JP2009069626A - 液晶表示装置およびその駆動方法 - Google Patents

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俊洋 柳
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Abstract

【課題】共通電極の極性反転駆動を行いながら、補助容量線を駆動するドライバ回路に大きな負荷がかからず、消費電力を小さく抑えることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本液晶表示装置における補助容量線駆動回路500に含まれるスイッチ回路502nは、対応する走査信号線が選択されその後非選択状態となる時点の直前からその後共通電位が変化した直後の時点までのわずかの期間だけ補助容量線CsL(n)を電位供給回路501nに接続し、それ以外の期間はカップリング容量Ccpを介して共通電極Ecomに接続する。このことから補助容量線を交流駆動するほとんどの期間を大きな負荷で駆動可能な共通電極駆動回路によって行うことができるので、補助容量線を駆動するドライバ回路の使用頻度が小さくなり、装置全体としての消費電力を小さく抑えることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置およびその駆動方法に関し、より詳しくは補助容量線への印加電圧を変化させることにより補助容量線を駆動する液晶表示装置およびその駆動方法に関する。
一般的な従来のアクティブマトリクス型の液晶表示装置の表示部は、複数(N本)の走査信号線GL(1)〜GL(N)と、当該複数の走査信号線に交差する複数(M本)の映像信号線SL(1)〜SL(M)と、当該複数の走査信号線と当該複数の映像信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状の配置された複数(N×M個)の画素形成部P(1,1)〜P(N,M)とを備えており、各画素形成部は、後述する図2にも示されるように、画素電極とそれに対向する電極(「共通電極」とも呼ばれる)とによって形成される液晶容量(「画素容量」ともいう)Clcを含んでいる。各画素電極には、それを挟むように2本の映像信号線SL(m),SL(m+1)が配設されており、映像信号線SL(m)がTFT10を介して当該画素電極に接続されている。
また、この液晶表示装置では、後述する図1に示されるように、複数の走査信号線GL(n)と平行に同数(N本)の補助容量線CsL(n)が形成されており、各画素形成部P(n,m)では、画素電極と補助容量線CsL(n)との間に補助容量Ccsが形成されている。
上記のようなアクティブマトリクス型の液晶表示装置では、各画素形成部P(n,m)において、画素電極に接続されるTFT10がオン状態(導通状態)のとき、映像信号線SL(m)からTFT10を介して電圧が印加され、そのTFT10がオフ状態(遮断状態)になると、その印加電圧が液晶容量Clc(および補助容量Ccs)に保持され、その保持電圧に応じて画素が表示される(n=1,2,…,N; m=1,2,…,M)。
ここで、この従来の液晶表示装置では、TFT10がオフ状態となった後、補助容量線CsL(n)への印加電圧を変化させることにより、(一定の共通電位Vcomを印加されている)共通電極を基準とした画素電極の電位を変化させる。このような電位変化について図6を参照して詳しく説明する。
図6は、従来の液晶表示装置における各種信号の波形図である。なお図6に示される映像信号線SL(m)に印加される電圧信号である映像信号S(m)は、説明の便宜のため、白表示(最高輝度)に対応する電圧値となっている。
この従来の液晶表示装置では、補助容量線CsL(n)を駆動することにより、画素電極の電位を変化させる。すなわち、画素電極の電位は、共通電極Ecomを基準とするとき、補助容量線CsL(n)の電位変化に対して液晶容量値Clcと補助容量値Ccsとの和に対する補助容量の割合に応じて変化する。
したがって、図6に示されるように、画素形成部P(n,m)の画素電極電位は、走査信号G(n)がアクティブ状態から非アクティブ状態となった時点において4Vに保持されるが、その後の補助容量線駆動信号Cs(n)の上記電位変化によりさらに2V上昇して6Vとなっている。したがって、共通電位Vcomが2Vであることから、この時点での液晶層への印加電圧は4Vとなる。なお、ここでは走査信号線の寄生容量による電位変化については無視している。
以上の動作は、極性が反転される次行の画素形成部P(n+1,m)の画素電極電位および次フレームの画素形成部P(n,m)においても同様である。このように、共通電位Vcomを固定しつつ補助容量線を駆動する液晶表示装置は、例えば特開2001−83943号公報や特開2004−205670号公報などに開示されている。以下、このような従来例を第1の従来例という。
また、共通電極Ecomを1走査期間毎に駆動することにより、共通電位Vcomを映像信号S(m)とは逆極性の電位(例えば0Vまたは4V)となるように変化させる従来の液晶表示装置もある。この従来の構成によれば液晶への印加電圧を±4Vの範囲とすることができる。この従来の構成において、補助容量線を駆動することは必ずしも必要ではないが、共通電極と同位相で補助容量線を1走査期間毎に駆動する従来の液晶表示装置もある。この従来の構成によれば、補助容量線を適宜の電位で駆動することにより、フリッカや画像メモリ現象などを抑制することができる。このような従来の液晶表示装置は、例えば特開平2−913号公報などに開示されている。以下、このような従来例を第2の従来例という。
特開2001−83943号公報 特開2004−205670号公報 特開平2−913号公報
ここで、上記第1の従来例における液晶への印加電圧の絶対値は最大で4Vとなるが、ノーマリブラック型の液晶表示装置においてその液晶層の透過率を100%にするためには通常5V程度の印加電圧が必要となるので、印加電圧の絶対値の最大値が不足することがある。ここで、上記最大値を増加させるために補助容量線駆動信号Cs(n)の電位の最大値を大きくする(すなわち信号振幅を大きくする)構成も考えられるが、補助容量線駆動回路の製造コストが高くなるほか、液晶印加電圧の絶対値の最小値が液晶しきい電圧値(通常は1.5V程度)を大きく超えてしまう。したがって、黒表示の場合にも低い輝度で表示が行われるのでコントラストが低下し、表示装置の表示性能が低下してしまう。
また、第2の従来例において、共通電極および補助容量線を例えば0Vから5Vまでの範囲内で駆動すれば、液晶印加電圧の絶対値の最大値を5Vとすることができる。しかし、このように補助容量線を共通電極と同様に駆動すると、例えばいわゆるライン反転駆動方式が採用される場合、補助容量線を駆動するドライバ回路によって頻繁に極性反転を行わなければならず、補助容量線を駆動するドライバ回路に大きな負荷がかかり、消費電力が増大する。
