JP2009074666A - 歯車装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェースギヤの歯面の潤滑剤の枯渇を防止して、長期にわたって潤滑を行う。
【解決手段】フェースギヤ10を平歯車によって回転させる。フェースギヤ10の歯12の歯面21における径方向外方側への延長面を仮想延長面Hとして、仮想延長面Hの中側に潤滑剤保持部13を設ける。潤滑剤保持部13は、径方向外方側端面23をほぼ台形状に径方向外方に突出させたような形状を有していて、貯留面13bと径方向外方側端面23とによって段状に構成されている。相手歯車の歯面のうち、接触時に歯面21の径方向外方側端縁21aからはみ出した部分をはみ出し部とすると、貯留された潤滑剤は、はみ出し部に接触し、これを介して、長期にあたって歯面間に供給される。
【選択図】図4

Description

本発明は、各種自動車部品、産業機械、精密機械等の動力伝達装置等に使用される歯車装置に関する。
従来から、自動車の各種部品や産業機械等の動力伝達装置には、樹脂歯車が広く使用されている。その主な理由として、金属歯車と比較して、軽量であり、自己潤滑性があり、作動音が静かである、等の利点が挙げられている。
樹脂歯車において、高い減速比を得ようとした場合、金属歯車と同様、一般に、ウォームギヤとウォームホイールの組み合わせが用いられるが、近時、主に伝達効率を向上させるという観点から、この組み合わせに代えて、フェースギヤと平歯車(又は、はすば歯車)との組み合わせが使用されている。ところで、樹脂歯車は、上述のように自己潤滑性があるが、さらに外的に潤滑剤(例えば、グリス)を供給した場合には、さらなる長寿命化が可能であるといわれている。
ところが、潤滑剤を樹脂歯車に供給する場合、潤滑剤を単に、歯面に塗布しただけの場合、潤滑剤は、2つの歯面の接触部分の移動によって押し出されるようにして同方向に移動されるため、長期にわたる効果を期待することができない。なお、この点は、金属歯車についても同様である。
特許文献1では、金属製のフェースギヤの歯面に複数の段差を設け、ここに潤滑剤を保持するようにしている。これにより、潤滑剤の保持力を高め、長期にわたる潤滑剤の供給を可能にしている。
特開2002−233276号公報
しかしながら、上述の特許文献1によると、フェースギヤの歯面に段差を設けることにより、潤滑剤の保持力は向上するものの、段差が形成された歯面に相手歯車の歯面が摺擦されるため、騒音が増加し、歯面の摩耗が促進されて寿命が低下するという問題があった。すなわち、騒音を低下させ、摩耗を抑制して長寿命化を達成することができる潤滑剤の保持力を高めるための構成自体が、一般に、騒音が増加し、歯面の摩耗を促進させて寿命を低下させる構成となっている。なお、上述のように、特許文献1は、金属歯車についての発明であるが、金属歯車についての特許文献1の問題点は、そのまま、樹脂製の歯車についても当てはまる問題である。
そこで、本発明は、騒音の増加や摩耗の増長を招くことのない構成でありながら、潤滑剤の保持力を高めて、潤滑剤による騒音の低下や摩耗の抑制を長期にわたって実現することができる歯車装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明は、フェースギヤと、前記フェースギヤと噛み合う相手歯車とからなる歯車装置であって、前記フェースギヤは、ウェブと、前記ウェブの径方向外側に形成された背面部と、歯先面、一方の歯面、及び他方の歯面を有し、前記背面部の一方の側面において周方向に沿って複数形成された歯と、前記背面部と一体に形成されるとともに、前記歯の径方向外方側端面よりも径方向外側に配置された潤滑剤保持部と、を備え、前記潤滑剤保持部は、前記歯の一方の歯面を径方向外方に延長して形成される一方の仮想延長面と、前記歯の他方の歯面を径方向外方に延長して形成される他方の仮想延長面との間の領域であって、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面を除く領域に配置され、前記相手歯車は、前記フェースギヤと噛み合う際、前記相手歯車の軸方向における両側面のうち、前記フェースギヤの前記歯の径方向外方側端面側の側面が、、前記フェースギヤの歯面における径方向外方側端縁よりも径方向外方側に位置する、ことを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部は、前記歯の歯先面の歯たけと同じ高さに形成された潤滑剤保持部歯先面と、前記一方の仮想延長面に対向して配置される一方の面と、前記他方の仮想延長面に対向して配置される他方の面とを備え、前記潤滑剤保持部歯先面の歯厚方向における厚さは、前記歯の前記径方向外方側端面における前記歯先面の歯厚方向における厚さよりも薄くなる、ことを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部は、その径方向内方側端面が前記歯の前記径方向外方側端面に接続され、前記潤滑剤保持部歯先面は、前記歯先面より歯たけ方向における高さが低く形成され、前記一方の面及び前記他方の面は、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面から歯厚方向中側に所定距離、離間した位置に形成された、ことを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部は、径方向外方側ほど歯たけ方向における断面の断面積が増加するように形成されている、ことを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部の前記径方向外方側端面には、前記潤滑剤保持部の前記径方向外方側端面よりも前記歯厚方向の厚さが厚く形成された潤滑剤止め部が形成された、ことを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項1に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部は、前記潤滑剤保持部の径方向内方側端面が、前記歯の前記径方向外方側端面に対向するように形成された壁面部である、ことを特徴としている。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6に係る歯車装置において、前記歯の径方向内方側端面には、前記歯の歯たけよりも高く、且つ、円環状に形成された潤滑剤流出防止壁を備えた、ことを特徴としている。
