JP2009061525A - 硬脆材料の研削方法、光ファイバアレイの製造方法、及び硬脆材料の加工装置 - Google Patents

硬脆材料の研削方法、光ファイバアレイの製造方法、及び硬脆材料の加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加工能率を低下させることなく且つ脆性破壊を発生させることなく硬脆材料を自由曲面形状に研削する硬脆材料の研削方法及び加工装置、そして、硬脆材料の研削方法を利用して光ファイバアレイの先端にレンズ部を一体成形する光ファイバアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】対象とする硬脆材料20の研削面に脆性破壊を発生させることなく研削可能な延性モード加工条件を満足するように、硬脆材料20に対して加工工具10を相対的に自由曲面形状に沿って移動させる送り速度(v)を、硬脆材料における加工個所の曲面に応じて連続的に算出し、加工個所の曲面に応じて加工工具を相対的に移動させる送り速度(v)を連続的に変化させながら、脆性破壊を発生させることなく硬脆材料を自由曲面形状に研削する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス等の脆性破壊を起こし易い硬脆材料を自由曲面形状に研削する、硬脆材料の研削方法に関する。
従来より、ガラス等の硬脆材料の加工面に脆性破壊を起こすことなく研削するためには、切り込み量を脆性破壊が発生する臨界量以下に設定して加工する延性モード加工を用いて研削すればよいことが知られている。しかし、加工面が平面等の単純な場合であればよいが、自由曲面形状では、できるだけ大きな切り込み量を維持して延性モード加工にて研削を行うことは非常に困難である。
また、一般的には、延性モード加工を行った後、ラッピングやポリシングといった研磨工程で加工面の表面を仕上げているが、これらの研磨工程は、自由曲面のような複雑な形状には対応できない。
例えば、特許文献1に記載された従来技術では、セラミックス材料表面の研削において、必要な残留応力に対応する最大食い込み深さ(本実施の形態の最大砥粒切り込み深さに相当)で研削加工を行うことで、研削面の残留応力を制御する、セラミックス表面の残留応力制御研削方法が開示されている。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された従来技術には、研磨加工によって光ファイバ(硬脆材料)の端面にレンズ部を一体的に成形する方法が開示されている。
特開平6−170703号公報 特開平8−271763号公報 特開2001−183537号公報
特許文献1に記載された従来技術では、所望する残留応力σとなるように最大食い込み深さtmaxを選定すればよいことが開示されているが、延性モード加工条件を用いて、加工個所の曲面の変化に対応させて回転砥石の送り速度を連続的に変化させて、脆性破壊を発生させることなく、且つより高い加工能率で硬脆材料を自由曲面形状に研削することについて何ら記載されていない。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された従来技術では、研磨加工によって光ファイバ(硬脆材料)の先端にレンズ部を成形しているが、研磨加工は切り込み量が非常に小さいので時間と手間がかかる。また、研磨工程では複雑な形状には対応できない。しかし、短時間に、または複雑な形状に対応するために研削加工で加工した場合は、切り込み量等を制御していない従来の研削方法では、脆性破壊が発生する可能性がある。
非球面などの複雑な自由曲面形状を加工する場合、研削工程のみで仕上げることが望まれているが、従来では、加工面に脆性破壊を発生させることなく研削加工するために、回転砥石の送り速度や切り込み量を小さくする等して研削抵抗を必要以上に小さくしており、加工能率が低下している。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、加工能率を低下させることなく且つ脆性破壊を発生させることなく硬脆材料を自由曲面形状に研削する硬脆材料の研削方法及び加工装置、そして、硬脆材料の研削方法を利用して光ファイバアレイの先端にレンズ部を一体成形する光ファイバアレイの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの硬脆材料の研削方法である。
