JP2009079139A - ペースト組成物、焼成体およびフラットパネルディスプレイ用部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な分散状態または溶解状態を確保することができ、印刷特性に優れ、しかも、焼成後には、焼成体に良好な表面状態を付与することのできるペースト組成物およびその焼成体を提供すること。
【解決手段】炭素数が4〜6のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールと、ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂と、溶剤と、粉末とを配合してペースト組成物を調製する。これを焼成することにより、誘電体層、封止体、隔壁、蛍光体および電子エミッタなどのフラットパネルディスプレイ用部品を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペースト組成物、焼成体およびフラットパネルディスプレイ用部品、詳しくは、ペースト組成物、その焼成により得られる焼成体およびフラットパネルディスプレイ用部品に関する。
従来より、プラズマディスプレイパネル(PDP)や電界放射型ディスプレイ(FED)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)の部品として、ペースト組成物を焼成することにより得られる焼成体が用いられている。
このような焼成体を得るために、例えば、エチルセルロースと溶剤と誘電体ガラス粉末とから調製されるペースト組成物が知られている。
また、ポリメチルメタクリレートと、ベンジルアルコールと、蛍光体粉末(BaMgAl1017系ガラス)とから調製される蛍光体ペーストが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、櫛形ジオールおよびポリエチレングリコール(PEG)とヘキサメチレンジイソシアナートとを反応させることにより得られるポリウレタン樹脂と、N−メチルピロリドンと、誘電体ガラス粉末(PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス)とから調製される誘電体ペースト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−329256号公報 国際公開2005−040280号公報
しかし、従来のエチルセルロースを含有するペースト組成物は、焼成時にひび割れを生じ、そのため、得られる焼成体の表面は、凹凸が多く、そのため、透明性が低減されたり、また、エチルセルロースに起因する焼成の残渣が残存するという不具合がある。
また、特許文献1で提案される蛍光体ペーストでは、印刷特性が不十分であり、スクリーン印刷により塗布する場合には、スクリーンと印刷面との間に糸引きを生じるという不具合がある。
また、特許文献2で提案される誘電体ペースト組成物では、調製時において、析出を生じて、白濁状のスラリーとなり、その焼成時に、ひび割れを生じる場合がある。
本発明の目的は、良好な分散状態または溶解状態を確保することができ、印刷特性に優れ、しかも、焼成後には、焼成体に良好な表面状態を付与することのできるペースト組成物、その焼成体およびフラットパネルディスプレイ用部品を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のペースト組成物は、炭素数が4〜6のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールと、ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂と、溶剤と、粉末とを含有することを特徴としている。
また、本発明のペースト組成物では、前記ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が4000以上であることが好適である。
また、本発明のペースト組成物では、前記粉末が、低融点ガラス粉末を含有していることが好適である。
また、本発明のペースト組成物では、前記粉末が、さらに、無機フィラーを含有することが好適である。
また、本発明の焼成体は、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
また、本発明のペースト組成物では、前記低融点ガラス粉末が、誘電体ガラス粉末であることが好適である。
また、本発明のペースト組成物では、前記低融点ガラス粉末が、封止用ガラス粉末であることが好適である。
また、本発明のペースト組成物では、前記低融点ガラス粉末が、隔壁材ガラス粉末であることが好適である。
また、本発明のペースト組成物では、前記粉末が、蛍光体粉末を含有していることが好適である。
また、本発明のペースト組成物では、前記粉末が、カーボンナノ材料を含有していることが好適である。
また、本発明の誘電体層は、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
また、本発明の封止体は、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
また、本発明の隔壁は、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
また、本発明の蛍光体は、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
また、本発明の電子エミッタは、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
また、本発明のフラットパネルディスプレイ用部品は、上記したペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴としている。
本発明のペースト組成物は、特定のポリオキシアルキレングリコールとジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂と、溶剤と、粉末とを含有しているので、良好な分散状態または溶解状態を確保することができ、良好なペースト状態を確保できる。
そして、ペースト組成物を、例えば、スクリーン印刷により塗布する場合には、ペースト組成物がスクリーンから印刷面に素早く押し出されるとともに、スクリーンと印刷面との間に糸引きが生じることを防止することができる。その結果、ペースト組成物を、平滑な表面で塗布することができる。
そして、ペースト組成物を焼成すれば、得られた焼成体では、ひび割れや皺の発生を防止して、良好な表面状態を確保することができる。また、焼成後における残渣の発生を有効に防止することができる。
そして、本発明のフラットパネルディスプレイ用部品は、上記した焼成体からなるので、良好な表面状態を確保することができる。
とりわけ、本発明の誘電体層は、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくく、誘電体ガラス粉末である低融点ガラスの劣化が低減されるため、ひび割れの発生をより一層有効に防止することができる。
また、本発明の封止体は、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくく、封止用ガラス粉末の劣化が低減されるため、ひび割れの発生をより一層有効に防止することができる。
また、本発明の隔壁は、隔壁材ガラス粉末である低融点ガラスを含有しているので、隔壁の形成時の、サンドブラスト法における研磨工程において、サンドブラストレジストの下の隔壁が研磨され(削られ)ること(オーバーサンド)を防止することができる。
また、本発明の蛍光体は、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくいので、蛍光の輝度を高く維持することができる。
また、本発明の電子エミッタは、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくいので、電子放出特性を安定させることができる。
本発明のペースト組成物は、ポリウレタン樹脂と、溶剤と、粉末とを含有している。
本発明のポリウレタン樹脂は、ポリオキシアルキレングリコールと、ジイソシアネートとの反応により得られる。
本発明において、ポリオキシアルキレングリコールは、炭素数が4〜6のアルキレン基を有している。
具体的には、本発明のポリオキシアルキレングリコールのアルキレン基は、炭素数が4〜6のアルキレン基のみからなり、その他のアルキレン基(炭素数が3以下および炭素数が7以上のアルキレン基)を含有せず、本発明のポリオキシアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、さらには、上記した櫛形ジオールを含有しない。
炭素数が4〜6のアルキレン基としては、例えば、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどの直鎖のアルキレン基や、例えば、2−メチル−トリメチレン、1,1−ジメチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、2−メチル−テトラメチレン、1,1−ジメチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、2−メチル−ペンタメチレン、1,1−ジメチルテトラメチレン、2,2−ジメチルテトラメチレンなどの分岐のアルキレン基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数が4〜6であれば、極性の低い溶剤への溶解性が向上され、良好なペースト材料とすることができる。
具体的には、炭素数が4〜6のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールとして、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリペンタメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、3−メチルテトラヒドロフラン・テトラヒドロフラン共重合物、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール・テトラヒドロフラン重縮合物などが挙げられる。好ましくは、PTMEG、3−メチルテトラヒドロフラン・テトラヒドロフラン共重合物が挙げられる。
ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量(Mn)は、例えば、400以上、好ましくは、2000以上、さらに好ましくは、4000以上であり、通常、例えば、100000以下、好ましくは、20000以下、さらに好ましくは、15000以下である。なお、ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量(Mn)は、JIS K1557−1(2007)「プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方」から測定される水酸基価と原料(開始剤)の官能基数とに基づいて、求めることができる。
ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が400以上であれば、均一な印刷面を得るのに十分な長さのポリウレタン樹脂を得ることができる。ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が100000以下であれば、重合反応を十分に促進させることができ、実質的に糸引きの発生を防止できるポリウレタン樹脂を得ることができる。とりわけ、ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が4000以上であれば、ジイソシアネートの配合割合を低減することができ、得られるペースト組成物を400℃以下で焼成したときの残炭量が極めて低減され、より熱分解性の高いペースト組成物を得ることができる。
これらポリオキシアルキレングリコールは、単独使用または2種以上併用することができる。
本発明において、ジイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用される公知のジイソシアネートが挙げられる。
具体例には、ジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアナート、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、1−メチルエチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、ヘプタメチレンジイソシアナート、2,2'−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、オクタメチレンジイソシアナート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、ノナメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ウンデカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、トリデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、ペンタデカメチレンジイソシアナート、ヘキサデカメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられる。
脂環族ジイソシアナートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,2−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアナート、1−エチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、4,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、1,2−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω'−ジイソシアナート、1,4−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω'−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメチルメタン−4,4'−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアナート、2,2'−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート、3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート、4,4'−メチレン−ビス(イソシアナトシクロヘキサン)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水素化トリレンジイソシアナート(H−TDI)、水素化4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート(H−MDI)、水素化キシリレンジイソシアナート(H−XDI)、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)などが挙げられる。
芳香族ジイソシアナートとしては、例えば、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアナート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアナート(2,6−TDI)、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアナート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアナート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、ジエチルベンゼンジイソシアナート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアナート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、1−メチルナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、1,1−ジナフチル−2,2'−ジイソシアナート、ビフェニル−2,4'−ジイソシアナート、ビフェニル−4,4'−ジイソシアナート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、3,3'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアナート(MDI)、ジフェニルメタン−2,2'−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)などが挙げられる。
これらジイソシアネートは、単独使用または2種以上併用することができる。
これらジイソシアネートのうち、好ましくは、HMDI、MDIが挙げられる。
そして、ポリウレタン樹脂は、上記したポリオキシアルキレングリコールとジイソシアネートとを反応させることにより、得ることができる。
この反応において、ポリオキシアルキレングリコールの水酸基に対する、ジイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)は、例えば、0.8〜1.1、好ましくは、0.85〜1.05である。
また、この反応条件は、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用される条件でよく、例えば、窒素雰囲気下において、ポリオキシアルキレングリコールと、ジイソシアネートとを、上記した当量比となるように配合し、例えば、50〜120℃で、3〜15時間重合させる。また、この反応において、さらに、例えば、トルエンなどの重合溶媒を配合して、溶液重合することができ、あるいは、重合溶媒を配合することなく、上記した成分をそのままバルク重合することもできる。なお、溶液重合の場合には、重合溶媒の配合割合が、ポリオキシアルキレングリコールおよびジイソシアネートの総量100重量部に対して、例えば、300〜1000重量部である。さらに、この反応においては、必要に応じて、触媒(例えば、ジブチル錫ジラウリレート(DBTDL)などの錫系触媒や、モノエタノールアミンなどのアミン系触媒など)、酸化防止剤(例えば、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)などの添加剤を添加することができる。
なお、重合物が溶液重合で得られる場合には、溶媒を、減圧乾燥などにより留去することができる。また、重合物がバルク重合により得られる場合には、重合物を、例えば、ミルなどの粉砕機で粉砕し、その後、篩いにより粗大な粉砕物を除去し、平均粒子径を、例えば、100〜800μmに調節することもできる。
これにより、ポリウレタン樹脂を得ることができる。
そして、このようにして得られるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、例えば、10000〜2000000、好ましくは、印刷特性の観点から、100000〜1000000である。なお、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレンの校正曲線に基づく重量平均分子量である。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が10000以上あれば、ペースト組成物(とりわけ、後述する誘電体ペースト組成物、封止用ペースト組成物、隔壁材ペースト組成物、蛍光体ペースト組成物およびカーボンナノ材料ペースト組成物)の粘度を高めることができる。また、重量平均分子量が2000000以下であれば、ペースト組成物(とりわけ、誘電体ペースト組成物、封止用ペースト組成物、隔壁材ペースト組成物、蛍光体ペースト組成物およびカーボンナノ材料ペースト組成物)のスクリーン印刷時におけるスクリーンと印刷面との間の糸引きの発生を防止できる。上記範囲において、印刷特性の向上を図ることができる。
また、ポリウレタン樹脂の水酸基価は、例えば、0〜11.3、好ましくは、0〜1.2である。
また、ポリウレタン樹脂のイソシアネート基含量は、例えば、0〜0.55重量%、好ましくは、0〜0.51重量%である。
本発明において、溶剤としては、ポリウレタン樹脂を溶解させることができ、かつ、粉末を分散させることができるものであれば特に限定されない。このような溶剤としては、例えば、テルピネオール(α−、β−、γ−、I−、IV−テルピネオールなど)、ドデカノール、2−フェノキシエタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの炭素数3〜12のアルコール類、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどのジオール類、例えば、プロピレンカーボネートなどのケトン類、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジオクチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ブチルカルビトール、ブチルカルビトールなどの炭素数3〜12のエステル類、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル類、例えば、トルエン、キシレン、ベンジルアルコールなどの芳香族化合物、N−メチルピロリドン(NMP)などのピロリドン類、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。
また、溶剤としては、好ましくは、スクリーン印刷時の製版の乳剤の影響が少なく、また、カーボンナノ材料のような極性の低い粉末をより均一に分散させることのできる極性の低いものが挙げられ、より具体的には、その溶解パラメーター(Solubility Parameter:SP値)が、例えば、8〜11(cal/cm31/2である。
上記の溶剤のうち、上記溶解パラメーターの範囲内にある溶剤として、テルピネオール、ドデカノール、ブタノールなどの炭素数4〜12のアルコール類、酢酸ブチルカルビトール、ブチルカルビトール、フタル酸ジエチルなどの炭素数4〜12のエステル類、NMPなどのピロリドン類などが挙げられる。
