JP2009078656A - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 遊星歯車機構にて減速して回転を伝達する場合に、遊星歯車機構の構成ギア間にて生じるバックラッシに起因して発生する歯打ち音を低減させること。
【解決手段】 車両の操舵装置には、アッパーシャフト11の回転をロアーシャフト12に減速して伝達可能な遊星歯車機構90が設けられている。遊星歯車機構90は、アッパーシャフト11に設けたサンギア91と、ロアーシャフト12に設けたキャリア92と、回転不能なリングギア93と、サンギア91と噛合可能かつリングギア93と噛合不能な第1プラネタリギア94と、リングギア93と噛合可能かつサンギア91と噛合不能でトルクケーブル96を介して第1プラネタリギア94に連結されている第2プラネタリギア95と、第1プラネタリギア94をサンギア91に向けて付勢する第1圧縮ばね97と、第2プラネタリギア95をリングギア91に向けて付勢する第1圧縮ばね98を備えている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、運転者によって操作される操舵手段と、同操舵手段と転舵輪とを連結して前記操舵手段を介して入力される操舵力を前記転舵輪に伝達する伝達軸と、同伝達軸に接続されて前記操舵手段の操作に対して所定の補助力を付与する補助力付与手段とを備えた車両の操舵装置に関する。
従来から、運転者による操舵手段の操作に対して所定の補助力を付与する補助力付与手段を備えた車両の操舵装置において、操舵状態の異常検出に基づいて補助力付与手段の作動を停止させる場合に、操舵性の悪化を抑制する提案がなされている。例えば、下記特許文献1には、操舵状態を推定するための複数の検出手段からの検出情報を取り込み、電動モータ(補助力付与手段)の作動を停止させる場合に複数の検出手段のうち正常に作動している検出手段を選択し、選択した検出手段からの検出値を監視しながら電動モータによるアシストトルク(補助力)の付勢を徐々に低下させる電動パワーステアリング制御装置が示されている。この電動パワーステアリング制御装置によれば、電動モータを停止させる場合に、操舵ハンドルが徐々に重くなるため、操舵違和感による操舵性の悪化を抑制することができるようになっている。
特開2005−67262号公報
しかし、上記特許文献1に示された従来の電動パワーステアリング制御装置であっても、電動モータの作動が完全に停止した後には、アシストトルクが付与されることがない。このため、運転者が操舵ハンドルを回動操作するためには大きな操舵力(操舵トルク)が必要となり、運転者に対して肉体的な負担を強いることになる。したがって、何らかの異常が発生し補助力付与手段が所定の補助力を付与しない状態であっても、運転者が操舵手段を介して入力する操舵力のみで容易に転舵輪を転舵させることができて、良好な操舵性を確保することが望まれている。
上記した問題に対して、操舵手段からの操舵力によって回転可能な第1軸の回転を第1軸から伝達される操舵力によって回転可能な第2軸に同速にてまたは減速して伝達可能な変速機構を備える車両の操舵装置が提案されている。この車両の操舵装置によれば、操舵手段の操作に対して補助力付与手段が所定の補助力を付与する通常状態においては、変速機構にて第1軸の回転が同速にて第2軸に伝達される。一方、操舵手段の操作に対して補助力付与手段が所定の補助力を付与しない補助力付与停止状態においては、変速機構にて第1軸の回転が減速されて第2軸に伝達される。このため、何らかの異常が発生し補助力付与手段が所定の補助力を付与しない状態であっても、運転者が操舵手段を介して入力する操舵力のみで容易に転舵輪を転舵させることができて、良好な操舵性を確保することできる。
ところで、前記変速機構が、車体側に回転不能に固定されているリングギアと、第1軸に同軸的かつ一体的に設けられているサンギアと、第2軸に同軸的かつ一体的に設けられているキャリアと、このキャリアに組付けられサンギアおよびリングギアと噛合可能なプラネタリギアを備える遊星歯車機構を有している場合には、プラネタリギアがサンギアおよびリングギアと噛み合う状態でサンギアの回りを自転および公転することによって、第1軸の回転が減速されて第2軸に伝達される。このとき、プラネタリギアとサンギア間にて生じるバックラッシ(歯車間の隙間)及びプラネタリギアとリングギア間にて生じるバックラッシに起因して歯打ち音が発生するおそれがある。この歯打ち音は、特に、悪路走行時には、転舵輪から入力される振動が遊星歯車機構のバックラッシに伝達されることによって助長されるおそれがあり、低車速時には、エンジン音が小さいことによって相対的に大きく感じられるおそれがある。
本発明は、上記した問題(歯打ち音の発生)に対処すべくなされたものであり、運転者によって操作される操舵手段と、同操舵手段と転舵輪とを連結して前記操舵手段を介して入力される操舵力を前記転舵輪に伝達する伝達軸と、同伝達軸に接続されて前記操舵手段の操作に対して所定の補助力を付与する補助力付与手段とを備えた車両の操舵装置において、前記伝達軸は、前記操舵手段側に配置され前記操舵手段からの操舵力によって回転可能な第1軸と、前記転舵輪側に配置され前記第1軸を軸方向にて移動可能に収容し前記第1軸の回転を同速にてまたは減速して伝達可能な変速機構を介して前記第1軸から伝達される操舵力によって回転可能な第2軸を備えていて、前記変速機構が、車体側に回転不能に固定されているリングギアと、前記第1軸に同軸的かつ一体的に設けられ前記第1軸の軸方向移動に伴って軸方向に移動可能なサンギアと、前記第2軸に同軸的かつ一体的に設けられているキャリアと、このキャリアに組付けられ前記サンギアに対して噛合可能かつ前記リングギアに対して噛合不能な第1プラネタリギアと、前記キャリアに組付けられ前記リングギアに対して噛合可能かつ前記サンギアに対して噛合不能でトルク伝達部材を介して前記第1プラネタリギアにトルク伝達可能に連結されている第2プラネタリギアと、前記第1プラネタリギアを前記サンギアに向けて付勢する第1付勢手段と、前記第2プラネタリギアを前記リングギアに向けて付勢する第2付勢手段を備える遊星歯車機構と、前記第2軸に同軸的かつ一体的に設けられ前記サンギアの軸方向移動によって前記サンギアと噛合・非噛合可能なアウトプットギアを備えており、前記サンギアが前記アウトプットギアと噛合し前記第1プラネタリギアと噛合していない状態では、前記第1軸の回転が同速にて前記第2軸に伝達され、前記サンギアが前記第1プラネタリギアと噛合し前記アウトプットギアと噛合していない状態では、前記第1軸の回転が減速されて前記第2軸に伝達されることに特徴がある。
