JP2009063046A - 気体圧制御アクチュエータ - Google Patents

気体圧制御アクチュエータ Download PDF

Info

Publication number
JP2009063046A
JP2009063046A JP2007230432A JP2007230432A JP2009063046A JP 2009063046 A JP2009063046 A JP 2009063046A JP 2007230432 A JP2007230432 A JP 2007230432A JP 2007230432 A JP2007230432 A JP 2007230432A JP 2009063046 A JP2009063046 A JP 2009063046A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flat plate
gas
gas pressure
support shaft
pressure control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007230432A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Sasaki
勝美 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PSC KK
Original Assignee
PSC KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PSC KK filed Critical PSC KK
Priority to JP2007230432A priority Critical patent/JP2009063046A/ja
Publication of JP2009063046A publication Critical patent/JP2009063046A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Actuator (AREA)

Abstract

【課題】気体圧制御アクチュエータにおいて、作動範囲の広い高精度の微小移動を可能とすることである。
【解決手段】気体圧制御アクチュエータは、筒状の案内部と、案内部の底面に取り付けられる支持軸14と、支持軸14に軸方向に整列配置されて支持される複数の平板可動子20を含んで構成される。平板可動子20は、薄板円板の中央部に支持穴22を有し、支持穴22の外側に板厚を薄くした第1くぼみ26と、第1くぼみ26の外側に第1くぼみ26よりも板厚が厚いが、やはり最外周側の板厚よりも薄い第2くぼみ28と、第2くぼみ28から外周側に向かって放射状に延びる複数の細溝30を含んで構成される。第1くぼみ26には、軸方向に貫通して気体が通ることができる貫通穴24が複数設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、気体圧制御アクチュエータに係り、特に微小移動が可能な気体圧制御アクチュエータに関する。
流体圧を用いるアクチュエータは、ピストンとシリンダーの機構で代表されるように、よく知られている。流体圧アクチュエータは、流体圧サーボ機構を用い、流体圧を制御することで移動体を駆動することができる。特に、空気等の気体を用いる気体圧制御アクチュエータは、油圧を用いるものに比べてコンタミネーションの問題が少ないので、扱いやすい位置決め装置として期待されている。
特許文献1には、気体軸受機構のバネ定数が高いことに着目し、気体軸受の隙間をそこに供給する気体圧の制御により変化させ、この隙間の変化を対象物の微小移動に用い、応答性の良い微小移動機構を実現する構成が示されている。ここでは、適当な押付力が与えられている可動子を移動方向に案内する案内部があり、案内部の底面である気体受壁に設けられる開口から、可動子の気体受面へ向かって制御された気体圧を有する気体が供給され、可動子が気体受壁から浮上し、押付力と釣り合いつつ隙間を形成し、この隙間量を供給気体圧によって制御することで、可動子が微小移動される。また、可動子を複数個、軸方向に配置し、隣接する可動子の間の隙間にそれぞれ制御された気体圧を供給することで、微小移動の範囲を隙間の数に応じて拡大できることも述べられている。
上記特許文献1に開示される構成を発展させて、板厚の薄い可動子を複数個、軸方向に配置し、隣接する可動子の間の隙間にそれぞれ制御された気体圧を供給することで、全体として小型で、微小移動の移動範囲が広い気体圧制御アクチュエータを構成することができる。
特開2005−268293号公報
特許文献1に開示される構成を発展させて、板厚の薄い可動子を複数個、軸方向に配置し、隣接する可動子の間の隙間にそれぞれ制御された気体圧を供給するには、板厚の薄い可動子を軸方向に整列配置するように保持する必要がある。一般的に考えられるのは、板厚の薄い可動子を複数個、支持軸に取り付けることであるが、これでは隣接する可動子の間の隙間を気体圧で変更することができない。
そこで、軸方向への変位剛性が径方向の変位剛性よりも小さい支持バネを用いて各可動子を支持軸に取り付けることが考えられる。このような支持バネは、雲形板バネとして知られているが、複雑な平面パターンを有し、金属薄板を加工することが必要であり、さらに可動子と支持軸に取り付けることが必要となる。したがって、材料の選択に制限があり、また加工工程および組立工程が複雑となる。
本発明の目的は、板厚の薄い可動子を軸方向に複数個整列配置し、隣接する可動子の間の隙間にそれぞれ制御された気体圧を供給することで軸方向の移動を行わせる場合に、簡単な構成で、各可動子の軸方向の変位自由度を確保することを可能とする気体圧制御アクチュエータを提供することである。また、他の目的は、板厚の薄い可動子を軸方向に複数個整列配置し、隣接する可動子の間の隙間にそれぞれ制御された気体圧を供給することで軸方向の移動を行わせる場合に、可動子の材料の選択自由度の向上を図ることができる気体圧制御アクチュエータを提供することである。
本発明に係る気体圧制御アクチュエータは、支持軸との間で遊合隙間を有する支持穴を有し、支持軸に支持されて軸方向に沿って複数整列配置される平板可動子と、支持軸が底面に取り付けられ、支持軸の先端側の方が開口し、複数の平板可動子を案内する筒状の案内部と、案内部の底面に向かい合う平板可動子の一方側平板面と案内部の底面との間の隙間と、隣接する平板可動子の間の隙間と、駆動対象物に向かい合う先端側平板可動子の他方側平板面とこれに向かい合う駆動対象物の気体受面との間の隙間とに、それぞれ気体を供給して流すために、支持軸の軸方向に沿って設けられる気体貫通流路と、気体貫通流路に気体を供給する気体供給手段と、を有し、先端側平板可動子が気体層を介して駆動対象物に駆動力を及ぼすことを特徴とする。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータは、案内部に案内されて軸方向に気体圧によって駆動されるピストン型可動子と、ピストン型可動子の先端に軸方向に延びて取り付けられる支持軸と、支持軸との間で遊合隙間を有する支持穴を有し、支持軸に支持されて軸方向に沿って複数整列配置される平板可動子と、案内部の底面に向かい合う平板可動子の一方側平板面と案内部の底面との間の隙間と、隣接する平板可動子の間の隙間と、駆動対象物に向かい合う先端側平板可動子の他方側平板面とこれに向かい合う駆動対象物の気体受面との間の隙間とに、それぞれ気体を供給して流すために、支持軸の軸方向に沿って設けられる気体貫通流路と、気体貫通流路に気体を供給する気体供給手段と、を有し、先端側平板可動子が気体層を介して駆動対象物に駆動力を及ぼすことを特徴とする。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子について、支持軸の径方向への変位を予め定める変位量に規制する規制手段を有することが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、支持軸の外形または支持穴の内径は、周方向に沿って凹凸形状を有し、気体貫通流路は、支持軸の外形と支持穴の内径との間の軸方向に沿った隙間であり、規制手段は、支持軸の外形と支持穴の内径との間の隙間を予め定める範囲に設定することで、各平板可動子と支持軸との間の径方向への変位を規制することが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子の外形または案内部の内径は、周方向に沿って凹凸形状を有し、規制手段は、各平板可動子の外形と案内部の内径との間の隙間を予め定める範囲に設定することで、各平板可動子と支持軸との間の径方向への変位を規制することが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子は、気体貫通路を囲む内径側部分に、外径側部分よりも板厚が薄く、隣接する平板可動子の平板面との間で表面絞り隙間を形成する減速用くぼみと、減速用くぼみを越えて、いずれか一方の平板面の外周方向に向かって延び終端部を備える気体流路浅溝と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、気体供給手段は、平板可動子に向かって開口する気体供給口と、気体供給口に設けられ、供給気体の流れを整流する気体絞り部と、を有することが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子について支持軸周りの回転を防止する回転規制手段を有することが好ましい。
また、本発明に係る気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子は、セラミック材料で構成されることが好ましい。
上記構成の少なくとも1つにより、気体圧制御アクチュエータは、支持軸との間で遊合隙間を有する支持穴を有し、支持軸に支持されて軸方向に沿って複数整列配置される平板可動子と、支持軸が底面に取り付けられる筒状の案内部と、隣接する平板可動子の間の隙間等に気体を供給して流すために、支持軸の軸方向に沿って設けられる気体貫通流路と、気体貫通流路に気体を供給する気体供給手段とを有する。各平板可動子は、支持軸に遊合隙間で支持されるので、軸方向の変位の自由度を確保できる。また、雲形板バネ等を用いないので、平板可動子の材料の選択の幅が拡大する。