そこで本発明は、補助容量線を駆動する液晶表示装置において、共通電極の極性を反転する駆動を行いながら、補助容量線を駆動するドライバ回路に大きな負荷がかからず、消費電力を小さく抑えることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置であって、
表示すべき画像を表す信号を伝達するための複数の映像信号線、前記複数の映像信号線と交差する複数の走査信号線、前記複数の走査信号線に沿って対応するよう配される複数の補助容量線、前記複数の画素形成部に共通的な電位を与える共通電極、および前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素形成部を含み、前記複数の画素形成部のそれぞれは、前記複数の映像信号線のうち対応する映像信号線に繋がる電極であって、対応する補助容量線との間に所定の補助容量が形成され、前記共通電極との間に液晶が介在する画素電極を含む表示部と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記複数の補助容量線を駆動する補助容量線駆動回路と、
前記走査信号線駆動回路により前記複数の走査信号線のうち1つが選択的に駆動される毎に、または1つ以上が駆動される間を空けて、前記共通電極を基準とする前記画素電極の極性が反転されるように、所定の第1の電位および当該第1の電位よりも大きい第2の電位を交互に前記共通電極に印加することにより、前記共通電極を駆動する共通電極駆動回路とを備え、
前記共通電極駆動回路は、前記走査信号線駆動回路によって対応する走査信号線が選択される時点近傍の第1の期間を除く第2の期間中、前記共通電極と同一の電位変化により前記複数の補助容量線を駆動し、
前記補助容量線駆動回路は、前記対応する走査信号線が選択される時点直後の所定の時点において、当該時点または当該時点直後での前記共通電極の電位変化と同一方向に変化するよう所定の第3の電位および当該第3の電位よりも大きい第4の電位のうちいずれかを印加するように、前記第1の期間中、前記走査信号線駆動回路によって選択される走査信号線に対応する補助容量線を駆動することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記第1の期間は、対応する走査信号線が前記走査信号線駆動回路によって選択され選択状態から非選択状態に遷移した第1の時点より前であってかつ前記第1の時点直前において前記共通電極の電位が変化する第2の時点より後の時点を始点とし、前記第1の時点より後であってかつ次に前記共通電極の電位が変化する第3の時点より前の時点を終点とする期間であることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、
前記補助容量線駆動回路は、
前記第3または第4の電位のいずれかを出力する電位供給回路と、
前記第1の期間中、前記走査信号線駆動回路によって選択される走査信号線に対応する補助容量線に対して前記電位供給回路を接続し、前記第2の期間中、前記対応する補助容量線に対して前記電位供給回路を切り離すスイッチ回路と
を含むことを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、
前記スイッチ回路は、前記第1の期間中、前記走査信号線駆動回路によって選択される走査信号線に対応する補助容量線に対し、前記電位供給回路を接続するとともに前記共通電極駆動回路を切り離し、前記第2の期間中、前記対応する補助容量線に対し、前記電位供給回路を切り離すとともに所定のカップリング容量を介して前記共通電極駆動回路を接続することを特徴とする。
第5の発明は、第3の発明において、
前記共通電極駆動回路は、所定のカップリング容量を介して前記複数の補助容量線にそれぞれ接続されることを特徴とする。
第6の発明は、表示すべき画像を表す信号を伝達するための複数の映像信号線、前記複数の映像信号線と交差する複数の走査信号線、前記複数の走査信号線に沿って対応するよう配される複数の補助容量線、前記複数の画素形成部に共通的な電位を与える共通電極、および前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素形成部を含み、前記複数の画素形成部のそれぞれは、前記複数の映像信号線のうち対応する映像信号線に繋がる電極であって、対応する補助容量線との間に所定の補助容量が形成され、前記共通電極との間に液晶が介在する画素電極を含む表示部を備えるアクティブマトリクス型の液晶表示装置の駆動方法であって、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動ステップと、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動ステップと、
前記複数の補助容量線を駆動する補助容量線駆動ステップと、
前記走査信号線駆動ステップにおいて前記複数の走査信号線のうち1つが選択的に駆動される毎に、または1つ以上が駆動される間を空けて、前記共通電極を基準とする前記画素電極の極性が反転されるように、所定の第1の電位および当該第1の電位よりも大きい第2の電位を交互に前記共通電極に印加することにより、前記共通電極を駆動する共通電極駆動ステップとを備え、
前記共通電極駆動ステップでは、対応する走査信号線が前記走査信号線駆動ステップによって選択される時点の直前から直後までの第1の期間を除く第2の期間中、前記共通電極と同一の電位変化により前記複数の補助容量線を駆動し、
前記補助容量線駆動ステップでは、前記選択される時点直後の所定の時点において、当該時点または当該時点直後での前記共通電極の電位変化と同一方向に変化するよう所定の第3の電位および当該第3の電位よりも大きい第4の電位のうちいずれかを印加するように、前記第1の期間中、前記走査信号線駆動ステップによって選択される走査信号線に対応する補助容量線を駆動することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、走査信号線駆動回路によって対応する走査信号線が選択される時点近傍の第1の期間中のみ、補助容量線駆動回路により補助容量線が駆動され、それ以外の第2の期間では、共通電極駆動回路により補助容量線が駆動されるので、従来の液晶表示装置よりも液晶印加電圧を大きくすることができる利点を有しつつ、さらに補助容量線駆動回路に大きな負荷がかからず、消費電力を小さく抑えることができる。
また、補助容量線を交流駆動することにより、これを交流駆動しない従来の構成に比べて、共通電極の電位変化量(振幅)をより小さく抑えることができるので、共通電極の振幅に基づく振動により生じるいわゆる音鳴り現象を上記従来の構成よりも低減することができる。
