JP2009058261A - 車輪速度検出装置及び車輪用転がり軸受装置 - Google Patents

車輪速度検出装置及び車輪用転がり軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車輪用転がり軸受装置に設けられる車輪速度検出装置にあって小型化の可能な形状を有する検出装置本体のより信頼性の高い固定を図りつつ、検出装置本体に接続されているセンサコードの捩れについてもその発生を的確に防止する。
【解決手段】車輪(ハブ軸8)と一体に回転するパルサーリング31と共に車輪速度検出装置を構成する検出装置本体32を外輪部材2に嵌合固定された保護キャップ20の挿通孔20cに対して螺合により装着固定する。検出装置本体32は、センサ部35及びコード保持部36とその外殻として保護キャップ20への螺合によって装着固定される外殻部37との相対回動可能な構造を有し、これらセンサ部35及びコード保持部36と外殻部37とのセンサコード34を中心とした相対回動可能な構造を通じて外殻部37の螺合に起因するセンサコード34の捩れを防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車輪速度検出装置、及び該車輪速度検出装置を備える車輪用転がり軸受装置に関する。
近年、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するための車輪用転がり軸受装置には、例えば特許文献1に見られるように、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御すべく車輪の回転速度を検出するための車輪速度検出装置が組み込まれることが多い。
ちなみに、車輪用転がり軸受装置とは周知のように、車体側に支持されて車輪の懸架装置に固定される外輪部材と、この外輪部材の径方向内方に転動体を介して配置されて車輪に連結される内輪部材とを基本的に備えて車輪の転がり軸受を構成する装置である。そして、こうした車輪用転がり軸受装置に車輪速度検出装置を組み込む際には通常、上記内輪部材に対して同内輪部材と一体に回転する着磁リングからなるパルサーリングを設けるとともに、このパルサーリングに検出部が対向するように、磁気センサからなる検出装置本体を上記外輪部材のカバーに挿通してこれを同カバーに固定することとなる。ただし、この外輪部材のカバーに対する上記検出装置本体の固定に際してはそれまで、検出装置本体に設けられているフランジをボルト及びナットによって締結する方法が採用されていることに鑑み、特許文献1に記載の装置では、樹脂からなるカバーにそれらボルトあるいはナットをインサート成形することによって該固定時の便宜を図るようにしている。すなわち、こうして外輪部材のカバーにボルトあるいはナットを一体にインサート成形しておくことで、同カバーに対する検出装置本体の組み付けにかかる工数の削減が図られるようになり、ひいては製造コストの削減が図られるようになる。
このように、特許文献1に記載の装置の構造は、上記検出装置本体をボルト及びナットによって外輪部材のカバーに締結する方法を採用する上では確かに有効な構造ではある。ただし、このような構造であれ、検出装置本体の固定に際し、当該検出装置本体に締結のためのフランジが必要とされること、そして該フランジを上記カバーに固定するためのボルトあるいはナットが必要とされることに変わりはなく、検出装置本体の大型化はもとより、カバー側においてもその構造の複雑化が避けられないものとなっている。
そこで従来は、例えば特許文献2に記載の装置のように、検出装置本体のセンサコードが引き出される基端部分に円柱状の嵌合部を形成するとともに、外輪部材のカバーにはこの嵌合部が嵌合される形状にて挿通孔を形成し、該挿通孔に対する嵌合部の圧入、嵌合に基づき検出装置本体を上記カバーに固定するようにしたものなども提案されている。こうした固定方法を採用することにより、検出装置本体の小型化をはじめ、車輪速度検出装置自体の保護キャップとなる上記外輪部材のカバーについてもその簡素化が促進されるようになる。なお、同特許文献2に記載の装置ではさらに、上記挿通孔と上記嵌合部との間をシールするシールリングが嵌合部を挿通孔に圧入する際に部分的に捩れてシール不良等を引き起こす懸念があることに鑑み、挿通孔の内周面とシールリングの表面とにそれぞれ潤滑剤を塗布することによってこうしたシールリングの捩れ等を解消するようにしている。