また、上記構成の少なくとも1つにより、案内部に案内されて軸方向に気体圧によって駆動されるピストン型可動子と、ピストン型可動子の先端に軸方向に延びて取り付けられる支持軸と、支持軸との間で遊合隙間を有する支持穴を有し、支持軸に支持されて軸方向に沿って複数整列配置される平板可動子と、隣接する平板可動子の間の隙間等に気体を供給して流すために、支持軸の軸方向に沿って設けられる気体貫通流路と、気体貫通流路に気体を供給する気体供給手段とを有する。各平板可動子は、支持軸に遊合隙間で支持されるので、軸方向の変位の自由度を確保できる。また、雲形板バネ等を用いないので、平板可動子の材料の選択の幅が拡大する。そして、支持軸はピストン型可動子に取り付けられるので、各平板可動子の軸方向微小変位に、ピストン型可動子の移動範囲の広い粗動変位が加わることができ、粗動と微動とを併せ持つ気体圧制御アクチュエータとできる。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子について、支持軸の径方向への変位を予め定める変位量に規制する規制手段を有する。これにより、各可動子が径方向にばらばらに偏移することを抑制することができる。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、支持軸の外形または支持穴の内径は、径方向に凹凸形状を有し、気体貫通流路は、支持軸の外形と支持穴の内径との間の軸方向に沿った隙間であり、規制手段は、支持軸の外形と支持穴の内径との間の隙間を予め定める範囲に設定することで、各平板可動子と支持軸との間の径方向への変位を規制する。これにより、特別な気体貫通路を設ける必要がなく、また、支持軸の外形寸法と支持穴の内径寸法の設定によって、各可動子が径方向にばらばらに偏移することを抑制することができる。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子の外形または案内部の内径は、径方向に凹凸形状を有し、規制手段は、各平板可動子の外形と案内部の内径との間の隙間を予め定める範囲に設定する。このように、各平板可動子の外形寸法と案内部の内径寸法の設定によって、各可動子が径方向にばらばらに偏移することを抑制することができる。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、また、平板可動子は、内径側部分に、外径側部分よりも板厚が薄く、隣接する平板可動子の平板面との間で表面絞り隙間を形成する絞り部を有するので、隣接する平板可動子の間の隙間を流れる気体の流れを安定化することができる。ここで、表面絞り隙間とは、向かい合う面の間の間隔が広い隙間から狭い隙間に絞られることで流れを安定化させるいわゆる表面絞り効果を生じさせる隙間のことである。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、気体供給手段は、供給気体の流れを整流する気体絞り部を有するので、気体の流れによるノイズを抑制し、気体圧制御アクチュエータの制御性を向上させることができる。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子について支持軸周りの回転を防止する回転規制手段を有するので、支持軸周りに回転することによって生じる変位の変動を抑制することができる。
また、気体圧制御アクチュエータにおいて、各平板可動子は、セラミック材料で構成される。これによって、例えば、電磁環境の影響を抑制することができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。最初に、本発明に係る実施の形態の中核の1つである平板可動子を用いた基本的な場合を説明し、その後にその他の構成について説明する。以下では、平板可動子は、円形の外形を有し、中央に支持軸に遊合支持される支持穴を有するものとして説明するが、平面寸法に比較して板厚の薄い平板であればよく、外形は円形でなくてもよい。例えば多角形の外形、楕円の外形、曲面の外形を有する平板であってもよい。また、以下で述べる材質、寸法等は、説明のための一例であり、気体圧制御アクチュエータの仕様に適合する材質、寸法等を適宜選択できる。
図1は、気体圧制御アクチュエータ10の構成を示す図である。気体圧制御アクチュエータ10は、制御された気体圧P1によって、移動体6を移動駆動する機能を有する。ここで移動体6は、例えばXY方向等の軸方向移動、及びZ軸周りのθ回転等のように回転が可能テーブル等である。気体圧制御アクチュエータ10は、筒状の案内部12と、案内部12の底面に取り付けられる支持軸14と、支持軸14に軸方向に整列配置されて支持される複数の平板可動子20を含んで構成される。
図2、図3は、平板可動子20の構成を示す図で、これらの図には、支持軸14もあわせて示されている。図2は、平板可動子20の側面図と正面図で、図3は、図2におけるA−A線に沿った断面図で、厚み方向を拡大して示す部分図である。平板可動子20は、薄板円板の中央部に支持穴22を有し、支持穴22の外側に板厚を薄くした第1くぼみ26と、第1くぼみ26の外側に第1くぼみ26よりも板厚が厚いが、やはり最外周側の板厚よりも薄い第2くぼみ28と、第2くぼみ28から外周側に向かって放射状に延びる複数の細溝30を含んで構成される。そして、第1くぼみ26には、軸方向に貫通して気体が通ることができる貫通穴24が複数設けられる。
支持穴22は、支持軸14との間で遊合隙間を有する穴である。図2の例では、支持軸14の外形が四角軸であるので、支持穴22も四角穴の内径形状を有している。これによって、平板可動子20が支持軸14の軸方向周りに回転することを抑制する。すなわち、四角軸と四角穴との組合せによって、回転止めを構成している。回転止めのためには、四角軸と四角穴との組合せ以外のものを用いてもよい。例えば、支持軸と支持穴に楕円形状の組合せ、多角形形状の組合せ等を用いることができる。
遊合隙間とは、軸外形寸法に対し穴内径寸法が大きく、軸外形と穴内径との間に必ず隙間があり、軸方向に沿って、穴と軸とが相対的に移動可能である隙間状態のことである。しかしながら、軸外形と穴内径との寸法差があまりに大きくて、穴と軸とが相対的にかなり傾きながら移動可能である場合を含まない。すなわち、遊合隙間とは、穴と軸との間の相対的傾きがほとんどない状態で、軸方向に沿って、穴と軸とが相対的に移動可能である隙間状態のことである。したがって、遊合隙間の具体的な隙間量は、支持軸14の外形寸法あるいは支持穴22の内径寸法と、平板可動子20の第1くぼみ26における板厚によって、その大きさが異なってくる。一例をあげると、支持穴22の外形寸法を約1mm角とし、平板可動子20の第1くぼみ26における板厚を約0.1mmとして、支持軸14の外形と支持穴22の内径との間の隙間を、約10μm程度とすることができる。この例では、遊合隙間が約10μmとなる。
第1くぼみ26に設けられる貫通穴24は、複数の平板可動子20が支持軸14に整列配置されたときに、支持軸14の軸方向に沿って気体が流れることができる気体貫通流路としての機能を有する。貫通穴24は、図2に示されるように、第1くぼみ26において、支持穴22を中心穴として、中心穴から同一半径上で、周方向に沿って均等な間隔で複数個設けられる。図2の例では、8個の貫通穴24が設けられている。貫通穴24の穴径は、適当な大きさであればよく、例えば、第1くぼみ26の直径の1/10から1/5の直径とすることができる。
第1くぼみ26は、離散的に配置される貫通穴24を通って気体の流れを平均化する機能を有する空間である。第1くぼみ26のくぼみ深さは、平板可動子20の元々の板厚、ここでは、最外周の板厚が元々の板厚のままであるが、その板厚の約1/2から約1/3程度とすることができる。例えば、平板可動子20の最外周の板厚を約0.2mmし、第1くぼみ26のくぼみ深さをその1/2とするときは、第1くぼみ26のくぼみ深さが約0.1mm、第1くぼみ26における平板可動子20の板厚が約0.1mmとなる。
第2くぼみ28と細溝30は、平板可動子20の表面に沿って径方向に気体が流れるときに、絞り効果を奏するように設けられる。すなわち、平板可動子20の平板面が、他の面と対向し、2つの面の間の隙間に気体が流れて、この第2くぼみ28及び細溝30を流れる気体が細溝30の終端等で平板面にあふれるときに、流路が狭くなって絞られ、いわゆる表面絞りとなる。この表面絞りの効果により、2つの面の間の流れが安定し、2つの面の間の間隔も安定する。勿論、場合によって、第2くぼみを設けないものとしてもよい。
かかる平板可動子20の寸法の一例を述べると、外径が約30mmから約40mm、第1くぼみ26の直径が約10mmから15mm、板厚が約0.1mmから約0.2mm程度、第2くぼみ28及び細溝30の深さは約13μmから約17μm、第2くぼみ28の径方向の幅は約2mmから4mm程度、細溝30の幅は約0.2mm程度である。なお、図2、図3は、細溝30等の深さを誇張して拡大してある。かかる平板可動子20としては、例えば、セラミックを成形したものを用いることができる。これにより、平板可動子20の隙間調整等における電磁的な影響を排除することができる。勿論、用途によっては、SUS等の金属円板を加工して得られるものを平板可動子として用いてもよい。
再び図1に戻り、案内部12には、図示されていない気体供給装置から制御気体圧P1が供給される供給口16が設けられる。制御気体圧P1を有する気体は、絞り部40を通り、案内部12の底面から平板可動子20に供給される。なお、場合によっては、絞り部を省略するものとしてもよい。
絞り部40は、上記のように、制御気体圧P1が供給される供給口16と、案内部12の底面において平板可動子20に対して気体を供給する気体出口との間の気体流路の途中に設けられ、流体抵抗を増加させて気体の流れを整流する機能を有する素子又は構造である。
図4、図5は、絞り部として好ましい2つの例を示す図である。図4は、案内部12のポケット開口46の中に設けられる平行隙間の絞り部40である。平行隙間の絞り部40は、ドーナツ状に中央穴を有する円環板42と、円環板42と外形が同じの円板44とが狭い平行隙間で配置され、その平行隙間の間を気体が流れる間に整流され、その流れが乱れなく形成されるものである。平行隙間は、例えば、供給口16に供給される気体圧を0.5Mpaとし、その流速を30m/secとして、これを絞りにより流速300m/secの層流とするときの場合で、50μmが好ましい。そのときの円環板42と円板44との間の平行隙間の長さは、50μmに対し、十分長いことが望ましい。例えば5−10mm程度とすることができる。
このように平行隙間絞りの整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することで、例えば絞りとして一般的に用いられるオリフィス絞り等により気体を絞る場合に生ずる、乱流や渦流等を抑制できる。特に、高圧かつ高速の気体を扱うときにオリフィスのエッジ等から生ずる衝撃波を抑制することもできる。したがって、気体圧制御において、このようなノイズの影響を少なくでき、気体圧制御アクチュエータ10の制御性の向上を図ることができる。
図5は、絞り部のもう1つの好ましい例として、多孔質材料48をポケット開口46の中に配置するものを示す図である。この場合も、多孔質の微小孔の整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することができる。もちろん、制御性の必要が少ない場合は、通常のオリフィス等を用いることができる。
次に、上記構成の作用を説明する。再び図1に戻り、案内部12の底面から絞り部40を経由して複数の平板可動子20に対し供給される気体圧P1を有する気体は、案内部12の底面から複数の平板可動子20の貫通穴24を通って、隣接する平板可動子20の間の隙間を流れ大気に開放される。そして、隣接する平板可動子20の間の隙間を流れる気体は、いわゆる気体軸受としての作用を示し、移動体6からの押付力Fが複数の平板可動子20に向かって働くので、制御気体圧P1を制御し、押付力Fと釣り合わせつつこれらの隙間量を調整することができる。