請求項1に記載の硬脆材料の研削方法は、加工工具を用いて、比較的脆性破壊を起こし易い硬脆材料を自由曲面形状に研削する硬脆材料の研削方法である。
対象とする硬脆材料の研削面に脆性破壊を発生させることなく研削可能な延性モード加工条件を満足するように、前記硬脆材料に対して加工工具を相対的に前記自由曲面形状に沿って移動させる送り速度を、前記硬脆材料における加工個所の曲面に応じて連続的に算出する。
そして、前記加工個所の曲面に応じて加工工具を相対的に移動させる前記送り速度を連続的に変化させながら、脆性破壊を発生させることなく硬脆材料を自由曲面形状に研削する。
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの硬脆材料の研削方法である。
請求項2に記載の硬脆材料の研削方法は、請求項1に記載の硬脆材料の研削方法であって、前記加工工具は円筒面で研削する略円筒形状の回転砥石である。
そして、前記硬脆材料の加工個所における曲面の径と、前記回転砥石の径と、前記回転砥石の円筒面の周速度と、前記延性モード加工条件を満足するように設定した前記加工個所における法線方向の切り込み量と、を含む関係式から求めた前記硬脆材料に対する前記回転砥石の相対的な移動による研削量における最も大きな研削深さとなる最大砥粒切り込み深さが一定となるように、前記回転砥石の送り速度を、前記加工個所の曲面に応じて連続的に算出する。
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの硬脆材料の研削方法である。
請求項3に記載の硬脆材料の研削方法は、請求項2に記載の硬脆材料の研削方法であって、前記硬脆材料の加工個所に微小間隔の複数の加工点を設定し、前記加工個所における曲面の径を、前記回転砥石が接する加工点と、当該加工点の前後の加工点と、による3つの加工点を含む円から算出することで、加工点毎の前記送り速度を算出する。
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの光ファイバアレイの製造方法である。
請求項4に記載の光ファイバアレイの製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の硬脆材料の研削方法を用いて、楕円状に広がりながら進行する光を出射する発光部が前記楕円の短軸方向に複数配列されたアレイ状発光源から出射される各光を入射する複数の光ファイバにて構成された光ファイバアレイの入射面にレンズ部を一体成形する光ファイバアレイの製造方法である。
前記加工工具は円筒面で研削する略円筒形状の回転砥石であり、各光ファイバを、前記発光部の前記短軸方向の間隔に合わせて各光ファイバの各入射面が各発光部に対向するように配置し、各光ファイバの入射面側を固定部材で固定し、当該固定部材と光ファイバの入射面による一体部を形成する。
そして、前記一体部における前記光ファイバの入射面側にて、前記短軸方向に平行な回転軸を有する前記回転砥石を、入射された光が前記長軸方向に屈折するように前記一体部が前記長軸方向に凸状形状となるように、前記回転砥石を前記凸状形状の各加工個所の曲面に応じて前記送り速度を連続的に変化させながら移動させて、入射された光が前記長軸方向に屈折するように前記長軸方向に対して凸状形状のレンズ部を各光ファイバの入射面に一体成形する。
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの硬脆材料の加工装置である。
請求項5に記載の硬脆材料の加工装置は、円筒面で工作物を研削する略円筒形状の回転砥石と、工作物に対して前記回転砥石を相対的に所定方向に移動可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御して工作物である硬脆材料に対する回転砥石の相対的な移動速度と移動方向とを制御可能な制御手段とを備えた硬脆材料の加工装置である。