特開2005−233389号公報 特開2004−52833号公報
このように、車輪速度検出装置を構成する検出装置本体の上記外輪部材のカバーに対する固定方法として、上記特許文献2に記載の方法を採用することで、同検出装置本体の小型化をはじめ、車輪速度検出装置の保護キャップとなる外輪部材のカバーについてもその簡素化は確かに促進される。ただし、上記車輪用転がり軸受装置自体、車体の中でも特に振動の激しい箇所に設けられるものであることから、検出装置本体の上記嵌合による固定のみでは、同車輪速度検出装置としての信頼性の面でいまだ課題を残すこととなっている。そこで、例えば検出装置本体の上記嵌合部及び上記カバーの挿通孔にそれぞれ雄ねじ及び雌ねじを螺刻し、それら嵌合部及び挿通孔の螺合によって検出装置本体を上記カバーに固定する方法等も考えられるが、この場合には新たに、検出装置本体に接続されているセンサコードの捩れが無視できない問題となる。すなわち、こうしたセンサコードの捩れは、既に同センサコードを通じて車体に設けられる制御装置との電気的な接続がなされている場合には、これを中継するコネクタ等も含めて、それら接続部にストレスを与えることとなり、こうしたストレスを緩和しようとすれば、同センサコードとしてのコード長も自ずと長く確保する必要がある。また、コード長を変更することなく、上記接続部でのストレスを解消しようとすれば、同検出装置本体の組み込み等にかかる手順も自ずと規定されることになり、製造上の自由度の低下を招きかねない。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化の可能な形状を有する検出装置本体のより信頼性の高い固定を図りつつ、検出装置本体に接続されているセンサコードの捩れについてもその発生を的確に防止することのできる車輪速度検出装置、及び車輪用転がり軸受装置を提供することにある。
こうした課題を解決すべく、本発明にかかる車輪速度検出装置は、車輪と一体に回転する着磁ロータと、該着磁ロータの自由回転が維持される態様にてこれを外部から保護する保護キャップと、前記着磁ロータに対向して配設されることによりその磁界の変化から前記車輪の回転速度に対応した周期信号を出力する磁気センサを有して前記保護キャップに設けられた挿通孔に外部から装着固定される検出装置本体とを備えるとともに、この検出装置本体からは前記磁気センサから出力される周期信号を外部に伝送するためのセンサコードが一体に導出されてなる車輪速度検出装置において、前記検出装置本体は、前記センサコードの前記磁気センサ近傍にて同センサコードに固定される円筒体からなってその磁気センサ側の端部にフランジ部が形成されてなるコード保持部と、このコード保持部及び前記磁気センサを前記センサコードを中心に回動可能に囲繞するとともに前記コード保持部のフランジ部との係合を通じて前記磁気センサ及びコード保持部のセンサコード延伸方向への移動を規制する外殻部とを備え、前記保護キャップの挿通孔及び前記外殻部との間に螺刻されたねじによる螺合によって検出装置本体が前記保護キャップに装着固定されることを要旨とする。
車輪速度検出装置としてのこのような構成によれば、保護キャップに対し、検出装置本体が螺合によって装着固定されることで、これら検出装置本体の小型化や保護キャップの簡素化が促進可能な構造でありながら、検出装置本体の上記保護キャップに対する信頼性の高い安定した固定が可能となる。そして、こうした螺合による装着に際して問題となる前述したセンサコードの捩れについても、上記磁気センサやコード保持部と上記外殻部との相対回動可能な構造を通じていわばセンサコードの捩れ防止機構が形成されることとなり、検出装置本体の上記保護キャップに対する螺合に際してセンサコードに捩れが発生する等の不都合も的確に防止されるようになる。
