JPH10338114A - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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JPH10338114A
JPH10338114A JP9150961A JP15096197A JPH10338114A JP H10338114 A JPH10338114 A JP H10338114A JP 9150961 A JP9150961 A JP 9150961A JP 15096197 A JP15096197 A JP 15096197A JP H10338114 A JPH10338114 A JP H10338114A
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JP
Japan
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control
vehicle
driving force
wheel
wheels
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Application number
JP9150961A
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English (en)
Inventor
Naoto Fukushima
直人 福島
Akiyoshi Kimura
彰良 木村
Jun Kubo
准 久保
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Retarders (AREA)
  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヨーレート制御と駆動力左右配分制御の制御
対象となる車輪を前後輪に分けることによって、車両の
走行性能の向上を図りつつ、構成の簡素化、装置全体の
小型化、およびエネルギー効率の向上を図ることができ
る車両の制御装置を提供すること。 【解決手段】 車両の左右の後輪21,22に対する駆
動力の配分を変更可能な駆動力左右配分制御ユニットY
1と、左右の前輪24,25に対して制動力を個別に付
与可能な付加バルブユニットY2およびABSユニット
Y3と、車両の走行状態を検出するセンサ1,2,3,
4,5,6と、それらのセンサの検出結果に基づいて駆
動力左右配分制御ユニットY1、付加バルブユニットY
2、およびABSユニットY3を関連的に制御するコン
トローラ10とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の走行性能
を向上させるための制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の制御装置としては、
ABS(アンチロックブレーキングシステム)などのよ
うに前輪および/または後輪を関連的に制動する制御装
置、および左右の駆動輪に対する駆動力の配分を制御す
る駆動力左右配分制御装置などが知られている。前者の
制動に関する制御装置としては、ABS制御装置の他、
運動安定制御装置やTCS(トラクションコントロール
システム)制御装置などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、4輪を関連的に
制動するヨーレート制御装置と、駆動力左右配分制御装
置とを組み合わせた制御装置はなく、また仮に、これら
の制御装置を組み合わせた場合には、次のような利点と
共に新たな問題が生じる。すなわち、前者の4輪個別の
制動制御と、後者の駆動力左右配分制御によって、車両
の走行性能を向上させることができるものの、前者の4
輪個別の制動制御のための液圧回路が複雑となる分、装
置全体の複雑化、大型化を招くことになる。しかも、通
常、ヨーレート制御装置はABS制御装置と組み合わさ
れるため、液圧回路がさらに複雑化することになる。
【0004】この発明の目的は、ヨーレート制御と駆動
力左右配分制御の制御対象となる車輪を前後輪に分ける
ことによって、車両の走行性能の向上を図りつつ、構成
の簡素化、装置全体の小型化、およびエネルギー効率の
向上を図ることができる車両の制御装置を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
の車両の制御装置は、車両の左右の後輪に対する駆動力
の配分を変更可能な駆動力配分変更手段と、左右の前輪
に対して制動力を個別に付与可能な制動力付与手段と、