前記制御手段は、前記工作物の研削面に脆性破壊を発生させることなく研削可能な延性モード加工条件を満足するように設定した前記硬脆材料の加工個所における法線方向の切り込み量と、前記硬脆材料の加工個所における曲面の径と、前記回転砥石の径と、前記回転砥石の円筒面の周速度と、を含む関係式から求めた前記硬脆材料に対する前記回転砥石の相対的な移動による研削量における最も大きな研削深さとなる最大砥粒切り込み深さが一定となるように、前記回転砥石を相対的に移動させる送り速度を、前記加工個所の曲面に応じて連続的に算出する。
そして前記制御手段は、前記駆動手段を制御して、加工個所の曲面に応じて算出した前記送り速度にて、当該加工個所における回転砥石の相対的な送り速度を連続的に変化させる。
請求項1に記載の硬脆材料の研削方法を用いれば、加工個所の曲面に応じて延性モード加工条件を満足するように送り速度を変化させることで、脆性破壊を発生させることなく、且つ加工能率を低下させずに硬脆材料を自由曲面形状に研削することができる。
また、請求項2に記載の硬脆材料の研削方法によれば、加工能率を低下させずに延性モード加工条件を満足する(加工個所の曲面に応じた)送り速度を適切に求めることができる。
また、請求項3に記載の硬脆材料の研削方法によれば、加工能率を低下させずに延性モード加工条件を満足する(加工個所の曲面に応じた)送り速度を、更に適切に求めることができる。
また、請求項4に記載の光ファイバアレイの製造方法によれば、アレイ状発光部の短軸方向の間隔で配置した光ファイバアレイの先端部を固定した一体部に、自由曲面形状の凸状のレンズ部を適切に一体成形することができる。
また、請求項5に記載の硬脆材料の加工装置によれば、硬脆材料を自由曲面形状に加工する硬脆材料の加工装置を容易に実現することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の硬脆材料の研削方法を説明するための模式図を示している。
図1(A)及び(B)は、円筒面で工作物を研削する略円筒形状の回転砥石10を用いて、ガラス等の比較的脆性破壊を発生し易い硬脆材料である工作物20の先端部20Sを、先端に近づくにつれて曲率が徐々に大きくなる凸状形状の自由曲面形状に研削する例を示している。
ここで、例えば、先端に近づくにつれて曲率が大きくなる工作物20の加工個所に対して、回転砥石10の移動速度(回転砥石10の中心O10の移動速度)を一定とした場合、図1(B)に示す3つの位置の各々で加工個所における工作物の曲率が異なる場合、工作物20と回転砥石10とが接する接点(加工個所)における回転砥石10の接点が通過する速度が異なり、切り込み量が異なる。
本実施の形態では、加工個所の曲面形状にかかわらず、この切り込み量である最大砥粒切り込み深さ(「最大砥粒切り込み深さ」については後述する)が一定となるように砥石10の移動速度(送り速度)を適切に変更する。これにより、必要以上に切り込み量を小さくすることなく延性モード加工条件を満足するように硬脆材料の脆性破壊が発生する臨界量以下の適切な切り込み量を維持し、脆性破壊を発生させることなく且つ短時間に研削を行うものである。
例えば、硬脆材料の加工面が平面であれば、脆性破壊が発生する臨界量以下の切り込み量となるように延性モード加工条件を満足するように研削することは比較的容易であり、回転砥石10を加工面に沿って一定の送り速度で移動させるだけでよい。
しかし、加工面が曲面であり、加工個所によって曲率が異なる(加工個所に応じて複数の曲率半径を有する)自由曲面形状である場合、移動方向の変更に加えて送り速度を変更する必要がある。
従来は、加工個所の曲率に応じて回転砥石10の送り速度を変更しておらず、切り込み量が変化しても脆性破壊が発生する臨界量以下となる非常に遅い送り速度で研削していたため、非常に長い加工時間を要している。
●[最大砥粒切込み深さの説明(図2、図3)]
次に、図2及び図3を用いて、最大砥粒切り込み深さgmについて説明する。
図2(A)は工作物20の加工形状に沿って、(当該加工個所では)砥石送り速度vで回転砥石10を移動させている状態を示している。
