JP2009054561A - 燃料電池セルおよび燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】排水効率が向上し、酸化剤の効率的供給が可能な燃料電池セルおよび燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質膜と該電解質膜を挟んで存在する2つの触媒層とからなる膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟んで存在する2つのガス拡散層と、前記2つのガス拡散層のうちの一方のガス拡散層と接触して存在する酸素供給層と、2つの集電体と、シール部と、を少なくとも有する燃料電池セルであって、前記燃料電池セルが有する側面のうち前記電解質膜のプロトン伝導方向と平行な側面がその一部に開口部を有し、前記酸素供給層と接するガス拡散層の一部が、前記燃料電池セルの外表面の一部をなしている燃料電池セルおよびそれを用いた燃料電池。
【選択図】図8

Description

本発明は燃料電池セルおよび燃料電池に関するものであり、特にカソード側のガス拡散層に特徴を有する燃料電池セルおよび燃料電池に関する。
図12は従来のパッシブ型燃料電池セルを表す断面模式図である。中央に触媒層付き電解質膜4を有し、その外側にアノード側ガス拡散層5、カソード側ガス拡散層3を有する。図12の上部はアノードで燃料剤として水素が供給され、下部はカソードで酸化剤として酸素(大気)が供給される。アノード側は水素が供給されるために、シール部9でシールされリークが生じないように形成されている。これに対してカソード側の流路2は空気を供給するために開口部8を有している。
アノードに供給された水素は酸化反応
によってプロトンになり、電解質膜を通りカソード側へ供給される。カソードでは開口部8から拡散によって供給された酸素が到達しており、プロトンと以下の反応が行われる。
全反応は
となり、水が発生する。発生した水は自然拡散によって開口部8より排出するかもしくはガス拡散層3や流路2で液化し滞留する。
特にガス拡散層3や流路2で液化した水は蒸発して排出されるまでその場所に滞留しつづけるため、放置しておくとカソードへの酸素供給に影響を及ぼす。
このような問題に対して、特許文献1では、ガス拡散層に貫通孔を設けることにより、触媒層とガス拡散層の間に滞留した水分を効率よく排出する提案がなされている。
しかしながら、触媒層とガス拡散層の間に滞留した水分をガス拡散層の外側へ効率よく排出しても、ガス拡散層の外側に配置された酸素供給層で水分が結露・凝集し、燃料電池性能へ悪影響を与える可能性があった。これは、触媒層とガス拡散層の間に滞留した水分の移動速度を高めても、燃料電池系外へ水分を排出する速度は変わらないためである。そこで、発生した水分を燃料電池系外へ効率よく排出する技術が強く求められていた。
特開2002−110182号公報
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、カソード側に発生する水を排出するためにカソード側のガス拡散層の構造を改良することにより、排水効率が向上し、酸化剤を効率的に供給可能な燃料電池セルおよび燃料電池を提供するものである。
本発明は、電解質膜と該電解質膜を挟んで存在する2つの触媒層とからなる膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟んで存在する2つのガス拡散層と、前記2つのガス拡散層のうちの一方のガス拡散層と接触して存在する酸素供給層と、2つの集電体と、シール部と、を少なくとも有する燃料電池セルであって、前記燃料電池セルが有する側面のうち前記電解質膜のプロトン伝導方向と平行な側面がその一部に開口部を有し、前記酸素供給層と接するガス拡散層の一部が、前記燃料電池セルの外表面の一部をなしていることを特徴とする燃料電池セルである。
前記開口部を含む平面に垂直かつ前記プロトン伝導方向に平行な面で前記燃料電池セルを切断した際の断面における前記酸素供給層と接するガス拡散層の前記開口部を含む平面に垂直な方向での端部が、前記ガス拡散層に接触する複数の部材が有する前記開口部を含む平面に垂直な方向での端部のうち前記燃料電池セルの中心から前記開口部を含む平面に垂直な方向に最も離れた端部を含む平面と同一平面上に存在するもしくは前記平面を基準として前記燃料電池セルの中心と反対側に存在することが好ましい。
前記酸素供給層と接するガス拡散層が、前記燃料電池セルの外表面の一部となる領域を少なくとも2つ有しており、前記2つの領域は対向して存在することが好ましい。
前記酸素供給層と接するガス拡散層が第1の領域と第2の領域とからなり、前記第1の領域が前記酸素供給層と接するガス拡散層の中心を含み、前記第2の領域が前記外表面の一部である領域を含み、前記第2の領域が前記第1の領域よりも相対的に親水性が高いことが好ましい。
前記第2の領域が親水性であることが好ましい。
前記燃料電池セルへの酸化剤の供給は自然拡散あるいは自然対流によって行なわれることが好ましい。
また、別の本発明は、前記燃料電池セルが二つ以上積層されて構成される燃料電池セルスタックを有する燃料電池である。
また、別の本発明は、電解質膜の両側のカソード側およびアノード側に触媒層、ガス拡散層、電極、及び支持部材を有する積層構造体から構成されている燃料電池セルであって、前記カソード側のガス拡散層の一部は前記積層構造体の外部に露出していることを特徴とする燃料電池セルである。