上記第2の発明によれば、補助容量線駆動回路により補助容量線を駆動する第1の期間を対応する走査信号線が選択され選択状態から非選択状態に遷移した第1の時点より前を始点とすることにより、補助容量線の電位変化によって表示に影響が及ぶことを防止し、また次の共通電極の電位が変化する第3の時点よりも前を終点とすることにより、共通電極駆動回路により共通電極の電位と上記補助容量線の電位とをともに変化させて液晶印加電圧を大きくすることができる。
上記第3の発明によれば、第1の期間中、対応する補助容量線に対して電位供給回路が接続され、第2の期間中、対応する補助容量線に対して電位供給回路が切り離されるので、対応する補助容量線に対して補助容量線駆動回路は適宜の期間に適宜の電圧を印加することができる。
上記第4の発明によれば、第1の期間中、対応する補助容量線に対してさらに共通電極駆動回路が切り離され、第2の期間中、対応する補助容量線に対して共通電極駆動回路がをさらに接続されるので、対応する補助容量線に対して共通電極駆動回路は適宜の期間に所定の電圧を印加することができる。
上記第5の発明によれば、所定のカップリング容量を介することにより、補助容量線の電位を共通電極の電位に直ちに一致させることなく、共通電極駆動回路による電位変化に応じた量だけ補助容量線の電位を変化させることができる。
上記第6の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を液晶表示装置の駆動方法において奏することができる。
<1. 第1の実施形態>
<1.1 液晶表示装置の全体構成および動作>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、表示制御回路200、ソースドライバ(映像信号線駆動回路)300、ゲートドライバ(走査信号線駆動回路)400、補助容量線駆動回路500、および共通電極駆動回路600からなる駆動制御部と、表示部700とを備えている。
表示部700は、複数本(M本)の映像信号線SL(1)〜SL(M)と、複数本(N本)の走査信号線GL(1)〜GL(N)および補助容量線CsL(1)〜CsL(N)と、それら複数本の映像信号線SL(1)〜SL(M)と複数本の走査信号線GL(1)〜GL(N)とに沿って設けられた複数個(M×N個)の画素形成部を含んでいる。なお以下では、走査信号線GL(n)と映像信号線SL(m)との交差点に関連づけて当該交差点近傍(図では当該交差点の右下近傍)に設けられた画素形成部を参照符号“P(n,m)”で示すものとする。図2は、本実施形態の表示部700における画素形成部P(n,m)の等価回路および補助容量線駆動回路500の構成を示している。
この図2に示すように、各画素形成部P(n,m)は、走査信号線GL(n)またはその隣の走査信号線GL(n+1)にゲート端子が接続されるとともに当該交差点を通過する映像信号線SL(m)またはその隣の映像信号線SL(m+1)にソース端子が接続されたスイッチング素子であるTFT10と、そのTFT10のドレイン端子に接続された画素電極Epixと、上記複数個の画素形成部P(i,j)(i=1〜N、j=1〜M)に共通的に設けられた共通電極Ecomと、上記複数個の画素形成部P(i,j)(i=1〜N、j=1〜M)に共通的に設けられ画素電極Epixと共通電極Ecomとの間に挟持された電気光学素子としての液晶層とによって構成される。
なお、各画素形成部P(n,m)は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの色を表示するものであって、図2に示すように、同じ色を表示する画素形成部P(n,m)が映像信号線SL(1)〜SL(M)に沿って配置されており、かつ走査信号線GL(1)〜GL(N)に沿った方向にRGBの順で配置されている。
各画素形成部P(n,m)では、画素電極Epixと、それに液晶層を挟んで対向する共通電極Ecomとによって液晶容量(「画素容量」ともいう)Clcが形成されている。各画素電極Epixには、それを挟むように2本の映像信号線SL(m),SL(m+1)が配設されており、映像信号線SL(m)がTFT10を介して当該画素電極Epixに接続されている。
また、各走査信号線GL(n)と平行に補助容量線CsL(n)が形成されており、各画素形成部P(n,m)では、画素電極Epixと補助容量線CsL(n)との間に補助容量Ccsが形成されている。なお、この補助容量線CsL(n)に与えられる電位については詳しく後述する。
表示制御回路200は、外部から送られる表示データ信号DATとタイミング制御信号TSとを受け取り、デジタル画像信号DVと、表示部700に画像を表示するタイミングを制御するためのソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK、ラッチストローブ信号LS、ゲートスタートパルス信号GSP、ゲートクロック信号GCK、補助容量線制御信号Scs、および共通電極制御信号Secを出力する。
ソースドライバ300は、表示制御回路200から出力されたデジタル画像信号DV、ソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK、およびラッチストローブ信号LSを受け取り、表示部700内の各画素形成部P(n,m)の液晶容量Clcを充電するために駆動用映像信号S(1)〜S(M)を各映像信号線SL(1)〜SL(M)に印加する。このとき、ソースドライバ300では、ソースクロック信号SCKのパルスが発生するタイミングで、各映像信号線SL(1)〜SL(M)に印加すべき電圧を示すデジタル画像信号DVが順次に保持される。そして、ラッチストローブ信号LSのパルスが発生するタイミングで、上記保持されたデジタル画像信号DVがアナログ電圧に変換される。
なお、このようなD/A変換は、ソースドライバ300に含まれるD/A変換回路(および階調電圧生成回路)により行われる。このD/A変換回路は、例えばソースドライバ300の外部から与えられる階調電圧生成のための基準電圧を分圧することにより、各表示階調に対応するアナログ電圧を生成する。このD/A変換回路により生成されたアナログ電圧は、駆動用映像信号として全ての映像信号線SL(1)〜SL(M)に一斉に印加される。すなわち、本実施形態においては、映像信号線SL(1)〜SL(M)の駆動方式には線順次駆動方式が採用される。
ゲートドライバ400は、表示制御回路200から出力されたゲートスタートパルス信号GSPとゲートクロック信号GCKとに基づいて、各走査信号線GL(1)〜GL(N)にアクティブな走査信号G(1)〜G(N)を順次印加する。
補助容量線駆動回路500は、各補助容量線CsL(1)〜CsL(N)に1つずつ設けられるN個のスイッチ回路および電位供給回路が設けられており、図2には補助容量線CsL(n)に接続されるスイッチ回路502nおよび電位供給回路501nが示されている。なお、このスイッチ回路502nは補助容量線駆動回路500の外部に設けられていてもよい。
