JP2009056919A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】AYC(左右輪駆動力配分手段)及びASC(駆動力制御手段)を備える車両において、旋回走行時におけるAYCの駆動力配分制御及びASCの駆動力制御を適正化し、旋回性能を向上させることのできる車両の駆動力制御装置を提供すること。
【解決手段】ASC用ECU(36)においてアンダステア状態に対するASC制御が行われると、AYC用ECU(34)に駆動力移動量制限値が与えられ、当該AYC用ECUでは駆動力移動量を抑制した制御を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の駆動力制御装置に係り、詳しくは車両旋回時における旋回性能を向上させる技術に関する。
近年、主に後輪の左右車輪間に設けられ当該左右輪への駆動力配分量を制御することで、
車両の直進走行時には左右車輪間の回転差を抑制させて走行安定性を確保し、旋回走行時には左右車輪間で積極的に駆動力差を発生させることで旋回性能を向上させることのできる左右輪駆動力配分手段、所謂アクティブヨーコントロールシステム(以下AYCという)が開発されている(特許文献1参照)。
また、車両の旋回走行時に、実ヨーレートが目標ヨーレートに近づくよう駆動源であるエンジンの駆動力(エンジントルク)や各車輪への制動力を制御する駆動力制御手段、所謂アクティブスタビリティコントロール(以下ASCという)が開発されている(特許文献2参照)。
特開平05−58180号公報 特開平08−332931号公報
上記特許文献1及び2に開示されているようなAYCによる左右輪駆動力配分制御やASCによる駆動力制御は、いずれも車両旋回時には実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけるよう制御するものである。
当該AYC及びASCの両方を備える車両であれば、例えば、実ヨーレートが目標ヨーレートより小さい場合、即ちアンダステア状態である場合には、左右輪駆動力配分制御において後輪の旋回内輪から旋回外輪へ駆動力を移動させ、駆動力制御においてエンジントルクを抑制するとともに旋回内輪に制動力を付与する。
しかしながら、ここで左右輪駆動力配分制御による駆動力移動量が大きいと後輪の旋回外輪の駆動力が過大となり、車体後部に旋回外側へと向かうモーメントが発生し車体重心を中心として旋回方向に自転する。そして、当該自転ではすぐに旋回軌跡は変わらないのに関わらず実ヨーレートは目標ヨーレートに近づくため、ASCはアンダステア状態を正確に認識できず当該ASCによる駆動力制御量が低下したり当該制御が終了するおそれがある。これにより、本来行われるはずのASCによる旋回時の駆動力制御が行われず、アンダステア状態が解消されないという問題が生じる。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、AYC及びASCを備える車両において、旋回走行時におけるAYCの駆動力配分制御及びASCの駆動力制御を適正化し、旋回性能を向上させることのできる車両の駆動力制御装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1の車両の駆動力制御装置では、車両の旋回時における実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、前記車両の旋回時における目標ヨーレートを検出する目標ヨーレート検出手段と、前記車両の旋回時に、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートを前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートに近づけるように、前記車両の駆動力を制御する駆動力制御手段と、可変可能な所定の駆動力配分量で前記車両の駆動源からの駆動力を左右後輪へ伝達する左右輪駆動力配分手段と、前記車両の旋回時に、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートを前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートに近づけるように前記左右輪駆動力配分手段における前記所定の駆動力配分量を制御する駆動力配分量制御手段とを備え、前記駆動力分配量制御手段は、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートが前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートよりも小さく、前記駆動力制御手段による駆動力制御が行われたときに、前記所定の駆動力配分量を抑制して制御することを特徴としている。