また本発明は、上記車輪速度検出装置において、前記検出装置本体は、前記磁気センサと前記センサコードとが一体に樹脂モールドされて円柱状に形成されたセンサ部を備え、前記外殻部は、該センサ部の先端面との当接及び前記コード保持部の円筒体のフランジ部との係合を通じて、これらセンサ部及びコード保持部のセンサコード延伸方向への移動を規制することを要旨とする。
こうした構成によれば、上記円柱状に形成されたセンサ部を通じて、検出装置本体を構成する磁気センサを外殻部の内部でより安定に保持することができるとともに、同磁気センサ及びセンサコード(コード保持部)の上記外殻部との相対回動もより円滑に実現されるようになる。
また本発明は、上記車輪速度検出装置において、前記外殻部は、前記センサ部に対応して当該部分をセンサコードを中心に相対回動可能に囲繞するとともにその底部が同センサ部の先端面と当接される第1の有底円筒部と、該有底円筒部の開口端側から段差を有して縮径されてその段差部に前記センサ部のセンサコードが導出される面の一部が当接される頸部と、この頸部から前記第1の有底円筒部よりも大きく拡径されてその終端部に前記コード保持部の円筒体部分が挿通されるとともに同コード保持部のフランジ部が係合される挿通孔を有する底部が形成された第2の有底円筒部とを備え、該第2の有底円筒部の外周面に前記保護キャップの挿通孔と螺合されるねじが螺刻されてなるとともに、前記保護キャップの挿通孔には同第2の有底円筒部の先端面が当接される係止面が設けられてなることを要旨とする。
同構成によれば、外殻部に設けられた頸部を通じて上記円柱状に形成されたセンサ部自体の同外殻部内部でのより安定した保持が可能になるとともに、第2の有底円筒部の外周面に螺刻されたねじ(雄ねじ)を通じた検出装置本体の上記保護キャップへの螺合、並びに上記係止面の存在に基づき上記センサ部に対応する第1の有底円筒部が同保護キャップの内部に所定の突出長をもって突出されるようになり、いわば自己整合的に上記着磁ロータに対する上記センサ部の位置決めがなされるようになる。
一方、本発明にかかる車輪用転がり軸受装置は、車体側に支持されて車輪の懸架装置に固定される外輪部材と、この外輪部材の径方向内方に転動体を介して配置されて車輪に連結される内輪部材とを基本的に備えて車輪の転がり軸受を構成する車輪用転がり軸受装置において、前記内輪部材に前記着磁ロータが一体に設けられ、前記外輪部材にそのカバーとして前記保護キャップが嵌合される態様にて、上記いずれかの車輪速度検出装置が設けられてなることを要旨とする。
車輪用転がり軸受装置としてのこのような構成によれば、外輪部材にそのカバーとして嵌合される保護キャップに対し、検出装置本体が螺合によって装着固定されることで、これら検出装置本体の小型化や保護キャップの簡素化が促進可能な構造でありながら、検出装置本体の上記保護キャップに対する信頼性の高い安定した固定が可能となる車輪速度検出装置を備える車輪用転がり軸受装置が実現されるようになる。しかも、当該車輪用転がり軸受装置では、検出装置本体のこうした螺合による装着に際して問題となる前述したセンサコードの捩れについても、上記磁気センサやコード保持部と上記外殻部との相対回動可能な構造を通じていわばセンサコードの捩れ防止機構が形成されることとなり、検出装置本体の上記保護キャップに対する螺合に際してセンサコードに捩れが発生する等の不都合も的確に防止されるようになる。
本発明によれば、保護キャップに対し、検出装置本体が螺合によって装着固定されることで、これら検出装置本体の小型化や保護キャップの簡素化が促進可能な構造でありながら、検出装置本体の上記保護キャップに対する信頼性の高い安定した固定が可能となる。そして、こうした螺合による装着に際して問題となる前述したセンサコードの捩れについても、上記磁気センサやコード保持部と上記外殻部との相対回動可能な構造を通じていわばセンサコードの捩れ防止機構が形成されることとなり、検出装置本体の上記保護キャップに対する螺合に際してセンサコードに捩れが発生する等の不都合も的確に防止されるようになる。
