JP5440742B1 - 隔壁を有する部材、無機パターン形成用ペースト及びパターン形成方法 - Google Patents

隔壁を有する部材、無機パターン形成用ペースト及びパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、高強度かつ高反射率であり、残存有機成分の少ない隔壁を有するプラズマディスプレイパネル用部材、シンチレータパネル用部材を提供すること、及び、そのような隔壁を形成するための無機パターン形成用ペーストを提供することを目的とする。本発明は、ガラス基板上に隔壁を有する部材であり、上記隔壁は、低軟化点ガラスと、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及びCaO:7.5〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラスと、を含む部材を提供する。

Description

本発明は、隔壁を有する部材、無機パターン形成用ペースト及び無機パターン形成方法に関する。
近年、ディスプレイ業界では、高精細かつ低消費電力のディスプレイを高歩留まりで製造することが重要な課題となっている。ディスプレイとしては、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等がある。このうちプラズマディスプレイは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノード電極とカソード電極との間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されている放電ガスから発生した紫外線を放電空間内に設けた蛍光体に照射し発光させることにより表示を行うものである。
プラズマディスプレイは、放電空間を仕切るための、絶縁性の無機パターンすなわち隔壁を必要とする。これらの隔壁を形成する方法としては、隔壁形成用ペーストをスクリーン印刷版によりパターン状に繰り返し塗布、乾燥した後、焼成を行うスクリーン印刷法、乾燥させた隔壁材料の層上にレジストでマスキングし、サンドブラスト処理により削った後、焼成を行うサンドブラスト法、乾燥させた隔壁材料を焼成した後、その層上にレジストでマスキングを行い、エッチングするエッチング法、隔壁形成用ペーストの塗布膜にパターンを有する金型を押し当ててパターンを形成した後、焼成を行う型転写法(インプリント法)、感光性ペースト材料からなる隔壁材料を塗布、乾燥し、露光、現像処理を行った後、焼成を行う感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)等が知られている。これらの無機パターン形成方法はいずれも、低軟化点ガラス粉末と有機成分とを含む隔壁形成用ペーストを用いてパターン化されたペースト塗布膜を設け、焼成することによって有機成分を除去して低軟化点ガラスを含む絶縁性の無機パターンである隔壁を形成する方法である。中でも感光性ペースト法は、高精細で大面積化に対応できる方法であり、また、コストメリットの高い手法である。
プラズマディスプレイの高精細化のためには、隔壁の断面形状は底部線幅、頂部線幅が共に細いことが望まれる。しかしながら、細幅化に伴い隔壁の強度が低下するため、隔壁間への蛍光体塗布工程や前面基板と背面基板の封着工程等の上記隔壁に衝撃が加わる製造工程や、完成後のパネルに衝撃が加わった際に上記隔壁が対向する基板と衝突すること等により、隔壁に欠け等の損壊が生じ易くなる。この損壊により、パネルの不灯欠陥や、混色等の異常点灯欠陥が発生して歩留まりが低下してしまうことから、隔壁の細幅化と高強度化の両立は重要な課題である。この課題に対し、従来、隔壁の最上層のみに空隙率の大きな層を形成することにより、加わった衝撃がこの高空隙率層で吸収され、大規模な損壊が抑制されることが報告されている(特許文献1)。しかしながら、この方法によると隔壁の空隙率が大きくなるため、蛍光体を塗布する際に隔壁の空隙に蛍光体が染み込み、発光の混色が生じて異常点灯する問題があった。
一方、隔壁は単に発光区域を区分するのみでなく、発光輝度、色純度等のディスプレイの表示特性に影響を与えるものである。特にプラズマディスプレイにおいて、隔壁の反射率が低いと、隔壁側面や隔壁間の底面に塗布されている蛍光体層から発光される表示光の反射が不足して輝度が低くなってしまう。そこで、発光効率を向上させるため、隔壁の反射率を高くしたいという要求がある。
従来、感光性ペースト法により反射率の高い隔壁を形成する手法が提案されている(特許文献2及び3)。特許文献2及び3では、高屈折率の無機微粒子(ナノ粒子)を均一に分散させた感光性の隔壁形成用ペーストによりパターン形成した後、焼成時にナノ粒子を凝集させることで反射率の高い隔壁を形成している。しかし、本手法では、ペースト中に分散させたナノ粒子を焼成工程で再び凝集させるため、凝集粒子の粒子径を制御することが困難であり、反射率がパネル面内でばらついてしまうことが課題であった。また、原料であるナノ粒子のコストが高いという問題があった。
また、隔壁の形成工程では、低軟化点ガラスと有機成分とを含む隔壁形成用ペーストを用いてパターンを形成した後、焼成して隔壁を形成するが、この際、焼成後に有機成分がわずかに残存する。この残存有機成分が多く存在すると、隔壁が着色し、パネルの発光効率、色純度等のディスプレイの表示特性に影響を与えるという問題があった。さらにプラズマディスプレイでは、前面板と背面板を貼りあわせてパネル化する封着工程において、隔壁に残存する有機成分がガスとして発生し、前面板保護層に影響を与え、放電電圧が上昇する等の特性劣化を起こす問題や、パネル内に不純物ガスが残留することによりパネルの信頼性を高めることができず、歩留まりが低下してしまうという問題があった。
そこで、発光効率や色純度等の表示特性に優れ、パネル信頼性の高いディスプレイを製造するため、焼成後の残存有機成分を低減する手法が種々提案されている(特許文献4〜6)。特許文献4は、ペースト中の有機成分として水酸基及び重合性不飽和基を含有する樹脂、例えば、高温時の熱分解性に優れるポリオールを用いる点が特徴である。特許文献5は、有機成分の熱分解性を上げるため、有機成分として酸素原子含有率の高いポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリル系共重合体を用いる点が特徴である。特許文献6は、有機成分分解物がガラス中に残存しないように、有機成分の減量率が80%に達する温度よりも10℃以上高いガラス転移点を有する低軟化点ガラスを用いる点が特徴である。しかし、これらの手法では残存有機成分のうち熱分解性不良によるものは低減できるが、熱分解物のガラスへの吸着によるものは抑制できないため、隔壁の残存有機成分の低減がまだ不十分であるという問題があった。
また、医療分野においても、隔壁を有する部材に注目が集まっている。従来、医療現場において、フィルムを用いたX線画像が広く用いられてきた。しかし、フィルムを用いたX線画像はアナログ画像情報であるため、近年、コンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等のデジタル方式の放射線検出装置が開発されている。