前記カソード側のガス拡散層の一部は積層構造体の外側面の一部を形成して大気中に露出していることが好ましい。
前記カソード側のガス拡散層の一部は積層構造体の外側面から突出して大気中に露出していることが好ましい。
前記積層構造体の外部に露出しているカソード側のガス拡散層の一部には親水処理が施されていることが好ましい。
前記カソード側のガス拡散層は少なくとも2つ以上の部材から構成され、該部材の1つは積層構造体の外部に露出しているガス拡散層の一部を含むことが好ましい。
前記燃料電池セルへの酸化剤の供給は自然拡散あるいは自然対流によって行なわれることが好ましい。
また、別の本発明は、前記燃料電池セルが少なくとも二つ以上積層して構成される燃料電池セルのスタックである。
本発明によれば、カソード側に発生する水を排出するためにカソード側のガス拡散層の構造を改良することにより、排水効率が向上し、酸化剤を効率的に供給可能な燃料電池セルおよび燃料電池を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る燃料電池セルは、電解質膜と該電解質膜を挟んで存在する2つの触媒層とからなる膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟んで存在する2つのガス拡散層と、前記2つのガス拡散層のうちの一方のガス拡散層と接触して存在する酸素供給層と、2つの集電体と、シール部と、を少なくとも有する燃料電池セルであって、前記燃料電池セルが有する側面のうち前記電解質膜のプロトン伝導方向と平行な側面がその一部に開口部を有し、前記酸素供給層と接するガス拡散層の一部が、前記燃料電池セルの外表面の一部をなしていることを特徴とする。
以下、第1から第4の実施形態に本発明の燃料電池セルおよび燃料電池の形態例を示す。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における燃料電池の全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池10は、燃料電池セル(発電セル)10Sを積み重ねて直列に接続したセルスタック(燃料電池スタック)10Aを備える。セルスタック10Aの下方には、燃料ガスを貯蔵して燃料電池セル10Sに供給する燃料タンク10Bが存在し、セルスタック10Aと燃料タンク10Bとは、燃料ガスの流路(図示せず)によって接続されている。燃料タンク10Bから取り出された燃料ガスは、大気圧よりわずかに高い圧力に調整されてそれぞれの燃料電池セル10Sに供給される。
燃料電池セル10Sは、燃料電池セルが有する側面のうち、電解質膜のプロトン伝導方向と平行な方向のセルの端面であるS1、S2内に開口部(開放部)8を有する。より詳細には、燃料電池セル10Sを構成する構成要素である酸素供給層が有する側面のうちプロトン伝導方向と平行な側面のうちの二つの側面に開口部8を有する。
開口部8は、大気中の空気を自然拡散あるいは自然対流によって燃料電池セル10Sに取り込む空気取り入れ口として機能するものであり、シールされておらず、流路と外気とが連通している部分である。図1に示すように、燃料電池セル10Sは、燃料タンク10Bから供給された燃料ガスと開口部8から取り込んだ空気中の酸素とを反応させて発電する。なお、燃料電池セルが直方体である場合には対向する2つの側面にそれぞれ開口部を有していることが好ましい。
次に、本実施形態の燃料電池セルの例を図2に示す。図2は、本実施形態の燃料電池セルを燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面図である。
図2に示すように、本実施形態の燃料電池セルは、触媒層付き電解質膜4の両側にアノード側ガス拡散層5、カソード側ガス拡散層3を有し、さらにその外側に燃料もしくは酸化剤を供給する為のアノード側流路6,カソード側流路2を有している。言い換えれば、本実施形態の燃料電池セルは、電解質膜と該電解質膜の両面に接触して形成された2つの触媒層(それぞれ燃料極、酸素極)とからなる膜電極接合体4と、該膜電極接合体を挟んで存在するカソード側ガス拡散層3およびアノード側ガス拡散層5と、前記カソード側ガス拡散層に接触して存在する酸素供給層(カソード側流路)2と、前記アノード側ガス拡散層に接触して存在する燃料供給層(アノード側流路)6と、シール部9と、2つの集電体(カソード側集電体1、アノード側集電体7)とを有している。
また、図2では、アノード側ガス拡散層5とアノード側集電体7との間に燃料供給層6が存在している形態を示しているが、アノード側ガス拡散層5のみが存在し、アノード側ガス拡散層5が燃料供給層6の機能を兼ねていても良い。
本実施形態の燃料電池セルは、燃料電池セルが有するカソード側ガス拡散層3が燃料電池セルの外表面(外側面)の一部をなしている。言い換えれば、本実施形態の燃料電池セルは、カソード側ガス拡散層の一部を前記積層構造体から大気中に露出させた構成をなしている。具体的には、カソード側のガス拡散層の積層面のエッジをシールしている部材の一部を取り除くことで、カソード側ガス拡散層の一部を前記積層構造体から大気中に露出させた構成とすることができる。
また、本実施形態の燃料電池セルは、燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で燃料電池セルを切断した際の断面において、長さ(A)が長さ(B)と同じもしくは長さ(B)よりも短く、長さ(C)が長さ(D)と同じもしくは長さ(D)より短い構成である。
