JP2009054186A - 5軸加工機の数値制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブロック始点の切削点指令(XS,YS,ZS)と終点の切削点指令(XE,YE,ZE)の距離PDが大きく、その間隔を加工するための直線軸制御点の始点(XSc,YSc,ZSc)と終点(XEc,YEc,ZEc)間の距離CDが小さいと、切り込み量が過大となる。そこで、距離CDが第1の設定値よりも小さく、距離PDが第2の設定値よりも大きいとき、又は、比CD/PDが第3の設定値より小さいときには、そのブロックの移動を直線移動とするか、直線軸の動作を発生させないようにする。これにより、過大な切り込みを防止する。
【選択図】図14
Description
例えば、CAD/CAM装置や倣い装置で作成された指令点列データおよびワークと工具の傾斜角度を指令する指令ベクトル列に基づいて、曲線補間を行って曲面を加工する5軸加工機による加工方法において、所期の曲線に近い滑らかな曲線で補間して加工し、滑らかな加工面を得るようにした加工方法が知られている(特許文献1参照)。
図1は、X、Y、Z軸の3つの直線軸とX軸回りの回転軸A軸と、Z軸回りのC軸を有する5軸加工機において、工具1としてボールエンドミルを使用したときの指令された切削点と制御される工具位置との関係の説明図である。
切削点として直線軸のX、Y、Z軸に対応する直交座標系のX、Y、Z軸の位置(X,Y,Z)が指令される。このような切削点指令(X,Y,Z)に対して、ワークに対する工具1の位置を制御するための制御点は工具1の先端でワークと接触する点(切削点指令点)ではなく、該位置から離れた直線軸位置(Xc,Yc,Zc)であり、指令される切削点位置(X,Y,Z)とこれに対応する直線軸位置(Xc,Yc,Zc)は一致しない。切削点位置(X,Y,Z)と共に指令される切削面垂直方向指令(I,J,K)と設定されている工具径補正量TRにより求まる工具径補正、およびA軸、C軸の回転軸への指令より求まる工具方向と設定された工具径補正量TR、工具長補正量TLによる工具長補正がなされて、直線軸位置(Xc,Yc,Zc)が求められ、直線軸位置(Xc,Yc,Zc)および回転軸位置(A,C)が制御される。
例えば、スクエアエンドミルでの一般的な切削点指令での切削点と制御点の関係は、図2のようになる。この図2に示すように、1ブロックで指令された始点の切削点指令(XS,YS,ZS)と終点の切削点指令(XE,YE,ZE)間の距離と該ブロックの指令で工具1を駆動する直線軸の制御点(Xc,Yc,Zc)の始点と終点の位置間の距離がほぼ比例しているような関係になることが望ましい。ところが、指令形状、工具種類によっては、切削点(指令点)と制御点の動作が大きく相違する場合がある。つまり、切削点の指令間隔が小さいが対応する制御点は大きく動作する場合(後述する図9に示すような場合)や、指令切削点の間隔が大きいが対応する制御点の動作は小さい場合(後述する図10に示すような場合)などが発生する(以下、このような場合を特異点近傍と呼ぶ)。
このような、切削点(指令点)と対応する制御点の動作が大きく相違する特異点近傍では、不安定な動作や加工物への過大な切り込みが生じ望ましくない。本発明は、このような問題点を解決しようとするものである。
図3は、工具1としてボールエンドミルを用い、切削点指令よりXYZ軸の直線軸3軸とAC軸の回転軸の位置を求めて制御するときの動作説明図である。
この場合、加工プログラムとしては図4に示すようなプログラムが用いられる。
(1) このブロック始点での切削点指令(XS,YS,ZS)の位置からブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)の位置まで補間周期毎に補間処理を行い、切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)を求める。
(2) 同様に、ブロック始点での切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)からブロック終点での切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)まで補間処理して補間周期毎、すなわち、切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)での切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)を求める。なお、この切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)は、単位ベクトルとして求める。
(3) 切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)にパラメータ設定されている工具径補正量TRを乗じて工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)を求める。
(4) 読み込んだブロックにおける始点と終点での工具方向指令A,Cからブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)、ブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)を求める。ブロック始点での工具方向指令をAS,CS、ブロック終点での工具方向指令をAE,CEとすると、
TSx=−cos(CS)sin(AS)
TSy=−sin(CS)sin(AS)
TSz=cos(AS)
TEx=−cos(CE)sin(AE)
TEy=−sin(CE)sin(AE)
TEz=cos(AE)
として求まる。
(5) ブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)からブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)まで補間処理して工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を求める。なお、この工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)も単位ベクトルとして求める。
(6) 工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)に工具長補正量TLから工具径補正量TRを差し引いた値(TL−TR)を乗じて工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を求める。
(7) 切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)に工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)と工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を加算して、直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)を求める。この直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)が補間周期における直線軸(X,Y,Z軸)の移動位置である。
(8) 工具方向ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を回転軸制御点位置(Ac,Cc)に変換する。この変換された回転軸制御点位置(Ac,Cc)が補間周期毎の回転軸(A,C軸)が移動する位置である。
Ac=arccos(Ttz)
