JP2009065186A - 粘接着テープの基材フィルムの粘着力を制御する方法および粘接着テープ用基材フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープの基材フィルムにおいて、コロナ放電、低圧水銀灯等のエネルギー線を照射する表面処理により、粘接着剤層に密着性を付与し、ウェハ貼合部分では粘接着剤層と基材フィルムの界面で剥離可能とし、ダイシングフレーム貼合部分では粘接着剤層とダイシングフレームの界面で剥離可能とする。基材フィルム1において、表面処理部2、非表面処理部3を設け、ダイシングフレーム貼着部4にダイシングフレームを貼着する。
【選択図】図1
Description
上記特許文献に開示されている粘接着テープは、ダイシング後、チップ裏面に粘接着剤層を貼りつけた状態で基材フィルムから剥離し、リードフレーム等に接着した後加熱などにより硬化接着させるものであるため、粘接着剤層と基材フィルムとの間は剥離容易に積層されている。
一方、一般的に通常の粘着テープに用いられる基材フィルムは、粘着剤層の密着性を良好なものとするために、表面処理が行われている。具体的にはコロナ放電、低圧水銀灯等を用いた表面処理装置を利用し、照射されるエネルギーによって生成されるオゾンにより基材表面を酸化させて基材フィルムの表面改質を行うか、もしくは基材フィルム表面にプライマーと呼ばれる粘接着層との密着性を強固にするための材料を塗布する。
しかし、上記特許文献に記載されているダイシング−ダイボンド用粘接着テープはウェハ貼合部分となる粘接着剤層を基材フィルムから剥離容易とするためにこの表面改質を行わないのが特徴である。
すなわち本発明は、
(1)基材フィルムの少なくとも片面に単一の層を構成した粘接着剤層を設け、粘接着剤層側にセパレータを設けてなる、半導体装置を製造する接着工程に使用される半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープの前記基材フィルムにおいて、表面処理により、部分的に、粘接着テープの基材フィルムの粘着力を制御する方法、
(2)基材フィルムの少なくとも片面に粘接着剤層を設けてなる、半導体装置を製造する接着工程に使用される半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープの前記基材フィルムにおいて、表面処理により、部分的に、基材フィルムの粘着力を制御する方法、及び、
(3)少なくとも片面に粘接着剤層を設け、半導体装置を製造するに接着工程に使用される半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープに用いられる基材フィルムであって、前記基材フィルムの粘着力を表面処理により部分的に制御した粘接着テープ用基材フィルム、を提供するものである。
本発明で半導体装置とは、IC等、半導体チップをリードフレーム等の支持部材に接着し、樹脂封止したものなどをいう。
本発明は、粘接着テープに用いる基材フィルムの表面エネルギーを、ウェハを貼合する部分とダイシングフレームを貼合する部分で異なるようにする。このように表面エネルギーの異なるものとすることにより、ウェハ貼合部分では粘接着剤層と基材フィルムの界面で剥離可能であり、ダイシングフレーム貼合部分では粘接着剤層とダイシングフレームの界面での剥離が可能でかつダイシングフレームを汚染せず、作業性よく生産可能となる。ここで表面エネルギーは表面と粘接着剤の接着性の尺度として用いる。表面エネルギーは、接着性を直接測定できるものではないが、粘着剤の分野においては表面エネルギーと接着性の関係は経験的に知られており、基材フィルムの表面エネルギーが低い程、粘接着性が低くなる。
図1にこのようにして得られた基材フィルム1の状態を示す。図中2が基材フィルム1上の非表面処理部、3は表面処理部である。3はウェハが貼合される部分を示し、4はダイシングフレームを貼合する部分(一点鎖線で示すリング状の部分)である。ダイシングフレームはAのようにリング内側が表面処理部と非表面処理部の境界とぴったり一致していてもよいし、Bのように、リング内側の径が非表面処理部より大径で、表面処理部に乗っている態様でもよい。
一般に基材フィルムとして用いるポリエチレンなどのオレフィン系樹脂は、表面処理を施さない状態での表面エネルギーが約30mN/mであり、粘接着剤層が容易に剥離できるものであるが、表面処理により50mN/m以上とすることが可能である。通常本発明においては基材フィルムに対し、表面処理していない場合に比べ、表面処理により表面エネルギーを10mN/m以上高くするのが好ましく、より好ましくは15mN/m〜20mN/mだけ高くする。ダイシングフレームは、材質や表面処理により異なるが約40mN/mであり、シリコンウェハは約60mN/mであり、粘接着剤層は概ね40〜80mN/mである。表面エネルギーの評価としては、JIS K 6768:1999(プラスチック―フィルム及びシート―ぬれ張力試験方法)にて行うことができる。
Wa=2(γ1・γ2)0.5
(γ1:接着剤の表面エネルギー、γ2:被着体の表面エネルギー)