図2(A)において、砥石送り速度vは回転砥石10の砥石中心O10が工作物20の加工形状に沿うように送られる速度を示しており、周速度Vは回転砥石10の円筒面(研削面)の回転速度を示している(この場合、回転砥石10は右回転)。また、砥石半径Rは回転砥石10の半径を示しており、加工個所の曲率半径rは当該位置における工作物20の加工個所の曲率半径を示している。また、回転砥石10と工作物20との接点(加工点)における回転砥石10の円筒面が通過する速度を加工点速度v´とする(図3(A)参照)。
なお、以下の説明では、周速度Vを一定としており、砥石送り速度vを変化させる。
また、図2(B)は、平面状の工作物20の表面に沿って回転砥石10を砥石送り速度vによって「回転砥石10´」の位置から「回転砥石10」の位置に移動させて、砥石半径切り込み量Δの厚さ分を研削する様子を示している。この場合、ハッチング部が研削される。
また、砥石中心O10´は回転砥石10´の中心を示しており、砥石中心O10は回転砥石10の中心を示している。また点Aは、砥石中心O10´から砥石半径切り込み量Δを研削した後の工作物20の表面に下ろした垂線と工作物20との交点を示しており、点Cは、砥石中心O10から砥石半径切り込み量Δを研削した後の工作物20の表面に下ろした垂線と工作物20との交点を示している。また点Bは、砥石半径切り込み量Δを研削する前の工作物20の表面と回転砥石10´の円筒面との交点を示しており、点Dは、砥石半径切り込み量Δを研削する前の工作物20の表面と回転砥石10の円筒面との交点を示している。また、点Eは、砥石中心O10と点Bとを結ぶ直線と回転砥石10の円筒面との交点を示している。
なお、図2(B)において、連続切れ刃間隔aは回転砥石10に埋め込まれ研削に有効に作用する砥粒(実際に研削を行う高硬度の粒状物質)の間隔の平均を示しており(図2(B)では砥粒(I)と砥粒(II)の間隔を示している)、砥石半径切り込み量Δは工作物20の加工個所における法線方向の切り込み量(研削厚さ)を示しており、最大砥粒切り込み深さgmは回転砥石10の移動による研削量(図2(B)におけるハッチング部)において最も大きな研削深さ(回転砥石10の中心O10を通る方向の深さであり、点Bと点Eとを結ぶ直線の長さ)を示している。
なお、砥石送り速度v、周速度Vは上記に説明した通りであるので説明を省略する。
上記に説明した、砥石送り速度v、周速度V、加工点速度v´、砥石半径切り込み量Δ、連続切れ刃間隔a、砥石半径R、加工個所の曲率半径r、最大砥粒切り込み深さgm、の間には、以下の関係式(式1)が成立する。
gm/a=2*(v´/V)*√[(Δ/2)*((1/R)+(1/r))] (式1)
また、等価砥石直径De=2Rr/(R+r)とすると、上記の(式1)は、以下の(式2)で表すことができる。
gm/a=2*(v´/V)*√(Δ/De) (式2)
本実施の形態にて説明する硬脆材料の研削方法は、どのような曲率半径rの加工個所であっても、この最大砥粒切り込み深さgmが延性モード加工条件を満足する値の中でも、できるだけ大きな値を安定的に維持するように、砥石送り速度vを加工個所の曲面に応じて連続的に変化させながら研削加工するものである。
ここで、基準曲率半径r0において延性モード加工条件を満足して延性加工面が得られる加工点速度(当該加工点速度の中でもより大きな加工点速度)を基準加工点速度v´(r0)とすると、以下の式が得られる。なお、基準曲率半径r0は任意の曲率半径とすることができるが、例えば無限大とした場合は、平面を加工した場合の延性加工面が得られる加工点速度となる。
上記の(式1)を変形すると、任意の曲率半径rの加工点の加工点速度v´(r)は、以下の(式3)で表すことができる。
v´(r)=gm/a*V*√[R/(2Δ(1+R/r))] (式3)
ここで、(式3)において、加工個所の曲率半径rが基準曲率半径r0の場合、以下の関係式(式4)が成立する。
v´(r0)=gm/a*V*√[R/(2Δ(1+R/r0))] (式4)
また、上記の(式3)と(式4)とから、以下の関係式(式5)を得ることができる。
v´(r)=v´(r0)*√[(1+R/r0)/(1+R/r)] (式5)