請求項2の車両の駆動力制御装置では、請求項1において、前記駆動力制御手段による前記車両の駆動力の制御は、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレート及び前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートの差に応じて、前記駆動源より発生する駆動力の抑制及び前記車両の車輪への制動力の付与のうち少なくとも一方を行うことであることを特徴としている。
請求項3の車両の駆動力制御装置では、請求項1または2において、前記駆動力配分量制御手段は、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートが前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートより小さい場合には前記車両後輪の旋回内輪から旋回外輪へ駆動力を移動させ、該実ヨーレートが目標ヨーレートより大きい場合には旋回外輪から旋回内輪へ駆動力を移動させるよう前記所定の駆動力配分量を制御することを特徴としている。
請求項4の車両の駆動力制御装置では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記駆動力配分量制御手段は、前記駆動力制御手段による制御が行われたときに、前記所定の駆動力配分量に上限値を設定することで該所定の駆動力配分量を抑制することを特徴としている。
請求項5の車両の駆動力制御装置では、請求項4において、前記駆動力配分量制御手段は、前記車両が走行する路面の摩擦係数に応じて前記所定の駆動力配分量の上限値を設定することを特徴としている。
請求項6の車両の駆動力制御装置では、請求項5において、前記駆動力配分量制御手段は、前記車両が走行する路面の摩擦係数が低いほど、前記駆動力配分量の上限値を低く設定することを特徴としている。
上記手段を用いる本発明の請求項1の車両の駆動力制御装置によれば、車両の旋回時において実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけるため、車両の駆動力を制御する駆動力制御手段及び左右後輪への駆動力配分量を制御する駆動力配分量制御手段を備え、実ヨーレートが目標ヨーレートより小さい即ちアンダステア状態で当該駆動力制御手段による駆動力制御が行われるときには駆動力配分量制御手段による所定の駆動力配分量を抑制して制御する。
つまり、アンダステア状態時に左右輪駆動力配分手段における駆動力配分量が抑制されることで、車両後部に働く旋回方向外側へのヨーモーメントが減少し車両の自転が抑制される。
これにより、実ヨーレートは正確に検出され、駆動力制御手段による制御を適正に継続させることができ、目標とする旋回軌跡に近づけることができる。
このことから、左右輪駆動力配分手段(AYC)及び駆動力制御手段(ASC)を備える車両において、旋回走行時におけるAYCの左右輪駆動力配分制御及びASCの駆動力制御を適正化し、旋回性能を向上させることができる。
請求項2の車両の駆動力制御装置によれば、駆動力制御手段による駆動力の制御は、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差に応じて、駆動源より発生する駆動力の抑制及び車輪への制動力の付与のうち少なくとも一方を行うこととする。
これにより、当該駆動力制御手段による駆動力制御によって良好に実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけることができる。
請求項3の車両の駆動力制御装置によれば、駆動力配分量制御手段は、実ヨーレートが目標ヨーレートより小さい即ちアンダステア状態の場合には旋回内輪から旋回外輪へ駆動力を移動させ、実ヨーレートが目標ヨーレートより大きい即ちオーバステア状態の場合には旋回外輪から旋回内輪へ駆動力を移動させるよう所定の駆動力配分量を制御する。
これにより、左右輪駆動力配分手段による左右輪駆動力配分によって良好に実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけることができる。
請求項4の車両の駆動力制御装置によれば、前記駆動力制御手段による制御が行われたときに、前記所定の駆動力配分量に上限値を設定することで該所定の駆動力配分量を抑制する。
これにより、容易に駆動力配分量を抑制させることができる。
請求項5の車両の駆動力制御装置によれば、前記車両が走行する路面の摩擦係数に応じて前記所定の駆動力配分量の上限値を設定する。
これにより、適正に駆動力配分量を抑制させることができる。
請求項6の車両の駆動力制御装置によれば、前記車両が走行する路面の摩擦係数が低いほど、前記駆動力配分量の上限値を低く設定する。
これにより、より適正に駆動力配分量を抑制させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1を参照すると、本発明に係る車両の駆動力制御装置の概略構成図が示されており、図2を参照すると本発明に係る車両の駆動力制御装置のブロック図が示されている。
図1に示す車両1は、駆動源として車体前部にエンジン(駆動源)2が搭載され、駆動輪として左前輪4L、右前輪4R(併せて前輪4ともいう)、左後輪6L、及び右後輪6R(併せて後輪6ともいう)を備える四輪駆動車両である。