本発明による車両の操舵装置においては、操舵手段の操作に対して補助力付与手段が所定の補助力(アシストトルク)を付与する通常状態において、変速機構にてサンギア(第1軸に同軸的かつ一体的に設けられている)がアウトプットギア(第2軸に同軸的かつ一体的に設けられている)と噛合し第1プラネタリギアと噛合していない状態とすれば、第1軸に同軸的かつ一体的に設けられているサンギアの回転が第2軸に同軸的かつ一体的に設けられているアウトプットギアに伝達されて、第1軸の回転が同速にて第2軸に伝達される。このため、運転者は、変速機構が第1軸の回転を同速にて第2軸に伝達し、補助力付与手段が伝達軸に補助力を付与する状態で、転舵輪を転舵させることができる。
一方、操舵手段の操作に対して補助力付与手段が所定の補助力を付与しない補助力付与停止状態において、変速機構にてサンギアが第1プラネタリギアと噛合しアウトプットギアと噛合していない状態とすれば、第1軸の回転がサンギア入力―キャリア出力の遊星歯車機構にて減速されて第2軸に伝達される。このため、運転者は、変速機構が第1軸の回転を減速して第2軸に伝達し、補助力付与手段が伝達軸に補助力を付与しない状態で、転舵輪を転舵させることができ、転舵輪を転舵させるために必要な操舵力を変速機構にて軽減することができる。したがって、補助力付与手段が補助力付与停止状態であっても、運転者は操舵手段を介して入力する操舵力のみで容易に転舵輪を転舵させることができて、良好な操舵性を確保することができる。
ところで、遊星歯車機構にて第1軸の回転が減速して第2軸に伝達されている状態では、サンギアの回転に伴い、第1プラネタリギアが、サンギアと噛み合いリングギアと噛み合わない状態で、サンギアの回りを自転及び公転する。そして、第1プラネタリギアの回転トルクが、トルク伝達部材によって、第2プラネタリギアに伝達され、第2プラネタリギアが、リングギアと噛み合いサンギアと噛み合わない状態で、サンギアの回りを自転及び公転する。
このとき、第1プラネタリギアは、第1付勢手段によってサンギアに向けて付勢され、第2プラネタリギアは、第2付勢手段によってリングギアに向けて付勢されている。これによって、第1プラネタリギアの歯部とサンギアの歯部との噛み合い量が大きくなると共に、第2プラネタリギアの歯部とリングギアの歯部との噛み合い量が大きくなり、第1プラネタリギアとサンギア間にて生じるバックラッシ(歯車間の隙間)及び第2プラネタリギアとリングギア間にて生じるバックラッシを低減させることが可能である。したがって、上記したバックラッシに起因して発生する歯打ち音を低減させることが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記第2プラネタリギアは、前記第1プラネタリギアから前記第1プラネタリギアの軸方向に所定量離間して前記第1プラネタリギアと略同軸的に配置されていることも可能である。この場合には、前記遊星歯車機構の径方向の寸法を通常の遊星歯車機構(例えば、キャリアに組付けられるプラネタリギアがサンギアとリングギアに対して噛合可能であるシングルピニオン型の遊星歯車機構)の径方向の寸法と同程度に構成することが可能である。したがって、前記遊星歯車機構を、通常の遊星歯車機構と同程度にコンパクトに構成しつつ、前記伝達軸(例えば、ステアリングコラム)に搭載することが可能である。
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。本発明に係る車両の操舵装置は、図1に示したように、運転者によって回動操作される操舵手段としての操舵ハンドルSHと、同操舵ハンドルSHと転舵輪としての左右前輪FW1,FW2とを連結している伝達軸(伝達機構)COを備えている。
操舵ハンドルSHは、図1および図2に示したように、運転者によって入力される操舵力を伝達軸COに伝達するためのものであり、伝達軸COの運転者側端部に連結されている。伝達軸COは、操舵ハンドルSHを介して入力される操舵力を左右前輪FW1,FW2に伝達するためのものであり、ステアリングコラムSCにおけるステアリングメインシャフト10と、このステアリングメインシャフト10にアッパーユニバーサルジョイント31を介して連結されているインターミディエイトシャフト32と、このインターミディエイトシャフト32にロアーユニバーサルジョイント33を介して連結されているピニオンシャフト34と、このピニオンシャフト34にピニオンギア35およびラックギア36を介して接続されているラックバー37と、このラックバー37の左右両端部と左右前輪FW1,FW2に組付けられているナックル(図示省略)にそれぞれボールジョイント(図示省略)を介して組付けられている左右一対のタイロッド38R、38Lを備えている。
