JP2009063901A - 画像形成装置、および中間転写体 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用履歴の累積に伴う中間転写体の光沢度の低下を遅くして、中間転写体の交換寿命を引き伸ばし得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】結晶性の熱可塑性樹脂を無端状に成形したベルト材料を一方向に回転させながら研磨フィルムに摺擦させて中間転写ベルト7を研磨仕上げする。中間転写ベルト7よりも二次転写ローラ11の表面速度を大きく設定した画像形成装置100に、研磨仕上げ時の中間転写ベルト7の回転方向と逆方向に回転するように、中間転写ベルト7を取り付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写体に重ねて挟持搬送される記録材へ、中間転写体に担持させたトナー像を転写する画像形成装置、詳しくは中間転写ベルトの表面組織の方向性に応じた回転方向の設定に関する。
像担持体からトナー像を転写して中間転写体(中間転写ベルト、中間転写ドラム等)へ担持させた後に、転写部で中間転写体から記録材へトナー像を転写させる中間転写方式の画像形成装置が実用化されている。
従来、中間転写体は、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を用いて単層に形成されたり、弾性層の表面に離型層を形成して複数層に形成されたりしていた。
しかし、近年、加工性、加工生産性の観点から、中間転写体を、熱可塑性樹脂を用いて単層に形成する試みがなされている。
特許文献1には、ロータリー現像装置を用いて感光ドラムに形成した各色のトナー像を、中間転写ベルトに転写して重ね合わせ、中間転写ベルトから記録材へ一括二次転写する中間転写方式の画像形成装置が示される。ここでは、中間転写ベルトの表面にゴム材料の弾性層が形成され、弾性層の表面は、中間転写ベルトの表面に対して砥石ローラをカウンタ方向に摺擦回転させて研磨仕上げしてある。そして、研磨仕上げの方向と感光ドラムの表面の相対移動方向とを一致させることで、運転時に感光ドラム及び中間転写ベルトに摺擦傷ができにくくしている。
特許文献2には、感光体ベルトに形成した各色トナー像を、熱可塑性樹脂の中間転写ベルトに転写して重ね合わせた後に、中間転写ベルトから記録材へ一括二次転写する画像形成装置が示される。ここでは、内面を鏡面仕上げされた円管と加熱ローラとの間に無端状に形成した中間転写ベルトを挟み込んで回転させることにより、中間転写ベルトを所定の厚さに熱圧延するとともに表面を鏡面仕上げしている。
特許文献3には、熱可塑性樹脂の一例であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を用いた中間転写ベルトの製造方法が記載されている。ここでは、スパイラル環状ダイスを用いて筒状に連続溶融押し出し成形したチューブ材料を軸方向に引っ張って所定の厚みに誘導しつつ、外側と内側とからマンドレル(冷却型)に接触させている。
特開2000−155475号公報 特開平4−303628号公報 特開2005−112942号公報
中間転写方式の画像形成装置は、直接転写方式に比較して、厚みの異なる記録材へ対応が容易であり、近年では、厚みに限らず、種々の材料、表面性状の記録材への対応も求められている。
中間転写体は、表面の光沢度を所定範囲に揃えて製造され、使用履歴の累積に伴って光沢度が許容範囲を逸脱すると、必要な機能を十分に果たせなくなるため、新品交換される。中間転写体の表面の光沢度は、摩擦係数、トナーの担持性、転写効率、中間転写体に形成した制御用トナー像の検知精度等に影響するからである。
中間転写方式の画像形成装置では、転写性の改善等を目的として、二次転写部を形成する中間転写体と転写回転体との間に0.5〜2%程度の表面速度差を意図的に設定する場合がある。また、中間転写体に転写回転体を圧接して従動回転させている場合、表面のすべりに起因して、記録材は、中間転写体の表面速度に対して等速以下になる。
熱可塑性樹脂を用いて単層に形成した中間転写体と転写回転体との間に表面速度差があると、記録材によっては、使用履歴の累積に伴う中間転写体の光沢度の低下が著しくなり、中間転写体の交換寿命が短くなることが判明した。
例えば、15万枚程度の寿命を想定した中間転写ベルトでも、1万枚に満たない累積枚数で中間転写体の光沢度が許容範囲を割り込み、トナーの転写ムラや制御用トナー像の検知精度低下が深刻になる場合がある。
本発明は、熱可塑性樹脂を用いて単層に形成した中間転写体における使用履歴の累積に伴う表面の光沢度の低下を遅くして、交換寿命を引き伸ばし得る画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体から転写されたトナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体との間で記録材を挟持搬送してトナー像の転写部を形成する転写回転体と、前記転写部に電圧を印加して前記中間転写体から記録材へトナー像を転写させる電源手段とを備え、前記転写部における前記中間転写体と前記転写回転体との間に表面速度差が設定されたものである。そして、前記中間転写体は、熱可塑性樹脂を用いて単層に形成されて、研磨部材を用いて研磨仕上げした際に形成された研磨痕跡を表面に有し、前記表面速度差によって前記転写回転体の表面が前記中間転写体を摺擦する方向は、前記研磨痕跡によって示される前記研磨部材が前記中間転写体を摺擦した方向に設定されている。