エンジン2には変速機10が連結されており、当該変速機10はセンタデフ12と接続されている。
センタデフ12は前輪4の車軸上に配設されており、前輪4側及び後輪6側に駆動力を分配する機能を有している。
また、当該センタデフ12は同じく前輪4の車軸上に配設されたフロントデフ14と接続されている。
フロントデフ14はセンタデフ12により前輪4側に分配された駆動力を左前輪4L及び右前輪4Rに配分する機能を有している。
また、当該センタデフ12はプロペラシャフト16の一端とも接続されている。当該プロペラシャフト16は他端にアクティブヨーコントロールデフ(左右輪駆動力配分手段)18(以下、AYCデフ18という)が接続されており、センタデフ12により後輪6側に分配された駆動力を当該AYCデフ18に伝達する機能を有している。
AYCデフ18は、後輪6の車軸上に設けられており、プロペラシャフト16から伝達された駆動力を左後輪6L及び右後輪6Rに車両1の運転状態に応じて配分する機能を有している。
詳しくは、当該AYCデフ18は、プロペラシャフト16から入力された駆動力を、左右後輪6L、6Rの回転差を許容しつつ当該左右後輪6L、6Rのそれぞれの車軸へと駆動力を伝達可能な差動機構18aを有し、さらに当該左右後輪6L、6Rの一方の駆動力を他方の駆動力に移動させることで左右後輪6L、6Rの駆動力を配分する駆動力伝達制御機構18bを有している。当該駆動力伝達制御機構18bは、左右後輪6L、6Rのうち一方の車輪を他方の車輪よりも増速及び減速する増減速機構18cと、増速側の回転を他方の車輪に伝達する第1クラッチ機構18dと減速側の回転を他方の車輪に伝達する第2クラッチ機構18eとを備え構成されている。
また、車両1の各車輪4L、4R、6L、6Rには、当該各車輪4L、4R、6L、6Rに制動力を付与するブレーキ20L、20R、22L、22Rがそれぞれ設けられている。
さらに、当該各車輪4L、4R、6L、6Rには、車輪速を検出する車輪速センサ24L、24R、26L、26Rが設けられている。
また、車両1には、当該車両1に作用する前後Gを検出する前後Gセンサ28、車両1の実際のヨーレートを検出するヨーレートセンサ30(実ヨーレート検出手段)、ハンドル角を検出するハンドル角センサ32(目標ヨーレート検出手段)等の各種センサ類が設けられている。
そして、車両1には、AYCデフ18を制御するAYC用ECU(駆動力配分量制御手段)34、及びエンジン2及び各ブレーキ20L、20R、22L、22Rを制御するアクティブスタビリティコントロール用ECU(駆動力制御手段)36(以下ASC用ECU36という)が設けられている。
当該AYC用ECU34及びASC用ECU36には、それぞれ上記各車輪速センサ24L、24R、26L、26R、前後Gセンサ28、ヨーレートセンサ30、ハンドル角センサ32が電気的に接続されている。
また、当該AYC用ECU34は、上記AYCデフ18の第1及び第2クラッチ機構18d、18eへの油圧を調節するAYC用油圧ユニット38と電気的に接続されており、当該AYC用油圧ユニット34を介して第1及び第2クラッチ機構18d、18eの制御、即ちAYCデフ18の制御を行う。
一方、ASC用ECU36は、エンジン2、及び各ブレーキ20L、20R、22L、22Rへの油圧を調整するブレーキ用油圧ユニット40と電気的に接続されており、当該エンジン2より発生する駆動力(エンジントルク)、及びブレーキ用油圧ユニットを介して各ブレーキ20L、20R、22L、22Rの制動力を制御する。
さらに、AYC用ECU34及びASC用ECU36との間も電気的に接続されている。
なお、当該AYC用ECU34及びASC用ECU36には図示しない横Gセンサ、アクセル開度センサ等、他のセンサ類も接続されている。
以下図2に基づき当該AYC用ECU34及びASC用ECU36の入出力関係について説明する。
AYC用ECU34は、入力側に各車輪速センサ24L、24R、26L、26R、前後Gセンサ28、ヨーレートセンサ30、及びハンドル角センサ32が接続されており、出力側に上記AYC用油圧ユニット38を介してAYCデフ18が接続されている。
詳しくは、各車輪速センサ24L、24R、26L、26R及び前後Gセンサ28は、AYC用ECU34内の車体速推定部50に接続されている。
当該車体速推定部50では、各車輪速センサ24L、24R、26L、26Rにより検出される車輪速、及び前後Gセンサ28により検出される前後Gから車体速が推定される。
また、当該車体速推定部50は、ヨーレートセンサ30及びハンドル角センサ32とともにはAYC用ECU34内のヨーレート差演算部52に接続されている。
当該ヨーレート差演算部52では、車体速推定部50において推定された車体速に応じ、ヨーレートセンサ30により検出される車両1の実ヨーレートと、ハンドル角センサ32により検出される運転者が意図する目標ヨーレートとの差を演算する。そして、当該ヨーレート差の演算結果により、車両の旋回状態が判断される。例えば、実ヨーレートが目標ヨーレートよりも小さい場合はアンダステア状態と判断し、実ヨーレートが目標ヨーレートよりも大きい場合にはオーバステア状態と判断する。
