JP2009064877A - ナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末 - Google Patents

ナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】異方性が高く、最大エネルギー積の大きいナノコンポジット磁石粉末を得る。
【解決手段】 多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1は金型2に充填され、その側面は、固定された金型2の側面で二軸方向が拘束され、他の一軸方向のみが金型2の入口面(底面)からの加圧力3により加圧されながら、水素を吸蔵41した後、水素を放出42する。多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1は塑性変形が非常に制限されているので転位(欠陥)も制限され、結晶核の生成サイトの増加が防止される。さらに、塑性変形が制限されていると、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1に一方向に大きな荷重を印加することができる。これにより、水素吸蔵工程において分解して形成される層状組織の方向や水素放出工程において再結晶する方向が内部応力を緩和する方向へ沿い易く異方性が高くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、産業機械、自動車、家電またはOA機器のモータや磁気センサに用いられる異方性化されたナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末に関するものである。
産業機械、自動車、家電またはOA機器に用いられる磁石に対して、小型化、省エネルギー化のために、大きな最大エネルギー積を有することが必要とされている。大きい最大エネルギー積の磁石を得るには大きな残留磁化をもち、できるだけ大きな保磁力をもつことが必要で、大きい残留磁化をもつ軟磁性相と結晶磁気異方性の大きな硬磁性相をナノスケールで組み合わせたナノコンポジット磁石が望まれている。
R−T−B系溶解鋳造合金(R:希土類元素、T:遷移金属)は、例えば主相であるNdFe14Bの他、α(Fe、Co)相、Ndリッチ相、Bリッチ相等の軟磁性相を有する複合組織である。R−T−B系溶解鋳造合金を用いた異方性磁粉の製造方法として、R−T−B系溶解鋳造合金に水素吸蔵処理と脱水素処理を施す前工程、またはR−T−B系溶解鋳造合金に水素吸蔵処理を施す時に塑性加工を施す方法がある。この製造方法において、塑性加工によりR−T−B系溶解鋳造合金中の例えばα(Fe、Co)相等の軟磁性相が微細に分散される。これにより水素吸蔵・脱水素処理後に結晶粒が微細になり保磁力向上につながり、また、脱水素処理中において、微細にしかも方向性を与えられたα(Fe、Co)がNdFe14Bの再結晶過程で核になってNdFe14Bが再結晶するため、磁粉は強力な異方性を有することになる(例えば、特許文献1参照)。
特許第3649291号公報(第1頁)
溶解鋳造合金は多結晶で、その単位結晶粒は数百μm〜数mmの大きさである。特許文献1の異方性磁粉の製造方法においては、溶解鋳造合金は、塑性加工と水素吸蔵・脱水素処理とによって、単位結晶粒の内部は、単位結晶粒の結晶方位を維持したまま微細化される。その結果、溶解鋳造合金の単位結晶粒は結晶方位が一方向に揃った微結晶の集合体、即ち異方性微結晶の集合体となる。そのため、上記単位結晶粒を数十〜百μm程度の大きさに粉砕すれば、内部が微細化された異方性磁石粉末を得ることができる。
しかしながら、上記従来の異方性磁粉の製造方法において、溶解鋳造合金の代わりに、内部が数ナノ〜数十ナノサイズの軟磁性結晶(T結晶、またはTB結晶)と硬磁性結晶(R14B結晶)とから構成される等方性ナノコンポジット組織を有する磁石合金(等方性ナノコンポジット磁石合金)を用いたところ、塑性変形により転位(欠陥)が多発して多数の結晶が核生成すると共に、塑性変形により応力が緩和されて内部応力が小さくなる。そのため、例えばNdFe14B結晶の場合、水素吸蔵工程において、NdH、FeB、Feに分解して層状組織の形成される方向や、脱水素工程において、NdFe14B結晶が再結晶化する方向が、応力を緩和する特定の方向に沿い難くなるため異方性化が困難であるという課題があった。
また、塑性変形を伴う熱間加工においては、すべり面に沿って、他の結晶粒を吸収しながら成長することで異方性化するので、必然的に結晶粒は大きくなり、軟磁性相−硬磁性相間の十分な相互作用によるナノコンポジット磁石が得られないという課題があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、異方性が高く、最大エネルギー積の大きいナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末を提供することを目的とする。
