JP2009077582A - 回転電機における相間絶縁シート、相間絶縁シートの製造方法及び電動圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブリッジ片によって結合した一対の絶縁部を所定の距離だけ離しておくように容易に製作できる相間絶縁シートを提供する。
【解決手段】第1絶縁部32の対向端321には複数の第1結合用補助片40が一体形成されている。第2絶縁部34の対向端341には複数の第2結合用補助片41が一体形成されている。ブリッジ片36の一端部361は、第1結合用補助片40に接合されて熱溶着されており、ブリッジ片36の他端部362は、第2結合用補助片41に接合されて熱溶着されている。第1結合用補助片40に貫設された第1位置決め孔401は、ブリッジ片36の一端部361に貫設された第3位置決め孔363に重ね合わせられている。第2結合用補助片41に貫設された第2位置決め孔411は、ブリッジ片36の他端部362に貫設された第4位置決め孔364に重ね合わせられている。
【選択図】図1
【解決手段】第1絶縁部32の対向端321には複数の第1結合用補助片40が一体形成されている。第2絶縁部34の対向端341には複数の第2結合用補助片41が一体形成されている。ブリッジ片36の一端部361は、第1結合用補助片40に接合されて熱溶着されており、ブリッジ片36の他端部362は、第2結合用補助片41に接合されて熱溶着されている。第1結合用補助片40に貫設された第1位置決め孔401は、ブリッジ片36の一端部361に貫設された第3位置決め孔363に重ね合わせられている。第2結合用補助片41に貫設された第2位置決め孔411は、ブリッジ片36の他端部362に貫設された第4位置決め孔364に重ね合わせられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機における相間絶縁シート、相間絶縁シートの製造方法及び電動圧縮機に関する。
巻き線のコイルエンドの相間に介在される相間絶縁シート(相間絶縁紙)としては、例えば特許文献1に開示のものがある。特許文献1に開示される相間絶縁シートは、コイルエンド部分の相間絶縁を行なう一対のコイルエンド絶縁部分(絶縁シート)と、固定子のスロットに挿入されるスロット絶縁部分(ブリッジ片)とから構成されている。一対のコイルエンド絶縁部分とスロット絶縁部分とは、別体に形成されており、スロット絶縁部分の端部がコイルエンド絶縁部分に熱溶着されている。スロット絶縁部分の端部とコイルエンド絶縁部分とには同径の小穴が設けられ、これらの小穴には熱硬化性樹脂のリベットが入れられて熱溶着されている。
一対のコイルエンド絶縁部分は、固定子の長さ(ロータ軸の方向の長さ)に応じた所定の距離だけ離しておく必要がある。スロット絶縁部分の端部とコイルエンド絶縁部分とに設けられた小穴にリベットを入れた構成では、熱溶着時にスロット絶縁部分の端部とコイルエンド絶縁部分との間で位置ずれが生じないため、熱溶着後の一対のコイルエンド絶縁部分を所定の距離だけ離しておくことができる。
実開昭59−37851号公報
しかし、小穴にリベットを入れて熱溶着した構成では、リベットを別に製作する工程、小穴にリベットを入れる工程等の余分な工程が必要であり、一対のコイルエンド絶縁部分とスロット絶縁部分との結合にリベットを用いた相間絶縁シートの製作は容易でない。
本発明は、ブリッジ片によって結合した一対の絶縁部を所定の距離だけ離しておくように容易に製作できる相間絶縁シートを提供することを目的とする。
請求項1及び請求項2の発明は、回転電機における環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに施された巻き線の巻き方は、波巻きであり、前記巻き線の第1コイルエンドの相間に第1絶縁部が介在されており、前記巻き線の第2コイルエンドの相間に第2絶縁部が介在されており、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とは、前記スロットに挿入されるブリッジ片によって結合されている回転電機における相間絶縁シートを対象とし、請求項1の発明は、前記第1絶縁部は、前記第2絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第1結合用補助片を有し、前記第2絶縁部は、前記第1絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第2結合用補助片を有し、前記ブリッジ片の一端部は、前記第1結合用補助片に熱溶着されており、前記ブリッジ片の他端部は、前記第2結合用補助片に熱溶着されており、第1結合用補助片は、第1位置決め孔を有し、第2結合用補助片は、第2位置決め孔を有し、前記ブリッジ片の前記一端部は、前記第1位置決め孔に重なる第3位置決め孔を有し、前記ブリッジ片の前記他端部は、前記第2位置決め孔に重なる第4位置決め孔を有することを特徴とする。