当該ヨーレート差演算部52は、駆動力移動量演算部54に接続されている。
当該駆動力移動量演算部54では、ヨーレート差演算部52において演算されたヨーレート差に応じ、当該ヨーレート差を縮小させるのに必要な駆動力移動量が演算される。例えば、アンダステア状態である場合には旋回内輪から旋回外輪への駆動力移動量が、オーバステア状態である場合には旋回外輪から旋回内輪への駆動力移動量が演算される。
そして、当該駆動力移動量演算部54は、AYC用油圧ユニット38を介してAYCデフ18と接続されており、当該駆動力移動量演算部54において演算された駆動力移動量となるようAYCデフ18を制御する。
一方、ASC用ECU36は、入力側に各車輪速センサ24L、24R、26L、26R、前後Gセンサ28、ヨーレートセンサ30、及びハンドル角センサ32が接続されており、出力側にエンジン2、及び上記ブレーキ用油圧ユニット40を介して各ブレーキ20L、20R、22L、22Rが接続されている。
詳しくは、各車輪速センサ24L、24R、26L、26R及び前後Gセンサ28は、ASC用ECU36内の車体速・路面μ推定部60に接続されている。
当該車体速・路面μ推定部60では、上記AYC用ECU34内の車体速推定部50と同様に車体速が推定されるとともに、車輪速及び前後Gから車両1が走行している路面の摩擦係数(路面μ)が推定される。
また、当該車体速・路面μ推定部60は、ヨーレートセンサ30及びハンドル角センサ32とともにASC用ECU36内のヨーレート差演算部62に接続されている。
当該ヨーレート差演算部62は、上記AYC用ECU34内のヨーレート差演算部52と同様に車体速に応じ、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差を演算し、旋回状態を判断する。
当該ヨーレート差演算部62は、上記車体速・路面μ演算部60とともにASC用ECU36内のASC制御量演算部64に接続されている。
当該ASC制御量演算部64では、車体速・路面μ演算部60において演算された車体速及び路面μに応じ、ヨーレート差演算部62において演算されたヨーレート差を縮小させるのに必要なASC制御量が演算される。詳しくは、当該ASC制御は、車両1がアンダステア状態である場合にはエンジン2のエンジントルクを抑制するとともに旋回内輪へ制動力を付与し、オーバステア状態である旋回外輪へ制動力を付与するよう設定されている。そして、当該ASC制御量は、予め記憶されたマップを用い車体速及び路面μに応じたエンジントルク抑制量、及び所定の車輪へのブレーキ制動力が演算される。
そして、当該ASC制御量演算部64は、ASC用ECU内36のブレーキ制御部66及びエンジン制御部68に接続されている。
ブレーキ制御部66は、ASC制御量演算部64において演算されたブレーキ制動力量となるよう、ブレーキ用油圧ユニット40を介して対応する車輪のブレーキ20L、20R、22L、22Rを制御する。
一方、エンジン制御部60は、ASC制御量演算部64において演算されたエンジントルク抑制量に応じてエンジン2のエンジントルクを制御する。
また、ASC制御量演算部64は、車体速・路面μ推定部60とともに、ASC用ECU36内の駆動力移動制限値演算部70と接続されている。
ASC制御量演算部64は、上記のようにASC制御量を演算するとともに、アンダステア時に行うASC制御、即ちエンジントルク抑制制御またはブレーキ制御を開始することでOFF状態からON状態に切り替わるASC制御フラグを駆動力移動量制限値演算部70に出力する。
駆動力制限値演算部70では、ON状態に切り替わったASC制御フラグ受けることで、上記駆動力移動量演算部54において演算される駆動力移動量の制限値が演算される。
詳しくは、図3を参照すると本発明に係る車両の駆動力制御装置の駆動力移動量制限値の演算に用いられる制限値演算マップが示されており、駆動力移動量制限値演算部70には当該図3に示す制限値演算マップが記憶されている。
駆動力移動量制限値演算部70では、当該図3の制限値演算マップを用いて、上記車体速・路面μ推定部において推定される路面μに応じた駆動力移動量制限値が演算される。
図3に示す制限値演算マップにより演算される駆動力移動量制限値は、路面μが高μ域である場合には比較的高い値である所定値Rに、中μ域では低μ側ほど低い値に、低μ領域では値0、即ち駆動力移動を停止させるよう設定されている。
そして、当該駆動力移動量制限値演算部70は、上記AYC用ECU34内の駆動力移動量演算部54に接続されており、演算された駆動力移動量制限値を駆動力移動量演算部54へと出力する。
そして、駆動力移動量演算部54では、当該駆動力移動量制限値を受けることで、当該駆動力移動量制限値を上限とし、当該駆動力移動量制限値内での駆動力移動量が演算される。
つまり、ASC用ECU36においてアンダステア状態に対するASC制御が行われると、AYC用ECU34に駆動力移動量制限値が与えられ、当該AYC用ECU34駆動力移動量を抑制した制御が行われる。
