JP2009077507A - 風量一定制御手段内蔵ブラシレスdcモータ - Google Patents

風量一定制御手段内蔵ブラシレスdcモータ Download PDF

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勘治 井崎
Mitsuru Shibata
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Abstract

【課題】低コストで風量誤差の少ない風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを実現することを目的とする。
【解決手段】位置検出手段4と駆動手段5及び風量一定制御手段7はマイクロコンピュータで構成しており、このマイクロコンピュータと前記磁気センサー3と前記インバータ回路6および前記シャント抵抗10と前記増幅器11と前記AD変換部12を同じ基板に実装し、この基板を前記固定子1に装着して一体化した後、モータ外被を構成するモールド樹脂にて一体成形し、リード線やフォトカプラー等の電子部品が少なくなり、低コストで信頼性の高い風量一定制御手段を内蔵したブラシレスDCモータが実現できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンジフードや天井埋め込み型の換気扇などの送風装置に搭載される風量一定運転を可能にするブラシレスDCモータに関するものである。
従来、この種の風量一定運転が可能な送風装置は、モータとは別に設けられたインバータ回路に流れるブラシレスDCモータの電流を、制御回路等により検出し、電流とモータの回転数の関係を利用して、一定風量での運転を実現しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、その風量一定運転が可能な送風装置の動作について、図7を参照しながら説明する。
図に示すように、交流電源101から供給される交流電圧を交直変換回路102にて直流に変換した後、平滑コンデンサ103にて平滑化し、インバータ回路105に印加する。
インバータ回路105は6ケのスイッチング素子を順番に導通させ、DCブラシレスモータ104を駆動している。DCブラシレスモータ104には、ホール素子等の回転子位置検出用のセンサー106が装着されており、センサー106の出力により、回転数検出部108がDCブラシレスモータ104の回転数を検出するとともに、インバータ回路105のスイッチング素子の通電切替のタイミングを決定している。107はインバータ回路105に流れる電流を検出する為のシャント抵抗であり、電流検出部109にて、シャント抵抗107の両端の電圧から電流を検出している。インバータ回路105がPWM制御されている場合は、シャント抵抗107に流れる電流が1キャリア内変動するので、フィルタ等で平均化するとともに、平均化した電流に補正を加えて、風量演算に必要なDCブラシレスモータ104の相電流に換算している。風量演算部110は、電流検出部109で検出された電流と回転数検出部108によって検出された回転数から、DCブラシレスモータ104を搭載した送風機の風量を演算するとともに、送風機本体の制御回路等より指示された目標運転風量と演算された風量を比較し、目標風量での運転を実現する回転数を算出し、その回転数になるように、速度制御部111に運転電圧の指示を出力している。速度制御部111は、指示によりインバータ回路105のスイッチング素子のデューティーを変更し、DCブラシレスモータ104の回転数を目標回転数に制御し、送風機の風量が目標の風量で一定運転できるようにしている。
特許第3738685号公報
このような従来の構成では、DCブラシレスモータとインバータ回路と風量制御装置をそれぞれ別々に用意する必要があり、装置の製造コストが高くなるという課題があり、装置構成の簡素化による低コスト化が要求されている。
また、交流電源の整流平滑された電圧が印加される高圧のインバータ回路側とマイクロコンピュータなどにより構成される、低圧の風量演算部や速度制御部を絶縁して構成する必要がある場合、シャント抵抗の両端の電位差を検出する電流検出部とインバータ回路のスイッチング素子のデューティーを制御する速度制御部それぞれに、フォトカプラー等の光絶縁素子を使用する必要があり、さらに装置構成が複雑になるとともに、製造コストも高くなるという課題があった。
さらに、インバータ回路の下アームトランジスタの負電位側端子に接続されたシャント抵抗に流れる電流をフィルタで平均化して検出している為、正確なモータの相電流が検出できず、補正を加える必要があるという課題があった。モータの相電流を直接検出する方法についても言及されており、その場合には上記課題は解消されるが、その具体的な方法については記載されていない。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、モータを駆動するインバータ回路とモータの回転数を制御して、ファンモータの一定風量での運転を可能にする、風量一定制御手段を、モータ内部に一体的に構成することにより、モータとインバータ回路及び風量一定制御手段の接続の為のリード線やフォトカプラー等の特別な部品が少ない、低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを提供することを目的としている。