ステアリングコラムSCは、操舵ハンドルSHと一体的に回転可能なステアリングメインシャフト10と、このステアリングメインシャフト10を内部に収容しかつ回動操作可能に支持するコラムチューブ20と、ステアリングコラムSCのチルト動作(上下方向での傾動動作)およびテレスコピック動作(コラム軸方向での伸長・収縮動作)を許容または規制するロック機構40と、ステアリングコラムSCのテレスコピック調整ストローク(図3および図4に示したストロークL)内での移動を許容しテレスコピック調整ストローク外への移動を許容または規制するソレノイド50と、操舵ハンドルSHの操作に対して所定の補助力を付与する補助力付与手段としてのEPS(電動パワーステアリング)ユニット60を備えている。
ステアリングメインシャフト10は、図3に示したように、第1軸としてのアッパーシャフト11と、第2軸としてのロアーシャフト12と、このロアーシャフト12にトーションバー(図示省略)を介して連結されているアウトプットシャフト13(図2参照)を備えている。アッパーシャフト11は、中空状に形成されていて、上端側(運転者側)にて操舵ハンドルSHに接続されており、操舵ハンドルSHの回動操作によって操舵ハンドルSHと一体的に回転可能である。ロアーシャフト12は、中空状に形成されていて、アッパーシャフト11の下端部がコラム軸方向に摺動可能に挿通されている。
コラムチューブ20は、図2および図3に示したように、ステアリングメインシャフト10を回転自在に支持するためのものであり、インストルメントパネルリインフォースメントIRに設けられるステアリングサポート部材SSに車両前方側が下方に位置するように傾斜した姿勢で支持されていて、アッパーチューブ21と、ロアーチューブ22を備えている。なお、インストルメントパネルリインフォースメントIRおよびステアリングサポート部材SSは、車体に組み付けられて固定される車体側部材である。
アッパーチューブ21は、図2および図3に示したように、アッパーチューブ21の車両前方下部外周に一体的に固着した可動ブラケット23とロック機構40を介して、ステアリングサポート部材SSの車両後方下部に組付けた固定ブラケットSBに、上下方向かつコラム軸方向に移動可能に組付けられている。ロック機構40は、可動ブラケット23と固定ブラケットSBを結合・解除可能(ロック・アンロック可能)である。
このため、ロック機構40がロック状態とされることにより、可動ブラケット23が固定ブラケットSBに対して移動不能に固定(結合)され、ロック機構40がアンロック状態とされることにより、上記した固定が解除されて、可動ブラケット23が固定ブラケットSBに対して移動可能とされる。なお、アッパーチューブ21の下端部内周には、ロアーチューブ22外周との摺動抵抗を低減するためのテレスコガイド24が固着されている。
また、アッパーチューブ21は、図3に示したように、中空状に形成されていて、上端部の内周に一体的に設けられているベアリングBrを介してアッパーシャフト11を回転可能かつ一体的にコラム軸方向へ移動可能に支持している。また、アッパーチューブ21とテレスコガイド24には、ロック機構40の偏芯カム43を挿通するためのコラム軸方向に長い挿通長孔21aと24aが形成されるとともに、ソレノイド50のソレノイドピン52を挿通するための貫通孔21bと24bが形成されている。
ロアーチューブ22は、図2に示したように、EPSユニット60のハウジング61と支持ピンP1を介して、ステアリングサポート部材SSの車両前方下部に設けたアームSSaに、上下方向にて回動可能(支持ピンP1の軸心(チルト中心)を中心としてチルト可能)に支持されている。このロアーチューブ22は、図3に示したように、中空状に形成されていて、下端部の内周に一体的に設けられているベアリング(図示省略)を介してロアーシャフト12を回転可能かつコラム軸方向に変位不能に支持している。
また、ロアーチューブ22は、上端部(後方部)にてアッパーチューブ21の下端部(前方部)に挿通されていて、アッパーチューブ21をコラム軸方向にて摺動可能に支持している。また、ロアーチューブ22のアッパーチューブ21内に挿通されている後方上部には、ソレノイド50のソレノイドピン52が進入・退避可能で同ソレノイドピン52との当接によりテレスコピック調整ストロークLを規定するコラム軸方向に長い規定溝22aが形成されている。
インターミディエイトシャフト32は、図1および図2に示したように、上端部にてアッパーユニバーサルジョイント31に連結され、下端部にてロアーユニバーサルジョイント33に連結されていて、ステアリングメインシャフト10のアウトプットシャフト13にアッパーユニバーサルジョイント31を介して一体回転可能に接続されている。なお、インターミディエイトシャフト32は、車両衝突時にステアリングコラムSCおよび操舵ハンドルSHが運転者側に押し出されてくることを防止するために、コラム軸方向に収縮可能である。
ピニオンシャフト34は、図1に示したように、上端部にてインターミディエイトシャフト32にロアーユニバーサルジョイント33を介して一体回転可能に接続されていて、下端部にはピニオンギア35が一体的に設けられている。ラックバー37は、中間部にピニオンギア35と噛み合う板状のラックギア36が設けられていて、ピニオンギア35の回転を伝達可能に接続されており、ピニオンギア35の回転が伝達されると軸方向(図1の左右方向)に変位可能である。
左右一対のタイロッド38R、38Lは、一端部にてボールジョイント(図示省略)を介してラックバー37の各端部に接続されていて、他端部にてボールジョイント(図示省略)を介して左右前輪FW1、FW2を軸支しているナックル(図示省略)に接続されている。これにより、左右前輪FW1、FW2は、ラックバー37の図1の左右方向への変位によって、左右に転舵可能である。
ロック機構40は、公知のものであり、固定ブラケットSBに設けた図示省略のチルト長孔(チルト中心を中心とする円弧状の長孔)と可動ブラケット23に設けたコラム軸方向に延びるテレスコ長孔23a(図3および図4参照)を貫通して車両の左右方向に延びるシャフト(ボルト)41と、このシャフト41の右端部(車両右方向端部)に螺着した図示省略のナットと、シャフト41の左端部に一体回転可能に組付けた操作レバー42と、固定ブラケットSBと操作レバー42間のシャフト41上に組付けられた図示省略のロックカムユニットと、シャフト41の中間部外周に一体回転可能に組付けられた偏心カム43等を備えている。
