JP2009073848A - ホスフィン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なホスフィン化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(2)のホスフィン化合物。
Figure 2009073848

式中、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、等を示し;R7は、ジアルキルアミノ基、等を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は新規なホスフィン化合物に関する。
従来から、不斉水素化反応、不斉ヒドロシリル化反応、不斉ヒドロホルミル化反応、不斉異性化反応等の触媒的不斉合成に利用できる遷移金属錯体触媒については、数多くの報告例がなされている。なかでも光学活性ホスフィンを配位子とするルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、ニッケル等の遷移金属錯体は、不斉合成反応の触媒として優れた性能を有することが報告されており、工業化されているものもある(例えば、非特許文献1参照)。
一方、ホスホール化合物は、古くからその合成、物性が数多く研究されている化合物であるが、その光学活性体の合成、不斉反応への応用例は、少ないのが現状である。
近年、ホスホール部位を有する光学活性ジホスフィン配位子が幾つか報告され、不斉水素化反応に応用されている(例えば、非特許文献2、3参照)。
また、キラル1,4−ジオール環状硫酸エステルを前駆体とするキラルビス(ホスホラン)のキラル遷移金属錯体(例えば、特許文献1参照)、ジホスフィン誘導体(例えば、特許文献2参照)、ジホスホール誘導体(例えば、特許文献3参照)、イソホスフィンドリン酸(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。
特表平6−508848号公報 特開平7−149777号公報 特表2002−527444号公報 特表2002−527445号公報 野依 良治著、アシンメトリック キャタリシス イン オーガニック シンセシス(Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis)、(米国)、Ed., ウイリーアンド サンズ(Wiley & Sons)、1994年。 J. Mol. Cat.、(スイス)、1992年、72巻、p.21−25 Organometallics、(米国)、2001年、20巻、p.1014−1019
しかしながら、これらのホスホール部位を有する光学活性ジホスフィン配位子を合成するためには、いずれも、対応する1−フェニルホスホール化合物の金属リチウムによる炭素−リン結合の切断を経る必要がある等、工業化の観点で問題がある。
また、これらの配位子は、対象とする反応又はその反応基質によっては、選択性(化学選択性、エナンチオ選択性)、触媒活性が十分ではなく、触媒改良の必要に迫られる場合がある。
従って、本発明の目的は、新規なホスフィン化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する1級ホスフィン、特にその軸不斉光学活性体から誘導されたホスフィン化合物の遷移金属触媒が、不斉水素化反応触媒としてこれらの課題を悉く解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(2)
Figure 2009073848
(式中、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;R7は、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;また、R5とR6は、R6とR7は、それぞれ互いに一緒になって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。)
で表される1級ホスフィン化合物であって、軸不斉光学活性体であることを特徴とする1級ホスフィン化合物を提供するものである。
なお、ビアリール骨格を有する光学活性1級ホスフィンについては、特許文献1で触れられているが、単に化学構造が提示されているにすぎず、該化合物の製造方法については一切記述されていない。ましてや、光学活性体に関する記述はない。
また、本発明は、下記の一般式(1)
Figure 2009073848
(式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよいジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、置換基を有していてもよい5〜8員の環状アミノ基、置換基を有していてもよい5〜8員環の脂環式基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよい複素環基、トリ置換シリル基又はハロゲン原子を示し;R3、R4、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;R7は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;また、R3とR4、R5とR6、R6とR7は、それぞれ互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成していてもよい。)
で表されるホスフィン化合物を提供するものである。
更に、本発明は、一般式(1)で表されるホスフィン化合物を配位子とする遷移金属ホスフィン錯体及び該遷移金属ホスフィン錯体を含む不斉合成用触媒を提供するものである。
本発明の新規なホスフィン化合物は特に遷移金属錯体の配位子として有用である。また、該遷移金属ホスフィン錯体は不斉合成反応の触媒として有用である。この配位子として有用な新規ホスフィン化合物は、比較的安価な製法により調製することが出来る。更に、この触媒を使用することにより、光学純度が高い不斉水素化物を収率良く得ることができ、産業的にも極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表されるホスフィン化合物において、R1及びR2で示される炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。当該アルキル基には、不斉合成反応に不活性な官能基を置換基として、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等を挙げられる。