例えば制御気体圧P1を+ΔP変化させると、各隙間量を+Δs変化させることができ、このΔs/ΔPは、平板可動子20の形状、隣り合う平板可動子20の間の隙間、制御気体圧P1、押付力等を与えることで実験的に定めることができる。ここで、Δs/ΔPは、各隙間ごとに定まるものであるので、隙間の数をNとすると、複数の平板可動子20の全体の軸方向移動量は、N×Δsとなり、移動量が、平板可動子20の数の増減で調整できる。
一例を上げると、上記の平板可動子20の寸法で、隣り合う隙間の公称標準値を10μm程度とし、P1を約0.2MPaとすると、(隙間変化量/気体圧変化量)=(5μm/0.1Mpa)程度とすることができる。上記のように、平板可動子20の厚さは、約0.1mmから数mmであるので、仮にN=100としても、99個の平板可動子20の軸方向の全長は、約10mmから数100mmである。そして、ΔPを0.15MPaとすれば、この99個の平板可動子20によって、移動体6に約1mm程度の移動量を与えることができる。
しかも、その移動量は、Δs/ΔPで定まり、気体圧の制御性は極めてよいので、その移動量の精度は、全ストロークについてきわめて高く維持することができる。そして、その際に、各平板可動子20は、その支持穴22が支持軸14に対し遊合隙間を有しているので、気体圧の変化に応じて、軸方向に自由に移動できる。このようにして、複数の平板可動子20の全体の変位量が、先端側の平板可動子20によって、気体層を介して駆動対象物である移動体6に駆動力を及ぼし、高精度で、移動体6を移動駆動する。
上記のように、平板可動子20の支持穴22と支持軸14との間には、遊合隙間がある。したがって、支持軸14に対し、各平板可動子20は、この遊合隙間の範囲で、径方向にばらばらに偏移するのではないか、とも考えられる。実際には、隣接する平板可動子20の間に気体が流れるとき、各平板可動子20は、支持軸14に対し、中心位置から径方向にずれても、自動的に調心し、ほぼ、中心位置に戻される性質を有する。図6を用いてその様子を説明する。
図6は、図3と同様に、平板可動子の断面図を示す図である。ここでは、2枚の平板可動子20,21が示され、支持軸14に対し、平板可動子20はほぼ中心に配置しているのに対し、平板可動子21は、中心配置位置から径方向に図6に示すΔ方向に偏移している様子が示されている。すなわち、平板可動子21は、図6において、左側に偏移している。このとき、支持軸14に対し左側の貫通穴24から平板可動子20,21の間の隙間に流れる気体は、細溝30に沿って外周側、つまり図6の左側に流れ、細溝30の左側の終端部で突き当たり、そこから外部に流れ出す。このときに、気体の流れは、細溝30の左側の終端部において、左側外周に向かう力f1を平板可動子21に与える。同様に、支持軸14に対し右側の貫通穴24から平板可動子20,21の間の隙間に流れる気体は、細溝30の右側の終端部で突き当たり、右側外周に向かう力f1を平板可動子21に与える。
したがって、平板可動子21には、左側外周に向かう力f1と右側外周に向かう力f2が与えられる。ここで、細溝30に沿って左側外周に向かう気体の流れと、細溝30に沿って右側外周に向かう気体の流れとを比較すると、平板可動子21が左側に偏移していることから、前者の方が大気開放側に近くなる。したがって、左側外周に向かう力f1と右側外周に向かう力f2とを比較すると、前者の方が小さくなる。左側外周に向かう力f1と右側外周に向かう力f2とは、力の方向が互いに逆であるので、平板可動子21には、(f2−f1)の大きさで右側に向かう力が働くことになる。つまり、平板可動子21は、図6において、右側に戻される力を受ける。こうして、左側に偏移した平板可動子21は、右側に戻され、中央位置において、(f2−f1)=0となる。
このようにして、隣接する平板可動子20の間に気体が流れるとき、各平板可動子20は、支持軸14に対し、中心位置から径方向にずれても、自動的に調心し、ほぼ、中心位置に戻される。しかし、過渡期においては、各平板可動子20は、ばらばらに、径方向に偏移することになるので、図2で説明した支持軸14と支持穴22との間の遊合隙間が、その偏移の最大範囲を規定することになる。したがって、予め遊合隙間を設定することで、各平板可動子20について、支持軸14の径方向への変位を予め定める変位量に規制することができ、その意味で、遊合隙間の設定は、各平板可動子20の径方向変位量を規制する規制手段に相当する。
上記構成によれば、遊合隙間によって径方向変位量の最大ずれ量が規制されながら、隣接する平板可動子20の間の隙間について、気体軸受の作用に基づいて、制御気体圧P1を制御し、押付力Fと釣り合わせつつこれらの隙間量を調整することができる。つまり、制御気体圧P1の制御によって、高精度で、移動体6を移動駆動することができる。この場合において、移動体6の移動駆動は、制御気体圧P1の大きさによって制御する方式、いわゆるオープン制御方式によって制御することができる。これに対し、移動体6の実際の移動量、すなわち変位量を検出し、指令値と比較して制御気体圧P1の大きさを制御する方式、いわゆるクローズドループ制御、あるいはフィードバック制御を行うものとすることができる。
図7は、フィードバック制御を行う微小移動機構の構成を示す図である。以下では、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図7においては、微小移動機構として、気体圧制御アクチュエータ11と、制御部18が示される。気体圧制御アクチュエータ11は、図1の気体圧制御アクチュエータ10とほとんど同じ構成であるが、支持軸14に内部に、変位センサ15を有しているところが相違する。
変位センサ15は、移動体6と、気体圧制御アクチュエータ11との間の距離を検出し、移動体6の変位量として制御部18に出力する機能を有する検出器である。変位センサ15は、支持軸14と一体構造として設けることができる。例えば、支持軸14を中空軸とし、その中空部に、変位センサ15が設けることができる。図7では、支持軸14の先端、すなわち気体圧制御アクチュエータ11が移動体6に対向する先端に検出部を有する変位センサ15が、中空軸である支持軸14の中空部の内部に設けられている様子が示されている。かかる変位センサ15としては、静電容量型変位センサ、光検出型変位センサ、磁気検出型変位センサ等を用いることができる。
図7の例では、変位センサ15は、支持軸14に固定され、また支持軸14は気体圧制御アクチュエータ11の案内部12に固定されるので、変位センサ15の先端は、気体圧制御アクチュエータ11における固定位置を示している。したがって、変位センサ15と移動体6との間の距離ΔXは、気体圧制御アクチュエータ11に対する移動体6の変位を示すことになる。ΔXは、気体圧制御アクチュエータ11における複数個の平板可動子20の各変位量の合計に相当する量になる。上記の例では、隣接する平板可動子20の間の各隙間の変位量をΔsとし、隙間の数をNとして、ΔX=N×Δsである。
変位センサ15の検出量であるΔXは、制御部18に伝送され、制御部18は、位置指令と検出量であるΔXとを比較して、位置指令に対する位置偏差を求め、この位置偏差をゼロにするように、制御気体圧P1を制御する。このようにして、変位センサ15の検出量に基づいて、移動体6の移動制御を精度よく行うことができる。
次に、ピストン型可動子に設けられる支持軸に複数の平板可動子を整列配置する気体圧制御アクチュエータの例を示す。なお、以下では、図1から図6と同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、以下では、図1から図6の符号を用いて説明する。
図8に示す気体圧制御アクチュエータ50は、移動体6を移動駆動する場合に、案内部12で案内され、図示されていない気体圧制御装置から供給される駆動気体圧PPを受けて駆動されるピストン型可動子60を用い、ピストン型可動子60に設けられる支持軸14に複数の平板可動子20を設け、平板可動子20を介してピストン型可動子60の駆動力を移動体6に伝達する構成を有する。
案内部12は、ピストン型可動子60を軸方向に移動可能に案内する機能を有し、一方側に開口し、底面に駆動気体圧PPが供給される供給口52を有する筒状の部材で、いわゆるシリンダーに相当するものである。ここで、案内部12の底面及び内部側壁と、ピストン型可動子60の底面とで囲まれる空間は圧力室54である。
ここでは、案内部12の底面の供給口52から、駆動気体圧PPを有する気体が圧力室54に供給されてピストン型可動子60を駆動する一方で、移動体6の供給口16から、制御気体圧P1を有する気体が、複数の平板可動子20に向かって供給される。供給口16から移動体6の気体受面の気体出口、すなわち平板可動子20と対向する面の気体出口との間には、図4で説明したような絞り部40を設けることが好ましい。
ピストン型可動子60は、その内部に気体室62を有するいわば内蔵タンクを有する可動子である。制御気体圧P1を有する気体は、移動体6の気体受面から複数の平板可動子20の貫通穴24を通って、隣接する平板可動子20の間の隙間を流れ大気に開放される。また、一部は、ピストン型可動子60の内部の気体室62に流れこみ、一旦そこで蓄えられてから、軸受用開口64より、ピストン型可動子60の外周と案内部12の内壁との隙間に流れる。流れ出した気体は、いわゆる気体軸受作用によりピストン型可動子60を案内部12の内壁に対し、浮上させる。これにより、ピストン型可動子60の軸方向の移動の摩擦を低減できる。
平板可動子20の支持軸14に対する支持は、図1、図2で説明した内容と同じである。そして、隣接する平板可動子20の間の隙間を流れる気体は、いわゆる気体軸受としての作用を示す。ここで、ピストン型可動子60の駆動気体圧PPによる駆動力が一種の押付力として複数の平板可動子20に向かって働くので、制御気体圧P1を制御し、押付力と釣り合わせつつ、これらの隙間量を調整することができる。
そして、図1で説明したと同様に、上記の平板可動子20の寸法等の条件の下で、仮に99個の平板可動子20を用いるときは、この約10mmから約100mmの全長の99個の平板可動子20によって、移動体6に約1mm程度の移動量を与えることができる。
なお、以上の説明では、ピストン型可動子60の駆動気体圧PPによる移動を除いている。実際に駆動気体圧PPによるピストン型可動子60の移動駆動がなされる場合は、駆動気体圧PPによる比較的大きな移動量に加えて、複数の平板可動子20による精度の高い移動が加わることになる。つまり、ピストン型可動子60の粗動移動駆動と、複数の平板可動子20による精度の高い微小移動駆動の組合せとなる。
次に、移動体からの押付力を要しない気体圧制御アクチュエータの構成の例を説明する。以下では、図1から図8と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では図1から図8の符号を用いて説明する。
図1の構成においては、移動体6からの押付力Fを前提としたが、押付力を気体圧制御アクチュエータの内部で作り出す構成としたものが図9に示す気体圧制御アクチュエータ70である。ここでは、2つの案内構成部72,74からなる案内部12と、複数の平板可動子20との間に出力可動子76が設けられる。出力可動子76は、複数の平板可動子20による駆動力を受ける可動子であるが、その先端側の肩部において、押付力用気体圧P2が供給口78から供給され、これによって出力可動子76は、押付力を複数の平板可動子20に与えることができる。