ロックカムユニット(図示省略)は、操作レバー42の図2反時計方向への回転によって固定ブラケットSBと可動ブラケット23間の摩擦係合力を高くし、操作レバー42の図2時計方向への回転によって固定ブラケットSBと可動ブラケット23間の摩擦係合力を低くするように構成されている。偏心カム43は、操作レバー42の図2反時計方向への回転に伴うシャフト41の図3反時計方向への回転によってロアーチューブ22の下部外周に係合し、操作レバー42の図2時計方向への回転に伴うシャフト41の図3時計方向への回転によってロアーチューブ22の下部外周から離脱するように構成されている。
このため、このロック機構40では、操作レバー42をロック位置まで図2の反時計方向へ回転することによって、ロック状態とすることができて、ステアリングコラムSCのチルト動作(支持ピンP1の軸心(チルト中心)を中心とする傾動動作)およびテレスコピック動作(アッパーシャフト11およびアッパーチューブ21のロアーシャフト12およびロアーチューブ22に対するコラム軸方向への移動)を規制することができ、また、操作レバー42をアンロック位置まで図2の時計方向へ回転することによって、アンロック状態とすることができて、ステアリングコラムSCのチルト動作およびテレスコピック動作を許容することができる。なお、ロック機構40がアンロック状態にあるときには、固定ブラケットSBと偏心カム43間に介装したスプリング25がステアリングコラムSCの下方への移動を弾撥的に規制する。
ソレノイド50は、図3に示したように、アッパーチューブ21の下端側上面部に組付けられているソレノイド本体51と、このソレノイド本体51内に進退可能に組付けられているソレノイドピン52を備えている。ソレノイド本体51は、ソレノイドピン52を規定溝22aに進入させる方向(図3の下方側)に付勢するスプリング(図示省略)と、通電によってスプリングの付勢力に抗してソレノイドピン52を退避させる方向(図3の上方側)に吸引するコイル(図示省略)を備えている。
ソレノイドピン52は、図3に示した状態にあるとき、ソレノイド本体51のスプリングによる付勢力によって一部(下端部)がロアーチューブ22に形成されている規定溝22a内に進入してテレスコピック調整ストロークL内での移動を許容しテレスコピック調整ストロークL外への移動を規制している。また、ソレノイドピン52は、ソレノイド本体51のコイルが通電されることによって、一部がロアーチューブ22の規定溝22a内から退避して、テレスコピック調整ストロークL外への移動を許容する。
EPSユニット60は、運転者が操舵ハンドルSHを回動操作するときに入力する操舵トルクtを低減するために、アシストトルクTa(補助力)をステアリングメインシャフト10に付与するためのものであり、図2に示したように、ロアーチューブ22の下端にボルトなどの締結手段によって連結されているハウジング61と、このハウジング61に組み付けられている電動モータ62と、この電動モータ62に組付けられている減速機(図示省略)を備えている。電動モータ62は、減速機を介してステアリングメインシャフト10のアウトプットシャフト13に連結されていて、通電によって回転駆動してステアリングメインシャフト10のアウトプットシャフト13にアシストトルクTaを付与可能である。
次に、ソレノイド50の作動およびEPSユニット60(電動モータ62)の作動を制御する電気制御装置70およびこの電気制御装置70に接続されている警報装置80について説明する。電子制御装置70は、図1に示したように、車速センサ71、操舵トルクセンサ72、操舵角センサ73、転舵角センサ74、加速度センサ75、モータ回転角センサ76を備えていると共に、これら各センサに接続されている電子制御ユニット77と、ソレノイド50を作動させるための駆動回路78と、電動モータ62を作動させるための駆動回路79を備えている。
車速センサ71は、車両の車速Vを検出して出力する。操舵トルクセンサ72は、EPSユニット60のハウジング61内に組付けられていて、操舵ハンドルSHからステアリングメインシャフト10のアッパーシャフト11とロアーシャフト12を介してEPSユニット60の入力部に入力される操舵トルクtを検出して出力する。操舵角センサ73は、アッパーシャフト11に対応してアッパーチューブ21に組付けられていて、操舵ハンドルSHの回転角を検出して操舵角θとして出力する。転舵角センサ74は、ラックバー37に対応してラックハウジング39内に組み付けられていて、ラックバー37の軸方向への変位量を検出し、同検出した変位量に対応する左右前輪FW1,FW2の転舵角δを出力する。加速度センサ75は、例えば、車両の重心位置に組み付けられていて、車両に発生した左右方向の加速度Gを検出して出力する。モータ回転角センサ76は、例えば、電動モータ62のモータハウジング内に組み付けられていて、モータ回転軸の回転角を検出してモータ回転角θmとして出力する。
電子制御ユニット77は、CPU、ROM、RAM、タイマなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、入力される各センサ71〜76の各検出値間の相関性に基づき各センサ71〜76の作動状態が正常または異常であるかを判定して、各センサ71〜76の作動状態が正常であると判定した場合には正常プログラムPr1を実行し、各センサ71〜76の作動状態が異常であると判定した場合には異常プログラムPr2を実行するように構成されている。