本発明の画像形成装置では、中間転写体と転写回転体との間に設定された表面速度差によって記録材が中間転写体を摺擦する方向が、研磨仕上げした際に研磨部材が中間転写体を摺擦した方向と一致している。このため、逆の場合に比較して、記録材の摺擦による中間転写体の表面の研磨痕跡が壊れにくく、表面の微細形状の変化に伴う光沢度の変化が少なくなる。
従って、熱可塑性樹脂を用いて単層に形成した中間転写体における使用履歴の累積に伴う表面の光沢度の低下を遅くして、光沢度の低下に伴う上記した各問題を起こり難くし、交換寿命を引き伸ばし得る。
なお、本発明において、方向が一致するとは、誤差0度で厳密に重なり合う意味ではなく、逆では無い程度に一致しているという幅を持たせた意味で用いている。
研磨痕跡は、後述するように、研磨仕上げした際の研磨部材の移動方向を記録しているので、研磨仕上げ後(現在)の表面を拡大観察することで、過去の研磨部材の移動方向(中間転写体の表面に対する相対移動の方向)を確定できる。
以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、中間転写体の表面を研磨仕上げした方向を、転写回転体と中間転写体との表面速度差の設定に関係付ける限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、中間転写体に沿って複数の感光ドラムを配置したタンデム型の画像形成装置のみならず、中間転写体に1個の感光ドラムを配置した1ドラム型の画像形成装置でも実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の一般的な事項、および特許文献3に示される熱可塑性樹脂の製造方法、各種測定方法については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2は画像形成部及び二次転写部の構成の説明図、図3は光学検出センサの説明図である。
図1に示すように、第1実施形態の画像形成装置100は、中間転写ベルト7の直線区間に、4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型フルカラー複写機である。
画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト7に一次転写される。画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト1のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト7に順次重ねて一次転写される。
中間転写ベルト7に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。二次転写部T2で四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置25で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、画像装置100の外部へ排出される。
定着装置25は、ランプヒータ25cを配置した加熱ローラ25aに加圧ローラ25bを圧接して構成されるローラ定着器である。定着装置25は、記録材Pに静電的に担持されたトナー像を、熱と圧力により記録材の表面に固定する。
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、付設された現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外はほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
図2に示すように、画像形成部Paは、感光ドラム1aの周囲に、帯電装置2a、露光装置3a、現像装置4a、一次転写ローラ5a、クリーニング装置6aを配置する。
感光ドラム1aは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の有機感光体材料(OPC)の光導電体層を形成してある。感光ドラム1aは、中間転写ベルト7の駆動モータ(M3:図1)から駆動力を分配して、ほぼ200mm/秒のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
帯電装置2aは、不図示の加圧バネによって帯電ローラを感光ドラム1aに所定の圧力で圧接させ、感光ドラム1の回転に従動して回転させる。
電源D3は、直流電圧−500Vと周波数1500Hzの交流電圧1400Vppを重畳した帯電電圧を帯電ローラの芯金に印加する。帯電ローラは、金属軸上に、カーボン分散EPDM系発泡スポンジゴムの弾性層、カーボン分散NBR系ゴムの中間層、カーボンを分散させたフッ素系樹脂の離型層を順に積層した3層構成である。