なお、ASC用ECU36の駆動力移動量制限値演算部70からAYC用ECU34の駆動力移動量演算部54へ出力される駆動力移動量制限値には制限勾配(テーリング)が設けられており、当該駆動力移動量演算部54において演算される駆動力移動量は徐々に制限されていくことで駆動力移動量の急激な変化が防止されている。
以下このように構成された本発明に係る車両の駆動力制御装置の作用について説明する。
図4には、本発明に係る駆動力制御装置を備えた車両の旋回走行時の制御状態を示す説明図が示されている。詳しくは、図4では高μ域の路面において車両1が比較的高い車速にて左旋回を開始したときの様子を示している。
まず、当該車両1ではAYC用ECU34及びASC用ECU36のそれぞれのヨーレート差演算部52、62において、実ヨーレートが目標ヨーレートより小さい、即ちアンダステア状態にあることが検出される。
そこで、ASC用ECU36では、当該ヨーレート差を縮小させるために、ASC制御量演算部64においてエンジントルク抑制量及び旋回内輪である左輪4L、6Lへのブレーキ制動力が演算される。なお、当該ブレーキ制動力は、旋回内輪の後輪側である左後輪6Lの方が比較的大きくなるよう設定されている。
またこれと同時に、ASC用ECU36内において、ASC制御量演算部64から駆動力移動量制限値演算部70へのASC制御フラグがON状態に切り替わる。
そして、当該駆動力移動量制限値演算部70では、上記図3に示す制限値演算マップを用いて車体速及び路面μに応じた駆動力移動量制限値が演算され、当該駆動力移動量制限値がAYC用ECU34の駆動力移動量演算部54に出力される。
AYC用ECU34の駆動力移動量演算部54では、駆動力移動量制限値内で旋回内輪の左後輪6Lから旋回外輪の右後輪6Rへの駆動力移動量が演算される。
したがって、十分に抑制された駆動力移動量となるようAYCデフ18は制御される。
一方ここで、図4に鎖線で示す従来の技術では、駆動力移動量は抑制されず右後輪6Rに過大な駆動力が移動する。このため、当該車体後部に旋回外側へと向かうモーメントが発生し車体重心を中心に旋回方向に自転する。当該自転では、すぐには旋回軌跡が変わらないのに関わらず、実ヨーレートは目標ヨーレートに近づくため、AYC用ECU34及びASC用ECU36におけるヨーレート差演算部52、62にて演算されるヨーレート差は縮小され、駆動力移動量及びASC制御量は減少または0となる。このため、アンダステア状態は解消されず、車両1は目標軌跡から大幅に離れた軌跡を走行する。
これに対し、本発明に係る車両の駆動力制御装置では、当該ASC用ECU36によるASC制御が行われる際に、AYC用ECU34による駆動力移動量が十分に抑制されることで、右後輪6R駆動力移動が過大となることを防止され、車両後部に働くヨーモーメントが減少し車両1の自転が抑制される。
これにより、ヨーレートセンサ30により検出される実ヨーレートは正確な値となり、ASC用ECU36によるエンジントルク抑制制御及びブレーキ制御は旋回軌跡が修正されるまで良好に継続され、目標軌跡に近づけることができる。
以上のように、本発明に係る車両の駆動力制御装置では、AYC及びASCを備える車両1において、旋回走行時におけるAYC及びASCの制御を適正化することでアンダステア状態を良好に解消可能とし、旋回性能を向上させることができる。
以上で本発明に係る車両の駆動力制御装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態では、AYC用ECU34はアンダステア時には旋回内輪から旋回外輪へ、オーバステア時には旋回外輪から旋回内輪へ駆動力を移動させることとしているが、例えばアンダステア時に旋回外輪から旋回内輪へ駆動力移動を行うような、駆動力移動方向が逆転する場合にも制限を設けて構わない。また、その場合に上記実施形態に示す駆動力移動方向と逆転方向とで、それぞれ別の制限値を設けるものとしても構わない。
また、上記実施形態では、駆動力移動量の抑制を上限値として駆動力移動量制限値を設けることで抑制しているが、当該駆動力移動量の抑制はこれに限られるものではない。例えば、上記実施形態におけるASC用ECU36内の駆動力移動量制限値演算部70において、上限値としての制限値ではなく、具体的に制限駆動力移動量を演算し、当該制限駆動力移動量にてAYCデフ18を制御するようAYC用ECUに指示する構成としても構わない。また、本来の駆動力移動量に制限係数を乗算して駆動力移動量を制限しても構わない。
また、上記実施形態ではASC用ECU36においてアンダステア状態が判定されることで、AYC用ECU34による駆動力移動量演算が抑制される構成であるが、当該AYC用ECU34による駆動力移動量演算の抑制を判定する手段はこれに限られるものではない。例えば、アンダステア状態の量、旋回方向、カウンタステア、車速、ヨーレート、ハンドル角、前後G、横G、スプリット路判定、4WD電子制御によるフロント、リア、センタの制御量、ASC用ECUによるブレーキ制御量、ASC用ECUによるエンジントルク抑制制御量、アクセル開度、エンジントルク、エンジン回転数、変速機のギヤ情報、変速機の制御モード、路面μ選択スイッチ等に応じて判定しても構わない。