1及びR2で示される炭素数1〜10のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。当該アルコキシ基には、不斉合成反応に不活性な官能基を置換基として、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示される炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。当該アルケニル基には、不斉合成反応に不活性な官能基を置換基として、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示されるジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基の具体例としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基等が挙げられる。当該ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基には、不斉合成反応に不活性な官能基を置換基として、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示される5〜8員の環状アミノ基の具体例としては、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。当該環状アミノ基には、不斉合成反応に不活性な官能基を置換基として1〜4個有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示される置換基を有していてもよい5〜8員環の脂環式基の具体例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。当該5〜8員環の脂環式基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基は、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示される置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。当該アリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基は、1〜5個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示される置換基を有していてもよいアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、α−フェネチル基、β−ファネチル基、α−フェニルプロピル基、β−フェニルプロピル基、γ−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等の総炭素数7〜15のアラルキル基が挙げられる。当該アラルキル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基は、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示される置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、例えば、2−ピリジル基、2−フリル基、2−チエニル基等の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有する5又は6員の複素環基が挙げられる。当該複素環基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基は、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR2で示されるトリ置換シリル基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルヘキシルシリル基等のトリ(炭素数1〜6アルキル)シリル基;例えば、ジメチルクミルシリル基等のジ(炭素数1〜6アルキル)(炭素数6〜18アリール)シリル基;例えば、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基等のジ(炭素数6〜18アリール)(炭素数1〜6アルキル)シリル基;例えば、トリフェニルシリル基等のトリ(炭素数6〜18アリール)シリル基;例えば、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基等のトリ(炭素数7〜19アラルキル)シリル基等が挙げられる。
1及びR2で示されるハロゲン原子の具体例としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
これらの中で、好ましいR1及びR2としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基、スチリル基等の置換基を有していてもよいアルケニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基等の5〜8員の環状アミノ基;フェニル基、4−トリル基、3,5−キシリル基、3,5−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシフェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基等の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、α−フェニルエチル基等の総炭素数7〜15のアラルキル基;2−ピリジル基、2−フリル基、2−チエニル基等の複素環基;トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基等を例示することができる。
特に好ましいR1及びR2としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基を例示することができる。
3〜R6で示される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
3〜R6で示される炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。
3〜R6で示されるジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基等が挙げられる。
3〜R6で示される5〜8員の環状アミノ基の具体例としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。
3〜R6で示されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
これらの中で、好ましいR3〜R6としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基等の5〜8員の環状アミノ基等を例示することができる。
特に好ましいR3及びR4としては、水素原子を例示することができる。
また、特に好ましいR5及びR6としては、水素原子;メトキシ基を例示することができる。
7で示される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
7で示される炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。
7で示されるジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基等が挙げられる。