平板X線検出装置(FPD)においては、放射線を可視光に変換するために、シンチレータパネルが使用される。シンチレータパネルは、ヨウ化セシウム(CsI)等のX線蛍光体を含み、照射されたX線に応じて、該X線蛍光体が可視光を発光して、その発光をTFTやCCDで電気信号に変換することにより、X線の情報をデジタル画像情報に変換する。しかし、FPDは、S/N比が低いという問題があった。これは、X線蛍光体が発光する際に、蛍光体自体によって、可視光が散乱してしまうことなどに起因する。この光の散乱の影響を小さくするために、隔壁で仕切られたセル内に蛍光体を充填する方法が提案されてきた(特許文献7及び8)。
しかし、そのような隔壁を形成する方法として、従来用いられてきた方法は、シリコンウェハをエッチング加工する方法、あるいは、顔料またはセラミック粉末と低融点ガラス粉末との混合物であるガラスペーストをスクリーン印刷法を用いて多層にパターン印刷した後に焼成して、隔壁パターンを形成する方法などである。シリコンウェハをエッチング加工する方法では、形成できるシンチレータパネルのサイズが、シリコンウェハのサイズによって限定され、500mm角のような大サイズのものを得ることはできなかった。大サイズのものを作るには小サイズのものを複数並べて作ることになるが、その製作は精度的に難しく、大面積のシンチレータパネルを作製することが困難であった。
また、ガラスペーストを用いた多層スクリーン印刷法では、スクリーン印刷版の寸法変化などにより、高精度の加工が困難である。また多層スクリーン印刷を行う際に、隔壁パターンの崩壊欠損を防ぐために、隔壁パターンの強度を高くするために、一定の隔壁幅が必要になる。隔壁パターンの幅が広くなると、相対的に隔壁間のスペースが狭くなり、蛍光体を充填できる体積が小さくなり、また、充填量が均一とならない。そのため、この方法で得られたシンチレータパネルは、X線蛍光体の量が少ないために、発光が弱くなる、発光ムラが生じるといった欠点がある。これは、低線量での撮影において、鮮明な撮影を行うには障害となってくる。
つまり、発光効率が高く、鮮明な画質を実現するシンチレータパネルを作製するためには、大面積を高精度で加工でき、かつ隔壁の幅を細くしても損壊が生じにくい、高強度の隔壁が必要である。さらに、可視光の取り出し効率を高めるために、隔壁の反射率が高いことが求められる。
特開2006−012436号公報 特開2001−229838号公報 特開2001−27802号公報 特開2001−305729号公報 特開2008−50594号公報 特開平11−52561号公報 特開平5−60871号公報 特開2011−007552号公報
そこで本発明は、高強度かつ高反射率であり、残存有機成分の少ない隔壁を有する部材を提供すること、及び、そのような隔壁を形成するための無機パターン形成用ペーストを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち本発明は、ガラス基板上に隔壁を有する部材であり、上記隔壁は、低軟化点ガラスと、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7.5〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラスと、を含む、部材を提供する。また、低軟化点ガラス粉末と、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7.5〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラス粉末と、有機成分と、を含む、無機パターン形成用ペーストを提供する。
本発明によれば、高強度かつ高反射率であり、残存有機成分の少ない無機パターンを形成できる。
本発明の部材は、ガラス基板上に隔壁を有し、上記隔壁は、低軟化点ガラスと、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7.5〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラスと、を含むことを特徴とする。
高軟化点ガラスとは、軟化点が650℃より大きいガラスをいう。また、低軟化点ガラスとは、軟化点が450〜650℃の範囲であるガラスをいう。軟化点が前述の範囲にある2種のガラスをそれぞれ含有することで、焼成工程における溶融性が適切となるため好ましい。ガラスの軟化点は、ガラス粉末を用い示差走査熱量分析により測定することができる。
高軟化点ガラスとしては、以下に示す組成を有するガラスを用いることが必要である。なお、例えば「65.5〜69.0モル%」の表記は、65.5モル%以上69.0モル%以下であることを意味する。
SiO : 65.5〜69.0モル%
Al : 9.5〜12.5モル%
: 8.0〜12.0モル%
MgO : 0.5〜3.5モル%
CaO : 7.5〜10.5モル%
SiOは、ガラス骨格を形成する成分であり、含有量が少ない場合は隔壁の反射率が低下し、またガラスの安定性が低下するため、65.5モル%以上の含有率が必要である。一方、含有量が多くなると隔壁の損壊が顕著になり、またガラスの軟化点が高くなりすぎて製造コストが高くなるため、69.0モル%以下の含有率が必要である。SiOの含有率は、66.0〜68.5モル%であることがより好ましい。
Alは、ガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、また含有量が少ない場合は隔壁の反射率が低下するため、9.5モル%以上の含有率が必要である。一方、含有量が多くなると隔壁の損壊が顕著になるため、含有率が12.5モル%以下であることが必要である。Alの含有率は、10.0〜12.0モル%であることがより好ましい。
は、SiOと同様にガラス骨格を形成する成分であり、また隔壁強度を高めて損壊を抑制する成分であることから、8.0モル%以上の含有率が必要である。一方、含有量が多くなるとガラスが化学的に不安定になり、隔壁の残存有機成分が増加することから、含有率が12.0モル%以下であることが必要である。
MgOは、隔壁の残存有機成分を減少させる成分であることから、0.5モル%以上の含有率が必要である。一方、含有量が多くなると隔壁の損壊が顕著になり、また隔壁の反射率が顕著に低下することから、含有率が3.5モル%以下であることが必要である。
CaOは、MgOと同様に隔壁の残存有機成分を減少させる成分であることから、7.5モル%以上の含有率が必要である。一方、含有量が多くなると隔壁の損壊が顕著になり、また隔壁の反射率が低下することから、含有率が10.5モル%以下であることが必要である。
上記に加え、高軟化点ガラスは、SrOを0.2〜0.8モル%含有することが好ましい。SrOを0.2モル%以上含有することにより、残存有機成分が減少する。一方、SrOを0.8モル%より多く含有すると、隔壁の損壊が顕著になる。
BaOについても、含有により残存有機成分を低減する効果は認められるが、BaOはごく微量の含有でも隔壁の損壊が顕著になることから、含有率が0.1モル%以下であることが好ましい。