本発明に係るナノコンポジット磁石粉末の製造方法は、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向のみを熱間加圧しながら、上記ナノコンポジット磁石原料粉末に水素を吸蔵させた後、水素を放出させる工程を備えた方法である。
水素を吸蔵させる工程と水素を放出させる工程において、ナノコンポジット磁石原料粉末の二軸方向を拘束して、拘束されていない一軸方向のみを熱間加圧するので、ナノコンポジット磁石原料粉末は塑性変形が制限される。そのため、転位(欠陥)の発生が少なく結晶核の生成サイトの増加が防止されると共に、ナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向に大きな荷重が印加される。これにより、水素吸蔵工程において、例えばNdFe14B結晶がNdH、FeB、Feに分解して層状組織が形成される方向や、脱水素工程においてNdFe14B結晶が再結晶化する方向が、応力を緩和する特定の方向に沿う頻度が飛躍的に高まり異方性化が容易になる。
実施の形態1.
Nd10Fe80Co(実施の形態1−1)、NdDyFe80Co(実施の形態1−2)、NdFe76Co15(実施の形態1−3)、NdDyFe76Co15(実施の形態1−4)の各合金を高周波溶解し、銅製の単ロールを用い、冷却速度を(1×105)℃/secとして、液体急冷法により板厚100μmの急冷薄帯を作製した。この急冷薄帯をAr雰囲気中で500μm以下のサイズに粉砕して、ナノコンポジット磁石原料粉末を得た。なお、電子顕微鏡により上記ナノコンポジット磁石原料粉末の内部が粒径20〜50nmのα−Fe結晶またはFeB結晶(軟磁性相)と粒径40〜80nmのNd(Fe,Co)14B結晶(硬磁性相)とから構成される多結晶のナノコンポジット組織となっていることを確認した。
上記各ナノコンポジット磁石原料粉末3gを、底面が7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、水素ガスで置換して1気圧に保持した。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで900MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、700℃で2時間保持して合金粉末に水素を吸蔵させた。その後、装置内を10Paまで真空排気し、引き続き加圧パンチで900MPaの圧力を粉末に印加しながら700℃で2時間保持して合金粉末から水素ガスを放出させた。
その後、金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は粒径20〜50nmのα−Fe結晶またはFeB結晶と粒径40〜80nmサイズのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されたナノコンポジット組織となっていることがわかった。
本実施の形態による各ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石を高さが7mmになるよう切断し、5Tのパルス着磁後に振動試料型磁力計により磁化特性を測定した。
つまり、ボンド磁石の内部磁界が0.8MA/mにおいて、磁化容易方向の磁化Jに対する磁化困難方向の磁化Jの比、即ち、ボンド磁石の高さ方向の磁化Jに対する面内方向の磁化Jの比(J/J)により異方性を評価し、残留磁化(kG)、保磁力(kOe)、最大エネルギー積(MGOe)を測定した結果を表1に示す。
Figure 2009064877
表1に示すように、実施の形態1−1〜4では、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石の異方性(J/J)が3.4以上の大きい異方性を有し、最大エネルギー積は19〜32MGOe程度の大きい値を示した。
図1は、本実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る、熱間加圧工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方性化の形成状態を、一つの粉末に着目して示す模式図である。