7で示される5〜8員の環状アミノ基の具体例としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。
7で示されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
これらの中で、好ましいR7としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基等の5〜8員の環状アミノ基等を例示することができる。
特に好ましいR7としては、メチル基、メトキシ基を例示することができる。
本発明の一般式(1)で表されるホスフィン化合物において、R3とR4、R5とR6、R6とR7は、それぞれ互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。
これらの中で、好ましくは、R6とR7が、一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成したものを例示することができる。
特に好ましくは、R6とR7が、一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、テトラメチレン基、メチレンジオキシ基、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成したものを例示することができる。
また、前記縮合置換ベンゼン環の置換基としては、不斉合成反応に不活性な官能基が挙げられ、1〜4個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
本発明のホスフィン化合物(1)は、軸不斉光学活性体(エナンチオマー)、ラセミ体及びこれらの混合物であるが、単一の軸不斉光学活性体(エナンチオマー)であることが好ましい。
本発明のホスフィン化合物(1)としては、特に下記一般式(1');
Figure 2009073848
(式中、R1'及びR2'は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R6'は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子を示し;R7'は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子を示し;また、R6'とR7'は、それぞれ互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、テトラメチレン基、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成してもよい。)
で表されるホスフィン化合物が好ましい。
本発明の一般式(1')で示されるホスフィン化合物において、R1'及びR2'で表される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。当該アルキル基には、ハロゲン原子等の置換基を1〜4個有していてもよい。置換アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
1'及びR2'で示される置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基等が挙げられる。当該アリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基は、1〜5個有していてもよい。ここで置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
6'で表される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
6'で表される炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。
6'で表されるハロゲン原子の具体例としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
7'で表される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
7'で表される炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。
7'で表されるハロゲン原子の具体例としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
6'とR7'は、それぞれ独立して互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、テトラメチレン基、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成してもよく、好ましくは、縮合ベンゼン環、テトラメチレン基、又はメチレンジオキシ基等が挙げられる。
ホスフィン化合物(1')は、軸不斉光学活性体(エナンチオマー)、ラセミ体及びこれらの混合物であるが、単一の軸不斉光学活性体(エナンチオマー)であることが好ましい。
一般式(2)で表される1級ホスフィン化合物は、一般式(1)で表されるホスフィン化合物の製造中間体である。
本発明の一般式(2)で表される1級ホスフィン化合物において、R5、R6は及びR7の具体例としては、前記と同じ基を例示することができる。
本発明の1級ホスフィン化合物は、軸不斉光学活性体(エナンチオマー)、ラセミ体及びこれらの混合物であるが、単一の軸不斉光学活性体(エナンチオマー)であることが好ましい。
本発明のホスフィン化合物のうち、下記一般式(2');
Figure 2009073848
(式中、R6'及びR7'は、前記と同義である。)
で表される1級ホスフィン化合物が特に好ましい。
一般式(2')で表される1級ホスフィン化合物は、一般式(1')で表されるホスフィン化合物の製造中間体である。
本発明の一般式(2')で表される1級ホスフィン化合物において、R6'及びR7'の具体例としては、前記と同じ基を例示することができる。
本発明の一般式(2')で表される1級ホスフィン化合物は、軸不斉光学活性体(エナンチオマー)、ラセミ体及びこれらの混合物であるが、単一の軸不斉光学活性体(エナンチオマー)であることが好ましい。
本発明のホスフィン化合物(1)は、例えば、次の反応式に従って製造することができる。
Figure 2009073848
(式中、Xはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を示し、R1〜R7は前記と同じ。)
すなわち、化合物(3)とマグネシウムから得られるグリニャール試薬にエーテル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で過剰のクロロリン酸ジエチル((EtO)2POCl)を反応させて化合物(4)を得、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)の存在下、塩化第二鉄を反応させて化合物(5)を得、次いでトリメチルシリルクロリド(TMSCl)と水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)で還元して一般式(2)で表される1級ホスフィンを得、更にこれにアルカジインをn−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム等のアルキルリチウム存在下で反応させることによりホスフィン化合物(1)が得られる。