車両の走行状態を検出する検出手段と、前記検出手段の
検出結果に基づいて、前記駆動力配分変更手段と前記制
動力付与手段とを関連的に制御する制御手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0006】請求項2に記載の本発明の車両の制御装置
は、請求項1において、前記制御手段は、車両の転舵走
行時の制御モードとして、前記駆動力配分変更手段によ
って外側後輪よりも内側後輪に駆動力を多く配分させ、
かつ前記制動力付与手段によって内側前輪よりも外側前
輪に強い制動力を付与させるスピン防止用制御モードが
選定可能であることを特徴とする。
【0007】請求項3に記載の本発明の車両の制御装置
は、請求項1において、前記制御手段は、車両の転舵走
行時の制御モードとして、前記駆動力配分変更手段によ
って内側後輪よりも外側後輪に駆動力を多く配分させ、
かつ前記制動力付与手段によって外側前輪よりも内側前
輪に強い制動力を付与させるコースアウト防止用制御モ
ードが選定可能であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。
【0009】図1は、本実施形態を備えた制御システム
全体の概略構成図である。図1において10はコントロ
ーラであり、駆動力左右配分制御部11、ヨーレート制
御部としての前輪ブレーキ制御部12、ABS制御部1
3、およびTCS制御部14がロジックサーキットによ
って構成されている。コントローラ10には、車両の走
行状態の検出手段として、ヨーレートセンサ1、前後輪
の横加速度センサ2、車輪速センサ3、舵角センサ4、
スロットル開度センサ5、およびエンジン回転数センサ
6などが接続されており、これらのセンサ1から6の検
出信号などに基づいて、それぞれの制御部11,12,
13、および14が機能する。
【0010】駆動力左右配分制御部11は、駆動力左右
配分制御ユニットY1に接続されている。このユニット
Y1は、駆動輪としての左右の後輪21,22に対する
駆動力の配分を変更可能な駆動力配分変更手段を構成し
ている。本例の制御ユニットY1は、後述するように差
動装置50に組み込まれている。また、前輪ブレーキ制
御部12とABS制御部13は、付加バルブユニットY
2とABSユニットY3を関連的に制御する。本例のA
BSユニットY3は、左右の前輪24,25を個別の液
圧回路によって制御しかつ後輪21,22は共通の液圧
回路によって制御する3チャンネルシステムを構成して
いる。21A,22A,24A,25Aは、それぞれの
車輪21,22,24,25のディスクブレーキ用ホイ
ールシリンダである。付加バルブユニットY2は、後述
するように、前輪24,25の液圧回路に対してのみ備
えられる。また、本例のTCS制御部14は、エンジン
26の出力を制御するエンジントルク制御方式であり、
後輪21,22のスリップ率をトラクション制御領域内
に収めるべく、スロットルアクチュエータ27によって
スロットルバルブ28を開閉制御する。
【0011】図2は、付加バルブユニットY2およびA
BSユニットY3の液圧回路の構成図である。
【0012】まず、ABSユニットY3の構成について
説明する。図2において、31はブレーキペダル32の
踏み込み量に応じたブレーキ液圧を発生するマスターシ
リンダである。そのマスターシリンダ31の第1の出力
ポートP1には、前輪24,25のホイールシリンダ2
4A,25Aに対して個別に構成された第1、第2の液
圧回路が接続され、また第2の出力ポートP2には、後
輪21,22のホイールシリンダ21A,22Aに対し
て共通に構成された第3の液圧回路が接続されている。
L0は、出力ポートP1に接続される第1、第2の液圧
回路の共通路であり、この共通路L0中に、後述する付
加バルブユニットY2が接続される。これら第1、第2
の液圧回路とユニットY2とによって、前輪24,25
に対して制動力を個別に付与可能な制動力付与手段が構
成されている。
【0013】ここで、第1、第2、および第3の液圧回
路を代表して、第2の出力ポートP2に接続される第3
の液圧回路の構成について説明する。この液圧回路に
は、マスターシリンダ31の液圧を液圧導入用の常開の
電磁切換弁33を通してホイールシリンダ21A,22
Aに導入する液圧導入回路部と、ホイールシリンダ21
A,22Aの液圧を液圧導出用の常閉の電磁切換弁3
4、リザーバ35、およびポンプ36を通してマスター
シリンダ31側に戻す液圧導出回路部とが形成されてい
る。そして、電磁切換弁33,34の切り換えによって
ホールシリンダ21A,22Aの液圧が制御され、後輪
