JP2009078725A - 作業車のサスペンション構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】連結ボルト及び軸受部材に無理な引張荷重が作用し難く、連結ボルトの緩みを防止でき、連結ボルト及び軸受部材の破損を防止できる作業車のサスペンション構造を実現する。
【解決手段】作業車のサスペンション構造において、車体フレーム10と支持ブラケット20とに亘って設けられた走行用のサスペンション機構17を備え、支持ブラケット20に軸受部材18,19を介して前車軸ケース13を前後軸心Y1周りでローリング自在に支持すると共に、支持ブラケット20の下側に軸受部材18,19を連結ボルト32で締め付け固定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、右及び左の前輪を支持する前車軸ケースと、車体フレームの左右軸心周りに上下揺動自在に支持された支持ブラケットと、車体フレームと支持ブラケットとに亘って設けられた走行用のサスペンション機構とを備えた作業車のサスペンション構造に関する。
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、車軸(特許文献1のFIG.7の2)を支持した縦長ブラケット(特許文献1のFIG.7の3)を、揺動軸(特許文献1のFIG.7の4)の左右向き軸心周りに揺動可能に装着すると共に、縦長ブラケットの前端部とフレーム(特許文献1のFIG.7の1)とに亘って油圧シリンダ(特許文献1のFIG.7の11)を設けて、車軸を上下に昇降可能に構成した車軸支持構造が知られている。
EP0761481A2号(FIG.1及びFIG.7参照)
特許文献1の車軸支持構造では、縦長ブラケットから上方に延出した前後の揺動軸受(特許文献1のFIG.7の9)によって、車軸を支持するように構成されており、車軸に荷重が作用すると、揺動軸受には上下方向の引張荷重が作用する。例えば、特許文献1のFIG.7における前後の揺動軸受の車軸を支持する部分を上下に2分割し上下向きのボルトによって連結する構造を採用して、車軸を縦長ブラケットに支持するように構成することが考えられる。しかし、上記のように車軸を縦長ブラケットに支持するように構成すると、ボルト及び揺動軸受に上下方向の無理な引張荷重が繰り返し作用して、ボルトが緩み易く、ボルト及び揺動軸受が破損し易くなるといった問題がある。
本発明は、連結ボルト及び軸受部材に無理な引張荷重が作用し難く、連結ボルトの緩みを防止でき、連結ボルト及び軸受部材の破損を防止できる作業車のサスペンション構造を実現することを目的とする。
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車のサスペンション構造を次のように構成することにある。
右及び左の前輪を支持する前車軸ケースと、車体フレームの左右軸心周りに上下揺動自在に支持された支持ブラケットと、前記車体フレームと前記支持ブラケットとに亘って設けられた走行用のサスペンション機構とを備え、前記支持ブラケットに軸受部材を介して前記前車軸ケースを前後軸心周りでローリング自在に支持すると共に、前記支持ブラケットの下側に前記軸受部材を連結ボルトで締め付け固定してある。
(作用)
本発明の第1特徴によると、右及び左の前輪を支持することによる荷重が前車軸ケースに作用すると、前車軸ケースに作用した荷重が、軸受部材を上方へ押し上げる方向の力として作用する。軸受部材は支持ブラケットの下側に連結ボルトで締め付け固定されているので、軸受部材を上方へ押し上げる方向の力が作用すると、軸受部材が支持ブラケット側に押し付けられて、軸受部材に圧縮荷重が作用する。これにより、連結ボルト及び軸受部材に無理な引張荷重が作用し難くなって、連結ボルト及び軸受部材に無理な引張荷重が繰り返し作用することを防止できる。その結果、連結ボルトの緩みを防止できると共に、連結ボルト及び軸受部材の破損を防止できる。
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、耐久性に優れた作業車のサスペンション構造を実現できる。
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車のサスペンション構造において、次のように構成することにある。
前記支持ブラケットの上側に前記前車軸ケースが位置するように、前記支持ブラケットの上部に前記前車軸ケースを支持してある。
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、前車軸ケースの上側に位置する支持ブラケットの部分が小さくなり、支持ブラケットが前車軸ケースの上側に突出し難くなって、支持ブラケットが上下揺動した場合における支持ブラケットの上限揺動位置を低く設定できる。その結果、支持ブラケットを上下揺動させる車体フレーム側の空間を確保するための車体フレームへの加工等が少なくなって、車体フレームのフレーム構造を簡素化できる。
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、支持ブラケットを上下揺動させる車体フレーム側の空間を確保しながら、車体フレームの製造コストを削減できる。
[トラクタの全体構成]
図1に基づいてトラクタの全体構成について説明する。図1は、トラクタの全体側面図を示す。図1に示すように、このトラクタは、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪1と、左右一対の駆動自在な後輪2とを走行車体3に備えた四輪駆動仕様に構成されている。走行車体3の前部に、エンジン4等が内装されたボンネット部5を備え、走行車体3の後部に、ステアリングハンドル6、運転座席7等が内装されたキャビン8を備える。
走行車体3の後部には、リフトアーム9が装備されており、このリフトアーム9に、例えばプラウやロータリ等の耕耘装置、その他の作業装置(図示せず)を装着できるように構成されている。なお、図示しないが、例えば土をバケットですくって移動させるフロントローダ等、種々の作業装置を、走行車体3の前部に装備することもできる。