以下に煩雑さを避けるために次式(7)
Figure 2009073848
で表される化合物(7)の光学活性体であって、(+)−体((+)−4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイルビス(2,5−ジメチルホスホール)(以下、(+)−MP2−SEGPHOSと記載することがある)を例にして、本発明の化合物の製造方法を具体的に説明する。ただし、本発明はこの例に限定されるものではない。
(+)−MP2−SEGPHOSは、次の反応式によって示される方法で製造される。
Figure 2009073848
(式中、*は軸不斉光学活性を示す。)
3,4−メチレンジオキシフェニルブロミド(3')より調製されるグリニャール試薬とクロロリン酸ジエチルを反応させ、ホスホナート(4')を合成する。次に、ホスホナート(4')にリチウムジイソプロピルアミドの存在下、塩化第二鉄(FeCl3)を加えることにより、ラセミ体のジホスフェート(5')を得る(参照、特開2000−16998号公報の実施例4)。このようにして得た該ラセミ体のジホスフェート(5')を、(−)−トルオイル酒石酸((−)−DTT)を用いて光学分割した後、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)/水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)を用いて還元することにより、((−)−4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイルビスホスフィン(8)((−)−H2−SEGPHOSと記載することがある)を得ることができる。最後に(8)を、n−ブチルリチウム存在下、2,4−ヘキサジインと反応させることにより、目的とする(+)−MP2−SEGPHOS((+)−(7))が得られる。
また、(+)−H2−SEGPHOSは、(+)−トルオイル酒石酸を用いて光学分割することにより得られ、(−)−MP2−SEGPHOSは、(+)−H2−SEGPHOSを用いることにより得られる。
光学活性な化合物(7)は光学活性カラムなどを用いてラセミ体である化合物からエナンチオマーを光学分割することによっても得ることができる。また、光学活性な化合物(2)は、光学活性カラムなどを用いてラセミ体である化合物からエナンチオマーを光学分割することによっても得ることができる。
1及びR2が、メチル基以外の化合物は、2,4−ヘキサジインの替わりに対応するアルカジインを使用することにより、目的の化合物を得ることができる。対応するアルカジインとしては、3,5−オクタジイン、4,6−デカジイン、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン、5,7−ドデカジイン、3,8−ジメチル−4,6−デカジイン、2,9−ジメチル−4,6−デカジイン、2,2,7,7,−テトラメチル−3,5−オクタジイン、6,8−テトラデカジイン、4,9−ジメチル−5,7−ドデカジイン、2,11−ジメチル−5,7−ドデカジイン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−2,4−ヘキサジイン、1,3−ジフェニルブタジイン、1,3−ビス(4−トリル)−ブタジイン、1,3−ビス(3,5−キシリル)−ブタジイン、1,3−ビス(ナフタレン−1−イル)−ブタジイン、1,3−ビス(ナフタレン−2−イル)−ブタジイン、1,3−ビス(3,5−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシフェニル)−ブタジイン等が挙げられる。
また、本発明のホスフィン化合物(1)及び一般式(2)で表される1級ホスフィン化合物において、R5が水素原子であり、R6とR7が一緒になってメチレンジオキシ基を形成したもの以外は、3,4−メチレンジオキシフェニルブロミドに替えて他のハロゲン化アリールを用いることにより製造できる。具体的には、3−メトキシフェニルブロミド、3−エトキシフェニルブロミド、3−メチルフェニルブロミド、3−メチルフェニルブロミド、3,4−エチレンジオキシフェニルブロミド、3,4−トリメチレンジオキシフェニルブロミド、2−ナフチルブロミド等が挙げられる。
上記方法は、R1及びR2がメチル基、R3、R4及びR5が水素原子、R6とR7が一緒になって、メチレンジオキシ基を形成したもの以外のホスフィン化合物(1)や一般式(2)で表される1級ホスフィン化合物を得るためにも同様に利用できるものである。
このようにして得られる本発明のホスフィン化合物(1)は、配位子として遷移金属ホスフィン錯体を形成する。この錯体を形成する遷移金属としては、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、銅及び白金等が挙げられ、形成される錯体としては、例えば、次の一般式(9)で表される遷移金属ホスフィン錯体が好ましいものとして挙げられる。
[Mmnpqrs (9)
(式中、Mは、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、銅及び白金からなる群より選ばれる遷移金属であり;Lは、一般式(1)で表されるホスフィン化合物であり;W、U、m、n、p、q、r、sは、(イ)Mが、イリジウム又はロジウムの時、(i)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、m=n=p=1、r=2、q=s=0を示し、(ii)Wは、1,5−シクロオキタジエン、ノルボルナジエンであり、Zは、BF4、ClO4、OTf(Tfは、トリフラート基(SO3CF3)を示す。)、PF6、SbF6又はBPh4(Phは、フェニル基を示す。)であり、m=n=p=r=s=1、q=0を示し、(iii)Zは、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=r=s=1、n=2、q=0を示し、(ロ)Mが、ルテニウムの時、(i)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Zは、トリアルキルアミンであり、m=p=s=1、n=r=2、q=0を示し、(ii)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Zは、ピリジル基又は環置換ピリジル基であり、m=n=r=s=1、p=2、q=0を示し、(iii)Wは、カルボキシラート基であり、m=n=r=1、p=2、q=s=0を示し、(iv)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Zは、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドであり、m=n=r=1、p=2、q=0、sは