JP2009074411A - Lpg加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PTCヒータを電極板間に挟んだヒータユニットを有するLPG加熱装置について、構成を複雑にすることなくPTCヒータと電極板との間の接触状態のバラツキを解消して、安定した熱交換性能を確保できるようにする。
【解決手段】電極板65,66でPTCヒータ61,61を挟み込んだ周縁側がフレーム62で囲繞されてなるヒータユニット60Aの複数が並設されており、電極板65,66を介しPTCヒータ61に通電することによりLPGを加熱するLPG加熱装置において、電極板65,66の周縁側外面に当接して係止するための係止面を有した電極板係止爪621,622が係止面を同じ向きにしてフレーム62内周面で周方向に複数配置されてなる電極板固定部を、係止面が互いに対向する向きで2列備えており、この電極板係固定部により電極板65,66内面をPTCヒータ61外面に密着状態にして固定した。
【選択図】図2

Description

本発明は、LPG(液化石油ガス)を加熱・気化してエンジンの吸気管路に供給するベーパライザに設けられるLPG加熱装置に関し、殊に、PTCヒータを電極板で挟持する構成のヒータユニットを並設するLPG加熱装置に関する。
従来、LPGを火花点火エンジンの燃料に使用することは広く知られており、ベーパライザ(レギュレータ)とミキサとを使用して大気圧程度に減圧した気化ガスを吸気管路に吸引させてエンジンに供給する、という方式が従前から行われている。また、特開平6−17709号公報などに記載されているように、LPGを所定正圧の気化ガスに調整して吸気管路に噴射させる方式も広く知られている。
これらの方式において、液体状態で貯留するLPGを加熱・気化させる手段としてエンジン冷却水を利用したLPG加熱装置をベーパライザに内蔵またはその入口側に配置し、エンジン冷却水とLPGとの間で熱交換を行うことが慣用されている。しかし、エンジン冷却水を使用する加熱気化手段では、冷機時において冷却水が低温であるために液体LPGを充分に気化できない不都合を生じることがある。
そこで、エンジン冷却水の熱を利用することに加え、LPG経路中にPTCヒータを備えたLPG加熱装置を配置することにより、冷却水が低温の場合でもLPGを加熱・気化可能として大気圧程度に減圧するベーパライザが普及するようになった。
このようなベーパライザに用いるLPG加熱装置は、一般に図4の縦断面図に示すような構成を有している。このLPG加熱装置2Bは、放熱板を兼ねた一対の電極板63,64により一対のPTCヒータ61,61をゴム製のシール材67で周縁側をシールしながらサンドイッチ状に挟み込みその周縁側をゴム製のフレーム68で囲んで固定してなるヒータユニット60Bの複数枚を隙間を設けて並列に重ねてなるものであり、この複数のヒータユニット60Bの隙間をLPG流路としてこれを通過する液体のLPGを加熱して、気化を促進させるものである。
ところで、この装置の場合、図4のY−Y線に沿って切断した端面図である図5に示すように、PTCヒータ61を挟み込んだ電極板63,64の周縁側をフレーム68内側面に設けた固定溝に嵌入して固定することにより、PTCヒータ61の両外面と電極板63,64各内面との密着状態を確保するようになっている。しかし、フレーム68はシール材67と同様にゴム材からなるのが通常であり、PTCヒータ61と電極板63,64との密着状態にムラが生じやすいという欠点がある。
そのため、PTCヒータ61と電極板63,64との間に隙間が生じた場合、通電により発生した熱が電極板63,64外面まで充分に伝導されないことになり、その部分の熱交換量が不足して燃料の気化不良に繋がる結果となる。即ち、PTCヒータ61の両外面と電極板63,64内面との接触状態にバラツキがある場合には、LPG熱交換器における熱交換性能(ヒータ性能)のバラツキに繋がることから、製品間で安定した品質を確保することを困難にする原因となっていた。
この問題に対し、本願出願人・発明者らは、先に特開2004―332592号公報において、電極板に外向きに突出する凸部を設けその内側のPTCヒータとの間に形成された空間に導電性の接着剤を充填して、PTCヒータ外面と電極板外面とを密着させることにより、通電状態及び熱伝導性を確保しようとする技術を提案した。