図1に、本発明にかかる車輪速度検出装置、及び車輪速度検出装置を備える車輪用転がり軸受装置について、その一実施の形態を示す。ここで、図1は、本実施の形態の車輪速度検出装置、及びに車輪速度検出装置を備える車輪用転がり軸受装置の全体構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態においては、図1において図中右側を車両インナ側、また図中左側を車両アウタ側として説明する。
まずは図1に示されるように、本実施の形態の車輪用転がり軸受装置1には、車体側に支持されて車輪の懸架装置に固定される外輪部材2が設けられるとともに、この外輪部材2の径方向内方に、転動体4,5を介して配置されて車輪に連結される内輪部材3が設けられている。
このうち、上記外輪部材2は、円筒状に形成され、その外周面途中には、径方向外方に突出するフランジ6が形成されている。そして、このフランジ6を介して同外輪部材2が車体側の懸架装置(ナックル)にボルト等により固定支持される。なお、この外輪部材2において、その内周面には転動体4,5の外輪軌道面7が形成されている。
また、上記内輪部材3は、車輪に連結されるハブ軸8、及び該ハブ軸8の車両インナ側に形成されている小径部13に嵌合された内輪9を有して構成されている。すなわちこの内輪部材3では、ハブ軸8の車両アウタ側に、径方向外方に突出するハブフランジ10が設けられており、このハブフランジ10に対してブレーキディスク11及びタイヤホイール12が重ねて取付けられている。なお、この内輪部材3において、上記ハブ軸8の外周面の途中、及び上記内輪9の外周面には、上記転動体4,5の内輪軌道面14が形成されている。
一方、内輪部材3を構成する上記ハブ軸8の車両インナ側端部には、上記内輪9からハブ軸8の軸方向に突出する円筒状の突出部15(一点鎖線で表示)が設けられるとともに、この突出部15を径方向外方へ屈曲変形させ、内輪9の端面に押し付けてかしめ部21を形成し、このかしめ部21によって、内輪9をハブ軸8に固定する。これにより、転動体4,5に対して所定の予圧が付与されるとともに、ハブ軸8と内輪9とが車軸の軸心回りに一体に回転可能となっている。なお、外輪部材2の車両アウタ側端部とハブフランジ10との間には環状空間17が設けられており、該環状空間17に、外輪部材2と内輪部材3(ハブ軸8)とを車両アウタ側で密封するシール部材18が設けられている。
また一方、上記内輪部材3の内輪9の車両インナ側端部には、車輪すなわち内輪部材3(ハブ軸8)と一体に回転する着磁ロータとしてのパルサーリング31が設けられるとともに、上記外輪部材2の車両インナ側端部には、このパルサーリング31の自由回転が維持される態様にてこれを外部から保護する保護キャップ20が設けられている。パルサーリング31は内輪9の肩部の外周面に嵌合固定された円環状の芯金31aと、芯金31aの車両インナー側端部に取り付けられたリング状の着磁部31bとを有する。着磁部31bは、磁性粉が混入されたゴムをリング状に形成した後、周方向に沿ってS極とN極とが交互に着磁され、芯金31aに加硫接着されている。
この保護キャップ20は、外輪部材2と内輪部材3との間の空間を車両インナ側から覆うことで車輪用転がり軸受装置1の内部に泥水等が浸入することを防止する部分である。なお本実施の形態において、保護キャップ20の端部20aは、上記外輪部材2の車両インナ側端部に外嵌されるとともに、同端部20aにはフランジ状に突出するリブ20bが設けられている。保護キャップ20の端部20aにこうしてリブ20bが設けられることで、同保護キャップ20自身の剛性が高められ、ひいてはその嵌合にかかる嵌合力も高められるようになる。また、保護キャップ20には、上記パルサーリング31と共に本実施の形態にかかる車輪速度検出装置30を構成する検出装置本体32が装着される挿通孔20cが設けられている。そして、この挿通孔20cの内周面にはねじ(雌ねじ)20dが螺刻形成されているとともに、同挿通孔20cから内方に突出された縮径部には上記検出装置本体32に対する係止面20eが設けられている。すなわち本実施の形態において、車輪速度検出装置30を構成する検出装置本体32は、この保護キャップ20の挿通孔20cに対し、螺合によって装着されるとともに、同挿通孔20cの係止面20eを通じて係止固定される構造となっている。