図1(a)に示すように、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1は、内部が粒径20〜50nmの例えばα−Fe結晶またはFeB結晶(軟磁性相)11と粒径40〜80nmの例えばNd(Fe,Co)14B結晶(硬磁性相)10を有し、金型2に最密充填されている。金型2内において、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型2の側面で二軸方向が拘束されている。
図1(b)に示すように、水素吸蔵工程においては、水素ガス雰囲気中で、多晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型2の側面で二軸方向が拘束され、他の一軸方向のみが金型2の入口面側と底面側からの加圧力3により熱間加圧されながら水素が吸蔵41される。ここで、多晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の一軸方向のみが熱間加圧されているので、多晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1は塑性変形が非常に制限されている。その結果、転位(欠陥)が発生して結晶が核生成することが防止されると共に、ナノコンポジット磁石原料粉末1の一軸方向に大きな荷重が印加される。これにより、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1に水素が吸蔵されると、硬磁性相のR14B結晶がRH相、TB相、T相に分解して層状組織が形成され、その層状組織の形成方向が、応力歪を緩和する特定の方向に沿い易くなる。
水素放出工程においては、RH相から水素が放出42され、TB相を核として再結合してR14B結晶が層状組織の層に沿って成長する。その際に、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型2の側面で二軸方向が拘束され、他の一軸方向のみが金型2の入口面側と底面側からの加圧力3により熱間加圧されているので、ナノコンポジット磁石原料粉末1の塑性変形は抑制され、そのため、転位(欠陥)が発生して結晶が核生成することが防止されると共に、ナノコンポジット磁石原料粉末1の一軸方向に大きな荷重が印加される。これにより、図1(c)に示すように、R14B結晶が成長する方向が応力歪を緩和する方向に沿い易くなり異方性化が容易になり、応力歪を緩和する方向にR14B結晶の方位が揃い、ナノコンポジット磁石合金の異方性(J/J)が高くなる。また、異方性(J/J)が高くなるので、残留磁化が大きくなり、これに対応して最大エネルギー積も高くなる。
また、塑性変形が抑制されているので、他の結晶を吸収することなく、軟磁性相−硬磁性相間の十分な相互作用によりナノコンポジット磁石粉末を得ることができる。
比較例1.
上記実施の形態1と同様に単ロール液体急冷法により得られた多結晶のNd10Fe80Co(比較例1−1)、NdFe76Co15(比較例1−2)合金粉末10gを、外径約22mm、高さ30mmで、加圧時に変形可能な薄肉の鉄製円筒容器に充填し、容器を真空排気後、水素ガスを1気圧充填した。この状態で、上記容器をホットプレス装置内に設置して700℃に加熱して水素を吸蔵させながら、圧下率50%の塑性変形加工を2時間かけて行った。その後、容器に孔をあけて10Paまで真空排気し、引き続き700℃で2時間保持して合金粉末から水素を放出させた。その後、容器を室温まで炉冷した後、蓋を開けて容器内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで、高さ約15mmのボンド磁石を得た。上記ボンド磁石を、底面が7×7mmで、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様に5Tのパルス着磁後に振動試料型磁力計により磁化特性を測定した結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例では、異方性(J/J)が1.2〜1.3程度と小さく、最大エネルギー積も5MGOe弱と小さかった。
図2は、比較例のナノコンポジット磁石粉末の製造に係る、熱間加圧工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方性化の形成状態を一つの粉末に着目して示す模式図である。
図2(a)に示すように、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1は、内部が粒径20〜50nmのα−Fe結晶またはFeB結晶(軟磁性相)11と粒径40〜80nmのNd(Fe,Co)14B結晶(硬磁性相)10を有し、加圧により変形可能な容器に充填されている。容器内において、ナノコンポジット磁石原料粉末1は、三軸方向共が拘束されていない状態である。
