JP2009054698A - 磁気記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】メモリセルのサイズをより小さくして、小型化に寄与する磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】1つのメモリセル1は、アクセストランジスタ2と磁気抵抗効果素子3とから構成される。一方向に沿って位置するメモリセル1では、各磁気抵抗効果素子3の一端側はビット線4aに接続され、他端側はアクセストランジスタ2のドレインに接続されている。そのアクセストランジスタ2のソース側はソース線5に接続されている。磁気抵抗効果素子3のフリー層のスピンの向きを磁場のアシストによって反転させるためのデータアシスト線7が形成されている。データアシスト線7は、2つの磁気抵抗効果素子3で一本のデータアシスト線を共有する態様で、一方向に互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子3,3a,3bの間に平面的に位置するように形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】1つのメモリセル1は、アクセストランジスタ2と磁気抵抗効果素子3とから構成される。一方向に沿って位置するメモリセル1では、各磁気抵抗効果素子3の一端側はビット線4aに接続され、他端側はアクセストランジスタ2のドレインに接続されている。そのアクセストランジスタ2のソース側はソース線5に接続されている。磁気抵抗効果素子3のフリー層のスピンの向きを磁場のアシストによって反転させるためのデータアシスト線7が形成されている。データアシスト線7は、2つの磁気抵抗効果素子3で一本のデータアシスト線を共有する態様で、一方向に互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子3,3a,3bの間に平面的に位置するように形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は磁気記憶装置に関し、特に、トンネル磁気抵抗効果を有する磁気抵抗効果素子を用いた磁気記憶装置に関するものである。
近年、磁気抵抗効果素子を用いた磁気記憶装置の開発が進められている。磁気抵抗効果素子は、強磁性層、非磁性層および強磁性層の積層膜を基本とする積層構造を有し、2つの強磁性層のスピンが平行(状態“0”)の場合と反平行(状態“1”)の場合とで、積層膜を厚み方向に流れる電流の大きさが異なる性質を利用するものである。すなわち、磁気抵抗効果素子は、トンネル磁気抵抗効果を利用した素子である。
磁気記憶装置では、その磁気抵抗効果素子における2層の強磁性層による電子のスピンの2つの状態が、「1」または「0」に対応する情報として記録されることになる。一方、スピンの2つの状態での電流値の差あるいは抵抗値の違いを検知することによって、情報の読み出しが行なわれることになる。その強磁性層のスピンの向きを制御するために、電流を流すことによって発生する磁界を利用する磁気記憶装置がある。
ところが、この種の磁気記憶装置では、磁気記憶装置の微細化とともに磁気抵抗効果素子も微細化されると、強磁性層のスピンの向きを反転させるためのエネルギーが増大し、結果として極めて大きな電流を流さなければならず、消費電力が増大してしまうという問題が生じた。
これを解消するために、磁界を利用せずに磁気抵抗効果素子に電流を流すことによってスピンの向きを制御する磁気記憶装置が提案されている。この種の磁気記憶装置では、磁気抵抗効果素子を流れる電子が強磁性層の電子にエネルギーを与えることによって、強磁性層の電子のスピンの向きが制御されることになる。なお、磁気抵抗効果素子に電流を流すことによってスピンの向きを制御する磁気記憶装置を開示した文献として、たとえば、特許文献1,2および非特許文献1がある。
特開2006−54046号公報
特開2005−116888号公報
M.Durlam et al.,"A 0.18μm 4Mb Toggling MRAM", 2003 IEDM Tech. Dig., pp.995-997.