Cc=arctan(Tty/Ttx)
以上の処理によって、各補間周期毎の直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)、回転軸制御点位置(Ac,Cc)が求められ、この位置に移動するように各軸を駆動するサーボモータを駆動制御することによって、加工が実行される。
(1) 制御装置は、加工プログラムよりブロックの指令(X,Y,Z,A,C,I,J,K)を読込み、ブロック始点での切削点指令(XS,YS,ZS)の位置からブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)への位置まで補間処理を行い補間周期毎の切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)を求める。
(2) ブロック始点での切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)からブロック終点での切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)まで補間処理して補間周期毎の切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)を求める。なお、この切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)は、単位ベクトルとして求める。
(3) 読み込んだブロックにおける始点と終点での工具方向指令A,Cからブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)、ブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)を求める。この求め方は、ボールエンドミルの(4)で記載した求め方と同じである。
(4) ブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)からブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)まで補間処理して工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を求める。なお、この工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)も単位ベクトルとして求める。
(5) 工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)と切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)が成す平面上で工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を90度回転し、工具径補正量TRをかけて、工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)を求める。この工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)の回転方法は、工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)と切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)の外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)をも求める。
この外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)は工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)と切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)が成す平面に垂直なベクトルである。この外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)の単位ベクトル(VNx,VNy,VNz)を求め、この単位ベクトル(VNx,VNy,VNz)の周りに、工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を90度回転させることによって、90度回転させた工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を求める。なお、一般にあるベクトルをある単位ベクトルの周りにある角度だけ回転させる方法は、「コンピュータグラフィックス」(DAVID F.ROGERS,J.ALANADAMS 山口富士夫訳)などに記載されている。
(6) 工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)に工具長補正量TLを乗じて工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を求める。
(7) 切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)に工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)と工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を加算して、直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)を求める。この直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)が補間周期における直線軸(X,Y,Z軸)の移動位置である。
(8) 工具方向ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を回転軸制御点位置(Ac,Cc)に変換する。この変換された回転軸制御点位置(Ac,Cc)が補間周期毎の回転軸(A,C軸)が移動する位置である。この変換方法は、上述したボールエンドミルの場合と同じである。
(1) 制御装置は、加工プログラムよりブロックの指令(X,Y,Z,A,C,I,J,K)を読込み、ブロック始点での切削点指令(XS,YS,ZS)の位置からブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)への位置まで補間処理を補間周期毎行い、切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)を求める。
(2) ブロック始点での切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)からブロック終点での切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)まで補間処理して補間周期毎の切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)を求める。なお、この切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)は、単位ベクトルとして求める。
(3) 読み込んだブロックにおける始点と終点での工具方向指令A,Cからブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)、ブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)を求める。この求め方は、ボールエンドミルの(4)で記載した求め方と同じである。
