JP4866337B2 - 作業車のサスペンション装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記問題点に鑑み、作業車の走行を変速操作したときに、作業車がピッキングするのを緩和して、オペレータに不快な加速度が発生するのを未然に防止できるようにしたものである。
作業車の変速操作がなされたときに、一時的にサスペンション機能のロックを解除すべくロック弁を制御するようにした点にある。
第1ロック弁とヘッド側アキュームレータとの間又は第2ロック弁とロッド側アキュームレータとの間の少なくとも一方に、可変絞りが設けられ、作業車の変速操作がなされたときに、一時的に可変絞りを大きく開放すべく制御するようにした点にある。
前輪の左右方向への切れ角を検出する切れ角検出センサが設けられ、前輪切れ角が所定以上になったときに、油圧シリンダを伸長させて車体フレームを上げるべく昇降制御弁を制御するようにした点にある。
走行車体3の後部には、リフトアーム9を有する油圧昇降装置8が装備されており、走行車体3の後部三点リンク機構を介して装着したプラウやロータリ等の耕耘装置、その他の作業機を、油圧昇降装置8で昇降できるように構成されている。なお、図示しないが、例えば土をバケットですくって移動させるフロントローダ等、種々の作業機を、走行車体3の前部に装備することもできる。
図2〜図7に示すように、車体フレーム10は、左右一対の外側板13と左右一対の内側板14と前板15とを有している。対応する外側板13と内側板14とは左右に重合してボルトナット等の固定具や溶接等により連結固定され、左右一対の外側板13及び左右一対の内側板14の前端間に前板15が固定具や溶接等により連結固定されている。
支持ブラケット20は、前部フレーム21と後部フレーム22とを備え、前部フレーム21の後端部下面側に後部フレーム22の前端部上面側がボルト等の固定具により固着されている。
左右一対の取付部27は支持部材28の外板31と内板32との間にそれぞれ挿入嵌合され、支持軸29が外板31と取付部27と内板32とに挿通されて、左右一対の取付部27が外板31と内板32とにそれぞれ支持軸29廻りに回動自在に連結され、これにより支持ブラケット20が車体フレーム10に対して左右方向の支持軸29廻りに揺動自在に支持されている。
車体フレーム10の前端部の左右一対の内側板14間に、油圧シリンダ等を制御するための油圧ブロック39が設けられ、油圧ブロック39の下端部に、ヘッド側アキュームレータ23とロッド側アキュームレータ24とが下方突出状に設けられている。
前車軸ケース19の左右方向外端に減速装置40を介して左右一対の前輪1が支持されている。前車軸ケース19の左右方向中央部の下端部の後面側に、パワーステアリング用の油圧シリンダ41が取付けられている。
また、左右一対の油圧シリンダ17が相互に伸縮動作すると、前後軸X廻りに前車軸ケース19が左右に揺動して、前車軸ケース19の両端部に装着された左右一対の前輪1がローリングするように構成されている。
図3及び図4に示すように、後部フレーム22の左右一対の取付部27間に自在継手48が設けられ、自在継手48の後方にドライブシャフト49が設けられている。前車軸ケース19内で左右の前輪1に連動連結された伝動軸50が、連結部材36に後方突出状に内嵌されて、自在継手48とドライブシャフト49とを介してミッションケース12の出力軸に連動連結されており、ミッションケース12の出力軸の回転動力をドライブシャフト49、自在継手48及び連結部材36内の伝動軸50を通して左右の前輪1に伝達するように構成されている。
前記他の変速機構は図10に示す操作レバー51の操作によって変速操作可能に構成され、操作レバー51の握り部51aに、パワーシフト変速機構を変速操作するための増速用押しボタンスイッチ52と減速用押しボタンスイッチ53とが設けられており、これらボタンスイッチ52,53の押圧操作により、パワーシフト変速機構を変速操作するように構成されている。これら増速用押しボタンスイッチ52と減速用押しボタンスイッチ53の変速操作信号を後述する制御装置60に入力するように構成されている。
また、トラクタの後方に、図示省略の三点リンク機構を介して作業機が昇降自在に装着されるようになっている。三点リンク機構は、トップリンクと左右一対のロワーリンクとを有し、ロワーリンクはトラクタの後部に搭載された油圧昇降装置8のリフトアーム9とリフトロッドとを介して連結され、昇降自在になっている。そして、図10に示すように、油圧昇降装置8のリフトアーム9の動き等から作業機の昇降を検出する昇降検出センサ57が設けられ、この昇降検出センサ57の昇降検出信号を後述する制御装置60に入力するように構成されている。
