JP2009058396A - 反応容器プレート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】封止された反応容器5と、反応容器5に接続された反応容器流路13,15,17と、反応容器流路13,15,17及び反応容器5に液体を送液するための送液機構とを備えている。送液機構は、反応容器5の配列領域、ドレイン空間29,31及び容器35,37,39とは異なる位置に設けられたシリンジ51と、シリンジ51と流路52aを介して接続されてシリンジ51の吸引・吐出動作に応じて液体の吸引・吐出を行なう液体貯留部52とで構成されている。液体貯留部52はシリンジ51の吸入動作によって液体をその内部に吸入して貯留し、またシリンジ51の吐出動作によって内部に貯留した液体を吐出する。
【選択図】図1
Description
また、微量の液体を定量的に扱うことができる微量液体秤取構造として、第1流路及び第2流路と、上記第1流路の流路壁に開口する第3流路と、第2流路の流路壁に開口して第3流路の一端と第2流路を連結し第3流路よりも相対的に毛管引力が働きにくい性質の第4流路とを有する構造を備えたものがある(例えば特許文献2,3を参照。)。その微量液体秤取構造によれば、第1流路に導入された液体が第3流路内に引き込まれた後、第1流路に残存する上記液体を取り除き、第3流路の容積に応じた体積の液体を第2流路に秤取することができる。
特許文献2,3に開示された微量液体秤取構造では、第1流路の両端及び第2流路の両端に液体導入用のポートが形成されているが、それらのポートは大気に開放されているため、これらのポートを介して反応生成物が外部の環境を汚染することもありうる。
本発明の反応容器プレートでは、反応容器が外部とは遮断され、反応容器流路を介して反応容器に接続された吐出口側のシリンダ内空間もプランジャにより封止されているので、反応容器プレートの外部から異物が浸入したり、液体が外部へ飛散して環境を汚染したりすることがない。
この構成によれば、送液機構による液体吸入は、プランジャを吸引方向に駆動することによりシリンダ内に液体貯留部内の空気を吸入して液体貯留部内を減圧し、液体貯留部に送液対象の液体を吸入する。送液機構による液体吐出は、プランジャを吐出方向に駆動することによりシリンダ内の空気を液体貯留部側に押し出すことにより、液体貯留部に貯留されている液体を吐出する。すなわちこの構成では、シリンジと液体貯留部との間を移送される移動相は空気である。したがって、送液対象の液体はシリンダ内に直接吸入されることがないため、プランジャとシリンダ内壁との間の隙間に液体が侵入することがなく、それによって生じる汚染等の問題も生じない。
液体貯留部の反応用気流路との接続口が底面に設けられていることにより、送液後に流体が液体貯留部内に残留しにくくなり、コンタミネーションの発生を防止できる。また、シリンジとの接続口は貯留する流体の液面よりも高い位置に設けられているので、貯留する液体がシリンジ側に流れ込むことがなく、シリンジの汚染が防止できる。
その場合、サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって密封されているようにしてもよい。そうすることで、弾性部材を介してサンプル容器内にサンプル液を注入することができ、その後サンプル液がサンプル容器外に漏れるのを防止することができる。
さらに、サンプル容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されていてもよい。そうすれば、サンプル容器にサンプル前処理液又は試薬を分注する必要がなくなる。
その場合にはシリンジの吸引動作で吸引された液体を貯留する空間がロータリー式バルブ上に設けられていることが好ましい。
「シリンジの吸引動作で吸引された液体を貯留する空間」とは、送液機構がシリンジのシリンダ内部に液体を吸引し、その液体をプランジャにより押し出すことで送液を行なうものである場合はシリンダを意味し、送液機構が液体貯留部を備えている場合は液体貯留部を意味する。
上記試薬容器はサンプル液の反応に使用される試薬を予め収容しフィルムで封止されているか、又は開閉可能なキャップを備えて試薬を注入できるようになっている。試薬容器を被って試薬を封止しているフィルムは尖端の鋭利な分注器具で貫通可能なものであるものを例として挙げることができる。
その場合の遺伝子増幅容器は所定の温度サイクルで温度制御するのに適した形状になっていることが好ましい。なお、反応容器を遺伝子増幅部とすることもできる。
ここで、「注入流路は計量流路よりも細く形成されている」とは、注入流路が複数の流路により構成されている場合には、注入流路を構成する複数の流路がそれぞれ計量流路よりも細く形成されていることを意味する。