露光装置3aは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置4aは、非磁性のトナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を攪拌して、トナーを負極性に帯電させる。帯電したトナーは、固定磁極4jの磁力によって現像スリーブ4sの表面に穂立ち状態で担持されて、感光ドラム1aを摺擦する。現像スリーブ4sは、感光ドラム1aに350μmのギャップを隔てて対向し、固定磁極4jの周囲で、感光ドラム1aとカウンタ方向に回転する。
電源D4は、直流電圧−350Vに4kHz・1800Vppの交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加して、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光ドラム1aの静電像へトナーを移動させて、静電像を反転現像する。
一次転写ローラ5aは、感光ドラム1aとの間に総荷重10N(1000gf)で中間転写ベルト7を挟み込んで従動回転して、感光ドラム1aと中間転写ベルト7との間に一次転写部T1を形成する。
一次転写ローラ5aは、金属軸上に半導電性のポリウレタン系発泡ゴム層を形成した、アスカーC硬度10で、ローラ抵抗が1×10の半導電性ローラ材を使用した。ローラ抵抗は、温度23℃、相対湿度50%RHの環境で、一次転写ローラ5aの金属軸の両端に各500gの錘を載せ、電流計を介してアースされた金属板に押圧し、50Vの電圧を印加して測定した金属板に流れる電流から算出した。
電源D1は、一次転写ローラ5aの金属軸に正極性の直流電圧を印加して、負極性に帯電して感光ドラム1aに担持されたトナー像を、一次転写部T1を通過する中間転写ベルト7へ移動させる。
クリーニング装置6aは、デュロメータA硬度70で2mm厚のウレタン材質のクリーニングブレードを感光ドラム1aに摺擦して、一次転写部T1を通過して感光ドラム1aの表面に残留した転写残トナーを除去する。
図1に示すように、中間転写体の一例である中間転写ベルト7は、駆動ローラ13、バックアップローラ10、テンションローラ12に掛け渡して支持され、駆動モータM3に駆動されて矢印R2方向に回転する。
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト7を介してバックアップローラ10に圧接して、中間転写ベルト7と二次転写ローラ11との間に二次転写部T2を形成する。中間転写ベルト7のトナー像に重ね合わせて、記録材Pが二次転写部T2を挟持搬送される過程で、中間転写ベルト7から記録材へトナー像が移動する。
二次転写ローラ11は、金属軸上に半導電性のNBRゴムとヒドリンゴムを主成分とする発泡ゴム層を形成した、アスカーC硬度35で、ローラ抵抗が1×10の半導電性ローラ材を使用した。ローラ抵抗は、一次転写ローラ5aと同じ測定装置を用いて2000Vの電圧を印加して測定した、金属板に流れる電流から算出した。
バックアップローラ10は、金属軸上にカーボン分散EPDMゴムの低抵抗層を形成したゴムローラで接地電位に接続されている。
電源D2は、正極性の定電圧を二次転写ローラ11のローラ軸へ印加して、バックアップローラ10と中間転写ベルト7と記録材Pと二次転写ローラ11との直列回路に転写電流を流す。転写電流の一部が中間転写ベルト7のトナー載り部を流れて、中間転写ベルト7から記録材Pへのトナーの移動に関与する。
クリーニング装置19は、デュロメータA硬度75で2mm厚のポリウレタンのクリーニングブレード19bの先端を、中間転写ベルト7の表面に、カウンタ方向に当接させる。クリーニング装置19は、記録材Pに転写されることなく二次転写部T2を通過した中間転写ベルト7上の転写残トナー、及び、二次転写部T2で記録材Pから中間転写ベルト7へ付着した紙粉をクリーニングブレード19bにより摺擦除去する。
なお、クリーニング装置6a、19は、クリーニングローラ、クリーニングウエブ、クリーニングブラシ、静電ブラシ等を用いるものでもよい。
図2に示すように、制御部110は、露光装置3aを制御して静電像を感光ドラム1aに書き込み、現像装置4aで現像して制御用トナー像tを形成する。制御用トナー像tは、一次転写部T1にて中間転写ベルト7に一次転写されて光学検知センサ8下へ搬送される。
制御部110は、光学検知センサ8を通じて制御用トナー像tを検知して、露光装置3aの書き込みタイミングを調整して、中間転写ベルト7に転写されるイエロートナー像の位置を制御する。
図1に示すように、同様にして、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、感光ドラム1a、1b、1c、1dに同時に形成した制御用トナー像を中間転写ベルト7にそれぞれ転写する。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの制御用トナー像を光学検知センサ8が検知することにより、露光装置1a、1b、1c、1dの動作タイミングが調整されて、各色トナー像の搬送方向の色ずれが補正される。