第1位置決め孔と第3位置決め孔とに位置決めピンを通すと共に、第2位置決め孔と第4位置決め孔とに別の位置決めピンを通した状態で熱溶着すれば、熱溶着時に、第1絶縁部とブリッジ片との間、及び第2絶縁部とブリッジ片との間で位置ずれが生じることを抑制できる。そのため、一対の絶縁部を所定の距離だけ離した状態に相間絶縁シートを容易に製作することができる。
好適な例では、前記熱溶着は、超音波溶着である。
超音波溶着では、ブリッジ片が超音波の振動によって滑り動き易いが、第1位置決め孔と第3位置決め孔とに位置決めピンを通すと共に、第2位置決め孔と第4位置決め孔とに別の位置決めピンを通しておけば、ブリッジ片が超音波の振動によって滑り動くことを抑制できる。
超音波溶着では、ブリッジ片が超音波の振動によって滑り動き易いが、第1位置決め孔と第3位置決め孔とに位置決めピンを通すと共に、第2位置決め孔と第4位置決め孔とに別の位置決めピンを通しておけば、ブリッジ片が超音波の振動によって滑り動くことを抑制できる。
請求項3乃至請求項5の発明は、環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに波巻きに施された巻き線の第1コイルエンドの相間に介在される第1絶縁部と、前記巻き線の第2コイルエンドの相間に介在される第2絶縁部と、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とを結合し、且つ前記スロットに挿入されるブリッジ片とを備え、前記第1絶縁部は、前記第2絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第1結合用補助片を有し、前記第2絶縁部は、前記第1絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第2結合用補助片を有する相間絶縁シートの製造方法を対象とし、請求項3の発明は、前記第1結合用補助片に第1位置決め孔を形成しておき、前記第2結合用補助片に第2位置決め孔を形成しておき、前記ブリッジ片の前記一端部に第3位置決め孔を形成しておき、前記ブリッジ片の前記他端部に第4位置決め孔を形成しておき、前記第1位置決め孔と前記第3位置決め孔とに第1位置決めピンを挿通すると共に、前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とを接合させ、この接合状態で前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とを熱溶着し、前記第2位置決め孔と前記第4位置決め孔とに第2位置決めピンを挿通すると共に、前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とを接合させ、この接合状態で前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とを熱溶着することを特徴とする。
第1位置決め孔と第3位置決め孔とに第1位置決めピンを通した状態、及び第2位置決め孔と第4位置決め孔とに第2位置決めピンを通した状態で熱溶着されるため、熱溶着時に、第1絶縁部とブリッジ片との間、及び第2絶縁部とブリッジ片との間で位置ずれが生じることはない。そのため、一対の絶縁部を所定の距離だけ離した状態に相間絶縁シートを容易に製作することができる。
好適な例では、前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とは、超音波溶着ベースと第1超音波ホーンとに挟まれて接合され、前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とは、前記超音波溶着ベースと第2超音波ホーンとに挟まれて接合され、前記第1位置決めピンと前記第2位置決めピンとは、前記超音波溶着ベースに設けられている。