請求項8に係る発明は、フェースギヤと、前記フェースギヤと噛み合う相手歯車とからなる歯車装置であって、前記フェースギヤは、ウェブと、前記ウェブの径方向外側に形成された背面部と、歯先面、一方の歯面、及び他方の歯面を有し、前記背面部の一方の側面において周方向に沿って複数形成された歯と、前記背面部と一体に形成されるとともに、前記歯の径方向内方側端面よりも径方向内側に配置された潤滑剤保持部と、を備え、前記潤滑剤保持部は、前記歯の一方の歯面を径方向内方に延長して形成される一方の仮想延長面と、前記歯の他方の歯面を径方向内方に延長して形成される他方の仮想延長面との間の領域であって、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面を除く領域に配置され、前記相手歯車は、前記フェースギヤと噛み合う際、前記相手歯車の軸方向における両側面のうち、前記フェースギヤの前記歯の径方向内方側端面側の側面が、、前記フェースギヤの歯面における径方向内方側端縁よりも径方向内方側に位置する、ことを特徴としている。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部は、前記歯の歯先側となる位置に形成された潤滑剤保持部歯先面と、前記一方の仮想延長面に対向して配置される一方の面と、前記他方の仮想延長面に対向して配置される他方の面とを備え、前記潤滑剤保持部は、その径方向外方側端面が前記歯の前記径方向内方側端面に接続され、前記潤滑剤保持部歯先面は、前記歯先面より歯たけ方向における高さが低く形成され、前記一方の面及び前記他方の面は、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面から歯厚方向中側に所定距離、離間した位置に形成された、ことを特徴としている。
請求項10に係る発明は、請求項8に係る歯車装置において、前記潤滑剤保持部は、前記潤滑剤保持部の径方向外方側端面が、前記歯の前記径方向内方側端面に対向するように形成された壁面部である、ことを特徴としている。
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に係る歯車装置において、射出成形によって形成される、ことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、相手歯車が駆動歯車で、フェースギヤが被動歯車となる構成を規定していて、両歯車の歯面の接触部分は、径方向外方側端縁から径方向内方側端縁に向けて移動する。また、潤滑剤保持部は、背面部と一体に形成されるとともに、歯の径方向外方側端面よりも径方向外側で、且つ、一方及び他方の仮想延長面の間の領域(ただし、一方及び他方の仮想延長面は除く。)に形成され、また、相手歯車は、フェースギヤと噛み合う際、軸方向における両側面のうち、前記フェースギヤの前記歯の径方向外方側端面側の側面が、フェースギヤの歯面の径方向外方側端縁よりも外方側に位置(この外方側に位置する部分を適宜「はみ出し部」という。)するので、潤滑剤保持部によって潤滑剤が保持されている場合には、この潤滑剤は、はみ出し部に接触することになる。そして、はみ出し部に接触した潤滑剤は、はみ出し部の少なくとも一部がフェースギヤの歯面の径方向外方側端縁を越えて径方向外方側から径方向内方側に移動するのに伴って、両歯面間に供給され、さらに両歯車の歯面の接触部分の移動に伴って径方向外方側端縁から径方向内方側端縁に向けて移動することになる。つまり、潤滑剤の移動方向に沿っての上流側(径方向外方側端縁側)に、潤滑剤の供給源となる潤滑剤保持部が形成されており、潤滑剤は供給源から順次にはみ出し部を介して両歯面の間に供給されるので、長期にわたって両歯面間の潤滑を維持することが可能となる。すなわち、騒音の増加や摩耗の増長を招くことのない構成でありながら、潤滑剤の保持力を高めて、潤滑剤による騒音の低下や摩耗の抑制を長期にわたって実現することができる。また、潤滑剤保持部は、一方及び他方の仮想延長面の間の領域に配置されているので、潤滑剤保持部が相手歯車の相手方歯面に、不要に接触するおそれはない。なお、はみ出し部については、その値が正の場合はもちろん、0の場合も含むものとする。この場合には、潤滑剤保持部に貯留された潤滑剤は、両歯面の隙間の潤滑剤が径方向外方側から径方向内方側に移動するのに伴って、引っ張られるようにして両歯面間に供給されることになる。
請求項2の発明によれば、潤滑剤保持部は、潤滑剤保持歯先面が、歯の歯先面の歯たけと同じ高さに形成されていて、一方の面と一方の仮想延長面との間、及び他方の面と他方の仮想延長面との間に潤滑剤を保持することができる。このため、フェースギヤと相手歯車との間に、少ない貯留量の潤滑剤を、長期にわたって無駄なく効率よく供給することができる。
請求項3の発明によれば、潤滑剤保持部は、歯における径方向外方側端面の一部を径方向外方側に突出させるように形成されていて、一方及び他方の面が、一方及び他方の仮想延長面から所定距離だけ離間した位置に形成され、潤滑剤保持部歯先面が、歯先面より歯たけ方向における高さが低く形成されていて、これら一方の面,他方の面,及び潤滑剤保持歯先面が、歯の径方向外方側端面に対して段状に形成されている。つまり、径方向外方側から見ると、潤滑剤保持部は、歯の径方向外方側端面の内側にこれよりも小さく形成されている。そして、この段状の部分に潤滑剤を保持することができる。このため、フェースギヤと相手歯車との間に、少ない貯留量の潤滑剤を、長期にわたって無駄なく効率よく供給することができる。