しかしながら、従来の磁気記憶装置では、次のような問題点があった。強磁性層の電子のスピンの向きを制御するために、磁気抵抗効果素子には約100μA〜500μA程度の電流を流す必要がある。そのため、磁気抵抗効果素子に接続されているアクセストランジスタのゲート幅にもその電流値に対応した相応の長さが要求されて、アクセストランジスタの占有面積を削減することができなかった。その結果、メモリセルのサイズを小さくすることができず、磁気記憶装置の小型化を阻害する要因の一つとなっていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、メモリセルのサイズをより小さくして小型化に寄与する磁気記憶装置を提供することである。
本発明に係る磁気記憶装置は、第1配線と複数の磁気抵抗効果素子と複数のスイッチング素子と第2配線と第3配線とを備えている。第1配線は第1の方向に延在する。複数の磁気抵抗効果素子は、第1配線に対して互いに間隔を隔ててそれぞれ接続されている。複数のスイッチング素子は、それぞれ電極、第1領域および第2領域を有し、複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれに対して第1領域にて接続されている。第2配線は、複数のスイッチング素子のそれぞれの第2領域と接続されて前記第1の方向に延在する。第3配線は、複数の磁気抵抗効果素子のうち、互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子の間に平面的に位置し、第1の方向と交差する第2の方向に延在する。
本発明に係る磁気記憶装置によれば、磁気抵抗効果素子における所定の層の電子のスピンの向きを磁場のアシストによって反転させるための第3配線が形成されていることで、そのような第3配線を備えない磁気記憶装置の場合と比べて、より少ない電流によって書き込み動作を行なうことができて、スイッチング素子の寸法を縮めることができる。また、その第3配線が、2つの磁気抵抗効果素子の間に平面的に位置することで、2つの磁気抵抗効果素子で一本の第3配線が共有化されて、スイッチング素子の寸法をさらに縮めることができる。その結果、磁気記憶装置の小型化を大幅に図ることができる。
実施の形態1
実施の形態1に係る磁気記憶装置について説明する。はじめに、磁気記憶装置のメモリセル1の回路図を図1に示す。図1に示すように、1つのメモリセル1は、アクセストランジスタ2と磁気抵抗効果素子3とから構成され、そのメモリセル1がマトリクス状に複数形成されている。複数のメモリセル1のうち、一方向に沿って位置するメモリセル1では、各磁気抵抗効果素子3,3a,3bの一端側は、一方向に延在するビット線4a,4b(第1配線)に接続され、他端側はアクセストランジスタ2,2a,2bのドレインに接続されている。そのアクセストランジスタ2,2a,2bのソース側は、ビット線4a,4bと平行に延在するソース線5(第2配線)に接続されている。一方向と直交する他の方向に沿って位置するメモリセル1では、各アクセストランジスタ2,2a,2bのゲート電極14が、他の方向に延在するワード線6a,6bに接続されている。
実施の形態1に係る磁気記憶装置について説明する。はじめに、磁気記憶装置のメモリセル1の回路図を図1に示す。図1に示すように、1つのメモリセル1は、アクセストランジスタ2と磁気抵抗効果素子3とから構成され、そのメモリセル1がマトリクス状に複数形成されている。複数のメモリセル1のうち、一方向に沿って位置するメモリセル1では、各磁気抵抗効果素子3,3a,3bの一端側は、一方向に延在するビット線4a,4b(第1配線)に接続され、他端側はアクセストランジスタ2,2a,2bのドレインに接続されている。そのアクセストランジスタ2,2a,2bのソース側は、ビット線4a,4bと平行に延在するソース線5(第2配線)に接続されている。一方向と直交する他の方向に沿って位置するメモリセル1では、各アクセストランジスタ2,2a,2bのゲート電極14が、他の方向に延在するワード線6a,6bに接続されている。
さらに、この磁気記憶装置のメモリセル1では、磁気抵抗効果素子3のフリー層(強磁性層)のスピンの向きを磁場のアシストによって反転させるためのデータアシスト線7(第3配線)が形成されている。後述するように、データアシスト線7は、2つの磁気抵抗効果素子3,3a,3bで一本のデータアシスト線を共有する態様で、一方向に互いに隣接する一の磁気抵抗効果素子3aと他の磁気抵抗効果素子3bとの間に平面的に位置するように形成されている。