超音波溶着ベースに設けられた第1位置決めピンは、第1位置決め孔と第3位置決め孔とに通され、超音波溶着ベースに設けられた第2位置決めピンは、第2位置決め孔と第4位置決め孔とに通される。超音波溶着ベースは、第1位置決めピンと第2位置決めピンとの配設場所として好適である。
好適な例では、前記第1超音波ホーンは、前記第1位置決めピンを導入する第1導入孔を有し、前記第2超音波ホーンは、前記第1位置決めピンを導入する第2導入孔を有し、前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とが前記超音波溶着ベースと第1超音波ホーンとに挟まれて接合されるときには、前記第1位置決めピンが前記第1導入孔に導入され、前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とが前記超音波溶着ベースと第2超音波ホーンとに挟まれて接合されるときには、前記第2位置決めピンが前記第2導入孔に導入される。
第1位置決めピンが第1導入孔に導入され、第2位置決めピンが第2導入孔に導入されるため、第1結合用補助片とブリッジ片の一端部とが超音波溶着ベースと第1超音波ホーンとに確実に挟まれて熱溶着され、第2結合用補助片とブリッジ片の他端部とが超音波溶着ベースと第2超音波ホーンとに確実に挟まれて熱溶着される。
請求項6の発明は、回転電機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によって圧縮室内のガスを圧縮して吐出する電動圧縮機を対象とし、請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の回転電機を前記回転軸を回転させる回転電機として用いたことを特徴とする。
電動圧縮機では、騒音及び振動を低減したい上に、体格を小さくしたいという要求が厳しい。巻き線が波巻きである本発明の回転電機は、これらの要求に好適である。
本発明は、ブリッジ片によって結合した一対の絶縁部を所定の距離だけ離しておくように相間絶縁シートを容易に製作できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を電動圧縮機に具体化した第1の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1(a)に示す電動圧縮機10は、スクロール型電動圧縮機である。回転電機Mを構成する回転子11は、回転軸12に止着されており、回転電機Mを構成する固定子13は、モータハウジング14の内周面に嵌合して固定されている。電動圧縮機10を構成する圧縮動作体としての可動スクロール15は、回転電機Mを構成する回転軸12の回転によって旋回し、可動スクロール15と固定スクロール16との間の圧縮室17が容積減少する。
図1(a)に示す電動圧縮機10は、スクロール型電動圧縮機である。回転電機Mを構成する回転子11は、回転軸12に止着されており、回転電機Mを構成する固定子13は、モータハウジング14の内周面に嵌合して固定されている。電動圧縮機10を構成する圧縮動作体としての可動スクロール15は、回転電機Mを構成する回転軸12の回転によって旋回し、可動スクロール15と固定スクロール16との間の圧縮室17が容積減少する。
モータハウジング14の周壁30には導入ポート31が設けられている。導入ポート31は、図示しない外部冷媒回路に接続されており、外部冷媒回路から冷媒(ガス)が導入ポート31を介してモータハウジング14内へ導入される。モータハウジング14内へ導入された冷媒は、可動スクロール15の旋回(吸入動作)によって、モータハウジング14の内周面と固定子13の外周面との間の通路141〔図4,5に図示〕及び吸入ポート18を経由して圧縮室17へ吸入される。圧縮室17内の冷媒は、可動スクロール15の旋回(吐出動作)によって、圧縮され、吐出ポート19から吐出弁20を押し退けて吐出室21へ吐出される。吐出室21内の冷媒は、外部冷媒回路へ流出してモータハウジング14内へ還流する。
図4,5に示すように、回転電機Mを構成する固定子13は、環状のステータコア22と、ステータコア22の内周に複数配列されたティース23間のスロット24U,24V,24Wに施された巻き線25とからなる。本実施形態では、ティース23及びスロット24U,24V,24Wの個数は、18個である。スロット24U,24V,24Wは、環状の固定子13の周方向に等ピッチで配列されている。
