JP2009073685A - 有機溶媒に再分散可能な塊状組成物、その製造方法および該塊状組成物を再分散させた有機溶媒分散ゾル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 チタニウム化合物粒子の表面を、特定のアルコキシシラン、特定のハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子とn-ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物並びにその製造方法、および該塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなる有機溶媒分散ゾル。
【選択図】 なし
Description
しかし、使用される有機溶媒の種類と量によっては危険物扱いとなるため、その貯蔵や輸送に十分な注意を払う必要があるばかりなく、これを長期間保管すると、前記有機溶媒分散ゾル中に含まれる無機酸化物微粒子が凝集または自然沈降して保管容器の下部に堆積したりすることがあった。
そこで、これらの問題を解決するため、所望する有機溶媒に再分散可能な前記無機酸化物微粒子の乾燥粉体や塊状物を開発するか、或いは該微粒子を有機溶媒中に再分散させるための手段を開発することが求められていた。
例えば、特許文献1には、直流アークプラズマ法で気化させたチタン蒸気を酸化・冷却して得られる二酸化チタン超微粒子を、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、第4アンモニウム塩基などの官能基を有する各種の分散剤の存在下で、有機溶媒中に分散させる方法が開示されており、また特許文献2には、ケイ素または金属の酸化物、水酸化物または酸水酸化物で被覆された酸化チタン粒子を、ポリオキシエチレン化アルキルエーテルホスフェートから選択される両親媒性化合物(親水性と親油性を兼ね備える)の存在下で、有機溶媒中に分散させる方法が開示されている。
しかし、この方法から得られる改質粉体をn−ブタノール等の有機溶媒中に如何に分散させても、該粉体が均一に分散された透明な有機溶媒分散ゾルを得ることはできなかった。
しかし、この方法から得られる酸化金属微粒子は、上記のような高沸点溶媒を使用してその調製条件を特定の範囲に維持しなければ、該微粒子が均一に分散された有機溶媒分散液を得ることができないため、その使用用途は極めて限られるものであった。即ち、任意の有機溶媒(例えば、沸点100℃未満の有機溶媒)を用いて、金属酸化物微粒子を均一に再分散させてなる透明な有機溶媒分散ゾルを得ることはできなかった。
2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含むことを特徴としている。
R1 nSi(OR2)(4-n) … (1)
X1 mSiR3 (4-m) … (2)
(式中、R1は炭素数3〜18のアルキル基、アリール基またはフッ素置換アルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルキレン基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、X1はクロル基またはフッ素基を表す。また、nは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。)
さらに、前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径は、5〜20nmの範囲にあることが好ましい。
CxH(2x+1) Si(OC2H5)3 … (3)
F3C(CF2)yC2H4Si(OCZH2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。)
さらに、前記改質チタニウム化合物粒子は、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。
X1SiR3 3 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。)
Si(OR4)4 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。)
また、前記n―ブタノールの含有量は、1〜15重量%の範囲にあることが好ましい。
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をn−ブタノールに分散させてなるn―ブタノール分散ゾルに、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
CxH(2x+1) Si(OC2H5)3 … (3)
F3C(CF2)yC2H4Si(OCZH2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜90℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理して改質チタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却し、さらに撹拌しながら1〜24時間、放置して、前記改質チタニウム化合物粒子を熟成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるn−ブタノールをその含有量が0.5〜25重量%になるまで蒸発させる工程
に処することによって、前記改質チタニウム化合物粒子と前記n−ブタノールとを含む塊状組成物を得ることを特徴としている。
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
X1SiR3 3 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却した後、これにn−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを陽イオン交換樹脂で処理してイオン交換水分散ゾルを調製する工程;
(b)メタノールに、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
Si(OR4)4 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。);
(c)前記工程(a)で得られたイオン交換水分散ゾルと、前記工程(b)で得られた混合液とを撹拌下で混合した後、30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら 1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(d)前記工程(c)で得られた混合液を室温まで冷却し、これを限外濾過膜装置に供して、該混合液中に含まれる水とメタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
前記の有機溶媒に再分散可能な塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなるものであることを特徴としている。
ここで、前記有機溶媒は、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
また、前記有機溶媒分散ゾル中には、前記有機溶媒中に再分散させてなる前記塊状組成物を、1〜50重量%含むことが好ましい。
さらに、この塊状組成物を長期間保管しても、該組成物中に含まれるn−ブタノールが蒸発しない限り、粒子同士が凝集したり、あるいは凝結したりすることがなく、またその保管スペースも、該塊状組成物を分散させた有機溶媒分散ゾルに較べて、かなり少なくて済むという利点を有している。
さらに、本発明に係る塊状組成物を使用すれば、有機溶媒中に均一に分散された透明な有機溶媒分散ゾルを得ることができるので、その用途はかなり広がることが予想される。
なお、現時点で考えられる用途としては、顔料、化粧料、紫外線吸収剤、防腐剤、防汚材、殺菌剤、脱臭剤、油剤、粘剤、隠蔽材、導電材、高屈折率材、反射材、封止材、充填材、包装材、光触媒、反射防止膜材、ハーフミラー膜材、レンズ材、繊維材、電極材などが挙げられる。さらに、その使用目的によっても異なるが、各種の塗料、樹脂、建材、紙などに混合、添加または塗布して使用することができる。
本発明による塊状組成物は、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物であって、
2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含むものである。
R1 nSi(OR2)(4-n) … (1)
X1 mSiR3 (4-m) … (2)
(式中、R1は炭素数3〜18のアルキル基、アリール基またはフッ素置換アルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルキレン基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、X1はクロル基またはフッ素基を表す。また、nは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。)
前記チタニウム酸化物粒子は、化学式TiO2で表される化合物の粒子であるが、前記複合酸化物粒子としては、チタニウムと前記元素とを組み合わせて得られる様々な化合物の粒子がある。これらの化合物の化学式を模式的に例示すれば、以下の通りである。また、その結晶構造は、該化合物の調製条件(使用元素や各元素の含有量等を含む)によっても異なるが、主にアナターゼ型、ルチル型またはその混在型に分類される。