したがって、制御気体圧P1を有する気体は、案内部12の底面から複数の平板可動子20の貫通穴24を通って、隣接する平板可動子20の間の隙間を流れ排気口66等から大気に開放される。そして、隣接する平板可動子20の間の隙間を流れる気体は、いわゆる気体軸受としての作用を示し、出力可動子76からの押付力が複数の平板可動子20に向かって働くので、制御気体圧P1を制御し、押付力と釣り合わせつつこれらの隙間量を調整することができる。
そして、図1で説明したと同様に、上記の平板可動子20の寸法等の条件の下で、仮に99個の平板可動子20を用いるときは、この約10mmから数100mmの全長の99個の平板可動子20によって、移動体6に約1mmの移動量を与えることができる。
なお、図9の構成において、出力可動子76は、案内部12の内壁によって案内され、その際、軸受用気体供給口79から供給される軸受用気体圧PBが、出力可動子76の外周と、案内部12の内壁の間の隙間に流れる。この隙間に流れる気体は、いわゆる気体軸受作用により出力可動子76を案内部12の内壁に対し、浮上させる。これにより、出力可動子76の軸方向の移動の摩擦を低減できる。なお、図9において、Exと示してあるのは排気である。また、Vと示してあるのは真空引きで、排気しきれない気体をこれにより排除することで、気体圧制御アクチュエータ70を減圧環境下、あるいは真空下でも使用可能とすることができる。
以下に、気体圧制御アクチュエータの構成要素のいくつかの変形例を説明する。図10から図15は、平板可動子の平板面の構造の変形例、図16から図25は、平板可動子の径方向偏移規制構造等の変形例である。
最初に、平板可動子の平板面の構造の変形例について説明する。図1、図7における気体圧制御アクチュエータでは、図2で説明したように、平板可動子20に設けられた貫通穴24によって軸方向に気体の流れを貫通させ、その流れを平板可動子20の平板面に設けられた細溝30に沿って外周側に流すものとして説明した。このほかに、細溝を設けずに、平板可動子の平板面を流れる気体について、内周側から外周側に流れを絞るような構造とすることで、隣接する平板可動子の間の隙間について、気体軸受の作用に基づいて、制御気体圧P1を制御し、押付力Fと釣り合わせつつこれらの隙間量を調整することができる。以下では、図1から図6と同一の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図10は、平板面に細溝を設けずに、代わりに、内周側から外周側にむけて、板厚が次第に厚くなるようにした平板可動子80の例を示す平面図と側面図である。図11は、図10におけるA−A線に沿った拡大断面図である。この平板可動子80は、図2で説明した平板可動子20と比較して、支持穴22、貫通穴24、第1くぼみ26は同様に有するが、第2くぼみ28、細溝30は設けられていない。代わって、第1くぼみ26の最外周のところから段差が設けられ、その段差から外周側に向かって、次第に板厚が厚くなるように、丸みを帯びた傾斜面81が形成されている。傾斜面81は、図11に示されるように、平板可動子80の平板面側に向かって凸形状となっている。
この傾斜面81は、複数の平板可動子80が支持軸14に整列配置されたとき、隣接する平板可動子80の間の隙間の一部を形成するものである。すなわち、貫通穴24から流れてくる気体は、第1くぼみ26から、この傾斜面81に沿って、平板可動子80の外周に向かって流れる。上記のように、傾斜面81は、隙間に向かって凸形状となっているので、平板面を内周側から外周側に向かって流れる気体は、次第に狭くなる隙間を通ることになり、これによって流れが絞られる。すなわち、傾斜面81は、平板面を流れる気体を絞る効果を有する。
図12から図15は、平板可動子の平板面の断面形状の例を示す図である。図12に示される平板可動子82は、第1くぼみ26の外周側に第2くぼみのような平坦な段差部83を有し、その外周側に図11の傾斜面81と同様に隙間に向かって凸形状となる傾斜面84を有する例である。図13に示される平板可動子86は、第1くぼみ26の外周側に直線テーパ部87を有し、その外周側に図12の傾斜面81と同様な傾斜面88を有する例である。図14に示される平板可動子90は、第1くぼみ26の外周側に第2くぼみのような平坦な段差部91を有し、その外周側に、さらに段差部92を有する2段段差構造の例である。図15に示される平板可動子94は、第1くぼみ26の外周側に直線テーパ部95を有する例である。上記のように、いずれの構造も、平板可動子の中心に対し、回転対称形であり、加工等が容易である。
次に、平板可動子の径方向の偏移規制構造等の変形例について説明する。図1における気体圧制御アクチュエータ10では、貫通穴24によって軸方向に気体の流れを貫通させ、四角軸である支持軸14と四角穴である支持穴22とによって、平板可動子20の支持軸14周りの回転を止め、支持軸14と支持穴22との間の遊合隙間を規定することで、平板可動子20の径方向の偏移を規制するものとして説明した。この気体貫通手段、回転止め手段、径方向偏移規制手段は、実際の気体圧制御アクチュエータの仕様等により、様々に変更が可能である。
以下に、図16から図25を用いて、いくつかの変更例を説明する。これらの図は、図2、図3と同様に、平板可動子の側面図と正面図、及びおよび、A−A線に沿った断面図で、厚み方向を拡大して示す部分図である。また、以下では、図1から図3と同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図16、図17は、図1から図3において説明した平板可動子20の貫通穴を、貫通窓102に変更する平板可動子100の構成を示す図である。ここでは、第1くぼみに相当する部分が貫通窓102を仕切るアーム部104となっている。アーム部104は、第2くぼみ28よりも一段と下った位置にあり、換言すれば、アーム部104に相当する部分の板厚は、第2くぼみ28に相当する部分の板厚よりも薄い。このような構造をとることで、支持軸14の軸方向に沿う貫通気体の流量を十分なものとすることができる。
図18から図21は、支持軸の外形形状及び支持穴の内径形状を周方向に沿った凹凸形状とする例を示す図である。図18、図19に示す平板可動子110は、支持穴112が凹凸形状を有し、これに対応する支持軸108は、円形断面であるが、支持穴112の凹凸形状に係合する凸部109を有する。図20、図21に示す平板可動子120は、支持軸118が凹凸形状を有し、これに対応する支持穴122は円形穴であるが、支持軸118の凹凸形状に係合する凸部126を有する。
図18、図19に示される平板可動子110は、支持穴112の内径の凹凸形状と、支持軸108の外形の円形形状との間で隙間が形成されるので、この隙間が、支持軸108の軸方向に沿った気体の貫通流路となる。また、上記のように、支持軸108は、支持穴112の凹凸の1つに係合する凸部109を有するので、これにより、平板可動子110の支持軸108周りの回転を抑制することができる。また、支持穴112の凹凸形状の最も内周側の寸法と、支持軸108の円形形状の外径寸法との間の寸法差が遊合隙間となるように設定され、これによって、平板可動子110の径方向の偏移が規制される。なお、平板可動子110において、第1くぼみ114、第2くぼみ28を有し、そのくぼみ量は、図2で説明したものと同様である。
図20、図21に示される平板可動子120は、図18、図19で説明した平板可動子110における支持軸と支持穴との関係を逆にしたものに相当する。すなわち、支持穴122の内径の円形形状と、支持軸118の外形の凹凸形状との間で隙間が形成され、この隙間が、支持軸118の軸方向に沿った気体の貫通流路となる。また、上記のように、支持穴122は、支持軸118の凹凸の1つに係合する凸部126を有するので、これにより、平板可動子120の支持軸118周りの回転を抑制することができる。また、支持穴122の円形形状の内径寸法と、支持軸118の凹凸形状の最も外径の寸法との間の寸法差が遊合隙間となるように設定され、これによって、平板可動子120の径方向の偏移が規制される。なお、平板可動子120において、第1くぼみ124、第2くぼみ28を有し、そのくぼみ量は、図2で説明したものと同様である。
図22から図25は、平板可動子の外周形状及び案内部の内径形状を周方向に沿って凹凸形状とする例を示す図である。図22、図23に示す平板可動子130は、その外周部134が凹凸形状を有し、これに対応する案内部12は、円形断面であるが、平板可動子130の外周部134の凹凸形状に係合する凸部127を有する。図24、図25においては、内周形状が凹凸形状である案内部13に対応する平板可動子140で、ここでは、平板可動子140は、円形形状の外周部142を有するが、案内部13の凹凸形状に係合する凸部143を有する。なお、貫通穴24、第1くぼみ26等は、図2で説明したものと同じであるが、支持軸128、支持穴132は、共に円形断面で、丸棒軸、丸穴である。
図22、図23に示される平板可動子130は、平板可動子130の外周部134の肉厚が薄くされ、外周側に向かって凹凸形状を有する。外周部134の肉厚は、例えば、第1くぼみ26の板厚と同じとすることができる。平板可動子130の外周部134を案内する案内部12の内径形状は円形断面であるので、この内径と、平板可動子130の外周部134の凹凸形状との間で隙間が形成される。この隙間は、平板可動子130の平板面の細溝30等を外周側に流れてきた気体を排出する排出流路として機能する。図1から図3で説明した気体圧制御アクチュエータ10に比較して、排出される気体は、外周部134の肉厚の薄い部分を流れてから広い隙間に流れ込むので、気体の流れが広がり、これにより滑らかな排出流れとなる。
また、上記のように、案内部12は、平板可動子130の外周部134の凹凸の1つに係合する凸部127を有するので、これにより、平板可動子110の支持軸128周りの回転を抑制することができる。また、平板可動子130の外周部134の凹凸形状の最も外周側の寸法と、案内部12の円形形状の外径寸法との間の寸法差が遊合隙間となるように設定され、これによって、平板可動子130の径方向の偏移が規制される。
図24、図25に示される平板可動子140は、図22、図23で説明した平板可動子の外周部と、案内部との関係を逆にしたものに相当する。すなわち、平板可動子140の外周部142の円形形状と、案内部13の内径の凹凸形状との間で隙間が形成され、この隙間が、平板可動子140の平板面の細溝30等を外周側に流れてきた気体を排出する排出流路として機能する。ここで、平板可動子140の外周部142の肉厚が薄くなっていることは、図22、図23で説明したことと同様である。また、上記のように、平板可動子140の外周部142は、案内部13の内径の凹凸の1つに係合する凸部143を有するので、これにより、平板可動子140の支持軸128周りの回転を抑制することができる。また、平板可動子140の外周部142の円形形状の外形の寸法と、案内部12の凹凸形状の最も内径側の寸法との間の寸法差が遊合隙間となるように設定され、これによって、平板可動子140の径方向の偏移が規制される。
