合燃料を使用している場合にはリーン側への空燃比ずれ(以下、空燃比リーンずれと言う)が十分に解消されないことがある。
この点を鑑みた特許文献1記載の制御では、アルコール濃度が高いほど燃焼時の酸素発生による実空燃比と目標空燃比との差(リーン側ずれ量)がリーン側に大きくなることに着目して、リーン側ずれ量が大きいほど高アルコール濃度であると推定している。そして、高アルコール濃度であるほど、空燃比フィードバック制御にて算出される目標燃料噴射量を多くするよう変更(補正)している。
特開平5−163992号公報
しかしながら、空燃比センサ及び燃料噴射弁の経年劣化や故障等、システムのハード構成に異常が生じた場合には、実際には空燃比リーンずれが生じていないにも拘わらずずれが生じていると誤検出するおそれがある。そして、上記従来制御では、空燃比リーンずれを検出した場合に、その検出結果が前述のシステム異常に起因するものであるかアルコール混合によるものであるかを判別することができない。よって、システム異常により空燃比リーンずれが誤検出されている場合であっても、誤検出したリーン側ずれ量に応じて内燃機関の制御内容(目標燃料噴射量)を変更してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、システム異常による空燃比リーンずれとアルコール混合による空燃比リーンずれとを判別できる、アルコール混合判定装置及びアルコール混合判定システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、内燃機関の燃焼に用いる正規燃料にアルコールが混合されているか否かを判定するアルコール混合判定装置であって、前記内燃機関の運転状態に基づき算出された目標空燃比に対する実際の空燃比のリーン側へのずれ量が、所定量以上であるか否かを判定するリーンずれ判定手段と、前記リーンずれ判定手段により前記リーン側ずれ量が所定量以上であると判定された場合であって、前記内燃機関の始動時温度が所定範囲であるとの条件下で前記内燃機関を始動する時に現れる出力軸回転速度のピーク値が所定値以上である場合には、アルコールが混合されていると判定するアルコール混合判定手段と、前記リーンずれ判定手段により前記リーン側ずれ量が所定量以上であると判定された場合であっても、前記条件下で前記ピーク値が前記所定値未満である場合にはシステム異常であると判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とする。
本発明者は次に説明する共沸現象に着目して上記発明を想起した。すなわち、ガソリン等の正規燃料に比べてアルコールは揮発性が低い(気化しにくい)ものの、アルコールを正規燃料に混合してアルコール混合燃料とすると、正規燃料よりも揮発性が高くなるといった共沸現象が生じる。この現象は、液体の混合物が沸騰する時に液相と気相が同じ組成になることに起因した周知の現象である。
図5は、当該共沸現象により揮発性が高くなることを表す試験結果であり、燃料温度と蒸発率との関係を示すグラフである。図5中の実線はエタノール濃度0%のガソリン、点線は、前記ガソリンにエタノールを混合したエタノール濃度10%の混合燃料、一点鎖線は、前記ガソリンにエタノールを混合したエタノール濃度20%の混合燃料を示す。この試験では、計測する燃料を液体の状態にて40℃から徐々に加熱していった時に、その燃料が液体の状態でどれだけ残っているかを計測することで、どれだけ蒸発したかを算出した結果である(JIS:K2422、ISO:5277参照)。つまり、温度上昇にともなう蒸発率変化を計測している。この試験結果によれば、エタノール濃度(アルコール濃度)が高いほど共沸現象により揮発性が高くなる。
ここで、内燃機関の冷間始動時には、噴射した燃料が液体の状態で吸気ポートや燃焼室内に一旦付着する。その後、付着した液体状態の燃料が徐々に気化し、その気化燃料が着火して燃焼し始める。したがって、使用する燃料の揮発性の違いに応じて、内燃機関始動時の出力軸回転速度(エンジン回転速度)の挙動に違いが現れる。つまり、共沸現象により揮発性が高くなっているアルコール混合燃料と正規燃料とでは、内燃機関始動時のエンジン回転速度が異なる挙動で変化する。