−O−Ti−O−Si−O−
| |
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−O−Ti−O−Zr−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−
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−O−Ti−O−Zr−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Zr−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−Zr−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Zr−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−Zr−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Zr−O−Si−O−Sb−O−
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前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径は、2〜30nm、好ましくは5〜15nmの範囲にあることが望まれる。ここで、前記平均粒子径が2nm未満であると、再分散安定性が著しく劣るため、得られた塊状組成物を有機溶媒中に再分散させることが困難となり、また前記平均粒子径が30nmを超えると、たとえ得られた塊状組成物を有機溶媒中に再分散できても、再分散ゾルの透明性が低くなるので、好ましくない。
CxH(2x+1) Si(OC2H5)3 … (3)
F3C(CF2)yC2H4Si(OCZH2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。)
さらに、前記ii)では、前記改質剤の中でも下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましく、また前記i)では、前記改質剤の中でも下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましい。
X1SiR3 3 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。)
Si(OR4)4 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。)
また、前記改質チタニウム化合物粒子は、前記ii)において、上記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
さらに、前記改質チタニウム化合物粒子は、前記i)において、上記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
すなわち、前記n―ブタノールは、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物を製造する上で重要な役割を果たしているので、本発明においては必須の構成成分である。さらに付言すれば、前記含有量が比較的少ないと、小さい塊状組成物(例えば、粒状物)が得られ、また前記含有量が比較的多いと、大きい塊状組成物が得られる。
本発明に係る塊状組成物は、2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含む混合物を調製することによって得られる。
さらに具体的に述べれば、 前記改質チタニウム化合物粒子は、i)水分散ゾルからメタノール分散ゾルを調製する過程およびii)メタノール分散ゾルからn−ブタノール分散ゾルを調製する過程で、上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で必要に応じて表面処理され、さらにiii)n−ブタノール分散液から前記塊状組成物を調製する過程で、上記一般式(1)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤で表面処理されたものを使用することが望ましい。
以下に、これらの最適な方法に基づき、本発明に係る再分散可能な塊状組成物の製造方法を説明する。
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をn−ブタノールに分散させてなるn―ブタノール分散ゾルに、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
CxH(2x+1) Si(OC2H5)3 … (3)
F3C(CF2)yC2H4Si(OCZH2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜90℃、好ましくは40〜70℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理して改質チタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却し、さらに撹拌しながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、放置して、前記改質チタニウム化合物粒子を熟成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるn−ブタノールをその含有量が0.5〜25重量%、好ましくは1〜15 重量%になるまで蒸発させる工程
に処することによって、前記改質チタニウム化合物粒子と前記n−ブタノールとを含む塊状組成物を製造するものである。
さらに、前記工程(a)において、上記一般式(4)で表されるアルコキシシランは、式中のxが2〜18の整数であり、yが0あるいは1〜7の整数であり、zが1〜3の整数の範囲にあるものから適宜、選択して使用することができるが、この中でも、CF3CH2CH2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)7CH2CH2Si(OC2H5)3などを使用することが好ましい。
さらに、前記工程(c)において、前記処理時間が1時間未満であると、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させることが困難となり、また前記処理時間が24時間を超えると、粒子同士が結合して凝集したりするとなるので、好ましくない。
また、前記工程(d)において、前記ロータリーエバポレーターの操作は、70〜150℃、好ましくは90〜110℃の温度条件下、および−0.0013〜0.0532MPa、好ましくは−0.0027〜0.0346MPaの減圧条件下で行うことが好ましい。
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
X1SiR3 3 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜60℃、好ましくは40〜70℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却した後、これにn−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
また、前記工程(a)において、前記メタノール分散液中に混合される前記改質剤の量は、SiO2換算基準で、前記チタニウム化合物粒子の重量に対し0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記混合量が0.5重量%未満であると、溶媒としてのメタノールをn−ブタノールに溶媒置換する際に、チタニウム化合物粒子の凝集が起こりやすくなり、また前記混合量が5.0重量%を超えると、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させることが困難となる場合があるので、好ましくない。
さらに、前記工程(d)において、前記ロータリーエバポレーターの操作は、40〜80℃、好ましくは50〜70℃の温度条件下、および−0.0013〜0.0532MPa、好ましくは−0.0027〜0.00346MPaの減圧条件下で行うことが好ましい。
即ち、前記n―ブタノール分散ゾルは、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、n−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(b)前記工程(a)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであってもよい。
ここで、前記工程(b)において、前記ロータリーエバポレーターの操作は40〜80℃、好ましくは50〜70℃の温度条件下、および−0.0013〜0.0532MPa、好ましくは−0.0027〜0.00346MPaの減圧条件下で行うことが好ましい。
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを陽イオン交換樹脂で処理してイオン交換水分散ゾルを調製する工程;
(b)メタノールに、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
Si(OR4)4 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。);