請求項4の発明によれば、潤滑剤保持部は、径方向外方側ほど歯たけ方向における断面の断面積が増加するように形成されている。すなわち、一方の面、潤滑剤保持歯先面、他方の面のうち、少なくとも1つは、外側に広がるように形成されているので、潤滑剤保持部によって保持した潤滑剤にフェースギヤの回転によって遠心力が作用した場合であっても、その遠心力に対向する力を発生させて、潤滑剤が径方向外方側に移動するのを抑制することができる。
請求項5の発明によれば、潤滑剤止めにより、潤滑剤の径方向外方側への移動を一層、確実に防止することができる。
請求項6の発明によれば、歯の径方向外方側端面と潤滑剤保持部の壁面部の径方向内方側端面との間に、潤滑剤を保持することができる。
請求項7の発明によれば、径方向外方側端縁から径方向内方側端縁に移動した潤滑剤が、潤滑剤流出防止壁により、それ以上、径方向内方側へ移動するのを防止することができる。
請求項8の発明によれば、フェースギヤが駆動歯車で、相手歯車が被動歯車となる構成を規定していて、両歯車の歯面の接触部分は、径方向内方側端縁から径方向外方側端縁に向けて移動する。また、潤滑剤保持部は、背面部と一体に形成されるとともに、歯の径方向内方側端面よりも径方向内側で、且つ、一方及び他方の仮想延長面の間の領域(ただし、一方及び他方の仮想延長面は除く。)に形成され、また、相手歯車は、フェースギヤと噛み合う際、径方向内方側端縁が、フェースギヤの歯面の径方向内方側端縁よりも内方側に位置(この内方側に位置する部分を適宜「はみ出し部」という。)するので、潤滑剤保持部によって潤滑剤が保持されている場合には、この潤滑剤は、はみ出し部に接触することになる。そして、はみ出し部に接触した潤滑剤は、はみ出し部の少なくとも一部がフェースギヤの歯面の径方向内方側端縁を越えて径方向内方側から径方向外方側に移動するのに伴って、両歯面間に供給され、さらに両歯車の歯面の接触部分の移動に伴って径方向内方側端縁から径方向外方側端縁に向けて移動することになる。つまり、潤滑剤の移動方向に沿っての上流側(径方向内方側端縁側)に、潤滑剤の供給源となる潤滑剤保持部が形成されており、潤滑剤は供給源から順次にはみ出し部を介して両歯面の間に供給されるので、長期にわたって両歯面間の潤滑を維持することが可能となる。すなわち、騒音の増加や摩耗の増長を招くことのない構成でありながら、潤滑剤の保持力を高めて、潤滑剤による騒音の低下や摩耗の抑制を長期にわたって実現することができる。また、潤滑剤保持部は、一方及び他方の仮想延長面の間の領域に配置されているので、潤滑剤保持部が相手歯車の相手方歯面に、不要に接触するおそれはない。なお、はみ出し部については、その値が正の場合はもちろん、0の場合も含むものとする。この場合には、潤滑剤保持部に貯留された潤滑剤は、両歯面の隙間の潤滑剤が径方向内方側から径方向外方側に移動するのに伴って、引っ張られるようにして両歯面間に供給されることにな
る。
請求項9の発明によれば、潤滑剤保持部は、歯における径方向内方側端面の一部を径方向内方側に突出させるように形成されていて、一方及び他方の面が、一方及び他方の仮想延長面から所定距離だけ離間した位置に形成され、潤滑剤保持部歯先面が、歯先面より歯たけ方向における高さが低く形成されていて、これら一方の面,他方の面,及び潤滑剤保持歯先面が、歯の径方向内方側端面に対して段状に形成されている。つまり、径方向内方側から見ると、潤滑剤保持部は、歯の径方向内方側端面の内側にこれよりも小さく形成されている。そして、この段状の部分に潤滑剤を保持することができる。このため、フェースギヤと相手歯車との間に、少ない貯留量の潤滑剤を、長期にわたって無駄なく効率よく供給することができる。
請求項10の発明によれば、径方向内方側端縁から径方向外方側端縁に移動した潤滑剤が、潤滑剤流出防止壁により、それ以上、径方向外方側へ移動するのを防止することができる。
請求項11の発明によれば、上述の請求項1乃至請求項10に係る効果を奏するフェースギヤを射出成形によって容易に形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
<実施形態1>
図1〜図7を参照して、本発明に係る歯車装置1について説明する。このうち、図1(a)はフェースギヤ10の正面図、図1(b)は図1(a)のフェースギヤ10の歯12を矢印B方向から見た図、図1(c)は図1(a)中のA−A線に沿って切断して示すフェースギヤ10の断面図である。図2は、図1(c)中の二点鎖線Pで示す歯12の近傍の拡大図である。ただし、同図ではフェースギヤ10に噛合する平歯車(相手歯車)26及びモータ27も図示している。つまり、歯車装置1の噛み合い部分を示している。る。図3(a)は、フェースギヤ10から歯12を取り出して拡大して示す斜視図であり、図3(b)は歯12を正面側(図3(a)における上方)から見た図である。ただし、同図では、潤滑剤保持部13(図4参照)を取り除いた状態を図示している。図4(a)は潤滑剤保持部13を説明する斜視図であり、図4(b)は潤滑剤保持部13を正面側(図4(a)における上方)から見た図である。図5(a)は潤滑剤保持部30(第1の変形例)を説明する斜視図であり、図5(b)は潤滑剤保持部30を正面側(図5(a)における上方)から見た図である。図6(a)は潤滑剤保持部32(第2の変形例)を説明する斜視図であり、図6(b)は潤滑剤保持部32を正面側(図6(a)における上方)から見た図である。図7(a)は潤滑剤保持部33(第3の変形例)を説明する斜視図であり、図7(b)は潤滑剤保持部33を正面側(図7(a)における上方)から見た図である。
