JP2009073848A - ホスフィン化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、ホスホール化合物は、古くからその合成、物性が数多く研究されている化合物であるが、その光学活性体の合成、不斉反応への応用例は、少ないのが現状である。
近年、ホスホール部位を有する光学活性ジホスフィン配位子が幾つか報告され、不斉水素化反応に応用されている(例えば、非特許文献2、3参照)。
また、キラル1,4−ジオール環状硫酸エステルを前駆体とするキラルビス(ホスホラン)のキラル遷移金属錯体(例えば、特許文献1参照)、ジホスフィン誘導体(例えば、特許文献2参照)、ジホスホール誘導体(例えば、特許文献3参照)、イソホスフィンドリン酸(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。
また、これらの配位子は、対象とする反応又はその反応基質によっては、選択性(化学選択性、エナンチオ選択性)、触媒活性が十分ではなく、触媒改良の必要に迫られる場合がある。
で表される1級ホスフィン化合物であって、軸不斉光学活性体であることを特徴とする1級ホスフィン化合物を提供するものである。
で表されるホスフィン化合物を提供するものである。
また、特に好ましいR5及びR6としては、水素原子;メトキシ基を例示することができる。
これらの中で、好ましくは、R6とR7が、一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成したものを例示することができる。
特に好ましくは、R6とR7が、一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、テトラメチレン基、メチレンジオキシ基、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成したものを例示することができる。
また、前記縮合置換ベンゼン環の置換基としては、不斉合成反応に不活性な官能基が挙げられ、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
で表されるホスフィン化合物が好ましい。
本発明の一般式(2)で表される1級ホスフィン化合物において、R5、R6は及びR7の具体例としては、前記と同じ基を例示することができる。
で表される1級ホスフィン化合物が特に好ましい。
本発明の一般式(2')で表される1級ホスフィン化合物において、R6'及びR7'の具体例としては、前記と同じ基を例示することができる。
ロジウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
[Rh(L)Cl]2、[Rh(L)Br]2、[Rh(L)I]2、[Rh(cod)(L)]OTf、[Rh(cod)(L)]BF4、
[Rh(cod)(L)]ClO4、[Rh(cod)(L)]SbF6、[Rh(cod)(L)]PF6、[Rh(cod)(L)]BPh4、
[Rh(nbd)(L)]OTf、[Rh(nbd)(L)]BF4、[Rh(nbd)(L)]ClO4、[Rh(nbd)(L)]SbF6、
[Rh(nbd)(L)]PF6、[Rh(nbd)(L)]BPh4、[Rh(L)2]OTf、[Rh(L)2]BF4、
[Rh(L)2]ClO4、[Rh(L)2]SbF6、[Rh(L)2]PF6、[Rh(L)2]BPh4
ルテニウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
Ru(OAc)2(L)、Ru(OCOCF3)2(L)、Ru2Cl4(L)2NEt3、
[[RuCl(L)]2(μ−Cl)3][Me2NH2]、[[RuBr(L)]2(μ−Br)3][Me2NH2]、
[[RuI(L)]2(μ−I)3][Me2NH2]、[[RuCl(L)]2(μ−Cl)3][Et2NH2]、
[[RuBr(L)]2(μ−Br)3][Et2NH2]、 [[RuI(L)]2(μ−I)3][Et2NH2]、
RuCl2(L)、RuBr2(L)、RuI2(L)、[RuCl2(L)](dmf)n、RuCl2(L)(pyridine)2、
RuBr2(L)(pyridine)2、RuI2(L)(pyridine)2、RuCl2(L)(2,2'−dipyridine)、
RuBr2(L)(2,2'−dipyridine)、RuI2(L)(2,2'−dipyridine)、
[RuCl(benzene)(L)]Cl、[RuBr(benzene)(L)]Br、[RuI(benzene)(L)]I、
[RuCl(p−cymene)(L)]Cl、[RuBr(p−cymene)(L)]Br、[RuI(p−cymene)(L)]I、
[RuI(p−cymene)(L)]I3、[Ru(L)](OTf)2、[Ru(L)](BF4)2、[Ru(L)](ClO4)2、
[Ru(L)](SbF6)2、[Ru(L)](PF6)2、[Ru(L)](BPh4)2、[RuCl2(L)](en)、
[RuBr2(L)](en)、[RuI2(L)](en)、[RuH2(L)](en)、[RuCl2(L)](DPEN)、
[RuBr2(L)](DPEN)、[RuI2(L)](DPEN)、[RuH2(L)](DPEN)
イリジウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
[Ir(L)Cl]2、[Ir(L)Br]2、[Ir(L)I]2、[Ir(cod)(L)]OTf、[Ir(cod)(L)]BF4、
[Ir(cod)(L)]ClO4、[Ir(cod)(L)]SbF6、[Ir(cod)(L)]PF6、[Ir(cod)(L)]BPh4、