これら溶剤のうち、さらに好ましくは、テルピネオール、酢酸ブチルカルビトール、NMPが挙げられる。
本発明において、粉末としては、後述する焼成体の用途に応じて適宜選択することができ、例えば、低融点ガラス粉末、蛍光体粉末、カーボンナノ材料などが挙げられる。
低融点ガラス粉末は、板ガラス(ソーダ石灰ガラス)が熱変形しない温度(例えば、600℃以下)、あるいは、板ガラスの耐熱温度(例えば、750〜800℃)より低い温度で熱融着できるガラス粉末であって、例えば、封止用ガラス、シール用ガラス、半田ガラスとして用いられる。このような低融点ガラス粉末は、そのガラス転移点(Tg)が、例えば、600℃以下、好ましくは、400℃以下、さらに好ましくは、350℃以上であり、通常、250℃以上である。
また、低融点ガラス粉末は、その最大粒子径Dmaxが、例えば、100μm以下、好ましくは1〜50μmである。最大粒子径Dmaxが100μm以下であれば、スクリーン印刷により確実にペースト組成物を塗布することができる。
低融点ガラス粉末として、例えば、酸化ガラス粉末が挙げられ、より具体的には、PbO−B23−SiO2系ガラス、PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス、PbO−B23−SiO2−ZnO−CaO系ガラス、PbO−B23−SiO2−ZnO−BaO−CaO系ガラス、PbO−B23−SiO2−ZnO−BaO−CaO−Bi23系ガラス、ZnO−Bi23−B23−SiO2−CaO−SrO−BaO系ガラス、B23−PbO系ガラス、B23−PbO−ZnO系ガラス、Cu2O−P25系ガラス、P25−SnO系ガラス、P25−SnO−B23系ガラス、BaO−ZnO−B23−SiO2系ガラス、ZnO−Bi23−B23−SiO2系ガラスの粉末などが挙げられる。
また、低融点ガラス粉末は、焼成体が後述する誘電体層、封止体、隔壁として用いらる場合には、それぞれ、誘電体ガラス粉末、封止用ガラス粉末、隔壁材ガラス粉末として用いられる。
誘電体ガラス粉末は、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)に用いられ、より具体的には、PDPの誘電体層を形成するために用いられる。このような誘電体ガラス粉末は、これを含有するペースト組成物の焼成時における焼成温度(例えば、400〜600℃、好ましくは、530〜580℃)において、欠陥を生じることなく、耐電圧性の高い誘電体層を形成できるガラス粉末であって、かかる誘電体ガラス粉末のガラス転移点(Tg)は、例えば、600℃以下、300℃以上であり、好ましくは、500℃以下、390℃以上である。
このような誘電体ガラス粉末としては、例えば、PbO−B23−SiO2系ガラス、PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス、PbO−B23−SiO2−ZnO−CaO系ガラス、PbO−B23−SiO2−ZnO−BaO−CaO系ガラス、PbO−B23−SiO2−ZnO−BaO−CaO−Bi23系ガラス、ZnO−Bi23−B23−SiO2−CaO−SrO−BaO系ガラスの粉末が挙げられ、好ましくは、PbO−B23−SiO2−CaO系ガラスの粉末が挙げられる。
封止用ガラス粉末は、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)やICパッケージの封止に用いられる封止用ガラス粉末であって、より具体的には、封着ガラス粉末、シール用ガラス粉末、フリットガラス粉末などとも呼ばれ、PDP、電界放射型ディスプレイ(FED)などFPDの開口(貫通孔)を封止(シール)するため、あるいは、ICパッケージを封止するためのガラス粉末である。このような封止用ガラス粉末は、これを含有するペースト組成物の焼成による封着処理温度(例えば、410〜480℃)で封止できるガラス粉末であって、かかる封止用ガラス粉末のガラス転移点(Tg)は、例えば、400℃以下であり、好ましくは、350℃以下であり、さらに好ましくは、330℃以下、250℃以上である。
このような封止用ガラス粉末としては、例えば、B23−PbO系ガラス、PbO−B23−SiO2系ガラス、B23−PbO−ZnO系ガラス、Cu2O−P25系ガラス、P25−SnO系ガラス、P25−SnO−B23系ガラスの粉末などが挙げられ、好ましくは、P25−SnO−B23系ガラスの粉末が挙げられる。
また、封止用ガラス粉末は、一般の市販品が用いられ、例えば、フリットガラス(AFS1304M、ASF1200M、IWF2300M、ASF1307、以上旭硝子社製。)などが用いられる。
隔壁材ガラス粉末は、例えば、PDPに用いられ、より具体的には、放電空間を仕切る隔壁を形成するための隔壁材ガラスペーストのガラス成分をなすガラス粉末である。このような隔壁材ガラス粉末の軟化点は、例えば、450℃以上、650℃以下である。また、熱膨張係数は、例えば、60×10-7〜90×10-7(1/℃)である。また、隔壁材ガラス粉末の平均粒子径D50は、例えば、1〜7μmであり、最大粒子径Dmaxが、例えば、5〜30μmである。
隔壁材ガラス粉末としては、例えば、PbO−B23−SiO2系ガラス、BaO−ZnO−B23−SiO2系ガラス、ZnO−Bi23−B23−SiO2系ガラスの粉末が挙げられ、好ましくは、PbO−B23−SiO2系ガラスの粉末が挙げられる。
蛍光体粉末は、焼成体が後述する蛍光体である場合に用いられる粉末であり、PDPやFEDに用いられ、例えば、青色蛍光体粉末、赤色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末などが挙げられる。
青色蛍光体粉末としては、例えば、BaMgAl1424:Eu、BaMgAl1017:Eu、SrMg(SiO42:Euの粉末など挙げられる。赤色蛍光体粉末としては、例えば、(Y,Gd)BO3:Eu、Y23:Eu、Y(P,V)O4:Eu、(Y,Gd)23:Euの粉末などが挙げられる。緑色蛍光体としては、例えば、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、YBO3:Tbの粉末などが挙げられる。
これら蛍光体粉末の平均粒子径D50は、例えば、0.01〜20μm、好ましくは、0.1〜10μmである。
カーボンナノ材料は、焼成体が後述する電子エミッタである場合に用いられる粉末であり、FEDに用いられるカーボンナノ材料であれば特に限定されない。
カーボンナノ材料としては、カーボンのナノパーティクルであって、一部に電子放出することができる形状を有し、そのような形状として、例えば、チューブ(管)状、球状、線状、円盤状、板(壁)状などが挙げられる。
カーボンナノ材料としては、具体的には、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンナノウォールなどが挙げられる。
これらカーボンナノ材料の最大長さは、例えば、1〜200nm、好ましくは、10〜150nmである。
また、ペースト組成物において、粉末として低融点ガラス粉末が用いられる場合には、粉末に、さらに、無機フィラーを含有させることができる。
無機フィラーは、粉末に任意的に配合されており、ペースト組成物の流動性や熱膨張係数を調整するために配合される。
無機フィラーとしては、上記した低融点ガラス粉末を除くものであって、例えば、アルミナ、α−石英、チタニア、ジルコニア、コージエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、燐酸ジルコニウム、ウイレマイト、ムライトなどが挙げられる。
このような無機フィラーの平均粒子径D50は、例えば、0.1〜100μm、好ましくは、1〜50μmである。
無機フィラーとしては、低融点ガラス粉末として誘電体ガラス粉末または/および隔壁材ガラス粉末が粉末に含有される場合には、好ましくは、アルミナ、α−石英、チタニア、ジルコニアが挙げられる。また、無機フィラーは、低融点ガラス粉末として封止用ガラス粉末が粉末に含有される場合には、好ましくは、コージエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、燐酸ジルコニウム、ウイレマイト、ムライトが挙げられる。
また、粉末として蛍光体粉末またはカーボンナノ材料が用いられる場合には、粉末に無機バインダー材料(例えば、低融点ガラス粉末や、公知の導電性材料など)をさらに含有させることができる。
さらに、本発明のペースト組成物には、本発明の効果を阻害しない割合で、可塑剤、分散剤、消泡剤などの添加剤を添加することができる。
本発明のペースト組成物を調製するには、ポリウレタン樹脂および溶剤からなるバインダー樹脂溶液(以下、バインダー樹脂溶液という場合がある。)を調製し、これと、別途用意した粉末とを配合する。
バインダー樹脂溶液を調製するには、ポリウレタン樹脂および溶剤を、後述する配合割合で、セパラブルフラスコなどの容器に仕込み、例えば、40〜80℃で加熱しながら、30〜120分間(具体的には、60分間)攪拌する。
また、バインダー樹脂溶液は、20℃における粘度が、例えば、20〜50Pa・sである。
そして、上記したように調製したバインダー樹脂溶液と、別途用意した粉末とを3本ロールミルなどの混練機により、後述する配合割合で、混練することにより、本発明のペースト組成物を得ることができる。
得られたバインダー樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を、例えば、1〜30重量%含有し、溶剤を、例えば、70〜99重量%含有している。
得られたペースト組成物は、粉末を、例えば、30〜95重量%含有し、バインダー樹脂溶液を、例えば、5〜70重量%含有している。
また、粉末として、誘電体ガラス粉末、封止用ガラス粉末および隔壁材ガラス粉末から選択される少なくとも1種が含有されている場合には、ペースト組成物は、20℃における粘度が、例えば、1〜1000Pa・s、好ましくは、5〜50Pa・sである。また、粉末として、蛍光体粉末またはカーボンナノ材料が含有されている場合には、ペースト組成物は、20℃における粘度が、例えば、1〜1000Pa・s、好ましくは、10〜150Pa・sである。ペースト組成物の粘度が上記した範囲内にあれば、ペースト組成物のスクリーン印刷における優れた印刷特性を得ることができる。
次に、本発明のペースト組成物を用いて、本発明の焼成体を製造する方法について説明する。
まず、この方法では、ペースト組成物を、例えば、スクリーン印刷機、アプリケーター、バーコーター、ロールコーターなどにより印刷面に印刷するか、例えば、スクリーン印刷機、ディスペンサーなどにより、部品間の空隙に充填する。
その後、ペースト組成物を焼成する。焼成温度は、例えば、300〜650℃、好ましくは、350〜600℃であり、焼成時間は、例えば、0.1〜5時間、好ましくは、0.3〜4時間である。これにより、本発明の焼成体を得ることができる。
具体的には、焼成体は、例えば、PDP用部品やFED用部品などのFPD用部品として形成され、好ましくは、誘電体層、封止体、隔壁、蛍光体、電子エミッタとして形成される。なお、封止体として形成される焼成体を、ICパッケージの封止体として用いることもできる。
以下、FPD用部品の具体例について、詳細に説明する。
誘電体層は、FPDにおいて、電極が設けられたガラス基板、例えば、背面ガラス基板などに積層される。