次に、メモリセル1の構造を図2、図3および図4に示す。なお、図2および図3では、簡単のために層間絶縁膜等は図示されていない。まず、図2および図3に示すように、半導体基板10の表面上にゲート絶縁膜13を介在させてゲート電極14が形成されている。そのゲート電極14を挟んで半導体基板10の一方の側の領域にドレイン領域12が形成され、他方の側の領域にソース領域11が形成されている。ゲート電極14、ソース領域11およびドレイン領域12によりアクセストランジスタ2が構成される。
そのアクセストランジスタ2の上方には、ソース線5が形成されている。アクセストランジスタ2のソース領域11は、接続部材15を介してソース線5に接続されている。さらに、アクセストランジスタ2の上方には、磁気抵抗効果素子3が形成されている。磁気抵抗効果素子3は、ピン層16、非磁性層17およびフリー層18からなる積層構造とされる。各層の機能等については後述する。アクセストランジスタ2のドレイン領域12は、接続部材15を介して磁気抵抗効果素子3のピン層16に接続されている。その磁気抵抗効果素子3の上方にはビット線4aが形成されている。ビット線4aはソース線5と平行に延在する。磁気抵抗効果素子3のフリー層18がビット線4aに接続されている。
そして、本磁気記憶装置では、データアシスト線7が、2つの磁気抵抗効果素子3で一本のデータアシスト線を共有する態様で形成されている。図4に示すように、平面(2次元)的には、データアシスト線7は、ビット線4aが延在する方向に沿って互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子3,3a,3bの間の領域に位置する。そして、図2および図3に示すように、高さ(3次元)方向では、データアシスト線7は2つの磁気抵抗効果素子3,3a,3bが位置する高さよりも低い位置に形成されている。
次に、磁気抵抗効果素子3について説明する。図2または図3に示すように、情報としての磁化が行なわれる磁気抵抗効果素子3は、ピン層16、非磁性層17およびフリー層18の積層構造とされる。ピン層16およびフリー層18は、たとえば、CoFeBから形成された強磁性層からなり、ピン層16では磁化方向(電子のスピンの向き)が固定されている。非磁性層17は、たとえば、MgOから形成されている。また、フリー層18では、後述するように、スピン偏極した電子の注入と、データアシスト線7に流れる電流によって生じる磁界とによって磁化の向き(電子のスピンの向き)が変化する。
次に、上述した磁気記憶装置の動作として、まず、書き込み動作について説明する。磁気記憶装置では、情報として“0”を書き込む動作は、ピン層16の電子のスピンの向きとフリー層18の電子のスピンの向きとを同じ向きにする平行化書き込みと称される。一方、情報として“1”を書き込む動作は、ピン層16の電子のスピンの向きとフリー層18の電子のスピンの向きとを互いに反対の向きにする反平行化書き込みと称される。
はじめに、平行化書き込みについて説明する。まず、特定のメモリセル1に対応するビット線として、たとえばビット線4aに所定の電流を流し、対応するアクセストランジスタ2aをオンすることによって、電流はビット線4aから対応する磁気抵抗効果素子3a、アクセストランジスタ2aのドレイン領域12およびソース領域11を経てソース線5に流れる。このとき、図5に示すように、磁気抵抗効果素子3aでは、フリー層18からピン層16へ向って電流(矢印45)が流れることで、ピン層16の側には、電子20が注入される。この電子20のスピンには2つの向き(矢印31,32)が存在する。そのピン層16に注入された電子20のほとんどは、ピン層16を通過する際に、ピン層16の電子のスピンの向き(矢印40)と同じ向きを有するように電子のスピンが偏極されることになる。
次に、図6に示すように、ピン層16でスピン偏極した電子20は、非磁性層17を通過してフリー層18に達する。図7に示すように、フリー層18に達した電子20は、フリー層18の電子20へスピントルクを及ぼす。このとき、データアシスト線7に所定の電流を流すことによってデータアシスト線7の回りに形成される磁場が、電子20のスピンの回転をアシストする。磁場が電子20のスピンの回転をアシストすることで、容易にフリー層18の電子20のスピンの向きが変えられて、図8に示すように、フリー層18の電子20のスピンが反平行から平行へ反転することになる。なお、磁場によるアシストについては後で詳しく説明する。こうして、フリー層18の電子のスピンが反平行から平行(矢印42)へ反転し、平行化書き込みが完了する。