この電位供給回路501nは、表示制御回路200から出力された補助容量線制御信号Scsに基づいて、図示されない電源回路から与えられる電位に基づき2段階に電位が変化する駆動信号Dcs(n)を出力する。また、スイッチ回路502nは、上記補助容量線制御信号Scsに基づいて、補助容量線CsL(n)を電位供給回路501nに接続するかまたはカップリング容量Ccpを介して共通電極Ecomに接続するかを後述する所定のタイミングで切り替える。
なお、この補助容量線制御信号Scsは、例えばゲートスタートパルス信号GSPおよびゲートクロック信号GCKに相当するスタートパルス信号およびクロック信号と、上記電位選択および接続切り替えのタイミング等を示す信号とを含んでいる。
共通電極駆動回路600は、表示制御回路200から出力された共通電極制御信号Secに基づいて、映像信号S(m)の変化に応じて液晶に印加されるべき電圧の極性が反転されるように図示されない電源回路から与えられる電位に基づき2段階に変化する電位を共通電極に印加する。なお、この共通電極制御信号Secは、例えばゲートクロック信号GCKに相当するクロック信号と、極性反転(または上記電位選択)のタイミングを示す信号とを含んでいる。
ここで図2に示される接続関係からわかるように、これら補助容量線CsL(1)〜CsL(N)に印加される電圧が変化すると、画素電極Epixの電位は、共通電極Ecomを基準とするとき、補助容量線CsL(n)の電位変化に対して液晶容量値と補助容量値との和に対する補助容量の割合に応じて変化する。このことにより共通電位Vcomと各画素形成部における画素電極との電位差を(白表示の場合には)大きくする(言い換えれば画素電極の電圧をかさ上げする)ことができる。この信号の波形等については後述する。
以上のようにして、各映像信号線SL(1)〜SL(M)に駆動用映像信号が印加され、各走査信号線GL(1)〜GL(N)に走査信号が印加され、各補助容量線CsL(1)〜CsL(N)に補助容量線駆動信号が印加されることにより、表示部700に画像が表示される。次に、図3および図4を参照して各種信号等の電位変化について説明する。
<1.2 各種信号等の波形>
図3は、本液晶表示装置における各種信号等の簡易な波形図である。また、図4は、所定の期間における各種信号の電位変化を詳細に示す波形図である。なお、図3における映像信号S(m)は白表示を行う場合の例であり、また各種信号の変化タイミングや電圧値は説明を簡易にするため単純化されている。例えば走査信号線と画素電極との間の寄生容量Cgdに応じて走査信号線の電位変化により画素電極の電位が変化する点などは図3においては記載が省略されている。
図3および図4に示されるように、映像信号線SL(m)に印加される電圧信号である映像信号S(m)は、0Vから4Vまでの画素の輝度に応じた所定の電圧値、すなわち正極性の場合には黒表示(最低輝度)に対応する電圧値を0Vとし白表示(最高輝度)に対応する電圧値を4Vとして、また負極性の場合には黒表示(最低輝度)に対応する電圧値を4Vとし白表示(最高輝度)に対応する電圧値を0Vとして、4Vの範囲の電圧値を有している。なお映像信号S(m)における最も低い電圧を0Vとすることにより、全体として消費電力を抑えることができる
また前述したように、液晶層は経時劣化を防止するために交流駆動を行う必要から、共通電極Ecomの電位である共通電位Vcomは、映像信号S(m)の変化に応じて液晶印加電圧の極性が反転されるように正極性の場合には0Vとなり負極性の場合には4Vとなるよう変化する。したがって例えば、常に白表示を行う場合の映像信号S(m)の変化に対して共通電位Vcomは同じ振幅で逆位相となるよう変化する。
ここで前述したように、画素電極Epixの電位は、共通電極Ecomを基準とするとき、補助容量線CsL(n)の電位変化に対して液晶容量値と補助容量値との和に対する補助容量の割合に応じて変化する。したがって、仮に共通電位Vcomが変化せずに、補助容量線に与えられる信号(以下この信号を「補助容量線駆動信号」という)Cs(n)の電位のみが4Vだけ変化すると、液晶容量値Clc:補助容量値Ccs=1:3すなわちCcs/(Ccs+Clc)=0.75であるものとすると、画素電極Epixの電位は3Vだけ変化する。また、逆に補助容量線駆動信号Cs(n)の電位が変化せず、共通電位Vcomのみが4Vだけ変化すると仮定すると、Clc/(Ccs+Clc)=0.25であるので、画素電極Epixの電位は1Vだけ変化する。もちろん、補助容量線駆動信号Cs(n)および共通電位Vcomの電位がともに4Vだけ変化する場合、画素電極Epixの電位も同じく4Vだけ変化する。すなわち液晶印加電圧はそのまま保持される。なお、上記液晶容量値Clcと補助容量値Ccsとの比率は説明を簡単にするための一例にすぎず、実際には周知の構成によって適宜な値に設定することができる。例えば液晶容量値Clc:補助容量値Ccs=1:1の場合であっても、後述する例を参照すれば液晶印加電圧は6Vまで上げることができることがわかる。
なお、この補助容量線駆動信号Cs(n)として補助容量線CsL(n)に印加されるべき駆動信号Dcs(n)は、走査信号G(n)の立ち下がりと同一(厳密には短い時間の経過後)のタイミングで、共通電位Vcomの電位変化と同一の方向に立ち下がりまたは立ち上がるよう補助容量線制御信号Scsに基づいて、補助容量線駆動回路500の電位供給回路501nにより生成される。具体的には、図3に示されるように、駆動信号Dcs(n)は、走査信号G(n)の立ち下がりと同一のタイミングで立ち下がったのち、次のフレームにおける走査信号G(n)の立ち下がりタイミングで立ち上がる。厳密に言えば、この駆動信号Dcs(n)は、TFT10が完全にオフ状態となった時点、すなわち走査信号G(n)の立ち下がりよりわずかに遅いタイミングで立ち下がったのち、次のフレームにおける走査信号G(n)の立ち下がりよりわずかに遅いタイミングで立ち上がる。またこのように遅いタイミングとなることは共通電位Vcomにおける電位変化についても同様である。詳しくは図4を参照して後述する。
また図3に示されるように、画素形成部P(n,m)の画素電極電位は、走査信号G(n)が(TFT10をオンさせる)アクティブ状態から非アクティブ状態となる時点まで4Vに保持される。その後、画素形成部P(n,m)の画素電極電位は、共通電位Vcomが固定されたまま補助容量線駆動信号Cs(n)の電位が4V上昇することにより3V上昇し、さらにその後、補助容量線駆動信号Cs(n)の電位および共通電位Vcomがともに4V上昇することにより、さらに4V上昇した結果、最終的に11Vとなっている。なおこのような電位変化については図4を参照して後述する。