また、シャント抵抗に流れる電流から直接相電流を検出することにより、電流補正の必要の無い信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを提供することを目的としている。
本発明の風量一定制御内蔵ブラシレスDCモータは、上記目的を達成するために、巻線を巻装した固定子と、磁石を備えた回転子と、前記固定子に対する前記磁石の相対的位置を検出する位置検出手段と、DC電圧を交流に変換するインバータ回路と、前記位置検出手段が検出した前記磁石の位置に応じて、前記インバータ回路を駆動させて前記回転子を回転させる駆動手段と、前記駆動手段により前記回転子に取り付けられるファンの回転数を制御して、前記ファンの風量を一定に制御する風量一定制御手段を、モータ内部に一体的に構成したものである。
この手段により、モータとインバータ回路及び風量一定制御手段の接続の為のリード線やフォトカプラー等の特別な部品が少ない、低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に流れる電流と前記回転子の回転数の関係を利用して、風量一定運転を実現する風量一定制御手段としたものである。
この手段により、モータ自身の電流と回転数を検出するだけで風量一定運転が可能になり、外部回路との接続や制御の必要性がない、信頼性の高く低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、前記固定子巻線に流れる電流を、前記インバータ回路の下アームトランジスタの負電位側端子に接続されたシャント抵抗を利用して検出する電流検出手段を設けたものである。
この手段により、安価なシャント抵抗を1ケ使用するだけで電流検出が可能になり、低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、前記シャント抵抗に流れる前記インバータ回路の通電切替周期のあらかじめ定められた特定のタイミングの電流もしくは複数のタイミングの電流から電流を検出する電流検出手段としたものである。
この手段により、モータの巻線に流れる電流を直接検出することが可能になり、インバータ回路のスイッチング素子のデューティーが変化しても、補正を加えることなく正確にモータの巻線電流を検出することが可能になり、信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、インバータ回路を通して固定子巻線に印加される電圧と回転子の回転数の関係を利用して、風量一定運転を実現する風量一定制御手段としたものである。
この手段により、電流検出をする為の回路が不要になり、さらに低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、インバータ回路に印加されるDC電圧の値を検出するDC電圧検出手段を備え、前記DC電圧検出手段が検出した電圧に応じて、前記風量演算手段8が前記駆動手段5が前記インバータ回路6のスイッチング素子のデューティーを調整し、前記固定子の巻線に印加する電圧を調整する構成としたものである。
この手段により、電源電圧が変動しても、モータに印加される電圧は変化しないので、風量一定運転を実現するモータの電圧と回転数の関係が変化しない、信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、サーミスタ等の温度検出素子をモータに内蔵し、前記温度検出素子が検知した温度により、前記風量一定制御手段は前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に流れる電流と前記回転子の回転数の関係を補正して、風量一定運転を実現する構成としたものである。
この手段により、モータの温度変化により、モータのトルクが変化し、風量一定での運転を実現するモータ巻線の電流と回転数の関係が変化しても、モータの温度を検出して、巻線電流と回転数の関係に補正を加えるので、モータの温度変化に起因する風量誤差の少ない、信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、サーミスタ等の温度検出素子をモータに内蔵し、前記温度検出素子が検知した温度により、前記風量一定制御手段は前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に印加される電圧と前記回転子の回転数の関係を補正して、風量一定運転を実現する構成としたものである。