誘電体層を形成するには、まず、誘電体ガラス粉末を含有するペースト組成物(以下、誘電体ペースト組成物という場合がある。)を調製する。
誘電体ペースト組成物を調製するには、ガラス粉末および必要により配合される無機フィラーと、バインダー樹脂溶液とを配合して、均一に混合する。
得られたバインダー樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を、例えば、1〜30重量%含有し、溶剤を、例えば、70〜99重量%含有している。
また、得られた誘電体ペースト組成物は、誘電体ガラス粉末を、例えば、40〜80重量%、好ましくは、55〜65重量%含有し、無機フィラーを、例えば、10重量%以下、好ましくは、5重量%以下含有し、バインダー樹脂溶液を、例えば、20〜60重量%、好ましくは、35〜45重量%含有している。誘電体ガラス粉末の配合割合が40重量%に満たないと、十分な絶縁性や透明性を有する誘電体が得られない場合がある。一方、誘電体ガラス粉末の配合割合が80重量%を超えると、誘電体ペースト組成物の流動性が低下し、均一な塗布が困難となる場合がある。
次いで、得られた誘電体ペースト組成物を、ガラス基板の上に、例えば、スクリーン印刷機、アプリケーター、バーコーター、ロールコーターなどを用いて塗布し、次いで、熱風乾燥機などで、例えば、80〜150℃で溶剤を乾燥させる。乾燥後の厚み(乾燥体の厚み)は、例えば、30〜500μmである。その後、乾燥体を、例えば、500〜600℃で、例えば、5〜15分間焼成する。
これにより誘電体層を形成することができる。なお、誘電体層の厚みは、例えば、20〜100μmである。
封止体は、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に充填される充填体(充填層)である。
封止体を形成するには、まず、封止用ガラス粉末を含有するペースト組成物(以下、封止用ペースト組成物という場合がある。)を調製する。
封止用ペースト組成物を調製するには、封止用ガラス粉末および必要により配合される無機フィラーと、バインダー樹脂溶液とを配合して、均一に混合する。
得られたバインダー樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を、例えば、1〜30重量%含有し、溶剤を、例えば、70〜99重量%含有している。
得られた封止用ペースト組成物は、封止用ガラス粉末を、例えば、30〜95重量%含有し、無機フィラーを、例えば、50重量%以下含有し、バインダー樹脂溶液を、例えば、5〜30重量%含有している。封止用ガラス粉末の配合割合が30重量%に満たないと、封止体中に欠陥が多くなり、封止が不十分となる場合がある。一方、封止用ガラス粉末の配合割合が95重量%を超えると、封止用ペースト組成物の流動性が低下し、加工が困難となる場合がある。
次いで、得られた封止用ペースト組成物を、PDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に、例えば、スクリーン印刷機、ディスペンサーなどを用いて、充填する。次いで、熱風乾燥機などで、例えば、80〜150℃で溶剤を乾燥させる。その後、乾燥体を、例えば、400〜500℃で、例えば、5〜15分間焼成する。この焼成において、封止用ペースト組成物中のポリウレタン樹脂が分解されながら、PDPの両基板の間が封止される。
これにより、封止体を形成することができる。
なお、焼成における雰囲気としては、空気雰囲気(酸素雰囲気)または窒素雰囲気のいずれであってもよく、そして、焼成後には、さらに、低圧Xe含有Neガスなどを封入して希ガス雰囲気にして、FPDを製造することができる。
隔壁は、FPDにおいて、電極および誘電体層が設けられたガラス基板(例えば、背面ガラス基板)の上に、放電空間を仕切るように、互いに間隔を隔てて配置されるリブ状のパターンとして形成される。
隔壁を形成するには、まず、隔壁材ガラス粉末を含有するペースト組成物(以下、隔壁材ペースト組成物ということがある。)を調製する。
隔壁材ペースト組成物を調製するには、まず、隔壁材ガラス粉末および必要により配合される無機フィラーと、バインダー樹脂溶液とを配合して、均一に混合する。
得られたバインダー樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を、例えば、1〜30重量%含有し、溶剤を、例えば、70〜99重量%含有している。
得られた隔壁材ペースト組成物は、隔壁材ガラス粉末を、例えば、30〜80重量%含有し、無機フィラーを、例えば、1〜40重量%必要により含有し、バインダー樹脂溶液を、例えば、5〜30重量%含有している。
次に、得られた隔壁材ペースト組成物から、例えば、サンドブラスト法を主に用いる方法、スクリーン印刷を主に用いる方法などによって、隔壁を形成する。好ましくは、サンドブラスト法を主に用いる方法が用いられる。
サンドブラスト法を主に用いる方法により隔壁を形成するには、まず、隔壁材ペースト組成物を、ガラス基板の上面全面に、例えば、スクリーン印刷などの公知の塗布方法により塗布する。次いで、熱風乾燥機などで、例えば、80〜150℃で溶剤を乾燥させて、乾燥体を得る。乾燥体の厚みは、例えば、50〜200μmである。次いで、乾燥体の上に、ドライフィルムレジストをラミネートし、所定のパターンで露光し、現像して、所定のパターンのサンドブラストレジストを形成する。その後、サンドブラストレジストから露出する乾燥体を(不要部分)を、サンドブラスト法にて研磨して除去する。その後、これを、例えば、500〜600℃で焼成する。なお、この焼成により、サンドブラストレジストは、分解されて除去される。
なお、スクリーン印刷を主に用いる方法としては、例えば、隔壁材ガラスペースト組成物を、複数回のスクリーン印刷にて、基板上に隔壁のパターンを直接形成した後、上記と同様に乾燥および焼成する方法、例えば、隔壁材ペースト組成物を基板の上面全面に塗布して乾燥させた後、くし型のブレードで不要部分を除去し、その後、焼成する方法などが挙げられる。
これにより、隔壁を形成することができる。
蛍光体は、PDPやFEDにおいて、ガラス基板(背面ガラス基板)の上であって、隔壁により仕切られた放電空間に設けられており、放電空間に封入される低圧Xe含有Neガスなどの希ガスから発生する光線(紫外線など)により、蛍光を発するものである。
蛍光体を形成するには、まず、蛍光体粉末を含有するペースト組成物(蛍光体ペースト組成物)を調製する。
蛍光体ペースト組成物を調製するには、蛍光体と、バインダー樹脂溶液とを配合して、均一に混合する。
得られたバインダー樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を、例えば、2〜20重量%含有し、溶剤を、例えば、80〜98重量%含有している。また、バインダー樹脂溶液は、導電性材料を任意的に含有する場合には、その配合割合は、バインダー樹脂溶液に対して、例えば、50重量%以下である。
得られた蛍光体ペースト組成物は、蛍光体粉末を、例えば、30〜70重量%含有し、バインダー樹脂溶液を、例えば、30〜70重量%含有している。
次いで、得られた蛍光体ペースト組成物を、PDPのガラス基板の上に形成された隔壁の間に、例えば、スクリーン印刷機、ディスペンサーなどを用いて、充填する。次いで、熱風乾燥機などで、例えば、80〜150℃で溶剤を乾燥させる。その後、乾燥体を、例えば、400〜500℃で、例えば、5〜15分間焼成する。焼成において、ペースト組成物中のポリウレタン樹脂が分解されながら、隔壁間が充填される。
これにより、蛍光体を形成することができる。
その後、別途製造した前面ガラス基板と、上記した背面板部材とを、公知のシール材(例えば、低融点ガラスなど)で封着(シール)し、希ガス(低圧Xe含有Neガスなど)を封入して、FDPを製造する。
電子エミッタは、カソードガラス基板およびアノードガラス基板を備えるFEDにおいて、カソードガラス基板の上に設けられている。具体的には、電子エミッタは、カソードガラス基板の上に形成されるカソード電極の上に配置されている。
電子エミッタを形成するには、まず、カーボンナノ材料を含有するペースト組成物(以下、カーボンナノ材料ペースト組成物という場合がある。)を調製する。
カーボンナノ材料ペースト組成物を調製するには、カーボンナノ材料と、バインダー樹脂溶液とを配合して、均一に混合する。
得られたバインダー樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を、例えば、2〜20重量%、溶剤を、例えば、80〜98重量%含有している。また、バインダー樹脂溶液は、無機バインダー材料や導電性材料を任意的に含有する場合には、その配合割合は、バインダー樹脂溶液に対して、例えば、50重量%以下である。
また、カーボンナノ材料ペースト組成物は、カーボンナノ材料を、例えば、10〜50重量%、バインダー樹脂溶液を、例えば、30〜70重量%を含有している。
次いで、得られたカーボンナノ材料ペースト組成物を、例えば、カソードガラス基板の上に、スクリーン印刷機などを用いて、上記したパターンで、スクリーン印刷する。次いで、熱風乾燥機などで、例えば、80〜150℃で溶剤を乾燥させる。その後、乾燥体を、例えば、350〜400℃で、例えば、5〜15分間焼成する。
この焼成において、ペースト組成物中のポリウレタン樹脂が分解されながら、電子エミッタが形成される。
これにより、電子エミッタを形成することができる。
なお、その後、上記により電子エミッタが形成されたカソードガラス電極と、別途製造したアノードガラス基板とを互いに対向させ、シール材(例えば、低融点ガラス粉末など)でシールしながら、これらを密着させた後、真空脱気して、FEDを製造する。
そして、本発明のペースト組成物は、特定のポリオキシアルキレングリコールとジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂と、溶剤と、粉末とを含有しているので、良好な分散状態または溶解状態を確保することができ、良好なペースト状態を確保できる。そして、ペースト組成物は、印刷特性に優れているおり、例えば、ペースト組成物を、スクリーン印刷により塗布する場合には、ペースト組成物がスクリーンから印刷面に素早く押し出されるとともに、スクリーンと印刷面との間に糸引きが生じることを防止することができる。その結果、ペースト組成物を、平滑な表面で塗布することができる。
そして、ペースト組成物を焼成すれば、得られた焼成体では、ひび割れや皺の発生を防止して、良好な表面状態を確保することができる。また、焼成後における残渣の発生を有効に防止することができる。
そして、本発明のフラットパネルディスプレイ用部品は、上記した焼成体からなるので、良好な表面状態を確保することができる。
とりわけ、本発明の誘電体層は、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくく、誘電体ガラス粉末である低融点ガラスの劣化が低減されるため、ひび割れの発生をより一層有効に防止することができる。
また、本発明の封止体は、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくく、封止用ガラス粉末の劣化が低減されるため、ひび割れの発生をより一層有効に防止することができる。
本発明の隔壁は、隔壁材ガラス粉末である低融点ガラスを含有しているので、隔壁の形成時の、サンドブラスト法における研磨工程において、サンドブラストレジストの下の隔壁が削られること(オーバーサンド)を防止することができる。