この技術によりPTCヒータへの通電状態は充分に確保できるものとなったが、接着剤による接着だけでは電極板をPTCヒータにムラなく密着させて接触状態のバラツキを解消させるには不充分な場合もあり、PTCヒータと電極板との接触状態のバラツキを簡易且つ確実に解消可能とする手段の開発が望まれていた。
特開平6−17709号公報 特開2004―332592号公報
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、PTCヒータを電極板間に挟んだヒータユニットを有するLPG加熱装置について、構成を複雑にすることなくPTCヒータと電極板との間の接触状態のバラツキを解消して、安定した熱交換性能を確保できるようにすることを課題とする。
前記課題を解決するためになされた本発明は、LPGを加熱・気化してエンジンの吸気管路に供給するベーパライザ内に設けられ、一対の電極板でPTCヒータを挟み込むとともにそれらの周縁側をフレームで囲繞した複数のヒータユニットが並設されており、前記各ヒータユニットにおける両電極板を介して通電することで前記PTCヒータを発熱させてベーパライザを通過するLPGを加熱するLPG加熱装置において、前記各電極板はその周縁側外面に当接して係止するための係止面を有した電極板係止爪が前記係止面を同じ向きにして前記フレーム内周面で周方向に複数配置されるとともに前記係止面が互いに対向する向きで備えられた一対の電極板固定部により前記両電極板内面を前記PTCヒータ外面に密着状態に固定していることを特徴とする。
このような構成としたことにより、一対の電極板でPTCヒータを挟みその周縁側をフレームで固定するだけで、複数の電極板係止爪によりPTCヒータと電極板とを密着させて固定できるものとなり、簡易な構成による簡易な手順でPTCヒータと電極板との間の接触状態をバラツキの少ないものとすることができる。
また、その電極板係止爪は、フレームの開口部側から深くなるに従って高さを増しながら係止面まで続く案内斜面を有した突起であり、フレーム開口部側からPTCヒータを挟んだ状態にして電極板を挿入する際に、案内斜面により係止位置まで案内されて固定されたことを特徴とするものとすれば、組立作業が極めて容易なものとなる。
さらに、そのフレームが硬質樹脂からなるものとすれば、フレームの作成が容易になるとともに、ゴム製のフレームと比べて電極板をPTCヒータに密着させて固定する際の電極板固定部の変形量が少ないものとなり、安定的な密着状態を実現することによりPTCヒータと電極板との接触状態をバラツキなく確保しやすいものとなる。
さらにまた、上述したLPG加熱装置において、フレーム内周面の電極板係止爪は係止面の向きが共通した電極板固定部毎に、少なくとも4箇所以上所定間隔で配設されたものとすれば、電極板の周縁側に偏りなく当接するようにして均一な密着状態を実現しやすいものとなり、この場合、その2列の電極板固定部は、各電極板係止爪同士が互い違いとなるように配置されたものとすれば、より多くの箇所で電極板に当接して挟み込むことになるため、一層安定的な接触状態を確保しやすいものとなる。
さらにまた、上述したLPG加熱装置において、その電極板には外向きに突出する凸部が設けられ、その内面側に形成されたPTCヒータとの隙間に導電性金属からなる板バネが介装されており、凸部内面とPTCヒータ外面の双方に弾性的に接触しているものとすれば、PTCヒータへの通電状態をより確保しやすいものとなる。
この場合、その板バネはPTCヒータと電極板との通電を確保しながらPTCヒータ外面と電極板内面との接触部分を乖離させない弾性反発力に設定されたものとすれば、PTCヒータへの通電性を確保しつつPTCヒータと電極板との接触状態を損なわないものとなる。加えて、その板バネは、PTCヒータまたは/及び電極板に接触して導通する部位が少なくとも2つ以上に分岐されて少なくとも2箇所以上で接触しているものとすれば、接触不良の問題を回避しやすいものとなる。
フレーム内周面に電極板係止爪を設けた簡易な構成の本発明により、簡易な手順でPTCヒータと電極板との間の接触状態のバラツキを解消して、安定した熱交換性能を確保できるものとした。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のLPG加熱装置2Aをベーパライザの高圧燃料室内に内装した状態を示す縦断面部分図を示している。LPG加熱装置2Aの全体的構成は、図4の従来のLPG加熱装置2Bとほぼ同様であることから詳細な説明は省略し、本発明の特徴部分となるLPG加熱装置2Aの構成単位であるヒータユニット60Aの構成について、図1のP部分を拡大した図2(A)の拡大部分図及びそのX−X線に沿って切断した端面図である図2(B)を参照しながら詳細に説明する。