ここで、長さ(A)とは、前記断面において前記カソード側ガス拡散層3のうちの前記膜電極接合体4と接触している部分を含む一方の端部から他方の端部までの長さである(図2ではβ)。また、長さ(B)とは、前記断面において前記膜電極接合体4およびシール部9を合わせた部分のうちの前記カソード側ガス拡散層3と接触している部分を含む一方の端部から他方の端部までの長さ(図2ではα)である。なお、前記断面において、図2のように、シール部9の端部が前記膜電極接合体の前記カソード側ガス拡散層3との接触部分と同一平面に存在する場合は、前記膜電極接合体4およびシール部9を合わせた部分のうちの前記カソード側ガス拡散層3と接触している部分を含む一方の端部から他方の端部の長さを長さ(B)とするが、図7のように、同一平面に存在しない場合は、前記膜電極接合体の前記カソード側ガス拡散層3と接触している部分を含む一方の端部から他方の端部までの長さ(図7のγ)を長さ(B)とする。また、長さ(C)とは、前記断面において、前記カソード側ガス拡散層3のうちの前記酸素供給層2と接触している部分を含む一方の端部から他方の端部までの長さ(図2ではω)である。さらに、長さ(D)とは、前記断面において、前記酸素供給層2のうちの前記カソード側ガス拡散層3と接触している部分を含む一方の端部から他方の端部までの長さ(図2ではθ)である。
酸素供給層と接するガス拡散層の一部が、燃料電池セルの外表面の一部をなしているとは、酸素供給層と接するガス拡散層の一部が燃料電池セルが有する領域のうちの最表面の領域の一部をなしているということである。つまり、本発明および本実施形態において、外表面とは、燃料電池セルが有する領域のうちの最表面の領域のことであり、燃料電池セル外部から光を燃料電池セルに照射した際に、光が当たる部分のことである。
前記酸素供給層と接するガス拡散層が第1の領域と第2の領域とからなり、前記第1の領域が前記酸素供給層と接するガス拡散層の中心を含み、前記第2の領域が前記外表面の一部である領域を含み、前記第2の領域が前記第1の領域よりも相対的に親水性が高いことが好ましい。
例えば、カソード側ガス拡散層3が直方体形状である場合には、図2に示すように、前記直方体が有する側面のうち開口部8を含む平面と平行な側面であって対向する領域である領域aおよびbが、燃料電池セルの外表面(外側面)の一部となる。
なお、本実施形態の燃料電池セルは、図2に示す構成以外にも図3に示す構成とすることができる。
図2では、前記長さ(A)が前記長さ(B)よりも短く、前記長さ(C)が前記長さ(D)と同じ長さである構成の燃料電池セルである。
一方、図3は、前記断面において、前記長さ(A)が、前記長さ(B)よりも短く、前記長さ(C)が前記長さ(D)よりも短い構成の燃料電池セルである。
このような構成とすることにより、カソード側ガス拡散層3の一部が大気中に露出し、発電によって生じた水分が、酸素供給層2を経由することなく、ガス拡散層3から直接大気に排出されるため、蒸散性が向上する。
なお、図2および図3に示す構成の燃料電池セルにおいて、図4および図5に示すように、カソード側ガス拡散層3の近傍のシール部9の一部がカソード側ガス拡散層の一部を接触せずに覆う庇のような形状をなしていても良い。このような場合であっても、カソード側ガス拡散層3の一部が、燃料電池セルが有する外表面の一部となり、カソード側ガス拡散層3の一部が大気中に露出する。
また、図6のように、前記断面において、カソード側ガス拡散層3のうちの膜電極接合体4と接触している部分の長さとカソード側ガス拡散層3のうちの酸素供給層2と接触している部分の長さが異なっていても良い。
また、本実施形態の燃料電池セルは、図1に示したように、燃料電池セルを2つ以上積層し、燃料電池セルスタックとして用いることが好ましい。特に、同じ燃料電池セルを積層して燃料電池スタックを構成する場合、同じ燃料電池セルが積層していることによる空気の供給および水の排出経路が制限されてしまうため、本実施形態の燃料電池セルを用いることが有効である。例えば、燃料電池セルが二つ以上積層されて構成される燃料電池セルスタックを有する燃料電池が挙げられる。
以下に、図2を用いて、燃料電池セルを構成する各部分について説明する。
酸素供給層2は、発電に伴って膜電極接合体4で生成された水(水蒸気)をカソード側ガス拡散層3から開口部8へ導いてセル内部から大気中へ排出する機能を有する。そのため、酸素供給層2は、導電性を有する多孔質体であることが好ましい。このような条件を満たす酸素供給層2としては、空孔率が80%以上、空孔径が0.1mm以上であることが好ましく、具体的な材料としては、発泡金属、ステンレスウールなどが好ましい。
アノード側ガス拡散層5は、導電性を有し、かつ膜電極接合体4と燃料供給層6との間に両者に接触して存在する。そして、燃料である水素ガスを膜電極接合体に燃料を供給し、水素のイオン化によって余剰となった電子を膜電極接合体4の触媒層から集電する。なお、燃料供給層6が存在しない場合は、アノード側ガス拡散層5がアノード側集電体7に接触する。なお、図1に示した燃料タンク10Bから取り出された燃料ガスは、燃料ガスの主流路から分岐して、燃料電池セル10S内の燃料供給層6に供給される。そして、燃料供給層6に供給された燃料ガスはアノード側ガス拡散層5内に拡散する。
また、カソード側ガス拡散層3は、膜電極接合体4と酸素供給層2との間に両者に接触して存在し、酸素を拡散させ、触媒層(酸素極)での電極反応に必要な電子を膜電極接合体4の触媒層(酸素極)に供給する役割する。なお、ガス拡散層3の平均空孔径は、酸素供給層2の平均空孔径よりも小さいことが好ましい。