22,22が通常のブレーキ制御、減圧制御、液圧保持
制御、または増圧制御されることになる。ポンプ36は
モータ37によって駆動され、また38は逆止弁であ
る。
【0014】また、前輪24,25のホイールシリンダ
24A,25Aに対する第1、第2の液圧回路は、この
ような第3の液圧回路と同様に構成されているため、同
様の部分には同一符号を付して説明を省略する。ただ
し、これら第1、第2の液圧回路においては、リザーバ
35とポンプ36が共通のものとして備えられている。
このように構成された第1、第2の液圧回路により、ホ
イールシリンダ24A,25Aの液圧が個別に制御され
て、前輪24,25が個別に通常のブレーキ制御、減圧
制御、液圧保持制御、または増圧制御されることにな
る。また39は、後述する付加バルブユニットY2との
関係から備えられた逆止弁である。
【0015】付加バルブユニットY2は、前述したよう
に第1、第2の液圧回路の共通路L0中に接続されてお
り、図2においては、その共通路L0との接続部分を接
続ポートP3,P4として説明する。付加バルブユニッ
トY2において、接続ポートP3,P4の間には、常開
の第1の切換電磁弁41、逆止弁42、およびリリーフ
弁43が並列に接続されている。また、付加バルブユニ
ットY2には常閉の第2の切換電磁弁44が備えられて
おり、この電磁弁44は、接続ポートP3と、図2中左
側のポンプ(以下、「前輪側ポンプ」という)36の入
力側との間に接続されている。逆止弁42は、接続ポー
トP3から接続ポートP4方向へのブレーキ液の流れを
許容し、その逆方向のブレーキ液の流れを阻止する。ま
たリリーフ弁43は、接続ポートP4側の液圧が異常に
上昇したときに、その接続ポートP4側のブレーキ液を
接続ポートP3側に戻す。
【0016】このように構成された付加バルブユニット
Y2は、ABSユニットY3と協働してホイールシリン
ダ24A,25Aの液圧を個別に制御する。すなわち、
第1、第2の切換電磁弁41,44を切り換え、共通路
L0を遮断して、マスターシリンダ31ブレーキ液を第
2の切換電磁弁44を通して前輪側ポンプ36に導入
し、そのブレーキ液を前輪側ポンプ36によって加圧す
る。そして、その加圧したブレーキ液を第1、第2の液
圧回路に供給して、それらの液圧回路中の切換電磁弁3
3,34を切り換えることにより、ホイールシリンダ2
4A,25Aの液圧が個別に制御できる。このようにし
て、前輪24,25の制動力が個別に制御されることに
なる。
【0017】図3は、駆動力左右配分制御ユニットY1
の概略構成図である。図3において、差動装置50の基
本構成は周知ものと同様であり、推進軸51の回転力を
減速小歯車52と減速大歯車53によってデファレンシ
ャルケース54に伝達し、さらにデファレンシャルケー
ス54の回転力を差動小歯車55と差動大歯車56,5
7によって左右の車輪軸58,59に配分するようにな
っている。また、差動小歯車55の自転により、左右の
車輪軸58,59の回転数差が吸収されることになる。
50Aは、差動装置50の本体としてのデファレンシャ
ルハウジングである。
【0018】駆動力左右配分制御ユニットY1は、左の
車輪軸58とデファレンシャルケース54との間に相対
的な回転力を付与可能な油圧モータ61と、デファレン
シャルケース54の回転によって油圧を発生する油圧ポ
ンプ62を備えている。油圧モータ61は、例えば、車
輪軸58とデファレンシャルケース54との間に備えら
れたトロコイドモータとされ、その入力ポートP5,P
6のいずれから油圧を導入するかによって、回転方向が
切り換わる。油圧ポンプ62は、例えば、デファレンシ
ャルケース54とデファレンシャルハウジング50Aと
の間に備えられたトロコイドポンプであり、その吸入ポ
ートP7から吸入した作動油を吐出ポートP8から吐出
する。このポンプ62は、デファレンシャルケース54
の回転によって駆動されるため、作動油の吐出流量が車
速に比例することになる。
【0019】ポンプ62の吐出ポートP8から吐出され
た作動油は、圧力調整弁63によって圧力調整された
上、4ポート3位置切換弁64に導出される。本例の圧
力調整弁63は制御型リリーフ弁とされており、ポンプ
62の吐出ポートP8と切換弁64の第1の入力ポート
P11との間の供給通路L1と、リザーバ65に連通す
るリリーフ通路L2との間に備えられている。L3は、
ポンプ62の吸入ポートP7とリザーバ65との間の連
通路、L4は、リザーバ65と切換弁64の第2の入力
ポートP12との間の連通路であり、本例の場合、これ
らの連通路L3,L4とリリーフ通路L2が共通化され