(c)前記工程(a)で得られたイオン交換水分散ゾルと、前記工程(b)で得られた混合液とを撹拌下で混合した後、30〜60℃、好ましくは45〜55℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液を室温まで冷却し、これを限外濾過膜装置に供して、該混合液中に含まれる水とメタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
また、前記工程(a)において、前記メタノール中に混合される前記改質剤の量は、SiO2換算基準で、前記チタニウム化合物粒子の重量に対し1〜10重量%、好ましくは
2〜5重量%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記混合量が1重量%未満であると、メタノール分散ゾルの段階でチタニウム化合物粒子の凝集が起こり易くなり、また前記混合量が10重量%を超えると、溶媒置換して得られるn−ブタノール分散ゾルの段階でチタニウム化合物粒子の凝集が起こり易くなるので、好ましくない。
さらに、前記工程(d)において、前記限外濾過装置の操作は、限外濾過膜モジュールを使用して、圧力0.1〜0.2MPa、温度20〜60℃、pH 2〜10の操作条件下で行うことが好ましい。
ただし、場合によっては、前記工程(a)で使用される改質剤を混合することなく、前記メタノール分散ゾルを調製してもよい。
また、上記において、前記メタノール分散ゾルや前記n−ブタノール分散ゾルに含まれるチタニウム化合物粒子は、それ以前に上記一般式(6)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤などで表面処理されているものもあるが、ここでは、「改質チタニウム化合物粒子」とは云わず、単に「チタニウム化合物粒子」と云うことにする。さらに、前記チタニウム化合物粒子を改質剤で表面処理すると、それに伴って平均粒子径は増大する傾向にあるが、その増大幅は差程大きくなく、また使用される改質剤の種類や改質回数などによっても異なるので、全ての過程で使用されるチタニウム化合物粒子の平均粒子径を、単に「2〜30nm」と表記する。
本発明に係る有機溶媒分散ゾルは、上記で得られた塊状組成物、即ち有機溶媒に再分散可能な塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなるものである。
ここで、前記有機溶媒は、特に限定されるものではないが、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
さらに、前記エーテル類からなる有機溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられ、また前記エステル類からなる有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)チタニウム化合物粒子の平均粒子径
透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−800)を用いて、試料ゾル0.05g中に含まれるチタニウム化合物粒子を倍率25万倍で写真撮影して得られた写真投影図から、任意の100個の粒子を選択して、それぞれの粒子径を測定した。次いで、それらの平均値を算出して前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径とした。
FIDガスクロマトグラフ(ジーエルサイエンス社製 GC−353B)を用いて、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させて固形分濃度を20重量%に調整した有機溶媒分散ゾル10.0gから0.2μLを取得して、これを分析した。次いで、ピーク面積比にて計算されたn−ブタノール含有値より前記塊状組成物中のn−ブタノール含有量を算出した。
(3)有機溶媒分散ゾルの透明性
色差・濁度測定器(日本電色工業(株)製、COH−300A)を用いて、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させて固形分濃度を20重量%に調整した有機溶媒分散ゾル20.0gを光路長33mmの石英セルに収納して、前記有機溶媒分散ゾルの濁度(Hz)を測定した。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.3kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
上記で得られたチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて撹拌して、脱アルカリ処理されたチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに上記の水分散ゾルをそれぞれ添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.4kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。
トリメチルクロロシラン30gに純水120gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン(n-C8H17Si(OC2H5)320.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.0kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。
上記の改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は78.2重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.9重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、4.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は24であった。
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製))中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.3kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに35重量%の過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.7kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて撹拌して、脱アルカリ処理されたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに上記の水分散ゾルをそれぞれ添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.5kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
トリメチルクロロシラン30.0gに純水120.0gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン20.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
上記の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.7重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.5gをトルエン7.5gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は29であった。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたn−ヘキサン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は39であった。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたMIBK再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は34であった。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたMEK再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は18であった。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたTHF再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は35であった。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたメタノール再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は19であった。
次いで、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は76.9重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.8重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、4.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は32であった。