また、v´(r)=v(r)*r/(R+r)であるので、これと(式5)から、任意の曲率半径rの加工点を研削する場合の砥石送り速度v(r)は、以下の関係式(式6)で得ることができる。
v(r)=v´(r0)*√[(1+R/r0)*(1+R/r)] (式6)
次に、図3(A)及び(B)を用いて、加工点における曲率半径rを求める方法について説明する。図3(A)は、図2(A)における回転砥石10と工作物20が接触している接触個所(P[i])の周囲AAの拡大図を示しており、工作物20の加工個所を微小間隔の複数の加工点で表している。図3(A)では、現在、回転砥石10が接触している加工点を加工点P[i]で示しており、前回接触していた加工点を加工点P[i−1]で示し、次に接触する加工点を加工点P[i+1]で示している。また、図3(B)は、加工点P[i−1]、P[i]、P[i+1]の3点を通る円の半径r(曲率半径r)の求め方の例を示している。
図3(B)に示すように、加工点P[i]と加工点P[i+1]の長さを距離b、加工点P[i]と加工点P[i−1]の長さを距離c、加工点P[i+1]と加工点P[i−1]の長さを距離d、加工点P[i−1]、P[i]、P[i+1]の3点を通る円の中心を中心O20、加工点P[i−1]と加工点P[i]と加工点P[i+1]とがなす角度を角度α、加工点P[i+1]と加工点P[i]と中心O20とがなす角度を角度βとする。中心O20から、加工点P[i−1]、加工点P[i]、加工点P[i+1]ま」でのそれぞれの長さは半径r(曲率半径r)である。
この場合、余弦公式より以下の式が得られる。
2=b2+c2−2bc*cos(α)
α=cos-1[(b2+c2−d2)/(2bc)] (式7)
これより、曲率半径rは、以下の式から得られる。
r=1/2*(d/sin(α)) (式8)
距離d、角度α等は、加工点P[i−1]、加工点P[i]、加工点P[i+1]の3点の座標から求めることができる。
工作物20の自由曲面形状の加工個所に微小間隔の複数の加工点を設定し、上記の(式6)、(式8)を用いることで、各加工点における砥石送り速度v(r)を得ることができる。
●[加工装置を用いた研削方法の例(図4)]
次に図4を用いて、上記に説明した研削方法を用いた加工装置1の例について説明する。なお、加工装置1の外観は図示省略するが、加工装置1は、工作物20を研削可能な回転砥石10と、工作物20に対して回転砥石10を相対的に所定方向に移動させる駆動手段(X軸方向駆動モータ等)と、駆動手段による回転砥石10の移動方向と移動速度とを制御可能な制御手段50とを備えている。
例えば、制御手段50は、NCプログラムP10及び加工装置1に設けられた各種センサ等の検出信号等に基づいて駆動手段を制御するCNC装置(制御手段50に相当)である。
図4(A)は、制御手段50を用いて、NCプログラムP10に従って加工装置1を制御するブロック図を示しており、基準曲率半径r0において延性モード加工条件を満足して延性加工面が得られる基準送り速度v(r0)と、点群データD20(工作物20の加工個所に設定した微小間隔の複数の加工点の座標データ等)をNCプログラムプリプロセッサS10に入力し、NCプログラムプリプロセッサS10から得られるNCプログラムP10に従って、制御手段50から加工装置1を制御する。
ここで、NCプログラムプリプロセッサS10の内部で行う処理について図4(B)を用いて説明する。
図4(B)の図は、S30にて求める最大砥粒切り込み深さgmが(式1)に示したように、砥石半径R(S21)、加工個所の曲率半径r(S22)、加工点速度v´(r)(S23)、回転砥石10の周速度V(S24)、連続切れ刃間隔a(図示省略)、砥石半径切り込み量Δ(図示省略)を含む関係式から求められることを示している。ここで、最大砥粒切り込み深さgmを延性破壊が発生する閾値未満に設定すればよいのであるが、より高い加工能率で短時間に研削加工を行うために、上記の閾値未満であり且つできるだけ大きな値で一定となるように、最大砥粒切り込み深さgmを設定する。
なお、この閾値は、材料(硬脆材料)によって異なるので、予め実験等によって材料毎の閾値を求めて制御手段50等に記憶しておく。また、閾値は、加工を行う毎にオペレータが入力するようにしてもよいし、点群データ20の中に含ませてもよい。