さらに、カソード側ガス拡散層3は複数の層で構成することができる。例えば、図2では、カソード側ガス拡散層燃料供給層6を構成する材料の平均開口径は100μmから900μmであることが好ましい。
また、カソード側ガス拡散層3も、導電性を有し、酸素供給層2よりも小さな空孔を有する材料からなる。カソード側ガス拡散層3を構成する材料が有する平均開口径は、同様に、酸素極である触媒層を構成する材料の平均開口径よりも大きく、酸素供給層2を構成する材料の平均開口径よりも小さい。このような開口径とすることで、酸素供給層2が絞り抵抗として機能し、膜電極接合体4の表面全体に均等な圧力かつ均等な流量密度で酸素を供給する。
なお、カソード側ガス拡散層3が有する空孔は、酸素供給層2と膜電極接合体4とを連通する貫通孔であっても良い。カソード側ガス拡散層3が高密度な貫通孔を有していることにより、膜電極接合体4とカソード側ガス拡散層3との間に滞留した生成水を酸素供給層2まで吸い上げることも可能となる。このような拡散層3および拡散層5を構成する材料としては、カーボンペーパー、カーボンクロスなどを用いることができる。
膜電極接合体4は、電解質膜と、該電解質膜の両面に接触して形成された2つの触媒層(燃料極、酸素極)からなる。電解質膜は、燃料供給層6から酸素供給層2の方向にプロトン伝導を行うことができるものであれば、どのような材料からなるものでも構わない。このような電解質膜の中では固体高分子電解質膜が好ましく、そのような例としては、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体であるデュポン社のナフィオン(登録商標)などが挙げられる。
また、2つの触媒層は、触媒活性を有する物質を少なくとも有する。なお、触媒活性を有する物質が単体で存在できない場合には、担持体に触媒活性物質を担持させることで触媒層としても良い。触媒活性物質が単体で存在する例としては、スパッタ法により形成した樹枝状形状の白金触媒などが挙げられる。
一方、担持体に触媒活性物質が担持される例としては、白金担持カーボン粒子などが挙げられる。なお、触媒層にはカーボン粒子などの電子伝導体やプロトン伝導体(高分子電解質材料)が含まれていても良い。触媒層は電解質膜の表面に接触して一体化していても良いが、触媒層が電解質膜と接しており水素イオン等の化学種の受け渡しが可能であれば、膜電極接合体4として一つに形成する必要はない。また、触媒層の平均開口径は10nmから100nmであることが好ましい。なお、以下の明細書において、燃料供給層側の触媒層を燃料極、酸素供給層側の触媒層を酸素極と呼ぶ場合もある。
アノード側集電体7およびカソード側集電体1は、発電によって発生した電流を集電する機能を有する。アノード側集電体7は、燃料供給層6と接触して存在し、カソード側集電体1は酸素供給層2と接触して存在する。
シール部9とは、燃料極の機密性を保持する機能を有するものであり、燃料が外気に漏れ出すのを防ぐ、あるいは、燃料極への空気の混入を防ぐものである。機密性の高い部材であれば、どのような材料を用いることもでき、組み合わせて使用してもよい。例えば、ステンレスやアルミ合金、もしくはステンレスとシリコン製のガスケット、フッ素ゴム製のO−リング(ring)などのシール材を組み合わせて用いることができる。
燃料電池セルは、支持部材を有していても良い。支持部材は、燃料電池セルの構成を保持する機能を有するものであり、保持するのに十分は強度を持つ部材で構成されることが好ましい。このような部材としては、例えば、ステンレスなどが挙げられる。
(第2の実施形態)
図8に、本実施形態の燃料電池セルを、燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面図を示す。
本実施形態においては、カソード側ガス拡散層3が燃料電池セルの外表面(外側面)の一部であり、かつ燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面において、前記長さ(A)が、前記長さ(B)と同じであり、前記長さ(C)が長さ(D)よりも長い構成である。これらの長さの関係以外は第1の実施形態と同様である。
例えば、カソード側ガス拡散層3が直方体形状である場合には、前記直方体が有する側面のうち開口部8を含む平面と平行な側面である領域cおよびeと、前記直方体が有する側面のうちの開口部8を含む平面に垂直かつ酸素供給層2に最も近い側面の一部の領域であるdおよびfが、燃料電池セルの外表面(外側面)の一部となる構成とする。
このような構成とすることにより、カソード側ガス拡散層3の一部が大気中に露出し、発電によって生じた水分が、酸素供給層2を経由することなく、カソード側ガス拡散層3から直接大気に排出されるため、蒸散性が向上する。すなわち、カソード側ガス拡散層に滞留している液滴に対する蒸発が促進され、排水の効率が上昇する。
(第3の実施形態)
図9に、本実施形態の燃料電池セルを、燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面図を示す。
本実施形態においては、燃料電池セルが、カソード側が燃料電池セルの外表面(外側面)の一部であり、かつ燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面において、前記長さ(A)が前記長さ(B)よりも長く、長さ(C)が長さ(D)よりも長い構成である。言い換えれば、カソード側ガス拡散層が大気中に突出している構成である。これらの長さの関係以外は第1の実施形態と同様である。