0〜4の整数、を示し、(v)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Uは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Zは、ジアルキルアンモニウムイオンであり、m=n=p=2、q=3、r=s=1を示し、(vi)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Uは、中性配位子である芳香族化合物又はオレフィンであり、Zは、塩素、臭素、ヨウ素又はI3であり、m=n=p=q=r=s=1を示し、(vii)Zは、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=r=1、p=q=0、s=2を示し、(viii)W及びUは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル基又は他のアニオン基であり、Zは、ジアミン化合物であり、m=n=p=q=r=s=1を示し、(ハ)Mが、パラジウムの時、(i)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、m=n=r=1、p=2、q=s=0を示し、(ii)Wは、アリル基であり、m=n=p=r=1、q=s=0を示し、(iii)Zは、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=r=1、p=q=0、s=2を示し、(iv)Wは、炭素数1〜5のアルキルニトリル、ベンゾニトリル、フタロニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はアセトンであり、Zは、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=r=1、p=s=2、q=0を示し、(ニ)Mが、ニッケルの時、(i)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、m=n=r=1、p=2、q=s=0を示し、(ii)Zは、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=r=1、p=q=0、s=2を示し、(ホ)Mが、銅の時、Wは、水素原子、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、m=p=4、n=2、r=1、q=s=0を示し、(ヘ)Mが、白金の時、(i)Wは、炭素数1〜5のアルキルニトリル、ベンゾニトリル、フタロニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はアセトンであり、Zは、BF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6又はBPh4であり、m=n=r=1、p=s=2、q=0を示し、(ii)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、m=n=r=1、p=2、q=s=0を示し、(iii)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Uは、SnCl2であり、m=n=q=r=1、p=2、s=0を示し、(iv)Wは、塩素、臭素又はヨウ素であり、Uは、SnCl3であり、m=n=p=q=r=1、s=0を示す。)
遷移金属ホスフィン錯体(9)の製造方法としては特に制限されないが、例えば次に示す方法又はこれに準ずる方法を用いて製造することができる。なお、以下に示す遷移金属ホスフィン錯体の式中において、codは1,5−シクロオクタジエンを、nbdはノルボルナジエンを、Acはアセチル基を、acacはアセチルアセトナート、dmfはジメチルホルムアミド、enはエチレンジアミン、DPENはジフェニルエチレンジアミン、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基をそれぞれ示す。
ロジウム錯体:ロジウム錯体を製造する具体的な例としては、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、1991年、339〜344頁(丸善)に記載の方法に準じて、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I) テトラフロロホウ酸塩([Rh(cod)2]BF4)と本発明のホスフィン化合物(1)を反応せしめて合成することができる。
ロジウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
[Rh(L)Cl]2、[Rh(L)Br]2、[Rh(L)I]2、[Rh(cod)(L)]OTf、[Rh(cod)(L)]BF4
[Rh(cod)(L)]ClO4、[Rh(cod)(L)]SbF6、[Rh(cod)(L)]PF6、[Rh(cod)(L)]BPh4
[Rh(nbd)(L)]OTf、[Rh(nbd)(L)]BF4、[Rh(nbd)(L)]ClO4、[Rh(nbd)(L)]SbF6
[Rh(nbd)(L)]PF6、[Rh(nbd)(L)]BPh4、[Rh(L)2]OTf、[Rh(L)2]BF4
[Rh(L)2]ClO4、[Rh(L)2]SbF6、[Rh(L)2]PF6、[Rh(L)2]BPh4
ルテニウム錯体:ルテニウム錯体を製造する方法としては、例えば、文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun.、922頁、1985年)に記載に準じて、[(1,5−シクロオクタジエン)ジクロルルテニウム]([Ru(cod)Cl2n)と本発明のホスフィン化合物(1)をトリアルキルアミンの存在下に有機溶媒中で加熱還流することで調製できる。また、特開平11−269185号公報に記載の方法に準じて、ビス[ジクロル(ベンゼン)ルテニウム]([Ru(benzene)Cl22)と本発明のホスフィン化合物(1)をジアルキルアミン存在下に有機溶媒中で加熱還流することにより、調製できる。また、文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun.、1208頁、1989年)に記載の方法に準じて、ビス[ジヨード(パラ−シメン)ルテニウム]([Ru(p−cymene)I22)と本発明のホスフィン化合物(1)とを有機溶媒中で加熱撹拌することにより調製することができる。更に、特開平11−189600号公報に記載の方法に準じて、文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun.、992頁、1985年)の方法に従い得られるRu2Cl4(L)2NEt3とジアミン化合物とを有機溶媒中で反応せしめて合成することができる。
ルテニウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
Ru(OAc)2(L)、Ru(OCOCF32(L)、Ru2Cl4(L)2NEt3
[[RuCl(L)]2(μ−Cl)3][Me2NH2]、[[RuBr(L)]2(μ−Br)3][Me2NH2]、