次に、反平行化書き込みについて説明する。まず、特定のメモリセル1に対応するソース線4aに所定の電流を流し、対応するアクセストランジスタ2bをオンすることによって、電流はソース線5から対応するアクセストランジスタ2bのソース領域11、ドレイン領域12および磁気抵抗効果素子3bを経てビット線4aに流れる。このとき、図9に示すように、磁気抵抗効果素子3bでは、ピン層16からフリー層18へ向って電流(矢印46)が流れることで、フリー層18の側に電子20が注入される。
次に、図10に示すように、フリー層18でスピン偏極した電子20は非磁性層17を通過する。非磁性層17を通過した電子20のうち、ピン層16の電子20のスピンの向き(矢印40)と同じ向きのスピンの電子20はトンネル確率が高く、ピン層16を容易にトンネルする。一方、ピン層16の電子のスピンの向きと反対向きのスピンの電子20は、ピン層16で反射されることになる。図11に示すように、ピン層16で反射された電子20は非磁性層17を通過し、フリー層18の電子20へスピントルクを及ぼす。
このとき、データアシスト線7に所定の電流を流すことによってデータアシスト線7の回りに形成される磁場が、電子20のスピンの回転をアシストする。磁場が電子20のスピンの回転をアシストすることで、容易にフリー層18の電子20のスピンの向きが変えられて、図12に示すように、フリー層18の電子20のスピンが平行から反平行へ反転することになる。なお、磁場によるアシストについては後で詳しく説明する。こうして、フリー層18の電子20のスピンが平行から反平行へ反転し、反平行化書き込みが完了する。
次に、磁気記憶装置の読み出し動作について説明する。読み出し動作は、アクセストランジスタ2をオンし、ビット線4a,4bから磁気抵抗効果素子3を流れアクセストランジスタ2のソース領域11を経てソース線5に流れる電流を測定することによって行なわれる。
平行化書き込みが行なわれた磁気抵抗効果素子3aでは、磁気抵抗効果素子3aの抵抗値は相対的に低くなる。そのため、磁気抵抗効果素子3aを経てソース線5を流れる電流値は基準電流値よりも高くなる。一方、反平行化書き込みが行なわれた磁気抵抗効果素子3bでは、磁気抵抗効果素子3bの抵抗値は相対的に高くなる。そのため、磁気抵抗効果素子3bを経てソース線5を流れる電流値は基準電流値よりも低くなる。
これにより、基準電流値よりも高い電流値が検知された磁気抵抗効果素子3aには、情報として“0”が書き込まれていると判断される。一方、基準電流値よりも低い電流値が検知された磁気抵抗効果素子3bには、情報として“1”が書き込まれていると判断される。こうして、メモリセル1の磁気抵抗効果素子3から、“0”あるいは“1”が読み出されることになる。
上述した磁気記憶装置では、磁気抵抗効果素子3のフリー層18の電子20のスピンの向きを磁場のアシストによって反転させるためのデータアシスト線7が形成されていることで、データアシスト線を備えない磁気抵抗効果素子の場合と比べて、より少ない電流によって書き込み動作を行なうことができ、そして、アクセストランジスタ2のゲート幅を縮めることができる。さらに、そのデータアシスト線7が、2つの磁気抵抗効果素子3で一本のデータアシスト線を共有する態様で形成されていることで、メモリセルのゲート長方向の寸法を縮めることができる。このことについて具体的に説明する。
まず、比較例として、データアシスト線を備えない磁気記憶装置を想定し、その書き込み動作について説明する。はじめに、平行化書き込みでは、図13に示すように、フリー層118からピン層116へ向って電流(矢印145)が流れることで、ピン層116の側に電子120が注入される。電子120のスピンには2つの向き(矢印131,132)が存在する。次に、図14に示すように、ピン層116を通過する電子120のほとんどは、ピン層116の電子のスピンの向きと同じ向き(矢印140)となるように電子120のスピンが偏極される。
ピン層116でスピン偏極した電子120は、非磁性層117を通過してフリー層118に達する。次に、図15に示すように、フリー層118に達した電子120は、フリー層118の電子120へスピントルクを及ぼす。そして、図16に示すように、フリー層118の電子120のスピンが反平行から平行(矢印142)へ反転し、平行化書き込みが完了する。