エンジン4の下部における左右両側部から前方に車体フレーム10が延出され、エンジン4から後方にクラッチハウジング11が延出されており、このクラッチハウジング11に運転座席7の下方に位置するミッションケース12が連結されて、エンジン4からの動力が後輪2に伝達されるように構成されている。
[前輪サスペンション及び支持ブラケットの詳細構造]
図2〜図5に基づいて、前輪サスペンション15及び支持ブラケット20の詳細構造について説明する。図2は、前輪サスペンション15の全体側面図を示し、図3は、支持ブラケット20の全体斜視図を示す。図4は、支持ブラケット20の全体平面図を示し、図5は、支持ブラケット20の全体正面図を示す。
図2に示すように、前輪サスペンション15は、支持ブラケット20と、前部軸受部材18(軸受部材に相当)と、後部軸受部材19(軸受部材に相当)と、右及び左のシリンダ支持部材16と、右及び左の油圧シリンダ17とを備えて構成されている。エンジン4の下部両側部から右及び左の車体フレーム10が前方に延出されており、この右及び左の車体フレーム10の下部に、右及び左の前輪1を左右両側部に装着した前車軸ケース13を支持する前輪サスペンション15が装備されている。
図3〜図5に示すように、支持ブラケット20は、前部フレーム21と、本体フレーム22と、右及び左の前部ボス部材23と、右及び左の前部取付座25と、後部補強部材26と、右及び左の後部ボス部材27とを備えて構成されている。
前部フレーム21は、正面視での縦断面形状が下向きに開口したコ字状に板材を折り曲げ成形して構成されており、前部フレーム21の左右の下端部が本体フレーム22の左右の前端部に固着されている。本体フレーム22は、正面視での縦断面形状が下向きに開口したコ字状に板材を折り曲げ成形して構成されており、本体フレーム22の左右の下端部が前方に帯板状に長く延出されている。
前部フレーム21の右及び左の下端部における外面側には、左右向きの貫通穴23aが形成された前向きのコ字状に開口した右及び左の前部ボス部材23が固着されており、この前部ボス部材23の後部と前部フレーム21の外面側とに亘って、正面視での形状が三角形状のリブ24が固着されている。
前部フレーム21の上面側には、右及び左の前部取付座25が固着されており、前部フレーム21と前部取付座25とを上下に連通するように、前部軸受部材18を固定する複数のネジ部25aが形成されている。
本体フレーム22の上面側には、本体フレーム22の上部の形状に合わせて折り曲げ成形された板状の後部補強部材26が固着されており、本体フレーム22と後部補強部材26とを上下に連通するように、後部軸受部材19を固定するネジ部26aが形成されている。
本体フレーム22の後端部には、後方に突出した右及び左の取り付け部22aが形成されており、この右及び左の取り付け部22aに形成された左右向きの穴に、円筒状に形成された右及び左の後部ボス部材27が内嵌されて固着されている。右及び左の取り付け部22aに亘って補強フレーム33が固着されており、これにより、右及び左の後部ボス部材27を固着した本体フレーム22の後部の強度を向上できる。
前部フレーム21の左右の側板に亘って帯板状の第1補強部材28が固着されており、本体フレーム22の左右の側板に亘って第2〜第4補強部材29,30,31が固着されている。本体フレーム22の後部に固着された第4補強部材31は、板材をZ字状折り曲げ成形して構成されており、その左右中央部に開口31aが形成されている。これにより、第4補強部材31により支持ブラケット20後部の強度を向上しながら、開口31aから工具等(図示せず)を挿入して前車軸ケース13等のメンテナンスを容易に行えるように構成されている。
図2に示すように、右及び左の車体フレーム10の後部に、左右向きの貫通穴が形成された右及び左の取付部10aが形成されており、この右及び左の取付部10aに、支持ブラケット20の後部ボス部材27がピンを介して左右軸心X1周りに上下に揺動可能に支持されている。
右及び左の車体フレーム10の前部に、左右向きの複数の貫通穴10bが形成されており、この貫通穴10bに、正面視での縦断面形状が上向きに開口したコ字状の右及び左のシリンダ支持部材16が連結されている。右及び左のシリンダ支持部材16の下部には、縦平板状の軸受部16aが固定されており、この右及び左の軸受部16aに油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の端部がピンを介して左右方向の軸心周りで回動自在に支持されている。
車体フレーム10には、上方へ凹入した凹入部10Aが形成されており、これにより、前車軸ケース13を支持した支持ブラケット20を上方へ揺動させる空間が形成されている。
油圧シリンダ17のロッド側の端部は、支持ブラケット20の前部ボス部材23にピンを介して左右方向の軸心周りで回動自在に連結されている。これにより、油圧シリンダ17を伸長させると、支持ブラケット20後部の左右軸心X1周りで支持ブラケット20が下方へ揺動し、油圧シリンダ17を収縮させると、支持ブラケット20後部の左右軸心X1周りで支持ブラケット20が上方へ揺動する。
前車軸ケース13前部の左右中間部から前方に前部支軸13aが延出されており、前車軸ケース13後部の左右中間部から後方に筒状の後部支軸13bが延出されている。前部支軸13aと後部支軸13bは、前後軸心Y1に対して同心状に配設されており、この前後軸心Y1周りで前車軸ケース13が左右に揺動し、前車軸ケース13の両端部に装着された右及び左の前輪1がローリングするように構成されている。
前部支軸13aは、正面視でアーチ状に形成された支持ブラケット20の前部フレーム21に、前部軸受部材18を介して前後軸心Y1周りに回動自在に支持されている。一方、後部支軸13bは、正面視でアーチ状に形成された支持ブラケット20の本体フレーム22の後部に、後部軸受部材19を介して前後軸心Y1周りで回動自在に支持されている。これにより、側面視で上向きに開口したコ字状に形成された支持ブラケット20の上側の空間に前車軸ケース13が位置するように、支持ブラケット20の上部に前車軸ケース13がローリング自在に支持されている。