本発明者はこのような挙動の違いを確認すべく、エンジン(内燃機関)の始動時のエンジン回転速度の変化を、アルコール混合燃料と正規燃料との各々の場合で計測する試験を行った。図6は、当該試験の結果を示すグラフであり、図中の実線はアルコールが混合していない正規燃料、図中の点線はアルコールが全体量に対して10%混合しているアルコール濃度10%の混合燃料、図中の一点鎖線はアルコール濃度20%の混合燃料の計測結果を示す。なお、始動時のエンジン温度を25℃として当該試験を実施した。
図6に示す試験結果から本発明者は次の知見を得た。すなわち、内燃機関始動時から所定期間T(例えば3秒)にて現れるエンジン回転速度のピーク値NEPに関し、アルコール濃度0%の正規燃料のピーク値NEP(0)よりも、アルコール混合燃料のピーク値NEP(10),NEP(20)の方が高い値となる。
さらに本発明者は、始動時エンジン温度の条件を変化させて同様の試験を実施した。その結果、アルコール濃度の違いによる上記ピーク値NEPの違いは、始動時エンジン温度が所定範囲外(例えば20℃〜100℃の範囲外)の時には顕著に現れない、との知見を得た。このことは次の理由によると考察される。すなわち、始動時エンジン温度が高すぎると、低揮発性の燃料であっても噴射燃料は直ちに気化することとなるため、燃料の揮発性の違いが上記ピーク値NEPの違いとして現れなくなる。また、始動時エンジン温度が低すぎると、高揮発性の燃料であっても噴射燃料はなかなか気化しないこととなるため、燃料の揮発性の違いが上記ピーク値NEPの違いとして現れなくなる。
上記知見をまとめると、『内燃機関の始動時温度が所定範囲内であれば、アルコール濃度が0%の正規燃料のピーク値NEP(0)よりもアルコール混合燃料のピーク値NEP(10),NEP(20)の方が高い値となる』と言うことができる。したがって、システム異常が生じていない状態で正規燃料にアルコールを混合すれば、空燃比リーンずれが生じることに加え、内燃機関の始動時温度が所定範囲であるとの条件下にてピーク値NEPが高くなる。一方、アルコールが混合されていない状態でシステム異常により空燃比リーンずれを誤検出している場合には、前記条件下であってもピーク値NEPが高くなることはない。
この点に鑑みてなされた本発明によれば、リーンずれ判定手段により空燃比リーン側ずれ量が所定量以上であると判定された場合であって、内燃機関の始動時温度が所定範囲であるとの条件下でピーク値NEPが所定値γ1(図6参照)以上である場合には、アルコール混合判定手段によりアルコールが混合されていると判定する。このような場合には、アルコール混合燃料の共沸現象によりピーク値NEP(10),NEP(20)が所定値γ1より高くなっていると判定できるからである。なお、前記所定値γ1は正規燃料のピーク値NEP(0)以上の大きさに設定しておけばよい。
一方、空燃比リーン側ずれ量が所定量以上であり始動時温度が所定範囲であるとの条件を満たしているにも拘わらずピーク値NEPが所定値γ1未満である場合には、異常判定手段によりシステム異常であると判定する。以上により、本発明によれば、検出した空燃比リーンずれがシステム異常によるものであるかアルコール混合によるものであるかを、アルコール混合判定手段及び異常判定手段の両判定手段により判別できる。
なお、本発明に係る「リーンずれ判定手段」に関し、ずれ量が所定量以上であるか否かを判定するにあたり、実際の空燃比と目標空燃比との偏差に応じて燃料噴射量をフィードバック補正した後におけるずれ量を上記判定に用いるようにしてもよいし、フィードバック補正する前におけるずれ量を上記判定に用いるようにしてもよい。
例えば、フィードバック補正後のずれ量により判定する場合には、フィードバック補正を開始してから予め設定された時間が経過した時点でのずれ量を判定に用いることが具体例として挙げられる。フィードバック補正前のずれ量により判定する場合には、実空燃比が検出可能な状態になってから(センサが所定温度以上に上昇してから)予め設定された時間が経過するまでフィードバック補正を禁止し、その禁止期間中におけるずれ量を判定に用いることが具体例として挙げられる。