また、制御部110は、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを同様に制御して濃度検知用トナー像(カラーパッチ)を感光ドラム1a、1b、1c、1dに形成して、中間転写ベルト7に一次転写する。制御部110は、光学検知センサ8を通じて濃度検知用トナー像を検知して、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdのトナー像形成条件を調整して、画像の濃度とカラーバランスとを最適化する。
<使用履歴の累積に伴う中間転写ベルトの光沢度の低下>
図3に示すように、光学検知センサ8は、LED8aから照射した赤外光の中間転写ベルト7からの正反射光を、フォトダイオード8bで検知して、反射光量に応じたアナログ電圧を出力する。移動方向の検知精度を確保するために、LED8aとフォトダイオード8bとは中間転写ベルトの幅方向に配置されている。
光学検知センサ8は、中間転写ベルト7の表面の正反射光をバックグラウンドとして、トナー像(t:図2)に散乱されただけ低下した正反射光を検知する。このため、画像形成の累積に伴って中間転写ベルト7の光沢度が低下して散乱光が増えると、中間転写ベルト7に担持された制御用トナー像や濃度検知用トナー像の検知精度が低下する。
ここで、中間転写ベルト7の光沢度が低下する理由は、いくつかの記録材に含まれる添加剤が研磨剤として機能して、中間転写ベルト7の表面を粗く研磨するためである。事務機用の光沢紙として一般に販売されているいくつかの紙には、添加剤として大きいものでは外径が数μmある炭酸カルシウム等の無機成分が5〜20重量%程度含まれている。
このため、中間転写体と転写回転体との間に速度差があると、添加材を含む記録材が中間転写体の表面を研磨して、研磨仕上げされた中間転写体の表面の微小組織を大きく損なわせて光沢度を低下させてしまう。特に、中間転写体の研磨目を逆立てる方向に紙が中間転写ベルト7を摺擦すると、添加剤粒子が研磨目に引っ掛かって研磨目の先端をささくれさせると考えられる。
図1に示すように、制御用トナー像の検知精度が低下すると、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdにおけるトナー像の形成タイミングの同期が崩れて、中間転写ベルト7における各色トナー像の重ね合わせ誤差が増大する。濃度検知用トナー像の検知精度が低下すると、出力画像の濃度やカラーバランスが変動する。
また、A5サイズ記録材を大量に連続画像形成した後に、A4サイズ記録材に画像形成すると、A5幅の領域の内側と外側とで表面粗さの差を生じて、表面粗さの差がトナーの転写効率の差となって画像品質が低下する。
このため、画像の色ずれや濃度異常が目立つようになると、中間転写ベルト7を新品交換して、バックグランドの光沢度を元に戻す必要が出てくる。
<中間転写ベルト>
図4は中間転写ベルトの表面研磨装置の説明図、図5は研磨装置における中間転写ベルトの移動方向と研磨目の方向との関係の説明図、図6は研磨前後における中間転写ベルトの表面の電子顕微鏡写真である。
(1)ポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製、商品名「ビクトレックスPEEK450P」)と導電性カーボンブラック(電気化学工業製、商品名「デンカブラック」)とを所定比率にてブレンドして、ペレット材料を作製した。
(2)ペレット材料を溶融し、環状リップを有するダイスを通じて、下方へチューブ状に溶融押出し成形し、引き出し速度を調整してチューブ材料の厚みを調整した。
(3)冷却したチューブ材料をベルト幅寸法に切断して無端状のベルト材料を作成した。
(4)内壁面を鏡面状に仕上げた外型と空気圧により増径する内型との間にベルト材料を配置し、加熱軟化状態で内型を増径させて、ベルト材料の表面を外型に押し付けて鏡面を転写した。また、所定温度で加熱軟化状態を保って所定時間保持することにより、樹脂組織の結晶化を所定割合だけ進行させた。
(5)冷却したチューブ状の樹脂ベルト材は、表面に光沢ムラが出来ていたため、図4に示す表面研磨装置により、回転状態で研磨フィルムに摺擦させて、表面を研磨して一様な鏡面状に仕上げた。
このようにして形成された体積抵抗率1×1010Ω・cm、表面抵抗率1×1012Ω/□で、厚み75μmの熱可塑性ポリエーテルエーテルケトンのシームレスベルトを中間転写ベルト7に使用した。
電気抵抗は、温度23℃、相対湿度50%RHの環境で、アドバンテスト社製R8340A測定器を用いて、主電極外径50mm、ガード電極70mmのプローブにより、印加電圧100V、チャージ時間10秒の条件で測定した。
なお、中間転写ベルト7は、ポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を使用しても実用に適うことが確認されている。
中間転写ベルト7の電気抵抗は、体積抵抗率が1×10〜1×1012Ω・cm、表面抵抗率が1×10〜1×1014Ω/□が適している。そして、体積抵抗率が1×10〜1×1011Ω・cm、表面抵抗率が1×1011〜1×1013Ω/□がより適している。
図4に示すように、研磨装置30は、駆動ローラ31、テンションローラ32、および従動ローラ33に中間転写ベルト7を掛け渡して、駆動ローラ31によって送り速度250mm/秒にて回転駆動する。