さらに本発明の高軟化点ガラスは、NaOを0.1〜1.5モル%含有することが好ましい。NaOを0.1モル%以上含有することにより、隔壁の反射率が顕著に向上する。一方、NaOを1.5モル%より多く含有すると、電極に存在する銀の影響により隔壁が黄変し易くなる。
一方、LiO及びKOについては、隔壁の反射率向上効果が明確ではなく、黄変への影響が強いことから、含有率は0.1モル%以下とすることが好ましい。
高軟化点ガラスはZnO又はTiO等を含んでいても構わないが、これらはいずれも隔壁の反射率を低下させるとともに隔壁の損壊が顕著になることから、含有率が0.1モル%以下であることが好ましい。
ガラスの構成成分及びその含有率は、ガラス粉末作製時の各原料及びその配合率から特定及び算出することもできるが、ガラス粉末、無機パターン形成用ペースト又は隔壁のサンプルの分析からも特定及び算出が可能である。サンプルがガラス粉末の場合は、原子吸光分析又は誘導結合プラズマ(以下、「ICP」)発光分光分析を行うことにより定量的に決定できる。サンプルが隔壁の場合は、オージェ電子分光分析により定量的に決定できる。より具体的には、隔壁断面を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」)により観察し、SEM画像の濃淡の差で低軟化点ガラスと高軟化点ガラスとを区別し、オージェ電子分光によりそれぞれを元素分析するというものである。また、サンプルが隔壁の場合は、隔壁より高軟化点ガラス又は低軟化点ガラスを選択的に削り出し、原子吸光分析、ICP発光分光分析を行う手段を補助的に用いることもできる。サンプルが無機パターン形成用ペーストの場合は、無機パターン形成用ペーストのろ過、洗浄等の操作によりガラス粉末を単離してから、ガラス粉末と同様の分析をするか、無機パターン形成用ペーストを塗布及び焼成して隔壁を形成してから、隔壁と同様の分析をすることができる。
低軟化点ガラスとしては、公知慣用の組成の低軟化点ガラスを用いることができる。具体的には、以下の組成を有する低軟化点ガラスを用いることが好ましい。
SiO : 25〜48モル%
Al : 4〜15モル%
LiO+NaO+KO : 4〜17モル%
: 27〜40モル%
MgO+CaO+SrO+BaO : 0〜5.5モル%
ZnO : 0〜12モル%
ZrO : 0〜2モル%
低軟化点ガラス中のSiOは、25〜48モル%が好ましく、29〜42モル%がより好ましく、33〜42モル%がさらに好ましい。酸化ケイ素の含有率を25モル%以上とすることで、熱膨張係数を小さく抑えガラス基板に焼き付けたときにクラックを生じ難くできる。さらに、屈折率を低下させることができる。また、48モル%以下とすることで、ガラスの軟化点を低下させてガラス基板への焼き付け温度を低下させることができる。
Alは、ガラスの化学的安定性を向上させるため、4〜15モル%が好ましく、8〜15モル%がより好ましい。
アルカリ金属酸化物は、ガラスの熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、軟化点を低下させる効果を有する。ここでアルカリ金属酸化物とは、LiO、NaO、KOをいい、アルカリ金属酸化物を含有するとは、これらのうち一つ以上を含有することをいう。低軟化点ガラス粉末に占めるアルカリ金属酸化物の含有率の合計値は、4〜17モル%が好ましく、10〜17モル%がより好ましい。4モル%以上とすることで、ガラスの軟化点を低下させることができる。また、17モル%以下とすることで、ガラスの化学的安定性を維持しながら、熱膨張係数を小さく抑え、屈折率を低下させることができる。また、黄変を低減できることから、低軟化点ガラス粉末に占めるNaOの含有率は、3.5モル%以下にすることが好ましい。
は、ガラス組成のバランス及び化学的安定性を好適に維持するため、27〜41モル%であることが好ましい。ガラスの化学的安定性を向上させ、軟化点を低下させてガラス基板への焼き付け温度を低下させ、さらに屈折率を低下させるために、27〜37モル%がより好ましく、27〜34モル%がさらに好ましい。
本発明において、アルカリ土類金属酸化物とは、MgO、CaO、SrO、BaOをいう。アルカリ土類金属酸化物は、熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、軟化点を低下させる効果を有するが、反射率を低下させることから、アルカリ土類金属元素酸化物の含有率の合計値は、5.5モル%以下であることが好ましく、4モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましい。
ZnOは、ガラスの熱膨張係数を大きく変化させることなく軟化点を低下させる効果を有する。しかしながらその一方でペースト粘度安定性を悪化させるため、低軟化点ガラス粉末に占める酸化亜鉛の含有率は12モル%以下であることが好ましく、6モル%以下がより好ましく、4モル%以下がさらに好ましい。
低軟化点ガラス粉末のその他の成分として、ガラスの化学的安定性を向上させる効果を有するZrO又はTiO等を含有させても構わない。また、上記以外の成分、例えば軟化点を低下させる効果を有するBi等を含有させても構わない。
無機パターン形成用ペーストとは、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、エッチング法、型転写法(インプリント法)又は感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)等の方法によりパターン形成を行った後、焼成して有機成分を除去することにより無機パターンを形成することが可能な、無機成分と有機成分との混合物をいう。本発明の無機パターン形成用ペーストは、低軟化点ガラス粉末と、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラス粉末と、有機成分と、を含むことを特徴とする。
本発明の無機パターン形成用ペーストに含まれる有機成分としては、例えば、感光性モノマ、感光性オリゴマ又は感光性ポリマ等の感光性有機成分が挙げられる。この場合、無機パターン形成用ペーストは感光性ペーストとなる。
感光性ペーストとは、塗布、乾燥を行った後の塗膜に対し活性光線を照射することにより照射部分が現像液に不溶となり、しかる後現像液によって非照射部分のみを除去することによってパターン形成を行うことが可能なペーストをいう。ここで活性光線とは250〜1100nmの波長領域の電磁波をいい、より具体的には超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の紫外光線、ハロゲンランプ等の可視光線、ヘリウム−カドミウムレーザー、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー又は炭酸ガスレーザー等の特定波長のレーザー光線等が挙げられる。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストは、無機成分として低軟化点ガラス粉末を含有する。低軟化点ガラス粉末の組成は単一でも良く、また異なる複数の組成の低軟化点ガラス粉末を混合して用いても構わない。低軟化点ガラス粉末を含有する感光性の無機パターン形成用ペーストを、低軟化点ガラス粉末の軟化点付近又は軟化点以上の温度で焼成し、感光性有機成分等の有機成分を除去することにより、低軟化点ガラスを含有する無機パターンを得ることができる。