次に、平板可動子を用いる気体アクチュエータのいくつかの利用例を説明する。平板可動子を用いる気体圧制御アクチュエータは、XYθ移動機構のテーブルのアクチュエータとして利用できる。図26は、XYθ移動機構150の平面図で、筐体152の中央に設けられる矩形の案内穴154の中に配置される矩形テーブル156を8個の気体圧制御アクチュエータ10を用い、図26に示すXY平面内での移動、及びXY平面に垂直なZ軸周りにθ回転を行うものの構成が示される。ここで、8個の気体圧制御アクチュエータ10は、図1で説明した構成のものである。もちろん、これ以外の構成の平板可動子を備える気体圧制御アクチュエータを用いてもよい。8個の気体圧制御アクチュエータ10のうち、図26の紙面において矩形テーブル156の左右に配置され、移動軸方向がX方向に平行な4つは、X軸アクチュエータで、紙面において矩形テーブル156の上下に配置され、移動軸方向がY方向に平行な4つは、Y軸アクチュエータである。これらの複数の気体圧制御アクチュエータ10を組み合わせて駆動制御し、その協働によって、矩形テーブル156をXYθ移動させることができる。
例えばX軸方向の動作については、4組のXアクチュエータの動作のみを考えればよい。さらに単純にするには、この4組を左半分の2組と右半分の2組に分け、左半分の2組は共に同じ動作をし、右半分の2組は共に同じ動作をする場合を考えればよい。この場合の動作は、X軸方向の移動が制御できる。同様に、4組のYアクチュエータについて上半分の2組と下半分の2組をそれぞれ同じ動作をするものとしてY軸方向の移動が制御できる。このように、矩形テーブル156をXY平面内で任意の位置に移動させることができる。
さらに、4組のXアクチュエータのうち、右上のものと左下のものとを組にし、右下のものと左上のものとを別の組にし、それぞれの組の移動量を異ならせることで、Z軸周りに矩形テーブル156を回転させることができる。4組のYアクチュエータを用いてもよい。このようにして、矩形テーブル156をZ軸周りにθ回転させることができる。また、上記のXY平面内移動とθ回転とを組み合わせて、任意のXYθ移動を行せることができる。
なお、これらのXアクチュエータ、Yアクチュエータは、それぞれ4つずつである必要はなく、例えばそれぞれ又はいずれかを4つ以外の数で構成してもよい。また、左右対称に配置する必要もなく、矩形テーブル156の形状、要求性能等に合わせ適当な配置をとることができる。また、例えば、X軸方向について左右それぞれ2つずつでなくて、一方側を1つ、他方側を2つというように、左右について配置数を異ならせてもよい。Y軸方向の配置についても同様に配置数を非対称としてもよい。また、Xアクチュエータの合計数と、Yアクチュエータの合計数を異ならせてもよい。例えば、Xアクチュエータ合計4つ、Yアクチュエータを合計2つとしてもよい。また、例えば、X軸方向のみをアクチュエータで動かし、Y軸方向は固定の軸受で支持して、1軸移動テーブル機構として構成することもできる。
このように、矩形テーブル156を駆動する場合に、平板可動子を備える気体圧制御アクチュエータ10を用いることで、高精度の微小移動を広い範囲で確保でき、また、矩形テーブル156の傾きに追従しながら駆動力を矩形テーブル156に伝達することができる。
平板可動子を用いる気体圧制御アクチュエータは、6自由度パラレルリンク機構のアクチュエータとして利用できる。図27は、気体圧制御アクチュエータを6つ用いて6自由度パラレルリンク機構160を構成する例を示す図である。6自由度パラレルリンク機構160は、ベース162と、可動ステージ164との間を6つの気体圧制御アクチュエータ170を所定の角度配置で取り付けることで構成される。ここで、6つの気体圧制御アクチュエータ170は、その内部に平板可動子を含んでいる。この構成は、一般的な6自由度パラレルリンクにおける構成の6つのアクチュエータを気体圧制御アクチュエータ170に置き換えたもので、周知の制御法により、6つの気体圧制御アクチュエータ170の変位量をそれぞれ制御することで、可動ステージ164をベース162に対し、X,Y,Z,φ,θ,ψの6自由度で運動させることができる。
図28は、図27の6自由度パラレルリンク機構160に用いられる気体圧制御アクチュエータ170回りの構成を示す図である。気体圧制御アクチュエータ170は、出力可動子172の形状がやや異なっている程度で、他は複数の平板可動子20を含め、図9で説明した気体圧制御アクチュエータ70の構成とほぼ同様のものを用いることができるので、同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。もちろん、これ以外の構成の平板可動子を備える気体圧制御アクチュエータを用いてもよい。気体圧制御アクチュエータ170の案内部12にはベース側可撓継手174の一端が取り付けられ、ベース側可撓継手174の他端は、図27の6自由度パラレルリンク機構160におけるベース162の所定位置に取り付けられる。また、出力可動子172には可動ステージ側可撓継手176の一端が取り付けられ、可動ステージ側可撓継手176の他端は、図27の6自由度パラレルリンク機構160における可動ステージ164の所定位置に取り付けられる。各気体圧制御アクチュエータ170の気体圧制御部178は、それぞれの案内部12に取り付けられる。
図29は、6自由度パラレルリンク機構160用の気体圧制御アクチュエータの他の例を示す図である。図28と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ここでは、ベース側可撓継手182を可撓性パイプとし、これを通して制御気体圧P1の供給をベース162側から行うところに特徴がある。これにより気体圧制御部178を個々のアクチュエータに設けずに軽量小型化を図ることができる。
このように、図26の6自由度パラレルリンク機構160において、可動ステージ164をベース162に対し駆動する場合に、平板可動子を備える気体圧制御アクチュエータを用いることで、高精度の微小移動を広い範囲で確保でき、また、可動ステージ164の相対的な傾きに追従しながら駆動力を可動ステージ164に伝達することができる。
平板可動子を用いる気体圧制御アクチュエータは、微小変位出力装置のアクチュエータとして利用できる。ここで、微小変位出力装置とは、押付力発生機構を内蔵する気体圧制御微小移動機構である。押付力発生機構を内蔵する構造とすることで、ユーザがその微小移動機構の特性をそれ自体で評価でき、また、ユーザの目的とする対象物にその微小移動機構をそのまま適用して評価を行うことができる。
図30は、複数の平板可動子を用いる微小変位出力装置210を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は正面図である。なお、X方向、Y方向、Z方向を図中に示してある。図31は、微小変位出力装置210の拡大断面図で、ここではZ方向に沿った隙間等の関係を分かりやすくするため、Y方向における拡大率よりもZ方向における拡大率を大きくとってある。また、図30(c)には、微小変位出力装置210の構成要素ではないが、微小変位を受ける対象物である負荷206と、微小変位出力装置210を配置しておくためのベース208が示されている。対象物である負荷206は、例えばZ方向に微小移動可能なテーブルでもよく、あるいはZ方向に微小量移動させたい重量のある試験物であってもよい。ベース208は、制御された気体圧PSを有する気体を微小変位出力装置210に供給するための供給口202と、微小変位出力装置210から気体を排出するための排気口204とを有することが好ましく、図30(c)では、その好ましい形態が示されている。
微小変位出力装置210は、制御された気体圧を入力することで、伝達部218からZ方向に沿った微小変位を外部に出力する機能を有する装置である。ここで、出力される微小変位とは、ナノm(nm)から数十ナノm程度の精度を有しながら、数μmから数100μmの範囲の変位である。
微小変位出力装置210は、筐体部212と、筐体部212の上面を覆う蓋部214を含んで構成される平円筒形の外形を有している装置である。筐体部212と蓋部214とで囲まれる内部空間には、支持軸222の軸方向に整列配置されて取り付けられる複数の平板可動子220と、複数の平板可動子220の最先端側の平板可動子に向かい合う出力可動子240とが含まれる。
ここで、複数の平板可動子220のそれぞれの平板可動子は、すでに図2、図3で説明した平板可動子20を用いることができる。また、この平板可動子20に対する変形例、例えば図10から図15で説明した平板可動子80,82,86,90,94、図16から図25で説明した平板可動子100,110,120,130,140を用いることができる。また、図7で説明したように、変位センサを用いる構成とすることもできる。また、支持軸222の構造も、上記平板可動子の構造に合わせて各種のものを用いることができる。
筐体部212は、筒部250と、底部252とを有し、底部252から見て上方、すなわち+Z方向側が開口している筒状部品である。底部252には、外壁に設けられ制御気体圧PSを有する気体を受け入れる取入口254と、内壁すなわち底面に設けられる気体供給口256と、取入口254と気体供給口256とを接続する気体流路255が設けられる。取入口254、気体流路255、気体供給口256のいずれかに適当な絞り部が設けられることが好ましい。
絞り部は、流体抵抗を増加させて気体の流れを整流する機能を有する素子又は構造である。かかる絞り部としては、平行隙間絞りを用いることができる。平行隙間絞りは、ドーナツ状に中央穴を有する円環板と、円環板と外形が同じの円板とを狭い平行隙間で配置したもので、その平行隙間の間を気体が流れる間に整流され、その流れが乱れなく形成されるものである。また、多孔質材料をポケット開口の中に配置するものを絞り部として用いてもよい。この場合も、多孔質の微小孔の整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することができる。もちろん、制御性の必要が少ない場合は、絞り部として、通常のオリフィス等を用いることができる。
筐体部212の底部252には、支持軸222が+Z方向に先端を向けて取り付けられる。支持軸222は、複数の平板可動子220を軸方向、すなわちZ方向に沿って、整列配置させて取り付け支持する機能を有する軸部品である。なお、支持軸222の先端は、出力可動子240と接触しないように配置される。
蓋部214は、筐体部212の先端側開口を覆う部材である。蓋部214は、筐体部212の筒部250と一体化できるリング部215と、中央に配置される円板状の伝達部218と、リング部215と伝達部218との間を接続する弾性材料から構成されるメンブレム状の薄板216とを含んで構成される。薄板216は、蓋部214と筐体部212とが一体化したときに、伝達部218を介して適当な付勢力を出力可動子240に与えるように、その形状が設定される。これによって蓋部214は、出力可動子240に押付力を与える押付力発生手段としての機能と、伝達部218の底面側が出力可動子240の中央部に接することで伝達部218の上面側から出力可動子の変位出力を外部に伝達する変位出力手段としての機能とを有する。また、メンブレム状の薄板216が伝達部218とリング部215とにそれぞれ隙間なく支持され、リング部215と筐体部212の筒部250とが隙間なく一体化されるときは、蓋部214は、筐体部212と共に、取入口254と排気口258とを除いて、内部空間を気密に保つ機能を有する。