したがって、上記最終的な時点での共通電位Vcomが4Vであることから、液晶層への印加電圧は7Vのまま保持される。その後、この液晶印加電圧が次のフレームにおける表示時点まで保持されることにより、上記印加電圧に応じた輝度で画素表示が行われる。すなわち、補助容量線が存在しない従来の液晶表示装置であればもちろん、補助容量線が存在する場合であってもその電位を共通電位と同時に同じだけ変動させる場合(例えば前述した第2の従来例の装置)、液晶印加電圧が印加時点から変動することなくそのまま保持されることになる。
ここで、補助容量線を共通電位と同時に同じだけ変動させるよう、補助容量線を電位供給回路のみで駆動する従来の構成では、電位供給回路およびその電源に大きな負荷がかかるため消費電力が大きくなる。すなわち、N個の電位供給回路はそれぞれ共通電位と同じ電位変化量で補助容量線を駆動しなければならないので、駆動すべき補助容量線が存在しない従来の液晶表示装置の場合よりも消費電力が大きくなる。
そこで、本液晶表示装置では、スイッチ回路により後述する所定のタイミングで補助容量線を電位供給回路から切り離し、カップリング容量Ccpを介して共通電極駆動回路600に接続する。そうすれば、接続された補助容量線を共通電極駆動回路600により駆動することができるので、補助容量線が存在しない従来の液晶表示装置の場合と同様に、消費電力を小さく抑えることができる。なお、共通電極駆動回路600は、補助容量を含む液晶容量を駆動するのに十分な性能を備えるよう設計されているので、このように駆動しても大きな負荷がかかることはない。次に、図4を参照して上記タイミングを含む各信号の変化について説明する。
図4に示す時刻t1において、或る1つの水平走査期間が開始される。この時、共通電位Vcomおよび補助容量線駆動信号Cs(n)は共に立ち下がるよう変化する。すなわち、スイッチ回路502nによりカップリング容量Ccpを介して補助容量線CsL(n)と共通電極駆動回路600とが接続されているので、これらの信号は同時に同じだけ変化することになる。なお、図中では、共通電位Vcomは一点鎖線で、補助容量線駆動信号Cs(n)は点線でそれぞれ示されているが、後述するように時刻t3から時刻t5までの間これらは同電位となるので、この期間中補助容量線駆動信号Cs(n)もまた一点鎖線で示されている。
次に、時刻t2において、スイッチ回路502nは、補助容量線CsL(n)を共通電極駆動回路600から切り離し、電位供給回路501nに接続するよう切り替える。このときの電位供給回路501nから出力される駆動信号Dcs(n)の電位は、同時点での共通電位Vcomと一致するよう設定されているものとする。したがって、この時刻t2において、上記切り替えがなされることによって補助容量線駆動信号Cs(n)の電位が変化し、この電位変化に対して画素電極Epixの電位は、液晶容量値と補助容量値との和に対する補助容量の割合に応じて変化する。
続いて、時刻t3において、走査信号G(n)がアクティブとなることにより、走査信号線GL(n)に繋がる画素形成部、ここでは一例として図3に示す画素形成部P(n,m)に備えられるTFT10がオンされ、そのことにより画素電極Epixの電位が映像信号線S(n)の電位に一致するまで画素電極Epixが充電される。したがって、時刻t2において画素電極Epixの電位が変化しても当該画素形成部における表示に影響が出ることはない。
その後、時刻t4において、走査信号G(n)が非アクティブとなることにより、画素電極Epixの電位が共通電位Vcomに対して保持されることになるが、厳密には走査信号G(n)の立ち下がりにより画素電極Epixの電位も少し低下することになる。これは、対応する走査信号線と画素電極との間の寄生容量Cgdに応じて走査信号線の電位変化により画素電極の電位が変化するからである。
もっともその後の時刻t5において、電位供給回路501nは、駆動信号Dcs(n)の電位を次の水平走査期間における共通電位Vcomの電位と同じ電位(図3では4V)に変化させる。ここで時刻t2においてスイッチ回路502nにより補助容量線CsL(n)は電位供給回路501nに接続されており、補助容量線駆動信号Cs(n)の電位は、駆動信号Dcs(n)の電位と同電位となるので図4において点線で示されるように立ち上がる。この電位変化に応じて、画素電極Epixの電位も立ち上がる。図3に示される例では、共通電位Vcomが一定のままで補助容量線駆動信号Cs(n)が4Vだけ変化すると、画素電極電位Epixは3Vだけ変化する。なお、前述したように実際には寄生容量Cgdの影響を受けることになるが、図3に示される例では説明の便宜のため省略されている。
続いて、時刻t6において、スイッチ回路502nは、補助容量線CsL(n)を電位供給回路501nから切り離し、共通電極駆動回路600に接続するよう切り替える。ここで直前に電位供給回路501nから出力されていた駆動信号Dcs(n)の電位は、同時点での共通電位Vcomと一致していないが、カップリング容量Ccpが補助容量Ccsに対して非常に小さいことにより電荷の移動がほとんど生じないので、補助容量線CsL(n)の電位はそのまま保持される。
次に、時刻t7において、次の水平走査期間が開始され、共通電位Vcomが立ち上がる。このとき補助容量線CsL(n)は、スイッチ回路502nにより共通電極駆動回路600に接続されているので、補助容量線CsL(n)の電位も共通電位Vcomと同様に立ち上がる。したがって、画素電極Epixの電位もこれらの電位変化に応じて立ち上がることになる。図3に示される例では、補助容量線駆動信号Cs(n)の電位も共通電位Vcomも共に4Vだけ変化するので、画素電極電位Epixもまた4Vだけ変化して11Vとなる。
その後、この補助容量線CsL(n)は、共通電極駆動回路600によって駆動され、次のフレームにおける時刻t2に相当する時点までは、スイッチ回路502nにより補助容量線CsL(n)が共通電極駆動回路600から切り離されることがないので、共通電位Vcomと同一方向に同電位だけ変化することになる。
またこの次のフレームでは、共通電極Ecomを基準とした画素電極Epixの電位が極性反転されるので、共通電位Vcomおよび補助容量線駆動信号Cs(n)の電位も反転されるが、スイッチ回路502nの切り替えタイミングや各種信号の変化時点は同じであるので、その詳しい説明は省略する。
このように、補助容量線CsL(n)は、1フレーム期間中、対応する走査信号線GL(n)が選択される時点直前の時刻t2からその時点直後の時刻t6までのわずかの間だけ電位供給回路501nにより駆動されるが、その他の期間は全てカップリング容量Ccpを介して共通電極駆動回路600により駆動されることになる。
<1.3 第1の実施形態の効果>
