JP2009043756A - ナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末 - Google Patents

ナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末 Download PDF

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健 荒木
Takanori Sone
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Abstract

【課題】異方性が高く、最大エネルギー積の大きいナノコンポジット磁石粉末を得る。
【解決手段】 非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1を金型2に最密充填する。金型2内において、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型2の側面で二軸方向が拘束され、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の他の一軸方向のみが金型2の入口面(底面)からの加圧力3により加圧される。この状態では、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1は塑性変形が非常に制限されているので転位(欠陥)も制限され、結晶核の生成サイトの増加が防止される。さらに、塑性変形が制限されていると、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1に一方向に大きな荷重を印加することができる。その結果、加熱時の結晶化の際に内部応力を緩和する方向(加圧方向)への結晶12の析出頻度が飛躍的に高まり異方性が高くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、産業機械、自動車、家電またはOA機器のモータや磁気センサに用いられる、異方化されたナノコンポジット磁石粉末の製造方法および異方化されたナノコンポジット磁石粉末に関するものである。
産業機械、自動車、家電またはOA機器に用いられる磁石に対して、小型化、省エネルギー化のために、大きな最大エネルギー積を有することが必要とされている。大きい最大エネルギー積の磁石を得るには大きな残留磁化をもち、できるだけ大きな保磁力をもつことが必要で、大きい残留磁化をもつ軟磁性相と結晶磁気異方性の大きな強磁性相をナノスケールで組み合わせたナノコンポジット磁石が望まれている。
ナノコンポジット磁石粉末の製造方法として、Nd−Fe−Co−B系合金を高周波溶解し、液体急冷法により急冷薄帯を作製し、これを粉砕して原料粉末とし、この原料粉末を充填した容器を、加熱しながらクランプ型プレス機を用いて圧下率85%に固定して圧縮するという熱間加工処理を備えたものがある。この製造方法において、原料粉末から強磁性相と軟磁性相とを結晶化させてこれらの混相組織を形成するとともに、優先方向へ結晶粒を成長させることにより、ナノコンポジット磁石粉末を異方化している(例えば、非特許文献1参照)。
入山 恭彦、"熱間加工によるナノコンポジット磁石の異方化"、日本応用磁気学会誌、vol.28、No.12、2004、p.1122〜1129
非特許文献1のナノコンポジット磁石の製造方法においては、圧下率85%に固定して、1000℃以上で熱間加工処理を施すことより、異方化した磁石粉末が得られるとしている。しかしながら、上記製造方法の熱間加工においては塑性変形を伴うので転位(欠陥)が多発して結晶核の生成サイトが増大する。また、塑性変形により応力が緩和されて内部応力が小さくなり、各結晶核の生成サイトからの結晶生成に寄与する内部応力も小さくなる。そのため、応力を緩和する特定の方向(加圧方向)へ結晶が析出する頻度が小さくなり、異方性の程度を示す異方指数が、J’ratio=1.25〜1.35となり異方化が不十分であり、最大エネルギー積の大きな磁石を得ることが困難であるという課題があった。
また、塑性変形を伴う熱間加工においては、すべり面に沿って、他の結晶粒を吸収しながら成長することで異方化するので、必然的に結晶粒は大きくなり、軟磁性相−強磁性相間の十分な相互作用によるナノコンポジット磁石が得られず、最大エネルギー積の大きな磁石を得ることが困難であるという課題があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、異方性が高く、最大エネルギー積の大きいナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末を提供することを目的とする。
本発明に係るナノコンポジット磁石粉末の製造方法は、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向のみを熱間加圧する工程を備えた方法である。
ナノコンポジット磁石原料粉末が非晶質であると、母相の元素分布が均一であり、結晶の析出時に元素不均一性に起因する析出方向の乱れが防止され、また、母相がナノレベルで等方的であるため、熱間加圧時に結晶の異方性に起因する内部応力の加圧方向からのずれが防止される。これにより、加圧方向に結晶を析出させ易くなる。
また、ナノコンポジット磁石原料粉末の二軸方向を拘束して、拘束されていない一軸方向のみを熱間加圧すると、ナノコンポジット磁石原料粉末は塑性変形が制限されるので、ナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向に大きな荷重が印加され、転位(欠陥)の発生が少なく結晶核の生成サイトの増加が防止される。これにより、各結晶核の生成サイトからの結晶生成に寄与する内部応力が飛躍的に向上し、応力を緩和する特定の方向(加圧方向)への結晶の析出頻度が飛躍的に高まり、容易に異方化されたナノ結晶の集合体を得ることができる。
実施の形態1.