ている。圧力調整弁63は、入力ポートP11に入力す
る油圧を調整し、リリーフした作動油をリザーバ65に
排出する。つまり、供給通路L1の圧力を減圧調整し、
その減圧相当分の作動油をリリーフ通路L2からリザー
バ65に戻して循環させる。そのため、供給通路L1が
減圧された分だけ、ポンプ62の負荷が低減され、この
結果、作動油の温度上昇や車両の燃費の上昇が抑えられ
ることになる。また、リザーバ65としては、差動装置
50内の底面側において適量の作動油を潤滑油として収
容する収容部を利用してもよい。
【0020】切換弁64は、その切換位置に応じて第
1、第2、および第3の切換状態が得られるようになっ
ている。第1の切換状態は、図3のように、入力ポート
P11,P12同士を連通させ、かつ出力ポートP1
3,P14同士を連通させる状態であり、第2の切換状
態は、入力ポートP11と出力ポートP13とを連通さ
せ、かつ入力ポートP12と出力ポートP14とを連通
させる状態であり、また第3の切換状態は、入力ポート
P11と出力ポートP14とを連通させ、かつ入力ポー
トP12と出力ポートP13とを連通させる状態であ
る。出力ポートP13,P14は、それぞれロータリー
ジョイント65を介してモータ61のポートP5,P6
に接続されている。
【0021】このように構成された駆動力左右配分制御
ユニットY1は、切換弁64が第1の切換状態のとき
に、モータ61の自由回転を許容する。そして、切換弁
64が第2の切換状態のときは、モータ61が一方向に
回転して、デファレンシャルケース54に対して左の車
輪軸58が増速方向に強制的に回転され、それらの間の
相対回転分だけ、左の車輪軸58が増速されかつ右の車
輪軸59が減速されることになる。それらの車輪軸5
8,59の増減速の割合、つまり駆動力の配分の割合は
圧力調整弁63によって調整される。一方、切換弁64
が第3の切換状態のときは、モータ61が他方向に回転
して、デファレンシャルケース54に対して左の車輪軸
58が減速方向に強制的に回転され、それらの間の相対
回転分だけ、左の車輪軸58が減速されかつ右の車輪軸
59が増速されることになる。それらの車輪軸58,5
9の増減速の割合、つまり駆動力の配分の割合は圧力調
整弁63によって調整される。このように、モータ61
に対する作動油の供給方向と、その作動油の圧力に応じ
て、左右の後輪21,22に対する駆動力の配分の割合
が制御され、その配分の割合に応じて車両にヨーモーメ
ントが発生することになる。
【0022】コントローラ10の各制御部11,12,
13、および14は、車両の走行性能を向上させるべ
く、センサ1,2,3,4,5、および6などの検出信
号に基づいて、対応するユニットY1,Y2,Y3、お
よびスロットルアクチュエータ27を関連的に制御す
る。その場合、付加バルブユニットY2とABSユニッ
トY3とによる前輪24,25の制動力の個別制御(以
下、「前輪個別のブレーキ制御」という)と、駆動力左
右配分制御ユニットY1による後輪21,22に対して
の駆動力の配分制御(以下、「駆動力の左右配分制御」
という)との協働(以下、「協働制御」という)によっ
て、車両のスピンやオーバースピードによるコースアウ
トを有効に防止することができる。
【0023】図4および図5は、このような「協働制
御」による車両のスピン防止の有効性を説明するための
図である。本例では、図4(a)のように、先行車両C
2の走行車線変更に伴って、120km/hの車両C1
が大舵角操舵をした場合の挙動をシミュレーションし
た。「協働制御」により、図4中の2点鎖線のような右
回りのスピンが防止できた。つまり、図4(a)のよう
に、車両C1を左に転舵して左側の車線に移行した後、
その左側の車線を走行すべく右に転舵したときには、車
両C1に右回りのヨーモーメントが発生するものの、こ
れを抑えることによって右回りのスピンが防止できた。
図4(b)中の曲線Dは、このような「協働制御」時に
おける車両C1の横すべり角の変化を示す。
【0024】図4(b)中の曲線A,B,Cは比較対象
としての他の制御方式の場合の横すべり角の変化を示
す。曲線Bは、前述した「駆動力の左右配分制御」のみ
の場合の横すべり角の変化である。また、曲線Cは、前
輪24,25と後輪21,22を全て個別にブレーキ制
御した場合の横すべり角の変化である。このように4輪
21,22,24,25を全て個別にブレーキ制御(以
下、「4輪個別のブレーキ制御」という)する場合に
は、図2の3チャンネルのABS制御ユニットY3に代
えて、前後左右の車輪を個別に制御する4チャンネルの
ABS制御ユニットを備えた上、そのABS制御ユニッ