この手段により、モータの温度変化により、モータのトルクが変化し、風量一定での運転を実現するモータ巻線に印加される電圧と回転数の関係が変化しても、モータの温度を検出して、巻線に印加される電圧と回転数の関係に補正を加えるので、モータの温度変化に起因する風量誤差の少ない、信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、他の手段は、前記位置検出手段を、ホール素子等の特別なセンサーを使用しない、センサレスの位置検出手段としたものである。
この手段により、ホール素子等の回転子位置検出センサーが不要になるので、モータ内部に設置する部品が減り、インバータ回路や風量一定制御手段を搭載するモータ内蔵基板が小さくなり、モータに収納することが容易になる。
また、他の手段は、前記モータ外被を、モールド樹脂で一体的に構成したものである。
この手段により、モールド樹脂を通じてインバータ回路のスイッチング素子の放熱が可能になり、モータの出力が大きくなっても、インバータ回路の放熱板等が不要になり、インバータ回路や風量一定制御手段を搭載するモータ内蔵基板が小さくなり、モータに収納することが容易になる。
また、他の手段は、前記風量一定制御手段を、書き換え可能な記憶手段を有するマイクロコンピュータを利用して構成したものである。
この手段により、風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータに接続するファンや換気送風装置が変わり、風量一定運転を実現するモータの巻線電流と回転数の関係や、モータに印加される電圧と回転数の関係が変化しても、モータに内蔵された風量一定制御手段のマイクロコンピュータに記憶された巻線電流と回転数の関係やモータに印加される電圧と回転数の関係データを書き換えることにより、風量一定での運転を実現することが可能になり、風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを、多くの種類のファンや送風装置に適用することが可能になる。
また、他の手段は本風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを換気送風装置に搭載したものである。
この手段により、低価格で信頼性の高い風量一定運転できる換気送風装置の実現が可能になる。
本発明によれば、モータ内部にインバータ回路と風量一定制御を一体的に構成しているので、モータとインバータ回路及び風量一定制御手段の接続の為のリード線が無い、低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、交流電源の整流平滑された電圧が印加される高圧のインバータ回路側とマイクロコンピュータなどにより構成される、低圧の風量演算部や速度制御部を絶縁して構成する必要がある場合でも、換気送風装置からの急速、中速、低速等の運転風量の指示部にのみフォトカプラー等の光絶縁素子を使用すればよく、低コストで安全な風量一定での運転ができる換気送風装置を提供することが可能になる。
本発明の請求項1記載の発明は、巻線を巻装した固定子と、磁石を備えた回転子と、前記固定子に対する前記磁石の相対的位置を検出する位置検出手段と、DC電圧を交流に変換するインバータ回路と、前記位置検出手段が検出した前記磁石の位置に応じて、前記インバータ回路を駆動させて前記回転子を回転させる駆動手段と、前記駆動手段により前記回転子に取り付けられるファンの回転数を制御して、前記ファンの風量を一定に制御する風量一定制御手段を、モータ内部に一体的に構成したものであり、主に半導体素子で構成される、モータ駆動に必要な回転子の位置検出手段とインバータ回路および駆動手段、および風量一定運転を実現するのに必要な風量一定制御手段を、一体的な基板に配設してモータ内部に収納できるので、それぞれの手段を接続する為のリード線の少ない、低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られるとともに、モータに一定風量運転を実現する大部分の機能が搭載されているので、本モータを搭載する換気送風装置も低コストで簡単に構成することが可能になる。