図3に示すように、前部軸受部材18には、上下向きの貫通穴が形成された右及び左のフランジ部18aが形成されており、前部軸受部材18の上面側を支持ブラケット20の前部フレーム21の下面側に接当させて、下側から連結ボルト32を挿入し締め付け固定することで、前部支軸13aを支持した前部軸受部材18を支持ブラケット20の前部フレーム21に固定できる。
後部軸受部材19には、上下向きの貫通穴が形成された右及び左のフランジ部19aが形成されており、後部軸受部材19の上面側を支持ブラケット20の本体フレーム22の下面側に接当させて、下側から連結ボルト32を挿入し締め付け固定することで、後部支軸13bを支持した後部軸受部材19を支持ブラケット20の本体フレーム22の後部に固定できる。
図2に示すように、支持ブラケット20の下側に、前車軸ケース13を支持する前部軸受部材18及び後部軸受部材19を下側から連結ボルト32で締め付け固定することで、図2の黒矢印で示すような左右の前輪1からの荷重が前車軸ケース13に作用すると、この前車軸ケース13に作用した上向きの荷重が、図2の白矢印で示す前部及び後部軸受部材18,19を上側に押す方向の力として作用する。これにより、前部及び後部軸受部材18,19のフランジ部18a,19a、並びに、前部及び後部軸受部材18,19を締め付け固定する連結ボルト32に、無理な引張荷重が繰り返し作用することを防止できる。その結果、連結ボルト32の緩みを防止でき、連結ボルト32、並びに、前部及び後部軸受部材18,19の破損を防止できる。
また、前車軸ケース13からの力を、正面視で下向きに開口したコ字状に成形された前部フレーム21及び本体フレーム22の後部により面で受け止めることができるため、前車軸ケース13からの力を比較的均等に支持ブラケット20に作用させることができる。その結果、前車軸ケース13からの力により、局所的で無理な応力が支持ブラケット20に作用し難くなって、支持ブラケット20の軽量化を図りながら支持ブラケット20の強度を向上できる。
筒状に形成された後部支軸13bには、前車軸ケース13内で左右の前輪1に連動連結された伝動軸14が内嵌されており、この伝動軸14が後部支軸13bの後方に延出されて、ミッションケース12の出力軸(図示せず)に自在継手及びドライブシャフト(図示せず)を介して連動連結されている。伝動軸14とドライブシャフトとの間に介在させた自在継手によって、伝動軸14の上下及び左右方向の移動が許容される。
[油圧シリンダの油圧回路]
図6及び図7に基づいて油圧シリンダ17の油圧回路について説明する。図6は、油圧シリンダ17の油圧回路図を示し、図7は、可変絞り43の油圧回路図を示す。図6に示すように、右及び左の油圧シリンダ17は複動シリンダで構成されており、右及び左の油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の接続ポートからの圧油を合流したヘッド側合流油路35を介して、右及び左の油圧シリンダ17のシリンダヘッド側がパイロットチェック弁37に接続され、右及び左の油圧シリンダ17のロッド側の接続ポートからの圧油を合流したロッド側合流油路36を介して、右及び左の油圧シリンダ17のロッド側がパイロットチェック弁38に接続されている。
パイロットチェック弁37には、タンクラインに接続されたヘッド側リリーフ弁39が接続されており、このリリーフ弁39の設定圧は、ガス封入式のヘッド側アキュムレータ41による油圧シリンダ17の制御圧の最大値より高く設定されており、このリリーフ弁39により油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の油圧回路を保護できる。
パイロットチェック弁38には、タンクラインに接続されたロッド側リリーフ弁40が接続油路を介して接続されており、このリリーフ弁40の設定圧は、ガス封入式のロッド側アキュムレータ42による油圧シリンダ17の制御圧の最大値より高く設定されており、このリリーフ弁40により油圧シリンダ17のロッド側の油圧回路を保護できる。
パイロットチェック弁37とリリーフ弁39との間の油路にヘッド側アキュムレータ41が接続油路を介して接続されており、これにより、右及び左の油圧シリンダ17のシリンダヘッド側がパイロットチェック弁37を介してヘッド側アキュムレータ41に接続される。パイロットチェック弁38とリリーフ弁40との間の油路にロッド側アキュムレータ42が接続されており、これにより、右及び左の油圧シリンダ17のロッド側がパイロットチェック弁38を介してロッド側アキュムレータ42に接続される。
ヘッド側アキュムレータ41が接続された接続油路には、可変絞り43が設けられており、この可変絞り43を変更調節することで、ヘッド側アキュムレータ41と油圧シリンダ17のシリンダヘッド側との間で行き来する圧油の流量を変更調節して、サスペンション機構としての油圧シリンダ17の減衰力を変更調節できるように構成されている。
なお、油圧シリンダ17のロッド側の接続ポートとヘッド側アキュムレータ41との間の異なる油路に可変絞り43を設けてもよく、例えば合流する前の右及び左の油圧シリンダ17のロッド側の接続ポートに接続された油路に、それぞれ個別に可変絞り43を設けることで、右及び左の油圧シリンダ17の減衰力を個別に変更調節できる。
ヘッド側合流油路35には、後述する制御装置60に接続された圧力センサ57が設けられており、この圧力センサ57により、油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の圧力を検出できるように構成されている。
図7に示すように、可変絞り43は、スプールをスライド移動させることにより、第1操作位置Q1、第2操作位置Q2、及び第3操作位置Q3の3つの位置に位置変更可能に構成されている。第1〜第3操作位置Q1,Q2,Q3には、異なる径のオリフィスが設けられており、パイロット油路を介して接続された制御弁43aを励磁することで可変絞り43を第1操作位置Q1に操作することができ、パイロット油路を介して接続された制御弁43bを励磁することで可変絞り43を第3操作位置Q3に操作することができる。また、制御弁43a,43bの操作を解除すると中立付勢されて第2操作位置Q2に操作することができる。