Nd10Fe80Co(実施の形態1−1)、NdDyFe80Co(実施の形態1−2)、NdFe76Co15(実施の形態1−3)、NdDyFe76Co15(実施の形態1−4)の各合金を高周波溶解し、銅製の単ロールを用い、冷却速度を1×10℃/secとして、液体急冷法により板厚8μmの急冷薄帯を作製した。この急冷薄帯をAr雰囲気中で500μm以下のサイズに粉砕して、ナノコンポジット磁石原料粉末を得た。なお、電子顕微鏡により上記ナノコンポジット磁石原料粉末の内部が非晶質相となっていることを確認した。
上記各ナノコンポジット磁石原料粉末3gを、口径7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスで置換して1気圧に保持した。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで700MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、500℃で2時間保持して本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
その後金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は、20〜50nmサイズのα−Fe結晶またはFeB結晶(軟磁性相)と30〜80nmサイズのNd(Fe,Co)14B結晶(強磁性相)から構成されるナノコンポジット組織となっていることがわかった。
本実施の形態による各ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石を高さが7mmになるよう切断し、5Tのパルス着磁後に振動試料型磁力計により磁化特性を測定した。
つまり、ボンド磁石の内部磁界が0.8MA/mにおいて、磁化容易方向の磁化Jに対する磁化困難方向の磁化Jの比、即ち、ボンド磁石の高さ方向の磁化Jに対する面内方向の磁化Jの比(J/J)により異方性を評価し、残留磁化(kG)、保磁力(kOe)、最大エネルギー積(MGOe)を測定した結果を表1に示す。
Figure 2009043756
表1に示すように、実施の形態1−1〜4では、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボルト磁石の異方性(J/J)が2.6以上の大きい異方性を有し、最大エネルギー積は15〜26MGOe程度の大きい値を示した。
図1は、本実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る、熱間加工工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方化の形成状態を、一つの粉末に着目して示す模式図である。
図1(a)に示すように、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1は非晶質母相10に結晶核の生成サイト11を有し、金型2に最密充填されている。金型2内において、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型2の側面で二軸方向が拘束され、他の一軸方向のみが金型2の入口面側と底面側からの加圧力3により加圧されている。この状態では、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1は塑性変形が非常に制限されており、このように、塑性変形が制限されていると、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の一軸方向に大きな荷重を印加することができる。
図1(b)に示すように、ナノコンポジット磁石原料粉末1の一軸方向のみを加圧すると、塑性変形が制限されているので転位(欠陥)も制限され、結晶核の生成サイト11の増加が防止される。さらに、一軸方向のみに高荷重が印加されているので、各結晶核の生成サイト11からの結晶生成に寄与する内部応力が飛躍的に向上する。その結果、他の結晶を吸収することなく、加熱時の結晶化の際に内部応力を緩和する方向(加圧方向)へのR14B結晶12の析出頻度が飛躍的に高まり、同方向の異方性(J/J)が高くなる。
また、異方性(J/J)が高くなるので、残留磁化が大きくなり、これに対応して最大エネルギー積が高くなる。
また、本実施の形態に係るナノコンポジット磁石原料粉末1が非晶質であるので、母相10の元素分布が均一であり、結晶の析出時に元素不均一性に起因する析出方向の乱れが防止される。また、母相10がナノレベルで等方的であるため、熱間加圧時に結晶の異方性に起因する内部応力の加圧方向からのずれが防止される。その結果、R14B結晶を加圧方向に精度よく揃えて析出させることができるので、より異方化の程度(J/J)が高くなる。
比較例1.