例えば、カソード側ガス拡散層3が直方体形状である場合には、前記直方体が有する側面のうち開口部8を含む平面と平行な側面である領域hおよびkと、前記直方体が有する側面のうちの開口部8を含む平面に垂直かつ酸素供給層2に最も近い側面の一部の領域であるiおよびlと、前記直方体が有する側面のうちの開口部8を含む平面に垂直かつ膜電極接合体4に最も近い側面の一部の領域であるgおよびjが、燃料電池セルの外表面(外側面)の一部となる構成とする。
通常、ガス拡散層の役割は触媒層に燃料剤もしくは酸化剤を供給し、触媒反応によって生じた電気を集電する役割を果たすため、触媒層付き電解質膜4の有効作用部以外にガス拡散層の大気中に露出している部分はこれらの役割を直接果たすことは無い。しかし、この大気中に露出している部分を形成することにより、カソードで発生した水分を直接大気中に排出することが可能となるのである。
このような構成とすることにより、第1および第2の実施形態の燃料電池セルよりも外部に露出する面積が増加するため、より速やかな蒸発による水分の排出が可能となる。カソード側ガス拡散層3の一部が大気中に露出し、発電によって生じた水分が、酸素供給層2を経由することなく、カソード側ガス拡散層3から直接大気に排出されるため、蒸散性が向上する。すなわち、カソード側ガス拡散層に滞留している液滴に対する蒸発が促進され、排水の効率が上昇する。
(第4の実施形態)
図10に、本実施形態の燃料電池セルを、燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面図を示す。
本実施形態は、燃料電池セルが有する開口部8を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で切断した際の断面において、カソード側ガス拡散層を少なくとも、カソード側ガス拡散層の中心を含む領域である第1の部分と、燃料電池セルの外表面の一部を含む第2の部分とで構成し、前記第2の部分が前記第1の部分よりも相対的に親水性が高い構成の第3の実施形態の燃料電池セルである。
ここで、カソード側ガス拡散層の中心とは、カソード側ガス拡散層が単体で存在する場合に、カソード側ガス拡散層の表面に存在する点を3次元の座標で示した際に、前記カソード側ガス拡散層の表面に存在する全ての点の座標を平均した座標を有する点のことである。
例えば、図11のように、主に膜電極接合体4にガス(酸素)を拡散するための第1の部分sと、主に水蒸気や液滴を排出するための第2の部分tとでカソード側ガス拡散層3を設ける構成とし、第1の部分sと第2の部分tとを積層平面方向(開口部を含む平面に垂直な方向)でつなぎ合わせて用いることができる。
このような構成とすることで、発電によって生じた水をより外部に排出することが容易となる。
なお、第2の部分sは親水性であることが好ましい。ここで、本発明において「Aが親水性」とは、Aに水滴を滴下した際に、水の接触角が90°以下の角度になるものである。なお、Aが多孔質体でありかつ親水性が極端に高い場合には、Aが瞬時に水滴を吸収し、接触角が測れない場合があるが、そのような場合も親水性に含まれることは言うまでもない。
カソード側ガス拡散層3のうち、触媒層の有効反応領域に接している部分(第1の部分s)と、大気中に突出している部分(第2の部分t)はお互い役割が異なるので必ずしも単一部材で構成する必要は無い。なお、単一部材を用いてカソード側ガス拡散層を構成する場合は、カソード側ガス拡散層のうちの親水性にしたい部分に親水処理を行うなどの方法を用いることができる。つまり、第2の部分tを親水性とする場合であって、第2の部分tとして親水性材料を用いる場合には、そのままカソード側ガス拡散層の一部として用いることができる。しかしながら、親水性でない単一部材を用いてカソード側ガス拡散層を構成する場合には、第2の部分tとする部分に親水処理を施して第2の部分tを親水性とすることができる。なお、前記親水性材料には吸水性繊維などの吸水性材料も含まれる。ここで、吸水性繊維とは、毛管現象により水を引き上げることのできる繊維であり、より具体的には吸水性繊維を水に漬けた時に10秒後の水の吸い上げ高さが30mm以上の材料を示す。
なお、前述した実施形態1から4の燃料電池セルは以下のような構成の燃料電池セルも含む。前記燃料電池セルが有する酸素供給層と接触するガス拡散層の一部が、前記燃料電池セルの外表面の一部をなし、かつ前記燃料電池セルが有する開口部を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で前記燃料電池セルを切断した際の断面における前記ガス拡散層の前記開口部を含む平面に垂直な方向での端部が、前記ガス拡散層に接触する複数の部材(膜電極接合体もしくは膜電極接合体およびシール部)が有する前記開口部を含む平面に垂直な方向での端部のうち前記燃料電池セルの中心から前記開口部を含む平面に垂直な方向に最も離れた端部と同一平面上に存在することを特徴とする燃料電池セルである。言い換えれば、前記燃料電池セルが有する酸素供給層と接触するガス拡散層の一部が、前記燃料電池セルの外表面の一部をなし、かつガス拡散層と接触する膜電極接合体のガス拡散層側の端部と膜電極接合体に接触しているシール部のガス拡散層に最も近い端部が同一平面上に存在する燃料電池セルである。
ここで、燃料電池セルの中心とは、燃料電池セルの外表面に存在する点を3次元の座標で示した際に、前記燃料電池セルの外表面に存在する全ての点の座標を平均した座標を有する点のことである。