研磨フィルム34は、1200番〜2000番であって、中間転写ベルト7の全幅を同時に研磨できる幅を有し、給送ローラ35にロール状態で装填され、押圧ローラ36を周回して、巻き取りローラ38に送り速度0.5mm/秒にて巻き取り回収される。
押圧ローラ36は、加圧ばね37に総圧力50N(5kgf)で付勢されて、研磨フィルム34を線圧力50N/400mmにて、駆動ローラ31にバックアップされた中間転写ベルト7に摺擦させる。
中間転写ベルト7は、研磨装置30を用いて、表面の光沢ムラと粗さムラがなくなった後、光沢度が120になるまで研磨仕上げした。光沢度の測定は、株式会社堀場製作所製ハンディ光沢計IG−320を使用した。
図5に示すように、研磨仕上げされた中間転写ベルト7の表面には、研磨装置30における中間転写ベルト7の移動方向の下流側に向かって研磨目が形成されていた。
図6に示すように、研磨仕上げされた中間転写ベルト7の表面を電子顕微鏡で2万倍に拡大して観察すると、表面組織が破断した破断面が微粒子状に無数分散した研磨痕跡が確認された。研磨痕跡の破断面を一端とする研磨目の方向は、研磨仕上げの際に、研磨フィルム34の表面が中間転写ベルト7に対して相対移動して表面組織を引き摺った方向に形成されていた。表面の樹脂組織が砥粒に引き摺られて破断した後に後続の砥粒によって均された粒子状の無数の破断面が研磨痕跡となって、研磨装置30における中間転写ベルト7の移動方向の下流側に向かって形成されていた。
従って、電子顕微鏡で2万倍に拡大して観察した際に組織の微粒子状の破断面が向いている方向が、研磨仕上げ時の中間転写ベルト7の表面に対する研磨部材の相対移動方向である。
研磨仕上げされた中間転写ベルト7の表面は、光沢度が120、表面粗さが十点平均粗さで1μm以下に研磨仕上げされて鏡面状の外観である。ベルト幅方向の表面粗さは十点平均粗さで0.5μm、周方向の粗さは十点平均粗さで0.3μmであった。
十点平均粗さ(JIS B0601:2001付属書記載)は、株式会社小坂研究所製表面粗さ測定機SE3500を使用し、カットオフ値0.8mm、測定長さ4mm、測定速度0.1mm/秒の条件で測定した。
<実施例1>
図7は実施例1における研磨目の方向の説明図、図8は比較例1における研磨目の方向の説明図、図9は実施例1と比較例1とにおける記録材の相対移動方向と研磨目の方向との関係の説明図である。図10は実施例1における光学検知センサの配置の説明図、図11は実施例1における中間転写ベルトの光沢度の変化の説明図、図12は比較例1における中間転写ベルトの光沢度の変化の説明図である。
図2に示すように、転写回転体の一例である二次転写ローラ11は、モータM2に駆動されて、中間転写ベルト7よりも2%高い表面速度で回転する。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト7の表面速度200mm/秒に対して、204mm/秒(周速差2%)の表面速度で移動して、中間転写ベルト7の下流側に向かって押し出すように、中間転写ベルト7の表面に記録材Pを摺擦させる。
図7に示すように、実施例1では、中間転写ベルト7の研磨目の方向が中間転写ベルト7の移動方向の上流側に向くように、中間転写ベルト7を画像形成装置100に取り付けた。従って、研磨目は、クリーニングブレード19bによって逆立てられる方向(逆目方向と定義する)に設定される。
図8に示すように、比較例1では、中間転写ベルト7の研磨目の方向が中間転写ベルト7の移動方向の下流側に向くように、中間転写ベルト7を画像形成装置100に取り付けた。従って、研磨目は、クリーニングブレード19bによって均される方向(順目方向と定義する)に設定される。
図9の(a)に示すように、実施例1における中間転写ベルト7に対する記録材Pの相対移動方向は、研磨目の方向と一致しているので、中間転写ベルト7の研磨目は記録材Pの表面で均される。
図9の(b)に示すように、比較例1における中間転写ベルト7に対する記録材Pの相対移動方向は、研磨目の方向と反対なので、中間転写ベルト7の研磨目は記録材Pの表面で逆立てられる。
図10に示すように、中間転写ベルト7の記録材Pに接触しない領域(2)と、記録材Pに接触する領域(1)とで、画像形成の累積枚数の各段階における光沢度を測定した。
図10には、A4縦送りで記録材Pを給送した場合の、中間転写ベルト7に対する記録材P、感光ドラム1a、及びクリーニングブレード19bの幅方向の長さ関係も示した。
中間転写ベルト7には、画像形成装置(100:図1)における中間転写ベルト7の回転方向に対応させて表示の一例であるマーク7mが印刷されている。装着に際してマーク7mを目印にすることにより、組み立て時と交換時、中間転写ベルト7の取り付け方向を間違わないで済む。
そして、実施例1と比較例1とでA4光沢紙を縦送りして、10000枚の連続画像形成を行った。このときの中間転写ベルト7の光沢度の変化を、実施例1については図11、比較例1については図12に示す。
図11に示すように、実施例1では、10000枚の連続画像形成を通じて、記録材Pに接触する領域(1)と記録材Pに接触しない領域(2)とで光沢度の差はあまり開かなかった。記録材Pと感光ドラム1aとクリーニングブレード19bとに、10000回接触した領域の光沢度は、感光ドラム1aとクリーニングブレード19bとに10000接触した領域の光沢度に近い。