感光性ペースト法においては、低軟化点ガラス粉末の屈折率は1.45〜1.65であることが好ましい。ここで屈折率とは、ベッケ線検出法により測定した、25℃での波長436nm(水銀ランプのg線)における屈折率をいう。このような低軟化点ガラス粉末を用いることで、無機成分と有機成分との屈折率の差が小さくなり、光散乱が抑制されて高精度の無機パターン加工が容易になる。本発明においては、高軟化点ガラスとの屈折率整合のために、低軟化点ガラスの屈折率が1.49〜1.57であることが好ましく、1.51〜1.55であることがより好ましい。
また、低軟化点ガラス粉末の粒子径は、作製しようとする無機パターンの形状を考慮して選ばれるが、粒度分布測定装置(例えば、MT3300;日機装製)により測定した重量分布曲線における50%粒子径d50(以下、「平均粒子径」)が0.1〜4.0μm、最大粒子径dmax(トップサイズ)が20μm以下であることが好ましい。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストは、低軟化点ガラス粉末以外の無機成分として、フィラー成分である高軟化点ガラス粉末を含む必要があるが、その他のフィラー成分をさらに添加しても構わない。ここでフィラー成分とは、無機パターンの強度や焼成収縮率を改善するために添加されるものであり、焼成温度でも溶融流動しない無機微粒子をいう。フィラー成分を添加することで、パターンの焼成時の流動によるパターン崩れや収縮による剥がれ等の問題を抑制したり、無機パターンの強度を向上させたりすることができる。フィラー成分としては、感光性の無機パターン形成用ペースト中への分散性や充填性、露光時の光散乱の抑制を考慮し、平均粒子径(d50)1〜4μm、平均屈折率1.4〜1.7であるものが好ましい。
フィラー成分として高軟化点ガラス粉末のみを用いる場合は、軟化点が650〜1350℃の高軟化点ガラス粉末を、全無機成分に対して50体積%以下の組成範囲で添加することが好ましい。高軟化点ガラス粉末が50体積%より多い場合は形成する無機パターンの緻密性が低下し易くなる。
全無機成分は、感光性の無機パターン形成用ペーストの固形分中に合計で35〜70体積%の含有率で含まれていることが好ましく、40〜65体積%の含有率で含まれていることがより好ましい。ここで固形分とは、無機パターン形成用ペースト中に含まれる、溶媒を除く有機成分、及び、無機成分をいう。固形分中の無機成分の含有率が35体積%より小さくなると焼成によるパターンの収縮が大きくなり、形状が不良となり易い。また、70体積%より大きくなると、露光による架橋反応が不十分となり、パターン形成が難しくなる。なお、感光性の無機パターン形成用ペーストを用いて形成された無機パターンの低軟化点ガラスとフィラー成分の体積比は、感光性の無機パターン形成用ペーストに添加する低軟化点ガラス粉末とフィラー成分の体積比により制御できる。
固形分中の無機成分の含有率(体積%)は、無機パターン形成用ペースト作製時に無機成分及び有機成分の密度を考慮して、添加量(質量%)で制御できる。また、無機成分の含有率を分析する方法としては、熱重量測定(以下、「TGA」)と無機成分の焼成膜の密度測定により求める方法や、感光性の無機パターン形成用ペーストを塗布、乾燥して得られるペースト乾燥膜の透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」)観察像の画像解析により求める方法が挙げられる。TGAと無機成分の焼成膜の密度測定により求める場合、例えば、感光性の無機パターン形成用ペースト10mg程度をサンプルとして、室温〜600℃の重量変化をTGA(例えば、TGA−50;株式会社島津製作所製)により評価する。通常、100〜150℃で無機パターン形成用ペースト中の溶媒が蒸発するので、溶媒蒸発後の重量に対する600℃まで昇温した後の重量(有機成分が除去されるため無機成分の重量に相当する)の割合から、無機成分と有機成分の質量比を求める。一方、焼成膜の膜厚、面積と質量を基に無機成分の密度を評価すれば含有率評価できる。また、TEM観察により含有割合を求める場合は、ペースト乾燥膜の膜面に垂直な断面を、TEM(例えば、JEM−4000EX;日本電子株式会社製)により観察し、像の濃淡により無機成分と有機成分を区別し、画像解析を行えばよい。TEMの評価エリアとしては、20μm×100μm程度の面積を対象とし、1000〜3000倍程度で観察ができる。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストは、感光性モノマ、感光性オリゴマ若しくは感光性ポリマ等の感光性有機成分、非感光性ポリマ成分、酸化防止剤、光重合開始剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、有機溶媒又は沈殿防止剤等の添加剤成分を必要に応じて添加しても構わない。
感光性ポリマとしては、アルカリ可溶性のポリマが好ましい。感光性ポリマがアルカリ可溶性を有することで、現像液として環境に負荷のある有機溶媒ではなく、アルカリ水溶液を用いることができるためである。アルカリ可溶性のポリマとしては、構成モノマとして不飽和カルボン酸等の不飽和酸を含むアクリル系共重合体が好ましい。ここでアクリル系共重合体とは、共重合成分に少なくともアクリル系モノマを含む共重合体をいう。ここでアクリル系モノマとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロへキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート若しくはチオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート等のアクリル系モノマ又はこれらのアクリレートをメタクリレートに置換したものが挙げられる。アクリル系モノマ以外の共重合成分としては、炭素−炭素2重結合を有する化合物が使用可能であるが、そのような化合物としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン若しくはヒドロキシメチルスチレン等のスチレン類又は、1−ビニル−2−ピロリドン若しくは酢酸ビニルが挙げられる。
アクリル系共重合体にアルカリ可溶性を付与するためには、モノマとして不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えればよい。アルカリ可溶性を付与する不飽和酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、若しくはフマル酸若しくは酢酸ビニル又はこれらの酸無水物が挙げられる。これらを付加した後のアルカリ可溶性ポリマの酸価は、50〜150の範囲であることが好ましい。