以上のように、本実施形態では、補助容量線CsL(1)〜CsL(N)を駆動する場合、1フレーム期間中の対応する走査信号線GL(1)〜GL(N)が選択される期間を含むわずかの間だけ電位供給回路501nにより駆動し、その他の期間は全て共通電極駆動回路600により駆動するので、補助容量線を駆動する従来の液晶表示装置よりも液晶印加電圧を大きくすることができる利点を有しつつ、さらに補助容量線駆動回路500(の電位供給回路501n)に大きな負荷がかからず、消費電力を小さく抑えることができる。
また、本実施形態では補助容量線CsL(1)〜CsL(N)を交流駆動するので、これを交流駆動しない従来の構成に比べて、共通電位Vcomの電位変化量(振幅)をより小さく抑えることができる。このことから、共通電極の振幅に基づく振動により生じるいわゆる音鳴り現象を上記従来の構成よりも低減することができる。
<2. 第2の実施形態>
<2.1 装置の全体構成および動作>
本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置は、補助容量線駆動回路500の構成および動作が若干異なるほか、その全体構成および動作は図1に示される第1の実施形態に係る液晶表示装置と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は、本実施形態における画素形成部P(n,m)の等価回路および補助容量線駆動回路500の構成を示している。この画素形成部の構成および動作については第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
本実施形態における補助容量線駆動回路500には、図2に示す第1の実施形態とは異なる接続関係で、各補助容量線CsL(1)〜CsL(N)に1つずつ設けられるN個のスイッチ回路および電位供給回路が設けられており、図5には補助容量線CsL(n)に接続されるスイッチ回路512nおよび電位供給回路511nが示されている。なお、これらは補助容量線駆動回路500の外部に設けられていてもよい。
この電位供給回路511nは、第1の実施形態における電位供給回路501nとは異なって、3段階に電位が変化する駆動信号Dcs(n)を出力する。なお、その電位も第1の実施形態の場合とは異なるが、詳しくは後述する。
また、スイッチ回路512nは、第1の実施形態におけるスイッチ回路502nとは異なり、上記補助容量線制御信号Scsに基づいて、補助容量線CsL(n)を電位供給回路511nに接続するか(その接続を)開放するかを後述する所定のタイミングで切り替える。すなわち、第1の実施形態の場合とは異なり、共通電極Ecomはカップリング容量Ccpを介して補助容量線CsL(n)に恒常的に接続されている。
このように、本実施形態の液晶表示装置では、後述する所定のタイミングでカップリング容量Ccpを介して補助容量線を共通電極駆動回路600により駆動するので、第2の実施形態の場合と同様、消費電力を小さく抑えることができる。また、第2の実施形態の場合と異なり、補助容量線の電位を3段階に変化するので、この電位を適宜に設定することにより、走査信号線と画素電極との間の寄生容量Cgdに応じて走査信号線の電位変化により生じる画素電極の電位変化を補償するなどの周知の補償を行うことができる。次に、図6を参照して上記タイミングを含む各信号の変化について説明する。
<2.2 各種信号等の波形>
図6は、第2の実施形態において、所定の期間での各種信号の電位変化を詳細に示す波形図である。なお、図中では、共通電位Vcomは一点鎖線で、補助容量線駆動信号Cs(n)は点線で、走査信号G(n)は一点鎖線で、画素形成部P(n,m)のEpix電位は実線でそれぞれ示されている。
この図6に示す時刻t1においては、図4の場合と同様、共通電位Vcomおよび補助容量線駆動信号Cs(n)は共に立ち下がるよう変化する。これはカップリング容量Ccpを介して補助容量線CsL(n)と共通電極駆動回路600とが恒常的に接続されているので、これらの信号は同時に同じだけ変化することになるからである。
次に、時刻t2において、スイッチ回路512nは、補助容量線CsL(n)と電位供給回路511nとを接続するよう切り替える。このときの電位供給回路511nから出力される駆動信号Dcs(n)の電位は、同時点での共通電位Vcomと一致する電位に設定されている。したがって、この時刻t2において、上記切り替えがなされることにより、補助容量線駆動信号Cs(n)の電位は、後述する共通電位Vcomから所定量だけ離れた電位から共通電位Vcomまで上昇することになるので、画素形成部P(n,m)のEpix電位もそれに応じて上昇することになる。なお、図中の電位変化は説明の便宜のため簡略化されており、実際の電位変化量とは異なっている。
続いて、時刻t3において、走査信号G(n)がアクティブとなることにより、画素電極Epixの電位が映像信号線S(n)の電位に一致するまで画素電極Epixが充電され、その後、時刻t4において、走査信号G(n)が非アクティブとなることにより、画素電極Epixの電位が少し低下した後、共通電位Vcomに対して保持される。なお、画素電極Epixの電位の低下は、対応する走査信号線と画素電極との間の寄生容量Cgdによる。このことは前述したとおりである。
次に時刻t5において、電位供給回路511nは、駆動信号Dcs(n)の電位を次の水平走査期間における共通電位Vcomの電位より少し高い所定の電位(図6では時刻t6における電位)に変化させる。ここでこの電位は、寄生容量Cgdに応じた走査信号線電位の立ち下がりによる画素電極電位の低下を補償する量だけ共通電位Vcomより高い電位に設定されている。したがって、最終的な(時刻t7より後の)画素電極Epixの電位が走査信号線における電位変化の影響を受けないようにすることができる。
なお、この時刻t5においても補助容量線CsL(n)と共通電極駆動回路600とは接続されたままであるが、共通電極Ecomはカップリング容量Ccpを介して共通電極駆動回路600に接続されているので補助容量線CsL(n)の電位変化により共通電位Vcomが変動することはない。
続いて、時刻t6において、スイッチ回路512nは、補助容量線CsL(n)を電位供給回路511nから切り離すよう切り替える。ここで、補助容量線CsL(n)と共通電極Ecomとはカップリング容量Ccpにより接続されているので、共通電極駆動回路600により共通電位Vcomを変化させない限り、補助容量線駆動信号Cs(n)の電位は共通電位Vcomより少し高い電位のまま変化しない。なお、この後の電位供給回路511nは、引き続き同電位の駆動信号Dcs(n)を出力していてもよいし、信号出力を停止していてもよい。
次に、時刻t7において、次の水平走査期間が開始され、共通電極駆動回路600により共通電位Vcomおよび補助容量線CsL(n)の電位が共に立ち上がるよう駆動される。この電位変化に応じて、画素電極Epixの電位も立ち上がる。その電位変化量については第1の実施形態の場合と同様であるので説明を省略する。