電子制御ユニット77は、正常プログラムPr1を実行する場合、車速センサ71によって検出されたVと操舵トルクセンサ72によって検出された操舵トルクtに基づいてアシストトルクTaを決定し、この決定したアシストトルクTaに対応して電動モータ62を駆動させるための駆動電流を駆動回路79に供給する。これにより、電動モータ62が駆動回路79から駆動電流を供給され回転駆動することによって、ステアリングメインシャフト10のアウトプットシャフト13に適切なアシストトルクTaを付与する状態(以下、アシスト通常状態という)となる。
また、電子制御ユニット77は、正常プログラムPr1を実行する場合、ソレノイド50を駆動させるための駆動電流を駆動回路78に供給しない。これにより、ソレノイド50は、図3および図4に示したように、ソレノイドピン52の一部をロアーチューブ22に形成されている規定溝22a内に進入させて、テレスコピック調整ストロークLを規定している。したがって、アシスト通常状態では、運転者は、テレスコピック調整ストロークLの範囲内で操舵ハンドルSHのコラム軸方向位置を調整することが可能である。また、電子制御ユニット77は、正常プログラムPr1を実行する場合、警報装置80に正常信号を出力する。
一方、電子制御ユニット77は、異常プログラムPr2を実行する場合、電動モータ62の駆動を停止させるため、駆動電流を駆動回路79に供給しない。これにより、電動モータ62が駆動回路79から駆動電流を供給されなくてステアリングメインシャフト10のアウトプットシャフト13にアシストトルクTaを付与しない状態(以下、アシスト停止状態という)となる。
また、電子制御ユニット77は、異常プログラムPr2を実行する場合、ソレノイド50のソレノイドピン52の一部(下端部)をロアーチューブ22の規定溝22aから退避させるための駆動電流を駆動回路78に供給する。これにより、ソレノイド50は、駆動回路78から駆動電流を供給されて、図5に示したように、ソレノイドピン52の一部をソレノイド本体51内に退避させる。したがって、アシスト停止状態では、ソレノイドピン52の当接によるテレスコピック調整ストロークLの規定が解除されるため、運転者は、アッパーチューブ21をロック機構40の偏芯カム43と当接する位置まで所定量(挿通長孔21aと24aのコラム軸方向長さ相当量)コラム軸方向に移動させることが可能である。また、電子制御ユニット77は、異常プログラムPr2を実行する場合、警報装置80に異常信号を出力する。
警報装置80は、アシスト通常状態またはアシスト停止状態であることを運転者に報知するためのものであり、電子制御ユニット77に接続されており、運転者によって視認可能な位置(例えば、メータクラスタ内など)に組み付けられている表示部81と、音声を出力する音声出力部82を備えている。表示部81は、例えば、ランプや表示パネルなどから構成されるものであり、ランプの点灯や表示パネルの表示切替により、運転者に対してアシスト通常状態またはアシスト停止状態を報知する。音声出力部82は、例えば、スピーカなどから構成されるものであり、音声の出力により、運転者に対してアシスト停止状態を報知する。この警報装置80では、電子制御ユニット77からの正常信号を入力すると、表示部81が運転者に対してアシスト通常状態を報知する。また、電子制御ユニット77からの異常信号を入力すると、表示部81が運転者に対してアシスト停止状態を報知するとともに、音声出力部82が運転者に対してアシスト停止状態を報知する。
ところで、この実施形態においては、図3および図4に示したように、アッパーシャフト11の回転を同速にてまたは減速してロアーシャフト12に伝達可能な変速機構CMがステアリングコラムSCに設けられている。この変速機構CMは、アッパーシャフト11に設けたサンギア91を入力要素とし、ロアーシャフト12に設けたキャリア92を出力要素とし、ロアーチューブ22に設けたリングギア93を反力要素とする遊星歯車機構90と、ロアーシャフト12に設けられているアウトプットギア12aを備えている。
遊星歯車機構90は、上記したサンギア91、キャリア92およびリングギア93を備えるとともに、キャリア92に組付けた第1プラネタリギア94および第2プラネタリギア95と、第1プラネタリギア94と第2プラネタリギア95を一体的に回転可能に(トルク伝達可能に)連結しているトルク伝達部材としてのトルクケーブル96と、第1プラネタリギア94をサンギア92に向けて付勢する第1付勢手段としての第1圧縮ばね97と、第2プラネタリギア95をリングギア93に向けて付勢する第2付勢手段としての第2圧縮ばね98を備えている。この遊星歯車機構90において、第1プラネタリギア94および第2プラネタリギア95と、これらに関連する部材(トルクケーブル96、圧縮ばね97,98等)は複数個(例えば、三個)であり、周方向において等間隔に配置されている。
サンギア91は、アッパーシャフト11の前端部(図示左端部)外周に同軸的かつ一体的に形成されていて、アッパーシャフト11のコラム軸方向移動に伴ってコラム軸方向に移動可能である。キャリア92は、ロアーシャフト12の後端部に同軸的かつ一体的に設けられている。リングギア93は、ロアーチューブ22の後端部内周に同軸的かつ一体的に形成されていて、車体側に回転不能に固定されている。
第1プラネタリギア94は、その軸心に設けた支持軸94aと一体回転可能であり、支持軸94aの前端にてフランジ付滑り軸受94bを介してキャリア92に回転可能(キャリア92に対して自転可能)かつ支持軸94aの後端が径内方に向けて僅かに傾動可能に組付けられている。また、第1プラネタリギア94は、サンギア91に対して噛合可能かつリングギア93に対して噛合不能である。