また、実施形態1から4の燃料電池セルの集電体と酸素供給層との間に吸水層を設けることもできる。なお、吸水層は、吸水性繊維で構成することができる。
また、本発明は、前述したように、特に前記燃料電池セルをスタックした場合により功を奏する。燃料電池セルを積層方向に対してスタックした場合、個々の燃料電池セルは、燃料電池セル側面の開口部からのみ空気を取り入れることになる。そのため、このようなスタックでは燃料電池セルの中央部で発生した水の排水性が著しく悪化する。このような場合、本発明の構成をとることで排水性を向上させることが出来る。しかし、本質的に本発明はセルのスタック形状には依存しない。上記スタック構造は本発明の効果をより十分に生かすことが出来る形態の一つであるが、これは本発明がこのスタックという形態に依存する事を意味するものではない。
以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
以下では、本発明を実施するための代表的な形態を、図8を用いて説明する。
本実施例の燃料電池セルは、触媒層付き電解質膜4の両側にアノード側ガス拡散層5およびカソード側ガス拡散層3を有し、さらにその外側に燃料を供給するための燃料供給層6および酸化剤を供給するための酸素供給層2を有している。
本実施例の燃料電池セルは、図8に示す通り、カソード側ガス拡散層3をシールしているシール部の一部を取り除いた構造を有しており、カソード側ガス拡散層3の一部が積層構造体の外側面12の一部を形成して大気中に露出している構造である。なお、13はカソード側ガス拡散層3の大気中に露出している部分を表す。
実施例2
以下では、本発明を実施するための代表的な形態を、図9を用いて説明する。
本実施例の燃料電池セルは、触媒層付き電解質膜4の両側にアノード側ガス拡散層5およびカソード側ガス拡散層3を有し、さらにその外側に燃料を供給するための燃料供給層6および酸化剤を供給するための酸素供給層2を有している。
本実施例の燃料電池セルは、図9に示す通り、カソード側ガス拡散層3をシールしているシール部の一部を取り除き、カソード側ガス拡散層3の一部が積層構造体の外側面の一部を構成し、かつ大気中に突出している構造である。なお、14はカソード側ガス拡散層3の大気中に突出している突出部分を表す。
実施例3
実施例1および2を更に発展させたものが図10に示す構造である。ここでは、図9の燃料電池セルが有するカソード側ガス拡散層の突出している箇所に親水処理を施した例である。
本実施例の燃料電池セルは、図10に示す通り、カソード側ガス拡散層3をシールしているシール部の一部を取り除き、カソード側ガス拡散層3の一部が積層構造体の外側面の一部を構成し、かつ大気中に突出している構造である。そして、突出している部分に親水処理が施されている。なお、15はカソード側ガス拡散層3の大気中に突出している親水処理部分を表す。
ガス拡散層は一般的に撥水性である。それはガス拡散層内で発生した水がその場に長く滞留すると燃料剤または酸化剤の供給を阻害するためである。そのため、一定量の水が滞留するとガス拡散層が水をはじいて流路側に送り込むために撥水性であることが望ましい。しかし、大気中に突出している箇所は、電解質膜の触媒反応に関わらない箇所であるため、撥水である必要は無い。むしろ親水性となって、触媒反応が生じる箇所より水を吸引する構造であることが望ましい。
上記の通り、ガス拡散層のうち、触媒層の有効反応領域に接した本来のガス拡散層の領域と、大気中に突出している箇所はお互い役割が異なるので単一部材で構成する必要は無い。例えば主にガスを拡散するための第一のガス拡散層と、主に水蒸気や液滴を排出すための第二のガス拡散層を設ける構成でも本発明の効果を得ることが出来る。図11はこの二つのガス拡散層を組み合わせた場合の構成例である。
(計算結果)
以上の実施例を従来の形状と比較したものが図13である。ここではI−V特性の違いを有限要素法による構造シミュレーションによって予測した。シミュレーションにおける燃料電池基体としてナフィオン膜(N112、デュポン社の登録商標)に白金黒を接着したMEAにおける触媒反応を再現する条件を課した。また、ガス拡散層としては空孔率0.5、0.50mm厚のカーボンクロスを使用していることを想定した。燃料気体としては純水素、酸化剤としては酸素を想定しており、カソードの触媒反応によって酸素が消費され水蒸気が発生する。また、対流と拡散によって空気取り入れ口より排出されると仮定している。加えて水蒸気は飽和水蒸気量を超えると凝集し、滞留する。そして、対流した液滴は気体の移動を阻害する。また、この液滴は多孔質媒体の親疎水性によるキャピラリ圧によって疎水性箇所から親水性箇所へ移動すると仮定した。
図13における比較例1はガス拡散層をまったく延在させずシール剤で固定した従来の燃料電池セル(図12の燃料電池セル)の計算結果を示している。また、図13における実施例1、2とは上記実施例1、2である、ガス拡散層を延長して外部に延在させた場合の計算結果であり、図13における実施例3とは上記実施例3である延在部に親水処理を施したと仮定した場合の計算結果である。
このシミュレーションの結果によると発電電流密度の少ない領域ではI−V特性に差は見られない。これは発電電流密度が小さい領域では水分があまり発生しないためである。しかし、発電電流密度が増加するとそれに従って、カソード付近に過剰な水分が堆積する。その結果酸素の供給が妨げられるフラッディング現象による電圧低下が見られる。しかし、本発明の効果により、実施例1及び実施例2においてはこのフラッディングが抑えられ、I−V特性が改善する。これは水分がガス拡散層を通じて直接外に排出される効果が現れるためである。