その後、この補助容量線CsL(n)は、共通電極駆動回路600によって駆動され、次のフレームにおける時刻t2に相当する時点までは、スイッチ回路502nにより異なる電位の駆動信号Dcs(n)を出力する電位供給回路511nと接続されることがないので、共通電位Vcomから所定量だけ離れた電位で、共通電位Vcomと同一方向に同量だけ変化することになる。
またこの次のフレームでは、共通電極Ecomを基準とした画素電極Epixの電位が極性反転されるので、共通電位Vcomおよび補助容量線駆動信号Cs(n)の電位も反転されるが、スイッチ回路502nの切り替えタイミングや各種信号の変化時点は同じであるので、その詳しい説明は省略する。
このように、補助容量線CsL(n)は、1フレーム期間中、対応する走査信号線GL(n)が選択される時点直前の時刻t2からその時点直後の時刻t6までのわずかの間だけ電位供給回路501nにより駆動されるが、その他の期間は全てカップリング容量Ccpを介して共通電極駆動回路600により共通電位Vcomから所定量だけ離れた電位のままで駆動されることになる。
<2.3 第2の実施形態の効果>
以上のように、本実施形態では、第1の実施形態の場合と同様、補助容量線CsL(1)〜CsL(N)を駆動する場合、1フレーム期間中の対応する走査信号線GL(1)〜GL(N)が選択される期間を含むわずかの間だけ電位供給回路511nにより駆動し、その他の期間は全て共通電極駆動回路600により駆動するので、補助容量線駆動回路500(の電位供給回路511n)に大きな負荷がかからず、消費電力を小さく抑えることができる。また、第1の実施形態の場合と同様、いわゆる音鳴り現象を低減することができる。
さらに、第1の実施形態の場合とは異なり、時刻t6の時点で補助容量線CsL(1)〜CsL(N)の電位を共通電位Vcomより少し高い電位に設定することにより、寄生容量Cgdに応じて走査信号線の電位変化により生じる画素電極の電位を補償するなどの周知の補償を行うことができる。
また例えば、これらの電位が3段階に変化する構成では、走査信号線と画素電極との寄生容量に応じた走査信号線の電位変化による画素電極電位の変化を補償するとともに、液晶印加電圧の極性による輝度のずれの補償などの周知の補償をすることができる。具体的には走査信号G(n)におけるパルスの立ち下がり(の電位変化)により画素形成部P(n,m)における画素電極Epixの電位変化量や、所望の輝度に対応する正極性および負極性でのそれぞれの印加電圧を考慮して、当該上記3段階の電位を適宜に設定すれば、走査信号線の電位変化や液晶印加電圧の極性による影響を解消することができる。
<3. 各実施形態の変形例>
上記第1および第2の実施形態において、補助容量線駆動信号Cs(n)は、走査信号G(n)の立ち下がりと同一の(正確にはその直後のわずかに遅れた)タイミングで、共通電位Vcomの電位変化と同一の方向に立ち下がりまたは立ち上がるが、このタイミングに限定されるわけではなく、走査信号G(n)の立ち下がり時点またはその直後における共通電位Vcomの電位変化と同一の方向に変化するのであれば、走査信号G(n)の立ち下がり後の所定期間経過後に立ち上がりまたは立ち下がってもよい。もっとも、液晶印加電圧の実効値が所望の値で一定に保たれる時間が長いほど表示が安定するので、走査信号G(n)の立ち下がりと同一またはその直後から非常に短い時間が経過後のタイミングで補助容量線駆動信号Cs(n)が立ち上がりまたは立ち下がるのが好ましい。
上記第1および第2の実施形態において、補助容量線CsL(n)は時刻t2から時刻t6までの間、補助容量線駆動回路500の電位供給回路501nまたは電位供給回路511nによって駆動されるが、駆動される期間は上記時刻に限定されるわけではなく、補助容量線CsL(n)は、走査信号線GL(n)が選択状態から非選択状態に遷移する時刻t4近傍の期間中、駆動される構成であればよい。
さらに具体的には、補助容量線CsL(n)は、時刻t4直前に共通電位Vcomが変化する時点である時刻t1(より厳密に言えば、電位変化が完了した時点である時刻t1の直後の時点)以降を始点とし、次に共通電位Vcomが変化した時点である時刻t6の直後の時点(典型的には時刻t7)を終点とする期間中、駆動される構成であればよい。
もっとも、上記第1および第2の実施形態では、補助容量線CsL(n)の電位と共通電位Vcomとが異なっていることから補助容量線駆動回路500による駆動が開始される時点すなわちスイッチ回路512nが接続される時点(時刻t2)で画素電極Epixの電位に変動が生じてしまう。したがって、補助容量線CsL(n)を駆動する期間の始点は、走査信号線GL(n)が選択状態から非選択状態に遷移する時刻t4より前であることが求められる。
上記第2の実施形態では、寄生容量Cgdに応じて走査信号線の電位変化により生じる画素電極の電位変化を補償する構成であるが、これを補償することなく電位供給回路511nおよびスイッチ回路512nはそのままで第1の実施形態と同様に補助容量線CsL(1)〜CsL(N)の電位が2段階に変化する構成であってもよい。また逆に、第1の実施形態では、寄生容量Cgdに応じて走査信号線の電位変化により生じる画素電極の電位変化を補償しない構成であるが、これを補償するように電位供給回路501nおよびスイッチ回路502nはそのままで第2の実施形態と同様に補助容量線CsL(1)〜CsL(N)の電位が3段階に変化する構成であってもよい。
上記第2の実施形態では、補助容量線CsL(1)〜CsL(N)の電位が3段階に変化する構成であるが、4段階またはそれ以上に変化する周知の構成であってもよい。また、例えば以下の回路構成であれば2段階のみの変化であってもよい。すなわち、上記第2の実施形態において、共通電極駆動回路600と補助容量線CsL(n)とを接続するためのスイッチ回路を新たに設け、電位供給回路511nが共通電位Vcomと一致する補助容量線駆動信号Cs(n)を出力すべき時点において、電位供給回路511nはこの信号を出力することなく、上記スイッチ回路512nにより補助容量線CsL(n)と電位供給回路511nとが切り離され、同時に上記スイッチ回路により共通電極駆動回路600と補助容量線CsL(n)とが接続される構成であってもよい。この構成では、補助容量線CsL(1)〜CsL(N)の電位を2段階に変化させるだけでよいので、補助容量線駆動回路500に与えるべき電位およびその構成を簡単にすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。 上記実施形態における画素形成部の等価回路および補助容量線駆動回路の構成を示す回路図である。 上記実施形態における各種信号等の簡易な波形図である。 上記実施形態において所定の期間における各種信号の電位変化を詳細に示す波形図である。 本発明の第2の実施形態における画素形成部の等価回路および補助容量線駆動回路の構成を示す回路図である。 上記実施形態において所定の期間における各種信号の電位変化を詳細に示す波形図である。 従来の液晶表示装置における各種信号等の波形図である。