また、上記実施形態では、駆動力移動量制限値を図3に示す制限値演算マップを用いて演算しているが、当該制限値演算マップは図3に示すものに限られるものではない。
本発明に係る車両の駆動力制御装置の概略構成図である。 本発明に係る車両の駆動力制御装置のブロック図である。 本発明に係る車両の駆動力制御装置における駆動力移動量制限値の演算に用いられる制限値演算マップである。 本発明に係る駆動力制御装置を備えた車両の旋回走行時の制御状態を示す説明図である。
符号の説明
1 車両
2 エンジン(駆動源)
4L、4R、6L、6R 車輪
18 アクティブヨーコントロールデフ(AYCデフ)(左右輪駆動力配分手段)
20L、20R、22L、22R ブレーキ
24L、24R、26L、26R 車輪速センサ
28 前後Gセンサ
30 ヨーレートセンサ(実ヨーレート検出手段)
32 ハンドル角センサ(目標ヨーレート検出手段)
34 AYC用ECU(駆動力配分量制御手段)
36 TCL用ECU(駆動力制御手段)
38 AYC用油圧ユニット
40 ブレーキ用油圧ユニット
54 駆動力移動量演算部
64 ASC制御量演算部
70 駆動力移動量制限値演算部

Claims (6)

  1. 車両の旋回時における実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、
    前記車両の旋回時における目標ヨーレートを検出する目標ヨーレート検出手段と、
    前記車両の旋回時に、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートを前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートに近づけるように、前記車両の駆動力を制御する駆動力制御手段と、
    可変可能な所定の駆動力配分量で前記車両の駆動源からの駆動力を左右後輪へ伝達する左右輪駆動力配分手段と、
    前記車両の旋回時に、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートを前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートに近づけるように前記左右輪駆動力配分手段における前記所定の駆動力配分量を制御する駆動力配分量制御手段とを備え、
    前記駆動力分配量制御手段は、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートが前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートよりも小さく、前記駆動力制御手段による駆動力制御が行われたときに、前記所定の駆動力配分量を抑制して制御することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記駆動力制御手段による前記車両の駆動力の制御は、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレート及び前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートの差に応じて、前記駆動源より発生する駆動力の抑制及び前記車両の車輪への制動力の付与のうち少なくとも一方を行うことであることを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記駆動力配分量制御手段は、前記実ヨーレート検出手段により検出された実ヨーレートが前記目標ヨーレート検出手段により検出された目標ヨーレートより小さい場合には前記車両後輪の旋回内輪から旋回外輪へ駆動力を移動させ、該実ヨーレートが目標ヨーレートより大きい場合には旋回外輪から旋回内輪へ駆動力を移動させるよう前記所定の駆動力配分量を制御することを特徴とする請求項1または2記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記駆動力配分量制御手段は、前記駆動力制御手段による制御が行われたときに、前記所定の駆動力配分量に上限値を設定することで該所定の駆動力配分量を抑制することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記駆動力配分量制御手段は、前記車両が走行する路面の摩擦係数に応じて前記所定の駆動力配分量の上限値を設定することを特徴とする請求項4記載の車両の駆動力制御装置。
  6. 前記駆動力配分量制御手段は、前記車両が走行する路面の摩擦係数が低いほど、前記駆動力配分量の上限値を低く設定することを特徴とする請求項5記載の車両の駆動力制御装置。
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