図2に示すように、歯車装置1は、フェースギヤ10と、このフェースギヤ10に噛み合う相手歯車26とによって構成されている。
図1に示すように、フェースギヤ10は、例えば、樹脂材料を射出成形することによって形成されている。樹脂材料、例えば、ポリアセタール,ポリアミド,ポリフェニレンサルファイド,ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性のものを使用することができる。
図1に示すように、フェースギヤ10は、ウェブ11と、このウェブ11の径方向外側に形成された背面部17と、この背面部17における一方の側面において周方向沿って複数形成された歯12と、これら歯12における径方向外方側に形成された潤滑剤保持部13とを備えている。
このうちウェブ11は、ほぼ円板状に形成されていて、中心には、ウェブ11と同心のボス14が配設されている。ボス14は、円筒状に形成されていて、中心には、回り止め(不図示)を介して軸15が嵌合される軸孔16が形成されている。
歯12は、ウェブ11の一方の側面における径方向外方端側、すなわち、ウェブ11の径方向外方に形成された背面部17における一方の側面側(正面側)に形成されている。各歯12は、径方向外方端側において、径方向内方側から径方向外方側に延びるように形成され、且つ、ウェブ11の周方向に沿って、所定のピッチで複数形成されている。図3に示すように、各歯12は、歯先面20と、この歯先面20の周方向の両側端縁から斜め下方に延びる2つの歯面21(一方の歯面21及び他方の歯面21)と、これら歯面21の下端縁に連続する歯底面22と、径方向外方側端面23と、径方向内方側端面24とを有している。なお、径方向内方側端面24は、後述する潤滑剤止め(潤滑剤流出防止壁)25によって覆われた状態となっている。ここで、一方の歯面21及び他方の歯面21における径方向の外側の端縁を径方向外方側端縁21a、内側の端縁を径方向内方側端縁21bとすると、2つの歯面21をこれら径方向外方側端縁21aの外方及び径方向内方側端縁21bの内方に延長した仮想的な面を仮想延長面H(一方の仮想延長面H及び他方の仮想延長面H)とする。
ここで、以下の説明においては、上述の「径方向外方側端面23」と「径方向外方側端縁21a」とは、意図的に区別して使用するものとする。「径方向外方側端面23」とは、歯12における歯先面20及び2つの歯面21に交差(ほぼ直交)する2つの端面のうち、内側ではなく外側に位置する面のことをいう。これに対して、「径方向外方側端縁21a」とは、歯面21における径方向の異なる位置にある2つの端縁のうち、内側ではなく外側に位置する端縁のことをいう。また、「径方向外方側端縁21a」は、上述の「径方向外方側端面23」と「歯面21」との交線でもある。したがって、潤滑剤の供給(移動)についての説明では、専ら「径方向外方側端縁21a」を使用することになる。後述するように、潤滑剤貯留面13A(図4参照)に貯留された潤滑剤は、この「径方向外方側端縁21a」を越えて、径方向外側から径方向内側に移動して、フェースギヤ10側の歯面29aと平歯車26側の歯面29aとの間に供給されるからである。
本実施形態では、フェースギヤ10は、歯12が創成歯形であり、図2に示すように、この歯12に噛合する相手歯車は、平歯車26となっている。そして、フェースギヤ10の歯12と平歯車26の歯29とが噛合されており、歯12の歯面21と歯29の歯面(相手方歯面)29aとが接触(当接)するようになっている。これら歯面21,29aは、いずれもインボリュート歯形で形成されている。また、本実施形態では、上述の平歯車26は、モータ27の出力軸28に固定されていて駆動歯車となり、したがって、フェースギヤ10は被動歯車となっている。すなわち、モータ27の駆動力は、出力軸28を介して、平歯車26に伝達され、平歯車26側の歯面29aを介して、フェースギヤ10側の歯面21に伝達され、これにより、フェースギヤ10が回転される(従動回転する)ようになっている。なお、平歯車26は、フェースギヤ10と同じ材質で形成されている。
ここで、本実施形態では、図2に示すように、フェースギヤ10と平歯車26とは、平歯車26の歯29の歯面29aに、はみ出し部Dができるように、それぞれの歯12,26が噛み合わされている。はみ出し部Dとは、平歯車26の歯面29aのうち、フェースギヤ10の歯面21と接触する際にこの歯面21の径方向外方側端縁21aから径方向外側にはみ出すことがある部分のことをいう。例えば、平歯車26の回転によって、フェースギヤ10が一方向に回転される場合、両歯面29a,12の接触が、フェースギヤ10の中心に対してフェースギヤ10の回転方向に沿って0〜θ度(θ>0)の範囲で行われるものとすると、上述で定義したはみ出し部Dの径方向の幅D1は、原理的には、フェースギヤ10の回転角度が0度のときにほぼ最大となり、θ/2度に近づくほど小さくなり、θ/2度を超えると、θ/2度から遠ざかるほど大きくなり、θ度のときにほぼ最大となる。この点を考慮すると、「はみ出すことがある部分」である「はみ出し部D」とは、その幅D1が最大となるとるときのはみ出し部Dであると考えられる。なお、このはみ出し部Dは、幅D1が最大となるときに確保されていれば十分であり、フェースギヤ10の回転に伴ってなくなる場合であってもよい。このように、はみ出し部Dを確保しておけば、少なくともはみ出し部Dの幅D1が最大になったときには、後述するように、はみ出し部Dが、潤滑剤保持部13(図4参照)に貯留された潤滑剤に接触することになり、フェースギヤ10の回転に伴って、はみ出し部Dがフェースギヤ10の歯面21の径方向外方側端縁21aを越えて、径方向外側から内側に相対的に移動するときに、潤滑剤が両歯面29a,21間に供給されることになる。本実施形態1では、潤滑剤保持部13からの潤滑剤の供給は、上述のフェースギヤ10が0〜θ度回転する例では、主にフェースギヤ10の回転角度の0〜θ/2度の範囲で行われ、θ/2度の範囲では、ほとんど行われない。