一対のPTCヒータ61,61は、各々周面(厚さ方向の側面)に密着するシール材69で位置固定されながら、放熱板を兼ねた電極板65,66で外面側を挟み込まれてその周縁側に密着して囲繞する硬質樹脂製のフレーム62で固定されて1つのヒータユニット60Aを構成している。このPTCヒータ61,61は、シール材69によりヒータユニット60A内で気・液密状態に保持されながら電極板65,66を介した通電で発熱するようになっている。
そして、本発明においてPTCヒータ61,61を一対の電極板65,66で挟み込んだ状態にして囲繞するフレーム62の内周面に、電極板65,66の周縁側外面に当接して電極板65,66をPTCヒータに密着させて固定するための電極板係止爪621,622がフレーム62の内周面に各々複数配設されている点を特徴としている。即ち、その電極板係止爪621,622は互いにPTCヒータ61の外面に当接する係止面の向きが異なり、フレーム62内周面の周方向に各々複数配置され、互いに係止面が対向した向きとなる2列の電極板固定部を構成している。
また、電極板係止爪621,622は図2(A)に示すように、フレーム62開口部からその中心部に向かって高さを増しながら係止面に続く案内斜面621a,622aを各々有しており、電極板65,66の深く挿入する方の端縁側を挿入後もう一方の端縁側を各案内斜面に当接させながら押し込むことにより、硬質樹脂製のフレーム62が僅かに弾性変形して電極板係止爪621,622の最も高い部分を超えて係止位置まで達し、フレーム62に装着・固定される。
本実施の形態のLPG加熱装置2Aは、このように比較的簡易な構成により各ヒータユニット60Aの組立て作業が極めて容易になるため、ねじ等の固定手段で電極板を固定する場合と比べて大幅なコストの低廉化を実現している。これに加え、PTCヒータ61を電極板65,66で挟み込んだ状態で固定するフレーム62を硬質樹脂製としたことにより、余分な弾性変形が少ないとともにゴム材の場合におけるような変質による変形も回避でき、堅固な固定状態を維持しやすい。
そのため、図4に示したゴム製のフレーム68で電極板63,64を固定する従来例と比べて、電極板65,66とPTCヒータ61との密着状態を確実に確保できるものとして、PTCヒータ61で発生した熱を電極板65,66の外面まで効率良く伝達可能なものとなり、安定的なLPG加熱性能を確保しやすい。
そして、フレーム62内周面側に設けた電極板係止爪621,622は、図1に示したように電極板65,66に当接する係止面の向きが共通した一群としての電極板固定部毎に、少なくとも4箇所以上に略等間隔で配設したものとすれば、電極板65,66の周縁側に偏りなく当接して、より均一な密着状態を実現しやすいものとなる。
また、係止面が違いに対向する向きとなる電極板係止爪621,621,621,・・・と電極板係止爪622,622,622,・・・の両電極板固定部は、図1に示したように、互いに直接対向する位置とせずに互いに略中間位置、即ち互い違いとなるように電極板係止爪を配置することにより、より多くの箇所で電極板に当接して挟み込むことができるようになり、電極板65,66とPTCヒータ61との間で隙間が発生することをまんべんなく抑える作用を発揮することができる。
さらに、本実施の形態において図2(B)の端面図に示すように、一方の電極板65のPTCヒータ61の中央位置に略一致する部分に、外側に向かって突出した凸部650を設け、その内側に形成された内側空間651内で導電性金属からなる板バネ652を電極板65とPTCヒータ61との間に介装したことにより、PTCヒータ61への通電性をより確保しやすい。
加えて、図のように凸部65の上面から抑え653,653を内側向かって突設し、その先端側で板バネ652の一端をPTCヒータ61外面との間に挟み込むようしたことにより、通電性を確保する板バネ652を固定のための手順を要さずに内側空間651内で容易に固定して、凸部65内での揺動を確実に抑えている。
尚、この板バネ652は、PTCヒータ61と電極板65との通電を確保しながらPTCヒータ12外面と電極板65内面との接触部を乖離させない弾性反発力に設定することにより、PTCヒータ61と電極板65との接触状態を損ないにくいもとすることができる。また、この板バネ652を、PTCヒータ61または/及び電極板65に接触して導通する部位が少なくとも2つ以上に分岐されて2箇所以上で接触しているものとすれば、通電不良トラブルを一層回避しやすいものとなる。加えて、この板バネ652の代わりに導電性の接着剤を凸部65内側の内側空間651内に充填しても同様の効果が期待できる。