次に、上記図6の試験結果に現れているように、アルコール濃度が高いほど共沸現象に起因したピーク値上昇の度合いが大きくなる。また、アルコール濃度が高いほど燃焼時に生成される酸素が多くなることに起因して空燃比のリッチ側へのずれ量が大きくなる。この点に鑑み請求項2記載の発明では、前記アルコール混合判定手段によりアルコールが混合されていると判定された場合に、前記ピーク値及び前記リーン側ずれ量の少なくとも一方に基づきアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段を備えることを特徴とする。よって、アルコール濃度を検出するセンサを用いることなくアルコール濃度を推定できる。
ここで、システム異常が生じていなければ、アルコール燃料が混合されていないことにより空燃比リーン側ずれ量が所定量未満であると判定された場合であっても、共沸現象が生じていないためピーク値NEPは低くなっているものの、前記所定値以下に設定された第2所定値未満になることはない。この点に鑑み請求項3記載の発明では、前記リーンずれ判定手段により前記リーン側ずれ量が所定量未満であると判定された場合であって、前記ピーク値が前記所定値以下に設定された第2所定値未満である場合には、システム異常であると判定する第2異常判定手段を備えることを特徴とする。よって、空燃比リーン側ずれ量が所定量未満であると判定された場合においても、第2異常判定手段によりシステム異常の発生を検出できる。
請求項4記載の発明では、上記発明にかかるアルコール混合判定装置と、内燃機関の出力軸の回転速度を検出する回転速度センサ、及び空燃比を検出する空燃比センサの少なくとも一方と、を備えることを特徴とするアルコール混合判定システムである。このアルコール混合判定システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明に係るアルコール混合判定装置を具体化した一実施形態について説明する。なお、ここでは一例として、特にこの装置が、4輪自動車用のレシプロ式エンジン(内燃機関)を対象にしてエンジン制御を行うシステム(エンジン制御システム)に組み込まれた場合について説明する。また、本実施形態が対象とするエンジンは正規燃料をガソリンとした点火式エンジンであり、このガソリンにアルコールを混合したアルコール混合燃料を用いても対応できるように図られたエンジンである。本実施形態では混合するアルコールとしてエタノールを想定している。
図1は、エンジン制御システムの概要を示す構成図であり、エンジンECU10(アルコール混合判定装置)には、クランク角センサ21(回転速度センサ)、スロットル開度センサ22、冷却水温度センサ23、空燃比センサ24及びアルコールセンサ25からの検出信号が入力される。クランク角センサ21はエンジンのクランク軸(出力軸)の回転速度NEを検出する。スロットル開度センサ22は吸入空気流量を制御するスロットルバルブの開度TH(エンジン負荷)を検出する。冷却水温度センサ23はエンジン冷却水の温度TWを検出する。空燃比センサ24は燃焼室の排気側に配置され、排気中の酸素濃度を検出することで空燃比λ(空気過剰率)を検出する。
アルコールセンサ25は、図示しない燃料タンク内に設けられており、燃料中のアルコール濃度Cを検出する。このアルコールセンサ25は、燃料中に浸漬された1対の白金電極を有し、アルコール濃度に応じた電極間の抵抗値の変化により、出力電圧Vが変化するものである。この他、静電容量型のアルコールセンサを用いてもよい。
エンジンECU10はマイクロコンピュータを有しており、各種検出信号NE,TH,TW,λ,C等に基づき燃料噴射弁30の作動を制御することで、燃焼室に流入する燃料の噴射量及び噴射時期を制御する。燃料噴射量の制御についてより詳細に説明すると、エンジンECU10は、エンジン回転速度NE、スロットル開度TH等により算出されるエンジン負荷、及び冷却水温度TW等に基づき燃料の目標噴射量を算出する。さらに、実際の空燃比(実空燃比)が目標空燃比(例えばストイキ)に近づくよう前記目標噴射量をフィードバック補正する。
以上の燃料噴射制御は使用燃料がガソリンの場合の制御であるが、ガソリンにアルコールを混合したアルコール混合燃料を使用する場合には、アルコール濃度に応じて前記目標噴射量をさらに補正(アルコール濃度補正)する必要がある。以下に、上述の空燃比フィードバック補正及びアルコール濃度補正について、図2を用いてより具体的に説明する。