通常、ガス拡散層の役割は、触媒層に燃料もしくは酸化剤を供給する機能を有するものであり、触媒反応によって生じた電気を集電する役割を有する。したがって、触媒層付き電解質膜4に接触している部分以外の部分は機能を果たすことはほぼ無かった。しかしながら、大気中に露出している部分を形成することにより、カソードで発生した水分を直接大気中に排出することが可能となり、効率的に排水することができるようになったと考えられる。
また、以下の実施例では、実際に燃料電池セルを用いて燃料電池特性評価を行った。
実施例4
図14に本実施例で用いた燃料電池セルの構成を示す。
本実施例は、カソード側ガス拡散層の一部が大気中に露出した構成を有する燃料電池セルである。本実施例の燃料電池セルは、膜電極接合体4の両面にそれぞれカソード側ガス拡散層3およびアノード側ガス拡散層5が配置されている。アノード側ガス拡散層5は燃料供給層を兼ねており、膜電極接合体が有するアノード側触媒層に燃料を均一に供給する。アノード側は燃料が外部へ漏れるのことの無いように、シール部9にてシールされている。カソード側ガス拡散層3は側面が大気中に露出するように配置され、カソード側ガス拡散層3およびアノード側ガス拡散層5の外側には各々カソード側流路2およびカソード側集電体16が配置されている。
本実施例においては、カソード側流路2として、発泡金属(セルメット#5、富山住友電工社製)を用いた。カソード側ガス拡散層3として、カーボンクロス(LT 1200−W、E−TEK社製)を用い、発泡金属とカソード側ガス拡散層(カーボンクロス)の幅を同程度とすることでカーボンクロスの側面を大気中に露出させる構成とした。また、アノード側ガス拡散層5には、カーボンクロス(LT 2500−W、E−TEK社製)を用いた。なお、カーボンクロス(LT 1200−W、E−TEK社製)表面の水の接触角は約140°であった。
膜電極接合体は以下のように作製した。電解質膜は、ナフィオン膜(NRE−212、デュポン社製の登録商標)を用いた。触媒層は、反応性スパッタ法により得られる樹枝状形状を有する白金酸化物を適切な撥水処理、イオノマー処理して得られたものを用いた。電解質膜の両面に触媒層を配置し、ホットプレスすることで触媒層付き電解質膜を得た。
このようにして得られた燃料電池セルのアノード側に水素をデッドエンドで供給し、カソード側を大気開放にして、温度25℃、湿度50%の環境下で燃料電池特性評価を行った。特性評価前に、適切な通電処理により膜電極接合体カソード側触媒層の還元を行った。
比較例2
比較例2として、図15に示すような燃料電池セルを作製した。カソード側ガス拡散層3の側面にシール部9を設けることで、該ガス拡散層が大気中に露出しない燃料電池セル構成とした。シール部9の厚さはカソード側ガス拡散層3と同程度の構成となっている。その他の燃料電池セルを構成する部材は実施例4と全て同じ構成とした。
図16に実施例4および比較例2の燃料電池セルを電流密度350mA/cmで定電流測定を行った結果を示す。比較例2の電圧値は、時間が経過するにつれて徐々に低下しているのに対して、実施例4の電圧値は比較例2よりも高い値を維持している。これは、比較例2の燃料電池セルではカソード側に発生した生成水が効率よく排出できないためにフラッディングが発生し、電圧値が徐々に低下する一方で、実施例4では、カソード側ガス拡散層3が大気中に露出していることで生成水を効率よく燃料電池セル系外へ排出している効果であると考えられる。発電試験前後の燃料電池セルの重量差から算出したセル内の残留生成水量を比較すると、実施例4は比較例2よりも約20%残留生成水が少ないことがわかった。この結果からも、カソード側ガス拡散層3が大気中に露出していることで燃料電池セル系外へ生成水が効率的に排出されている効果が認められる。
実施例5
図17に本実施例の燃料電池セル構成を示す。
本実施例は、カソード側ガス拡散層3に隣接してガス透過性を有する吸水性繊維を設置し、大気中へ露出させた構成を有する燃料電池セルである。カソード側ガス拡散層3に隣接してガス透過性を有する吸水性繊維18を設置し、大気中へ露出させた以外は実施例1と同様にして燃料電池セルを作製した。ガス透過性を有する吸水性繊維18は、カソード側ガス拡散層3と同じ厚さの液体拡散不織布(Pタイプ、アンビック社製)を用いた。吸水性繊維18の幅は、カソード側流路2の幅よりも両側1mmづつ突出している構成とした。なお、吸水性繊維18に水滴を滴下すると瞬時に吸収した。
実施例4と同様に、燃料電池セルのアノード側に水素をデッドエンドで供給し、カソード側を大気開放にして、温度25℃、湿度50%の環境下で燃料電池特性評価を行った。
図18に実施例5および比較例2の燃料電池セルを電流密度350mA/cmで定電流測定を行った結果を示す。比較例2の電圧値は、時間が経過するにつれて徐々に低下しているのに対して、実施例5の電圧値は比較例2の電圧値よりも高い値を維持している。これは、比較例2ではカソード側に発生した生成水が効率よく排出できないためにフラッディングが発生し、電圧値が徐々に低下する一方、実施例5では、カソード側ガス拡散層3から吸水性繊維18へ生成水が効率的に移動し、吸水性繊維18が大気中に露出していることで生成水を効率よく燃料電池セル系外へ排出している効果であると考えられる。発電試験前後の燃料電池セルの重量差から算出した、セル内の残留生成水量を比較すると、実施例2は比較例2よりも約20%残留生成水が少ないことがわかった。この結果からも、カソード側ガス拡散層3から吸水性繊維18へ生成水が効率的に移動し、吸水性繊維18が大気中に露出していることで、生成水が系外へ効率的に排出されている効果が認められる。