なお、本発明においては、はみ出し部Dの幅が0の場合も含まれるものとする。すなわち、はみ出し部Dの幅D1が最大となる、フェースギヤ10の回転角度(上述の例示では、0度(又はθ度))において、幅D1が0となる場合、詳しくいうと、フェースギヤ10の回転角度が0度の場合に、フェースギヤ10の歯面21の径方向外方側端縁21aと平歯車26の歯面29aにおける図2中のモータ27に近い方の端縁29bとが一致するような場合、はみ出し部Dがないので、潤滑剤は、はみ出し部Dに接触することはない。しかし、潤滑剤は、相互に一致したフェースギヤ10の歯面21の径方向外方側端縁21aと平歯車26側の歯面29aの端縁29bとの接触部に接触することになる。このため、接触部に接触する潤滑剤は、両歯面21,29aの間の潤滑剤が径方向外方側端縁から径方向内方側に移動されるのに伴って、両歯面21,29aに引っ張られるようにして供給される。
以上のはみ出し部Dの説明をまとめると、はみ出し部Dは、その径方向の幅D1が最大となる場合に、少しでも確保されていれば十分である。また、はみ出し部Dは、径方向の幅D1を最大とするときのフェースギヤ10の回転角度において、幅D1が0であってもよい。ただし、より良好な潤滑という観点からは、幅D1>0となることが好ましい。
なお、後述する実施形態2においては、フェースギヤ10の回転角度と、はみ出し部Dの径方向の幅D1の大小関係とは、本実施形態1とは逆になる。すなわち、はみ出し部Dの幅D1は、フェースギヤ10の回転角度が0度のときにほぼ最小となり、θ/2度に近づくほど大きくなって、θ/2度でほぼ最大となり、θ/2度から遠ざかるほど大きくなり、θ度においてほぼ最大となる。また、潤滑剤保持部13からの潤滑剤の供給についても、主にフェースギヤ10の回転角度のθ/2〜θ度の間で行われることになる。
本実施形態では、図4に示すように、各歯12の径方向外方側端面23にそれぞれ潤滑剤保持部13を設けた。この潤滑剤保持部13は、図1(c),図2,図4に示す背面部17と一体的に構成されるとともに、歯12の径方向外方側端面よりも径方向外側に配置されている。図4に示す潤滑剤保持部13は、歯12の径方向外方側端面23の一部を、径方向外方側に突出させたような形状に形成されている。つまり、潤滑剤保持部13は、一方の仮想延長面Hと他方の仮想延長面Hとの間の領域であって、一方の仮想平面H及び他方の仮想平面Hをも族領域に配置されている。言い換えると、潤滑剤保持部13は、一方の仮想延長面H及び他方の仮想延長面Hに対して歯厚が薄くなるように形成された2つの貯留面13b(一方の面13b及び他方の面13b)を有していて、この貯留面13bと、歯12の径方向外方側端面23における貯留面13bよりも歯厚方向外側に位置する部分とにより、段状の潤滑剤保持部13を構成している。なお、上述の2つの貯留面13bは、それぞれ一方の仮想延長面H及び他方の仮想延長面Hに対向するように配置されている。
以下、潤滑剤保持部13について詳述する。潤滑剤保持部13は、2つの仮想延長面Hの間の領域、すなわち歯12全体の歯厚方向(矢印W方向)の歯厚中心を通る中心面C(ただし、同図では、1本の一点鎖線で図示)側の領域において、歯12の径方向外方側端面23の一部を突設するように形成されている。潤滑剤保持部13は、側面13aと2つの貯留面(傾斜面)13bと、頂面(潤滑剤保持部歯先面)13cとを有していて、歯12の径方向外方側端面23と、貯留面13b及び頂面13cとの間には、歯面21及び歯先面20に沿った段部が形成されている。すなわち、潤滑剤保持部13の貯留面13bは、仮想延長面Hを歯厚方向中央側に向かって歯厚が薄くなる位置に配置されており、また、頂面13cは、歯先面20を径方向外方に延長した面(不図示)に対して、歯たけが低くなるような位置に配置されている。言い換えると、潤滑剤保持部13は、その径方向内方側端面が、歯12の径方向外方側端面23に接続されており、さらに、潤滑剤保持部13の頂面13cは、歯12の歯先面20より歯たけ方向における高さが低く形成され、且つ一方の貯留面13b及び他方の貯留面13bは、一方の仮想延長面H及び他方の仮想延長面Hから歯厚方向中側に所定距離(本実施形態では、ある一定の距離)、離間した位置に配置されている。上述した段部が潤滑剤を貯留する潤滑剤保持部13を構成している。本実形態では、この段状の潤滑剤保持部13に潤滑剤が貯留されることになる。なお、2つの貯留面13bの下端は、歯底面22と同一の面と交差することになる。
この潤滑部保持部13に貯留された潤滑剤は、平歯車26側の歯面29aとフェースギヤ10側の歯面21とが接触する際に、歯面29aのはみ出し部Dに接触する。そして、はみ出し部Dに付着した潤滑剤は、平歯車26側の歯面29aとフェースギヤ10側の歯面21との接触部分が、径方向外方側端縁21aから径方向内方側端縁21bに向かって移動するのに伴って、同方向に移動する。このように、供給源としての潤滑剤保持部13に貯留されている潤滑剤は、はみ出し部Dを介して、両歯面29a,21間に供給されるので、長期にわたって両歯面29a,21間を潤滑することができる。また、本実施形態では、歯12の径方向内方側端面24を覆うように、潤滑剤流出防止壁25が形成されている。潤滑剤流出防止壁25は、ウェブ11の一方の側面に壁状に立設されていて、ウェブ11の全周にわたって環状に形成されている。潤滑剤流出防止壁25は、歯12の歯たけよりも高く、且つ、図1(c)に示すボス14の中心を基準として、円環状に形成されている。この潤滑剤流出防止壁25は、上述の潤滑剤保持部13に貯留されて、上述の両歯面29a,21の接触部分の移動に伴って、径方向外方側端縁21aから径方向外方側端縁21bに向かって移動した潤滑剤が歯12よりもウェブ11の内側に不要に流れることを防止するためのものである。なお、図4に示す例では、潤滑剤保持部13の頂面13cが歯先面20よりも低く形成されていて、この部分にも潤滑剤が貯まる構成となっているがこの部分は省略することも可能である。つまり、頂面13cは、歯先面20と同一平面上に形成されるようにしてもよい。