[Ir(nbd)(L)]OTf、[Ir(nbd)(L)]BF4、[Ir(nbd)(L)]ClO4、[Ir(nbd)(L)]SbF6、
[Ir(nbd)(L)]PF6、[Ir(nbd)(L)]BPh4、[Ir(L)2]OTf、[Ir(L)2]BF4、[Ir(L)2]ClO4、
[Ir(L)2]SbF6、[Ir(L)2]PF6、[Ir(L)2]BPh4、IrCl(cod)(CO)(L)、
IrBr(cod)(CO)(L)、IrI(cod)(CO)(L)
パラジウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
PdCl2(L)、PdBr2(L)、PdI2(L)、Pd(OAc)2(L)、Pd(OCOCF3)2(L)、
[(π−allyl)Pd(L)]Cl、[(π−allyl)Pd(L)]Br、[(π−allyl)Pd(L)]I、
[(π−allyl)Pd(L)]OTf、[(π−allyl)Pd(L)]BF4、[(π−allyl)Pd(L)]ClO4、
[(π−allyl)Pd(L)]SbF6、[(π−allyl)Pd(L)]PF6、[(π−allyl)Pd(L)]BPh4、
[(Pd(L))](OTf)2、[(Pd(L))](BF4)2、[(Pd(L))](ClO4)2、[[(Pd(L))](SbF6)2、
[(Pd(L))](PF6)2、[(Pd(L))](BPh4)2、PhCH2Pd(L)Cl、PhCH2Pd(L)Br、
PhCH2Pd(L)I、PhPdCl(L)、PhPdBr(L)、PhPdI(L)、Pd(L)、[Pd(L)(PhCN)2](BF4)2
ニッケル錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
NiCl2(L)、NiBr2(L)、NiI2(L)
銅錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
Cu4F4(L)2、Cu4Cl4(L)2、Cu4Br4(L)2、Cu4I4(L)2、Cu4H4(L)2
白金錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
PtCl2(L)、PtBr2(L)、PtI2(L)、PtCl2(L)(SnCl2)、PtCl(L)(SnCl3)
1H NMR:Bruker社製 DRX500 (500MHz)
31P NMR:Bruker社製 DRX500 (202MHz)
融点:Yanaco社製 MP−500D
旋光度:日本分光社製 DIP−4
ガスクロマトグラフィー:Hewlett Packard社製 5890−II
高速液体クロマトグラフィー:Hewlett Packard社製 HP1100
質量分析:日立製作所製 M−80B
特開2000−16998号公報の[実施例4]に開示されている方法で得たジホスフェート(6)204.5 g (478 mmol)、(−)−ジトルオイル酒石酸153.6 g (478 mmol)に酢酸ブチル510 mLを加え、105℃まで加熱した。室温まで冷却し、一晩撹拌した後、生成した固体を濾取した。ジクロロメタン1000 mL、1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液1000 mLを加え、0.5 時間撹拌した後、分液した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去したところ、標題化合物55.0 gを光学純度98.2% eeで得た。
得られた標題化合物全量 55.0 g (106 mmol)に(−)−ジトルオイル酒石酸41.3 g (106 mmol)、酢酸ブチル137 mLを加え、加熱還流した。空冷後、生成した固体を濾取した後、ジクロロメタン500 mL、1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液500mLを加えた。0.5 時間撹拌した後、油層を1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液、水で、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去したところ、光学純度100% eeの標題化合物43.7 gを得た(収率21%)。
光学純度は、HPLCにより測定した。
水素化リチウムアルミニウム19.3 g (50.9 mmol)のテトラヒドロフラン溶液を−30℃に冷却し、そこにクロロトリメチルシラン64.7 mL (50.9 mmol)を−20℃以下に保ちながら滴下した。−30℃にて30分撹拌した後、(−)−ジホスフェート((−)−6)43.7 g (8.49 mmol)のテトラヒドロフラン150 mL溶液を加えた。室温にて1 時間撹拌した後、メタノール20 mL、テトラヒドロフラン60 mLからなる混合溶液を注意深く滴下した。続いてメタノール20 mL、水40 mL、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を順次加え撹拌した。セライト濾過により固体を除去した後、溶媒を減圧留去したところ、標題化合物22.7 gを得た(収率87%、99.8% ee)。なお、光学純度は、光学活性HPLC (Chiralcel OD)を用い、定法に従い測定した。
1H NMR(CDCl3)δ:3.59 (4H, d, J = 203.5 Hz), 5.90 (4H, s), 6.75 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.13 (2H, m)