第2プラネタリギア95は、その軸心に設けた支持軸95aと一体回転可能であり、支持軸95aの後端にてフランジ付滑り軸受95bを介してキャリア92に回転可能(キャリア92に対して自転可能)かつ支持軸95aの前端が径外方に向けて僅かに傾動可能に組付けられている。また、第2プラネタリギア95は、リングギア93に対して噛合可能かつサンギア91に対して噛合不能であり、第1プラネタリアギア94から第1プラネタリアギア94のコラム軸方向に所定量離間して第1プラネタリアギア94と略同軸的に配置されている。
トルクケーブル96は、第1プラネタリギア94の回転トルクを同一回転方向にて第2プラネタリギア95に伝達すると共に、第1プラネタリギア94と第2プラネタリギア95の軸抜けを防止するためのものであり、コラム軸方向にて湾曲し圧縮された状態で第1プラネタリギア94の支持軸94aと第2プラネタリギア95の支持軸95a間に設けられている。これにより、第1プラネタリギア94と第2プラネタリギア95は、トルクケーブル96が圧縮されている反力によって、弾撥的に位置決めされていて、軸抜けが防止されている。
第1圧縮ばね97は、第1プラネタリギア94の支持軸94aを回転可能に支持するサポート97aとキャリア92間に介装されていて、第1プラネタリギア94を径内方に向けて(サンギア91に向けて)付勢している。第2圧縮ばね98は、第2プラネタリギア95の支持軸95aを回転可能に支持するサポート98aとキャリア92間に介装されていて、第2プラネタリギア95を径外方向けて(リングギア93に向けて)付勢している。なお、第1プラネタリギア94は、図3に示した状態において、第1圧縮ばね97によってアッパーシャフト11の外周面に接する程度に付勢されていて、アッパーシャフト11の回転に伴って回転(自転)しない。
アウトプットギア12aは、ロアーシャフト12の後部(図示左方部)内周に同軸的かつ一体的に形成されていて、サンギア91のコラム軸方向への移動によってサンギア91と噛合・非噛合可能である。このため、この変速機構CMでは、テレスコピック調整ストロークLの範囲でテレスコピック作動するとき(例えば、図3および図4に示した位置にあるとき)には、サンギア91がアウトプットギア12aと噛合し第1プラネタリギア94と噛合していない状態が維持されて、アッパーシャフト11(第1軸)の回転が同速にてロアーシャフト12(第2軸)に伝達される。また、サンギア91が、テレスコピック調整ストロークLの範囲外にテレスコピック作動されたとき(例えば、図5および図6に示した位置まで移動したとき)には、サンギア91が第1プラネタリギア94と噛合しアウトプットギア12aと噛合していない状態とされて、アッパーシャフト11(第1軸)の回転が遊星歯車機構90にて減速されてロアーシャフト12(第2軸)に伝達される。
上記のように構成したこの実施形態においては、アシスト通常状態にあるとき、図3および図4に示したように、ソレノイドピン52の一部がロアーチューブ22の規定溝部22a内に進入している。このため、運転者は、ロック機構40をアンロック状態とすることによってテレスコピック調整ストロークLの範囲でテレスコピック動作をすることが可能である。
このアシスト通常状態におけるテレスコピック動作では、図3および図4に示したように、サンギア91がアウトプットギア12aと噛合し第1プラネタリギア94と噛合していない状態が維持されて、アッパーシャフト11の回転が同速にてロアーシャフト12に伝達される。このため、運転者は、変速機構CMがアッパーシャフト11の回転を同速にてロアーシャフト12に伝達し、EPSユニット60がステアリングメインシャフト10にアシストトルクTaを付与する状態で、左右前輪FW1,FW2(転舵輪)を転舵させることができる。
一方、アシスト停止状態においては、図5および図6に示したように、ソレノイドピン52の一部がロアーチューブ22の規定溝22a内から退避している。このため、運転者は、ロック機構40をアンロック状態とすることによって、テレスコピック調整ストロークL外にテレスコピック動作をすることが可能である。
このアシスト停止状態におけるテレスコピック動作は、運転者が、警報装置90の表示部91および音声出力部92に促されて車両の走行挙動が安定しているとき(例えば、車速がゼロで停車しているとき)に、ロック機構40をアンロック状態として操舵ハンドルSHを運転者側に引き出すことによりなされる。これにより、サンギア91が、アッパーシャフト11の移動に伴って運転者側に移動して、第1プラネタリギア94と噛合しアウトプットギア12aと噛合していない状態となる。
これにより、遊星歯車機構90にてアッパーシャフト11の回転が減速してロアーシャフト12に伝達されて、運転者は、左右前輪(転舵輪)FW1、FW2を転舵させるために必要な操舵力(操舵トルクt)を軽減することができる。したがって、アシスト停止状態であっても、運転者は操舵ハンドルSHを介して入力する操舵力のみで容易に車輪FW1、FW2を転舵させることができて、良好な操舵性を確保することが可能である。
ところで、遊星歯車機構90にてアッパーシャフト11の回転が減速してロアーシャフト12に伝達されている状態では、サンギア91の回転に伴い、第1プラネタリギア94が、サンギア91と噛合しリングギア93と噛合していない状態で、サンギア91の回りを自転及び公転する。そして、第1プラネタリギア94の回転トルクが、トルクケーブル96によって、同一回転方向にて第2プラネタリギア95に伝達され、第2プラネタリギア95が、リングギア93と噛合しサンギア91と噛合しない状態で、サンギア91の回りを第1プラネタリギア94と同一方向にて自転及び公転する。
このとき、第1プラネタリギア94は、第1圧縮ばね97によってサンギア91の径内方向へ付勢され、第2プラネタリギア95は、第2圧縮ばね98によってリングギア93の径外方向へ付勢されている。このため、本実施形態において、第1プラネタリギア94の歯部とサンギア92の歯部との噛み合い量が大きくなると共に、第2プラネタリギア95の歯部とリングギア91の歯部との噛み合い量が大きくなり、第1プラネタリギア94とサンギア91間にて生じるバックラッシ(歯車間の隙間)及び第2プラネタリギア95とリングギア93間にて生じるバックラッシを低減させることが可能である。したがって、アシスト停止状態において、上記したバックラッシに起因して発生する歯打ち音を低減させることが可能である。