図3は、PTCヒータと電極板との間の隙間の大きさと、燃料気化性能との関係を表したグラフを示している。このグラフにおいて、本実施の形態のLPG加熱装置2Aを内装したベーパライザと従来のLPG加熱装置を内装したベーパライザとを比較した場合、本実施の形態においては上述のようにPTCヒータと電極板との接触状態を確保できるようになったことから、燃料の気化性能が高いレベルで安定するものとなっている。これらのことから、本実施の形態のLPG加熱装置により、簡易な構成で製品間におけるバラツキを抑えながら高いレベルの熱交換性能を実現可能である。
以上、述べたように、PTCヒータを電極板間に挟んでなるヒータユニットを有するLPG加熱装置について、本発明により構成を複雑にすることなくPTCヒータと電極板との接触状態のバラツキを解消して、安定した熱交換性能を確保できる。
本発明における実施の形態のLPG加熱装置を配設したベーパライザの縦断面部分図。 (A)は、図1のP部分を拡大した縦断面部分図、(B)は(A)のX−X線に沿って切断した端面図。 本実施の形態と従来例の作用を比較するためのグラフ。 従来例を示す縦断面部分図。 図4のY−Y線に沿って切断した端面図。
符号の説明
2A LPG加熱装置、60A ヒータユニット、61 PTCヒータ、62 フレーム、65,66 電極板、69 シール材、621,622 電極板係止爪、621a,622a 案内斜面、650 凸部、651 内側空間、652 板バネ

Claims (8)

  1. LPGを加熱・気化してエンジンの吸気管路に供給するベーパライザ内に設けられ、一対の電極板でPTCヒータを挟み込むとともにそれらの周縁側をフレームで囲繞した複数のヒータユニットが並設されており、前記各ヒータユニットにおける両電極板を介して通電することで前記PTCヒータを発熱させてベーパライザを通過するLPGを加熱するLPG加熱装置において、前記各電極板はその周縁側外面に当接して係止するための係止面を有した電極板係止爪が前記係止面を同じ向きにして前記フレーム内周面で周方向に複数配置されるとともに前記係止面が互いに対向する向きで備えられた一対の電極板固定部により前記両電極板内面を前記PTCヒータ外面に密着状態に固定していることを特徴とするLPG加熱装置。
  2. 前記電極板係止爪は、前記フレームの開口部側から深くなるに従って高さを増しながら前記係止面まで続く案内斜面を有した突起からなり、前記フレーム開口部側から前記PTCヒータを挟んだ状態にして前記電極板を挿入する際に、前記案内斜面により係止位置まで案内されて固定されることを特徴とする請求項1に記載したLPG加熱装置。
  3. 前記フレームは硬質樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載したLPG加熱装置。
  4. 前記電極板係止爪は、前記係止面の向きが共通した電極板固定部毎に、少なくとも4箇所以上所定間隔で配設されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載したLPG加熱装置。
  5. 前記一対の電極板固定部は、各電極板係止爪同士が互い違いとなるように配置されたことを特徴とする請求項4に記載したLPG加熱装置。
  6. 前記電極板には外向きに突出する凸部が設けられ、この凸部の内面側に形成された前記PTCヒータとの隙間に導電性金属からなる板バネが介装されており、前記凸部内面と前記PTCヒータ外面の双方に弾性的に接触していることを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載したLPG加熱装置。
  7. 前記板バネは、前記PTCヒータと前記電極板との通電を確保しながら前記PTCヒータ外面と前記電極板内面との接触部分を乖離させない弾性反発力を有していることを特徴とする請求項6に記載したLPG加熱装置。
  8. 前記板バネは、前記PTCヒータまたは/及び前記電極板に接触して導通する部位が少なくとも2つ以上に分岐されて少なくとも2箇所以上で接触していることを特徴とする請求項6または7に記載したLPG加熱装置。
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