そして、S30にて設定されたgm(一定値)と、予め設定した基準曲率半径r0(例えば、r0=無限大(この場合、平面))(S31)と、予め設定した基準曲率半径r0において延性加工面が得られるように予め設定した基準加工点速度v´(r0)(S32)と、入力された点群データD20の中から加工個所の前後を含む3点(P[i−1]、P[i]、P[i+1])の座標から求めた曲率半径r(S40)から、加工点毎の砥石送り速度v(r)(S50)を求めることを示している。
そして、求めた加工点毎の砥石送り速度v(r)(S50)と、点群データD20とからNCプログラムP10を求める。
例えば、点群データD20には、複数設定した加工点のX座標、Y座標、Z座標が、以下のように順番に設定されている。なお、点群データD20に砥石半径Rや周速度V等の他のデータを含むようにしてもよい。
X:100、Y:200、Z:300
X:100、Y:202、Z:298
X:100、Y:203、Z:296
(以下、省略)
上記に説明したNCプログラムP10の出力は、この点群データの各加工点における砥石送り速度vを求め、求めた砥石送り速度vが以下のように追加される(Fxxが追加された砥石送り速度である)。
X:100、Y:200、Z:300、F80
X:100、Y:202、Z:298、F78
X:100、Y:203、Z:296、F75
(以下、省略)
そして、このNCプログラムP10に従って、制御手段50は、加工点毎の各座標を通過するように回転砥石10を移動させるとともに加工点を通過する際の速度が加工点毎に求めた前記砥石送り速度vとなるように連続的に変化させることで、脆性破壊を発生させることなく、より高い加工能率で(より短時間に)工作物20を自由曲面形状に研削する。
このように、任意の加工点での砥石送り速度vを、上記に説明した方法で算出するNCプログラムプリプロセッサを備え、当該NCプログラムプリプロセッサから得られるNCプログラムに従って回転砥石10の送り速度と移動方向を制御する制御手段50を備えた加工装置1を構成する。なお、NCプログラムプリプロセッサを制御手段50の内部に組み込んでもよい。
●[適用例(図5、図6)]
以上に説明した硬脆材料の研削方法、及び硬脆材料の加工装置を用いて、光ファイバの入射面に自由曲面形状の凸レンズ部を成形(一体成形)する例を説明する。
図5(A)に示すように、楕円状に広がりながら進行する光を出射する発光部が前記楕円の短軸方向に複数配列されたアレイ状発光源(例えば、半導体レーザアレイ)から出射される各光を入射して導光する光ファイバアレイ20(工作物)に適用する。
図5(A)に示すように、入射される楕円状の光の長軸方向(Z軸方向)に直交する面を互いに対向させた2つの固定板21a、21bにて固定部材を構成し、複数の光ファイバ22a〜22eの入射面側の先端部を固定板21a、21bにて挟み込んで固定し、一体部を形成する(図5(B)参照)。なお、図5(A)の例では、1つの固定板21aと1つの固定板21bにて固定部材を構成したが、固定板21aまたは21bを2つ以上の固定板で構成してもよい。
また、図5(A)の例では、光ファイバ22a〜22eをより安定的に位置決めするために、光ファイバ22a〜22eの先端部を挟み込む固定板21bに対して、光ファイバ22a〜22eの先端部よりやや後方を挟み込む固定板27を備えているが、固定板27は省略してもよい。なお、固定板21b、27は、ネジ21nにて固定板21aに固定される。
少なくとも1つの固定板(図5(A)の例では固定板21a)には、溝21m(例えばV溝)が、アレイ状発光源の発光部の短軸方向の間隔で形成されている。光ファイバ22a〜22eは、この溝21mの間隔にて短軸方向に位置決めされ、固定板21aにおける長軸方向に直交する面上に位置決めされる。もちろん、固定板21a、21bの双方に溝21mを設けてもよい。
また、固定板21a、21bの材質には、例えば、比較的熱に強い(融点が光ファイバよりも高い)金属やガラスを用いることができる。これにより、接着剤や樹脂等の比較的熱に弱い材質で固定部材を形成した場合と比べて、光ファイバの入射面にレーザ光を入射した際の漏れレーザ光による発熱及び焼損等を確実に防止することができる。なお、固定板21aと固定板21bを互いに異なる材質で構成してもよい。