図2に示す処理は、エンジンECU10のマイクロコンピュータにより所定の時間周期(例えば10msec周期)で繰り返し実行される。ステップS10では、スロットル開度センサ22からの信号等によって得られる吸入空気流量Qと、クランク角センサ21からの信号によって得られるエンジン回転速度NEとから基本燃料噴射量Tp(=K・Q/NE;Kは定数)を演算する。
ステップS20では、必要に応じ、冷却水温Tw等に基づく各種補正係数COEFを設定する。ステップS30では、都度の空燃比偏差に基づいて設定される現在の空燃比フィードバック補正係数αを読み込む。ステップS40では、アルコールセンサ25からの信号によって得られるアルコール濃度Cを用いてアルコール濃度補正係数A(=f(C))を設定する。なお、後述する図4のステップS63にてアルコール濃度が推定された場合には、当該推定によるアルコール濃度Cを用いてアルコール濃度補正係数A(=f(C))を設定する。
続くステップS50では、次式に従って基本燃料噴射量Tpを補正して目標噴射量Tiを演算する。
Ti=Tp・COEF・α・A
目標噴射量Tiに対応する噴射時間だけ開弁して燃料を噴射させるよう、燃料噴射弁30の弁体開閉作動を制御する。当該ステップS50の処理は、図1に示す噴射量補正手段14により実行される。
次に、空燃比フィードバック補正係数の設定処理について説明する。エンジンECU10のマイクロコンピュータは先ず、吸入空気流量Q及びエンジン回転速度NEに基づき目標空燃比λtgを算出する(λtg=f(NE,Q))。次に、空燃比センサ24により検出された実空燃比λと目標空燃比λtgとの偏差Δλを算出する(Δλ=λtg−λ)。そして、偏差Δλに基づき空燃比フィードバック補正係数αを算出する(α=f(Δλ))。具体的には、空燃比フィードバック補正係数αの値は、偏差Δλがゼロであれば1に設定し、偏差Δλがリーン側に大きいほど1より大きい値に設定し、リッチ側に大きいほど1より小さい値に設定する。
以上の処理により、実際の空燃比λが目標空燃比λtgに近づくよう空燃比フィードバック補正係数αが設定されるので、ステップS50にて基本燃料噴射量Tpを空燃比フィードバック補正するにあたり、実空燃比λがリーンである場合には目標噴射量Tiは増量するよう補正され、実空燃比λがリッチである場合には目標噴射量Tiは減量するよう補正される。
ところで、エンジン回転速度NEの始動時ピーク値NEP及び空燃比リーンずれに関しては前述した通りである。すなわち、実空燃比が目標空燃比に近づくように目標燃料噴射量を空燃比フィードバック補正しても、アルコール混合燃料を使用している場合には、アルコールを燃焼させる時に化学反応の生成物として酸素が発生するため、リーン側への空燃比ずれ(空燃比リーンずれ)が十分に解消されないことがある。また、エンジン始動時から所定期間T(例えば初爆から3秒間の期間)にて現れるエンジン回転速度NEのピーク値NEPに関し、アルコール濃度0%の正規燃料のピーク値NEP(0)よりも、アルコール混合燃料のピーク値NEP(10),NEP(20)の方が高い値となることも前述した通りである。
本実施形態ではこれらの点に鑑みてシステム異常による空燃比リーンずれとアルコール混合による空燃比リーンずれとを判別している。具体的には、目標空燃比に対する実空燃比のリーン側へのずれ量が所定量以上であるとの空燃比リーンずれが生じているか否かを判定する。空燃比リーンずれが生じていると判定した場合(図3のケース(1)及びケース(3))には、アルコール混合燃料である可能性有りと判定する。
空燃比リーンずれが生じておりアルコール混合燃料である可能性有りと判定された場合であって、エンジン始動時温度が所定範囲であるとの条件下でピーク値NEPが所定値以上である場合(図3のケース(1))には、アルコールが混合されていると判定する。このような場合には、アルコール混合燃料の共沸現象によりピーク値NEP(10),NEP(20)が第1所定値γ1より高くなっていると判定できるからである。なお、前記第1所定値γ1は正規燃料のピーク値NEP(0)以上の大きさに設定しておけばよい。