よって、基材フィルムに表面処理を施すことにより、基材フィルム/粘接着剤の熱力学的接着仕事がダイシングフレーム/粘接着剤の熱力学的接着仕事を上回るため、ダイシングフレームと粘接着剤の貼合面で剥離させることが可能となる。
この、粘接着剤の破壊エネルギーは、粘接着剤の引張試験(JIS Z0237−2000)にて測定したデータを元に求めたものである。この方法において破断点まで伸張させたときに得られる曲線の積分値(曲線とベースラインに囲まれる面積に相当する)が粘接着剤の破壊エネルギーである。
また、基材フィルムの表面処理方法(易接着処理方法)としては、コロナ放電、低圧水銀灯等のエネルギー線を用いた表面処理装置を利用する方法が挙げられる。通常、基材フィルムの表面処理は、ロール状に巻かれたフィルムを一次元的に配置されたエネルギー線源に対して垂直方向に一定速度で繰り出して行うことで行われる。
このような表面処理法としては、基材フィルムを部分的かつ基材フィルムの長さ方向に対して断続的に表面処理を施さない部分を設けることが可能であれば限定されるものではないが、具体例としては、基材フィルムを繰り出す速度と連動して遮蔽面積を変更可能な遮蔽物を設けてエネルギー線を遮蔽する方法や、基材フィルムを繰り出す速度と連動してエネルギー線が照射される面積を変更することにより行うこと等が挙げられる。
なお、基材フィルムの表面処理の有無については、目視で確認することができないので、例えば基材フィルム面に表面処理状態が確認できるようにマーキングを施すことができる。マーキング方法については、例えばインクジェットやレーザー等のマーキング装置を使用して、フィルムの繰り出しと遮蔽物の動きに連動して印字する方法などが挙げられる。このマーキングをもとに、シリコンウェハやダイシングフレームを所定の位置に貼合することが可能である。
本発明に用いられる基材フィルムとしては、公知のものを使用することができるが、カルボキシル基、水酸基等の極性基を有していないものが好適に用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテンなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合体、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体等の熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの群から選ばれる2種以上が混合されたものもしくは複層化されたものでもよい。なお、複層で用いる場合には粘接着剤層と接触する部分が上記の樹脂から選ばれるものであればその他の層は上記樹脂に限定されるものではなく、上記樹脂とのアクリル酸共重合体やアイオノマー等極性基を有する樹脂、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等のエンジニアリングプラスチック、またはポリウレタン、等を用いることができる。
基材フィルムの厚みは特に制限はないが、50〜200μmが好ましく用いられる。
(1)エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートから1種類もしくは複数種と、アクリル酸もしくはメタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレートを主成分とした共重合体と、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートから1種類もしくは複数種と、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートを主成分とした共重合体の混合物もしくはそれらの架橋物
(2)エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートから1種類もしくは複数種と、アクリル酸、もしくはメタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレートを主成分とした共重合体と、エポキシ樹脂の混合物など公知の粘接着剤が挙げられるが、上に挙げられる例に限定されるものではなが、前述のとおり粘接着剤の破壊エネルギーが10000N/m以上であることが好ましい。
粘接着剤層の乾燥時の厚さはチップのサイズ、チップの積層枚数などによって異なるが、好ましくは2〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。
上記粘接着剤には、ダイボンド後の導電性、熱伝導性の付与を目的として金属製微粉末やその他導電性もしくは熱伝導性に優れる材料を添加することも可能である。
また、上記粘接着剤には、熱安定性向上を目的として金属酸化物やガラス等の微粉末を添加することも可能である。
(イ)粘接着剤の剥離性評価
後記の実施例及び比較例の粘接着テープ(250mm×300mm)をダイシングフレーム(ディスコ製DTF2−6−1)及び6インチシリコンウェハ#2000研磨面に貼合し、テープを25mm幅に切断し、1時間放置後紫外線を照射した後、シリコンウェハ貼合面、ダイシングフレーム貼合面それぞれの剥離力を測定した。