上述のフェースギヤ10によると、潤滑剤の供給源となる潤滑剤保持部13が、従来技術とは異なり、歯面21以外の箇所に配置されているので、両歯面29a,21の接触(歯21,29の噛み合い)に悪影響を与えるおそれはない。つまり摩耗が促進されたり、騒音が増加したりするおそれはない。また、潤滑剤保持部13を歯面21以外の箇所に配置した場合であっても、積極的にはみ出し部Dを設けるようにしているので、潤滑剤をこのはみ出し部Dを介して、順次、両歯面29a,21間に供給することが可能になる。さらに、潤滑剤保持部13を、2つの歯面21,21の仮想延長面Hの中側(仮想延長面Hと同一面を含む)に設けているので、この潤滑剤保持部13に相手方の平歯車26の歯29が干渉するおそれもない。なお、上述では、貯留面13bは、歯たけ方向の断面形状が、仮想延長面Hの歯たけ方向の断面形状と同形になる場合を例に説明したが、貯留面13bはこれに限定されるものではなく、例えば、緩く湾曲した貯留面13bに対して、これの凹凸をならすように近似させた平面で形成するようにしてもよい。
本実施形態における図4に示す例では、潤滑剤保持部13の頂面13cは、歯12の歯先面20より歯たけ方向における高さが低くなるように形成されているが、これに代えて、頂面13cは、歯先面13と同じ高さとなるように形成してもよい。この場合には、頂面13の歯厚方向(矢印W方向)における厚さは、歯21の径方向外方側端面における歯先面20の歯厚方向における厚さよりも薄くなる。
図5を参照して、第1の変形例としての潤滑剤保持部30を説明する。同図に示すように、潤滑剤保持部30は、歯12の径方向外方側端面23の一部を歯たけ方向断面がほぼ台形状に形成されている。そして、径方向外方に行くほど潤滑剤保持部30の歯たけ方向断面の断面積が増加するように、径方向外方側へ突出させるようにして形成されている。潤滑剤保持部30は、端面30aと、貯留面30bと、頂面30cとを有していて、2つの歯面21,21の仮想延長面Hの中側に配置されるように形成されている。本第1の変形例において、上述の図4に示す潤滑剤保持部13と比較して、異なる点は、貯留面30bがテーパ状に形成されている点である。貯留面30bは、径方向外方側ほど歯厚方向(矢印W方向)に広がるように形成されている。すなわち貯留面30bは、径方向外方側に位置する部分ほど歯12の中心面Cから遠ざかるように形成されている。第1の変形例では、径方向外方側端面23と貯留面30bとによって段状の潤滑剤保持部30を構成し、ここに潤滑剤を貯留するようにしている。第1の変形例の潤滑剤保持部30においても、上述の潤滑剤保持部13と同様、相手方の平歯車26のはみ出し部Dが、潤滑剤保持部30Aに貯留された潤滑剤に接触するので、このはみ出し部Dを介して、フェースギヤ10の歯面21と平歯車26の歯面29aとの接触部分に順次に潤滑剤を供給することができる。さらに、第1の変形例の潤滑剤保持部30においては、上述のように貯留面30bが径方向外方に外開きのテーパ状に形成されているので、フェースギヤ10が回転して、潤滑剤保持部30の貯留されている潤滑剤に遠心力が作用した場合でも、貯留面30bによって潤滑剤が径方向外方側へ移動しにくくすることができるので、上述の潤滑剤保持部13と比較して、長期にわたって、潤滑剤がはみ出し部Dに接触しやすい状態を創り出すことができる。また、第1の変形例における頂面30cの歯たけ方向の高さは、歯先面20より低い場合を示したが、歯先面20と同一平面上に形成されてもよい。
図6を参照して、第2の変形例としての潤滑剤保持部32を説明する。同図に示す潤滑剤保持部32は、図4に示す潤滑剤保持部13と同形の凸部(以下適宜「凸部13」という)の端面(径方向外方側端面)13aの周端縁に、縁取り状に潤滑剤止め31を設けたものである。潤滑剤止め31は、歯厚方向(矢印W方向)の厚さが、潤滑剤保持部32における径方向外方側端面の歯厚方向の厚さよりも厚く形成されている。言い換えると、歯部12の径方向外方側端面23の一部をほぼ台形状に突出させた凸部13の端面にこれよりも歯たけ方向及び歯厚方向の大きさが大きいほぼ台形状の薄板部材34が一体的に形成されている。ここで、歯底面から22から、歯先面20までの高さをL1、凸部13の頂面13cまでの高さをL2、薄板部材34の頂部34cまでの高さをL3とすると、これらの高さt1,t2,t3は、
t1≧t3>t2
の関係が成立するように設定されている。
第2の変形例では、歯12の径方向外方側端面23と、凸部13の貯留面13bと、潤滑剤止め31との間に潤滑剤保持部32が構成され、ここに潤滑剤が貯留される。本第2の変形例の潤滑剤保持部32によると、凸部13に対して薄板部材34が、歯たけ方向及び歯幅方向のいずれにも大きく形成されているので、つまり、凸部13に対して、潤滑剤止め31が歯たけ方向上方、及び歯厚方向外側に突出するように形成されているので、フェースギヤ10が回転して、潤滑剤保持部32に貯留された潤滑剤に遠心力が作用した場合に、径方向外方に移動しようとする潤滑剤を潤滑剤止め31が確実に阻止して、滑剤を潤滑剤保持部32に確実に保持しておくことができる。なお、本第2の変形例に係る潤滑剤保持部32においてもその全体が2つの歯面21,21の仮想延長面Hの中側(仮想延長面Hと同一面を含む)に配設されていて、潤滑剤保持部32が相手方の平歯車26に不要に干渉するようなことはない。なお、第2の変形例では、凸部13の端面に台形状の薄板部材34を一体的に形成した例を示したが、これに限定されず、凸部13の端面と薄板部材とが径方向に離間していてもよい。