第1〜第3操作位置Q1,Q2,Q3でのオリフィスの径は、第1操作位置Q1、第2操作位置Q2、第3操作位置Q3の順に大きくなるように設定されており、第2又は第3操作位置Q2,Q3から第1操作位置Q1側に操作すると可変絞り43が絞り側に操作され、第1又は第2操作位置Q1,Q2から第3操作位置Q3側に操作すると可変絞り43が解放側に操作される。
なお、可変絞り43に制御弁43a,43bを接続するのではなく、可変絞り43を電磁弁で構成し、可変絞り43のソレノイドを励磁することで直接スプールを操作するように構成してもよい。また、可変絞り43により3つの速度を切り替え操作可能に構成した例を示したが、複数の異なる速度に切り換え操作可能に可変絞り43を構成してもよく、例えば2つの速度を切り替え操作可能に構成してもよく、4つ以上の速度を切り替え操作可能に構成してもよい。更には、可変絞り43により無段階で速度を変更可能に構成してもよい。
図6に示すように、パイロットチェック弁37には、パイロット油路を介してヘッド側切換弁45が接続されており、このヘッド側切換弁45を操作することでパイロットチェック弁37による逆止機能が解除され、右及び左の油圧シリンダ17のシリンダヘッド側からの圧油のヘッド側アキュムレータ41側への流入が許容される。
ヘッド側切換弁45は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるように、2位置切替式の電磁弁で構成されている。これにより、ヘッド側切換弁45を励磁すると、パイロットチェック弁37が逆止機能の解除された開状態に操作され、ヘッド側切換弁45の励磁を解除すると、パイロットチェック弁37が逆止機能の作用する閉状態に操作される。
パイロットチェック弁38には、パイロット油路を介してロッド側切換弁46が接続されており、このロッド側切換弁46を操作することでパイロットチェック弁38による逆止機能が解除され、右及び左の油圧シリンダ17のロッド側からの圧油のロッド側アキュムレータ42側への流入が許容される。
ロッド側切換弁46は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるように、2位置切替式の電磁弁で構成されている。これにより、ロッド側切換弁46を励磁すると、パイロットチェック弁38が逆止機能の解除された開状態に操作され、ロッド側切換弁46の励磁を解除すると、パイロットチェック弁38が逆止機能の作用する閉状態に操作される。
ヘッド側合流油路35には、絞り弁44を介してパイロットチェック弁47が接続されており、ロッド側合流油路36には、パイロットチェック弁48が接続されている。パイロットチェック弁47は、昇降制御弁49に接続されており、パイロットチェック弁48は、絞り弁51及びチェック弁52を介して昇降制御弁49に接続されている。パイロットチェック弁48とチェック弁51との間の油路には、リリーフ弁50が接続されており、このリリーフ弁50の設定圧は、所定のリリーフ圧に設定されている。なお、リリーフ弁50による所定のリリーフ圧は手動で変更調節できるように構成されている。
昇降制御弁49は、油圧シリンダ17のシリンダヘッド側に圧油を供給する上昇位置49Uと、油圧シリンダ17のロッド側に圧油を供給する下降位置49Dと、油圧シリンダ17に圧油を供給しない中立位置49Nとを備えて構成されており、パイロット油路を介して接続された切換弁54を操作することで昇降制御弁49を上昇位置49Uに操作することができ、パイロット油路を介して接続された切換弁53を操作することで昇降制御弁49を下降位置49Dに操作することができる。
切換弁53,54は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるように、2位置切替式の電磁弁で構成されている。これにより、切換弁54を励磁すると、昇降制御弁49が上昇位置49Uに操作され、切換弁53を励磁すると、昇降制御弁49が下降位置49Dに操作される。
シリンダヘッド側のパイロットチャック弁47に接続されたパイロット油路55は、ロッド側の昇降制御弁49への油路に接続され、ロッド側のパイロットチェック弁48に接続されたパイロット油路56は、シリンダヘッド側の昇降制御弁49への油路に接続されている。これにより、自己保持回路が構成される。
これにより、昇降制御弁49が上昇位置49Uに操作され、パイロット油路56の圧力が上昇すると、パイロットチェック弁48が逆止機能の解除された開状態に操作され、昇降制御弁49が下降位置49Dに操作され、パイロット油路55の圧力が上昇すると、パイロットチェック弁47が逆止機能の解除された開状態に操作される。これにより、パイロットチェック弁47,48による油圧回路の自己保持が解除される。昇降制御弁49を中立位置Nに操作すると、パイロットチェック弁47,48が逆止機能の作用する閉状態に操作され、パイロットチェック弁47,48による自己保持回路が形成される。
昇降制御弁49を上昇位置49Uに操作すると、絞り弁44により流量制御された圧油が油圧シリンダ17のシリンダヘッド側に供給され、ロッド側のパイロットチェック弁48がパイロット圧により開いて逆止機能が解除されて、チャック弁52により昇降制御弁49側への流入が阻止された油圧シリンダ17のロッド側からの戻り油のリリーフ弁50への流入が許容され、油圧シリンダ17のロッド側からの戻り油をリリーフ弁50により設定されたリリーフ圧に保ちながら、余剰油をタンクポートに排出する。
一方、昇降制御弁49を下降位置49Dに操作すると、絞り弁51により流量制御された圧油が油圧シリンダ17のロッド側に供給され、シリンダヘッド側のパイロットチェック弁47がパイロット圧により開いて逆止機能が解除されて、シリンダヘッド側からの作動油が絞り弁44により流量制御されてタンクポートに排出される。
詳細は図示しないが、パイロットチェック弁47,48が閉状態に操作され、油圧シリンダ17がサスペンション機構として作動する状態で、圧力調節弁66(図8参照)からの圧油をシリンダヘッド側の油路(例えばヘッド側合流油路35)に供給することで、油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の圧力を、圧力センサ57からの検出結果をフィードバックしながら、第1所定圧力P1、第2所定圧力P2、又は第3所定圧力P3に変更調節できるように構成されており、後述する制御装置60から圧力調節弁66への出力により、第1〜第3所定圧力P1,P2,P3を変更調節できるように構成されている。