図12に示すように、比較例1では、10000枚の連続画像形成を通じて、記録材Pに接触する領域(1)と記録材Pに接触しない領域(2)とで光沢度の大きな差が生じた。感光ドラム1aとクリーニングブレード19bとに10000回接触した領域の光沢度は、低下しなかったが、記録材Pに10000回接触した領域の光沢度は、大きく低下した。
これにより、図1に示す光学検知センサ8を、記録材Pに接触する領域(1)に対向させて配置した場合、中間転写ベルト7上の制御用トナー像を検知して行う露光タイミングの制御は大きな誤差を生じてしまう。すなわち、中間転写ベルト7の光沢度が60以下になると、中間転写ベルト7のバックグラウンドと制御用トナー像との光量差がほとんどなくなってしまい、制御用トナー像の輪郭を検知できなくなる。そのため、比較例1では、光学検知センサ8を、記録材Pに接触する領域(1)に対向させると、8000枚前後から色ずれがたびたび発生した。
すなわち、感光ドラム1aとクリーニングブレード19bとに対する接触は、研磨目の方向が違っても、中間転写ベルト7の光沢度にさほど影響を与えない。クリーニングブレード19bの摺擦が研磨目を均す方向でも逆立てる方向でも中間転写ベルト7の表面の微小構造はあまり変化しない。
しかし、光沢紙に対する接触は、研磨目の方向が違うと、中間転写ベルト7の光沢度に大きな影響を及ぼす。記録材Pの摺擦が研磨目を均す方向であれば、中間転写ベルト7の表面の微小構造はあまり変化しないが、逆立てる方向では大きく変化して光沢度を低下させてしまう。
逆に言えば、実施例1のように、中間転写体と転写回転体との速度差に起因する記録材Pの相対移動方向を、研磨目の方向と一致させることで、中間転写ベルト7の光沢度の変化をほとんど無くすことができる。実施例1のように研磨目の方向を設定するだけで、10000枚の連続画像形成を経ても、中間転写ベルト7の光沢度は122を確保できる。このため、光学検知センサ8を、記録材Pに接触する領域(1)に対向させて配置した場合でも、高い精度で制御用トナー像を読み取って、最後まで各色トナー像を精密に重ね合わせできる。
また、中間転写ベルト7の光沢度の低下は、制御用トナー像の検知精度等に影響するだけではない。中間転写ベルト7におけるトナーの担持性や転写効率が、記録材Pに接触する領域(1)と記録材Pに接触しない領域(2)とで違ってくるため、領域(1)と領域(2)で画像の濃度ムラが発生する場合がある。
ここで、中間転写ベルト7の研磨目は十点平均粗さで0.5μmと小さいので、表面粗さの小さい感光ドラム1a及びクリーニングブレード19bとの摺擦では、研磨目の先端のささくれが発生しなかったためと考えられる。実際の研磨目の高さは最大で0.5μm程度である。
また、外径0.1μm程度のトナー外添剤が中間転写ベルト7と感光体ドラム1及びクリーニングブレード19bとの接触面に介在して、中間転写ベルト7の研磨目と感光体ドラム1a、クリーニングブレード19bとの直接の接触を阻害しているとも考えられる。
以上述べたように、中間転写ベルト7よりも二次転写ローラ11の周速度を高く設定した場合、記録材Pは、中間転写ベルト7に対して等速以上で搬送されて二次転写部T2を通過する。従って、実施例1のように、中間転写ベルト7の表面の研磨目を下流側に向かって配置することで、中間転写ベルト7の光沢低下を防止できる。
実施例1では、研磨装置30を中間転写ベルト7の幅方向に往復移動することなく、研磨フィルム34を中間転写ベルト7の移動方向へ直線状に摺擦させている。このため、研磨目は搬送方向に形成されるので、研磨装置30を幅方向に往復移動させて搬送方向に対して斜めの研磨目を形成した場合に比較して、研磨目の端部の破断面の縁が崩れ難くなっている。
<実施例2>
図13は実施例2および実施例3における記録材の相対移動方向と研磨目の方向との関係の説明図である。
実施例2では、研磨装置30を用いた中間転写ベルト7の研磨仕上げ条件を、実施例1とは少し異ならせた。
また、二次転写部T2における中間転写体と転写回転体との相対速度を実施例1とは逆に設定し、これにより、中間転写ベルト7の研磨目の方向は、比較例1と同じに設定した。実施例1と同じ方向に設定すると、二次転写部T2を通過する記録材Pが中間転写ベルト7の研磨目を逆立てる方向に摺擦して、中間転写ベルト7の光沢度を早期に低下させるからである。
中間転写ベルト7は、実施例1と同じ材料と研磨装置30とを用いて、中間転写ベルト7の送り速度250mm/秒、研磨フィルム34の送り速度1.0mm/秒、線圧力7kg/400mmにて研磨仕上げした。研磨仕上げ直後の光沢度は110、ベルト幅方向の表面粗さは十点平均粗さで0.6μm、周方向の粗さは0.4μmであった。
中間転写ベルト7には、画像形成装置(100:図1)における中間転写ベルト7の回転方向に対応させて表示の一例であるマークが印刷されている。装着に際して取り付け方向を間違わないためである。ただし、記録材Pに対する中間転写ベルト7の相対移動方向が実施例1と逆向きなので、図10に示すマーク7mとは逆向きである。
図13に示すように、実施例2では、中間転写ベルト7の研磨目の方向が中間転写ベルト7の移動方向の下流に向くように画像形成装置100に取り付けた。従って、研磨目は、クリーニングブレード19bに均される方向(順目方向と定義する)に設定される。