また、本発明の請求項2記載の発明は、前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に流れる電流と前記回転子の回転数の関係を利用して、風量一定運転を実現する風量一定制御手段としたものであり、モータ自身の電流と回転数を検出するだけで風量一定運転が可能になり、外部回路との接続や制御の必要性がない、信頼性の高く低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、本発明の請求項3記載の発明は、前記固定子巻線に流れる電流を、前記インバータ回路の下アームトランジスタの負電位側端子に接続されたシャント抵抗を利用して検出する電流検出手段を設けたものであり、安価なシャント抵抗を1ケ使用するだけで電流検出が可能になり、低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、本発明の請求項4記載の発明は、シャント抵抗に流れる前記インバータ回路の通電切替周期のあらかじめ定められた特定のタイミングの電流もしくは複数のタイミングの電流から前記固定子巻線に流れる電流を検出するようにしているので、前記インバータ回路のスイッチング素子をPWM通電した場合でも、スイッチング素子がデューティーオン状態の導通しているときにだけ電流を検出することにより、固定子巻線に流れる電流を直接検出することが可能になり、安価なシャント抵抗により、正確に電流を検出することが可能になるとともに、スイッチング素子のデューティーが変化しても、同様に巻線電流を正確に検出することが可能になる。
また、本発明の請求項5記載の発明は、インバータ回路を通して固定子巻線に印加される電圧と回転子の回転数の関係を利用して、風量一定運転を実現する風量一定制御手段としたものであり、電流検出をする為の回路が不要になり、さらに低コストの風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、本発明の請求項6記載の発明は、インバータ回路に印加されるDC電圧の値を検出するDC電圧検出手段を備え、前記DC電圧検出手段が検出した電圧に応じて、前記風量演算手段8が前記駆動手段5が前記インバータ回路6のスイッチング素子のデューティーを調整し、前記固定子の巻線に印加する電圧を調整する構成としたものであり、電源電圧が変動しても、モータに印加される電圧は変化しないので、風量一定運転を実現するモータの電圧と回転数の関係が変化しない、信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、本発明の請求項7記載の発明は、サーミスタ等の温度検出素子をモータに内蔵し、前記温度検出素子が検知した温度により、前記風量一定制御手段は前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に流れる電流と前記回転子の回転数の関係を補正して、風量一定運転を実現しているので、モータが長時間運転されて温度が高くなりモータのトルクが低下し、風量一定運転を実現するモータ電流と回転数の関係が変化した場合でも、検知したモータの温度に応じて、風量一定制御手段がモータ電流と回転数の関係を補正するので、風量誤差の少ない一定風量での運転が可能になる。
また、本発明の請求項8記載の発明は、サーミスタ等の温度検出素子をモータに内蔵し、前記温度検出素子が検知した温度により、前記風量一定制御手段は前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に印加される電圧と前記回転子の回転数の関係を補正して、風量一定運転を実現する構成としたものであり、モータの温度変化により、モータのトルクが変化し、風量一定での運転を実現するモータ巻線に印加される電圧と回転数の関係が変化しても、モータの温度を検出して、巻線に印加される電圧と回転数の関係に補正を加えるので、モータの温度変化に起因する風量誤差の少ない、信頼性の高い風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータが得られる。
また、本発明の請求項9記載の発明は、前記位置検出手段を、ホール素子等の特別なセンサーを使用しない、センサレスの位置検出手段としたものであり、ホール素子等の回転子位置検出センサーが不要になるので、モータ内部に設置する部品が減り、インバータ回路や風量一定制御手段を搭載するモータ内蔵基板が小さくなり、モータに収納することが容易になる。
また、本発明の請求項10記載の発明は、前記モータ外被を、モールド樹脂で一体的に構成したもので、放熱性に優れたモールド樹脂が、基板等に搭載されたインバータ回路のスイッチング素子からの発熱を吸熱し、スイッチング素子の発熱を抑制するので、パッケージの小さいスイッチング素子を搭載することが可能になるとともに、放熱板を使用する必要がなくなり、インバータ回路や風量一定制御手段を搭載するモータ内蔵基板が小さくなり、モータに収納することが容易になる。
また、本発明の請求項11記載の発明は、前記風量一定制御手段を、書き換え可能な記憶手段を有するマイクロコンピュータを利用して構成したもので、本モータに組み合わされるファンや、搭載される換気送風装置が変わり、風量一定での運転を実現するモータの巻線電流と回転数の関係や、モータに印加される電圧と回転数の関係が変化しても、モータに内蔵された風量一定制御手段のマイクロコンピュータに記憶された巻線電流と回転数の関係やモータに印加される電圧と回転数の関係のデータを書き換えることにより、風量一定での運転を実現することが可能になり、風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを、多くの種類のファンや送風装置に適用することが可能になり、モータの標準化を実現できる。