また、本発明の蛍光体は、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくいので、蛍光の輝度を高く維持することができる。
また、本発明の電子エミッタは、焼成時にポリウレタン樹脂が炭化しにくいので、電子放出特性を安定させることができる。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。
なお、測定は下記の例による。
平均粒子径D50・・・レーザ回折散乱粒子径分布測定法
重量平均分子量・・・・ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
(ポリスチレンの校正曲線に基づく)
・移動相 テトラヒドロフラン(THF)
・使用カラム Plgel GUARD(1本)
5μmMixed−C(3本)
・使用システム:Alliance(Waters社製)
・・2410型示差屈折検出器(Waters社製)
・・996型多波長検出器(Waters社製)
・・Millenniumデータ処理装置(Waters社製)
1. 誘電体層
実施例1
(ポリウレタン樹脂A)
1000mlのSUS製セパラブルフラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名「PTG8000」、数平均分子量9589、保土ヶ谷化学社製。以下、PTMEG8000とする。)30gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。次いで、これを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。PTMEG8000に残留する水分は200ppmであった。次いで、70℃に冷却し、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。次いで、酸化防止剤(BHT:ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン)を、PTMEG8000に対して500ppm添加した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI:三井化学ポリウレタン社製、以下同じ。)0.4894gを仕込んだ(NCO/OH=0.93mol/mol)。次いで、触媒(DBTDL:ジブチル錫ジラウリレート)0.009gを添加し、70℃で7時間反応させた。次いで、120℃に加熱して30分間一定温度に保ち、その後、フラスコから反応物を取り出した。反応物の重量平均分子量は800000であった。
その後、取り出した反応物を小片に裁断後、放冷した。これを液体窒素で冷却し、小型の衝撃型電動ミルで粉砕した。次いで、粉砕物を篩にかけ、粒子径が600μm以下の粉体であるポリウレタン樹脂Aを得た。このポリウレタン樹脂Aの平均粒子径は400μmであった。
(バインダー樹脂溶液Aの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、ポリウレタン樹脂A10gおよびテルピネオール(日本テルペン化学社製)90gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してポリウレタン樹脂Aを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Aを調製した。
(誘電体ペースト組成物Aの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液A35gおよび誘電体ガラス粉末(PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス、ガラス転移点Tg400℃、平均粒子径D50:2μm、最大粒子径Dmax5μm)65gを加えて混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、誘電体ペースト組成物Aを調製した。
(誘電体層の形成)
誘電体ペースト組成物Aを、バーコーターを用いてソーダガラス板の上面全面に塗布した。これを熱風乾燥機にて120℃でテルピネオールを乾燥させ、次いで、550℃で10分間焼成することにより、厚み50μmの誘電体層を形成した。
(誘電体層の評価)
形成された誘電体層について、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRa(JISR1636に準拠、以下同じ)を測定したところ、0.15μmであり、また、走査型電子顕微鏡装置(SEM)(日立製作所社製)による表面観察(以下同じ)により、平坦な表面であることを確認した。
実施例2
(バインダー樹脂溶液Bの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、実施例1において得られたポリウレタン樹脂A10gおよびN−メチルピロリドン(NMP、関東化学社製、以下同じ。)90gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してポリウレタン樹脂Aを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Bを得た。
(誘電体ペースト組成物Bの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液B45g、誘電体ガラス粉末(PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス)50gおよびα−石英粉末(平均粒子径D50:5μm、以下同じ。)5gを加えて混合した後、3本ロールミルで混練することにより、誘電体ペースト組成物Bを得た。
(誘電体層の形成)
誘電体ペースト組成物Bを、バーコーターを用いてソーダガラス板の上面全面に塗布した。これを熱風乾燥機にて120℃でNMPを乾燥させ、次いで、550℃で10分間焼成することにより、厚み30μmの誘電体層を形成した。
(誘電体層の評価)
形成された誘電体層について、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRaを測定したところ、0.20μmであり、また、表面観察により、平坦な表面であることを確認した。
比較例1
(バインダー樹脂溶液Cの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、エチルセルロース10gおよびテルピネオール90gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してエチルセルロースを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Cを調製した。
(誘電体ペースト組成物Cの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液C40gおよび誘電体ガラス粉末(PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス)60gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、誘電体ペースト組成物Cを得た。
(誘電体層の形成)
誘電体ペースト組成物Cを、バーコーターを用いてソーダガラス板の上面全面に塗布した。これを熱風乾燥機にて120℃でテルピネオールを乾燥させ、次いで、550℃で10分間焼成することにより、厚み50μmの誘電体層を形成した。
(誘電体層の評価)
形成した誘電体層について、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRaを測定したところ1.0μmであり、また、表面観察により、凹凸の多い表面であることを確認した。そして、凹凸のために透明性が損なわれていた。さらに、表面にひび割れがあった。また、エチルセルロースの焼成における残渣と思われる異物を確認した。
比較例2
(ポリウレタン樹脂Dの合成)
1000mlのSUS製セパラブルフラスコに、ポリオキシエチレングリコール(「PEG#6000」商品名、数平均分子量8630、三洋化成社製。以下、PEG6000という。)200gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。これを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。PEG6000に残留する水分は200ppmであった。次いで、70℃に冷却し、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。次いで、酸化防止剤(BHT)を、PEG6000に対して300ppm添加した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、特開平11−343328号公報の実施例1記載に準拠して製造した櫛形ジオール1.90gおよびHMDI4.41gを仕込んだ(NCO/OH=0.98mol/mol)。次いで、触媒(DBTDL)0.05gを添加したところ、10分後に急激に増粘した。直ちに攪拌を止めて、70℃で2時間反応させた。次いで、120℃に加熱して、30分間一定温度に保ち、その後、フラスコから反応物を取り出した。反応物の重量平均分子量は470000であった。
取り出した重合物を小片に裁断後、放冷した。これを液体窒素で冷却し、小型の衝撃型電動ミルで粉砕した。粉砕物を篩にかけ、粒子径が600μm以下の粉体であるポリウレタン樹脂Dを得た。このポリウレタン樹脂Dの平均粒子径は400μmであった。
(バインダー樹脂溶液Dの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、ポリウレタン樹脂D6gおよびテルピネオール94gを仕込み、60℃に加熱しながら30分間攪拌してポリウレタン樹脂Dを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Dを調製した。しかし、バインダー樹脂溶液Dを室温まで冷却すると、ポリウレタン樹脂Dがテルピネオールから析出して、バインダー樹脂溶液Dが白濁したスラリー状態となった。
(誘電体ペースト組成物Dの調製)
このスラリー状のバインダー樹脂溶液D40gおよび誘電体ガラス粉末(PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス)60gを、3本ロールミルで混練することにより、誘電体ペースト組成物Dを得た。
(誘電体層の形成)
誘電体ペースト組成物Dを、バーコーターを用いてソーダガラス板の上面全面に塗布した。これを熱風乾燥機にて120℃でテルピネオールを乾燥させ、次いで、550℃で10分間焼成することにより、厚み50μmの誘電体層を形成した。
(誘電体層の評価)
形成された誘電体層について、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRaを測定したところ、2.0μmであり、また、表面観察により、凹凸の多い表面であることを確認した。そして、凹凸のために透明性が損なわれていた。また、表面にひび割れがあった。
(考察)
本発明の範囲内のポリウレタン樹脂Aを含有する実施例1の誘電体ペースト組成物A、および、実施例2の誘電体ペースト組成物Bでは、可塑剤なしでも、誘電体ガラス粉末の劣化が低減されて、平坦な表面を得たと考えられる。