[[RuI(L)]2(μ−I)3][Me2NH2]、[[RuCl(L)]2(μ−Cl)3][Et2NH2]、
[[RuBr(L)]2(μ−Br)3][Et2NH2]、 [[RuI(L)]2(μ−I)3][Et2NH2]、
RuCl2(L)、RuBr2(L)、RuI2(L)、[RuCl2(L)](dmf)n、RuCl2(L)(pyridine)2
RuBr2(L)(pyridine)2、RuI2(L)(pyridine)2、RuCl2(L)(2,2'−dipyridine)、
RuBr2(L)(2,2'−dipyridine)、RuI2(L)(2,2'−dipyridine)、
[RuCl(benzene)(L)]Cl、[RuBr(benzene)(L)]Br、[RuI(benzene)(L)]I、
[RuCl(p−cymene)(L)]Cl、[RuBr(p−cymene)(L)]Br、[RuI(p−cymene)(L)]I、
[RuI(p−cymene)(L)]I3、[Ru(L)](OTf)2、[Ru(L)](BF42、[Ru(L)](ClO42
[Ru(L)](SbF62、[Ru(L)](PF62、[Ru(L)](BPh42、[RuCl2(L)](en)、
[RuBr2(L)](en)、[RuI2(L)](en)、[RuH2(L)](en)、[RuCl2(L)](DPEN)、
[RuBr2(L)](DPEN)、[RuI2(L)](DPEN)、[RuH2(L)](DPEN)
イリジウム錯体:イリジウム錯体を製造する方法としては、例えば、文献(J.Organomet. Chem.、1992年、428巻、213頁) 記載の方法に準じて、本発明のホスフィン化合物(1)と[(1,5−シクロオクタジエン)(アセトニトリル)イリジウム]テトラヒドロホウ酸塩([Ir(cod)(CH3CN)2]BF4)とを、有機溶媒中にて撹拌下に反応させることにより調製できる。
イリジウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
[Ir(L)Cl]2、[Ir(L)Br]2、[Ir(L)I]2、[Ir(cod)(L)]OTf、[Ir(cod)(L)]BF4
[Ir(cod)(L)]ClO4、[Ir(cod)(L)]SbF6、[Ir(cod)(L)]PF6、[Ir(cod)(L)]BPh4
[Ir(nbd)(L)]OTf、[Ir(nbd)(L)]BF4、[Ir(nbd)(L)]ClO4、[Ir(nbd)(L)]SbF6
[Ir(nbd)(L)]PF6、[Ir(nbd)(L)]BPh4、[Ir(L)2]OTf、[Ir(L)2]BF4、[Ir(L)2]ClO4
[Ir(L)2]SbF6、[Ir(L)2]PF6、[Ir(L)2]BPh4、IrCl(cod)(CO)(L)、
IrBr(cod)(CO)(L)、IrI(cod)(CO)(L)
パラジウム錯体:パラジウム錯体を製造する方法としては、例えば、文献(J.Am.Chem. Soc.、1991年、113巻、9887頁;J. Chem. Soc., Dalton Trans.、2246〜2249頁、1980年;Tetrahedron Letters, 37巻、6351〜6354頁、1996年)に記載の方法に準じて、本発明のホスフィン化合物(1)とπ−アリルパラジウムクロリド([(π−allyl)PdCl]2)を反応させることにより調製できる。
パラジウム錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
PdCl2(L)、PdBr2(L)、PdI2(L)、Pd(OAc)2(L)、Pd(OCOCF32(L)、
[(π−allyl)Pd(L)]Cl、[(π−allyl)Pd(L)]Br、[(π−allyl)Pd(L)]I、
[(π−allyl)Pd(L)]OTf、[(π−allyl)Pd(L)]BF4、[(π−allyl)Pd(L)]ClO4
[(π−allyl)Pd(L)]SbF6、[(π−allyl)Pd(L)]PF6、[(π−allyl)Pd(L)]BPh4
[(Pd(L))](OTf)2、[(Pd(L))](BF42、[(Pd(L))](ClO42、[[(Pd(L))](SbF62
[(Pd(L))](PF62、[(Pd(L))](BPh42、PhCH2Pd(L)Cl、PhCH2Pd(L)Br、
PhCH2Pd(L)I、PhPdCl(L)、PhPdBr(L)、PhPdI(L)、Pd(L)、[Pd(L)(PhCN)2](BF42
ニッケル錯体:ニッケル錯体を製造する方法としては、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年、376頁(丸善)の方法、また、文献(J. Am. Chem. Soc.,1991年,113巻,9887頁)に記載の方法に準じて、本発明のホスフィン化合物(1)と塩化ニッケル(NiCl2)とを、有機溶媒に溶解し、加熱撹拌することにより調製できる。
ニッケル錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
NiCl2(L)、NiBr2(L)、NiI2(L)
銅錯体:銅錯体を製造する方法としては、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年、444〜445頁(丸善)の方法に準じて、本発明のホスフィン化合物(1)と塩化銅(I)(CuCl2)とを、有機溶媒に溶解し、加熱撹拌することにより調製できる。
銅錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
Cu44(L)2、Cu4Cl4(L)2、Cu4Br4(L)2、Cu44(L)2、Cu44(L)2
白金錯体:白金錯体を製造する方法としては、例えば、文献(Orgamometallics, 1991年、10巻、2046頁)に記載の方法に準じて、本発明のホスフィン化合物(1)とジベンゾニトリルジクロル白金(PtCl2(PhCN)2)とを、有機溶媒に溶解し、加熱撹拌することにより調製でき、必要に応じてルイス酸(SnCl2等)を加えてもよい。
白金錯体の具体例として、例えば次のものを挙げることができる。
PtCl2(L)、PtBr2(L)、PtI2(L)、PtCl2(L)(SnCl2)、PtCl(L)(SnCl3
本発明のホスフィン化合物(1)の光学活性化合物(特にエナンチオマー)を配位子とする遷移金属ホスフィン錯体は不斉合成反応用遷移金属錯体触媒、特に不斉水素化反応用遷移金属錯体触媒、不斉異性化反応用遷移金属錯体触媒、不斉ヒドロホルミル化反応用遷移金属錯体触媒等に有用である。また、本発明のホスフィン化合物(1)において、そのラセミ体は、対応する光学活性化合物の製造中間体としても有用である。
遷移金属ホスフィン錯体を触媒として使用する場合は、該錯体の純度を高めてから使用してもよいが、該錯体を精製することなく用いてもよい。
遷移金属ホスフィン錯体の中では、特にルテニウムと光学活性化合物である(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイルビス(2,5−ジメチルホスホール(MP2−SEGPHOS)を配位子として含む遷移金属ホスフィン錯体は、N−アセタミドケイ皮酸の不斉水素化において、類似のビアリール部位をもつ光学活性ホスフィン化合物であるBINAPやSEGPHOSを配位子とする錯体より高いエナンチオ選択性を与えることができる。