また、本発明の請求項12記載の発明は、本風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを換気送風装置に搭載したものであり、低価格で信頼性の高い風量一定運転できる換気送風装置の実現が可能になる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータの概略構成図である。
図1において、1は巻線を巻装した固定子、2は磁石を備えた回転子で、前記固定子1に対する前記回転子2の相対的位置を、磁気センサー3の出力を利用して、位置検出手段4が検出している。駆動手段5は前記位置検出手段4が検出した前記回転子2の位置に応じて、インバータ回路6のスイッチング素子を駆動して前記固定子1の巻線に電力を供給し、前記回転子2を回転させている。風量一定制御手段7は、風量演算手段8と供給電圧決定手段9により構成されており、前記風量演算手段8は、前記位置検出手段4の出力より前記回転子2の回転数を算出するとともに、シャント抵抗10に流れる電流により発生する前記シャント抵抗10の両端の電位差を増幅器11にて増幅した後、AD変換部12にてAD変換された電流を読み取るとともに、算出された回転数と読み取った電流により、送風装置14の運転風量を算出する。次に前記風量演算手段8は算出された運転風量と前記送風装置14の送風装置制御回路15より指示された目標風量とを比較し、運転風量が目標風量と相違していた場合には、前記供給電圧決定手段9に運転電圧変更の指示を出力する。前記供給電圧決定手段9はその指示に応じて、前記固定子1の巻線に印加する電圧を決定し、前記駆動手段5に出力する。前記駆動手段5は決定された印加電圧を実現する前記インバータ回路6のスイッチング素子のデューティーを算出し、そのデューティーに基づいてスイッチング素子を駆動し、前記送風装置14の運転風量を目標風量に調整する。
16は前記固定子1の巻線近傍の温度を検出するサーミスタ16で、前記風量演算手段8は前記サーミスタ16が検出した温度に基づいて、回転数と電流による風量算出に補正を加え、モータ温度に応じて、正確に風量を算出する。
前記位置検出手段4と駆動手段5及び風量一定制御手段7はマイクロコンピュータで構成しており、このマイクロコンピュータと前記磁気センサー3と前記インバータ回路6および前記シャント抵抗10と前記増幅器11と前記AD変換部12を同じ基板に実装し、この基板を前記固定子1に装着して一体化した後、モータ外被を構成するモールド樹脂にて一体成形し、前記回転子2と組み合わせて、風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ13を構成している。モータ外被をモールド樹脂で構成せず、金属性とする場合でも、前記基板を一体的に前記固定子1に装着し、同様に金属性のモータ外被の内部に、前記回転子2と組み合わせて収納し、風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ13を構成することは可能である。
前記送風装置14の運転風量Qは、一般流体の相似則により導かれるモータ出力Pと風量Qと回転数Nの関係式P∝Q・N2、モータ出力Pとモータの誘起電圧E0とモータ電流Iの関係式P=E0・I、モータの誘起電圧E0と誘起電圧定数KEと回転数Nの関係式E0=KE・Nより、モータ電流Iと回転数Nの関係式Q=K・(I/N)で表すことができ、電流と回転数により算出することができるので、常に目標の一定風量になるよう制御することが可能になる。尚Kは比例定数であり、ファン効率やモータ効率により決定される。
風量Qは演算で算出する以外にも、あらかじめ風量Qと電流Iと回転数Nの関係を、実際に前記送風装置を一定風量で運転させて前記風量一定制御手段7に記憶しておき、実際の運転時にそれぞれの関係が記憶された関係になるように制御して、一定風量運転を実現することも可能である。この場合でも、前記サーミスタ16が検出する温度毎に、風量Qと電流Iと回転数Nの関係を記憶しておけば、モータの温度状態による風量誤差の無い、正確な一定風量での運転が可能になる。
図2は本実施の形態における、シャント抵抗10に流れる前記固定子1の巻線電流の状態を示す説明図である。ブラシレスDCモータにおける一般的な駆動方法である120度通電状態を示した説明図である。図においては固定子1のR相巻線からT相巻線に電流が流れており、デューティーがON状態で、インバータ回路6のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q6の両方が導通している場合、図における実線で示す巻線電流Ionがシャント抵抗10に流れている。次にデューティーがOFF状態で、スイッチング素子Q1を非導通状態にした場合、巻線電流は図における点線で示すIoffの方向に流れ、巻線とインバータ回路内を循環し、シャント抵抗10には流れない。図3はシャント抵抗に流れる電流の波形を示す説明図であり、(a)はデューティーのON状態が大きい場合、(b)はデューティーのON状態が小さい場合を示している。図2におけるON状態の電流Ionをハッチングで示している。デューティーOFF状態ではシャント抵抗10には電流が流れないので、電流は0であるが、図3では念のため図2と同様、巻線電流Ioffを点線で示している。