なお、圧力調節弁66は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるような電磁弁で構成されている。これにより、圧力調節弁66を操作することで、油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の圧力を変更調節できる。
第1所定圧力P1は、第2所定圧力P2より大きくなるように設定されており,第3所定圧力P3は、第2所定圧力P2より小さくなるように設定されている。第2所定圧力P2は、走行車体3の前部に掛かる重量に対応する油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の圧力であり、この第2所定圧力P2に応じて第1及び第3所定圧力P1,P3がそれぞれ設定されている(第2所定圧力P2が変化すると、第1及び第3所定圧力P1,P3もそれぞれ変更される)。これにより、ヘッド側合流油路35の圧力を、第1〜第3所定圧力P1,P2,P3に変更調節することで、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1を変更調節できる。
[油圧シリンダの作動について]
図6に基づいて油圧シリンダ17の作動の一例について説明する。図6に示すように、昇降制御弁49が中立位置49Nに操作され、パイロットチェック弁37,38が開状態に操作されると、パイロットチェック弁47,48が閉状態に操作された状態で、油圧シリンダ17の油室17aとアキュムレータ41が連通し、油圧シリンダ17の油室17bとアキュムレータ42が連通する。これにより、地面の凹凸に応じて前車軸ケース13及び支持ブラケット20が左右軸心X1周りに上下に揺動しようとすると、油圧シリンダ17が伸縮して、油圧シリンダ17の油室17a,17bとアキュムレータ41,42との間で作動油が往復し、油圧シリンダ17がバネ定数K1を備えたサスペンション機構として作動する。
この場合、油圧シリンダ17の油室17aの圧力をPH、油圧シリンダ17の油室17bの圧力をMP1、油圧シリンダ17の油室17aのピストンの受圧面積をAH、油圧シリンダ17の油室7bのピストンの受圧面積をAR(ピストンロッドの分だけARはAHよりも小さい)として、走行車体3の前部に掛かる重量(油圧シリンダ17に掛かる重量)をMとし、重力加速度をgとすると、下記の式(1)が成立する。
式(1) M×g=PH×AH−MP1×AR
これにより、油圧シリンダ17の油室17aのピストンの受圧面積AH、油圧シリンダ17の油室7bのピストンの受圧面積ARが一定であるので、油圧シリンダ17の油室17aの圧力PHは、油圧シリンダ17の油室17bの圧力MP1よりも高いものとなっており、走行車体3の前部に掛かる重量(油圧シリンダ17に掛かる重量)Mによって変化する。
油圧シリンダ17のバネ定数K1は、油圧シリンダ17の油室17a,17bの圧力PH,MP1によって決まるものとなっており、例えば油圧シリンダ17の油室17bの圧力MP1が一定である場合には、油圧シリンダ17の油室17aの圧力PHが大きくなるのに伴って大きくなり、油圧シリンダ17の油室17aの圧力PHが小さくなるのに伴って小さくなる。
昇降制御弁49が上昇位置49Uに操作され、パイロットチェック弁37,38が閉状態に操作されると、昇降制御弁49からの作動油が油圧シリンダ17の油室17aに供給され、油圧シリンダ17の油室17bからの作動油が、パイロットチェック弁48、及びリリーフ弁50を介して排出される。この場合、油圧シリンダ17の油室17b及びロッド側合流油路36の圧力が、リリーフ弁50により所定のリリーフ圧に維持されている。これにより、油圧シリンダ17が伸長して走行車体3の前部が上昇する。この後、昇降制御弁49が中立位置49Nに操作され、パイロットチェック弁37,38が開状態に操作されると、油圧シリンダ17が伸長した状態で、前述のように油圧シリンダ17がサスペンション機構として作動する。
昇降制御弁49が下降位置49Dに操作され、パイロットチェック弁37,38が閉状態に操作されると、昇降制御弁49からの作動油が油圧シリンダ17の油室17bに供給され、油圧シリンダ17の油室17aからの作動油が、絞り弁44、パイロットチェック弁47、及び昇降制御弁49を介して排出される。この場合、油圧シリンダ17の油室17b及びロッド側合流油路36の圧力が、リリーフ弁50により所定のリリーフ圧に維持されている。これにより、油圧シリンダ17が収縮して走行車体3の前部が下降する。この後、昇降制御弁49が中立位置49Nに操作され、パイロットチェック弁37,38が開状態に操作されると、油圧シリンダ17が収縮した状態で、前述のように油圧シリンダ17がサスペンション機構として作動する。
なお、上記油圧シリンダ17の作動は、一例として示したものであり、昇降制御弁49等を操作することで、油圧シリンダ17に異なる作動をさせることも可能である。
[油圧シリンダの制御について]
図8〜図11に基づいて油圧シリンダ17の制御について説明する。図8は、制御装置60のブロック図を示し、図9は、制御手段による油圧シリンダ制御のフローチャートを示す。図10は、作業車による作業状態毎のバネ定数及び減衰力の大小関係を説明する表を示し、図11は、制御手段によるピッチング防止制御のフローチャートを示す。
図8に示すように、この作業車には、制御装置60が装備されており、この制御装置60に、人為操作具としての作業スイッチ61、油圧シリンダ17の作動位置検出手段としての作動位置センサ62、作業装置検出手段としての作業装置検出センサ63、ピッチング検出手段としてのピッチング検出センサ64等が接続されている。なお、このブロック図では、後述する油圧シリンダ17の制御に用いる機器以外の作業車の制御機器については、その表示を省略する。
作業スイッチ61は、キャビン8内の運転座席7の近傍に装備されており、前輪サスペンション15の硬さをダイアル操作により選択可能に構成されている。作業スイッチ61には、増大位置H、中間位置M、及び減少位置Sの3つの操作位置が設けられており、前輪サスペンション15の硬さが比較的硬く油圧シリンダ17の減衰力を増大させる増大位置H、前輪サスペンション15の硬さが中程度の中間位置M、及び前輪サスペンション15の硬さが比較的柔らかく油圧シリンダ17の減衰力を減少させる減少位置Sが選択可能に構成されている。