一方、空燃比リーンずれが生じておりアルコール混合燃料である可能性有りと判定された場合であっても、前記条件下でピーク値NEPが所定値未満である場合(図3のケース(3))には、アルコール混合ではなくシステム異常が生じていると判定する。システム異常が生じていない正常な状態であれば本来現れるはずの共沸現象によるピーク値NEP上昇が、検出されないからである。
また、空燃比リーンずれが生じていないと判定した場合(図3のケース(2)及びケース(4))にはアルコール混合燃料でないと判定するが、当該判定がなされた場合においてピーク値NEPが第2所定値γ2未満である場合(図3のケース(4))にはシステム異常が生じていると判定する。共沸現象によりピーク値NEP上昇が生じていなかったとしてもピーク値NEPが最低限の値(γ2)に達していなければシステム異常の可能性が高いからである。
空燃比リーンずれが生じていないと判定された場合においてピーク値NEPが第2所定値γ2以上である場合(図3のケース(2))には、アルコール混合燃料でなくシステム異常も生じていないと判定する。なお、第2所定値γ2は第1所定値γ1より低い値に設定されている。また、本実施形態では、第1所定値γ1はアイドル回転速度より高い値に設定され、第2所定値γ2はアイドル回転速度より低い値に設定されている。但し、第2所定値γ2については、第1所定値γ1より低い値に設定されていれば、アイドル回転速度に設定してもよいし、アイドル回転速度より高い値に設定してもよい。
次に、図3に示す判別手法について図4を用いてより具体的に説明する。図4に示す処理は、エンジンECU10のマイクロコンピュータにより所定の時間周期(例えば10msec周期)で繰り返し実行される。或いは、イグニッションスイッチがオン操作される毎に所定期間だけ所定の時間周期で繰り返し実行される。或いは、燃料タンクに燃料を補給する毎に所定期間だけ所定の時間周期で繰り返し実行される。この場合、例えば燃料タンク内の燃料貯蔵量が増加したことを検出して燃料が補給されたことを検出してもよいし、燃料タンクへの給油口を閉塞する給油キャップを開閉させたことや給油口を覆う開閉カバーを開閉させたことを検出して燃料が補給されたことを検出してもよい。
ステップS60では、エンジン始動時温度が所定範囲であるか否かを判定する。具体的には、エンジン冷却水温度TWをエンジン温度とし、α1<TW<α2であるか否かを判定する。α1は、冷間始動を排除して常温始動を特定した温度に設定して好適であり、例えば10℃〜30℃(より好ましくは約20℃)に設定することが挙げられる。α2は、高温再始動時を排除して常温始動を特定した温度に設定して好適であり、例えば80℃〜100℃(より好ましくは約90℃)に設定することが挙げられる。
続くステップS61では、リーン側ずれ量が所定量β以上であるか否かを判定する。ただし、当該判定は、空燃比センサ24の温度を所定温度以上にする暖機運転が完了した後(完暖後)に実行される。当該ステップS61の処理は、図1に示すリーン側ずれ量算出手段11により実行される。
リーン側ずれ量が所定量β以上であると判定された場合(S61:YES)において、ステップS62にてエンジン回転速度NEの始動時ピーク値NEPが第1所定値γ1以上であると判定された場合(S62:YES)には、ステップS63にてアルコール混合有りと判定する。さらにステップS63では、ピーク値NEP及び完暖後リーンずれ量に基づきアルコール濃度を推定する。ピーク値NEPが高いほどアルコール濃度が高いと推定し、完暖後リーンずれ量が大きいほどアルコール濃度が高いと推定する。
具体的には、アルコールが混合していない時のピーク値NEP(0)に対するピーク値NEPの増加量を算出し、次式によりアルコール濃度Cを算出する。
アルコール濃度C=a×始動時ピーク値NEP増加量+b×完暖後リーンずれ量
なお、式中のa,bは定数である。当該ステップS62及び後述するステップS65の処理は、図1に示す始動時ピーク値NEP算出手段12により実行される。また、上記算出式に替えて、アルコール濃度Cを以下のように算出してもよい。つまり、(a×始動時ピーク値NEP増加量)による算出値及び(b×完暖後リーンずれ量)による算出値のうち、大きい方または小さい方の算出値をアルコール濃度Cとして算出してもよい。
アルコール濃度C=Max(a×始動時ピーク値NEP増加量,b×完暖後リーンずれ量)