かかる蓋部214としては、伝達部218の直径、すなわち薄板216の内側直径を約20mm、リング部215の内径、すなわち薄板216の外側直径を約150mmとし、薄板216として、板厚が約1mmから約2mmのステンレス薄板を用いて構成することができる。この構成例では、膜モデルの試算によれば、伝達部218のZ方向の出力変位ΔZ=1mmのとき、薄板216に生じる応力を許容値より十分低いものとすることができる。
複数の平板可動子220は、隣接隣接する平板可動子220の間の隙間量を変化させることで、その隙間量の変化分だけ出力可動子240を移動変位させる機能を有する微小移動可動子である。平板可動子220は、筐体部212の底部252の底面と、出力可動子240の底面との間に、支持軸222の軸方向に沿って複数整列配置される。
つぎに、微小変位出力装置の変形例を説明する。図31に関連して述べたように、蓋部214は、筐体部212の筒部250と一体化できるリング部215と、中央に配置される円板状の伝達部218と、リング部215と伝達部218との間を接続する弾性材料から構成されるメンブレム状の薄板216とを含んで構成される。そこで、筐体部212と蓋部214とを組み合わせると、取入口254と排気口258とを除いて、内部空間が気密に保たれる。ここでは排気口258がそのまま外気に開放されているので、メンブレム状の薄板216の両側にはほぼ同じ気圧がかけられており、したがって、メンブレム状の薄板216は、薄板の両側の気圧の差による初期変位がなく、通常では中立位置にある。ここで、排気口258に適当な排気弁を設けることで、メンブレム状の薄板216に初期変位を与えることができる。
図32は、排気口258に排気弁352を設けた構成の微小変位出力装置350の様子を示す図である。なお、図32は、対象物である負荷206の力がかかる方向であるZ方向を紙面の上下方向として微小変位出力装置350が示されており、この配置法は、図31と角度で90度異なっている。図31と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図31で説明した微小変位出力装置210と比べて、この微小変位出力装置350は、排気口258に排気弁352が設けられるところが相違する。
排気弁352は、排気される気体の排気気体圧PEを調整する気体弁である。排気気体圧PEは、外部気体圧より高い気体圧に設定される。例えば、メンブレム状の薄板216の外側の気体圧POが大気圧の場合は、排気気体圧PEは、大気圧より高い気体圧に設定される。また、微小変位出力装置350が減圧あるいは真空の下で使用されて、メンブレム状の薄板216の外側の気体圧が大気圧より低い場合は、その減圧された気体圧より高い気体圧に設定される。このように排気弁352の排気気体圧PEを外部気体圧POより高く設定することで、メンブレム状の薄板216の内側の空間354の気体圧はほぼ排気気体圧PEとなり、メンブレム状の薄板216の外側は外部気体圧POであるから、メンブレム状の薄板216の内外において差圧が生じる。この差圧ΔP=PE−POにより、メンブレム状の薄板216は外側に膨張変形する力Kを受けて、初期変位する。力Kは、メンブレム状の薄板216の受圧面積をAとして、K=A×ΔPで計算される。
このように、排気気体圧PEを設定することで、メンブレム状の薄板216は外側に向けて力Kを受けて初期変位する。すなわち、伝達部218に負荷206がかけられていない状態では、伝達部218の底面側が出力可動子240の上面側から離れた状態となる。換言すれば、この状態は、メンブレム状の薄板216が、初期変形に相当する力Kで、外側にバイアスされている状態である。そして、伝達部218に負荷206がかけられると、その負荷206の大きさWが、まずバイアスされている力Kによって受け止められる。その後、負荷206の大きさWとバイアスされている力Kとの差によって、メンブレム状の薄板216が変形し、伝達部218が−Z方向に沈み、出力可動子240の上面に接触し、さらに−Z方向に押し付ける。これにより、隣接する平板可動子220の間等の隙間に押付力を与えることができる。
これにより、蓋部214において負荷である移動体6を受け止める伝達部218に予め初期変位又はバイアス力Kが与えられるので、負荷である移動体6が出力可動子240に急激にかけられることを防止できる。したがって、急激な負荷がかかることで生じえる平板可動子220の損傷を防止することができる。
上記では、蓋部214が、筐体部212の筒部250と一体化できるリング部215と、中央に配置される円板状の伝達部218と、リング部215と伝達部218との間を接続する弾性材料から構成されるメンブレム状の薄板216とを含んで構成されるものとして説明した。ここでリング部215と伝達部218との間を接続するものを、メンブレム状の薄板に代えて、伝達部218の移動軸方向への変位剛性が径方向への剛性よりも小さい弾性部材としてもよい。図33は、リング部215と伝達部218との間を接続するものを複数の可撓アーム316とする蓋部314を示す図である。
この場合には、蓋部314は、筐体部と一体化しても気密性を有しない。すなわち複数の可撓アーム316の間の空間318を通って、気体は外部に開放される。したがって、筐体部212に排気部を設ける必要がない。
本発明に係る気体制御アクチュエータは、上記のように、XYθ移動機構のテーブルのアクチュエータ、6自由度パラレルリンク機構のアクチュエータとして利用出来る他に、XYZステージ用アクチュエータ、加速度キャンセラのアクチュエータ、除振装置のアクチュエータ、免振装置のアクチュエータ、精密駆動ジャッキ等としても利用することができる。
本発明に係る実施の形態における気体圧制御アクチュエータの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態における平板可動子の側面図と正面図である。 本発明に係る実施の形態における平板可動子の拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態において、絞り部として好ましい例を示す図である。 他の好ましい絞り部の例を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、隣接する平板可動子の間に気体が流れるときに、各平板可動子が中心位置に自動的に調心される様子を説明する図である。 本発明に係る実施の形態において、センサを備える気体圧制御アクチュエータの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、ピストン型可動子を用いる気体圧制御アクチュエータの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、押付力を内部で作り出す気体圧制御アクチュエータの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態において、細溝を有しない平板可動子の側面図と平面図である。 図10の構成における拡大断面図である。 図10の構成の変形例の拡大断面図である。 図10の構成の他の変形例の拡大断面図である。 図10の構成の別の変形例の拡大断面図である。 図10の構成のさらに別の変形例の拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態において、気体の通る貫通穴を貫通窓に変更する平板可動子の側面図と平面図である。 図16の構成における拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態において、支持穴が凹凸形状を有する平板可動子の側面図と平面図である。 図18の構成における拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態において、凹凸形状を有する支持軸に対し、支持穴が円形穴である平板可動子の側面図と平面図である。 図20の構成における拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態において、外周部が凹凸形状を有する平板可動子の側面図と正面図である。 図22の構成における拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態において、内周形状が凹凸形状である案内部に対し、円形形状の外周部を有する平板可動子の側面図と正面図である。 図24の構成における拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態の気体圧制御アクチュエータが適用されるXYθ移動機構の平面図である。 本発明に係る実施の形態の気体圧制御アクチュエータが適用される6自由度パラレルリンク機構を示す図である。 図27における気体圧制御アクチュエータ回りの構成を示す図である。 図27の6自由度パラレルリンク機構における他の気体圧制御アクチュエータ回りの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態の気体圧制御アクチュエータが適用される微小変位出力装置を示す図である。 図30の構成における拡大断面図である。 本発明に係る実施の形態の気体圧制御アクチュエータが適用される他の微小変位出力装置を示す図である。 図32において蓋部を示す図である。
符号の説明
6 移動体、8,162,208 ベース、10,11,50,70,170 気体圧制御アクチュエータ、12,13 案内部、14,108,118,128 支持軸、15 変位センサ、16,52,78,202 供給口、18 制御部、20,21,80,82,86,90,94,100,110,120,130,140,220 平板可動子、22,112,122,132 支持穴、24 貫通穴、26 第1くぼみ、28 第2くぼみ、30 細溝、40 絞り部、42 円環板、44 円板、46 ポケット開口、48 多孔質材料、54 圧力室、60 ピストン型可動子、62 気体室、64 軸受用開口、66,204,258 排気口、72,74 案内構成部、76,172,240 出力可動子、79 軸受用気体供給口、81,84,88 傾斜面、83,91,92 段差部、87,95 直線テーパ部、102 貫通窓、104 アーム部、109,126,127,143 凸部、134,142 外周部、150 XYθ移動機構、152 筐体、154 案内穴、156 矩形テーブル、160 6自由度パラレルリンク機構、164 可動ステージ、174,182 ベース側可撓継手、176 可動ステージ側可撓継手、178 気体圧制御部、206 負荷、210,350 微小変位出力装置、212 筐体部、214,314 蓋部、215 リング部、216 薄板、218 伝達部、222 支持軸、250 筒部、252 底部、254 取入口、255 気体流路、256 気体供給口、316 可撓アーム、318,354 空間、352 排気弁。