次に、反平行化書き込みでは、図17に示すように、ピン層116からフリー層118へ向って電流(矢印146)が流れることで、フリー層118の側に電子120が注入される。次に、図18に示すように、フリー層118でスピン偏極した電子120が非磁性層117を通過し、透過した電子120のうち、ピン層116の電子のスピンの向き(矢印140)と同じ向きのスピンの電子120がピン層116を容易にトンネルする。一方、ピン層116の電子のスピンの向きと反対向きのスピンの電子120は、ピン層116で反射されることになる。
次に、図19に示すように、反射された電子120は非磁性層117を通過し、フリー層118の電子120へスピントルクを及ぼす。そして、図20に示すように、フリー層118の電子120のスピンが平行から反平行へ反転し、反平行化書き込みが完了する。このように、比較例に係る磁気記憶装置では、磁気抵抗効果素子103に流される電流のみによって電子120のスピンの向きが変えられることになる。
一方、上述したデータアシスト線7を備えた磁気記憶装置の平行化書き込み動作では、図21に示すように、フリー層18に達した電子20が、フリー層18の電子20へスピントルクを及ぼす際に、データアシスト線7に電流が流されて、その電流によって生じる磁界(矢印47)によって、電子20のスピンの向きを反転させる動作がアシストされることになる。また、反平行化書き込み動作では、図22に示すように、フリー層18に達した電子20が、フリー層18の電子20へスピントルクを及ぼす際に、データアシスト線7に電流が流されて、その電流によって生じる磁界(矢印47)によって、電子20のスピンの向きを反転させる動作がアシストされることになる。
その結果、本磁気記憶装置では、書き込み動作において磁場(矢印47)のアシストを得ることで、電流のみによってフリー層の電子のスピンの向きを反転させる場合と比べて、約半分の電流をもってフリー層18の電子20のスピンを反転させて平行化書き込みや反平行化書き込みを行なうことができる。図5および図9(本磁気記憶装置)に示されるピン層18に注入される電子20の数と、図13および図17(比較例)に示されるピン層118に注入される電子120の数との差は、この電流値の相対的な違いを表すものである。
こうして、図23に示すように、比較例に係る磁気記憶装置では、書き込み動作を行なうための所望の電流を磁気抵抗効果素子103に流すために、アクセストランジスタ102のゲート電極114には所定のゲート幅Wが要求されるのに対して、図24に示すように、本磁気記憶装置では、その電流が比較例の場合の電流の約半分となることで、アクセストランジスタ2のゲート幅を約半分(W/2)に縮めることができる。
次に、他の比較例として、図25に示すように、磁気抵抗効果素子103の直下にデータアシスト線107a,107bが形成されている磁気記憶装置を想定する。この磁気記憶装置では、ゲート(ワード線)が延在する方向と直交する方向に位置する個々の磁気抵抗効果素子103に対応するデータアシスト線107a,107bを形成する領域を確保する必要がある。そのため、メモリセル101のゲート長方向には所定の長さL2が要求される。
一方、本磁気記憶装置では、電子のスピンの向きをアシストするデータアシスト線7は、2つの磁気抵抗効果素子3a,3bで一本のデータアシスト線を共有するように形成されている。これにより、データアシスト線7の数が半減し、メモリセル1のゲート長方向の長さL1(L1<L2)をさらに縮めることができる。こうして、メモリセル1領域のゲート幅方向の寸法とゲート長方向の寸法を縮めることができて、磁気記憶装置の小型化を大幅に図ることができる。
なお、データアシスト線が、2つの磁気抵抗効果素子で一本のデータアシスト線を共有するように形成されている場合には、磁気抵抗効果素子はデータアシスト線に対して斜め上方に位置することになる。そのため、図26に示すように、データアシスト線7,107に流される電流により発生する磁場(矢印47)のうち、磁気抵抗効果素子3,3a,3bのフリー層の電子のスピンの反転に寄与する磁場(水平成分)の強度は、データアシスト線107の直上に磁気抵抗効果素子103が位置する場合の磁場(水平成分)の強度と比べて弱くなるが、フリー層の電子のスピンの回転をアシストするには十分な強度とされる。
実施の形態2
前述した磁気記憶装置では、磁気抵抗効果素子が形成されている位置よりも低い位置に、データアシスト線が形成されている場合を例に挙げて説明した。ここでは、磁気抵抗効果素子が形成されている位置よりも高い位置に、データアシスト線が形成されている場合を例に挙げて説明する。