アルコール濃度C=Min(a×始動時ピーク値NEP増加量,b×完暖後リーンずれ量)。 ステップS63にてアルコール混合有りと判定した場合には、図2のステップS40においてアルコール濃度補正係数Aを設定するにあたり、アルコールセンサ25によるアルコール濃度Cに替えて、ステップS63にて算出したアルコール濃度Cを用いる。当該ステップS63の処理は、図1に示すアルコール濃度推定手段13により実行される。
ステップS62にてエンジン回転速度NEの始動時ピーク値NEPが第1所定値γ1未満であると判定された場合(S62:NO)には、ステップS64において、アルコールセンサ25の異常等、システムのハード構成に異常が生じていると判定する。
リーン側ずれ量が所定量β未満であると判定された場合(S61:NO)において、ステップS65にてエンジン回転速度NEの始動時ピーク値NEPが第2所定値γ2以上であると判定された場合(S65:YES)には、ステップS66に進み、アルコール混合無しであり、アルコール濃度0%のガソリンを使用していると判定する。なお、第2所定値γ2は第1所定値γ1よりも小さい値に設定されている。
ステップS65にてエンジン回転速度NEの始動時ピーク値NEPが第2所定値γ2未満であると判定された場合(S65:NO)には、ステップS67において、アルコールセンサ25の異常等、システムのハード構成に異常が生じていると判定する。
なお、上記ステップS60,S61,S62はアルコール混合判定手段及び異常判定手段に相当し、ステップS61はリーンずれ判定手段に相当し、ステップS63はアルコール濃度推定手段に相当する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)空燃比リーン側ずれ量≧βによりアルコール混合可能性有りと推定された場合(S61:YES)において、エンジン始動時温度が所定範囲である(S60:YES)との条件下で始動時ピーク値NEPが所定値γ1以上である場合(S62:YES)には、アルコールが混合されていると判定する。このような場合には、アルコール混合燃料の共沸現象によりピーク値NEP(10),NEP(20)が所定値γ1より高くなっていると判定できるからである。
一方、空燃比リーン側ずれ量≧βによりアルコール混合可能性有りと推定された場合(S61:YES)において、エンジン始動時温度が所定範囲であるとの条件(S60:YES)を満たしているにも拘わらずピーク値NEPが所定値γ1未満である場合(S62:NO)には、システム異常であると判定する。これにより、検出した空燃比リーンずれがシステム異常によるものであるかアルコール混合によるものであるかを判別できる。
(2)上述の如くアルコールが混合されていると判定した場合に、ピーク値NEP及び完暖後リーンずれ量に基づきアルコール濃度を推定するので、アルコールセンサ25により濃度を検出する場合に比べて高い精度でアルコール濃度を推定できる。
(3)始動時ピーク値NEPが第2所定値γ2未満であると判定された場合(S65:NO)には、システム異常が生じていると判定する。よって、空燃比リーン側ずれ量<βの場合においてもシステム異常の発生を検出できる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、例えば次のように実施しても良い。
上記実施形態では、アルコール濃度値を取得するにあたり、アルコールセンサ25及びステップS63でのアルコール濃度推定を併用させているが、アルコールセンサ25を廃止して、ステップS63での推定処理のみによりアルコール濃度値をステップS40の処理等に用いるようにしてもよい。ステップS63で実行するアルコール混合有無の判定処理及びアルコール濃度推定処理のうち、アルコール混合有無の判定処理は残してアルコール濃度推定処理を廃止して、アルコールセンサ25のみによりアルコール濃度値をステップS40の処理等に用いるようにしてもよい。
また、以下の如く上記アルコールセンサ25及び推定処理S63を使い分けるようにして好適である。すなわち、共沸現象はアルコール濃度が高いほど顕著に現れるものではなく、アルコール濃度が高すぎても揮発性は低下する。よって、アルコール濃度が所定の上限を超えて高い場合にはステップS63での推定処理にてアルコール濃度を推定することが困難になる。この点を鑑みて、アルコール濃度が上限以内であればステップS63での推定処理によりアルコール濃度値を用い、上限を超えていればアルコールセンサ25のアルコール濃度値を用いるようにして好適である。