本発明の遷移金属ホスフィン錯体を用いて不斉水素化反応を行う場合、不斉水素化させる基質としては、カルボニル化合物、イミン類、オレフィン類等が挙げられる、具体的には、α−ケトエステル類、β−ケトエステル類、γ−ケトエステル類、α−ヒドロキシケトン類、β−ヒドロキシケトン類、アリルケトン類、α,β−不飽和ケトン類、エナミド類、エノールエステル類、アリルアルコール類、α,β−不飽和カルボン酸類等が挙げられる。好ましくは、α,β−不飽和カルボン酸類が挙げられる。
本発明の遷移金属ホスフィン錯体を用いて不斉水素化反応を行う場合の反応条件は、用いる基質、錯体等により変わりうるので一概にはいえないが、通常、0〜100℃の反応温度にて、1.0〜10.0MPaの水素圧下、2〜30時間反応させる。前記基質に対する本発明の遷移金属ホスフィン錯体の使用量は、1/500〜1/10000(モル比)程度である。反応溶媒は、安定なものであり、基質や生成物に影響を与えない限りどのようなものも使用可能であるが、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、塩化メチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等が用いられる、その使用量は、基質の溶解度等により変わりうるので一概にはいえないが、通常、基質の質量部に対して0.1〜100倍容量(ml/g)程度用いられる。
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、各実施例における物性の測定に用いた装置は次のとおりである。
1H NMR:Bruker社製 DRX500 (500MHz)
31P NMR:Bruker社製 DRX500 (202MHz)
融点:Yanaco社製 MP−500D
旋光度:日本分光社製 DIP−4
ガスクロマトグラフィー:Hewlett Packard社製 5890−II
高速液体クロマトグラフィー:Hewlett Packard社製 HP1100
質量分析:日立製作所製 M−80B
実施例1 (+)−(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイルビス(2,5−ジメチルホスホール((+)−MP2−SEGPHOS)の合成
(a)(−)−(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイルビス(ジエチルホスホナート)((−)−5')の合成
特開2000−16998号公報の[実施例4]に開示されている方法で得たジホスフェート(6)204.5 g (478 mmol)、(−)−ジトルオイル酒石酸153.6 g (478 mmol)に酢酸ブチル510 mLを加え、105℃まで加熱した。室温まで冷却し、一晩撹拌した後、生成した固体を濾取した。ジクロロメタン1000 mL、1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液1000 mLを加え、0.5 時間撹拌した後、分液した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去したところ、標題化合物55.0 gを光学純度98.2% eeで得た。
得られた標題化合物全量 55.0 g (106 mmol)に(−)−ジトルオイル酒石酸41.3 g (106 mmol)、酢酸ブチル137 mLを加え、加熱還流した。空冷後、生成した固体を濾取した後、ジクロロメタン500 mL、1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液500mLを加えた。0.5 時間撹拌した後、油層を1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液、水で、飽和食塩水の順で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去したところ、光学純度100% eeの標題化合物43.7 gを得た(収率21%)。
光学純度は、HPLCにより測定した。
[α]D 24:−50.5 (c 1.0, CHCl3
(b) (−)−(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイルビスホスフィン((−)−H2−SEGPHOS: (−)−8)の合成
水素化リチウムアルミニウム19.3 g (50.9 mmol)のテトラヒドロフラン溶液を−30℃に冷却し、そこにクロロトリメチルシラン64.7 mL (50.9 mmol)を−20℃以下に保ちながら滴下した。−30℃にて30分撹拌した後、(−)−ジホスフェート((−)−6)43.7 g (8.49 mmol)のテトラヒドロフラン150 mL溶液を加えた。室温にて1 時間撹拌した後、メタノール20 mL、テトラヒドロフラン60 mLからなる混合溶液を注意深く滴下した。続いてメタノール20 mL、水40 mL、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を順次加え撹拌した。セライト濾過により固体を除去した後、溶媒を減圧留去したところ、標題化合物22.7 gを得た(収率87%、99.8% ee)。なお、光学純度は、光学活性HPLC (Chiralcel OD)を用い、定法に従い測定した。
EI−MS:m/z 307 (M+1)+
1H NMR(CDCl3)δ:3.59 (4H, d, J = 203.5 Hz), 5.90 (4H, s), 6.75 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.13 (2H, m)
31P NMR(CDCl3)δ:130.3 (t, J = 202.4 Hz)
[α]D 24:−58.0 (c 1.0, CHCl3
(c) (+)− [(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイル]ビス(2,5−ジメチルホスホール)((+)−MP2−SEGPHOS)の合成
(−)−H2−SEGPHOS 3.4 g (11.1 mmol)、2,4−ヘキサジイン4.5 g (2 eq)をトルエン50 mL、テトラヒドロフラン10 mLで溶解させ、40℃に加熱した。この混合液に、1.6 mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液 3.5 mL (0.5 eq)を滴下した。40度にて2時間撹拌した後、メタノールを投入して、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製したところ、標題化合物604 mgを得た。(収率13%、光学純度99.6% ee)。なお、光学純度は、光学活性HPLC (Chiralcel OD)を用い、定法に従い測定した。
Mp:228〜230 ℃
EI−MS:m/z 462 ([M]+