上記実施の形態1と同様に単ロール液体急冷法により得られた非晶質のNd10Fe80Co(比較例1−1)、NdFe76Co15(比較例1−2)合金粉末10gを、外径15mm、高さ30mmで、加圧時に変形可能な薄肉の鉄製円筒容器に充填し、容器を真空排気後、Arガスを1気圧充填した。この状態で、上記容器を実施の形態1と同様のホットプレス装置内に設置して、圧下率50%の塑性変形加工を2時間かけて行った。その後、容器を室温まで炉冷した後、蓋を開けて容器内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が外径約22mmで、高さ約15mmのボンド磁石を得た。上記ボンド磁石を、底面が7×7mmで、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様に5Tのパルス着磁後に振動試料型磁力計により磁化特性を測定した結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例では、異方性(J/J)が1.2〜1.3程度と小さく、最大エネルギー積も最大5MGOe弱と小さかった。
図2は、比較例のナノコンポジット磁石粉末の製造に係る、熱間加工工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方化の形成状態を一つの粉末に着目して示す模式図である。
図2(a)に示すように、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1は非晶質母相10に結晶核の生成サイト11を有し、加圧により変形可能な容器に充填されている。容器内において、ナノコンポジット磁石原料粉末1は、三軸方向共が拘束されていない。
図2(b)に示すように、ナノコンポジット磁石原料粉末1が紙面において、上下方向から加圧3されると、ナノコンポジット磁石原料粉末1は三軸方向共が拘束されていないので塑性変形31が生じ、転位(欠陥)が多発して結晶核の生成サイトが増大する。また、塑性変形により応力が緩和されて内部応力が小さくなり、各結晶核の生成サイトからの結晶生成に寄与する内部応力も小さくなるので、応力を緩和する方向(加圧方向)へのR14B結晶の析出頻度が小さくなり、異方性(J/J)が小さくなると考えられる。
また、異方性(J/J)が小さいので、残留磁化が小さく、これに対応して最大エネルギー積が小さくなる。
図2(c)、(d)に示すように、塑性変形を伴う熱間加工においては、すべり面に沿って優先方向の結晶相30が他の結晶を吸収することにより大きくなって異方化するため、結晶相が必然的に1μm程度と大きくなり、軟磁性相と強磁性相間の相互作用が不十分となり、最大エネルギー積の大きなナノコンポジット磁石粉末を得ることが困難である。
実施の形態2.
NdFe76Co15合金を高周波溶解し、実施の形態1と同様にして、ナノコンポジット磁石原料粉末を得、電子顕微鏡により内部が非晶質相となっていることを確認した。
上記ナノコンポジット磁石原料粉末3gを、口径7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスで置換して1気圧に保持する。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで200〜1500MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、600℃で2時間保持して、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
なお、金型内のナノコンポジット磁石原料粉末は、実施の形態1と同様、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の側面は、固定された金型の側面で二軸方向が拘束され、拘束されていない一軸方向のみが金型の入口面側と底面側から加圧されている。
その後、上記金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は10〜40nmサイズのFeB結晶と10〜60nmサイズのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されたナノコンポジット組織となっていることがわかった。
上記各加圧力で得られた各ナノコンポジット磁石粉末を用いた各ボンド磁石を、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様にして磁化特性を測定した。
図3は、本発明の第2の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加工における加圧力と、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石の異方性(J/J)との関係を示す特性図である。
図3に示すように、熱間加圧工程において、ナノコンポジット磁石原料粉末への加圧力が400MPa以上、1100MPa以下の範囲では、結晶粒が粗大化し、また、結晶化時に様々な方位の結晶が核生成して異方化が妨げられることが防止できると共に、ナノコンポジット磁石原料粉末へ応力が十分に付与され、R14Bが結晶化する際、加圧方向にc軸を有する結晶が優先的に析出する頻度が高くなって異方化が容易になり、異方性(J/J)が増加し、最大エネルギー積が大きいボンド磁石が得られる。
実施の形態3.