遺伝子増幅反応にはPCR法やLAMP法などを含む。DNAを増幅するPCR法に着目すれば、前処理なしで血液などのサンプルから直接PCR反応を行なわせる方法も提案されている。そこでは、遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する核酸合成法において、遺伝子を含むサンプル中の遺伝子包含体もしくは遺伝子を含むサンプルそのものを遺伝子増幅反応液に添加して、添加後の該反応液のpHが8.5−9.5(25℃)で遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する(特許文献4参照。)。
上記反応容器は上記反応容器流路に導入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにしてもよい。
さらに、上記プローブは蛍光標識されたものでもよい。
切替えバルブはロータリー式バルブとすることができる。その場合、ロータリー式バルブの回転中心に送液機構につながるポートを配置すれば、流路構成が簡単になる。
さらに、シリンジの吸引動作で吸引された液体を貯留する空間がロータリー式バルブ上に設けられているようにすれば、上記ポートと液体を貯留する空間との間の流路を短くする又は無くすことができ、構造が簡単になる。さらに、切替えバルブ上の領域を有効に利用することができる。
さらに、反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路を備えているので、注入流路を介しての反応容器への液体の注入の際に反応容器と反応容器エアー抜き流路の間で気体を流通させることができる。これにより、反応容器への液体の注入を円滑に行なうことができる。また、反応容器エアー抜き流路は、反応容器への液体の注入の際に、反応容器エアー抜き流路から反応容器内の気体を吸引して反応容器内を減圧させて液体を注入させる注入方法に用いることもできる。
図1から図6を参照して反応容器プレートの一実施例について説明する。
送液機構は、反応容器5の配列領域、ドレイン空間29,31及び容器35,37,39とは異なる位置に設けられたシリンジ51と、シリンジ51と流路52aを介して接続されてシリンジ51の吸引・吐出動作に応じて液体の吸引・吐出を行なう液体貯留部52とで構成されている。
液体貯留部52は、容器ベース3の下面に設けられた凹部56a、容器ボトム55に形成された貫通孔56b及びシール板57の貫通孔57cにより形成されている。液体貯留部52はシリンジ51のシリンダ51b内のプランジャ51b可動領域と同等の容積をもっている。
ロータアッパー59は、シール板57の貫通孔57aと同じ位置に設けられた貫通孔59aと、シール板57の貫通溝57bに対応して表面に設けられた溝59bと、中心に設けられた貫通孔59cを備えている。貫通孔59cは液体貯留部52の底部に位置し、貯留された液体が流れやすいように上面側の口が広く下面側の口が狭くなっている。
ロータベース61はその表面に、ロータアッパー59の周縁部と中心に配置された2つの貫通孔59a,59cを接続するための溝61aを備えている。
図1(A)に示した切替えバルブ63の位置は、シリンジ流路51cは流路13a,35a,37a,39aのいずれにも接続されておらず、エアー抜き流路53bも流路23a,25a,35b,37b,39bのいずれとも接続されていない初期状態の位置を示している。
図7に示すように、図1(A)に示した切替えバルブ63の状態から切替えバルブ63を回転させてサンプル流路35aと液体貯留部52を接続し、サンプル容器エアー抜き流路35bをエアー抜き流路53bに接続する。このとき、エアー抜き流路37b,39bもエアー抜き流路53bに接続される。サンプル容器35には例えば45μLの試薬45が収容されている。
また、希釈混合液を反応容器5内に注入する前に、温調機構67により反応容器5を加熱してワックス9を融解させておき、反応容器5内への希釈混合液の注入時にワックス9が融解しているようにしてもよい。この場合、反応容器5に注入された希釈混合液は直ちにワックス9の下に入り、希釈混合液と試薬7が混ざり反応する。切替えバルブ63の接続状態が図13の状態であっても、ベローズ53により密閉系は確保されている。希釈混合液の注入後に切替えバルブ63を図1の接続状態にすれば、反応容器プレート1内部の容器、流路及びドレイン空間を密閉することができる。ここで切替えバルブ63を図1の接続状態に切り替えるタイミングは、希釈混合液の注入直後から希釈混合液と試薬7の反応終了までのいずれのタイミングであってもよいし、希釈混合液と試薬7の反応終了後であってもよい。
このように、反応容器プレート1によれば、反応処理を密閉系で行なうことができ、反応処理前及び反応処理後も密閉系にすることができる。
さらに、流路スペーサ73は流路ベース11の反応容器エアー抜き流路19と反応容器5を連通させるための貫通孔からなる反応容器エアー抜き流路79も備えている。
この実施例は、図14を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の内部に突起部81をさらに備えている。突起部81の先端は凸部75の先端の下方に配置されている。これにより、凸部75の先端に形成される液滴を反応容器5内に導きやすくなる。特に、突起部81の少なくとも先端の表面に親水性処理を施しておけば、特に有効である。