次いで、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.4重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は37であった。
次いで、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は74.5重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.7gをトルエン7.3gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は43であった。
次いで、この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度86℃、圧力1.1Paの付近で35分間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は71.1重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.8gをトルエン7.2gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は2.0重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、10.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は19であった。
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、この過酸化チタン酸水溶液に、SnO2に換算して90.9gとなるように、濃度1.02重量%のスズ酸カリウム水溶液8.9kgを添加して混合撹拌した後、陽イオン交換樹脂にて脱アルカリ処理を行い、チタン酸・スズ酸の複合水溶液を得た。
次いで、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウム、スズおよびケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル3.2kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。なお、このチタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子は、ルチル型の結晶構造を有するものであった。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウム、スズおよびケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、スズ、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.5kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
上記で得られたチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75gを加えて撹拌して、脱アルカリ処理されたチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに上記の水分散ゾルをそれぞれ添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.5kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
トリメチルクロロシラン30gに純水120gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン20.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
上記の改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.8重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.8重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、4.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は31であった。
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.3kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに35重量%の過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.7kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
次いで、前記チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.0kgに、純水20kgを加えて固形分濃度2重量%に調整した水分散ゾルに、前記アンチモン酸化合物水溶液5.7kgを添加して十分に撹拌した後、陽イオン交換樹脂で脱アルカリ処理を行った。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜法装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子の水分散ゾル5.2kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgを、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.2kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
トリメチルクロロシラン30gに純水120gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン20.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
上記の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.2重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は30であった。
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)180gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で200℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.1kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに35重量%の過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の分散ゾル5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整したのち、90℃の温度に加熱し、これに上記のZrO2濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液1.5kgと上記のSiO2濃度が2重量%のケイ酸液4.7kgを添加した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.7kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡乳白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.5kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は透明な淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾルを使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを使用した以外は、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.7重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.6重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明性がない乳白色であり、その濁度は92であった。
この塊状組成物の固形分濃度は80.3重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.5gを、固形分濃度が20重量%となるようにトルエン7.5gに再分散させようとしたが、再分散せずに塊状物のままであった。参考までに、その上澄み液をFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。また、その上澄み液は透明で再分散していない残渣もあったので、濁度は測定しなかった。