トにおける前輪側と後輪側の液圧回路のそれぞれに対し
て、図2の付加バルブユニットY2を備えることが必要
となる。そのため、このような「4輪個別のブレーキ制
御」のための構成は、前述した図2の「前輪個別のブレ
ーキ制御」のためのユニット構成と比較した場合、AB
Sユニットが3チャンネルから4チャンネルとなる分、
および付加バルブユニットY2の配備数が1組から2組
に増える分、ユニット構成が複雑化して制御装置全体が
大型化してしまうことになる。
【0025】また、図4(a)中の曲線Aは、このよう
な「駆動力の左右配分制御」、「4輪個別のブレーキ制
御」、および「協働制御」などの駆動力および制動力の
制御を全く行わなかった場合(以下、「制御なし」とい
う)の横すべり角の変化である。曲線Aの「制御なし」
の場合には、図4(a)中の2点鎖線のように車両C1
がスピンし、また曲線B、Cの場合には、曲線Dの「協
働制御」の場合と同様にスピンが防止できた。
【0026】図5は、このような車両C1の右転舵によ
るスピンを防止する制御モード(スピン防止用制御モー
ド)時の具体的な制御例の説明図である。
【0027】図5(a)は、比較例としての「駆動力の
左右配分制御」のみの場合の駆動力の配分例であり、左
右の後輪21,22の間に2000Nの駆動力の差を生
じさせる。図5(b)は、比較例としての「4輪個別の
ブレーキ制御」のみの場合の制動例であり、左の前輪2
4に4000Nの制動力を付与する。図5(c)は「協
働制御」の場合の制御例であり、その制御のために協働
する「駆動力の左右配分制御」と「前輪個別のブレーキ
制御」の内、前者の制御に関しては、図5(a)の場合
よりも制御ゲインを半減させて、左右の後輪21,22
の間に1000Nの駆動力の差を生じさせ、一方、後者
の制御に関しては、図5(b)の場合よりもゲインを若
干小さくして、左の前輪24に3000Nの制動力を付
与する。
【0028】このように「協働制御」の場合は、図5
(a),(b)の場合に比して、制動力の低減と、左右
の後輪21,22の間の駆動力の差の低減が可能とな
り、その分、エネルギー効率が向上することになる。し
たがって、そのエネルギー効率が向上した分、ユニット
Y1,Y2,Y3の消費エネルギーが抑えられて、結果
的に車両の燃費が向上することにもなる。
【0029】このように、車両C1の右転舵時のスピン
を防止する場合には、「協働制御」によって、左側後輪
21よりも右側後輪22に駆動力を多く配分し、かつ右
側前輪25よりも左側前輪24に強い制動力を付与す
る。逆に、車両C1の左転舵時のスピンを防止する場合
には、右側後輪21よりも左側後輪22に駆動力を多く
配分し、かつ左側前輪25よりも右側前輪24に強い制
動力を付与する。つまり、このようなスピン防止用制御
モードの場合には、転舵方向を内側として、外側後輪よ
りも内側後輪に駆動力を多く配分し、かつ内側前輪より
も外側前輪に強い制動力を付与することによって、スピ
ンが防止できることになる。
【0030】このように、「協働制御」では、図2の
「前輪個別のブレーキ制御」のためのユニット構成と図
3の「駆動力の左右配分制御」のためのユニット構成を
用いることにより、車両のスピンを確実に防止すること
ができる。しかも、駆動力の左右配分制御ユニットの発
生トルクを半減できるため、油圧駆動系を小型化でき
る。さらに、前者の「前輪個別のブレーキ制御」のため
のユニット構成は、前述した「4輪個別のブレーキ制
御」のために必要な構成に比して簡素であるため、制御
装置全体の小型化も同時に実現できることになる。
【0031】図6および図7は、車両のオーバースピー
ドによるコースアウト防止上における「協働制御」の有
効性を説明するための図である。本例では、図6(a)
のように、車両C1が左コーナーを70km/hの高速
で侵入した場合の挙動をシミュレーションした。「協働
制御」により、図6(a)中の軌跡Dのように、オーバ
ースピードによる左転舵中のコースアウトが防止でき
た。このときの制動特性を図6(b)中の曲線Dで示
す。また、このような「協働制御」の比較例として、前
述した「駆動力の左右配分制御」および「4輪個別のブ
レーキ制御」の場合は、図6(a)中の軌跡BおよびC
のようにコースアウトが防止できた。そのときの制動特
性を図6(b)中の曲線BおよびCで示す。しかし、
「制御なし」の場合は、図6(a)中の軌跡Aのように
右方向にコースアウトした。そのときの制動特性を図6
(b)中の曲線Aで示す。
【0032】図7は、このような左転舵中のコースアウ
トを防止する制御モード(コースアウト防止用制御モー
ド)時の具体的な制御例の説明図である。