図1(a)に示すように、ステータコア22は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板26を積層して構成されている。回転電機Mを構成する回転子11は、ロータコア27と、ロータコア27内に埋設された複数の永久磁石28とからなる。ロータコア27は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板29を積層して構成されている。ロータコア27の中心部には軸孔271が貫設されており、軸孔271には回転軸12が通されて固定されている。
図7は、固定子13のフロント側〔図1(a)において左側をフロント側、右側をリヤ側としている〕を見た模式図である。スロット24U,24V,24Wに施された巻き線25は、波巻きで巻かれている。スロット24U,24V,24W内の巻き線25は、図示しない絶縁シートによってスロット24U,24V,24Wの内壁面から隔てられている。
U相巻き線(符合25Uで示す)は、第1のスロット(符合24Uで示す)の群に通されている。V相巻き線(符合25Vで示す)は、第2のスロット(符合24Vで示す)の群に通されており、W相巻き線(符合25Wで示す)は、第3のスロット(符合24Wで示す)の群に通されている。各相巻き線25U,25V,25Wの実線部分は、固定子13の手前(フロント側)のステータコア22の端面に配線された部分であり、各相巻き線25U,25V,25Wの破線部分は、固定子13の向こう側(リヤ側)のステータコア22の端面に配線された部分である。各相巻き線25U,25V,25Wの実線部分と破線部分との繋ぎ部分は、スロット24U,24V,24W内を通っている部分である。
固定子13のフロント側においてスロット24Uからはみ出すU相巻き線25Uの第2コイルエンド252Uと、固定子13のフロント側においてスロット24Vからはみ出すV相巻き線25Vの第2コイルエンド252Vとの間には、第1絶縁部32が回転子11の周りを一周するように介在されている。固定子13のフロント側においてスロット24Vからはみ出すV相巻き線25Vの第2コイルエンド252Vと、固定子13のフロント側においてスロット24Wからはみ出すW相巻き線25Wの第2コイルエンド252Wとの間には、第1絶縁部33が回転子11の周りを一周するように介在されている。第1絶縁部32及び第1絶縁部33は、いずれも合成樹脂製であって、帯形状に形成されている。帯形状の第1絶縁部32及び第1絶縁部33の両端部は、接合されて熱溶着されている。
図6は、固定子13のリヤ側を見た模式図である。各相巻き線25U,25V,25Wの実線部分は、固定子13のリヤ側のステータコア22の端面に配線された部分であり、各相巻き線25U,25V,25Wの破線部分は、固定子13のフロント側のステータコア22の端面に配線された部分である。
固定子13のリヤ側においてスロット24Uからはみ出すU相巻き線25Uの第1コイルエンド251Uと、固定子13のリヤ側においてスロット24Vからはみ出すV相巻き線25Vの第1コイルエンド251Vとの間には、第2絶縁部34が回転子11の周りを一周するように介在されている。固定子13のリヤ側においてスロット24Vからはみ出すV相巻き線25Vの第1コイルエンド251Vと、固定子13のリヤ側においてスロット24Wからはみ出すW相巻き線25Wの第1コイルエンド251Wとの間には、第2絶縁部35が回転子11の周りを一周するように介在されている。第2絶縁部34は、第2絶縁部35よりも外周側にあり、内周側の第2絶縁部35は、外周側の第2絶縁部34によって包囲されている。第2絶縁部34及び第2絶縁部35は、いずれも合成樹脂製であって、帯形状に形成されている。帯形状の第2絶縁部34及び第2絶縁部35の両端部は、接合されて熱溶着されている。
図1(b)に示すように、第1絶縁部32と第2絶縁部34とは、複数のブリッジ片36〔本実施形態では6つ〕によって接続されている。図4,5に示すように、ブリッジ片36は、V相巻き線25Vを挿入するスロット24Vに挿入されている。第1絶縁部32、第2絶縁部34及びブリッジ片36は、巻き線25のコイルエンドの相間を絶縁する相間絶縁シート37を構成する。本実施形態では、ブリッジ片36は、環状の第1絶縁部32の内面320側及び第2絶縁部34の内面340側に配置されている。
