JP2009076319A - 燃料電池用電極触媒、その製造方法、及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池運転中に溶出した触媒金属を捕捉し、同時にコンタミ成分である塩素イオンを捕捉することによって、触媒活性が低下することを防止することを目的とする。
【解決手段】導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒にMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を存在及び/又は結合させた燃料電池用電極触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた酸素還元活性と耐久性を有する燃料電池用電極触媒、その製造方法に関する。また、該電極触媒を電極の触媒層に有する固体高分子型燃料電池に関する。
高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池は、小型軽量化が容易であることから、電気自動車等の移動車両や、小型コジェネレーションシステムの電源等としての実用化が期待されている。
燃料電池では燃料極で燃料の酸化、酸素極で酸素の還元が行われるが、水素を燃料とし、酸性の電解質を用いる場合の理想的な反応は、下記(1)式及び(2)式に示したように表される。
アノード(水素極):H2→2H++2e …(1)
カソード(酸素極):2H++2e+(1/2)O2→H2O …(2)
アノードで式(1)の反応により生成した水素イオンは、H+ (XH2O)の水和状態で固体高分子電解質膜を透過(拡散)し、膜を透過した水素イオンは、カソードで式(2)の反応に供される。このアノード及びカソードにおける電極反応は、固体高分子電解質膜に密着した電極触媒層を反応サイトとし、当該電極触媒層における触媒と固体高分子電解質膜との界面で進行する。即ち、固体高分子型燃料電池のアノード及びカソードの各触媒層内における電極反応は、各反応ガスと、触媒と、含フッ素イオン交換樹脂(電解質)とが同時に存在する三相界面(反応サイト)において進行する。そのため、固体高分子型燃料電池においては、従来より、比表面積の大きなカーボンブラック担体に白金等の金属触媒を担持した金属担持カーボン等の触媒を高分子電解質膜と同種或いは異種の含フッ素イオン交換樹脂で被覆して触媒層の構成材料として使用される。
このように、カソードで起こるプロトン及び電子から水の生成は、触媒、カーボン粒子及び電解質という三相の共存下で行われる。即ち、プロトンを伝導する電解質と電子を伝導するカーボン粒子が共存し、更に触媒が共存することで酸素ガスが還元される。したがって、カーボン粒子に担持させる触媒が多い方が発電効率が高い。しかしながら、燃料電池に使用される触媒は白金等の貴金属であるが、燃料電池運転中に白金や白金合金などの触媒金属が溶出し、触媒の活性が低下するという問題がある。
しかも、溶出した白金や白金合金などの触媒金属は、電解質膜中をクロスオーバーして来た水素と出会うと互いに反応して、電解質膜中でPtバンドと呼ばれる粒子を形成する。このPtバンドが高分子電解質膜が劣化する際の開始点になるという問題もあった。
そこで、下記特許文献1には、触媒の電解質への溶出を防止するため、あらかじめ電解質に触媒である白金を添加することにより、触媒層から白金の溶出の防止を図っていた。しかしながら、電解質に固体高分子電解質を用いた場合、あらかじめ触媒イオンをかかる固体電解質中に分散させることが困難であり、触媒の溶出防止を図ることができないという問題点があった。
また、下記特許文献2には、触媒の溶出防止することができる触媒層構造として、両側に触媒溶出抑制層を設けてなる触媒層を有する固体高分子型燃料電池用触媒層構造が開示されている。具体的には、前記触媒溶出抑制層は、表面に単分子が化学結合した構造を有する粒子から構成されており、前記粒子は、Au、Pd及びCよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、前記粒子に化学結合する単分子材料は、チオール、デンドリマー、及びイオン導電性官能基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であるとされている。そして、前記触媒溶出抑制層の厚さは、0.5〜8μmの範囲にあり、前記単分子の長さは、1〜50nmの範囲にあるとされている。
しかし、特定の触媒溶出抑制層を触媒層に設ける方法は、構造が複雑であり、その実効性にも問題があった。
ところで、高分子固体電解質型燃料電池において、反応を促進させるための触媒が必須であり、触媒として、水素極、酸素極ともに、白金、或いは白金合金が主に検討されているが、特に酸素極(カソード)での過電圧が大きい。過電圧を低減する対策として、触媒に用いる白金或いは白金合金の担持量を多くすることが考えられるが、触媒量の増加による過電圧の低減効果は大きくはなく、他方、触媒増に伴うコストアップという課題がより一層大きくなり、コストと触媒パフォーマンスの両立が大きな課題となっている。
上述のように、コスト及び過電圧を低減するような白金系元素の利用効率の向上が切望され、MN4キレート構造を有する錯体を燃料電池の触媒として用いる試みが成されている。酸素還元能を有する触媒として、古くからポルフィリン(PP)、フタロシアニン(Pc)、テトラアザアヌレン(TAA)等の金属を含有する大環状化合物の錯体が検討されている。これらの金属の大環状化合物錯体は、酸素分子に対する吸着能を活かして電気化学的な酸素分子の還元反応に適用するというのが基本的発想である。これら4個の窒素原子に白金(Pt)が配位したPtN4キレート構造を有する窒素含有白金系錯体を触媒として実用の電極に適用することが考えられる。