アクリル系共重合体を用いる場合、感光性の無機パターン形成用ペーストの露光による硬化反応の反応速度を大きくするためには、側鎖又は分子末端に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系共重合体とすることが好ましい。炭素−炭素二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリル基又はメタクリル基が挙げられる。このような官能基を側鎖又は分子末端に有するアクリル系共重合体は、アクリル系共重合体中のメルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基に対して、グリシジル基若しくはイソシアネート基と、炭素−炭素二重結合を有する化合物又はアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド若しくはアリルクロライドの反応により合成できる。
グリシジル基と炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート又はグリシジルイソクロトネートが挙げられる。イソシアネート基と炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、例えば、アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート又はメタクリロイルエチルイソシアネートが挙げられる。
感光性モノマとは、炭素−炭素二重結合を含有する化合物であり、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート若しくはベンジルメルカプタンアクリレート又はこれらモノマの芳香環の水素原子の1〜5個を塩素若しくは臭素原子に置換したモノマ、あるいは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボキシメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン又はビニルカルバゾールが挙げられる。また、上記の炭素−炭素二重結合を含有する化合物の分子内のアクリレートを一部若しくはすべてをメタクリレートに置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン又は1−ビニル−2−ピロリドンも挙げられる。また、多官能モノマにおいては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基又はアリル基が混在していても構わない。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストは、さらにウレタン化合物を含有することが好ましい。ウレタン化合物を含有することにより、ペースト乾燥膜の柔軟性が向上し、焼成時の応力を小さくでき、亀裂や断線等の欠陥を効果的に抑制できる。また、ウレタン化合物を含有することにより、熱分解性が向上し、焼成工程において有機成分が残存しにくくなる。ウレタン化合物としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005440742
ここで、R及びRはエチレン性不飽和基を含む置換基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリル基、アラルキル基及びヒドロキシアラルキル基からなる群から選ばれたものであり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。Rはアルキレンオキサイド基又はアルキレンオキサイドオリゴマ、Rはウレタン結合を含む有機基である。nは1〜10の整数である。
このようなウレタン化合物としては、エチレンオキサイド単位を含む化合物が好ましい。また、一般式(1)中、Rがエチレンオキサイド単位(以下、「EO」)とプロピレンオキサイド単位を含むオリゴマであり、かつ、該オリゴマ中のEO含有量が8〜70質量%の範囲内である化合物がより好ましい。EO含有量が70質量%以下であることにより、柔軟性がさらに向上し、焼成応力を小さくできるため、欠陥を効果的に抑制できる。さらに、熱分解性が向上し、後の焼成工程において、有機成分が残存しにくくなる。また、EO含有量が8%以上であることにより、他の有機成分との相溶性が向上する。
また、ウレタン化合物が炭素−炭素二重結合を有することも好ましい。ウレタン化合物の炭素−炭素二重結合が他の架橋剤の炭素−炭素二重結合と反応して架橋体の中に含有されることにより、さらに重合収縮を抑制することができる。
ウレタン化合物としては、例えば、UA−2235PE(分子量18000、EO含有率20%)、UA−3238PE(分子量19000、EO含有率10%)、UA−3348PE(分子量22000,EO含有率15%)若しくはUA−5348PE(分子量39000、EO含有率23%)(いずれも新中村化学(株)製)またはこれらの混合物が挙げられる。
溶媒を除く有機成分に占めるウレタン化合物の含有率は、0.1〜10質量%であることが好ましい。含有率を0.1質量%以上とすることで、ペースト乾燥膜の柔軟性を向上することができ、ペースト乾燥膜を焼成する際の焼成収縮応力を緩和することができる。一方で含有率が10質量%を超えると、有機成分と無機成分の分散性が低下し、また相対的にモノマ及び光重合開始剤の濃度が低下するので、欠陥が生じやすくなる。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストは、有機成分としてさらにメチルセルロース若しくはエチルセルロース等のセルロース化合物又は高分子量ポリエーテル等を含有しても構わない。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストには、酸化防止剤を添加しても構わない。ここで酸化防止剤とは、ラジカル連鎖禁止作用、三重項の消去作用又はハイドロパーオキサイドの分解作用のうち一以上を持つものをいう。感光性の無機パターン形成用ペーストに酸化防止剤を添加すると、酸化防止剤がラジカルを捕獲したり、励起された光重合開始剤のエネルギー状態を基底状態に戻したりすることにより散乱光による余分な光反応が抑制され、酸化防止剤で抑制できなくなる露光量で急激に光反応が起こることにより、現像液への溶解、不溶のコントラストを高くすることができる。酸化防止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ピクリン酸、キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピロガロール、タンニン酸、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、クペロン、2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)−2−エチルへキシルアミノニッケル(II)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]又は1,2,3−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。感光性の無機パターン形成用ペースト中の酸化防止剤の添加率は、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。酸化防止剤の添加量をこの範囲内とすることにより、感光性の無機パターン形成用ペーストの光感度を維持し、また重合度を保ちパターン形状を維持しつつ、露光部と非露光部のコントラストを大きくとることができる。