第1絶縁部33と第2絶縁部35とは、複数のブリッジ片38〔図4,5に示すように本実施形態では6つ〕によって結合されている。図4,5に示すように、ブリッジ片38は、W相巻き線25Wを挿入するスロット24Wに挿入されている。第1絶縁部33、第2絶縁部35及びブリッジ片38は、巻き線25のコイルエンドの相間を絶縁する相間絶縁シート39を構成する。
相間絶縁シート39の構成と相間絶縁シート37の構成とは、同じであるので、以下においては相間絶縁シート37についてのみ説明する。
図2(a)は、相間絶縁シート37を平面展開した状態を示す。図2(b)は、図2(a)におけるC−C線断面図を示す。図2(c)は、図2(a)におけるD−D線断面図を示す。第2絶縁部34に対向する第1絶縁部32の対向端321には複数の第1結合用補助片40(本実施形態では6つ)が第2絶縁部34に向けて延出するように一体形成されている。第1絶縁部32に対向する第2絶縁部34の対向端341には複数の第2結合用補助片41(本実施形態では6つ)が第1絶縁部32に向けて延出するように一体形成されている。図2(b)に示すように、ブリッジ片36の一端部361は、第1絶縁部32の一部である第1結合用補助片40の内面402(つまり、第1絶縁部32の内面320の一部)に接合されて熱溶着されている。図2(c)に示すように、ブリッジ片36の他端部362は、第2絶縁部34の一部である第2結合用補助片41の内面412(つまり、第2絶縁部34の内面340の一部)に接合されて熱溶着されている。
図2(a)は、相間絶縁シート37を平面展開した状態を示す。図2(b)は、図2(a)におけるC−C線断面図を示す。図2(c)は、図2(a)におけるD−D線断面図を示す。第2絶縁部34に対向する第1絶縁部32の対向端321には複数の第1結合用補助片40(本実施形態では6つ)が第2絶縁部34に向けて延出するように一体形成されている。第1絶縁部32に対向する第2絶縁部34の対向端341には複数の第2結合用補助片41(本実施形態では6つ)が第1絶縁部32に向けて延出するように一体形成されている。図2(b)に示すように、ブリッジ片36の一端部361は、第1絶縁部32の一部である第1結合用補助片40の内面402(つまり、第1絶縁部32の内面320の一部)に接合されて熱溶着されている。図2(c)に示すように、ブリッジ片36の他端部362は、第2絶縁部34の一部である第2結合用補助片41の内面412(つまり、第2絶縁部34の内面340の一部)に接合されて熱溶着されている。
相間絶縁シート37の第1結合用補助片40の大部分及び第2結合用補助片41の大部分は、V相スロット24V内にある。相間絶縁シート39の第1結合用補助片40の大部分及び第2結合用補助片41の大部分は、W相スロット24W内にある。
図2(b)に示すように、第1結合用補助片40には円形の第1位置決め孔401が貫設されており、ブリッジ片36の一端部361には円形の第3位置決め孔363が貫設されている。第1位置決め孔401と第3位置決め孔363とは、同径であって重ね合わせられている。
図2(c)に示すように、第2結合用補助片41には円形の第2位置決め孔411が貫設されており、ブリッジ片36の他端部362には円形の第4位置決め孔364が貫設されている。第2位置決め孔411と第4位置決め孔364とは、同径であって重ね合わせられている。
図2(a)に示すように、第1位置決め孔401及び第3位置決め孔363は、ブリッジ片36の一端部361と第1結合用補助片40との接合部における熱溶着領域S1の範囲内にある。第2位置決め孔411及び第4位置決め孔364は、ブリッジ片36の他端部362と第2結合用補助片41との接合部における熱溶着領域S2の範囲内にある。
図3(a)は、第1絶縁部32の第1結合用補助片40と第2絶縁部34の第2結合用補助片41とにブリッジ片36を熱溶着する装置を示す。42は、鉄系の超音波溶着ベースを示し、超音波溶着ベース42の上面は、平面である。超音波溶着ベース42の上面には第1位置決めピン43及び第2位置決めピン44が立設されている。第1位置決めピン43は、第1位置決め孔401及び第3位置決め孔363の径よりも僅かに小さい径の円形ピンである。第2位置決めピン44は、第2位置決め孔411及び第4位置決め孔364の径よりも僅かに小さい径の円形ピンである。