また、この実施形態においては、第2プラネタリアギア95は、第1プラネタリアギア94から第1プラネタリアギア94のコラム軸方向に所定量離間して第1プラネタリアギア94と略同軸的に配置されている。このため、遊星歯車機構90の径方向の寸法を通常の遊星歯車機構(例えば、キャリアに組付けられるプラネタリギアがサンギアとリングギアに対して噛合可能であるシングルプラネタリアギア型の遊星歯車機構)の径方向の寸法と同程度に構成することが可能である。したがって、遊星歯車機構90を、通常の遊星歯車機構と同程度にコンパクトに構成しつつ、ステアリングコラムSCに搭載することが可能である。
上記した実施形態においては、第1プラネタリギア94と第2プラネタリギア95とトルクケーブル96と圧縮ばね97と圧縮ばね98をそれぞれ三個ずつ設けて実施したが、第1プラネタリギア94と第2プラネタリギア95とトルクケーブル96と圧縮ばね97と圧縮ばね98の個数を適宜変更して実施することも可能である。
また、上記した実施形態においては、運転者が操舵ハンドルSHを車室側に引き出す(ロアーシャフト12に対してアッパーシャフト11を図示右方向へ移動させる)ことによってサンギア91がアウトプットギア12aと噛合している状態から第1プラネタリギア94と噛合している状態に切り替わるようにして実施したが、運転者が操舵ハンドルを運転者側から押し込む(ロアーシャフト12に対してアッパーシャフト11を図示左方向へ移動させる)ことによってサンギア(91)がアウトプットギア(12a)と噛合している状態から第1プラネタリギア(94)と噛合している状態に切り替わるように構成して実施することも可能である。この場合には、アウトプットギア(12a)、第1プラネタリギア(94)、第2プラネタリギア(95)の順に運転者側となるようにしたレイアウトを第2プラネタリギア95、第1プラネタリギア94、アウトプットギア12aの順に運転者側となるようにレイアウトすることによって、上記した作動が可能である。
また、上記した実施形態においては、第2プラネタリアギア95を第1プラネタリアギア94から第1プラネタリアギア94のコラム軸方向に所定量離間して第1プラネタリアギア94と略同軸的に(直列的に)配置して実施したが、第2プラネタリギア(95)を第1プラネタリギア(94)の径外方向に所定量変位(第1プラネタリギアと噛合しない位置まで変位)させて(並列的に配置して)実施することも可能である。この場合には、トルク伝達部材として第1プラネタリギア(94)と第2プラネタリギア95を同方向に回転させるベルトおよびプーリーを採用することが望ましい。かかる実施形態では、遊星歯車機構(90)の径方向の寸法が、上記した実施形態の遊星歯車機構90の径方向の寸法に比して大きくなるものの、遊星歯車機構(90)のコラム軸方向の寸法を上記した実施形態の遊星歯車機構90のコラム軸方向の寸法より小さく(通常の遊星歯車機構の軸方向の寸法と同程度に)することが可能である。
また、上記した実施形態においては、伝達軸COに接続されて操舵ハンドルSHの操作に対して所定のアシストトルクTa(補助力)を付与するEPSユニット(補助力付与手段)として、ステアリングメインシャフト10のアウトプットシャフト13に対してアシストトルクTaを付与するコラムアシスト方式の電動パワーステアリング装置を用いて実施したが、例えば、ピニオンシャフト34に対してアシストトルクTaを付与するピニオンアシスト方式の電動パワーステアリング装置を用いて実施することや、スラックバー37に対してアシストトルクTaを付与するラックアシスト方式の電動パワーステアリング装置を用いて実施することも可能である。
また、上記した実施形態においては、操舵ハンドルSHの操作に対して所定の補助力を付与する補助力付与手段として、電動式パワーステアリング装置を採用して実施したが、油圧式パワーステアリング装置を採用して実施することも可能である。また、上記した実施形態においては、伝達軸COにおけるステアリングギアとして、ラックアンドピニオン式のステアリングギアを採用して実施したが、例えば、ボール・スクリュー式のステアリングギアを採用して実施することも可能である。
また、上記した実施形態においては、アシスト停止状態において、電子制御ユニット77から駆動回路78を介してソレノイド50(コイル)に駆動電流が供給されることによって、ソレノイドピン52の一部がロアーチューブ22の規定溝22a内から退避されるようにして実施したが、アシスト停止状態において、運転者によるON、OFFスイッチ操作により、ソレノイド50(コイル)に駆動電流が供給されることによって、ソレノイドピン52の一部がロアーチューブ22の規定溝22a内から退避されるようにして実施してもよく、また、アシスト停止状態において、運転者の手動操作によってソレノイドピン52に相当するピンがロアーチューブ(22)の規定溝(22a)内から退避されるようにして実施することも可能である。
また、上記した実施形態においては、運転者が手動で操舵ハンドルSHの位置を上下方向およびコラム軸方向にて調整可能な手動式チルト・テレスコピック機構を備えた車両用操舵装置に本発明を実施したが、本発明はテレスコピック機構部分に実施されるものであるため、テレスコピック機構を備えチルト機構を備えていない車両用操舵装置にも上記実施形態と同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。