また、アルコール濃度が高いほどピーク値NEPが高くなるといった現象は、ガソリンの性状によっては顕著に現れない場合がある。例えば、ガソリンの性状が揮発性の高い軽質の場合には重質の場合に比べて前記現象が顕著に現れにくくなる。そこで、ガソリンの性状が重質の場合にはステップS63での推定処理によりアルコール濃度値を用い、軽質の場合にはアルコールセンサ25のアルコール濃度値を用いるようにして好適である。
また、使用しているガソリンの重質度合いが高く揮発性が過剰に低い場合には、アルコールが混合しておらずシステム異常でもない場合であっても、燃焼状態の悪化によりピーク値NEPが所定値γ1未満(S62:NO)となる場合がある。よって、このような場合にはステップS64,S67においてシステム異常と特定して判定するのではなく、ガソリンの重質度合いが過剰に低い燃料性状異常及びシステム異常のいずれかであると判定するようにして好適である。
本発明の一実施形態に係るエンジン制御システムの概要を示す構成図。 図1のECUにより実行される空燃比フィードバック補正処理を示すフローチャート。 システム異常による空燃比リーンずれとアルコール混合による空燃比リーンずれとの判別手法を説明する図。 図3の判別を実行するための処理内容を示すフローチャート。 共沸現象による揮発性の変化を計測した試験結果を示すグラフ。 エンジン始動時のエンジン回転速度の変化を、アルコール混合燃料と正規燃料との各々の場合で計測した試験の試験結果を示すグラフ。
符号の説明
10…ECU(アルコール混合判定装置)、21…クランク角センサ(回転速度センサ)、24…空燃比センサ、S60,S61,S62…アルコール混合判定手段、異常判定手段、S61,11…リーン側ずれ量算出手段(リーンずれ判定手段)、S63,13…アルコール濃度推定手段(アルコール濃度推定手段)。

Claims (4)

  1. 内燃機関の燃焼に用いる正規燃料にアルコールが混合されているか否かを判定するアルコール混合判定装置であって、
    前記内燃機関の運転状態に基づき算出された目標空燃比に対する実際の空燃比のリーン側へのずれ量が、所定量以上であるか否かを判定するリーンずれ判定手段と、
    前記リーンずれ判定手段により前記リーン側ずれ量が所定量以上であると判定された場合であって、前記内燃機関の始動時温度が所定範囲であるとの条件下で前記内燃機関を始動する時に現れる出力軸回転速度のピーク値が所定値以上である場合には、アルコールが混合されていると判定するアルコール混合判定手段と、
    前記リーンずれ判定手段により前記リーン側ずれ量が所定量以上であると判定された場合であっても、前記条件下で前記ピーク値が前記所定値未満である場合にはシステム異常であると判定する異常判定手段と、
    を備えることを特徴とするアルコール混合判定装置。
  2. 前記アルコール混合判定手段によりアルコールが混合されていると判定された場合に、前記ピーク値及び前記リーン側ずれ量の少なくとも一方に基づきアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のアルコール混合判定装置。
  3. 前記リーンずれ判定手段により前記リーン側ずれ量が所定量未満であると判定された場合であって、前記ピーク値が前記所定値以下に設定された第2所定値未満である場合には、システム異常であると判定する第2異常判定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルコール混合判定装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のアルコール混合判定装置と、
    内燃機関の出力軸の回転速度を検出する回転速度センサ、及び空燃比を検出する空燃比センサの少なくとも一方と、
    を備えることを特徴とするアルコール混合判定システム。
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