図7を参照して、第3の変形例としての潤滑剤保持部33を説明する。同図に示しように、潤滑剤保持部33は、背面部17と一体的に形成されたほぼ台形状の薄板状の部材によって形成されており、その径方向内方側端面が、歯12の径方向外方側端面23に対向するように配置されている。言い換えると、この潤滑剤保持部33は、図6に示す潤滑剤保持部32の凸部13が形成されていないものであるといえる。ほぼ台形状の潤滑剤保持部33は、2つの側部33b,33bがそれぞれ2つの歯面21の仮想延長面Hの中側に配置され、また、頂部33cが歯先面20よりも低く配置されている。潤滑剤保持部33においては、歯12の径方向外方側端面23と潤滑剤保持部33との間に構成されるスリットが潤滑剤保持部33となり、また、潤滑剤保持部33における、歯12の歯底面22に対応する面が貯留面33aとなる。本第3の変形例においても、潤滑剤保持部33は、2つの歯面21,21の仮想延長面Hの中側(仮想延長面Hと同一面上を含む。)に形成されており、潤滑剤保持部33に貯留された潤滑剤は、上述同様、はみ出し部Dを介して、両歯面29a,21間に供給される。
以上の説明では、潤滑剤保持部13,30,32,33は、いずれも歯12に対して、その両歯面21,21に対応するように形成された場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、例えば、潤滑剤保持部13,30,32においては、一方の歯面21に対応するように形成するようにしてもよい。この場合には、駆動歯車としての平歯車26から駆動力が伝達される側の歯面21に対応するように形成するものとする。ただし、バックラッシに起因する騒音等を低減するという観点からは、潤滑剤保持部13,30,32は、両歯面21に対応させて形成するのが好ましい。
<実施形態2>
上述の実施形態1では、平歯車26が駆動歯車で、フェースギヤ10が被動歯車である場合を例に説明したが、本発明は、この逆の場合、つまりフェースギヤ10が駆動歯車で、平歯車26が被動歯車である場合にも、同様に適用することができる。ここで、駆動歯車とは、その歯車が直接、モータ等の駆動源に取り付けられている場合に限定されず、動力伝達方向に沿っての、被動歯車よりも上流側に配置された歯車という意味で使用している。
フェースギヤ10が駆動歯車である場合、フェースギヤ10側の歯面21と、平歯車26側の歯面29aとの接触部は、フェースギヤ10の回転に伴って、径方向内方側から径方向外方側へと移動する。したがって、両歯面21,29a間の潤滑剤も同方向に移動することになる。
そこで、フェースギヤ10が駆動歯車である場合には、潤滑剤保持部は、歯12に対して、その径方向内方側端面24(図3参照)側に設けることが有効である。この場合、図3に示す潤滑剤流出防止壁25は、潤滑剤保持部よりも径方向内方側に設けるものとする。そして、径方向内方側端面24側に、例えば、図4,図6,図7に示す潤滑剤保持部13,32,33と同様の潤滑剤保持部を配設するようにする。また、平歯車26側の歯面29aは、図2に示すフェースギヤ10側の歯面21の径方向内方側端縁21bの内側にはみ出すはみ出し部D(不図示)が構成されるようにする。潤滑剤保持部に保持された潤滑剤は、フェースギヤ10の回転に伴い、はみ出し部Dを介して、歯面21,29a間に順次に供給され、これら歯面21,29a間を長期にわたって潤滑することができる。
以上の実施形態1,2では、フェースギヤ10に対する相手歯車が平歯車26である場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されず、相手歯車が例えば、はすば歯車である場合にも適用することができる。ただし、この場合には、フェースギヤの歯は、相手方の歯車に対応して、ねじれて形成されているものとする。
また、以上の説明では、フェースギヤ10及び相手歯車26が樹脂材料を射出成形によって形成した場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、射出成形以外の製造方法で形成した合成樹脂製のものであってもよく、さらには、金属製のものであってもよい。
本発明のフェースギヤは、動力を回転伝達する手段又は装置において、例えば、自動車用途、OA機器などに広く適用することができる。
図1(a)はフェースギヤの正面図、図1(b)は図1(a)のフェースギヤの歯12をB方向から見た図、図1(c)は図1(a)中のA−A線に沿って切断して示すフェースギヤの断面図である。 図1(c)中の二点鎖線Pで示す歯の近傍の拡大図である。ただし、同図ではフェースギヤに噛合する平歯車(相手歯車)及びモータも図示している。 図3(a)はフェースギヤから歯を取り出して拡大して示す斜視図であり、図4(b)は歯を正面側(図3(a)における上方)から見た図である。ただし、同図では、潤滑剤保持部を取り除いた状態を図示している。 図4(a)は潤滑剤保持部を説明する斜視図であり、図4(b)は潤滑剤保持部を正面側(図4(a)における上方)から見た図である。 図5(a)は潤滑剤保持部(第1の変形例)を説明する斜視図であり、図5(b)は潤滑剤保持部を正面側(図5(a)における上方)から見た図である。 図6(a)は潤滑剤保持部(第2の変形例)を説明する斜視図であり、図6(b)は潤滑剤保持部を正面側(図6(a)における上方)から見た図である。 図7(a)は潤滑剤保持部(第3の変形例)を説明する斜視図であり、図7(b)は潤滑剤保持部を正面側(図7(a)における上方)から見た図である。
符号の説明
10……フェースギヤ、11……ウェブ、12……歯、13,30,32,33……潤滑剤保持部、13a,30a,32a,33a……貯留面、17……背面部、21……歯面、21a……径方向外方側端縁、21b……径方向内方側端縁、22……歯底面、23……径方向外方側端面、24……径方向内方側端面、25……潤滑剤流出防止壁、26……平歯車(相手歯車)、29……歯、29a……歯面(相手方歯面)、31……潤滑剤止め、W……歯厚方向、D……はみ出し部、H……仮想延長面