31P NMR(CDCl3)δ:130.3 (t, J = 202.4 Hz)
[α]D 24:−58.0 (c 1.0, CHCl3)
(−)−H2−SEGPHOS 3.4 g (11.1 mmol)、2,4−ヘキサジイン4.5 g (2 eq)をトルエン50 mL、テトラヒドロフラン10 mLで溶解させ、40℃に加熱した。この混合液に、1.6 mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液 3.5 mL (0.5 eq)を滴下した。40度にて2時間撹拌した後、メタノールを投入して、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製したところ、標題化合物604 mgを得た。(収率13%、光学純度99.6% ee)。なお、光学純度は、光学活性HPLC (Chiralcel OD)を用い、定法に従い測定した。
EI−MS:m/z 462 ([M]+)
1H NMR(CDCl3)δ:2.00 (6H, s), 2.03 (6H, s), 5.94 (2H, d, J = 1.1 Hz), 6.03 (2H, d, J = 1.1 Hz), 6.30−6.53 (6H, m), 6.77 (2H, d, J = 8.2 Hz)
31P NMR(CDCl3)δ:3.2 (s)
[α]D 24:+134.70 (c 1.0, CHCl3)
(−)−H2−SEGPHOS 3.0 g (9.8 mmol)、2,4−ジフェニルブタジイン 3.96 g (19.6 mmol)をトルエン90 mL、テトラヒドロフラン3 mLで溶解させ、0℃に冷却した。この混合液に、1.6 mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液 2.45 mL (3.92 mmol)を滴下した。反応液を0℃にて2時間撹拌した後、室温まで昇温して、更に2時間撹拌した。続いてメタノールを投入して、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製したところ、標題化合物3.29 gを得た。(収率47%、光学純度99.7% ee)。なお、光学純度は光学活性HPLC (Chiralcel OD)を用い、定法に従い測定した。
1H NMR(CDCl3)δ:5.23 (2H, d, J = 1.6 Hz), 5.57 (2H, d, J = 1.6 Hz), 6.62 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.69 (2H, td, J = 2.2, 8.2 Hz), 6.74−8.10 (24H, m)
31P NMR(CDCl3)δ:−1.8 (s)
[α]D 24:+164.3 (c 1.0, CHCl3)
(+)−MP2−SEGPHOS 50 mg (0.108 mmol)をジクロロメタン3 mLに溶解させ、[Rh(cod)2]OTf 50.6 mg (0.108 mmol)、ジクロロメタン3 mL中に滴下した。室温にて4 時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。固体をヘキサン5 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥して、標題化合物90 mgを得た。
(+)−MP2−SEGPHOS 50.0 mg (0.108 mmol)、[RuCl2(p−cymene)]2 33.1 mg (0.054 mmol)をジクロロメタン2.5 mL、エタノール2.5 mLに溶かし、50℃にて4 時間撹拌した。次に溶媒を減圧留去して、標題化合物76 mgを得た。(収率92%)
(+)−MP2−SEGPHOS 100.0 mg (0.216 mmol)、[RuCl2(p−cymene)]2 66.1 mg (0.108 mmol)をジクロロメタン2.5 mL、エタノール2.5 mLに溶かし、50℃にて4 時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。次に酢酸ナトリウム53.2 mg (0.648 mmol)、1,4−ジオキサン5 mLを加え、100℃にて、一晩撹拌した。反応液を濾過した後、溶媒を減圧留去して、標題化合物 154 mgを得た。(収率92%)
(+)−P3−SEGPHOS 50.0 mg (0.070 mmol)をジクロロメタン3 mLに溶解させ、[Rh(cod)2]OTf 50.6 mg (0.070 mmol)、ジクロロメタン3 mL中に滴下した。室温にて4 時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。固体をヘキサン5 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥して、標題化合物79 mgを得た。
窒素雰囲気下、[RuCl(p−cymene)(L)]Cl 0.0024 mmol、N−アセタミドケイ皮酸100 mg (0.487 mmol)、ナトリウムメトキシド 29.1 mg(>95%, 0.511 mmol)、メタノール1 mLをステンレスオートクレーブに入れ、60℃、水素圧3.0 MPaの条件で、15 時間撹拌した。反応物の転化率、光学純度はそれぞれ1H NMR (CD3OD)、HPLCにて測定した。比較例としてLを(S)−SEGPHOSに替えたものを使用して同様の反応を行った。
結果を表1に示す。
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