次いで、この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で2時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.12kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は80.3重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.5gをトルエン7.5gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.05重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、0.25重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は透明性のない乳白色で再分散していない残渣もあったが、その濁度は79であった。
次いで、この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度86℃、圧力1.1Paの付近で15分間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含むペースト状組成物0.2kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は50.2重量%であった。さらに、前記ペースト状組成物4.0gをトルエン6.0gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は8.0重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、40.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は透明な乳白色であり、その濁度は64であった。
Claims (18)
- 2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物。
R1 nSi(OR2)(4-n) … (1)
X1 mSiR3 (4-m) … (2)
(式中、R1は炭素数3〜18のアルキル基、アリール基またはフッ素置換アルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルキレン基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、X1はクロル基またはフッ素基を表す。また、nは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。) - 前記チタニウム化合物粒子が、チタニウムの酸化物粒子、またはチタニウムとケイ素、ジルコニウム、錫およびアンチモンから選ばれた1種または2種以上の元素とを含む複合酸化物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の塊状組成物。
- 前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径が、5〜20nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の塊状組成物。
- 前記改質チタニウム化合物粒子が、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塊状組成物。
CxH(2x+1) Si(OC2H5)3 … (3)
F3C(CF2)yC2H4Si(OCZH2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。) - 前記改質チタニウム化合物粒子が、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塊状組成物。
X1SiR3 3 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。) - 前記改質チタニウム化合物粒子が、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塊状組成物。
Si(OR4)4 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。) - 前記n―ブタノールの含有量が、1〜15重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の塊状組成物。
- (a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をn−ブタノールに分散させてなるn―ブタノール分散ゾルに、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
CxH(2x+1) Si(OC2H5)3 … (3)
F3C(CF2)yC2H4Si(OCZH2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜90℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理して改質チタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却し、さらに撹拌しながら1〜24時間、放置して、前記改質チタニウム化合物粒子を熟成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるn−ブタノールをその含有量が0.5〜25重量%になるまで蒸発させる工程
に処することによって、前記改質チタニウム化合物粒子と前記n−ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物の製造方法。 - 前記n―ブタノール分散ゾルが、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
X1SiR3 3 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却した後、これにn−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることを特徴とする請求項8に記載の塊状組成物の製造方法。 - 前記メタノール分散ゾルが、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを陽イオン交換樹脂で処理してイオン交換水分散ゾルを調製する工程;
(b)メタノールに、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
Si(OR4)4 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。);
(c)前記工程(a)で得られたイオン交換水分散ゾルと、前記工程(b)で得られた混合液とを撹拌下で混合した後、30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら 1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液を室温まで冷却し、これを限外濾過膜装置に供して、該混合液中に含まれる水とメタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることを特徴とする請求項9に記載の塊状組成物の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなる有機溶媒分散ゾル。
- 前記有機溶媒が、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項11に記載の有機溶媒分散ゾル。
- 前記炭化水素類からなる有機溶媒が、n-ヘキサン、トルエン、キシレンまたはシクロヘキサンであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
- 前記アルコール類からなる有機溶媒が、メタノール、エタノール、1−プロバノール、2−プロパノールまたはn−ブタノールであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
- 前記ケトン類からなる有機溶媒が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンまたはジアセトンアルコールであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
- 前記エーテル類からなる有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブまたはテトラヒドロフランであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
- 前記エステル類からなる有機溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチルまたは酢酸ブチルであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
- 前記有機溶媒中に再分散させてなる前記塊状組成物を、1〜50重量%含むことを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の有機溶媒分散ゾル。
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