この実施例は、図15を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の側壁に形成された段差部83と、反応容器5の上面とは間隔をもって段差部83の上面に形成された凸条部85をさらに備えている。段差部83及び凸条部85は上方から見て環状に形成されている。凸条部85の先端は反応容器5の側壁とは間隔をもって配置されている。
凸条部85の先端が反応容器5の上面及び側面とは間隔をもって配置されていることにより、反応容器5の内部に収容された液体が反応容器の側壁を伝って反応容器5の上面に到達するのを防止することができる。この効果は凸条部85の少なくとも先端部分に撥水処理を施しておくと特に有効である。
また、図14、図15又は図16を参照して説明した各実施例では、流路13,15,17,19,21,23を形成するための溝は流路ベース11に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの流路の全部又は一部分を形成するための溝は、流路スペーサ73の流路ベース11側表面、流路スペーサ73の容器ベース11側表面、容器ベース3表面のいずれに形成されていてもよい。
また、ベローズ53等の容量可変部材は必ずしも備えていなくてもよい。
また、容器35,37,39に試薬等の液体を予め収容しないのであれば、エアー抜き流路の一部分に細孔からなる流路35e,37e,39eを必ずしも備えている必要はない。
また、容器35,37,39の封止方法として開閉可能なキャップを用いてもよい。
また、反応容器5内の試薬は乾燥試薬でもよい。
また、サンプル容器35内や反応容器5内に予め試薬は収容されていなくてもよい。
また、上記実施例では試薬容器37に希釈水49が収容されているが、希釈水49に変えて試薬を収容するようにしてもよい。
また、主流路13に導入される液体に遺伝子が含まれている場合、反応容器5内にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにしてもよい。
また、上記実施例では切替えバルブとしてロータリー式の切替えバルブ63を用いているが、切替えバルブはこれに限定されるものではなく、種々の流路切替えバルブを用いることができる。また、切替えバルブを複数備えていてもよい。
また、本発明の反応容器プレートにおいて、反応容器エアー抜き流路は密閉可能なものであるが、反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が開閉可能になっていることにより反応容器エアー抜き流路が密閉可能になっている例を挙げることができる。ここで、「反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が開閉可能になっている」とは、反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部に他の空間が接続され、この他の空間の、反応容器エアー抜き流路とは反対側の端部が開閉可能になっている場合も含む。例えば、上記実施例では、エアードレイン空間31、ドレイン空間エアー抜き流路25及び流路25aが上記他の空間に相当する。
このような態様では、主流路及び計量流路に液体が導入され、次に主流路内の上記液体がパージされ、さらに計量流路内に残存する上記液体が反応容器内に注入された後、主流路の両端、及び反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が閉じられて主流路及び反応容器エアー抜き流路が密閉される。
3 容器ベース
5 反応容器
11 流路ベース
13 主流路
15 計量流路
17 注入流路
19,21 反応容器エアー抜き流路
35 サンプル容器
35b,35d,35e サンプル容器エアー抜き流路
37 試薬容器
37b,37d,37e 試薬容器エアー抜き流路
39 エアー吸引用容器
39b,39d,39e エアー吸引用容器エアー抜き流路
51 シリンジ
51a シリンダ
51b プランジャ
53 ベローズ(容量可変部)
63,95 切替えバルブ
73 流路スペーサ
75 凸部
77 注入流路
79 反応容器エアー抜き流路
Claims (18)
- 外部とは遮断された反応容器と、
前記反応容器に接続された反応容器流路と、
前記反応容器流路に接続され、シリンダ及び前記シリンダ内を該反応容器プレートの主平面内で摺動するプランジャからなるシリンジを備えて液体を送液する送液機構と、
を備えている反応容器プレート。 - 前記送液機構は、前記シリンジの吸引動作によってその内部に液体を吸引して貯留し、前記シリンジの吐出動作によってその内部に貯留した液体を吐出する液体貯留部を備え、前記液体貯留部は底面に前記反応容器流路との接続口をもち、貯留する流体の液面よりも高い位置に前記シリンジとの接続口をもっている請求項1に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器とは別途設けられた封止容器と、前記封止容器に接続された封止容器流路と、前記送液機構を前記反応容器流路又は前記封止容器流路に接続するための切替えバルブをさらに備えている請求項1又は2に記載の反応容器プレート。