45は、超音波装置を構成する第1超音波ホーンであり、46は、超音波装置を構成する第2超音波ホーンである。第1超音波ホーン45と第2超音波ホーン46とは、一体的に上下動される。第1超音波ホーン45及び第2超音波ホーン46の下面は、超音波溶着ベース42の上面に平行な平面である。第1超音波ホーン45の下面には第1導入孔451が凹設されており、第2超音波ホーン46の下面には第2導入孔461が凹設されている。第1導入孔451は、第1位置決め孔401及び第3位置決め孔363と同径であり、第1位置決めピン43は、第1導入孔451内へ入り込み可能である。第2導入孔461は、第2位置決め孔411及び第4位置決め孔364と同径であり、第2位置決めピン44は、第2導入孔461内へ入り込み可能である。
図3(b),(c)は、第1絶縁部32の第1結合用補助片40と第2絶縁部34の第2結合用補助片41とにブリッジ片36を結合する方法を示す。図3(b)に示すように、第1位置決め孔401に第1位置決めピン43が挿通されるように超音波溶着ベース42上に第1絶縁部32が載せられ、第2位置決め孔411に第2位置決めピン44が挿通されるように超音波溶着ベース42上に第2絶縁部34が載せられる。次に、第3位置決め孔363に第1位置決めピン43が挿通され、且つ第4位置決め孔364に第2位置決めピン44が挿通されるように、第1結合用補助片40上にブリッジ片36の一端部361が載せられると共に、第2結合用補助片41上にブリッジ片36の他端部362が載せられる。
次に、第1超音波ホーン45及び第2超音波ホーン46が下動され、図3(c)に示すように、第1位置決めピン43が第1導入孔451内に導入されるように、且つ第2位置決めピン44が第2導入孔461に導入されるように、ブリッジ片36上に第1超音波ホーン45と第2超音波ホーン46とが押接される。ブリッジ片36の一端部361と第1結合用補助片40とは、超音波溶着ベース42の上面と第1超音波ホーン45の下面との間に挟まれて接合され、ブリッジ片36の他端部362と第2結合用補助片41とは、超音波溶着ベース42の上面と第2超音波ホーン46の下面との間に挟まれて接合される。
次に、超音波装置が作動され、一端部361と第1結合用補助片40との接合領域のうち、第1超音波ホーン45の下面に対応する領域S1が超音波溶着(熱溶着)されると共に、他端部362と第2結合用補助片41との接合領域のうち、第2超音波ホーン46の下面に対応する領域S2が超音波溶着(熱溶着)される。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)第1位置決め孔401と第3位置決め孔363とに第1位置決めピン43が通されると共に、第2位置決め孔411と第4位置決め孔364とに第2位置決めピン44が通された状態で超音波溶着が行われる。そのため、超音波溶着時に、第1結合用補助片40とブリッジ片36との間、及び第2結合用補助片41とブリッジ片36との間で位置ずれが生じることを抑制できる。その結果、第1絶縁部32と第2絶縁部34とを所定の距離だけ離した状態に相間絶縁シート37を容易に製作することができる。
(1)第1位置決め孔401と第3位置決め孔363とに第1位置決めピン43が通されると共に、第2位置決め孔411と第4位置決め孔364とに第2位置決めピン44が通された状態で超音波溶着が行われる。そのため、超音波溶着時に、第1結合用補助片40とブリッジ片36との間、及び第2結合用補助片41とブリッジ片36との間で位置ずれが生じることを抑制できる。その結果、第1絶縁部32と第2絶縁部34とを所定の距離だけ離した状態に相間絶縁シート37を容易に製作することができる。
(2)超音波溶着では、ブリッジ片36が超音波の振動によって滑り動き易い。しかし、第1位置決め孔401と第3位置決め孔363とに第1位置決めピン43が通されると共に、第2位置決め孔411と第4位置決め孔364とに第2位置決めピン44が通されるため、ブリッジ片36が超音波の振動によって滑り動くことを抑制できる。
(3)第1位置決めピン43及び第2位置決めピン44は、超音波溶着ベース42の上面に立設されている。そのため、第1位置決め孔401と第3位置決め孔363とに第1位置決めピン43を通すと共に、第2位置決め孔411と第4位置決め孔364とに第2位置決めピン44を通せば、第1絶縁部32、第2絶縁部34及びブリッジ片36が超音波溶着ベース42上で位置ずれすることを抑制できる。第1絶縁部32、第2絶縁部34及びブリッジ片36を載置する超音波溶着ベース42の上面は、第1位置決めピン43と第2位置決めピン44との配設場所として好適である。