光重合開始剤としては、活性光源の照射によってラジカルを発生する光ラジカル開始剤が好ましい。光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン若しくは過酸化ベンゾイン又はエオシン若しくはメチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸若しくはトリエタノールアミン等の還元剤の組合せが挙げられる。光重合開始剤は、感光性モノマと感光性ポリマの合計量に対し、0.05〜20質量%添加されることが好ましく、0.1〜15質量%添加されることがより好ましい。光重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となるおそれがあり、光重合開始剤の量が多すぎれば、光の吸収が大きくなりすぎて深部まで光が届かず、深部の硬化が不十分となる。
感光性の無機パターン形成用ペーストを基板に塗布する時の粘度を塗布方法に応じて調整するために、有機溶媒を添加することも好ましい。有機溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸又はクロロ安息香酸が挙げられる。
本発明の感光性の無機パターン形成用ペーストは、低軟化点ガラス粉末、フィラー成分、感光性有機成分、非感光性ポリマ成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、分散剤、及び溶媒等の各成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラー等の混練機器を用いて本混練を行って、均質分散して作製することが好ましい。また、本混練を終えた感光性の無機パターン形成用ペーストを適宜、濾過、脱泡しておくことも好ましい。
以下にAC型プラズマディスプレイを例に取りその基本的構造等について説明する。
プラズマディスプレイは、前面ガラス基板若しくは背面ガラス基板のいずれか又はその両方に形成された蛍光体層が内部空間、すなわち放電空間内に面するように、前面ガラス基板と背面ガラス基板を封着し、放電空間内にXe−Ne、Xe−Ne−He等の放電ガスが封入された部材である。前面ガラス基板には、表示面側の基板上に表示用放電のための透明電極(サステイン電極、スキャン電極)が形成されているが、放電のため、サステイン電極とスキャン電極との間隙は比較的狭い方が好ましい。また、より低抵抗な電極を形成する目的で透明電極の背面側にバス電極を形成しても構わない。ただし、バス電極は材質がAg、Cr/Cu/Cr等で構成されており不透明であることが多く、セルの表示の邪魔となるので、表示面の外縁部に設けることが好ましい。AC型プラズマディスプレイの場合、電極の上層に透明誘電体層及びその保護膜としてMgO薄膜が形成される場合が多い。背面ガラス基板には、表示させるセルをアドレス選択するための電極(アドレス電極)が形成されている。セルを仕切るための隔壁や蛍光体層は前面ガラス基板、背面ガラス基板の両方に形成してもよいが、背面ガラス基板のみに形成される場合が多い。
以下に背面板の作製方法を説明する。厚みが1〜5mmのガラス基板としては、ソーダガラスやプラズマディスプレイ用の耐熱ガラスであるPP8(日本電気硝子社製)、PD200(旭硝子社製)を用いることができる。ガラス基板上に銀、アルミニウム、クロム又はニッケル等の金属により、アドレス電極用のストライプ状導電パターンを形成する。ストライプ状導電パターンの形成方法としては、金属の粉末と有機バインダーとを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法、有機バインダーとして感光性有機成分を用いた感光性金属ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去し、さらに通常350〜600℃に加熱・焼成して電極パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。また、ガラス基板上にクロムやアルミニウムを蒸着した後に、レジストを塗布し、レジストをパターン露光・現像した後にエッチングにより不要な部分を取り除く、エッチング法が挙げられる。
さらに、放電の安定性を向上させることや、誘電体層の上層に形成する隔壁の倒れや剥がれを抑止することができるため、アドレス電極上に誘電体層を設けることが好ましい。誘電体層を形成する方法としては、低軟化点ガラス粉末や高軟化点ガラス粉末等の無機成分と有機バインダーとを主成分とする誘電体ペーストをスクリーン印刷、スリットダイコーター等で全面印刷又は塗布する方法等がある。
次に、フォトリソグラフィ法による隔壁の形成方法について説明する。隔壁パターンとしては、ストライプ状、格子状又はワッフル状等が好ましい。まず、誘電体層を形成した基板上に、感光性の隔壁形成用ペーストを塗布する。塗布方法としては、例えば、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター、ブレードコーター又はスクリーン印刷が挙げられる。塗布厚みは、所望の隔壁の高さと隔壁形成用ペーストの焼成による収縮率を考慮して決めることができ、塗布回数、スクリーンのメッシュ又は隔壁形成用ペーストの粘度等によって調整できる。
塗布した感光性の隔壁形成用ペーストを乾燥後、露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィで行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が一般的である。また、フォトマスクを用いずに、レーザー光等で直接描画する方法を用いてもよい。露光装置としては、例えば、ステッパー露光機又はプロキシミティ露光機が挙げられる。この際使用される活性光線としては、例えば、近赤外線、可視光線又は紫外線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ又は殺菌灯が挙げられるが、超高圧水銀灯が好ましい。露光条件は感光性の隔壁形成用ペーストの塗布厚みにより異なるが、通常、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて、0.01〜30分間露光を行う。
露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度の差を利用して現像を行う。現像の方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法又はブラシ法が挙げられる。現像液としては、感光性の隔壁形成用ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒が挙げられるが、感光性の隔壁形成用ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液が挙げられるが、焼成時にアルカリ成分を除去しやすいため、有機アルカリの水溶液が好ましい。
有機アルカリとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン又はジエタノールアミン等の一般的なアミン化合物が挙げられる。