前述した磁気記憶装置では、磁気抵抗効果素子が形成されている位置よりも低い位置に、データアシスト線が形成されている場合を例に挙げて説明した。ここでは、磁気抵抗効果素子が形成されている位置よりも高い位置に、データアシスト線が形成されている場合を例に挙げて説明する。
そのメモリセルの構造を図27、図28および図29に示す。まず、図27に示すように、平面(2次元)的には、データアシスト線7はビット線4a,4bが延在する方向に沿って互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子3a,3bの間の領域に位置する。そして、図28および図29に示すように、高さ(3次元)方向では、データアシスト線7は2つの磁気抵抗効果素子3a,3bが位置する高さよりも高い位置に形成されている。また、ビット線4a,4bは、そのデータアシスト線7よりも薄く形成されている。
なお、これ以外の構成については前述した磁気記憶装置と同様なので、同一部材には同一符合を付しその説明を省略する。また、回路も前述した磁気記憶装置の回路と同様であり(図1参照)、その説明を省略する。
次に、上述した磁気記憶装置の動作について説明する。まず、書き込み動作は前述した磁気記憶装置の書き込み動作と同じである。はじめに、平行化書き込みでは、まず、ピン層の側に電子が注入される(図5参照)。次に、ピン層を通過する電子のほとんどは、ピン層の電子のスピンの向きと同じ向きを有するようにスピンが偏極される。ピン層でスピン偏極した電子は、非磁性層を通過してフリー層に達する(図6参照)。次に、フリー層に達した電子は、フリー層の電子へスピントルクを及ぼす(図7参照)。
このとき、図30に示すように、データアシスト線7に電流が流されて、その電流によって生じる磁界(矢印47)によって電子20のスピンの向きを反転させる動作がアシストされることになる。こうして、スピントルクと磁界によってフリー層18の電子20のスピンが反平行から平行へ容易に反転し、平行化書き込みが完了する(図8参照)。
次に、反平行化書き込み動作では、まず、フリー層の側に電子が注入される(図9参照)。次に、フリー層でスピン偏極した電子が非磁性層を通過し、透過した電子のうち、ピン層の電子のスピンの向きと同じ向きのスピンの電子がピン層を容易にトンネルする。一方、ピン層の電子のスピンの向きと反対向きのスピンの電子は、ピン層で反射される(図10参照)。次に、反射された電子は非磁性層を通過し、フリー層の電子へスピントルクを及ぼす(図11参照)。
このとき、図31に示すように、データアシスト線7に電流が流されて、その電流によって生じる磁界(矢印47)によって、電子20のスピンの向きを反転させる動作がアシストされることになる。こうして、スピントルクと磁界によってフリー層18の電子のスピンが反平行から平行へ容易に反転し、反平行化書き込みが完了する(図12参照)。
次に、読み出し動作も、前述した磁気記憶装置の読み出し動作と同じである。平行化書き込みが行なわれた磁気抵抗効果素子では、磁気抵抗効果素子の抵抗値は相対的に低くなる。一方、反平行化書き込みが行なわれた磁気抵抗効果素子では、磁気抵抗効果素子の抵抗値は相対的に高くなる。この性質を利用して、基準電流値よりも高い電流値が検知された磁気抵抗効果素子には、情報として“0”が書き込まれていると判断される。そして、基準電流値よりも低い電流値が検知された磁気抵抗効果素子には、情報として“1”が書き込まれていると判断される。こうして、メモリセルの磁気抵抗効果素子から、“0”あるいは“1”が読み出されることになる。
上述した磁気記憶装置では、書き込み動作において磁場のアシストを得ることで、電流のみによってフリー層の電子のスピンの向きを反転させる場合と比べて、約半分の電流をもってフリー層の電子のスピンを反転させて平行化書き込みや反平行化書き込みを行なうことができる。これにより、データアシスト線を備えない磁気記憶装置(図23参照)の場合と比較して、その電流が比較例の場合の電流の約半分となることで、図32に示すように、アクセストランジスタ2のゲート幅を約半分(W/2)に縮めることができる。
また、磁気抵抗効果素子の直下または直上にデータアシスト線が形成されている磁気記憶装置の場合(図25参照)と比較すると、データアシスト線の数が半減し、メモリセルのゲート長方向の長さL1をさらに縮めることができる。こうして、図32に示すように、メモリセル領域のゲート幅方向の寸法とゲート長方向の寸法を縮めることができて、磁気記憶装置の小型化を大幅に図ることができる。さらに、図33に示すように、データアシスト線7の数を削減できる分、たとえばアドレス選択信号線や電源配線等の他の配線8,9を形成することができる。