1H NMR(CDCl3)δ:2.00 (6H, s), 2.03 (6H, s), 5.94 (2H, d, J = 1.1 Hz), 6.03 (2H, d, J = 1.1 Hz), 6.30−6.53 (6H, m), 6.77 (2H, d, J = 8.2 Hz)
31P NMR(CDCl3)δ:3.2 (s)
[α]D 24:+134.70 (c 1.0, CHCl3
実施例2 (+)− [(4,4'−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5'−ジイル]ビス(2,5−ジフェニルホスホール)((+)−P3−SEGPHOS)の合成
(−)−H2−SEGPHOS 3.0 g (9.8 mmol)、2,4−ジフェニルブタジイン 3.96 g (19.6 mmol)をトルエン90 mL、テトラヒドロフラン3 mLで溶解させ、0℃に冷却した。この混合液に、1.6 mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液 2.45 mL (3.92 mmol)を滴下した。反応液を0℃にて2時間撹拌した後、室温まで昇温して、更に2時間撹拌した。続いてメタノールを投入して、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製したところ、標題化合物3.29 gを得た。(収率47%、光学純度99.7% ee)。なお、光学純度は光学活性HPLC (Chiralcel OD)を用い、定法に従い測定した。
EI−MS:m/z 711 (M+1)+
1H NMR(CDCl3)δ:5.23 (2H, d, J = 1.6 Hz), 5.57 (2H, d, J = 1.6 Hz), 6.62 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.69 (2H, td, J = 2.2, 8.2 Hz), 6.74−8.10 (24H, m)
31P NMR(CDCl3)δ:−1.8 (s)
[α]D 24:+164.3 (c 1.0, CHCl3
実施例3 [Rh(cod)((+)−MP2−SEGPHOS)]OTfの合成
(+)−MP2−SEGPHOS 50 mg (0.108 mmol)をジクロロメタン3 mLに溶解させ、[Rh(cod)2]OTf 50.6 mg (0.108 mmol)、ジクロロメタン3 mL中に滴下した。室温にて4 時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。固体をヘキサン5 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥して、標題化合物90 mgを得た。
31P NMR(CD2Cl2)δ:39.6 (d, J = 130.5 Hz)
実施例4 [RuCl(p−cymene)((+)−MP2−SEGPHOS)]Clの合成
(+)−MP2−SEGPHOS 50.0 mg (0.108 mmol)、[RuCl2(p−cymene)]2 33.1 mg (0.054 mmol)をジクロロメタン2.5 mL、エタノール2.5 mLに溶かし、50℃にて4 時間撹拌した。次に溶媒を減圧留去して、標題化合物76 mgを得た。(収率92%)
31P NMR(CD2Cl2)δ:41.4 (d, J = 58.0 Hz), 45.6 (d, J = 58.0 Hz)
実施例5 Ru(OAc)2((+)−MP2−SEGPHOS)の合成
(+)−MP2−SEGPHOS 100.0 mg (0.216 mmol)、[RuCl2(p−cymene)]2 66.1 mg (0.108 mmol)をジクロロメタン2.5 mL、エタノール2.5 mLに溶かし、50℃にて4 時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。次に酢酸ナトリウム53.2 mg (0.648 mmol)、1,4−ジオキサン5 mLを加え、100℃にて、一晩撹拌した。反応液を濾過した後、溶媒を減圧留去して、標題化合物 154 mgを得た。(収率92%)
31P NMR(CD2Cl2)δ:83.4 (s)
実施例6 [Rh(cod)((+)−P3−SEGPHOS)]OTfの合成
(+)−P3−SEGPHOS 50.0 mg (0.070 mmol)をジクロロメタン3 mLに溶解させ、[Rh(cod)2]OTf 50.6 mg (0.070 mmol)、ジクロロメタン3 mL中に滴下した。室温にて4 時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。固体をヘキサン5 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥して、標題化合物79 mgを得た。
31P NMR(CD2Cl2)δ:24.7 (d, J = 136.1 Hz)
実施例7 N−アセタミドケイ皮酸の不斉水素化反応
窒素雰囲気下、[RuCl(p−cymene)(L)]Cl 0.0024 mmol、N−アセタミドケイ皮酸100 mg (0.487 mmol)、ナトリウムメトキシド 29.1 mg(>95%, 0.511 mmol)、メタノール1 mLをステンレスオートクレーブに入れ、60℃、水素圧3.0 MPaの条件で、15 時間撹拌した。反応物の転化率、光学純度はそれぞれ1H NMR (CD3OD)、HPLCにて測定した。比較例としてLを(S)−SEGPHOSに替えたものを使用して同様の反応を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2009073848
本発明のMP2−SEGPHOSを配位子とする遷移金属錯体触媒を使用して水素化を行った実施例7では、光学純度が60%eeと極めて優れていた。また、転化率も83%と十分に高い数値であり、これは反応時間をすこし長めにすることにより、カバーできる範囲である。それに対して、類似のビアリール骨格を有するSEGPHOSを使用して水素化を行った比較例では、転化率が99%以上と優れてはいるが、光学純度が28%eeと極めて悪かった。その結果から、本発明のMP2−SEGPHOSは不斉水素化を行うことにおいて極めて有用な配位子であることがわかる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(2)
    Figure 2009073848
    (式中、
    5及びR6は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;
    7は、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;
    また、R5とR6は、R6とR7は、それぞれ互いに一緒になって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。)
    で表される1級ホスフィン化合物であって、軸不斉光学活性体であることを特徴とする1級ホスフィン化合物。
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