一方、エチルセルロースを含有する比較例1の誘電体ペースト組成物Cでは、平坦な表面が得られず、そして、平坦な表面を得るためには、誘電体ペースト組成物Cに可塑剤を添加する必要があると考えられる。
さらに、ペースト組成物Dは、テルピネオールに均一に溶解しないポリウレタン樹脂Dを含有するため、誘電体ペースト組成物Dの焼成体は、凹凸の多い表面となったと考えられる。
また、比較例2の誘電体層では、ひび割れのため、PDPの誘電体層として用いたときの耐圧性の低下が予想された。
2. 封止体
実施例3
(バインダー樹脂溶液Eの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、実施例1において得られたポリウレタン樹脂A6gおよびテルピネオール94gを仕込み、60℃に加熱しながら30分間攪拌してポリウレタン樹脂Aを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Eを得た。
(封止用ペースト組成物Eの調製)
バインダー樹脂溶液E10g、封止用ガラス粉末(P25−SnO−B23系ガラス、ガラス転移点Tg450℃、最大粒子径Dmax10μm、以下同じ。)70gおよび無機フィラー(酸化錫粉末、平均粒子径D50:5μm、以下同じ。)20gを加え混合した後、3本ロールミルで混練することにより、封止用ペースト組成物Eを調製した。
(封止用ペースト組成物Eのスクリーン印刷)
封止用ペースト組成物Eを、スクリーン(開口径80μm、以下同じ。)を用いて、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。印刷された封止用ペースト組成物Eの厚みは100μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、印刷された封止用ペースト組成物Eは、表面観察により、平坦であることを確認した。
(封止体の形成)
スクリーン印刷された封止用ペースト組成物Eを、空気中で、150℃、10分間乾燥後、空気中で、450℃、10分間焼成することにより、厚み100μmの封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、その表面には光沢があり、また、封止用ガラス粉末の劣化が防止されていることを確認した。
実施例4
(封止体の形成)
実施例3における封止体の形成において、焼成温度を、480℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、その表面には光沢があり、また、封止用ガラス粉末の劣化が防止されていることを確認した。
実施例5
(封止用ガラスペースト組成物Fの調製)
混合容器に、実施例3で調製したバインダー樹脂溶液E20g、封止用ガラス粉末(P25−SnO−B23系ガラス)40gおよび無機フィラー(酸化錫粉末、平均粒子径D50:5μm)40gを加えて混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、封止用ガラスペースト組成物Fを調製した。
(封止用ガラスペースト組成物Fのスクリーン印刷)
封止用ガラスペースト組成物Fを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。印刷された封止用ガラスペースト組成物Fの厚みは80μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、印刷された封止用ペースト組成物Eは、表面観察により、平坦であることを確認した。
(封止体の形成)
スクリーン印刷された封止用ペースト組成物Fを、空気中で、150℃、10分間乾燥後、空気中で、450℃、10分間焼成することにより、厚み80μmの封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、その表面には光沢があり、また、封止用ガラス粉末の劣化が防止されていることを確認した。
実施例6
(封止体の形成)
実施例4において、焼成の雰囲気を、空気から窒素に変更した以外は、実施例4と同様にして、封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、その表面には光沢があり、また、封止用ガラス粉末の劣化が防止されていることを確認した。
実施例7
(封止体の形成)
実施例5において、焼成の雰囲気を、空気から窒素に変更した以外は、実施例5と同様にして、封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、その表面には光沢があり、また、封止用ガラス粉末の劣化が防止されていることを確認した。
比較例3
(バインダー樹脂溶液Gの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、エチルセルロース5gおよびテルピネオール95gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してエチルセルロースを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Gを調製した。
(封止用ガラスペースト組成物Gの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液G10g、封止用ガラス粉末(P25−SnO−B23系ガラス)70gおよび無機フィラー(酸化錫粉末)20gを加えて混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、封止用ガラスペースト組成物Gを調製した。
(封止用ガラスペースト組成物Gのスクリーン印刷)
封止用ガラスペースト組成物Gを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。印刷された封止用ガラスペースト組成物Gの厚みは75μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、印刷された封止用ペースト組成物Eは、表面観察により、平坦であることを確認した。
(封止体の形成)
スクリーン印刷された封止用ペースト組成物Gを、空気中で、150℃、10分間乾燥後、空気中で、480℃、10分間焼成することにより、厚み90μmの封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、表面に光沢がなく、また、表面観察により、封止用ガラス粉末の劣化が認められた。
比較例4
(バインダー樹脂溶液Hの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、アクリル樹脂(ポリ(ブチルメタクリレート))5ggおよびテルピネオール95gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してアクリルを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Hを調製した。
(封止用柄スペース組成物Hの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液H10g、誘電体ガラス粉末(PbO−B23−SiO2−CaO系ガラス)70gおよび無機フィラー(酸化錫粉末)20gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、封止用ガラスペースト組成物Hを調製した。
(封止用ペースト組成物Hのスクリーン印刷)
封止用ペースト組成物Hを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷したところ、糸引きを生じ、印刷された封止用ペースト組成物Hに凹凸が認められた。印刷された封止用ペースト組成物Hの厚みは100μmであった。
(封止体の形成)
スクリーン印刷された封止用ペースト組成物Hを、空気中で、150℃、10分間乾燥後、空気中で、480℃、10分間焼成することにより、厚み105μmの封止体を形成した。
(封止体の評価)
形成された封止体の表面の光沢を目視で観察したところ、その表面には光沢があり、また、表面観察により、封止用ガラス粉末の劣化が防止されていることを確認した。一方、表面の凹凸は焼成後も残存した。
(考察)
本発明の範囲内の実施例4および5の封止用ペースト組成物EおよびFを、窒素中でそれぞれ焼成した実施例6および7では、封止用ガラス粉末の劣化が認められなかった。そのため、一般に、低温での焼成や、窒素中の焼成では分解し易いにもかかわらず、本発明の範囲内の実施例6および7の封止用ガラスペースト組成物では、封止用ガラス粉末が劣化しにくいことが分かる。
3. 隔壁
実施例8
(ポリウレタン樹脂Iの合成)
1000mlのSUS製セパラブルフラスコに、3−メチルテトラヒドロフラン・テトラヒドロフラン共重合物(「PTGL8000」商品名、数平均分子量8311、保土ヶ谷化学製。以下、PTGL8000とする。)30gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。これを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。PTGL8000に残留する水分は200ppmであった。次いで、70℃に冷却し、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。次いで、酸化防止剤(BHT)をPTGL8000に対して500ppm添加した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、HMDI0.5829gを仕込んだ(NCO/OH=0.96mol/mol)。次いで、触媒(DBTDL)0.009gを添加し、70℃で7時間反応させた。次いで、120℃に加熱して30分間一定温度に保ち、その後、フラスコから反応物を取り出した。反応物の重量平均分子量は280000であった。
その後、取り出した反応物を小片に裁断後、放冷した。これを液体窒素で冷却し、小型の衝撃型電動ミルで粉砕した。次いで、粉砕物を篩にかけ、粒子径が600μm以下のポリウレタン樹脂Iを得た。ポリウレタン樹脂Iの平均粒子径は400μmであった。
(バインダー樹脂溶液Iの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、ポリウレタン樹脂I20gおよびテルピネオール80gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してポリウレタン樹脂Iを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Iを調製した。
(隔壁材ペースト組成物Iの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液I20g、隔壁材ガラス粉末(PbO−B23−SiO2系ガラス粉末、軟化点450℃、熱膨張係数80×10-7(1/℃)、平均粒子径D50:1μm、最大粒子径Dmax5μm)60gおよびアルミナ(平均粒子径D50:5μm、以下同じ。)20gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、隔壁材ペースト組成物Iを調製した。
(隔壁の形成)