このようなシャント抵抗10に流れる電流を平均化した場合の電流を、図3における2点鎖線で示しているが、図3の(a)と(b)に示すように、同じ巻線電流が流れていても、デューティーの変化により平均電流は変化するので、シャント抵抗10に流れる電流をフィルター等で平均化して検出する場合には、検出誤差が大きくなる可能性がある。しかしながら本実施の形態では、風量演算手段8が、図3の点で示すデューティーのON状態のときにだけ、シャント抵抗10に流れる電流を読み込むようにしているので、デューティーの影響を受けず、正確に巻線電流を検出することが可能になり、風量算出に誤差が発生しない。尚、本実施の形態では、電気角60度の通電角中に3回電流を読み込む説明図となっているが、3回より少なくても多くてもよく、要は、電流波形の形状に合わせて、正確に巻線電流が検出できる回数を選定すればよい。
尚、本実施の形態においては、120度通電方式における電流検出の方法を説明したが、通電方式は120度通電である必要はなく、150度でも180度でもその他の通電方式でもよく、その作用効果に差異を生じない。
図4は本実施の形態における、モータの温度と電流およびトルクと回転数の関係を示したグラフである。横軸がトルク、縦軸が回転数と電流であり、モータ温度が高いときの状態を点線で、低いときの状態を1点鎖線で、およびその中間の状態を実線で示している。図において黒い点で示したトルクと回転数が、送風装置14が目標風量で運転できるトルクと回転数であるが、モータ温度が高くなった場合は、モータの固定子巻線の温度が高くなり銅損が増加するとともに、磁石回転子の磁束が減少し、目標トルクと回転数を実現するモータ電流が図に示すithとなり高くなる。反対に温度が高くなった場合は、銅損が減少し、磁石回転子の磁束が増加するので、逆にモータ電流はitlとなり低くなる。その為、モータ温度に応じて風量演算手段8が読み取る巻線電流を補正しなければ、算出する風量に誤差が発生することになる。しかしながら本実施の形態では、風量演算手段8が、サーミスタ16が検出するモータ温度に応じて、検出した巻線電流を補正し、補正した電流に基づいて風量を算出するので、正確に風量が算出でき、モータ温度の影響を受けない、目標の一定風量での運転が可能になる。
尚、本実施の形態においては風量を算出する方法での補正を説明したが、あらかじめ回転数と電流の関係を記憶しておいて風量一定運転を実現する場合でも、モータ温度を変化させた場合の回転数と電流の関係を記憶しておいて、サーミスタの検出するモータ温度に応じた関係を利用するようにすれば、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においては、サーミスタを使用して温度検出したが、サーミスタである必要はなく、要はモータ温度が検出できる素子を使用すれば、その作用効果に差異を生じない。
図5は本実施の形態におけるマイクロコンピュータの記憶手段を利用する場合の風量一定制御手段のブロック図であり、風量演算手段8のなかに書き換え可能な記憶手段8aを設けるともに、送風装置制御回路15からの強速運転や低速運転等の運転指示が、光絶縁素子であるフォトカプラー8を通じて指示される例を示した図である。風量は、モータ電流Iと回転数Nの関係式Q=K・(I/N)で表すことができ、電流と回転数により算出することができるので、常に目標の一定風量になるよう制御することが可能になる。しかしながら、Kは比例定数であり、ファン効率やモータ効率により決定され、ファンや送風装置の風路が変化したり、モータの巻線や磁石の仕様が変化すれば、比例定数Kも変化してしまい、風量演算手段8をモータに内蔵した場合には、ファンやモータの仕様が変化する毎にそれに対応した風量演算手段8を内蔵したモータを準備する必要があり、モータの種類が増えてしまうという課題がある。本図における記憶手段8aはその課題を解決するものであり、ファンやモータの仕様が変化し、風量を演算する比例定数KがK1に変化した場合でも、記憶手段8aに設けられた書き込みポートに書き込み装置17より、新しい比例定数K1を書き込み、正しい風量が演算できるようにしたものである。これにより、モータの種類を増やすことなく、種々のファンやモータ仕様に対応することが可能になる。