図2(a)及び(b)は、こうした検出装置本体32の分解組立図及び組立後の側面構造をそれぞれ示したものであり、次に、これら図2(a)及び(b)を参照して、同検出装置本体32の具体構造とともに、その組立手順について詳述する。
まず、図2(a)に示されるように、この検出装置本体32は、その内部構造体として、磁気センサからなるセンサチップ33とこのセンサチップ33から導出されるセンサコード34とが一体に樹脂モールドされて円柱状に形成されたセンサ部35、及び該センサ部35の近傍にてセンサコード34に固定された円筒体からなるコード保持部36を有している。なお、このコード保持部36には、その本体部としてセンサコード34を包むようにこれに固定された円筒部36aと、該円筒部36aの上記センサ部35側端部から同センサコード34に直交する方向に突出されたフランジ部36bとが設けられている。
一方、同じく図2(a)に示されるように、この検出装置本体32は、その外部構造体として、センサコード34と共々、上記センサ部35及びコード保持部36を同センサコード34を中心に回動可能に囲繞する外殻部37を備えている。この外殻部37には、上記センサ部35に対応して当該部分をセンサコード24を中心に相対回動可能に囲繞する部分である円筒部37aが設けられており、この円筒部37a側から上記センサコード34と共々、上記コード保持部36及び上記センサ部35が同外殻部37に対して順に挿入されることとなる。そして、これらコード保持部36及びセンサ部35が外殻部37に挿入された後、該円筒部37aの先端部がキャップ部37bによって塞がれる。これにより図2(b)に示されるように、コード保持部36のフランジ部36bが外殻部37に係合されるとともに、センサ部35の先端面35aがキャップ部37bの内底面に当接される態様にて、上記内部構造体となるセンサ部35及びコード保持部36が外殻部37に収納される。なお、キャップ部37bは、上記円筒部37aの先端部に対し接着等により固定されるものであり、円筒部37a及びその先端部に固定されたキャップ部37bによって、当該外殻部37の、上記センサ部35に対応してこれを回動可能に囲繞する第1の有底円筒部が形成されている。
また、この外殻部37において、こうして形成される第1の有底円筒部の開口端側には、該開口端側から段差を有して縮径されてその段差部にセンサ部35の上記センサコード34が導出される面の一部が当接される頸部37cが設けられている。このような頸部37cが設けられることによって上記センサ部35のセンサコード34延伸方向への移動は規制され、その外殻部37、正確には上記第1の有底円筒部との間の相対回動のみが許容されるようになる。なおこの検出装置本体32では、こうした頸部37cの外周に形成される凹状の溝を利用して、この溝部分にシールリングであるOリング38を装着するようにしている。
そして、同外殻部37において、上記頸部37cの後方には、該頸部37cから上記第1の有底円筒部(円筒部37a)よりも大きく拡径されてその終端部に上記コード保持部36の円筒部36aが挿通されるとともにフランジ部36bが係合される挿通孔37eを有する底部が形成された第2の有底円筒部37dが設けられている。すなわち、この検出装置本体32にあっては、外殻部37を構成する上記第1の有底円筒部、頸部37c、及びこの第2の有底円筒部37dを通じて、上記センサ部35はもとより、上記コード保持部36についても、センサコード34の延伸方向への移動は規制され、外殻部37との間の相対回動のみが許容される構造となっている。なお、同外殻部37の上記第2の有底円筒部37dの外周面の一部には、上述した保護キャップ20(図1)の挿通孔20cに螺刻されている雌ねじ20dに対応してこれに螺合されるねじ(雄ねじ)37fが螺刻されている。