例えば、下記特許文献3には、遷移金属のポルフィリンなどの大環状化合物錯体をポリマー状態で導電性担持表面に担持させた電極触媒が開示されている。下記特許文献4には、炭化水素系固体高分子電質に、フタロシアニンなどの大環状金属錯体触媒を添加し、これにより過酸化水素水を分解することが開示されている。下記特許文献5には、固体分子型燃料電池の燃料極に金属フロシアニン又は金属テトラフェニルポルフィリンからなる金属錯体を添加し、発生した酸素を効率的に除去することが開示されている。下記特許文献6には、ポルフィリンを用いた酸素吸脱着性触媒を含む酸素吸脱着性電極層が開示されている。更に、下記特許文献7には、ポルフィリン系錯体を伝導性担体に担持した酸素還元触媒を用いた電極触媒が開示されている。
但し、これら下記特許文献3〜7に記載されたポルフィリン等は、あくまで触媒として金属錯体を用いたものであり、フリーベースの窒素含有大環状化合物を用いるものではない。
特開平1−315954号公報 特開2007−87826号公報 特開2005−203147号公報 特開2000−106203号公報 特開2003−168442号公報 特開2005−302310号公報 特開2005−230648号公報
本発明は、燃料電池運転中に溶出した触媒金属を捕捉し、同時にコンタミ成分である塩素イオンを捕捉することによって、触媒活性が低下することを防止することを目的とする。
本発明者らは、触媒表面にポルフィリンなどの窒素含有大環状化合物を導入することによって、溶出した金属を捕捉し、その捕捉された金属と窒素含有大環状化合物からなるMN4キレート構造を有する窒素含有金属錯体に、Clなどのコンタミン成分を配位させ、触媒金属の溶出を防ぐとともに、Clの無害化が図れることを見出し、上記課題を解決した。
即ち、第1に、本発明は、燃料電池用電極触媒の発明であり、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒にMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を存在及び/又は結合させた燃料電池用電極触媒である。
ここで、MN4キレート構造とは、窒素含有大環状化合物中の4個の窒素原子に白金系元素又は白金系元素と他の元素からなる合金が配位したキレート構造を言う。
本発明で用いる、前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物としては特に限定されない。これらの中で、ポルフィリン(PP)又はその誘導体、フタロシアニン(Pc)又はその誘導体、テトラアザアヌレン(TAA)又はその誘導体から選択される1種以上が好ましく例示される。
これらMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物は、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒に存在及び/又は結合させるために、溶媒に溶解することが必要である。溶媒としては、水系溶媒や非水系溶媒のいずれも用いることができるが、これら溶媒への溶解性を確保するため、フリーベース窒素含有大環状化合物の濡れ性を調節する必要が生じる場合には、フリーベース窒素含有大環状化合物に極性基を導入されて濡れ性が調節されていることが好ましい。
本発明に用いられる燃料電池用電極触媒としては、公知の導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒が用いられる。前記触媒金属としては、白金系元素又は白金系元素と他の元素との合金が一般的である。
第2に、本発明は、上記の燃料電池用電極触媒の製造方法の発明である。MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒に結合させるために、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒を溶媒中でMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物と反応させて該導電性担体表面に酸素を介して該MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を担持させる工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法が採用される。
所望により、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒に強塩基を反応させて該導電性担体表面に水酸基を導入する工程を設け、該水酸基が導入された電極触媒を溶媒中でMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物と反応させて該導電性担体表面に酸素を介して該MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を担持させる工程に続けても良い。
また、MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒に存在させるために、導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒に溶媒中でMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を混合する工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法が採用される。
前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物が、ポルフィリン(PP)又はその誘導体、フタロシアニン(Pc)又はその誘導体、テトラアザアヌレン(TAA)又はその誘導体から選択される1種以上が好ましいこと、前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物が、極性基を適宜導入して濡れ性を調節することが好ましいこと、電極触媒の触媒金属が、白金系元素又は白金系元素と他の元素との合金であることが好ましいこと、等は上述の通りである。