隔壁材ペースト組成物Iを、アプリケーターを用いてソーダガラス板の上面全面に塗布した。これを熱風乾燥機でテルピネオールを乾燥させ、厚み180μmの乾燥体を形成した。
次いで、乾燥体の上面全面に、ドライフィルムレジストをラミネートし、さらにその上に遮光フィルムを載せ、露光および現像し、未露光部分を1%苛性ソーダ水溶液を用いて除去して、所定のパターンでサンドブラストレジストを形成した。その後、炭酸カルシウム粉末を用いて、サンドブラスト装置により90秒間サンドブラストして、サンドブラストレジストから露出する乾燥体を研磨した。その後、サンドブラストされた乾燥体を、550℃で10分間焼成することにより、厚み180μmの隔壁を形成した。
(隔壁の評価)
隔壁におけるサンドブラストによる研磨深さを測定したところ、110μmであり、適切な深さであった。また、隔壁の断面形状を、SEMにより断面観察(以下同じ)したところ、隔壁の壁面はほぼ平坦であり、サンドブラストによるオーバーサンドが認められなかった。
比較例5
(バインダー樹脂溶液Jの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、エチルセルロース20gおよびテルピネオール80gを仕込み、60℃に加熱しながら1時間攪拌してエチルセルロースを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Jを調製した。
(隔壁材ペースト組成物Jの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液J20g、隔壁材ガラス粉末(PbO−B23−SiO2系ガラス粉末)60gおよびアルミナ20gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、隔壁材ペースト組成物Jを調製した。
(隔壁の形成)
隔壁材ペースト組成物Iを隔壁材ペースト組成物Jに変更した以外は、実施例7と同様にして隔壁を形成した。
(隔壁の評価)
隔壁におけるサンドブラストによる研磨深さを測定したところ、100μmであり、適切な深さであった。一方、隔壁の断面形状を観察したところ、隔壁の壁面の中央部分が過度に研磨されて(オーバーサンドされて)凹みが生じていた。
4. 蛍光体
実施例9
(ポリウレタン樹脂Kの合成)
1000mlのSUS製セパラブルフラスコに、PTMEG8000 30gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。これを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。PTMEG8000に残留する水分は200ppmであった。次いで、70℃に冷却し、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。次いで、酸化防止剤(BHT)を、PTMEG8000に対して500ppm添加した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート(MDI、三井化学ポリウレタン社製)0.7516gを仕込んだ(NCO/OH=0.96mol/mol)。次いで、触媒(DBTDL)0.0015gを添加し、50℃で7時間反応させた。次いで、120℃に加熱して、30分間一定温度に保ち、その後、フラスコから反応物を取り出した。反応物の重量平均分子量は840000であった。
その後、取り出した反応物を小片に裁断後、放冷した。これを液体窒素で冷却し、小型の衝撃型電動ミルで粉砕した。次いで、粉砕物を篩にかけ、粒子径が600μm以下の粉体であるポリウレタン樹脂Kを得た。このポリウレタン樹脂Kの平均粒子径は400μmであった。
(バインダー樹脂溶液Kの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、ポリウレタン樹脂K9gおよび酢酸ブチルカルビトール(関東化学社製)91gを仕込み、60℃に加熱しながら30分間攪拌してポリウレタン樹脂Kを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Kを調製した。
(蛍光体ペースト組成物Kの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液K50gおよび蛍光体粉末(青色蛍光体粉末、BaMgAl1017:Eu、平均粒子径D50:5μm)50gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、青色用の蛍光体ペースト組成物Kを得た。
(蛍光体ペースト組成物Kのスクリーン印刷)
蛍光体ペースト組成物Kを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。印刷された蛍光体ペースト組成物Kの厚みは30μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、印刷された蛍光体ペースト組成物Kは、表面観察により、平坦であることを確認した。
(蛍光体の形成)
スクリーン印刷された蛍光体ペースト組成物Kを、150℃で10分間乾燥後、450℃で10分間焼成することにより、厚み80μmの蛍光体を形成した。
(蛍光体の評価)
形成された蛍光体をソーダガラス板から剥離し、蛍光体粉末を回収した。この蛍光体粉末に紫外光(146nm)を照射し、蛍光体粉末からの発光強度を計測した。焼成後の蛍光体粉末からの発光強度は、未焼成の蛍光粉末からの発光強度に対して、96%であった。
実施例10
(ポリウレタン樹脂Lの合成)
1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、PTMEG8000 30gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。これを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。残留する水分は200ppmであった。70℃まで温度を下げ、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。酸化防止剤(BHT)をPTMEG8000に対して500ppm添加した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、HMDI2.3371gを仕込んだ(NCO/OH=0.95mol/mol)。次いで、トルエン120gを仕込み、さらに、触媒(DBTDL)0.009gを添加し、70℃で7時間反応させた。これにより、ポリウレタン樹脂Lのトルエン溶液を得た。なお、反応物の重量平均分子量は560000であった。
(バインダー樹脂溶液Lの調製)
得られたポリウレタン樹脂Lのトルエン溶液に、酢酸ブチルカルビトール303gを仕込み、ポリウレタン樹脂Lを均一に溶解させ、これらを攪拌しながら減圧下(400Pa)で残留するトルエンを取り除いた。その後、フラスコからバインダー樹脂溶液Lを取り出し、これを得た。
(蛍光体ペースト組成物Lの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液L50gおよび蛍光体粉末(青色蛍光体粉末、BaMgAl1017:Eu)50gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、青色用の蛍光体ペースト組成物Lを得た。
(蛍光体ペースト組成物Lのスクリーン印刷)
蛍光体ペースト組成物Lを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。印刷された蛍光体ペースト組成物Lの厚みは30μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、また、印刷された蛍光体ペースト組成物Lは、表面観察により、平坦であることを確認した。
(蛍光体の形成)
スクリーン印刷された蛍光体ペースト組成物Lを、150℃で10分間乾燥後、450℃で10分間焼成することにより、厚み80μmの蛍光体を形成した。
(蛍光体の評価)
形成された蛍光体をソーダガラス板から剥離し、蛍光体粉末を回収した。この蛍光体粉末に紫外光(146nm)を照射し、蛍光体粉末からの発光強度を計測した。焼成後の蛍光体粉末からの発光強度は、未焼成の蛍光粉末からの発光強度に対して、90%であった。
比較例6
(バインダー樹脂溶液Mの調製)
200mlのガラス製セパラブルフラスコに、エチルセルロース5gおよび酢酸ブチルカルビトール95gを仕込み、60℃に加熱しながら30分間攪拌してエチルセルロースを溶解させることにより、バインダー樹脂溶液Mを調製した。
(蛍光体ペースト組成物Mの調製)
バインダー樹脂溶液M50gおよび蛍光体粉末(青色蛍光体粉末、BaMgAl1017:Eu)50gを、3本ロールミルで混練することにより、青色用の蛍光体ペースト組成物Mを得た。
(蛍光体ペースト組成物Mのスクリーン印刷)
蛍光体ペースト組成物Mを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。印刷された蛍光体ペースト組成物Mの厚みは30μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、また、印刷された蛍光体ペースト組成物Mは、平坦であった。
(蛍光体の形成)
スクリーン印刷された蛍光体ペースト組成物Lを、150℃で10分間乾燥後、500℃で10分間焼成することにより、厚み75μmの蛍光体を形成した。
(蛍光体の評価)
形成された蛍光体をソーダガラス板から剥離し、蛍光体粉末を回収した。この蛍光体粉末に紫外光(146nm)を照射し、蛍光体粉末からの発光強度を計測した。焼成後の蛍光体粉末からの発光強度は、未焼成の蛍光粉末からの発光強度に対して、80%であった。
(考察)
本発明の範囲内の実施例9の蛍光体ペースト組成物Kおよび実施例10の蛍光体ペースト組成物Lは、450℃の焼成で得られた蛍光体の発光強度(未焼成の発光強度に対する相対発光強度)が、ともに90%以上であった。
一方、エチルセルロースを含有する比較例6の蛍光体ペースト組成物Mは、500℃の焼成で得られた蛍光体の発光強度(未焼成の発光強度に対する相対発光強度)が、80%であった。
このことから、本発明の範囲内の実施例9および10の蛍光体ペースト組成物KおよびLでは、低温焼成でも炭化しくいため、蛍光体の発光強度(輝度)の低下を防止できることが分かる。
5. 電子エミッタ
実施例11
(ポリウレタン樹脂Nの合成)
1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、PTMEG8000 30gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。これを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。PTMEG8000に残留する水分は200ppmであった。次いで、70℃に冷却し、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。次いで、酸化防止剤(BHT)を、PTMEG8000に対して500ppm加えた。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、HMDIを0.4894g仕込んだ(NCO/OH=0.93mol/mol)。次いで、トルエンを120g仕込み、さらに、触媒(DBTDL)0.009gを添加し、70℃で7時間反応させた。これにより、ポリウレタン樹脂Nのトルエン溶液を得た。なお、ポリウレタン樹脂Nの重量平均分子量は800000であった。