外殻部37に対し、こうしてその内部構造体であるセンサ部35及びコード保持部36がセンサコード34と共に組み付けられた検出装置本体32はその後、同センサコード34の先端部、すなわちセンサコード34を構成する各信号線がハーネス(コネクタ)39に電気的かつ物理的に接続されて、図2(b)に示されるような構造体となる。
図3は、こうして組み立てられた検出装置本体32を先の車輪用転がり軸受装置1に装着する際の装着態様についてその概要を部分的に拡大して示したものであり、以下、上記検出装置本体32としての構造的な作用も含めて、その装着手順を説明する。
車輪用転がり軸受装置1に対する検出装置本体32の装着に際してはまず、同図3に示されるように、上記保護キャップ20に設けられている挿通孔20cに検出装置本体32の上記センサ部35を対向させ、同センサ部35をこの挿通孔20cに挿通させた後、上記ねじ37f及び20dの螺合を通じて検出装置本体32の上記外殻部37を螺入する。このとき、同検出装置本体32にあっては上述のように、この外殻部37と上記内部構造体を構成するセンサ部35及びコード保持部36とは、センサコード34と共々、該センサコード34を中心とした相対回動が可能な構造となっている。このため、上記外殻部37を螺入する際には、その後方からセンサコード34を摘むなどしてその状態を維持しておくことで、この螺入に伴いセンサコード34に捩れが生じる等の懸念は自ずと解消されるようになる。すなわち先の図1に示されるように、外殻部37を構成する第2の有底円筒部の先端面が上記挿通孔20cの係止面20eに当接し、車輪用転がり軸受装置1に対する同検出装置本体32の装着固定が完了するまで、センサコード34はもとより、上記ハーネス(コネクタ)39等にも、捩れに起因する不要な応力が作用することはなくなる。なおこのとき、上記挿通孔20cの係止面20eと共に一体形成されている縮径部20fに対する上記Oリング38の嵌入を通じて、保護キャップ20の内部に対する泥水の侵入等もガードされている。
こうして車輪用転がり軸受装置1に検出装置本体32が装着固定された後は、車輪(ハブ軸8)と一体に回転する上記パルサーリング31の回転に伴う磁界の変化が上記磁気センサからなるセンサチップ33(図2(a))により検知され、このセンサチップ33を介して車輪の回転速度に対応した周期信号が得られるようになる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車輪速度検出装置及び車輪用転がり軸受装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)保護キャップ20に対し、検出装置本体32が螺合によって装着固定される構造としたことで、これら検出装置本体32の小型化や保護キャップ20の簡素化が促進可能な構造でありながら、検出装置本体32の上記保護キャップ20に対する信頼性の高い安定した固定が可能となる。そして、こうした螺合による装着に際して問題となるセンサコード34の捩れについても、センサ部35やコード保持部36と外殻部37との相対回動可能な構造を通じていわばセンサコードの捩れ防止機構が形成されることとなり、検出装置本体32の上記保護キャップ20に対する螺合に際してセンサコード34に捩れが発生する等の不都合も的確に防止されるようになる。
(2)上記センサ部35を、磁気センサからなるセンサチップ33とこれから導出されるセンサコード34とを一体に樹脂モールドして円柱状に形成することとした。これにより、磁気センサからなるセンサチップ33を外殻部37の内部でより安定に保持することができるとともに、同センサチップ(磁気センサ)33やセンサコード34の上記外殻部37との相対回動もより円滑に実現されるようになる。