(4)第1位置決めピン43は、第1導入孔451に導入され、第2位置決めピン44は、第2導入孔461に導入される。そのため、第1結合用補助片40とブリッジ片36の一端部361とが超音波溶着ベース42の上面と第1超音波ホーン45の下面とに確実に挟まれて接合され、且つ第2結合用補助片41とブリッジ片36の他端部362とが超音波溶着ベース42の上面と第2超音波ホーン46の下面とに確実に挟まれて接合される。その結果、第1結合用補助片40とブリッジ片36の一端部361とが良好に超音波溶着され、第2結合用補助片41とブリッジ片36の他端部362とが良好に超音波溶着される。
(5)第1位置決め孔401が第1結合用補助片40以外の第1絶縁部32にあるとすると、第1コイルエンド251U,251Vの間に第1位置決め孔401が来てしまい、相間絶縁の機能が低下する。同様に、第2位置決め孔411が第2結合用補助片41以外の第2絶縁部34にあるとすると、第2コイルエンド252U,252Vの間に第2位置決め孔411が来てしまい、相間絶縁の機能が低下する。
スロット24V内に挿入される第1結合用補助片40に第1位置決め孔401を設けると共に、スロット24V内に挿入される第2結合用補助片41に第2位置決め孔411を設けた構成は、相間絶縁の機能低下をもたらさない。
(6)低脈動(低振動)に優れた波巻きの回転電機Mは、電動圧縮機10への適用に好適である。つまり、電動圧縮機10では、騒音及び振動を低減したい上に、体格を小さくしたいという要求が厳しいが、波巻きの回転電機Mは、これらの要求に好適である。波巻きの回転電機Mを用いた電動圧縮機10は、前記の要求が特に厳しい車載用の電動圧縮機として特に好適である。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第1位置決め孔及び第2位置決め孔は、それぞれ複数あってもよい。
○環状の第1絶縁部の外面側及び環状の第2絶縁部の外面側にブリッジ片を接合してもよい。
○第1位置決め孔及び第2位置決め孔は、それぞれ複数あってもよい。
○環状の第1絶縁部の外面側及び環状の第2絶縁部の外面側にブリッジ片を接合してもよい。
○ブリッジ片36の一端部361と第1結合用補助片40との超音波溶着、及びブリッジ片36の他端部362と第2結合用補助片41との超音波溶着を、単一の超音波ホーンによって行うようにしてもよい。
○超音波溶着以外の熱溶着手段によって絶縁部とブリッジ片とを熱溶着してもよい。
○スクロール型圧縮機以外の電動圧縮機(例えばピストン式圧縮機)に本発明を適用してもよい。ピストンは、圧縮動作体である。
○スクロール型圧縮機以外の電動圧縮機(例えばピストン式圧縮機)に本発明を適用してもよい。ピストンは、圧縮動作体である。
10…電動圧縮機。12…回転軸。13…固定子。15…圧縮動作体としての可動スクロール。17…圧縮室。23…ティース。24U,24V,24W…スロット。25…巻き線。25U…U相巻き線。25V…V相巻き線。25W…W相巻き線。251U,251V,251W…第1コイルエンド。252U,252V,252W…第2コイルエンド。32,33…第1絶縁部。321…対向端。34,35…第2絶縁部。341…対向端。36…ブリッジ片。361…一端部。362…他端部。363…第3位置決め孔。364…第4位置決め孔。37,39…相間絶縁シート。40…第1結合用補助片。401…第1位置決め孔。41…第2結合用補助片。411…第2位置決め孔。42…超音波溶着ベース。43…第1位置決めピン。44…第2位置決めピン。45…第1超音波ホーン。451…第1導入孔。46…第2超音波ホーン。461…第2導入孔。M…回転電機。
Claims (6)
- 回転電機における環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに施された巻き線の巻き方は、波巻きであり、前記巻き線の第1コイルエンドの相間に第1絶縁部が介在されており、前記巻き線の第2コイルエンドの相間に第2絶縁部が介在されており、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とは、前記スロットに挿入されるブリッジ片によって結合されている回転電機における相間絶縁シートにおいて、