図2に示すように、二次転写ローラ11は、中間転写ベルト7の表面速度200mm/秒に対して、196mm/秒(周速差2%)の表面速度を持たせてある。記録材Pは、中間転写ベルト7に対して等速以下で搬送され、中間転写ベルト7の研磨目は、図13に示すように、記録材Pの表面で均される方向に摺擦される。
実施例1と同様に10000枚の連続画像形成を行ったところ、連続画像形成終了後の中間転写ベルト7の光沢度は115に維持されていた。そして、光学検知センサ8を、記録材Pに接触する領域(1)に対向させて配置した場合でも、連続画像形成を通じて制御用トナー像の検知誤差に起因する色ずれは発生しなかった。
<実施例3>
実施例3では、研磨装置30を用いた中間転写ベルト7の研磨仕上げ条件を、実施例1とは少し異ならせた。
また、二次転写ローラ11を中間転写ベルト7に従動回転させることにより、実施例2と等しい中間転写体と転写回転体との相対速度関係を二次転写部T2に設定した。従って、中間転写ベルト7の研磨目の方向の関係は、実施例2と同じに設定となる。
中間転写ベルト7は、実施例1と同じ材料と研磨装置30とを用いて、中間転写ベルト7の送り速度250mm/秒、研磨フィルムAの送り速度0.5mm/秒、線圧力5kg/400mmにて研磨仕上げした。研磨ヘッドBを中間転写ベルト7の幅方向に揺動させて、中間転写ベルト7の表面を波目状に研磨した。揺動ストローク4mm、揺動速度300cpmの条件で、表面の光沢ムラと粗さムラがなくなるまで研磨した。その時の光沢度は100、ベルト幅方向の表面粗さは十点平均粗さで1.0μm、周方向の粗さは0.9μmであった。
図13に示すように、実施例3では、中間転写ベルト7の研磨目の方向が中間転写ベルト7の移動方向の下流に向くように画像形成装置100に取り付けた。従って、研磨目は、クリーニングブレード19bに均される方向(順目方向と定義する)に設定される。
図2に示すように、二次転写ローラ11は、独自の駆動モータを持たず、中間転写ベルト7に圧接して従動回転する。記録材Pは、中間転写ベルト7に対して等速以下で搬送され、中間転写ベルト7の研磨目は、図8の(a)に示すように、記録材Pの表面で均される方向に摺擦される。
実施例1と同様に10000枚の連続画像形成を行ったところ、連続画像形成終了後の中間転写ベルト7の光沢度は95に維持されていた。そして、光学検知センサ8を、記録材Pに接触する領域(1)に対向させて配置した場合でも、連続画像形成を通じて制御用トナー像の検知誤差に起因する色ずれは発生しなかった。
<その他の実施形態>
第1実施形態の画像形成装置100は、中間転写ベルト7上のトナー像を記録材Pに二次転写するため転写電圧を二次転写ローラ11に印加したが、バックアップローラ10に逆極性の転写電圧を印加する実施形態としてもよい。
第1実施形態の画像形成装置100は、複数の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配置しているが、単一の画像形成部を配置した実施形態としてもよい。
<他材料との比較>
従来、中間転写ベルトには、高い弾性係数を持ち、耐熱性、耐摺擦性、材料強度に優れた熱硬化性のポリイミド樹脂が採用されていた。ポリイミド樹脂は、液体状態で型の鏡面に押し付けて加熱硬化させるため、表面に光沢ムラがほとんど形成されず、従って、研磨仕上げが不要である。仮に、研磨仕上げしたとしても、材料の表面硬度が十分に高いため、画像形成の累積に伴う光沢度の低下は遅い。
しかし、ポリイミド樹脂は、溶融押出成形が不可能であるため、ポリイミド前駆体を含有するワニスを用いた湿式成形法を選択する他なく、生産性の低さ、寸法管理の困難さ等に起因して多大な製造コストを要する。また、ワニス中での導電材料の不均一分散により、体積抵抗率のバラツキも大きい。
これに対して、熱可塑性樹脂は、連続生産により高い生産性を実現できるため、製造コストはポリイミド樹脂に比較して格段に低くなる。特許文献2、3に示されるように、熱可塑性樹脂を単層で用いる場合、押出成形、加熱融着、加熱圧延といった加工方法を採用して、部品コストを下げることができる。
また、熱可塑性樹脂は、ゴム材料に比べて材料の剛性が大きいので、表面粗さを小さく加工でき、摩擦係数も低いため、一般に使用されるウレタンクリーニングブレードによるクリーニングも可能である。
しかし、熱可塑性樹脂のベルト材料を加熱圧延する際に熱及び圧力をベルト全周に完全に均一に与えることは困難で、不均一に起因して、表面に光沢ムラや表面粗さムラが発生する。このため、表面を研磨仕上げする必要が発生し、研磨仕上げによって表面に研磨目が形成されてしまう。
そして、熱可塑性樹脂は、分子鎖が三次元架橋構造をとらないため、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂に比べて材料強度が劣る。そのため、二次転写部での記録材との摺擦によって、研磨目の先端がささくれ易く、ささくれの凹凸が光を乱反射させるために、中間転写ベルトの光沢が低下し易い。