NdFe76Co15合金を高周波溶解し、実施の形態1と同様にして、ナノコンポジット磁石原料粉末を得、電子顕微鏡により内部が非晶質相となっていることを確認した。
上記ナノコンポジット磁石原料粉末3gを、口径7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスで置換して1気圧に保持する。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで800MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、100〜1000℃で2時間保持して、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
なお、金型内のナノコンポジット磁石原料粉末は、実施の形態1と同様、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型の側面で二軸方向が拘束され、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の他の一軸方向のみが金型の入口面側と底面側から加圧されている。
その後、上記金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は20〜50nmサイズのFeB結晶と30〜80nmサイズのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されるナノコンポジット組織となっていることがわかった。
上記各加熱温度において得られた各ナノコンポジット磁石粉末を用いた各ボンド磁石を、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様にして磁化特性を測定した。
図4は、本発明の第3の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加工における加熱温度と、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石の異方性(J/J)との関係を示す特性図である。
図4に示すように、熱間加圧工程において、金型の加熱温度が300℃以上、900℃以下の範囲では、ナノコンポジット磁石原料粉末内において、結晶粒が粗大化し、また、結晶化時に様々な方位の結晶が核生成して異方化が妨げられることが防止されと共に、十分な結晶化がおこり、異方性(J/J)が増加し、最大エネルギー積が大きいボンド磁石が得られる。
実施の形態4.
NdFe76Co15合金を高周波溶解し、銅製の単ロールを用い、液体急冷法により、ロール周速を変えることで、冷却速度の範囲を4×10〜1×10℃/secとして、3〜80μmの板厚の急冷薄帯を作製した。上記各板厚の急冷薄帯をAr雰囲気中で500μm以下のサイズに粉砕し、ナノコンポジット磁石原料粉末を得た。なお、電子顕微鏡により各ナノコンポジット磁石粉末の内部が非晶質相となっていることを確認した。
上記各ナノコンポジット磁石粉末3gを、口径7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に金型を設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスで置換して1気圧に保持した。その状態で、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで900MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、600℃で2時間保持して本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
なお、金型内のナノコンポジット磁石原料粉末は、実施の形態1と同様、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の側面は、固定された金型の側面で二軸方向が拘束され、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の他の一軸方向のみが金型の入口面側と底面側から加圧されている。
その後、上記金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、7×7mmの底面積で、高さ8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石の粉末の内部は50〜100nmサイズのFeB結晶と100〜500nmサイズのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されるナノコンポジット組織となっていることがわかった。
上記各板厚の急冷薄帯から得られた各ナノコンポジット磁石粉末を用いた各ボンド磁石を、高さが7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様にして磁化特性を測定した。
図5は、本発明の第4の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る急冷薄帯の板厚と、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石の異方性(J/J)との関係を示す特性図である。
図5に示すように、液体急冷薄帯の板厚が20μm以下ではナノコンポジット磁石原料粉末の非晶質化が促進されるので、母相の元素分布が均一になる。つまり、母相がナノレベルで等方的となり、このため結晶が析出する際の方向性の乱れが小さく、加圧方向に結晶を析出させ易くなり、異方性(J/J)が高くなり最大エネルギー積が増加する。なお、液体急冷薄帯の板厚が10μm以下では、さらに異方性(J/J)が増加し、強い異方性を有するボンド磁石が得られる。
実施の形態5.