アルカリ水溶液の濃度は、低すぎれば可溶部が除去されにくく、一方で高すぎれば隔壁を剥離させたり腐食させたりするおそれがあるため、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。また、現像温度は工程管理上、20〜50℃が好ましい。
次に、焼成炉にて520〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行い、隔壁を形成する。
次に、蛍光体ペーストを用いて蛍光体層を形成する。蛍光体の形成方法としては、例えば、感光性蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィ法、ディスペンサー法又はスクリーン印刷法が挙げられる。蛍光体層の厚みは10〜30μmが好ましく、15〜25μmがより好ましい。蛍光体ペーストの一成分である蛍光体粉末としては、発光強度、色度、色バランス又は寿命等の観点から、以下の蛍光体が好ましい。青色では、2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体(例えば、BaMgAl1017:Eu)又はCaMgSiが好ましい。緑色では、パネル輝度の点から、ZnSiO:Mn、YBO:Tb、BaMgAl1424:Eu,Mn、BaAl1219:Mn又はBaMgAl1423:Mnが好ましく、ZnSiO:Mnがより好ましい。赤色では、同様に、(Y、Gd)BO:Eu、Y:Eu又はYPVO:Eu、YVO:Euが好ましく、(Y、Gd)BO:Euがより好ましい。焼成工程を経て蛍光体を形成する場合には、上述の誘電体層及び隔壁を同時に焼成しても構わない。
以下に、本発明を実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の無機粉末の平均粒子径(d50)及び最大粒子径(dmax)はMT3300(日機装株式会社製)を用いて測定した値である。
(実施例1)
A.ガラス粉末
低軟化点ガラス粉末:
SiO:40モル%、Al:10モル%、LiO:8モル%、KO:8モル%、B:30モル%、MgO:1モル%、CaO:1モル%、ZnO:1モル%、ZrO:1モル%の組成を有するガラスの粉砕物(軟化点:590℃、d50:2μm、dmax:10μm)
高軟化点ガラス粉末:表1に記載の組成を有するガラスの粉砕物(軟化点:いずれも>650℃、d50:2μm、dmax:10μm)
Figure 0005440742
B.残存有機成分量の評価
高軟化点ガラス粉末20gとエチルセルロース溶液(エチルセルロース:25質量%、γ−BL:75質量%)40gとを混合したものを250mLアルミ容器に0.75g入れ、アルミ蓋をかぶせ密閉し、焼成した。焼成条件は、空気中で500℃まで10℃/分で昇温、500℃で15分キープとした。焼成後の粉末15mgを熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS−QP2010Plus;島津製作所製)を用い、550℃、He雰囲気下で5分加熱することにより放出された成分をGC−MS分析し、検出されたピークのうち有機成分由来のすべてのピーク面積の合計値を求め、残存有機成分量とした。評価結果を表2に示す。500℃焼成後の粉末中に残存有機成分が多く含まれる場合、その後の550℃加熱において熱分解されて放出される残存有機成分も多くなり、ピーク面積の合計値も大きくなる。プラズマディスプレイパネル特性の安定化のためには、本評価において残存有機成分量が小さな高軟化点ガラスを用いることが必須であり、残存有機成分量が3×10以上である場合は、残存有機成分が多く不適である。残存有機成分量が1.0×10以下であることが特に好ましい。
C.感光性の隔壁形成用ペーストの作製
以下の手順で感光性の隔壁形成用ペースト1を作製した。
a.有機ビヒクル
以下の原料からなる有機固形分を秤量・混合し、撹拌して溶解させることで有機ビヒクルを作製した。
感光性モノマM−1(トリメチロールプロパントリアクリレート):6重量部
感光性モノマM−2(テトラプロピレングリコールジメタクリレート):6重量部
感光性ポリマ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの;重量平均分子量43000;酸価100):18重量部
光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン;IC369;BASF社製):5重量部
増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン):1重量部
酸化防止剤(1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]):4重量部
紫外線吸収剤(スダンIV;東京応化工業株式会社製;吸収波長:350nm及び520nm):0.1重量部
溶媒(γ−ブチロラクトン):42重量部
b.感光性の隔壁形成用ペースト
得られた有機ビヒクル50重量部に対し、低軟化点ガラス粉末50重量部、高軟化点ガラス粉末10重量部を添加した後、3本ローラー混練機にて混練し、感光性の隔壁形成用ペーストとした。作製した感光性の隔壁形成用ペーストは、撹拌しながら1kPaまで減圧することにより脱泡を行った。
D.隔壁の作製
Cで作製した感光性の隔壁形成用ペースト1を用いて、以下の手順にて隔壁1を作製した。 ガラス基板PD−200(旭硝子株式会社製;42インチ角)上に、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィ法によりアドレス電極パターンを形成した。次いで、アドレス電極が形成されたガラス基板上に誘電体層をスクリーン印刷法により20μmの厚みで形成した。しかる後、隔壁の下層を形成するための感光性の隔壁形成用ペーストをスリットダイコーターによりアドレス電極パターン及び誘電体層が形成された背面ガラス基板上に、焼成後に厚さ120μmのガラス膜となる膜厚で塗布し、100℃で1時間乾燥することにより感光性の隔壁形成用ペースト1の塗膜を形成した。引き続き、露光マスクを介して露光を行った。露光マスクは、ピッチ160μm、開口幅25μm、プラズマディスプレイにおけるストライプ状の隔壁パターン形成が可能になるように設計したクロムマスクである。露光は、それぞれの感光性の隔壁形成用ペースト塗膜について50mW/cmの出力の超高圧水銀灯で100mJ/cmから500mJ/cmまで、5mJ/cmおきに紫外線露光を行った。
次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3質量%水溶液をシャワーで300秒間かけることにより現像した後、シャワースプレーを用いて水洗浄して、光硬化していないスペース部分を除去した。その後、560℃で30分保持して焼成することにより隔壁1を形成した。
E.隔壁の反射率評価