Claims (11)

  1. フェースギヤと、
    前記フェースギヤと噛み合う相手歯車とからなる歯車装置であって、
    前記フェースギヤは、
    ウェブと、
    前記ウェブの径方向外側に形成された背面部と、
    歯先面、一方の歯面、及び他方の歯面を有し、前記背面部の一方の側面において周方向に沿って複数形成された歯と、
    前記背面部と一体に形成されるとともに、前記歯の径方向外方側端面よりも径方向外側に配置された潤滑剤保持部と、を備え、
    前記潤滑剤保持部は、前記歯の一方の歯面を径方向外方に延長して形成される一方の仮想延長面と、前記歯の他方の歯面を径方向外方に延長して形成される他方の仮想延長面との間の領域であって、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面を除く領域に配置され、
    前記相手歯車は、前記フェースギヤと噛み合う際、前記相手歯車の軸方向における両側面のうち、前記フェースギヤの前記歯の径方向外方側端面側の側面が、前記フェースギヤの歯面における径方向外方側端縁よりも径方向外方側に位置する、
    ことを特徴とする歯車装置。
  2. 前記潤滑剤保持部は、前記歯の歯先面の歯たけと同じ高さに形成された潤滑剤保持部歯先面と、
    前記一方の仮想延長面に対向して配置される一方の面と、
    前記他方の仮想延長面に対向して配置される他方の面とを備え、
    前記潤滑剤保持部歯先面の歯厚方向における厚さは、前記歯の前記径方向外方側端面における前記歯先面の歯厚方向における厚さよりも薄くなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
  3. 前記潤滑剤保持部は、その径方向内方側端面が前記歯の前記径方向外方側端面に接続され、
    前記潤滑剤保持部歯先面は、前記歯先面より歯たけ方向における高さが低く形成され、
    前記一方の面及び前記他方の面は、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面から歯厚方向中側に所定距離、離間した位置に形成された、
    ことを特徴とする請求項2に記載の歯車装置。
  4. 前記潤滑剤保持部は、径方向外方側ほど歯たけ方向における断面の断面積が増加するように形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の歯車装置。
  5. 前記潤滑剤保持部の前記径方向外方側端面には、前記潤滑剤保持部の前記径方向外方側端面よりも前記歯厚方向の厚さが厚く形成された潤滑剤止め部が形成された、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の歯車装置。
  6. 前記潤滑剤保持部は、前記潤滑剤保持部の径方向内方側端面が、前記歯の前記径方向外方側端面に対向するように形成された壁面部である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
  7. 前記歯の径方向内方側端面には、前記歯の歯たけよりも高く、且つ、円環状に形成された潤滑剤流出防止壁を備えた、
    ことを特徴とする請求項1乃至6に記載の歯車装置。
  8. フェースギヤと、
    前記フェースギヤと噛み合う相手歯車とからなる歯車装置であって、
    前記フェースギヤは、
    ウェブと、
    前記ウェブの径方向外側に形成された背面部と、
    歯先面、一方の歯面、及び他方の歯面を有し、前記背面部の一方の側面において周方向に沿って複数形成された歯と、
    前記背面部と一体に形成されるとともに、前記歯の径方向内方側端面よりも径方向内側に配置された潤滑剤保持部と、を備え、
    前記潤滑剤保持部は、前記歯の一方の歯面を径方向内方に延長して形成される一方の仮想延長面と、前記歯の他方の歯面を径方向内方に延長して形成される他方の仮想延長面との間の領域であって、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面を除く領域に配置され、
    前記相手歯車は、前記フェースギヤと噛み合う際、前記相手歯車の軸方向における両側面のうち、前記フェースギヤの前記歯の径方向内方側端面側の側面が、前記フェースギヤの歯面における径方向内方側端縁よりも径方向内方側に位置する、
    ことを特徴とする歯車装置。
  9. 前記潤滑剤保持部は、前記歯の歯先側となる位置に形成された潤滑剤保持部歯先面と、
    前記一方の仮想延長面に対向して配置される一方の面と、
    前記他方の仮想延長面に対向して配置される他方の面とを備え、
    前記潤滑剤保持部は、その径方向外方側端面が前記歯の前記径方向内方側端面に接続され、
    前記潤滑剤保持部歯先面は、前記歯先面より歯たけ方向における高さが低く形成され、
    前記一方の面及び前記他方の面は、前記一方の仮想延長面及び前記他方の仮想延長面から歯厚方向中側に所定距離、離間した位置に形成された、
    ことを特徴とする請求項8に記載の歯車装置。
  10. 前記潤滑剤保持部は、前記潤滑剤保持部の径方向外方側端面が、前記歯の前記径方向内方側端面に対向するように形成された壁面部である、
    ことを特徴とする請求項8に記載の歯車装置。
  11. 射出成形によって形成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の歯車装置。
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