図2(b)に示すように、水素吸蔵工程において、水素ガス雰囲気中で、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末1は、紙面において上下方向から加圧3されると三軸方向共が拘束されていないので、ナノコンポジット磁石原料粉末1は紙面において左右方向31に塑性変形すると共に、水素が吸蔵41され、R14B結晶が例えばNdH相、FeB相、Fe相に分解して層状組織が形成される。その際、塑性変形により転位(欠陥)が多発して結晶核の生成サイトが増大すると共に、塑性変形により応力が緩和されて内部応力が小さくなるため、上記層状組織の形成方向が応力を緩和する特定の方向に沿い難くなる。
水素放出工程においては、RH相から水素が放出42され、TB相を核として再結合してR14B結晶が層状組織の層に沿って成長する。その際に、塑性変形により転位(欠陥)が多発して結晶核の生成サイトが増大すると共に、塑性変形により応力が緩和されて内部応力が小さくなる。これにより、図2(c)に示すように、R14B結晶が再結晶化する方向が、応力を緩和する特定の方向に沿い難くなり、異方性(J/J)が低下し、残留磁化が小さく、これに対応して最大エネルギー積が小さくなる。
また、図2(d)に示すように、塑性変形によりすべり面に沿って優先方向の結晶相30が他の結晶を吸収することにより大きくなって異方性化し、結晶相30が必然的に1μm程度と大きくなり、軟磁性相と硬磁性相間の相互作用が不十分となり、最大エネルギー積の大きなナノコンポジット磁石粉末を得ることが困難となる。
実施の形態2.
Nd10Fe80Co合金を高周波溶解し、実施の形態1と同様にして、ナノコンポジット磁石原料粉末を得、電子顕微鏡により合金粉末の内部が粒径10〜30nmのα−Fe結晶と粒径10〜100nmのNd(Fe,Co)14B結晶とから構成される多結晶のナノコンポジット組織となっていることを確認した。
上記ナノコンポジット磁石原料粉末3gを、底面が7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスと水素ガスの混合ガス(水素ガスの分圧が1×10Paになるよう調節した。)で置換して1気圧に保持した。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで200〜1500MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、600℃で2時間保持して合金粉末に水素を吸蔵させた。その後、装置内を10Paまで真空排気し、引き続き加圧パンチで同じ圧力を粉末に印加しながら600℃で2時間保持して合金粉末から水素を放出させ、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
なお、金型内のナノコンポジット磁石原料粉末は、実施の形態1と同様、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末の側面は、固定された金型の側面で二軸方向が拘束され、拘束されていない一軸方向のみが金型の入口面側と底面側から加圧されている。
その後、上記金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は粒径10〜30nmのα−Fe結晶と粒径10〜100nmのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されたナノコンポジット組織となっていることがわかった。
上記各加圧力で得られた各ナノコンポジット磁石粉末を用いた各ボンド磁石を、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様にして磁化特性を測定した。
図3は、本発明の第2の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加圧工程における加圧力と、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石の異方性(J/J)との関係を示す特性図である。
図3に示すように、熱間加圧工程において、ナノコンポジット磁石原料粉末への加圧力が400MPa以上、1100MPa以下の範囲では、粉末へ応力が十分供給されるため、水素吸蔵工程において、R14B結晶がRH相、TB相、T相に分解する際に形成される層状組織の方向や、水素放出工程において上記分解相が再結合してR14B結晶が成長する方向が、応力緩和方向に沿うことが容易で、異方性化が容易になり、異方性(J/J)が増加し、最大エネルギー積が大きいボンド磁石が得られる。
実施の形態3.