Claims (9)

  1. 支持軸との間で遊合隙間を有する支持穴を有し、支持軸に支持されて軸方向に沿って複数整列配置される平板可動子と、
    支持軸が底面に取り付けられ、支持軸の先端側の方が開口し、複数の平板可動子を案内する筒状の案内部と、
    案内部の底面に向かい合う平板可動子の一方側平板面と案内部の底面との間の隙間と、隣接する平板可動子の間の隙間と、駆動対象物に向かい合う先端側平板可動子の他方側平板面とこれに向かい合う駆動対象物の気体受面との間の隙間とに、それぞれ気体を供給して流すために、支持軸の軸方向に沿って設けられる気体貫通流路と、
    気体貫通流路に気体を供給する気体供給手段と、
    を有し、先端側平板可動子が気体層を介して駆動対象物に駆動力を及ぼすことを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  2. 案内部に案内されて軸方向に気体圧によって駆動されるピストン型可動子と、
    ピストン型可動子の先端に軸方向に延びて取り付けられる支持軸と、
    支持軸との間で遊合隙間を有する支持穴を有し、支持軸に支持されて軸方向に沿って複数整列配置される平板可動子と、
    案内部の底面に向かい合う平板可動子の一方側平板面と案内部の底面との間の隙間と、隣接する平板可動子の間の隙間と、駆動対象物に向かい合う先端側平板可動子の他方側平板面とこれに向かい合う駆動対象物の気体受面との間の隙間とに、それぞれ気体を供給して流すために、支持軸の軸方向に沿って設けられる気体貫通流路と、
    気体貫通流路に気体を供給する気体供給手段と、
    を有し、先端側平板可動子が気体層を介して駆動対象物に駆動力を及ぼすことを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    各平板可動子について、支持軸の径方向への変位を予め定める変位量に規制する規制手段を有することを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  4. 請求項3に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    支持軸の外形及び支持穴の内径は、周方向に沿って凹凸形状を有し、
    気体貫通流路は、支持軸の外形と支持穴の内径との間の軸方向に沿った隙間であり、
    規制手段は、支持軸の外形と支持穴の内径との間の隙間を予め定める範囲に設定することで、各平板可動子と支持軸との間の径方向への変位を規制することを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  5. 請求項3に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    各平板可動子の外形及び案内部の内径は、周方向に沿って凹凸形状を有し、
    規制手段は、各平板可動子の外径形状と案内部の内径形状との間の隙間を予め定める範囲に設定することで、各平板可動子と支持軸との間の径方向への変位を規制することを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  6. 請求項1または請求項2のいずれか1に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    各平板可動子は、
    気体貫通路を囲む内径側部分に、外径側部分よりも板厚が薄く、隣接する平板可動子の平板面との間で表面絞り隙間を形成する減速用くぼみと、
    減速用くぼみを越えて、いずれか一方の平板面の外周方向に向かって延び終端部を備える気体流路浅溝と、
    を含むことを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  7. 請求項1または請求項2に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    気体供給手段は、
    平板可動子に向かって開口する気体供給口と、
    気体供給口に設けられ、供給気体の流れを整流する気体絞り部と、
    を有することを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    各平板可動子について支持軸周りの回転を防止する回転規制手段を有することを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1に記載の気体圧制御アクチュエータにおいて、
    各平板可動子は、セラミック材料で構成されることを特徴とする気体圧制御アクチュエータ。
JP2007230432A 2007-09-05 2007-09-05 気体圧制御アクチュエータ Pending JP2009063046A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007230432A JP2009063046A (ja) 2007-09-05 2007-09-05 気体圧制御アクチュエータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007230432A JP2009063046A (ja) 2007-09-05 2007-09-05 気体圧制御アクチュエータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009063046A true JP2009063046A (ja) 2009-03-26