また、上記した実施形態においては、手動式チルト・テレスコピック機構を備えた車両用操舵装置に本発明を実施したが、運転者によるスイッチ操作により作動・停止する電動駆動手段(減速機付電動モータと、これにより駆動されるねじ送り機構を備えている)を有して、操舵ハンドル(SH)の位置を上下方向およびコラム軸方向にて調整可能な電動式チルト・テレスコピック機構を備えた車両用操舵装置にも本発明を実施することが可能である。
なお、上記した電動駆動手段は、一般に、その停止時に操舵ハンドル(SH)の位置を固定維持する機能を有している。このため、この場合には、上記実施形態のソレノイド50に相当するものは不要である。また、この場合には、テレスコピック用の電動駆動手段にて、上記した実施形態のアッパーシャフト11とアッパーチューブ22に相当するものをコラム軸方向に移動させることが可能であるため、テレスコピック用の電動駆動手段を電子制御ユニット(77)にて制御可能とし、当該車両用操舵装置にてアシスト停止状態となり当該車両が停止したときに、上記した変速機構CMに相当するものが同速状態から減速状態に自動的に変速されるように構成して実施することも可能である。
また、上記した実施形態においては、サンギア91が第1プラネタリギア94と噛合してアウトプットギア12aと噛合していない状態を検出するセンサを設けないで実施したが、かかるセンサを設けて、このセンサによる検出結果を運転者に報知するように構成して実施することも可能である。この場合には、サンギア91が第1プラネタリギア94およびアウトプットギア12aと噛合(減速比の異なる二つのギアと噛合)することによって、アッパーシャフト11が回転不能なロック状態となる誤操作を防止することが可能である。
本発明による車両の操舵装置の実施形態を概略的に示した全体構成図である。 図1に示したステアリングコラムとアッパーユニバーサルジョイントとインターミディエイトシャフトとロアーユニバーサルジョイントの関係を示した側面図である。 図2に示したステアリングコラムの構成を説明するための部分拡大縦断側面図である。 図3の部分拡大図である。 図3に示した部分の作動説明図である。 図5の部分拡大図である。
符号の説明
SH…操舵ハンドル、FW1,FW2…左右前輪、CO…伝達軸、SC…ステアリングコラム、10…ステアリングメインシャフト、11…アッパーシャフト、12…ロアーシャフト、12a…アウトプットギア、13…アウトプットシャフト、20…コラムチューブ、21…アッパーチューブ、22…ロアーチューブ、23…可動ブラケット、24…テレスコガイド、25…スプリング、Br…ベアリング、SB…固定ブラケット、31…アッパーユニバーサルジョイント、32…インターミディエイトシャフト、33…ロアーユニバーサルジョイント、34…ピニオンシャフト、35…ピニオンギア、36…ラックギア、37…ラックバー、38R、38L…タイロッド、40…ロック機構、41…シャフト、42…操作レバー、43…偏心カム、50…ソレノイド、51…ソレノイド本体、52…ソレノイドピン、60…EPSユニット、61…ハウジング、62…電動モータ、70…電子制御装置、71…車速センサ、72…操舵トルクセンサ、73…操舵角センサ、74…転舵角センサ、75…加速度センサ、76…モータ回転角センサ、77…電子制御ユニット、78、79…駆動回路、80…警報装置、81…表示部、82…音声出力部、CM…変速機構、90…遊星歯車機構、91…サンギア、92…キャリア、93…リングギア、94…第1プラネタリギア、95…第2プラネタリギア、96…トルクケーブル、97…第1圧縮ばね、98…第2圧縮ばね、

Claims (2)

  1. 運転者によって操作される操舵手段と、同操舵手段と転舵輪とを連結して前記操舵手段を介して入力される操舵力を前記転舵輪に伝達する伝達軸と、同伝達軸に接続されて前記操舵手段の操作に対して所定の補助力を付与する補助力付与手段とを備えた車両の操舵装置において、
    前記伝達軸は、前記操舵手段側に配置され前記操舵手段からの操舵力によって回転可能な第1軸と、前記転舵輪側に配置され前記第1軸を軸方向にて移動可能に収容し前記第1軸の回転を同速にてまたは減速して伝達可能な変速機構を介して前記第1軸から伝達される操舵力によって回転可能な第2軸を備えていて、
    前記変速機構が、車体側に回転不能に固定されているリングギアと、前記第1軸に同軸的かつ一体的に設けられ前記第1軸の軸方向移動に伴って軸方向に移動可能なサンギアと、前記第2軸に同軸的かつ一体的に設けられているキャリアと、このキャリアに組付けられ前記サンギアに対して噛合可能かつ前記リングギアに対して噛合不能な第1プラネタリギアと、前記キャリアに組付けられ前記リングギアに対して噛合可能かつ前記サンギアに対して噛合不能でトルク伝達部材を介して前記第1プラネタリギアにトルク伝達可能に連結されている第2プラネタリギアと、前記第1プラネタリギアを前記サンギアに向けて付勢する第1付勢手段と、前記第2プラネタリギアを前記リングギアに向けて付勢する第2付勢手段を備える遊星歯車機構と、前記第2軸に同軸的かつ一体的に設けられ前記サンギアの軸方向移動によって前記サンギアと噛合・非噛合可能なアウトプットギアを備えており、
    前記サンギアが前記アウトプットギアと噛合し前記第1プラネタリギアと噛合していない状態では、前記第1軸の回転が同速にて前記第2軸に伝達され、前記サンギアが前記第1プラネタリギアと噛合し前記アウトプットギアと噛合していない状態では、前記第1軸の回転が減速されて前記第2軸に伝達されることを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載の車両の操舵装置において、前記第2プラネタリアギアは、前記第1プラネタリアギアから前記第1プラネタリアギアの軸方向に所定量離間して前記第1プラネタリアギアと略同軸的に配置されていることを特徴とする車両の操舵装置。
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