なお、作業スイッチ61として異なる構成を採用してもよく、例えば押しボタン式のスイッチやレバー式のスイッチ等の異なる人為操作具を採用してもよい。
油圧シリンダ17には、油圧シリンダ17の作動位置(伸縮位置)を検出する作動位置センサ62が装備されており、制御装置60と接続されている。制御装置60では、作動位置センサ62からの検出結果に基づいて、油圧シリンダ17の作動位置(伸縮位置)が記憶され、制御装置60から昇降制御弁49のソレノイドに出力することで、油圧シリンダ17の作動範囲を所定の作動範囲(伸縮範囲)に設定し維持できるように構成されている。この場合、ロータリ式の作動位置センサ(図示せず)を図2に示す左右軸心X1の位置に取り付けて、車体フレーム10に対する支持ブラケット20の角度を検出することによって、油圧シリンダ17の作動位置(伸縮位置)を検出してもよい。
走行車体3には、作業装置検出センサ63が装備されている。作業装置検出センサ63は、走行車体3の前部又は後部に装着された作業装置の有無を検出するセンサであり、例えば走行車体3の後部に作業装置としてプラウ(図示せず)を接続した場合には、走行車体3の後部に作業装置(例えばプラウ)が装着されていることを検出する。
走行車体3には、ピッチング検出センサ64が装備されている。ピッチング検出センサ64は、走行車体3のピッチングを検出するセンサであり、例えば角速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、その他のセンサ、又はこれらの組み合わせにより構成される。例えば、ピッチング検出センサ64として角速度センサを採用した場合においては、角速度センサによって検出した角速度が所定の角速度以上になると、トラクタにピッチングが発生した判断され、トラクタのピッチングが検出される。
制御装置60には、上述した制御弁43a、制御弁43b、昇降制御弁49、及び圧力調節弁66がそれぞれ接続されており、制御装置60からの出力により各制御弁のソレノイドを励磁すると、各制御弁が所定の操作位置に切り換えられるように構成されている。制御装置60には、制御手段65が備えられており、この制御手段65により後述する油圧シリンダ制御、及びピッチング防止制御が実施されるように構成されている。
図9及び図10に示すように、このトラクタでは、トラクタによる作業形態により、作業スイッチ61を操作すると、油圧シリンダ制御が実施されるように構成されている。図9に示すように、作業スイッチ61を増大位置Hに切り替えると(ステップ#10:H)、圧力センサ57からの検出結果をフィードバックしながら制御装置60から圧力調節弁66に出力することで、ヘッド側合流油路35の圧力が第1所定圧力P1に増大されると共に、制御装置60からの出力により制御弁43aのソレノイドが励磁され、可変絞り43が第1操作位置Q1に操作される(ステップ#11)。ヘッド側合流油路35の圧力が第1所定圧力P1に増大されることで、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1が増大し、可変絞り43が第1操作位置Q1に操作されることで、可変絞り43が絞り側に操作され、サスペンション機構としての油圧シリンダ17の減衰力が増大する。
作業スイッチ61を中間位置Mに切り替えると(ステップ#10:M)、圧力センサ57からの検出結果をフィードバックしながら制御装置60から圧力調節弁66に出力することで、ヘッド側合流油路35の圧力が第2所定圧力P2に操作されると共に、制御装置60から制御弁43a,43bのソレノイドへの出力が断たれ、可変絞り43を第2操作位置Q2に操作する(ステップ#12)。
作業スイッチ61を減少位置Sに切り替えると(ステップ#10:S)、圧力センサ57からの検出結果をフィードバックしながら制御装置60から圧力調節弁66に出力することで、ヘッド側合流油路35の圧力が第3所定圧力P3に減少されると共に、制御装置60からの出力により制御弁43bのソレノイドを励磁し、可変絞り43を第3操作位置Q3に操作する(ステップ#13)。ヘッド側合流油路35の圧力が第3所定圧力P3に減少されることで、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1が減少し、可変絞り43が第3操作位置Q3に操作されることで、可変絞り43が絞り側に操作され、サスペンション機構としての油圧シリンダ17の減衰力が減少する。
図10に示すように、走行車体3の前部に掛かる重量(油圧シリンダ17に掛かる重量)Mが大きくなると、走行車体3の前部が下降するため、油圧シリンダ17のバネ定数K1を大きく設定することで走行車体3の前部の下降を防止でき、油圧シリンダ17の減衰力を増加させることで走行車体3の前部の揺れを防止できる。一方、走行車体3の前部に掛かる重量(油圧シリンダ17に掛かる重量)Mが小さくなると、走行車体3の前部が上昇するため、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を小さく設定することで、作業車の乗り心地を向上できる。
具体的には、例えば、図10(a)に示すように、走行車体3の前部にフロントローダを装備して、このフロントローダにより行うローダ作業では、フロントローダにより土をすくった状態で、走行車体3の前部に掛かる重量Mが大きくなる。この場合、作業スイッチ61を増大位置Hに切り替えることで、油圧シリンダ17のバネ定数K1を増大させ、油圧シリンダ17の減衰力を増加させる。また、例えばフロントローダによりすくった土を放出すると、走行車体3の前部に掛かる重量Mが小さくなる。この場合、作業スイッチ61を増大位置Hから中間位置Mに切り替えることで、油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少させ、油圧シリンダ17の減衰力を減少させる。