なお、剥離力は剥離角度90゜、剥離速度50mm/minにて行った。紫外線照射量は高圧水銀灯で200mJ/cm2とした。
また、粘接着剤の被着体への転着の有無を目視にて確認した。
(対シリコンウェハ面)
シリコンウェハに粘接着層剤が転写されたもの・・・・・・・○
シリコンウェハに粘接着層剤が転写されないもの・・・・・・×
(対ダイシングフレーム面)
ダイシングフレームに粘接着剤の糊残りがあったもの・・・×
ダイシングフレームに念接着剤の糊残りが無いもの・・・・○
(ロ)粘接着剤層の破壊エネルギー
粘接着剤層を基材フィルムから剥がし、25mm幅×100μm厚さ×150mm長さに加工し、高圧水銀灯で200mJ/cm2照射したサンプルについて、引張速度300mm/minにて引張試験を行い、破壊エネルギーを測定した。
(粘接着剤の調製)
粘接着剤1
エチルアクリレート、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレートがモル比で80:5:15からなる重量平均分子量23万のアクリル系共重合体に2−イソシアネートエチルメタクリレートを2−ヒドロキシエチルアクリレートに対してモル比で60%付加反応させた紫外線硬化性アクリル系共重合体100重量部とエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートがモル比で80:10:10からなる重量平均分子量14万のアクリル系共重合体に2−イソシアネートエチルメタクリレートを2−ヒドロキシエチルアクリレートに対してモル比で60%付加反応させた紫外線硬化性アクリル系共重合体100重量部を混合し、アクリル系粘接着剤を得た。この粘接着剤の破壊エネルギーは22153N/mであった。
粘接着剤2
粘接着剤1のアクリル系粘接着剤100質量部とエポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート1002)300質量部を混合して粘接着剤を得た。この粘接着剤の破壊エネルギーは7440N/mであった。
(基材フィルムの調製)
基材フィルム1
厚さ100μmの高密度ポリエチレン製基材フィルム(表面エネルギー30mN/m、250mm×300mm)に直径170mm(6インチウェハを想定)のコロナ処理を施こされていない部分を設けるようにコロナ処理を行い作成した。このもののコロナ処理部の表面エネルギーは45mN/mであった。
基材フィルム2
厚さ100μmの高密度ポリエチレン製基材フィルム(250mm×300mm)全面にコロナ処理を施し表面エネルギー45mN/mのフィルムを作成した。
基材フィルム3
基材フィルム1で用いた厚さ100μmの高密度ポリエチレン製基材フィルム(250mm×300mm)にコロナ処理を施さず作成した。
基材フィルム1に粘接着剤1を乾燥時の厚さ20μmになるよう塗工して粘接着テープを得た。
実施例2
基材フィルム1に粘接着剤2を乾燥時の厚さが20μmになるよう塗工して粘接着テープを得た。
比較例1
基材フィルム2に粘接着剤1を乾燥時の厚さ20μmになるよう塗工して粘接着テープを得た。
比較例2
基材フィルム2に粘接着剤2を乾燥時の厚さ20μmになるよう塗工して粘接着テープを得た。
比較例3
基材フィルム3に粘接着剤1を乾燥時の厚さ20μmになるよう塗工して粘接着テープを得た。
比較例4
基材フィルム3に粘接着剤2を乾燥時の厚さ20μmになるよう塗工して粘接着テープを得た。
前記の方法で各粘接着テープを試験し、その結果を下記表1に示した。
2 非表面処理部
3 表面処理部
4 ダイシングフレーム貼合部
10 ダイシング−ダイボンド用粘接着テープ
11 基材フィルム
12 粘接着剤層
13 半導体チップ
14 ダイシング溝
15 半導体チップ+粘接着剤層
16 ダイシングフレーム
Claims (3)
- 基材フィルムの少なくとも片面に単一の層を構成した粘接着剤層を設け、粘接着剤層側にセパレータを設けてなる、半導体装置を製造する接着工程に使用される半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープの前記基材フィルムにおいて、表面処理により、部分的に、粘接着テープの基材フィルムの粘着力を制御する方法。
- 基材フィルムの少なくとも片面に粘接着剤層を設けてなる、半導体装置を製造する接着工程に使用される半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープの前記基材フィルムにおいて、表面処理により、部分的に、粘接着テープの基材フィルムの粘着力を制御する方法。
- 少なくとも片面に粘接着剤層を設け、半導体装置を製造する接着工程に使用される半導体ウェハダイシング−ダイボンド用粘接着テープに用いられる基材フィルムであって、該基材フィルムの粘着力を表面処理により部分的に制御した粘接着テープ用基材フィルム。
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