Dで作製した露光量の異なる試料を割断して隔壁1の長手方向と垂直な断面を露出させ、走査型電子顕微鏡(S2400;日立製作所製)で断面を観察し、隔壁と誘電体の接触部における隔壁幅(底部幅)を測定した。隔壁底部幅は露光量の増加と共に太くなることから、作製した試料のうち、焼成後の隔壁1の底部幅が45μmに最も近い試料を選択し、その試料を分光測色計(CM−2002;コニカミノルタ社製)のSCEモードで測定し、波長530nmにおける反射率、及び、b値を評価した。上記の通り、反射率が高いほどプラズマディスプレイの発光効率が高くなることから、反射率は高いことが好ましく、48%以上であることが特に好ましい。反射率が45%以下である場合は不適である。また、b値は黄変の指標であり、値が小さいほど好ましく、3以下であることが特に好ましい
F.隔壁欠け耐性評価
Dで作製した露光量の異なる試料のうち、焼成後の隔壁1の底部幅が50μmの試料を選択し、この試料を5cm×13cmに切り出し、基板の隔壁が形成されていない面の中央の1cm角の4点とその中心1点に印を付けた。次に、5cm×13cmの大きさに切り出した“PD−200”ガラス基板を、隔壁が形成されている面側に重ね合わせて背面板側を上にして置き、重さ114gの金属球を30cmの高さから印を付けた5点に2回ずつ落下させた。その後、試料基板中央の1cm角部分を切り出し、走査型電子顕微鏡にて隔壁欠け部分の写真を撮影した。撮影した写真の画像解析により欠けにより生じた断面の面積を測定し、隔壁1の欠けの総数、及び、欠けにより生じた断面の面積が2000μm以上である大面積欠けの個数を測定した。この評価は、プラズマディスプレイパネルが衝撃を受けた際の欠け不良発生のモデルテストであり、大面積欠け数が少ないことが好ましく、5個/cm以下であることが特に好ましい。大面積欠け数が20個/cmよりも多い場合は不適とした。評価結果を表2に示す。
Figure 0005440742
(実施例2〜12)
高軟化点ガラス粉末として、表1に記載の組成を有するガラスの粉砕物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、隔壁形成用ペースト2〜12及び隔壁2〜12をそれぞれ得た。それぞれの高軟化点ガラス粉末、及び、得られたそれぞれの隔壁について、実施例1と同様の評価をした。評価結果を表2に示す。
(比較例1〜7)
高軟化点ガラス粉末として、表1に記載の組成を有するガラスの粉砕物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、隔壁形成用ペースト13〜19及び隔壁13〜19をそれぞれ得た。それぞれの高軟化点ガラス粉末、及び、得られたそれぞれの隔壁について、実施例1と同様の評価をした。評価結果を表2に示す。
高軟化点ガラス粉末の組成がSiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7.5〜10.5モル%の組成を満たす実施例1〜12については、大面積欠け数が少なく、反射率が高く、かつ残存有機成分が少ないという良好な結果を示した。一方、高軟化点ガラス粉末の組成が上記を満たさない比較例1〜7については、大面積欠け数が多い、反射率が低い、残存有機成分が多い、のいずれかの問題が見られた。
(実施例13〜28)
実施例1の高軟化点ガラス粉末と、表3に示す組成の低軟化点ガラス粉末の組み合わせについて、反射率、b*、大面積欠け数に加え、以下評価を実施した。評価結果を表4に示す。
G.最小隔壁底部幅
Dで作製した基板の隔壁を観察し、はがれが発生しなかった隔壁底部幅を測定し、その最小値を最小隔壁底部幅とした。最小隔壁底部幅が40μm未満である場合を◎、40以上45μm未満である場合を○、45μm以上50μm未満である場合を△とした。最小隔壁底部幅は隔壁ペーストの露光時における光散乱が小さい場合に細くなるので、細いほど好ましい。
H.焼結性
Dで作製した基板を割断して隔壁断面を露出し、走査型電子顕微鏡にて隔壁断面を観察し、画像解析により空隙率を算出した。十分に焼結が進行しており空隙が2%未満の場合を焼結性◎、空隙率2%以上5%未満の場合を焼結性○、5%以上の場合を△とした。焼結が不十分な場合、蛍光体塗布が困難になることがある。
I.粘度安定性
デジタル演算機能付きB型粘度計(DV−II;米国ブルックフィールド製)を用いて、Cで作製した隔壁ペーストの温度25℃、回転数3rpmにおける粘度を測定した。隔壁ペースト粘度を作製初日と23℃下7日間保管後の2回測定し、作製初日の粘度を基準に、7日間保管後の粘度の上昇率を計算し、粘度安定性の指標とした。粘度上昇率が3%未満である場合を◎、3%以上5%未満である場合を○、5%以上8%未満である場合を△とした。粘度変化は小さいほど好ましい。
J.ガラスの化学的安定性評価
表3記載の低軟化点ガラス粉末を再溶融してブロック状とし、75℃の0.5%炭酸ナトリウム水溶液に10時間浸漬し、試料の浸漬前後における重量減少率を求めた。重量減少率が0.7%未満である場合を◎、0.7%以上0.9%未満である場合を○、0.9%以上1.2%未満である場合を△とした。重量減少率が小さいほどガラスの化学的安定性が高いことを示し、好ましい。
Figure 0005440742
Figure 0005440742
実施例13〜18はいずれも極めて良好な特性を示した。Bが相対的に多い実施例19、20、24、27及び29は化学的安定性が若干劣るものの比較的良好な特性を示した。ZnOが相対的に多い実施例22、24、28及び29は粘度安定性が若干劣るものの比較的良好な特性を示した。アルカリ土類金属の合計量が相対的に多い実施例21、22、23及び28は反射率が若干低くなる傾向があったが、いずれも反射率44%以上であり良好であった。屈折率が1.54より大きい又は1.51より小さい実施例22〜24及び27〜29は、最小隔壁底部幅が若干太くなる傾向にあったが、いずれも50μm以下の細幅隔壁を形成できた。
本発明は、プラズマディスプレイパネル用部材、シンチレータパネル用部材として有用に利用できる。

Claims (7)

  1. ガラス基板上に隔壁を有する部材であり、
    前記隔壁は、低軟化点ガラスと、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7.5〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラスと、を含む部材。
  2. 前記高軟化点ガラスが、さらにSrO:0.2〜0.8モル%を含む、請求項1記載の部材。
  3. 前記高軟化点ガラスが、さらにNaO:0.1〜1.5モル%を含む、請求項1又は2記載の部材。
  4. 低軟化点ガラス粉末と、SiO:65.5〜69.0モル%、Al:9.5〜12.5モル%、B:8.0〜12.0モル%、MgO:0.5〜3.5モル%、及び、CaO:7.5〜10.5モル%の組成を有する、高軟化点ガラス粉末と、有機成分と、を含む、無機パターン形成用ペーストをガラス基板上に塗布し、焼成して無機パターンを形成する、無機パターン形成方法。
  5. 請求項4記載の無機パターン形成方法により作製された、隔壁を有する部材。
  6. 請求項1〜3又は5のいずれか一項記載の部材を有するプラズマディスプレイパネル。
  7. 請求項1〜3又は5のいずれか一項記載の部材を有するシンチレータパネル。
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