第2ロック弁68には、タンクラインに接続されたロッド側リリーフ弁70が接続油路を介して接続されており、このリリーフ弁70の設定圧は、ガス封入式のロッド側アキュームレータ24による油圧シリンダ17の制御圧の最大値より高く設定されており、このリリーフ弁70により油圧シリンダ17のロッド側の油圧回路を保護できる。
従って、ロック弁67,68を通して油圧シリンダ17とヘッド側アキュームレータ23との間の油路及び油圧シリンダ17とロッド側アキュームレータ24との間の油路を開くことにより、左右一対の油圧シリンダ17及びアキュームレータ23,24等で構成される前輪サスペンション18がサスペンション機能を具備すると共に、ロック弁67,68によって油圧シリンダ17とヘッド側アキュームレータ23との間の油路及び油圧シリンダ17とロッド側アキュームレータ24との間の油路を閉じることにより、前記サスペンション機能をロックするように構成されている。
なお、油圧シリンダ17のロッド側の接続ポートとヘッド側アキュームレータ23との間の異なる油路に可変絞り73を設けてもよく、例えば合流する前の左右一対の油圧シリンダ17のロッド側の接続ポートに接続された油路に、それぞれ個別に可変絞り73を設けることで、左右一対の油圧シリンダ17の減衰力を個別に変更調節できる。
図9に示すように、可変絞り73は、スプールをスライド移動させることにより、第1操作位置Q1、第2操作位置Q2、及び第3操作位置Q3の3つの位置に位置変更可能に構成されている。第1〜第3操作位置Q1,Q2,Q3には、異なる径のオリフィスが設けられており、第1操作位置Q1では1/3絞りになり、第2操作位置Q2では絞りのないフリーの状態になり、第3操作位置Q3では2/3絞りになるように構成されている。パイロット油路を介して接続された制御弁73aを励磁することで可変絞り73を第1操作位置Q1に操作することができ、パイロット油路を介して接続された制御弁73bを励磁することで可変絞り73を第3操作位置Q3に操作することができる。また、制御弁73a,73bの励磁を解除すると中立付勢されて第2操作位置Q2に操作することができる。
ヘッド側切換弁75は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるように、2位置切替式の電磁弁で構成されている。これにより、ヘッド側切換弁75を励磁すると、第1ロック弁67が逆止機能の解除された開状態に操作され、ヘッド側切換弁75の励磁を解除すると、第1ロック弁67が逆止機能の作用する閉状態に操作される。
ロッド側切換弁76は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるように、2位置切替式の電磁弁で構成されている。これにより、ロッド側切換弁76を励磁すると、第2ロック弁68が逆止機能の解除された開状態に操作され、ロッド側切換弁76の励磁を解除すると、第2ロック弁68が逆止機能の作用する閉状態に操作される。
ヘッド側合流油路65には、絞り弁74を介してパイロットチェック弁77が接続されており、ロッド側合流油路66には、パイロットチェック弁78が接続されている。パイロットチェック弁77は、昇降制御弁79に接続されており、パイロットチェック弁78は、絞り弁81及びチェック弁82を介して昇降制御弁79に接続されている。
パイロットチェック弁78とチェック弁82との間の油路には、切換弁80を介して第1リリーフ弁80Aと第2リリーフ弁80Bとが接続されている。第1リリーフ弁80Aの設定圧は例えば5MPaに設定され、第2リリーフ弁80Bの設定圧は例えば3MPaに設定されており、リリーフ弁80A,80Bの設定圧は互いに異なるリリーフ圧に設定されている。リリーフ圧(設定圧)の低い第1リリーフ弁80Aとリリーフ圧(設定圧)の高い第2リリーフ弁80Bとは互いに並列に設けられ、切換弁80は、油圧シリンダ17と昇降制御弁79との間の油路に設けられ、油圧シリンダ17と昇降制御弁79との間の油路への接続を第1リリーフ弁80Aと第2リリーフ弁80Bとに択一的に切り換えるように構成されている。なお、リリーフ弁80A,80Bのリリーフ圧は手動で変更調節できるように構成されている。
切換弁83,84は、ソレノイドを励磁することにより、走行車体3に設けられた油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が供給され、ソレノイドの励磁を解除すると、バネ付勢されてタンクポートに接続されるように、2位置切替式の電磁弁で構成されている。これにより、切換弁84を励磁すると、昇降制御弁79が上昇位置79Uに操作され、切換弁83を励磁すると、昇降制御弁79が下降位置79Dに操作される。