【0033】図7(a)は、比較例としての「駆動力の
左右配分制御」のみの場合の駆動力の配分例であり、左
右の後輪21,22の間に1000Nの駆動力の差を生
じさせる。図7(b)は、比較例としての「4輪個別の
ブレーキ制御」のみの場合の制動例であり、左側前輪2
4に5000N、右側前輪25に200N、左後輪21
に400N、右後輪22に200Nの制動力を付与す
る。
【0034】図7(c)は「協働制御」の場合の制御例
であり、その制御のために協働する「駆動力の左右配分
制御」と「前輪個別のブレーキ制御」の内、前者の制御
に関しては、図7(a)の場合よりも制御ゲインを半減
させて、左右の後輪21,22の間に500Nの駆動力
の差を生じさせ、一方、後者の制御に関しては、図7
(b)の場合の前輪24,25に対する制動量と同様
に、左側前輪24に4000N、右側前輪25に200
Nの制動力を付与する。また、このような後輪21,2
2に対する駆動力と、前輪24,25に対する制動力
は、例えば、車輪速センサ3と舵角センサ3によって検
出した車速と舵角に基づいてコースアウト防止用の目標
ヨーレートを設定した上、その目標ヨーレートとヨーレ
ートセンサ1によって検出した実ヨーレートとの差に基
づいて制御する。
【0035】このように、車両C1の左転舵中のコース
アウトを防止する場合には、「協働制御」によって、左
側後輪21よりも右側後輪22に駆動力を多く配分し、
かつ右側前輪25よりも左側前輪24に強い制動力を付
与する。逆に、車両C1の右転舵中のコースアウトを防
止する場合には、右側後輪21よりも左側後輪22に駆
動力を多く配分し、かつ左側前輪25よりも右側前輪2
4に強い制動力を付与する。つまり、このようなコース
アウト防止用制御モードの場合には、転舵方向を内側と
して、内側後輪よりも外側後輪に駆動力を多く配分し、
かつ外側前輪よりも内側前輪に強い制動力を付与するこ
とによって、コースアウトが防止できることになる。
【0036】このように、「協働制御」では、図2の
「前輪個別のブレーキ制御」のためのユニット構成と図
3の「駆動力の左右配分制御」のためのユニット構成を
用いることにより、車両のコースアウトを確実に防止す
ることができ、しかも前者のユニット構成は、前述した
「4輪個別のブレーキ制御」のために必要な構成に比し
て簡素であるため、制御装置全体の小型化も同時に実現
できることになる。
【0037】図8および図9は、車両の加速トレース時
における「協働制御」の説明図である。本例では、図8
(a)のように、車両C1が半径30mの円上を右回り
にトレースしつつ、50km/hまで加速する走行状況
を設定した。「協働制御」により、図8(a)中の実線
のように円上をトレースできた。このときの加速度とヨ
ーレート変化率の関係を図8(b)中の曲線Dで示す。
図8(b)中の直線Eが基準ラインであり、この直線E
上に曲線があれば円上をトレースでき、その直線Eの下
に曲線があれば円の外に外れることになる。図8(b)
中の曲線Aは、比較例としての「制御なし」の場合の加
速度とヨーレート変化率の関係である。
【0038】図9は、このような右旋回中の加速トレー
ス時の具体的な制御例の説明図である。
【0039】図9(a)は、比較例としての「駆動力の
左右配分制御」のみの場合の駆動力の配分例であり、左
右の後輪21,22の間に1340Nの駆動力の差を生
じさせる。図9(b)は、比較例としての「4輪個別の
ブレーキ制御」のみの場合の制動例であり、いずれの車
輪21,22,24,25に対しても制動力を発生させ
ない。図9(c)は「協働制御」の場合の制御例であ
り、その制御のために協働する「駆動力の左右配分制
御」と「前輪個別のブレーキ制御」の内、前者の制御に
関しては、図9(a)の場合と同様に左右の後輪21,
22の間に1340Nの駆動力の差を生じさせ、一方、
後者の制御に関しては、図9(b)の場合と同様に、い
ずれの車輪21,22,24,25にも制動力を発生さ
せない。
【0040】このように、車両C1の右旋回中の加速ト
レース時には、「協働制御」によって、左側後輪21よ
りも右側後輪22に駆動力を多く配分する。逆に、車両
C1の左旋回中の加速トレース時には、右側後輪21よ
りも左側後輪22に駆動力を多く配分する。つまり、こ
のような加速トレース時には、転舵方向を内側として、
外側後輪よりも内側後輪に駆動力を多く配分することに
よって、トレース性が向上することになる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
本発明の車両の制御装置は、車両の左右の後輪に対する