Family

ID=40557804

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007230432A Pending JP2009063046A (ja) 2007-09-05 2007-09-05 気体圧制御アクチュエータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009063046A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015506078A (ja) * 2011-12-16 2015-02-26 エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. 液滴発生器ステアリングシステム

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007077878A1 (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Pneumatic Servo Controls Ltd. 気体圧制御アクチュエータ、気体圧制御アクチュエータ用気体軸受機構及び気体圧制御アクチュエータを用いた微小変位出力装置

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007077878A1 (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Pneumatic Servo Controls Ltd. 気体圧制御アクチュエータ、気体圧制御アクチュエータ用気体軸受機構及び気体圧制御アクチュエータを用いた微小変位出力装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015506078A (ja) * 2011-12-16 2015-02-26 エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. 液滴発生器ステアリングシステム
US10426020B2 (en) 2011-12-16 2019-09-24 Asml Netherlands B.V. Droplet generator steering system

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5327801B2 (ja) 静圧軸受
JP2012500368A (ja) 流体のルート設定が改善されたマイクロバルブ・デバイス
JP6811206B2 (ja) 真空チャック及び真空チャック用オートバルブ
JP4106392B2 (ja) 気体圧制御アクチュエータ、気体圧制御アクチュエータ用気体軸受機構及び気体圧制御アクチュエータを用いた微小変位出力装置
US11002313B2 (en) Active aerostatic bearing
JP5546306B2 (ja) 静圧気体軸受
JP2009063046A (ja) 気体圧制御アクチュエータ
US6287004B1 (en) Fluid bearing operable in a vacuum region
JP2005003163A (ja) 精密気体圧制御弁
JP4740605B2 (ja) 気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータ
JP4607658B2 (ja) 気体制御アクチュエータ
JP5476197B2 (ja) 微小変位出力装置
US10794423B2 (en) Aerostatic bearing
JP4636830B2 (ja) ノズルフラッパ弁
JP2005268293A (ja) 微小移動機構
JP2005351312A (ja) 移動機構
JP7158815B2 (ja) 回転テーブル装置
WO2013122250A1 (ja) 減衰力制御弁及びショックアブソーバ
JP2009218389A (ja) 気体圧制御型微小傾斜装置
JP5783867B2 (ja) 流量調整弁
JP5102089B2 (ja) 気体圧制御型微小振動制御装置
JP4875878B2 (ja) スラスト気体軸受機構
CN110998130B (zh) 缓冲器
JP5404296B2 (ja) 気体軸受及び位置決め装置
JP4451757B2 (ja) ピストン駆動機構

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120605

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121009