また、送風装置からの運転指示がフォトカプラー18を通して風量演算手段8に伝えられるので、交流電源の整流平滑された電圧が印加される高圧のモータ側回路と速度指示等のスイッチを備える本体側回路を、フォトカプラー18を1ケ使用するだけで、電気的に絶縁することが可能になる。
尚、本実施の形態においては風量を算出する方法での補正を説明したが、あらかじめ回転数と電流の関係を記憶しておいて風量一定運転を実現する場合でも、同様に、回転数と電流の関係のデータを書き換えるようにすれば、同様の効果が得られる。
以上により、モータを駆動するための磁気センサーやインバータ回路および風量を算出するためのシャント抵抗やマイクロコンピュータ等の電子部品を搭載した基板と、銅線を巻装した固定子や磁石回転子とを一体的にモータ外被を構成するモールド樹脂で一体的に構成したので、電子部品とモータを接続するリード線が不要になるとともに、シャント抵抗に流れる電流を直接読み取るようにしたので、正確に電流が検出でき、低コストで風量誤差の少ない風量一定制御手段内蔵のブラシレスDCモータを実現することができる。又、光絶縁素子であるフォトカプラー1ケを利用して、交流電源の整流平滑された電圧が印加される高圧のモータ側回路と速度スイッチなどを有する送風装置側の回路とを絶縁することが可能になり、低コストで安全な風量一定制御手段内蔵のブラシレスDCモータを実現することができる。
(実施の形態2)
図6は本発明の第2の実施の形態における風量一定制御内蔵ブラシレスDCモータの概略構成図である。本実施の形態は、第1の実施の形態における電流を検出するシャント抵抗を使用せずに、交流電源の整流平滑後の電圧を検出する抵抗19を使用したもので、抵抗19の両端の電圧をディジタル信号に変化するAD変換部12とで、DC電圧検出手段20を構成している。前記DC電圧検出手段20によって検出されたDC電圧は風量演算手段8によって読み取られる。その他の構成は実施の形態1と同一であり、説明は省略する。
図において、前記風量演算手段8は、前記DC電圧検出手段20によって検出された電圧と供給電圧決定手段9によって駆動手段5を通じて指示される、インバータ回路6のスイッチング素子の駆動デューティーとにより、固定子1の巻線に供給されるDC電圧を算出するとともに、位置検出手段4の出力により回転子2の回転数を算出する。次に前記風量演算手段8は算出された前記DC電圧と回転数より、送風装置14の風量を演算するとともに、送風装置制御回路15より指示された運転風量と演算された運転風量を比較し、指示された風量と運転風量が違う場合には、前記供給電圧決定手段9に運転電圧変更の指示を出力する。前記供給電圧決定手段9はその指示に応じて、前記固定子1の巻線に印加する電圧を決定し、前記駆動手段5に出力する。前記駆動手段5は決定された印加電圧を実現する前記インバータ回路6のスイッチング素子のデューティーを算出し、そのデューティーに基づいてスイッチング素子を駆動し、前記送風装置14の運転風量を目標風量に調整することにより指示された一定風量での運転が可能になる。何らかの原因により交流電源電圧が変動し、それによって整流平滑後のDC電圧が変動した場合には、前記DC電圧検出手段20が検出するDC電圧が変化し、前記風量演算手段8がその変化を読み取り、電圧が高くなった場合は、前記インバータ回路6のスイッチング素子のデューティーを低くして、前記固定子1の巻線に印加する電圧を変化させないように制御する。電圧が低くなった場合は逆の動作で、電圧を一定に保ち、交流の電源電圧が変動しても、前記送風装置14の運転風量を一定に維持することが可能になる。
これにより、電流検出するよりさらに簡単に低コストで風量一定制御手段内蔵のブラシレスDCモータを実現することができる。尚、サーミスタ16による温度補正の効果や記憶手段8aを利用したモータの標準化の効果は、本例においても実施の形態1と同様であることはいうまでもない。
また、第1の実施の形態および第2の実施の形態の両方において、回転子の位置検出手段を磁気センサーを利用する位置検出手段としたが、磁気センサー等のセンサーを使用しないセンサレスの位置検出手段としてもよく、その場合には、基板に実装する部品が減るので、風量一定制御手段をモータに内蔵することがさらに容易になる。
以上のように、本発明による風量一定制御内蔵ブラシレスDCモータは、風量一定制御手段をモータに内蔵しているので、安全で誤差の少ない風量一定運転を低コストで実現でき、換気扇等の風量一定運転を必要とする送風装置に搭載するのに最適である。
本発明の実施の形態1の風量一定制御内蔵ブラシレスDCモータの構成を示す概略構成図 同モータの固定子巻線に流れる電流の状態を示す説明図 同モータのシャント抵抗に流れる電流の波形を示す説明図 同モータの温度と電流およびトルクと回転数の関係を示したグラフ 同モータのマイクロコンピュータの記憶手段を利用する場合の風量一定制御手段のブロック図 本発明の実施の形態2の風量一定制御内蔵ブラシレスDCモータの構成を示す概略構成図 従来の風量一定制御ブラシレスDCモータの構成を示す概略構成図