そして、図6に示すように、短軸方向(X軸方向)に回転軸を有する略円筒形状の回転砥石10を用いて、回転砥石10を長軸方向に対して凸状形状に形成するレンズ部の形状に沿って移動させることで、入射された光が長軸方向に屈折するように長軸方向に対して凸状形状となるレンズ部を、各光ファイバの入射面に一体形成する。このとき、上記に説明したように加工個所の曲面に応じて回転砥石10の送り速度を連続的に変化させながら制御する。
なお、図5及び図6の例では、固定板21a、21bにて挟み込んで固定して一体部を形成したが、隣り合う光ファイバの入射面の周囲を固形材(例えば、紫外線硬化樹脂や、石英系化合物(ポリシラン、ポリシラザン)もしくはエポキシ系の接着剤であり、これらも固定部材に含む)で固めて一体部を形成するようにしてもよい。
以上に説明したように、光ファイバと固定部材にて一体化した一体部を同時に加工することによって各光ファイバの入射面に、一体的に球面レンズ(もしくは非球面(曲率が非一定の球面)レンズ)、もしくは円筒レンズ(もしくは非円筒(曲率が非一定の円筒)レンズ)を、脆性破壊を発生させることなく、且つより短時間に形成することができる。加工によって任意形状のレンズ部を形成することができるので、損失をより抑制することができる適切な形状、及び適切な位置(各光ファイバで揃った位置)となるように、各光ファイバの入射面にレンズ部を形成することができる。
また、図5に示す光ファイバアレイの構成にて、固定板21a、21bの材質を適切に選定することで、焼損を防止できる光ファイバアレイを構成することができる。
また、光ファイバと同じまたは類似の材質にて固定部材を構成すれば、加工精度をより向上させることができ、回転砥石10の偏摩耗も抑制され、加工後のレンズ部の形状の崩れ等が生じにくくなる。
本発明の硬脆材料の研削方法、硬脆材料の加工装置、及び光ファイバアレイの製造方法は、本実施の形態で説明した方法、構成、処理等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、本実施の形態の説明では、回転砥石10の周速度Vを一定として砥石の送り速度vを可変としたが、周速度Vを可変として砥石送り速度vを一定、あるいは周速度Vと砥石送り速度vの双方を可変としてもよい(ただし、最大砥粒切り込み深さgmは一定)。
また、本実施の形態の説明では、工作物20に対して回転砥石10の移動方向と送り速度を制御する例を説明したが、回転砥石10に対して工作物20の移動方向と送り速度を制御するように構成にすることもできる。従って、回転砥石10は工作物20に対して相対的に移動するものである。
本実施の形態の説明では、光ファイバアレイの製造方法に適用する例を説明したが、本発明の硬脆材料の研削方法は、自由曲面形状の非球面レンズや回折格子等の光学部品の研削加工に適用することができる。
また、本実施の形態の説明では、硬脆材料を対象としたが、鉄などの比較的脆性破壊を発生しにくい一般材料の研削加工に適用すれば、加工能率を低下させることなく一様な面性状の自由曲面を得ることができる。
また、本実施の形態の説明では、加工工具として、略円筒形状の回転砥石を用いた例で説明したが、これに限られるものではなく、研削ベルトを用いたベルト研削等に適用しても良い。
本発明の硬脆材料の研削方法の概要を説明する図である。 最大砥粒切り込み深さgmを説明する図である。 加工点における曲率半径rの求め方を説明する図である。 本発明の硬脆材料の研削方法を加工装置で実施する例を説明する図である。 本発明の硬脆材料の研削方法を光ファイバアレイの製造方法に適用する例を説明する図である。 本発明の硬脆材料の研削方法を光ファイバアレイの製造方法に適用する例を説明する図である。
符号の説明
1 加工装置
10 回転砥石
20 工作物
22a〜22e 光ファイバ
50 制御手段
a 連続切れ刃間隔
V 周速度
v 砥石送り速度
v´ 加工点速度
Δ 砥石半径切り込み量
R 砥石半径
r 加工個所の曲率半径
gm 最大砥粒切り込み深さ

Claims (5)