(4) ブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)からブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)まで補間処理して工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を求める。なお、この工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)も単位ベクトルとして求める。
(5) 切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)にコーナR補正量CRをかけて、コーナR補正ベクトル(CCx,CCy,CCz)を求める。
(6) 工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)と切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)が成す平面上での工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を90度回転し(回転させる方法は、スクエアエンドミルと同じ)、その90度回転したベクトルに工具径補正量TRからコーナR補正量CRを差し引いた値(TR−CR)をかけて、工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)を求める。
(7) 工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)に工具長補正量TLからコーナR補正量CRを差し引いた値(TL−CR)をかけて、工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を求める。
(8) 切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)に、コーナR補正ベクトル(CCx,CCy,CCz)、工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)および工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を加算して、直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)を求める。この直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)が補間周期における直線軸(X,Y,Z軸)の移動位置である。
(9) 工具方向ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)を回転軸制御点位置(Ac,Cc)に変換する。この変換された回転軸制御点位置(Ac,Cc)が補間周期毎の回転軸(A,C軸)が移動する位置である。この変換方法は、上述したボールエンドミルの場合と同じである。
(イ) ブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)と切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)の方向(向き)が近い。
(ロ) ブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)とブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)の方向が近い。
(ハ) ブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)と切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)の方向が近く、それらの成す面での外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)がブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)と切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)が成す面での外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)と方向が大きく相違する。例えば180°くらい相違する。図9に示す例では、ブロック始点と終点で各ベクトルが同一平面上にあるとすれば、ブロック始点と終点の外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)は、その符号が逆となり、180°相違している。その結果、この外積ベクトル(Vx,Vy,Vz)の単位ベクトル周りに(Ttx,Tty,Ttz)を90°回転させて求めたベクトルに工具径補正量TRを乗じて求める工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)も外積ベクトルの大きな変化に応じて大きく変化することになり、例えば180°程度変化することになる。図9には、工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)は、概略180°程度変化している例が示されている。
このような特異点により制御動作が不安定となる場合は、上述したスクエアエンドミルによる加工の場合以外にもラジアスエンドミルによる加工の場合にも生じる。
図10は、この特異点2での動作説明図である。この特異点が発生する条件は次のような条件のときである。
(イ) ブロック始点での直線軸制御点(Xc,Yc,Zc)(以下、ブロック始点での直線軸制御点(XSc,YSc,ZSc)と表す)の位置とブロック終点での直線軸制御点(Xc,Yc,Zc)(以下、ブロック終点での直線軸制御点(XEc,YEc,ZEc)と表す)の位置が近い。
(ロ) ブロック始点での工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)とブロック終点での工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)の方向が近い。
(ハ) ブロック始点での切削点指令(XS,YS,ZS)とブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)の位置間の距離はある程度あり、ブロック始点での切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)とブロック終点での切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)の方向が大きく相違する。
図11は、本発明を実施する制御装置の実施形態としての数値制御装置の要部ブロック図である。
サーボアンプ17はこの指令を受けて、機械(制御対象物)の各軸(X軸、Y軸、Z軸、A軸、C軸)のそれぞれのサーボモータ22を駆動する。なお、図11では、位置・速度のフィードバックについては省略している。
図12は、特異点1の検出方法と、特異点が検出されたときの不安点な動作を回避する方法の説明図である。