Nd10Fe80Co合金を高周波溶解し、実施の形態1と同様にして、ナノコンポジット磁石原料粉末を得、電子顕微鏡により合金粉末の内部が粒径30〜100nmのα−Fe結晶と粒径100〜500nmのNd(Fe,Co)14B結晶とから構成されるナノコンポジット組織となっていることを確認した。
上記ナノコンポジット磁石原料粉末3gを、底面が7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスと水素ガスの混合ガス(水素ガスの分圧が5×10Paになるよう調節した。)で置換して1気圧に保持した。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで800MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、100〜1000℃で2時間保持して合金粉末に水素を吸蔵させた。その後、装置内を10Paまで真空排気し、引き続き加圧パンチで同じ圧力を粉末に印加しながら600℃で2時間保持して合金粉末から水素を放出させ、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
なお、金型内のナノコンポジット磁石原料粉末は、実施の形態1と同様、多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末の側面は、固定された金型の側面で二軸方向が拘束され、拘束されていない一軸方向のみが金型の入口面側と底面側から加圧されている。
その後、上記金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は粒径30〜100nmのFeB結晶と粒径100〜500nmのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されるナノコンポジット組織となっていることがわかった。
上記各加熱温度において得られた各ナノコンポジット磁石粉末を用いた各ボンド磁石を、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様にして磁化特性を測定した。
図4は、本発明の第3の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加圧工程における加熱温度と、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石の異方性(J/J)との関係を示す特性図である。
図4に示すように、熱間加圧工程において、金型の加熱温度が300℃以上、900℃以下の範囲では、水素吸蔵工程においてR14B結晶がRH、TB、Tに分解する反応が十分生じることができ、また、ナノコンポジット磁石原料粉末内において結晶粒が粗大化したり、結晶化時に様々な方位の結晶が核生成して異方性化が妨げられることが防止されるので、異方性(J/J)が増加し、最大エネルギー積が大きいボンド磁石が得られる。
上記のように、実施の形態1〜3においては、各ホットプレス装置内の水素の分圧を1×10Pa、1×10Paまたは5×10Paとなるように調整して、ナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向のみを熱間加圧しながら水素吸蔵させ、その後、各装置内を10Paまで真空排気して水素放出させることにより、異方性が高く、最大エネルギー積の大きなナノコンポジット磁石粉末を得ることができた。ここで、水素吸蔵工程において、水素ガスの分圧が1×10〜5×10Paであると、急激な水素吸蔵を回避することができ、R14B結晶からRH相、TB相、T相へより安定して分解することができる。
また、水素放出工程における水素分圧は、急激な脱水素を避けかつ十分に脱水素を行うため、1〜10Paであることが望ましい。
本発明の実施の形態1のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る、熱間加圧工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方性化の形成状態を一つの粉末に着目して模式的に示す模式図である。 比較例のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る、熱間加圧工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方性化の形成状態を一つの粉末に着目して模式的に示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加圧工程における加圧力と、上記ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石のJ/Jとの関係を示す特性図である。 本発明の第3の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加圧工程における加熱温度と、上記ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石のJ/Jとの関係を示す特性図である。
符号の説明
1 ナノコンポジット磁石原料粉末、2 金型、3 加圧、41 水素吸蔵、42 水素放出、20 ナノコンポジット磁石粉末。

Claims (5)

  1. 多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向のみを熱間加圧しながら、上記ナノコンポジット磁石原料粉末に水素を吸蔵させた後、水素を放出させる工程を備えたナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  2. 多結晶のナノコンポジット磁石原料粉末を金型に充填し、Hガス雰囲気中で上記金型の一軸方向のみを熱間加圧しながら、上記ナノコンポジット磁石原料粉末に水素を吸蔵させた後、水素を放出させる工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  3. 熱間加圧の条件は、加圧力が400MPa以上、1100MPa以下であり、加熱温度が300℃以上、900℃以下であることを特徴とする請求項2に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  4. 多結晶のナノコンポジット磁石原料合金粉末が、粒径が10nm以上、100nm以下のT結晶またはTB結晶(T:遷移金属)と、粒径が10nm以上、500nm以下のR14B結晶(R:希土類元素)とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  5. 粒径が10nm以上、100nm以下のT結晶またはTB結晶(T:遷移金属)と粒径が10nm以上、500nm以下のR14B結晶(R:希土類元素)とを有し、0.8MA/mの内部磁界における、磁化容易方向の磁化Jに対する磁化困難方向の磁化Jの比J/Jが3.4以上であることを特徴とするナノコンポジット磁石粉末。
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