昇降制御弁79が上昇位置79Uに操作され、パイロット油路86の圧力が上昇すると、パイロットチェック弁78が逆止機能の解除された開状態に操作され、昇降制御弁79が下降位置79Dに操作され、パイロット油路85の圧力が上昇すると、パイロットチェック弁77が逆止機能の解除された開状態に操作される。これにより、パイロットチェック弁77,78による油圧回路の自己保持が解除される。昇降制御弁79を中立位置Nに操作すると、パイロットチェック弁77,78が逆止機能の作用する閉状態に操作され、パイロットチェック弁77,78による自己保持回路が形成される。
次に、図8に基づいて油圧シリンダ17の作動の一例について説明する。図8に示すように、昇降制御弁79が中立位置79Nに操作され、ロック弁67,68が開状態に操作されると、パイロットチェック弁77,78が閉状態に操作された状態で、油圧シリンダ17の油室17aとアキュームレータ23が連通し、油圧シリンダ17の油室17bとアキュームレータ24が連通する。これにより、地面の凹凸に応じて前車軸ケース19及び支持ブラケット20が支持軸29廻りに上下に揺動しようとすると、油圧シリンダ17が伸縮して、油圧シリンダ17の油室17a,17bとアキュームレータ23,24との間で作動油が往復し、油圧シリンダ17がバネ定数K1を備えたサスペンションとして作動する。
式(1) M×g=PH×AH−MP1×AR
これにより、油圧シリンダ17の油室17aのピストンの受圧面積AH、油圧シリンダ17の油室7bのピストンの受圧面積ARが一定であるので、油圧シリンダ17の油室17aの圧力PHは、油圧シリンダ17の油室17bの圧力MP1よりも高いものとなっており、走行車体3の前部に掛かる重量(油圧シリンダ17に掛かる重量)Mによって変化する。
昇降制御弁79が上昇位置79Uに操作され、ロック弁67,68が閉状態に操作されると、昇降制御弁79からの作動油が油圧シリンダ17の油室17aに供給され、油圧シリンダ17の油室17bからの作動油が、パイロットチェック弁78、及び第1リリーフ弁80A又は第2リリーフ弁80Bを介して排出される。この場合、油圧シリンダ17の油室17b及びロッド側合流油路66の圧力が、第1リリーフ弁80A又は第2リリーフ弁80Bにより所定のリリーフ圧に維持されている。
昇降制御弁79が下降位置79Dに操作され、ロック弁67,68が閉状態に操作されると、昇降制御弁79からの作動油が油圧シリンダ17の油室17bに供給され、油圧シリンダ17の油室17aからの作動油が、絞り弁74、パイロットチェック弁77、及び昇降制御弁79を介して排出される。この場合、油圧シリンダ17の油室17b及びロッド側合流油路66の圧力が、第1リリーフ弁80A又は第2リリーフ弁80Bにより所定のリリーフ圧に維持されている。これにより、油圧シリンダ17が収縮して走行車体3の前部が下降する。この後、昇降制御弁79が中立位置79Nに操作され、ロック弁67,68が開状態に操作されると、油圧シリンダ17が収縮した状態で、前述のように油圧シリンダ17がサスペンションとして作動する。
次に、図10に基づいて油圧シリンダ17の制御について説明する。図10は、制御装置60のブロック図を示している。
図10に示すように、この作業車には、制御装置60が装備されており、この制御装置60に、前輪荷重検出手段である圧力センサ87、油圧シリンダ17の作動位置検出手段としての作動位置検出センサ88、操作レバー51、増速用押しボタンスイッチ52、減速用押しボタンスイッチ53、前後進切り換え機構の切換操作を検出する切換検出センサ54、前輪1の切れ角を検出する切れ角検出センサ89等が接続されている。
サスペンション機能のロックを解除したときに、制御装置60は、可変絞り73を最絞りの状態から徐々に大きく開放すべく制御する。即ち、ヘッド側切換弁75のソレノイドを励磁すると共に、ロッド側切換弁76のソレノイドを励磁することにより、サスペンション機能のロックを解除するときに、制御弁73aのソレノイドを励磁した後、制御弁73aのソレノイドの励磁を解除する。これにより、制御弁73aを励磁することで可変絞り73を第1操作位置Q1に操作し、その後、制御弁73aの励磁を解除(消磁)することで、可変絞り73が中立付勢されて第2操作位置Q2に操作される。その結果、可変絞り73が第1操作位置Q1の1/3絞りになり、その後第2操作位置Q2では絞りのないフリーの状態になり、可変絞り73を最絞りの状態から徐々に大きく開放すべく制御される。