実施の形態1と同様に、Nd10Fe80Co(実施の形態5−1)、NdDyFe80Co(実施の形態5−2)、NdFe76Co15(実施の形態5−3)、NdDyFe76Co15(実施の形態5−4)の各合金を用い、ナノコンポジット磁石原料粉末を得、電子顕微鏡により内部が非晶質相となっていることを確認した。
上記ナノコンポジット磁石原料粉末3gを口径7×7mmの金型内に最密充填し、上記金型をホットプレス装置内に設置し、ホットプレス装置内を真空排気後、Arガスで置換して1気圧に保持する。なお、金型への合金粉末の充填の際には、液体急冷薄帯を粉砕して得られた鱗片状のナノコンポジット磁石原料粉末の板厚方向が、金型の高さ方向となるように充填した。
その状態で、上記装置内を真空排気後、Hガスで置換して1気圧に保持しながら、上記金型の入口面側と底面側から、加圧パンチで700MPaの圧力を加えながら金型を加熱し、500℃で2時間保持して、ナノコンポジット磁石原料粉末に水素を吸蔵させた。その後、装置内を0.1Torrまで真空排気し、引き続き加圧パンチで700MPaの圧力を粉末に印加しながら500℃で2時間保持してナノコンポジット磁石原料粉末から水素を放出させ、本実施の形態によるナノコンポジット磁石粉末を得た。
なお、金型内のナノコンポジット磁石原料粉末は、実施の形態1と同様、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末1の側面は、固定された金型の側面で二軸方向が拘束され、非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の他の一軸方向のみが金型の入口面(底面)からの加圧力により加圧されている。
その後、上記金型を室温まで炉冷し、入口側のパンチを抜いた状態で上記金型内にエポキシ樹脂を流し込んで樹脂で固め、底面が7×7mmで高さが8〜10mmのボンド磁石を得た。
上記ボンド磁石を電子顕微鏡により測定すると、ボンド磁石のナノコンポジット磁石粉末の内部は20〜50nmサイズのα−Fe結晶またはFeB結晶と30〜80nmサイズのNd(Fe,Co)14B結晶から構成されるナノコンポジット組織となっていることがわかった。
本実施の形態による各ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石を高さを、7mmになるよう切断し、実施の形態1と同様にして磁化特性を測定した結果を表2に示す。
Figure 2009043756
表2に示すように、実施の形態5−1〜4では、異方性(J/J)が2.6以上の大きい異方性を有し、最大エネルギー積は18〜31MGOe程度の大きい値を示した。
実施の形態1−1〜4と実施の形態5−1〜4は、各々同じ組成の合金を用いて、ナノコンポジット磁石粉末を製造した場合である。表1、表2を用いて、各々同じ組成のナノコンポジット磁石粉末を用いて得られたボンド磁石の磁化特性を比較すると、本実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法における熱間加工時に、水素の吸蔵と放出を施すことにより、保磁力が増加し、最大エネルギー積が増加していることがわかる。
それは、水素の吸蔵により、ナノコンポジット磁石原料粉末の非晶質相がNdと、(Fe,Co)Bと、α−Feとの3相に分解し、その後の水素放出により、上記3相が再結合してα−Fe結晶またはFeB結晶と、Nd(Fe,Co)14Bとの2相組織が形成され、より微細な組織が形成されることに起因するとみなせる。
本発明の実施の形態1のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る、熱間加工工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方化の形成状態を一つの粉末に着目して模式的に示す模式図である。 比較例のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る、熱間加工工程におけるナノコンポジット磁石粉末の異方化の形成状態を一つの粉末に着目して模式的に示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加工における加圧力と、上記ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石のJ/Jとの関係を示す特性図である。 本発明の第3の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る熱間加工における加熱温度と、上記ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石のJ/Jとの関係を示す特性図である。 本発明の第4の実施の形態のナノコンポジット磁石粉末の製造方法に係る急冷薄帯の板厚と、上記ナノコンポジット磁石粉末を用いたボンド磁石のJ/Jとの関係を示す特性図である。
符号の説明
1 ナノコンポジット磁石原料粉末、2 金型、3 加圧、20 ナノコンポジット磁石粉末。

Claims (6)

  1. 非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末の一軸方向のみを熱間加圧する工程を備えたナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  2. 金型に非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末を充填し、上記金型の一軸方向のみを熱間加圧することを特徴とする請求項1に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  3. ナノコンポジット磁石原料合金を溶解し、この溶液を液体急冷法により急冷薄帯とし、この急冷薄帯を粉砕して非晶質のナノコンポジット磁石原料粉末を得る工程を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  4. 急冷薄帯の板厚が20μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  5. 熱間加圧工程において、加圧力が400MPa以上、1100MPa以下であり、加熱温度が300℃以上、900℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  6. 粒径が10nm以上、100nm以下のT結晶またはTB結晶(T:遷移金属)と粒径が10nm以上、500nm以下のR14B結晶(R:希土類元素)とを有し、0.8MA/mの内部磁界における、磁化容易方向の磁化Jに対する磁化困難方向の磁化Jの比J/Jが2.6以上であることを特徴とするナノコンポジット磁石粉末。
JP2007204029A 2007-08-06 2007-08-06 ナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコンポジット磁石粉末 Pending JP2009043756A (ja)

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