(3)上記外殻部37を、センサ部35が収容される第1の有底円筒部(37a,37b)をはじめ、頸部37cや第2の有底円筒部37dをそれぞれ備える形状とした。これにより、上記センサ部35及びコード保持部36の同外殻部37内部でのより安定した保持が可能になる。また、第2の有底円筒部37の外周面に螺刻されたねじ37fを通じての検出装置本体32の上記保護キャップ20への螺合による装着固定に際しても、第2の有底円筒部37dの先端面と同保護キャップ20の挿通孔20cに設けられた係止面20eとの当接を通じて上記センサ部35(第1の有底円筒部)の保護キャップ20内部での位置決めがなされる。すなわち、同センサ部35に対応する第1の有底円筒部が保護キャップ20の内部に所定の突出長をもって突出されるようになり、いわば自己整合的に、上記パルサーリング31に対するセンサ部35の位置決めがなされるようになる。
(4)外殻部37の上記頸部37cの外周に形成される凹状の溝を利用して、この溝部分にシールリングであるOリング38を装着するとともに、このOリング38が保護キャップ20の挿通孔20cに上記係止面20eと共に一体形成されている縮径部20fに対して内嵌されるようにした。これにより、保護キャップ20の内部に対する泥水の侵入等も的確に回避されるようになる。
(5)同じく外殻部37を構成する上記第1の有底円筒部の底部は、コード保持部36及びセンサ部35が同外殻部37に挿入装着された状態でセンサ部35の先端面を覆うキャップ部37bとして形成するようにした。これにより、センサコード34をはじめ、該センサコード34に固定されたコード保持部36、並びに同センサコード34が導出されたセンサ部35の上記外殻部37への挿入装着、換言すれば、外殻部によるこれら各部の支持構造を容易に実現することができるようになる。
(6)保護キャップ20の端部20aは、上記外輪部材2の車両インナ側端部に外嵌されるとともに、同端部20aにはフランジ状に突出するリブ20bを設けることとした。これにより、同保護キャップ20自身の剛性が高められ、ひいてはその嵌合にかかる嵌合力も高められるようになる。
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することできる。
・上記実施の形態においては、外輪部材2の車両インナ側端部に外嵌される保護キャップ20の端部20aにフランジ状に突出するリブ20bを設けることとしたが、保護キャップ20自身の剛性が十分に高く維持されており、その嵌合にかかる嵌合力も十分に高められている場合には、このリブ20bの形成を割愛する構造とすることもできる。
・上記実施の形態においては、外殻部37に円筒部37a側からセンサコード34と共にコード保持部36及びセンサ部35を挿入装着した後、キャップ部37bをその先端部に接着することで、それら各部を外殻部37内に封入する構造とした。ただし、同外殻部37についてはこれを、例えばセンサ部35やコード保持部36をセンサコード34の径方向外方から挟み込んで一体に接着される2分割構造体として構成するようにしてもよい。このような構成によっても、図2(b)に準じた態様で、上記各部を外殻部37内に封入することはできる。
・また、上記センサ部35についても、これが必ずしも円柱状に樹脂モールドされている必要はなく、他に例えば、上記外殻部37の内部に相対回動可能に保持された円盤状の板体から突出された舌片に対してセンサコード34と共々上記磁気センサ(センサチップ33)が搭載されているものなども適宜採用することができる。要は、コード保持部36のフランジ部36bが適宜の外殻部に係合された状態で、それら磁気センサ及びコード保持部36が外殻部によりセンサコード34を中心に相対回動可能に囲繞される構造であればよい。
本発明にかかる車輪速度検出装置及び車輪用転がり軸受装置の一実施の形態についてその全体構成を示す部分断面図。 (a)は同実施の形態の車輪速度検出装置を構成する検出装置本体の分解組立図、(b)はその組立後の側面構造を示す側面図。 車輪用転がり軸受装置に嵌合装着されている保護キャップに対する同検出装置本体の装着態様を拡大して示す部分断面図。