前記第1絶縁部は、前記第2絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第1結合用補助片を有し、前記第2絶縁部は、前記第1絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第2結合用補助片を有し、前記ブリッジ片の一端部は、前記第1結合用補助片に熱溶着されており、前記ブリッジ片の他端部は、前記第2結合用補助片に熱溶着されており、第1結合用補助片は、第1位置決め孔を有し、第2結合用補助片は、第2位置決め孔を有し、前記ブリッジ片の前記一端部は、前記第1位置決め孔に重なる第3位置決め孔を有し、前記ブリッジ片の前記他端部は、前記第2位置決め孔に重なる第4位置決め孔を有する回転電機における相間絶縁シート。 - 前記熱溶着は、超音波溶着である請求項1に記載の回転電機における相間絶縁シート。
- 環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに波巻きに施された巻き線の第1コイルエンドの相間に介在される第1絶縁部と、前記巻き線の第2コイルエンドの相間に介在される第2絶縁部と、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部とを結合し、且つ前記スロットに挿入されるブリッジ片とを備え、前記第1絶縁部は、前記第2絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第1結合用補助片を有し、前記第2絶縁部は、前記第1絶縁部に対向する対向端から一体に延出する第2結合用補助片を有する相間絶縁シートの製造方法において、
前記第1結合用補助片に第1位置決め孔を形成しておき、前記第2結合用補助片に第2位置決め孔を形成しておき、前記ブリッジ片の前記一端部に第3位置決め孔を形成しておき、前記ブリッジ片の前記他端部に第4位置決め孔を形成しておき、前記第1位置決め孔と前記第3位置決め孔とに第1位置決めピンを挿通すると共に、前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とを接合させ、この接合状態で前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とを熱溶着し、前記第2位置決め孔と前記第4位置決め孔とに第2位置決めピンを挿通すると共に、前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とを接合させ、この接合状態で前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とを熱溶着する相間絶縁シートの製造方法。 - 前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とは、超音波溶着ベースと第1超音波ホーンとに挟まれて接合され、前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とは、前記超音波溶着ベースと第2超音波ホーンとに挟まれて接合され、前記第1位置決めピンと前記第2位置決めピンとは、前記超音波溶着ベースに設けられている請求項3に記載の相間絶縁シートの製造方法。
- 前記第1超音波ホーンは、前記第1位置決めピンを導入する第1導入孔を有し、前記第2超音波ホーンは、前記第1位置決めピンを導入する第2導入孔を有し、前記第1結合用補助片と前記ブリッジ片の前記一端部とが前記超音波溶着ベースと第1超音波ホーンとに挟まれて接合されるときには、前記第1位置決めピンが前記第1導入孔に導入され、前記第2結合用補助片と前記ブリッジ片の前記他端部とが前記超音波溶着ベースと第2超音波ホーンとに挟まれて接合されるときには、前記第2位置決めピンが前記第2導入孔に導入される請求項4に記載の相間絶縁シートの製造方法。
- 回転電機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によって圧縮室内のガスを圧縮して吐出する電動圧縮機において、
請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の回転電機を前記回転軸を回転させる回転電機として用いた電動圧縮機。
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