例えば、図10(b)に示すように、走行車体3の後部にプラウを装備して、プラウにより圃場を耕すプラウ作業では、走行車体3がプラウにより後方に少し引っ張られるので、走行車体3の前部に掛かる重量Mが小さくなる。この場合、作業スイッチ61を減少位置Sに切り替えることで、油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少させ、油圧シリンダ17の減衰力を減少させる。なお、図示しないが、プラウ作業において、作業スイッチ61を操作することで、油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少し、油圧シリンダ17の減衰力を増大するように構成してもよい。
例えば、図10(c)に示すように、路上走行では、走行車体3の前部に掛かる重量Mが比較的増減しない。この場合、作業スイッチ61を中間位置Mに切り替えることで、油圧シリンダ17のバネ定数K1を中程度に変更し、油圧シリンダ17の減衰力を中程度に変更する。
例えば、図10(d)に示すように、作業車による牽引作業では、作業車の停止時に、牽引対象物の重量が作業車に作用し、走行車体3の前部に掛かる重量Mが大きくなる。この場合、作業スイッチ61を増大位置Hに切り替えることで、油圧シリンダ17のバネ定数K1を増大させ、油圧シリンダ17の減衰力を増大させる。なお、図10(a)〜(d)は、作業形態の一例と示したものであり、作業車における異なる作業形態においても、同様である。
上記のように、作業車の作業形態により、作業スイッチ61を切り替えて、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を変更調節することで、サスペンション機構の特性を作業形態等に合わせて変更調節することができ、作業車による各種作業の作業性を向上できると共に、作業車の乗り心地を向上できる。
なお、上記の油圧シリンダ制御においては、作業車による作業形態に応じて、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力の双方を変更調節するように、制御手段65を構成した例を示したが、作業車による作業形態に応じて、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力のいずれか一方を変更調節するように、制御手段65を構成してもよい。また、図10で示したバネ定数K1及び減衰力の大、中、小の組み合わせとして異なる組み合わせを採用してもよく、具体的には、例えばバネ定数K1を大に設定し、減衰力を小に設定してもよく、例えばバネ定数K1を中に設定し、減衰力を大に設定してもよい。
また、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力をそれぞれ3段階で変更するように、制御手段65等を構成した例を示したが、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を2段階又は4段階以上で変更するように、制御手段65等を構成してもよく、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を無段階で変更するように、制御手段65等を構成してもよい。
また、上記の油圧シリンダ制御においては、作業スイッチ61の人為的な操作により手動で、油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を変更調節するように、制御手段65を構成した例を示したが、作業装置検出センサ63からの検出結果に基づいて、作業車における作業形態を自動的に判断し、作業車における作業形態に応じて油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を自動的に変更調節するように、制御手段65を構成してもよく、自動と手動を切り換え可能に、制御手段65を構成してもよい。
更には、制御装置60から圧力調節弁66への出力により、ヘッド側合流油路35の圧力を第1〜第3所定圧力P1〜P3に変更するように構成した例を示したが、圧力センサ57により検出した圧力から所定の圧力を増減させることで、油圧シリンダ17のシリンダヘッド側の圧力を変更し、油圧シリンダ17のバネ定数K1を変更するように構成してもよい。
図11に示すように、このトラクタでは、トラクタのピッチングを防止するピッチング防止制御が実施されている。図11に示すように、ピッチング検出センサ63からの検出結果に基づいて、トラクタのピッチングの発生が検出されると(ステップ#20:YES)、例えばヘッド側合流油路35の圧力が第2所定圧力P2に操作されている場合には、制御装置60から圧力調節弁66への出力によりヘッド側合流油路35の圧力を自動的に第3所定圧力P3に減少させて、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少させる(ステップ#21)。また、例えばヘッド側合流油路35の圧力が第1所定圧力P1に操作されている場合には、制御装置60から圧力調節弁66への出力によりヘッド側合流油路35の圧力を自動的に第2所定圧力P2に減少させて、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少させる(ステップ#21)。
このように、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1を自動的に減少させて、サスペンション機構を軟らかく変更することで、ピッチング共振を変化させることができ、トラクタのピッチングを抑制できる。
次に、ピッチング検出センサ63からの検出結果に基づいて、トラクタのピッチングの発生が改善されたか否か判断され(ステップ#22)、トラクタのピッチングの発生が改善された場合には(ステップ#22:YES)、制御装置60からの出力により圧力調節弁66をピッチングが発生する前の状態に操作し、油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少させた状態を解除する(ステップ#23)。トラクタのピッチングが発生している状態が続くと、サスペンション機構としての油圧シリンダ17のバネ定数K1を減少させた状態を維持する(ステップ#22:NO)。