本発明によれば、ガス拡散層の構造を改良することにより、排水効率が向上し、酸化剤の効率的供給が可能となる燃料電池セルを提供することができる。そのため、燃料電池の構造を簡素化し、体積あたりの発電効率を向上でき、特に体積の制約を受けやすい携帯型小型燃料電池の設計に利用することができる。
第1の実施形態の燃料電池の一例を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池セルの一例を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池セルの別の例を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池セルの別の例を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池セルの別の例を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池セルの別の例を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池セルの別の例を示す模式図である。 第2の実施形態および実施例1の燃料電池セルの一例を示す模式図である。 第3の実施形態の燃料電池セルの一例を示す模式図である。 第4の実施形態の燃料電池セルの一例を示す模式図である。 第4の実施形態の燃料電池セルの一例を示す模式図である。 従来(比較例1)のパッシブ型燃料電池の形態を示す模式図である。 実施例1から3および比較例1に基づいて、燃料電池セルのI−Vカーブをシミュレーションによって予測した図である。 実施例4の燃料電池セルを表す模式図である。 比較例2の燃料電池セルを表す模式図である。 実施例4と比較例2の燃料電池セルの性能を示す図である。 実施例5の燃料電池セルを表す模式図である。 実施例5と比較例2の燃料電池セルの性能を示す図である。
符号の説明
1 集電体
2 カソード側流路(酸素供給層)
3 カソード側ガス拡散層
4 触媒層付き電解質膜(膜電極接合体)
5 アノード側ガス拡散層
6 アノード側流路(燃料供給層)
7 アノード側集電体
8 開口部(開放部)
9 燃料電池セル側部シール部
10 燃料電池
10S 燃料電池セル
10A 燃料電池スタック
10B 燃料タンク
12 積層構造体の外側面
13 カソード側のガス拡散層の大気中に露出している部分
14 カソード側のガス拡散層の大気中に突出している突出部分
15 カソード側のガス拡散層の大気中に突出している親水処理した部分
16 カソード側集電体
17 アノード側集電体
18 吸水性繊維

Claims (7)

  1. 電解質膜と該電解質膜を挟んで存在する2つの触媒層とからなる膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟んで存在する2つのガス拡散層と、前記2つのガス拡散層のうちの一方のガス拡散層と接触して存在する酸素供給層と、2つの集電体と、シール部と、を少なくとも有する燃料電池セルであって、前記燃料電池セルが有する側面のうち前記電解質膜のプロトン伝導方向と平行な側面がその一部に開口部を有し、前記酸素供給層と接するガス拡散層の一部が、前記燃料電池セルの外表面の一部をなしていることを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記開口部を含む平面に垂直かつプロトン伝導方向に平行な面で前記燃料電池セルを切断した際の断面における前記ガス拡散層の前記開口部を含む平面に垂直な方向での端部が、前記ガス拡散層に接触する膜電極接合体もしくは膜電極接合体およびシール部が有する前記開口部を含む平面に垂直な方向での端部のうち前記燃料電池セルの中心から前記開口部を含む平面に垂直な方向に最も離れた端部と同一平面上に存在することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記酸素供給層と接するガス拡散層が、前記燃料電池セルの外表面の一部となる領域を少なくとも2つ有しており、前記2つの領域は対向して存在することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記酸素供給層と接するガス拡散層が第1の領域と第2の領域とからなり、前記第1の領域が前記酸素供給層と接するガス拡散層の中心を含み、前記第2の領域が前記外表面の一部である領域を含み、前記第2の領域が前記第1の領域よりも相対的に親水性が高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池セル。
  5. 前記第2の領域が親水性であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池セル。
  6. 前記燃料電池セルへの酸化剤の供給は自然拡散あるいは自然対流によって行なわれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池セル。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池セルが二つ以上積層されて構成される燃料電池セルスタックを有する燃料電池。
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