(バインダー樹脂溶液Nの調製)
得られたポリウレタン樹脂Nのトルエン溶液に、テルピネオール570gを仕込み、ポリウレタン樹脂Nを均一に溶解させ、これらを攪拌しながら減圧下(400Pa)で残留するトルエンを取り除いた。その後、フラスコからバインダー樹脂溶液Nを取り出し、これを得た。
(カーボンナノ材料ペースト組成物Nの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液N60g、カーボンナノチューブ15gおよび低融点ガラス粉末(P25−SnO−B23系ガラス、平均粒子径D50:5μm)15gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、カーボンナノ材料ペースト組成物Nを得た。
(電子エミッタの形成)
カーボンナノ材料ペースト組成物Nを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。スクリーン印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Nの厚みは5μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、また、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Nは、表面観察により、平坦であることを確認した。また、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Nについて、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRaを測定したところ10nmと平坦な表面であった。
次いで、スクリーン印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Nを、150℃で10分間乾燥後、400℃で10分間焼成することにより、厚み5μmの電子エミッタを形成した。
(電子エミッタの評価)
形成された電子エミッタの脱ガス量を、熱分解ガスクロマトグラフィーにて800℃まで加熱して測定した。その結果、炭素に由来する脱ガス量はほとんど0(ゼロ)であった。
比較例7
(カーボンナノ材料ペースト組成物Oの調製)
混合容器に、比較例3において調製したバインダー樹脂溶液G60g、カーボンナノチューブ15gおよび低融点ガラス粉末15gを加え混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、カーボンナノ材料ペースト組成物Oを得た。
(電子エミッタの形成)
カーボンナノ材料ペースト組成物Oを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。スクリーン印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Oの厚みは5μmであった。また、スクリーン印刷において糸引きを生じず、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Oは、表面観察により、平坦であることを確認した。また、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Oについて、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRaを測定したところ15nmであった。
次いで、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Oを、150℃で10分間乾燥後、400℃で10分間焼成することにより、厚み5μmの電子エミッタを形成した。
(電子エミッタの評価)
形成された電子エミッタの脱ガス量を、熱分解ガクスクロマトグラフィーにて800℃まで加熱して測定した。その結果、炭素に由来する脱ガスを確認した。
比較例8
(ポリウレタン樹脂Pの調製)
1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、PEG6000 32gおよびポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG#1000」商品名、数平均分子量1039、保土ヶ谷化学社製。以下、PTMEG1000とする。)8gを仕込み、窒素雰囲気下で150℃にて溶融させた。次いで、これらを攪拌しながら減圧下(400Pa)で3時間乾燥させた。PEG6000およびPTMEG1000に残留する水分は200ppmであった。次いで、70℃に冷却し、フラスコ内を1気圧の窒素で満たした。次いで、酸化防止剤(BHT)を、PEG6000およびPTMEG1000の総量に対して500ppm添加した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら、HMDI1.8228gを仕込んだ(NCO/OH=0.95mol/mol)。次いで、トルエン160gを仕込み、さらに、触媒(DBTDL)0.012gを添加し、70℃で7時間反応させた。これにより、ポリウレタン樹脂Pのトルエン溶液を得た。なお、ポリウレタン樹脂Pの重量平均分子量は460000であった。
(バインダー樹脂溶液Pの調製)
得られたポリウレタン樹脂Pのトルエン溶液に、テルピネオール760gを仕込み、ポリウレタン樹脂Pを均一に溶解させ、これらを攪拌しながら減圧下(400Pa)で残留するトルエンを取り除いた。その後、フラスコからバインダー樹脂溶液Pを取り出し、これを得た。その後、バインダー樹脂溶液Pを室温まで冷却すると、ポリウレタン樹脂Pが一部析出し、バインダー樹脂溶液Pが不均一なスラリー状態となった。
(カーボンナノ材料ペースト組成物Pの調製)
混合容器に、バインダー樹脂溶液P50g、カーボンナノチューブ15gおよび低融点ガラス粉末15gを加えて混合した後、これらを3本ロールミルで混練することにより、カーボンナノ材料ペースト組成物Pを得た。
得られたカーボンナノ材料ペースト組成物Pは、カーボンナノ材料が一部凝集しており、不均一な状態であった。
(電子エミッタの形成)
カーボンナノ材料ペースト組成物Pを、ソーダガラス板の上面に所定のパターンでスクリーン印刷した。スクリーン印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Pの厚みは5μmであった。また、スクリーン印刷において、糸引きを生じず、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Pは、SEMによる観察により、平坦であることを確認した。また、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Pについて、触針式表面粗さ計を用いて表面粗さRaを測定したところ30nmであった。また、この表面には、凹凸が認められた。
次いで、印刷されたカーボンナノ材料ペースト組成物Pを、150℃で10分間乾燥後、400℃で10分間焼成することにより、厚み5μmの電子エミッタを形成した。
(電子エミッタの評価)
形成された電子エミッタの脱ガス量を、熱分解ガスクロマトグラフィーにて800℃まで加熱して測定した。その結果、炭素に由来する脱ガスをわずかに確認した。
(考察)
本発明の範囲内の実施例11のカーボンナノ材料ペースト組成物Nでは、低温における焼成でも炭化しくいため、電子エミッタの電子放出特性の低下を防止できることが分かる。
一方、エチルセルロースを含有する比較例7のカーボンナノ材料ペースト組成物Oは、熱分解が不十分であり、これを焼成して形成された電子エミッタの電子放出特性に影響を及ぼすことが分かる。また、比較例8のカーボンナノ材料ペースト組成物Pは、PEG6000を含むポリオキシアルキレングリコールの反応により得られるポリウレタン樹脂Pを含有するところ、ある程度は熱分解するが、これを焼成して形成された電子エミッタの電子放出特性にわずかな影響を及ぼすことが分かる。
本発明のペースト組成物は、焼成により焼成体を得ることができる。この焼成体は、例えば、FPDの部品、より具体的には、誘電体層、封止体、隔壁、蛍光体、電子エミッタとして好適に用いられる。

Claims (16)

  1. 炭素数が4〜6のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールと、ジイソシアネートとの反応により得られるポリウレタン樹脂と、
    溶剤と、
    粉末とを含有することを特徴とする、ペースト組成物。
  2. 前記ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が4000以上であることを特徴とする、請求項1に記載のペースト組成物。
  3. 前記粉末が、低融点ガラス粉末を含有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のペースト組成物。
  4. 前記粉末が、さらに、無機フィラーを含有することを特徴とする、請求項3に記載のペースト組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、焼成体。
  6. 前記低融点ガラス粉末が、誘電体ガラス粉末であることを特徴とする、請求項3または4に記載のペースト組成物。
  7. 前記低融点ガラス粉末が、封止用ガラス粉末であることを特徴とする、請求項3または4に記載のペースト組成物。
  8. 前記低融点ガラス粉末が、隔壁材ガラス粉末であることを特徴とする、請求項3または4に記載のペースト組成物。
  9. 前記粉末が、蛍光体粉末を含有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のペースト組成物。
  10. 前記粉末が、カーボンナノ材料を含有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のペースト組成物。
  11. 請求項6に記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、誘電体層。
  12. 請求項7に記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、封止体。
  13. 請求項8に記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、隔壁。
  14. 請求項9に記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、蛍光体。
  15. 請求項10に記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、電子エミッタ。
  16. 請求項6〜10のいずれかに記載のペースト組成物を焼成することにより得られることを特徴とする、フラットパネルディスプレイ用部品。
JP2007249963A 2007-09-26 2007-09-26 ペースト組成物、焼成体およびフラットパネルディスプレイ用部品 Ceased JP2009079139A (ja)

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