符号の説明
10 …TFT(スイッチング素子)
200 …表示制御回路
300 …ソースドライバ
400 …ゲートドライバ
500 …補助容量線駆動回路
501,511…電位供給回路
502,512…スイッチ回路
600 …共通電極駆動部
700 …表示部
Ecom …共通電極
Vcom …共通電位
Epix …画素電極
GL(n) …走査信号線(n=1〜N)
G(n) …走査信号(n=1〜N)
CsL(n) …補助容量線(n=1〜N)
Cs(n) …補助容量線駆動信号(n=1〜N)
SL(m) …映像信号線(m=1〜M)
S(m) …映像信号(m=1〜M)
P(n,m) …画素形成部(n=1〜N、m=1〜M)

Claims (6)

  1. アクティブマトリクス型の液晶表示装置であって、
    表示すべき画像を表す信号を伝達するための複数の映像信号線、前記複数の映像信号線と交差する複数の走査信号線、前記複数の走査信号線に沿って対応するよう配される複数の補助容量線、前記複数の画素形成部に共通的な電位を与える共通電極、および前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素形成部を含み、前記複数の画素形成部のそれぞれは、前記複数の映像信号線のうち対応する映像信号線に繋がる電極であって、対応する補助容量線との間に所定の補助容量が形成され、前記共通電極との間に液晶が介在する画素電極を含む表示部と、
    前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
    前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
    前記複数の補助容量線を駆動する補助容量線駆動回路と、
    前記走査信号線駆動回路により前記複数の走査信号線のうち1つが選択的に駆動される毎に、または1つ以上が駆動される間を空けて、前記共通電極を基準とする前記画素電極の極性が反転されるように、所定の第1の電位および当該第1の電位よりも大きい第2の電位を交互に前記共通電極に印加することにより、前記共通電極を駆動する共通電極駆動回路とを備え、
    前記共通電極駆動回路は、前記走査信号線駆動回路によって対応する走査信号線が選択される時点近傍の第1の期間を除く第2の期間中、前記共通電極と同一の電位変化により前記複数の補助容量線を駆動し、
    前記補助容量線駆動回路は、前記対応する走査信号線が選択される時点直後の所定の時点において、当該時点または当該時点直後での前記共通電極の電位変化と同一方向に変化するよう所定の第3の電位および当該第3の電位よりも大きい第4の電位のうちいずれかを印加するように、前記第1の期間中、前記走査信号線駆動回路によって選択される走査信号線に対応する補助容量線を駆動することを特徴とする、液晶表示装置。
  2. 前記第1の期間は、対応する走査信号線が前記走査信号線駆動回路によって選択され選択状態から非選択状態に遷移した第1の時点より前であってかつ前記第1の時点直前において前記共通電極の電位が変化する第2の時点より後の時点を始点とし、前記第1の時点より後であってかつ次に前記共通電極の電位が変化する第3の時点より前の時点を終点とする期間であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記補助容量線駆動回路は、
    前記第3または第4の電位のいずれかを出力する電位供給回路と、
    前記第1の期間中、前記走査信号線駆動回路によって選択される走査信号線に対応する補助容量線に対して前記電位供給回路を接続し、前記第2の期間中、前記対応する補助容量線に対して前記電位供給回路を切り離すスイッチ回路と
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記スイッチ回路は、前記第1の期間中、前記走査信号線駆動回路によって選択される走査信号線に対応する補助容量線に対し、前記電位供給回路を接続するとともに前記共通電極駆動回路を切り離し、前記第2の期間中、前記対応する補助容量線に対し、前記電位供給回路を切り離すとともに所定のカップリング容量を介して前記共通電極駆動回路を接続することを特徴とする、請求項3に記載の液晶表示装置。
  5. 前記共通電極駆動回路は、所定のカップリング容量を介して前記複数の補助容量線にそれぞれ接続されることを特徴とする、請求項3に記載の液晶表示装置。
  6. 表示すべき画像を表す信号を伝達するための複数の映像信号線、前記複数の映像信号線と交差する複数の走査信号線、前記複数の走査信号線に沿って対応するよう配される複数の補助容量線、前記複数の画素形成部に共通的な電位を与える共通電極、および前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素形成部を含み、前記複数の画素形成部のそれぞれは、前記複数の映像信号線のうち対応する映像信号線に繋がる電極であって、対応する補助容量線との間に所定の補助容量が形成され、前記共通電極との間に液晶が介在する画素電極を含む表示部を備えるアクティブマトリクス型の液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動ステップと、
    前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動ステップと、
    前記複数の補助容量線を駆動する補助容量線駆動ステップと、
    前記走査信号線駆動ステップにおいて前記複数の走査信号線のうち1つが選択的に駆動される毎に、または1つ以上が駆動される間を空けて、前記共通電極を基準とする前記画素電極の極性が反転されるように、所定の第1の電位および当該第1の電位よりも大きい第2の電位を交互に前記共通電極に印加することにより、前記共通電極を駆動する共通電極駆動ステップとを備え、
    前記共通電極駆動ステップでは、対応する走査信号線が前記走査信号線駆動ステップによって選択される時点の直前から直後までの第1の期間を除く第2の期間中、前記共通電極と同一の電位変化により前記複数の補助容量線を駆動し、
    前記補助容量線駆動ステップでは、前記選択される時点直後の所定の時点において、当該時点または当該時点直後での前記共通電極の電位変化と同一方向に変化するよう所定の第3の電位および当該第3の電位よりも大きい第4の電位のうちいずれかを印加するように、前記第1の期間中、前記走査信号線駆動ステップによって選択される走査信号線に対応する補助容量線を駆動することを特徴とする、液晶表示装置の駆動方法。
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