第3に、本発明は、上記の燃料電池用電極触媒を有する固体高分子型燃料電池である。
燃料電池用電極触媒から溶出したPtやその他金属イオンは、フリーベースポルフィリン等のフリーベース窒素含有大環状化合物の中心でMN4キレート構造を形成して、その金属が安定化される。金属ポルフィリン等のフリーベース窒素含有大環状化合物は、その中心の原子価を変化させ、MN4キレート構造を有する金属錯体となって、強力な酸化触媒として機能する。従来の例では金属ポルフィリンを単に触媒として利用する例はあったが、in situで運転中に溶出してきた金属を有効利用するといった観点はなかった。さらに、金属ポルフィリン等のフリーベース窒素含有大環状化合物のMN4キレート構造を有する金属錯体軸(z軸)配位能に着目し、問題となっているCl等のコンタミ成分をMN4キレート構造を有する金属錯体の中心金属に配位させることにより無害化する。
これにより、本発明は、燃料電池に使用される触媒金属が燃料電池運転中に溶出することを抑制し、同時にコンタミ成分である塩素イオンを捕捉することによって、触媒活性が低下することを防止することが可能となった。
この結果、電極触媒の白金利用効率を高め、発電性能を向上させることが可能となる。
図1及び図2に、本発明の作用を模式的に示す。図1に示すように、カーボンブラックのような導電性担体に白金又は白金合金の微粒子が担持されている。同時に、フリーベースポルフィリンが導電性担体に結合している。また、電極触媒近傍にはCl等のコンタミ成分が存在している。燃料電池の運転中に白金又は白金合金の微粒子が溶出すると、該溶出金属はフリーベースポルフィリンの中心で固定され、フリーベースポルフィリンはポルフィリン白金錯体に変換する。次に、図2に示すように、ポルフィリン白金錯体にCl等のコンタミ成分が捕捉される。つまり、ポルフィリンの中心で固定された白金のz軸方向の両側に2個のClが結合し、コンタミ成分が捕捉される。
このように、燃料電池運転中に溶出した触媒金属を捕捉(トラップ)し無害化するとともに、生成したポルフィリン白金錯体は触媒成分として機能する。同時にコンタミ成分である塩素イオンを捕捉(トラップ)する。これらの結果、電極触媒の触媒活性が低下することを防止する。更に、塩素イオン等のコンタミ成分を捕捉できることは、燃料電池用触媒を開発する上で研究の自由度を高めるという効果もある。
下記に、4個の窒素原子に、触媒金属として白金が配位したMN4キレート構造(この場合はPtN4キレート構造)を有する窒素含有遷移金属錯体の模式図を示す。大環状化合物中の4個の窒素原子に中心元素として白金(Pt)が配位して大環状化合物錯体(MCC)を形成している。
Figure 2009076319
本発明で用いる、MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物としては、ポルフィリン及びその誘導体、フタロシアニン及びその誘導体、アザポルフィリン及びその誘導体、テトラアザアンヌレン及びその誘導体、シッフ塩基が好ましく例示される。
MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物の幾つかをポルフィリン及びその誘導体を例として下記化学式で表す。
Figure 2009076319
(式中、R〜R12は水素又は置換基である)
テトラ(p−フェニル)ポルフィリン(TPP)は、R、R 、R 、R 10、R11が水素であり、R、R 、R12がフェニル基である。R、R 、R12の少なくとも1つは末端に非極性のフェニル基を持たないと、カーボン表面にポルフィリンを担持できない。R〜R12にS のような強いアニオン性を示す官能基を導入するとプロトン伝導性を損なうことがない。R〜R12はフェール基を有し、その位置はピロール環の直近にあることによりπ電子共役系が大きくなり、中心に金属を取り込んだ場合のORR活性(Oxygen Reduction Roaotion)が向上する。また、ORR活性には劣るが安価なフタロシアニンも同様の機能を発揮するため利用可能である。
上記ポルフィリン及びその誘導体は白金とPtN4キレート構造で錯体化すると下記化学式のようになる。
Figure 2009076319
(式中、R〜R12は水素又は置換基である)
Figure 2009076319
(式中、R13〜R22は水素又は置換基である)
上記ポルフィリン及びその誘導体は白金とPtN4キレート構造で錯体化すると下記化学式のようになる。
Figure 2009076319
Figure 2009076319
(式中、R23〜R36は水素又は置換基である)
上記ポルフィリン及びその誘導体は白金とPtN4キレート構造で錯体化すると下記化学式のようになる。
Figure 2009076319
本発明で用いる導電性担体は特に限定されない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明する。
[触媒担体表面へのポルフィリンの担持]
図3に示すスキームでPt担持触媒にテトラ(p−フェニル)ポルフィリン(TPP)の担持を行った。
(a)カルボキシル基を有するテトラ(p−フェニル)ポルフィリン(TPP)50mgをトルエン500mlに溶解させ、更にペンタフルオロフェノール20mgを加えて5h攪拌し、−COOHを−COに置換した。
(b)Pt担持触媒を10%硝酸アンモニウム、10%水酸化ナトリウム水溶液中で100℃、20h攪拌し、Pt担持触媒表面に−ONHを導入した。
(c)(a)で作製したポルフィリンと、(b)で作製したPt担持触媒を、トルエン中で3h還流し、Pt担持触媒表面にポルフィリンを導入した。
なお、TPPは疎水性基である4個のフェニル基を有することから溶媒としてトルエンを用いたが、SO 等の親水性基を有する場合には水などを溶媒として用いることもできる。
[TPP担持の確認]
触媒を水中で強く攪拌し、島津製作所製UV3100と積分球を用いて触媒表面の反射スペクトルを観察した結果、400−500nm付近の鋭い吸収帯(Soret帯)の存在と、450−700nm付近の吸収帯(Q帯)の存在からTPPの担持を確認した