図示しないが、ヘッド側合流油路35の圧力が第1所定圧力P1に操作されていた場合であって、制御装置60から圧力調節弁66への出力によりヘッド側合流油路35の圧力を第2所定圧力P2に操作してもトラクタのピッチングが改善されない場合には、制御装置60から圧力調節弁66への出力によりヘッド側合流油路35の圧力を更に第3所定圧力P3に操作するように構成してもよい。
なお、切換スイッチ等の人為操作具を備え、切換スイッチの操作により、手動による操作でトラクタのピッチングを抑制するように、制御手段65等を構成してもよく、油圧シリンダ17のバネ定数K1に限らず、油圧シリンダ17の減衰力を変更し、又は油圧シリンダ17のバネ定数K1及び減衰力を変更することで、トラクタのピッチングを抑制するように、制御手段65等を構成してもよい。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、支持ブラケット20の後端部を車体フレーム10の左右軸心X1周りに上下揺動自在に支持し、支持ブラケット20の前端部と車体フレーム10とに亘って油圧シリンダ17を設けた例を示したが、支持ブラケット20の異なる部分(例えば支持ブラケット20の前部)を車体フレーム10の左右軸心周りに上下揺動自在に支持するように構成してもよく、支持ブラケット20及び車体フレーム10の異なる位置に亘って油圧シリンダ17を設けるように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前車軸ケース13の前側に油圧シリンダ17を配設した例を示したが、例えば前車軸ケース13の後側(例えば左右軸心X1より前側で前車軸ケース13より後側)に油圧シリンダ17を配設する構成を採用してもよく、側面視で前車軸ケース13と重なる位置に油圧シリンダ17を配設する構成を採用してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、支持ブラケット20の取付座25に形成されたネジ部25aに下側から連結ボルト32を締め付けることで、前部軸受部材18を支持ブラケット20に下側から連結ボルト32で締め付け固定するように構成し、支持ブラケット20の後部補強部材26に形成されたネジ部26aに下側から連結ボルト32を締め付けることで、後部軸受部材19を支持ブラケット20に下側から連結ボルト32で締め付け固定するように構成した例を示したが、取付座25及び後部補強部材26に上下向きの貫通穴を形成し、連結ボルト32とナット(図示せず)により、前部及び後部軸受部材18,19を支持ブラケット20に締め付け固定するように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、支持ブラケット20の上側に前車軸ケース13が位置するように、支持ブラケット20の上部に前車軸ケース13を支持した例を示したが、支持ブラケット20の下側に軸受部材(前部及び後部軸受部材18,19)を連結ボルト32で締め付け固定する構成であれば、支持ブラケット20の下側に前車軸ケース13が位置するように、支持ブラケット20に前車軸ケース13を支持する構成を採用してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前車軸ケース13の前側及び後側を、前部軸受部材18及び後部軸受部材19を介して支持ブラケット20にローリング自在に支持した例を示したが、前車軸ケース13の前側及び後側のいずれか一方のみを、片持ち状に支持ブラケット20にローリング自在に支持する構成を採用してもよい。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、左右の油圧シリンダ17によりサスペンション機構を構成した例を示したが、一つの油圧シリンダ17によりサスペンション機構を構成してもよい。この場合、支持ブラケット20の左右中央部と車体フレーム10の左右中央部とに亘って油圧シリンダ17を設ける。また、サスペンション機構として異なる構成を採用してもよく、例えばサスペンションバネを備えたサスペンション機構(図示せず)、又はサスペンションバネ及び油圧シリンダ17を備えたサスペンション機構(図示せず)を採用してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]において示した支持ブラケット20の形状や構造は一例として示したものであり、同様の機能を果たすのであれば、支持ブラケット20の形状や構造として異なるものを採用してもよい。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、作業車の一例としてトラクタを例に示したが、異なる作業車においても同様に適用できる。
トラクタの全体側面図 前輪サスペンションの全体側面図 支持ブラケットの全体斜視図 支持ブラケットの全体平面図 支持ブラケットの全体正面図 油圧シリンダの油圧回路図 可変絞りの油圧回路図 制御装置のブロック図 油圧シリンダ制御のフローチャート 作業車による作業状態毎のバネ定数及び減衰力の大小関係を説明する表 ピッチング防止制御のフローチャート
符号の説明
1 前輪
10 車体フレーム
13 前車軸ケース
17 油圧シリンダ(サスペンション機構)
18 前部軸受部材(軸受部材)
19 後部軸受部材(軸受部材)
20 支持ブラケット
32 連結ボルト
X1 左右軸心
Y1 前後軸心

Claims (2)

  1. 右及び左の前輪を支持する前車軸ケースと、車体フレームの左右軸心周りに上下揺動自在に支持された支持ブラケットと、前記車体フレームと前記支持ブラケットとに亘って設けられた走行用のサスペンション機構とを備え、
    前記支持ブラケットに軸受部材を介して前記前車軸ケースを前後軸心周りでローリング自在に支持すると共に、
    前記支持ブラケットの下側に前記軸受部材を連結ボルトで締め付け固定してある作業車のサスペンション構造。
  2. 前記支持ブラケットの上側に前記前車軸ケースが位置するように、前記支持ブラケットの上部に前記前車軸ケースを支持してある請求項1記載の作業車のサスペンション構造。
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