ここで、耐熱性、耐摺擦性、材料強度に難点のある熱可塑性樹脂を基層に配置し、基層の上に紫外線硬化性のアクリル系樹脂の表面層を積層して表面を強化することも可能である。しかし、表面層を形成すると、生産性が低下して製造コストが上昇し、抵抗性や厚み制御も難しくなる等、熱可塑性樹脂を採用する利点が失われ、中間転写ベルトとしての部品コストは高くなる。
また、従来、中間転写ベルトの製造に際しては、表面を研磨仕上げする例(特許文献1)もあったが、クリーニングブレードの保護や、厚み調整や、光沢度(表面粗さ)ムラ改善を目的としていた。
すなわち、これらの先行技術においては、積極的に耐摩耗性の高い方向を形成して、その方向性を利用して記録材との摺擦抵抗力を高めるという本発明の技術思想は無かった。
本発明の画像形成装置は、表面が研磨加工された熱可塑性樹脂材料の単層の中間転写体を用いた際に、記録材との摺擦による光沢度の低下を遅らせる。転写部で、研磨目が常に記録材によって均されるように、転写回転体の表面速度を設定することで、研磨目がある熱可塑性樹脂の単層の中間転写体の光沢度の低下を遅らせる。これにより、各色トナーの色ずれやトナー濃度異常、転写ムラのない品質の高い画像を長期に渡り形成し続けることが可能になる。
第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。 画像形成部及び二次転写部の構成の説明図である。 光学検出センサの説明図である。 中間転写ベルトの表面研磨装置の説明図である。 研磨装置における中間転写ベルトの移動方向と研磨目の方向との関係の説明図である。 研磨前後における中間転写ベルトの表面の電子顕微鏡写真である。 実施例1における研磨目の方向の説明図である。 比較例1における研磨目の方向の説明図である。 実施例1と比較例1とにおける記録材の相対移動方向と研磨目の方向との関係の説明図である。 実施例1における光学検知センサの配置の説明図である。 実施例1における中間転写ベルトの光沢度の変化の説明図である。 比較例1における中間転写ベルトの光沢度の変化の説明図である。 実施例2および実施例3における記録材の相対移動方向と研磨目の方向との関係の説明図である。
符号の説明
1a、1b、1c、1d 像担持体(感光ドラム)
7 中間転写体(中間転写ベルト)
7m 回転方向(マーク)
8 光学検知センサ
10 バックアップローラ
11 転写回転体(二次転写ローラ)
19 クリーニング装置
19b クリーニングブレード
25 定着装置
30 研磨仕上げ(研磨装置)
34 研磨部材(研磨フィルム)
36 押圧ローラ
D2 電源手段(電源)
M2、M3 駆動モータ
P 記録材
T2 転写部(二次転写部)
100 画像形成装置

Claims (6)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    前記像担持体から転写されたトナー像を担持する中間転写体と、
    前記中間転写体との間で記録材を挟持搬送してトナー像の転写部を形成する転写回転体と、
    前記転写部に電圧を印加して前記中間転写体から記録材へトナー像を転写させる電源手段と、を備え、前記転写部における前記中間転写体と前記転写回転体との間に表面速度差が設定された画像形成装置において、
    前記中間転写体は、熱可塑性樹脂を用いて単層に形成されて、研磨部材を用いて研磨仕上げした際に形成された研磨痕跡を表面に有し、
    前記表面速度差によって記録材の表面が前記中間転写体を摺擦する方向は、前記研磨痕跡によって示される前記研磨部材が前記中間転写体を摺擦した方向に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記研磨痕跡は、研磨仕上げした際に表面組織が破断した破断面が微粒子状に無数分散し、
    前記研磨部材の移動方向は、前記破断面が向いた方向であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、又はポリエーテルエーテルケトンであって、
    少なくとも前記表面が結晶化された組織を有し、
    前記表面は、十点平均粗さが1μm以下に研磨仕上げされて鏡面状であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記転写部の下流側で前記中間転写体に対してカウンタ方向にクリーニングブレードを当接させるクリーニング装置を備え、
    前記クリーニングブレードは、ポリウレタンで形成されていることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 熱可塑性樹脂を用いて単層に形成された中間転写体において、
    前記中間転写体よりも大きな表面速度が転写回転体に設定された画像形成装置に装着され、
    前記中間転写体には、表面を研磨仕上げした研磨部材が前記表面を摺擦した方向に回転方向が表示されていることを特徴とする中間転写体。
  6. 熱可塑性樹脂を用いて単層に形成された中間転写体において、
    前記中間転写体よりも小さな表面速度が転写回転体に設定された画像形成装置に装着され、
    前記中間転写体には、表面を研磨仕上げした研磨部材が前記表面を摺擦した方向と逆向きの回転方向が表示されていることを特徴とする中間転写体。
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