  1. 加工工具を用いて、比較的脆性破壊を起こし易い硬脆材料を自由曲面形状に研削する硬脆材料の研削方法であって、
    対象とする硬脆材料の研削面に脆性破壊を発生させることなく研削可能な延性モード加工条件を満足するように、前記硬脆材料に対して加工工具を相対的に前記自由曲面形状に沿って移動させる送り速度を、前記硬脆材料における加工個所の曲面に応じて連続的に算出し、
    前記加工個所の曲面に応じて加工工具を相対的に移動させる前記送り速度を連続的に変化させながら、脆性破壊を発生させることなく硬脆材料を自由曲面形状に研削する、
    硬脆材料の研削方法。
  2. 請求項1に記載の硬脆材料の研削方法であって、
    前記加工工具は円筒面で研削する略円筒形状の回転砥石であり、
    前記硬脆材料の加工個所における曲面の径と、前記回転砥石の径と、前記回転砥石の円筒面の周速度と、前記延性モード加工条件を満足するように設定した前記加工個所における法線方向の切り込み量と、を含む関係式から求めた前記硬脆材料に対する前記回転砥石の相対的な移動による研削量における最も大きな研削深さとなる最大砥粒切り込み深さが一定となるように、前記回転砥石の送り速度を、前記加工個所の曲面に応じて連続的に算出する、
    硬脆材料の研削方法。
  3. 請求項2に記載の硬脆材料の研削方法であって、
    前記硬脆材料の加工個所に微小間隔の複数の加工点を設定し、
    前記加工個所における曲面の径を、前記回転砥石が接する加工点と、当該加工点の前後の加工点と、による3つの加工点を含む円から算出することで、加工点毎の前記送り速度を算出する、
    硬脆材料の研削方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬脆材料の研削方法を用いて、楕円状に広がりながら進行する光を出射する発光部が前記楕円の短軸方向に複数配列されたアレイ状発光源から出射される各光を入射する複数の光ファイバにて構成された光ファイバアレイの入射面にレンズ部を一体成形する光ファイバアレイの製造方法であって、
    前記加工工具は円筒面で研削する略円筒形状の回転砥石であり、
    各光ファイバを、前記発光部の前記短軸方向の間隔に合わせて各光ファイバの各入射面が各発光部に対向するように配置し、
    各光ファイバの入射面側を固定部材で固定し、当該固定部材と光ファイバの入射面による一体部を形成し、
    前記一体部における前記光ファイバの入射面側にて、前記短軸方向に平行な回転軸を有する前記回転砥石を、入射された光が前記長軸方向に屈折するように前記一体部が前記長軸方向に凸状形状となるように、前記回転砥石を前記凸状形状の各加工個所の曲面に応じて前記送り速度を連続的に変化させながら移動させて、入射された光が前記長軸方向に屈折するように前記長軸方向に対して凸状形状のレンズ部を各光ファイバの入射面に一体成形する、
    光ファイバアレイの製造方法。
  5. 円筒面で工作物を研削する略円筒形状の回転砥石と、
    工作物に対して前記回転砥石を相対的に所定方向に移動可能な駆動手段と、
    前記駆動手段を制御して工作物である硬脆材料に対する回転砥石の相対的な移動速度と移動方向とを制御可能な制御手段とを備えた硬脆材料の加工装置であって、
    前記制御手段は、
    前記硬脆材料の研削面に脆性破壊を発生させることなく研削可能な延性モード加工条件を満足するように設定した前記硬脆材料の加工個所における法線方向の切り込み量と、前記硬脆材料の加工個所における曲面の径と、前記回転砥石の径と、前記回転砥石の円筒面の周速度と、を含む関係式から求めた前記硬脆材料に対する前記回転砥石の相対的な移動による研削量における最も大きな研削深さとなる最大砥粒切り込み深さが一定となるように、前記回転砥石を相対的に移動させる送り速度を、前記加工個所の曲面に応じて連続的に算出し、
    前記駆動手段を制御して、加工個所の曲面に応じて算出した前記送り速度にて、当該加工個所における回転砥石の相対的な送り速度を連続的に変化させる、
    硬脆材料の加工装置。

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