駆動力の配分制御と、左右の前輪に対する制動力の個別
制御とを組み合わせて、ヨーレート制御と駆動力分配制
御の制御対象となる車輪を前後輪に分けることにより、
車両の走行性能の向上を図りつつ、前後輪の全てに対す
る制動力の個別制御との組み合わせの場合に比して構成
の簡素化、装置全体の小型化、およびエネルギー効率の
向上を図ることができる。
【0042】請求項2に記載の本発明の車両の制御装置
は、車両の転舵走行時に、外側後輪よりも内側後輪に駆
動力を多く配分させ、かつ内側前輪よりも外側前輪に強
い制動力を付与することにより、車両のスピンを確実に
防止することができる。
【0043】請求項3に記載の本発明の車両の制御装置
は、車両の転舵走行時に、内側後輪よりも外側後輪に駆
動力を多く配分させ、かつ外側前輪よりも内側前輪に強
い制動力を付与することにより、車両のオーバースピー
ドによるコースアウトを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の制御系の概略構成
図である。
【図2】図1の付加バルブユニットおよびABSユニッ
トの液圧回路の構成図である。
【図3】図1の駆動力左右配分制御ユニットの概略構成
図である。
【図4】車両のスピン防止用制御モード時の制御特性の
説明図である。
【図5】車両のスピン防止用制御モード時の具体的な制
御例の説明図である。
【図6】車両のコースアウト防止用制御モード時の制御
特性の説明図である。
【図7】車両のコースアウト防止用制御モード時の具体
的な制御例の説明図である。
【図8】車両の加速トレース走行時の制御特性の説明図
である。
【図9】車両の加速トレース走行時の具体的な制御例の
説明図である。
【符号の説明】
10 コントローラ(制御手段) 11 駆動力左右配分制御部 12 前輪ブレーキ制御部 13 ABS制御部 14 TCS制御部 21,22 後輪 24,25 前輪 Y1 駆動力左右配分制御ユニット(駆動力配分変更手
段) Y2 付加バルブユニット Y3 ABSユニット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の左右の後輪に対する駆動力の配分
    を変更可能な駆動力配分変更手段と、 左右の前輪に対して制動力を個別に付与可能な制動力付
    与手段と、 車両の走行状態を検出する検出手段と、 前記検出手段の検出結果に基づいて、前記駆動力配分変
    更手段と前記制動力付与手段とを関連的に制御する制御
    手段とを備えたことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、車両の転舵走行時の制
    御モードとして、前記駆動力配分変更手段によって外側
    後輪よりも内側後輪に駆動力を多く配分させ、かつ前記
    制動力付与手段によって内側前輪よりも外側前輪に強い
    制動力を付与させるスピン防止用制御モードが選定可能
    であることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、車両の転舵走行時の制
    御モードとして、前記駆動力配分変更手段によって内側
    後輪よりも外側後輪に駆動力を多く配分させ、かつ前記
    制動力付与手段によって外側前輪よりも内側前輪に強い
    制動力を付与させるコースアウト防止用制御モードが選
    定可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両の
    制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056919A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Mitsubishi Motors Corp 車両の駆動力制御装置
JP2012091545A (ja) * 2010-10-25 2012-05-17 Toyota Motor Corp 車両の制駆動力制御装置
KR101427908B1 (ko) * 2008-04-21 2014-08-11 현대자동차 주식회사 차동제한장치를 구비한 시스템
US9789875B2 (en) 2007-09-05 2017-10-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brake/drive force controlling apparatus for vehicle

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