また、上述した磁気記憶装置では、電流のみによってフリー層の電子のスピンの向きを反転させる、データアシスト線を備えない磁気記憶装置の場合と比べて、ビット線に流す電流が大幅に低減する。これにより、ビット線の厚みをより薄く形成することができる。ビット線の厚みがより薄くなることで、データアシスト線に流される電流によって生じる磁場が磁気抵抗効果素子に及ぼす強度を強めることができ、より確実に電子のスピンを反転させることができる。また、電子のスピンの反転をアシストするのに、より少ない電流をもって行なうことができる。
なお、上述した各磁気記憶装置の書き込み動作において、データアシスト線7に流す電流の向きとして、紙面に向って手前から奥へ向って流す場合を例に挙げて説明したが、紙面に向って奥側から手前へ向って流すようにしても、電子のスピンの反転をアシストすることができる。
また、上述した各磁気記憶装置では、データアシスト線7は、平面的には、ビット線4aが延在する方向に沿って互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子3,3a,3bの間の領域のほぼ中央に位置する場合を例に挙げて説明した。データアシスト線の平面的(2次元)な位置としては、1本のデータアシスト線の磁界が互いに隣接する磁気抵抗効果素子の双方に及ぶのであれば、このような中央付近に限られず、データアシスト線の一部が一方の磁気抵抗効果素子に平面的に重なるような位置でもよい。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 メモリセル、2,2a,2b アクセストランジスタ、3,3a,3b 磁気抵抗効果素子、4a,4b ビット線、5 ソース線、6a,6b ワード線、7 データアシスト線、8,9 配線、10 半導体基板、11 ソース領域、12 ドレイン領域、13 ゲート絶縁膜、14 ゲート電極、15 接続部材、16 ピン層、17 非磁性層、18 フリー層、20 電子。
Claims (7)
- 第1の方向に延在する第1配線と、
前記第1配線に対して互いに間隔を隔ててそれぞれ接続された複数の磁気抵抗効果素子と、
それぞれ電極、第1領域および第2領域を有し、複数の前記磁気抵抗効果素子のそれぞれに対して前記第1領域にて接続された複数のスイッチング素子と、
複数の前記スイッチング素子のそれぞれの前記第2領域と接続されて前記第1の方向に延在する第2配線と、
複数の前記磁気抵抗効果素子のうち、互いに隣接する2つの磁気抵抗効果素子の間に平面的に位置し、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する第3配線と
を備えた、磁気記憶装置。 - 前記第3配線は、2つの前記磁気抵抗効果素子が位置する高さよりも低い位置に形成された、請求項1記載の磁気記憶装置。
- 前記第1配線は前記第1領域よりも上方に位置し、
前記磁気抵抗効果素子は、前記第1配線が位置する高さと前記第1領域が位置する高さとの間の高さに位置し、
前記第2配線は、前記磁気抵抗効果素子が位置する高さと前記第1領域が位置する高さとの間の高さに位置し、
前記第3配線は、前記第2配線が位置する高さよりも高い位置に位置する、請求項2記載の磁気記憶装置。 - 前記第3配線は、2つの前記磁気抵抗効果素子が位置する高さよりも高い位置に形成された、請求項1記載の磁気記憶装置。
- 前記第1配線は前記第1領域よりも上方に位置し、
前記磁気抵抗効果素子は、前記第1配線が位置する高さと前記第1領域が位置する高さとの間の高さに位置し、
前記第3配線は、前記第1配線が位置する高さよりも高い位置に位置する、請求項4記載の磁気記憶装置。 - 前記第1配線は前記第3配線よりも薄く形成された、請求項4または5に記載の磁気記憶装置。
- 前記第3配線は、互いに隣接する2つの前記磁気抵抗効果素子の間に平面的に中央に形成された、請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記憶装置。
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- 2007-08-24 JP JP2007218351A patent/JP2009054698A/ja not_active Withdrawn
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