[溶出金属の捕捉の確認]
上記方法により作成した触媒をPtイオン溶液中に投入し攪拌した。次に、島津製作所製UV3100と積分球を用いて触媒表面の反射スペクトルを観察した結果、450−700nm付近の吸収帯(Q帯)の4つのピークが2つに変化したことから金属の導入を確認した。
[運転後のTPP中心の金属捕捉(I)]
上記方法にて作成した触媒を用いて燃料電池用電極を作成し、100hの発電後、触媒層を電解質膜から剥離し反射スペクトルを観察した結果、金属イオンがTPP中心に固定化されていることがわかった。
[運転後のTPP中心の金属捕捉(II)]
上記方法にて作成した触媒を用いて燃料電池用電極を作成し、500hの発電後、触媒層を電解質膜から剥離し反射スペクトルを観察した結果、金属イオンがTPP中心に固定化されていることがわかった。
[実運転条件下における電圧低下量の測定]
上記方法にて作成した触媒を用いて燃料電池用電極を作成し500hの発電を行い電圧の低下量を測定した。図4に、運転時間による電圧低下量を示す。図4において、比較例(◆)は、従来の触媒により作成された燃料電池用電極を用いた場合であり、実施例(■)は、従来の触媒の表面にTPPを担持した触媒を用いた場合である。図4の結果より、TPPを担持することにより電圧低下が抑制された。
[塩素イオン捕捉と無害化の検証]
Clの無害化の実証のため、20ppmのClを含有するカソード加湿水で運転を500h行いPt溶出を測定した。下記表1に、運転時間によるPt表面積比較を示す。Pt表面積の減少はPtの溶出量に対応している。表1において、比較例は、従来の触媒により作成された燃料電池用電極を用いた場合であり、実施例は、従来の触媒の表面にTPPを担持した触媒を用いた場合である。なお、通常の燃料電池におけるClは数ppbから多くても数ppm程度であり、20ppmのClは加速試験である。測定は、サイクリックボルタモグラムにより運転前を1とした場合のPt表面積として比較した。
Figure 2009076319
表1の結果、Pt面積の低下が抑制されたことがわかった。従って、中心の金属にClが配位しPt溶出に対して無害化されていることを確認した。
燃料電池運転中に溶出した触媒金属を捕捉し、同時にコンタミ成分である塩素イオンを捕捉することによって、触媒活性が低下することができる。これにより、燃料電池の発電特性の向上に寄与する。
本発明の作用を模式的に示す(溶出金属がフリーベースポルフィリンの中心で固定される)。 本発明の作用を模式的に示す(ポルフィリン白金錯体にCl等のコンタミ成分が捕捉される)。 Pt担持触媒表面へのポルフィリンの担持方法を示す。 実運転条件下における電圧低下量の測定結果を示す。

Claims (10)

  1. 導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒にMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を存在及び/又は結合させた燃料電池用電極触媒。
  2. 前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物が、ポルフィリン(PP)又はその誘導体、フタロシアニン(Pc)又はその誘導体、テトラアザアヌレン(TAA)又はその誘導体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
  3. 前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物が、極性基を導入されて濡れ性が調節されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒。
  4. 前記触媒金属が、白金系元素又は白金系元素と他の元素との合金であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  5. 導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒を溶媒中でMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物と反応させて該導電性担体表面に酸素を介して該MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を担持させる工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法。
  6. 導電性担体に触媒金属が担持された燃料電池用電極触媒に溶媒中でMN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物を混合する工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法。
  7. 前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物が、ポルフィリン(PP)又はその誘導体、フタロシアニン(Pc)又はその誘導体、テトラアザアヌレン(TAA)又はその誘導体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  8. 前記MN4キレート構造を形成しうるフリーベース窒素含有大環状化合物が、極性基を導入されて濡れ性が調節されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  9. 前記触媒金属が、白金系元素又は白金系元素と他の元素との合金であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  10. 請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒を有する固体高分子型燃料電池。
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