符号の説明
1 固定子
2 回転子
4 位置検出手段
5 駆動手段
6 インバータ回路
7 風量一定制御手段
8 風量演算手段
9 供給電圧決定手段
10 シャント抵抗
13 風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ
16 サーミスタ
20 DC電圧検出手段

Claims (12)

  1. 巻線を巻装した固定子と、磁石を備えた回転子と、前記固定子に対する前記磁石の相対的位置を検出する位置検出手段と、DC電圧を交流に変換するインバータ回路と、前記位置検出手段が検出した前記磁石の位置に応じて、前記インバータ回路を駆動させて前記回転子を回転させる駆動手段と、前記駆動手段により前記回転子に取り付けられるファンの回転数を制御して、前記ファンの風量を一定に制御する風量一定制御手段を、モータ内部に一体的に構成した風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  2. 前記風量一定制御手段は、前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に流れる電流と前記回転子の回転数の関係を利用して、風量一定運転を実現する請求項1記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  3. 前記固定子巻線に流れる電流を、前記インバータ回路の下アームトランジスタの負電位側端子に接続されたシャント抵抗を利用して検出する電流検出手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  4. 前記電流検出手段は、前記シャント抵抗に流れる前記インバータ回路の通電切替周期のあらかじめ定められた特定のタイミングの電流もしくは複数のタイミングの電流から前記固定子巻線に流れる電流を検出する請求項3記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  5. 前記風量一定制御手段は、前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に印加される電圧と前記回転子の回転数の関係を利用して、風量一定運転を実現する請求項1記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  6. 前記風量一定制御手段は、風量演算手段と供給電圧決定手段により構成され、前記インバータ回路に印加されるDC電圧の値を検出するDC電圧検出手段を備え、前記DC電圧検出手段が検出した電圧に応じて、前記風量演算手段が前記駆動手段を通じて前記インバータ回路のスイッチング素子のデューティーを調整し、前記固定子の巻線に印加する電圧を調整する請求項5記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  7. サーミスタ等の温度検出素子をモータに内蔵し、前記温度検出素子が検知した温度により、前記風量一定制御手段は前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に流れる電流と前記回転子の回転数の関係を補正して、風量一定運転を実現する請求項2、3または4記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  8. サーミスタ等の温度検出素子をモータに内蔵し、前記温度検出素子が検知した温度により、前記風量一定制御手段は前記インバータ回路を通して前記固定子巻線に印加される電圧と前記回転子の回転数の関係を補正して、風量一定運転を実現する請求項5または6記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  9. 前記位置検出手段を、ホール素子等の特別なセンサーを使用しない、センサレスの位置検出手段とした請求項1乃至8のいずれかに記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  10. 前記モータ外被を、モールド樹脂で一体的に構成した請求項1乃至9のいずれかに記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  11. 前記風量一定制御手段を、書き換え可能な記憶手段を有するマイクロコンピュータを利用して構成した請求項1乃至10のいずれかに記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータ。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の風量一定制御手段内蔵ブラシレスDCモータを搭載した換気送風装置。
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