- 前記切替えバルブはその回転中心に前記送液機構につながるポートを備えたロータリー式バルブであり、前記シリンジの吸引動作で吸引された液体を貯留する空間が前記ロータリー式バルブ上に設けられている請求項3に記載の反応容器プレート。
- 前記封止容器はサンプル液を収容するためのサンプル容器である請求項3又は4に記載の反応容器プレート。
- 前記サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に前記分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって封止されている請求項5に記載の反応容器プレート。
- 前記サンプル容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されている請求項6に記載の反応容器プレート。
- 前記サンプル容器とは別に、前記封止容器からなる試薬容器を1つ又は複数備え、前記試薬容器はサンプル液の反応に使用される試薬を予め収容しフィルムで封止されているか、又は開閉可能なキャップを備えて試薬を注入できるようになっている請求項3から7のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記封止容器からなり遺伝子増幅反応を行なうための遺伝子増幅容器も備えている請求項3から8のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路をさらに備え、
前記反応容器流路は、貼り合わされた2枚の部材の接合面に形成された溝、又は前記溝及び前記基板に形成された貫通孔からなり、かつ、前記送液機構に接続される主流路と、前記主流路から分岐した所定容量の計量流路と、一端が前記計量流路に接続され他端が前記反応容器に接続された注入流路と、を備え、
前記主流路及び前記反応容器エアー抜き流路は密閉可能になっており、
前記注入流路は前記計量流路よりも細く形成されて前記主流路及び前記計量流路に液体が導入されるときの液体導入圧力状態並びに前記主流路内の前記液体がパージされるときのパージ圧力状態では前記液体を通さず、それらよりも加圧状態で前記液体を通すものである請求項1から9のいずれか一項に記載の反応容器プレート。 - 前記注入流路の水滴に対する接触角は90度以上であり、前記注入流路と前記計量流路の境界の面積は1〜10000000μm2である請求項10に記載の反応容器プレート。
- 複数の前記反応容器を備え、それらの反応容器ごとに前記計量流路及び前記注入流路を備え、前記主流路に複数の前記計量流路が接続されている請求項10又は11に記載の反応容器プレート。
- 前記注入流路の前記他端は前記反応容器の内側上面に突出して形成された凸部の先端に配置されており、前記凸部は先端部が基端部に比べて細くなっている請求項10から12のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器は少なくとも呈色反応、酵素反応、蛍光や化学発光又は生物発光を生じる反応のいずれかの反応を行なうためのものである請求項1から13のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 遺伝子を含んだサンプルを測定するための反応容器プレートであり、前記反応容器で遺伝子増幅反応を行なうことができるようになっている請求項1から14のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器はその底部又は上方から光学的に測定が可能なように光透過性の材質にて構成されている請求項1から15のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器は、前記反応容器に注入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えている請求項1から16のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 請求項10から13のいずれか一項に記載の前記反応容器プレートを用いた反応処理方法であって、
前記導入圧力で前記主流路及び前記計量流路に液体を充填し、
前記主流路に気体を流して前記計量流路内に前記液体を残存させつつ前記主流路内の前記液体を排出し、
前記主流路内を前記導入圧力よりも大きく陽圧に若しくは前記反応容器内を陰圧に又は前記陽圧及び前記陰圧の両方にすることより前記注入流路を介して前記計量流路内の前記液体を前記反応容器に注入することを特徴とする反応処理方法。
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