また、前記実施の形態によれば、油圧シリンダ17のヘッド側の油路に接続されるリリーフ圧の低い第1リリーフ弁80Aとリリーフ圧の高い第2リリーフ弁80Bとが設けられ、油圧シリンダ17と昇降制御弁79との間の油路への接続を、第1リリーフ弁80Aと第2リリーフ弁80Bとに択一的に切り換える切換弁80が設けられているので、前輪荷重が大のときに、サスペンションのバネ定数が大になるように油圧シリンダ17と昇降制御弁79との間の油路にリリーフ圧の高い第2リリーフ弁80Bを接続し、前輪荷重が小のときに、サスペンションのバネ定数が小になるように油圧シリンダ17と昇降制御弁79との間の油路にリリーフ圧の低い第1リリーフ弁80Aを接続することができ、左右一対の油圧シリンダ17について前輪荷重に応じたより適度なバネ定数を選択することが可能になる。
また、前記実施の形態によれば、前輪の左右方向への切れ角を検出する切れ角検出センサ89が設けられ、前輪切れ角が所定以上になったときに、油圧シリンダ17を伸長させて車体フレーム10を上げるべく昇降制御弁79を制御するようにしたので、前輪1の切れ角を大きくしても前輪1の後端部が作業車のボンネットに干渉するおそれがなくなり、前輪1がボンネットと干渉するのを避けるために、作業車のボンネットの一部に凹部を設けたりする必要がなくなり、ボンネット内の冷却機器の配置が面倒になったりする不都合を防止できる。
また、前記実施の形態では、制御装置60は、トラクタの後方に三点リンク機構を介して装着した作業機が昇降したときに、一時的にサスペンション機能のロックを解除すべくロック弁67,68を制御するようにしているが、これに代え又はこのような制御と共に、一時的に可変絞り73を大きく開放すべく(流通径を大にする)制御するようにしてもよい。即ち、昇降検出センサ57から昇降検出信号をしたときに、一定時間(数秒間)、制御弁73a及び制御弁73bのソレノイドの励磁を解除するようにしてもよい。これにより、制御弁73a,73bの励磁を解除すると、可変絞り73が中立付勢されて第2操作位置Q2に操作され、第2操作位置Q2では絞りのないフリーの状態になり、可変絞り73が一時的に大きく開放される。
3 走行車体
10 車体フレーム
17 油圧シリンダ
18 前輪サスペンション
19 前車軸ケース
23 ヘッド側アキュームレータ
24 ロッド側アキュームレータ
60 制御装置
67 第1ロック弁
68 第2ロック弁
73 可変絞り
79 昇降制御弁
80 切換弁
80A 第1リリーフ弁
80B 第2リリーフ弁
87 圧力センサ
89 切れ角検出センサ
Claims (3)
- 車体フレーム(10)に車輪(1)が受ける衝撃を緩衝するサスペンション用の油圧シリンダ(17)が設けられ、油圧シリンダ(17)のヘッド側に、サスペンションロック用のロック弁(67)を介してヘッド側アキュームレータ(23)が接続され、油圧シリンダ(17)のロッド側にロッド側アキュームレータ(24)が接続され、ロック弁(67)を通して油圧シリンダ(17)とヘッド側アキュームレータ(23)との間の油路を開くことによりサスペンション機能を具備すると共に、ロック弁(67)によって油圧シリンダ(17)とヘッド側アキュームレータ(23)との間の油路を閉じることにより前記サスペンション機能をロックするようにした作業車のサスペンション装置において、
作業車の変速操作がなされたときにその変速操作の操作信号を入力して前記ロック弁(67)を制御する制御装置(60)が装備され、該制御装置(60)は、ロック弁(67)によりサスペンションをロックした状態での動作中に変速操作の操作信号を入力したときに、一時的にサスペンションのロックを解除すべくロック弁(67)を制御するように構成されていることを特徴とする作業車のサスペンション装置。 - ロック弁(67)とヘッド側アキュームレータ(23)との間に、可変絞り(73)が設けられ、前記制御装置(60)は、変速操作の操作信号を入力してロック弁(67)をロック解除したときに、一時的に可変絞り(73)を大きく開放すべく制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業車のサスペンション装置。
- 前記油圧シリンダ(17)に昇降制御弁(79)が接続され、前輪の左右方向への切れ角を検出する切れ角検出センサ(89)が設けられ、前輪切れ角が所定以上になったときに、油圧シリンダ(17)を伸長させて車体フレーム(10)を上げるべく昇降制御弁(79)を制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車のサスペンション装置。
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