符号の説明
1…車輪用転がり軸受装置、2…外輪部材、3…内輪部材、4,5…転動体、6…フランジ、7…外輪軌道面、8…ハブ軸、9…内輪、10…ハブフランジ、11…ブレーキディスク、12…タイヤホイール、13…小径部、14…内輪軌道面、15…突出部、17…環状空間、18…シール部材、20…保護キャップ、20a…保護キャップの端部、20b…リブ、20c…挿通孔、20d…ねじ(雌ねじ)、20e…係止面、20f…縮径部、30…車輪速度検出装置、31…パルサーリング、32…検出装置本体、33…センサチップ(磁気センサ)、34…センサコード、35…センサ部、35a…センサ部の先端面、36…コード保持部、36a…円筒部、36b…フランジ部、37…外殻部、37a…第1の有底円筒部を構成する円筒部、37b…第1の有底円筒部を構成するキャップ、37c…頸部、37d…第2の有底円筒部、37e…挿通孔、37f…ねじ(雄ねじ)、38…Oリング、39…ハーネス(コネクタ)。

Claims (4)

  1. 車輪と一体に回転する着磁ロータと、該着磁ロータの自由回転が維持される態様にてこれを外部から保護する保護キャップと、前記着磁ロータに対向して配設されることによりその磁界の変化から前記車輪の回転速度に対応した周期信号を出力する磁気センサを有して前記保護キャップに設けられた挿通孔に外部から装着固定される検出装置本体とを備えるとともに、この検出装置本体からは前記磁気センサから出力される周期信号を外部に伝送するためのセンサコードが一体に導出されてなる車輪速度検出装置において、
    前記検出装置本体は、前記センサコードの前記磁気センサ近傍にて同センサコードに固定される円筒体からなってその磁気センサ側の端部にフランジが形成されてなるコード保持部と、このコード保持部及び前記磁気センサを前記センサコードを中心に回動可能に囲繞するとともに前記コード保持部のフランジとの係合を通じて前記磁気センサ及びコード保持部のセンサコード延伸方向への移動を規制する外殻部とを備え、前記保護キャップの挿通孔及び前記外殻部との間に螺刻されたねじによる螺合によって検出装置本体が前記保護キャップに装着固定されることを特徴とする車輪速度検出装置。
  2. 前記検出装置本体は、前記磁気センサと前記センサコードとが一体に樹脂モールドされて円柱状に形成されたセンサ部を備え、前記外殻部は、該センサ部の先端面との当接及び前記コード保持部の円筒体のフランジ部との係合を通じて、これらセンサ部及びコード保持部のセンサコード延伸方向への移動を規制する請求項1に記載の車輪速度検出装置。
  3. 前記外殻部は、前記センサ部に対応して当該部分をセンサコードを中心に相対回動可能に囲繞するとともにその底部が同センサ部の先端面と当接される第1の有底円筒部と、該有底円筒部の開口端側から段差を有して縮径されてその段差部に前記センサ部のセンサコードが導出される面の一部が当接される頸部と、この頸部から前記第1の有底円筒部よりも大きく拡径されてその終端部に前記コード保持部の円筒体部分が挿通されるとともに同コード保持部のフランジ部が係合される挿通孔を有する底部が形成された第2の有底円筒部とを備え、該第2の有底円筒部の外周面に前記保護キャップの挿通孔と螺合されるねじが螺刻されてなるとともに、前記保護キャップの挿通孔には同第2の有底円筒部の先端面が当接される係止面が設けられてなる請求項2に記載の車輪速度検出装置。
  4. 車体側に支持されて車輪の懸架装置に固定される外輪部材と、この外輪部材の径方向内方に転動体を介して配置されて車輪に連結される内輪部材とを基本的に備えて車輪の転がり軸受を構成する車輪用転がり軸受装置において、
    前記内輪部材に前記着磁ロータが一体に設けられ、前記外輪部材にそのカバーとして前記保護キャップが嵌合される態様にて請求項1〜3のいずれか一項に記載の車輪速度検出装置が設けられてなることを特徴とする車輪用転がり軸受装置。
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