前述したように、切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)が求められ、かつ、工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)が求められると、この2つのベクトルが成す角度αを求め、該角度αが予めパラメータ設定された値(Prm−α)より小さいか判別する。この角度αが設定値(Prm−α)より小さいということは、スクエアエンドミル又はラジアスエンドミルの先端平面と加工平面が平行に近い状態で、上述した特異点1が発生する条件(イ)〜(ハ)の条件を満たす可能性が高く、特異点1の近傍であることの可能性が高い。そのため、前記角度αが設定値(Prm−α)より小さいことが検出されたときは、工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)を前回の補間周期(1補間周期前)の工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)(以下この1補間周期前の工具径補正ベクトルを(TC0x,TC0y,TC0z)と記す)として、直線軸制御点位置(Xc,Yc,Zc)および回転軸制御点位置(Ac,Cc)を求めて、各軸を制御する。
cos(α)=(Ttx,Tty,Ttz)・(It,Jt,Kt)
cos(α)>cos(Prm−α)であれば、角度αは設定値(Prm−α)より小さいと判断する。
まず、従来と同様に、数値制御装置のプロセッサ11は、加工プログラムよりブロックの指令(X,Y,Z,A,C,I,J,K)を読込み、従来と同様に補間処理を行い、
切削点補間位置(Xt,Yt,Zt)
切削面垂直方向補間ベクトル(It,Jt,Kt)
工具方向補間ベクトル(Ttx,Tty,Ttz)
工具径補正ベクトル(TCx,TCy,TCz)
工具長補正ベクトル(TLx,TLy,TLz)を求める。
コーナR補正ベクトル(CCx,CCy,CCz)も求める(ステップa1)。
補間周期毎上述した位置、ベクトルを求める点は従来と同じである。
そして、その次の周期では、フラグFAがステップa9で「0」にセットされているから、ステップa8から、ステップa12に移行し、速度は通常の指令された速度に戻されることになる。
この実施形態では、ブロック始点での直線軸制御点(XSc,YSc,ZSc)の位置とブロック終点での直線軸制御点(XEc,YEc,ZEc)の位置との間の距離と、ブロック始点での切削点指令(XS,YS,ZS)の位置とブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)の位置間の距離によって、この特異点2の近傍か否か判別し、特異点の近傍であると、当該ブロックの直線軸制御点の移動を停止させるか、当該ブロックの移動を直線移動とすることによって、特異点2に対処して切り込み等が発生することを防止する。そのために、ブロック始点での直線軸制御点(XSc,YSc,ZSc)とブロック終点での直線軸制御点(XEc,YEc,ZEc)の距離CDが小さいか否かを判別するための基準となる距離をパラメータにより設定値(Prm−C)として設定しておく。又、ブロック始点での切削点指令(XS,YS,ZS)とブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)の距離PDにより、特異点2を判断するための基準となる値(Prm−P)をパラメータで設定しておく。この2つのパラメータ設定値により特異点2か否かを判断する。
この始点で直線軸制御点(XSc,YSc,ZSc)を求める処理は、前述した補間点の直線軸制御点(Xc,Yc,Zc)を求めるときと同一の方法であり、詳細は省略する。
ブロック終点での切削点指令(XE,YE,ZE)にブロック終点での工具径補正ベクトル(TCEx,TCEy,TCEz)とブロック終点での工具長補正ベクトル(TLEx,TLEy,TLEz)を加算し、ブロック終点での直線軸制御点(XEc,YEc,ZEc)を求める(ステップb2)。
距離PDが設定値(Prm−P)以下のときは、当該処理は終了する。一方、距離PDが設定値(Prm−P)より大きいときには、特異点2近傍であると判別してステップb7に移行する。すなわち、ブロック始点、終点の直線軸制御点間の距離CDが小さく、ブロック始点、終点での切削点指令間の距離PDが大きいときには、このブロックの指令による加工は特異点2の近傍の加工であると判定する。
使用工具がボールエンドミルではなく、スクエアエンドミルやラジアスエンドミルを使用するときは、図15におけるステップb1、b2で求めるデータが相違するだけで、ステップb3以下の処理は同じである。
始点での次のデータを求める。
切削点指令(XS,YS,ZS)
切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)
工具径補正ベクトル(TCSx,TCSy,TCSz)
工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)
工具長補正ベクトル(TLSx,TLSy,TLSz)
直線軸制御点(XSc,YSc,ZSc)
(XSc,YSc,ZSc)=(XS,YS,ZS)+(TCSx,TCSy,TCSz)+ (TLSx,TLSy,TLSz)
また、終点での次のデータを求める。
切削点指令(XE,YE,ZE)
切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)
工具径補正ベクトル(TCEx,TCEy,TCEz)
工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)
工具長補正ベクトル(TLEx,TLEy,TLEz)
直線軸制御点(XEc,YEc,ZEc)
(XEc,YEc,ZEc)=(XE,YE,ZE)+(TCEx,TCEy,TCEz)+ (TLEx,TLEy,TLEz)
なお、ブロックの始点、終点での工具径補正ベクトル、工具方向ベクトル、および工具長補正ベクトルの求め方は、図6で説明した補間点での工具径補正ベクトル、工具方向ベクトル、および工具長補正ベクトルを求める方法と同等であり、説明を省略する。
始点での次のデータを求める。
切削点指令(XS,YS,ZS)
切削面垂直方向指令(IS,JS,KS)
コーナR補正ベクトル(CCSx, CCSy,CCSz)
工具径補正ベクトル(TCSx,TCSy,TCSz)
工具方向ベクトル(TSx,TSy,TSz)
工具長補正ベクトル(TLSx,TLSy,TLSz)
直線軸制御点(XSc,YSc,ZSc)
(XSc,YSc,ZSc)=(XS,YS,ZS)+(CCSx, CCSy,CCSz)+(TCSx,TCSy,TCSz)+(TLSx,TLSy,TLSz)
また、終点での次のデータを求める。
切削点指令(XE,YE,ZE)
切削面垂直方向指令(IE,JE,KE)
コーナR補正ベクトル(CCEx, CCEy,CCEz)
工具径補正ベクトル(TCEx,TCEy,TCEz)
工具方向ベクトル(TEx,TEy,TEz)
工具長補正ベクトル(TLEx,TLEy,TLEz)
直線軸制御点(XEc,YEc,ZEc)
(XEc,YEc,ZEc)=(XE,YE,ZE)+(CCEx, CCEy,CCEz) +(TCEx,TCEy,TCEz)+ (TLEx,TLEy,TLEz) なお、ブロック始点、終点でのコーナR補正ベクトル、工具径補正ベクトル、工具方向ベクトル、および工具長補正ベクトルの求め方は、図7で説明した補間点での工具径補正ベクトル、工具方向ベクトル、および工具長補正ベクトルを求める方法と同等であり、説明を省略する。
(XS,YS,ZS) ブロック始点の切削点指令
(XE,YE,ZE) ブロック終点の切削点指令
(Xt,Yt,Zt) 切削点補間位置
(I,J,K) 切削面垂直方向指令
(IS,JS,KS) ブロック始点での切削面垂直方向指令
(IE,JE,KE) ブロック終点での切削面垂直方向指令
(It,Jt,Kt) 切削面垂直方向補間ベクトル
(Tx,Ty,Tz) 工具方向ベクトル
(TSx,TSy,TSz) ブロック始点での工具方向ベクトル
(TEx,TEy,TEz) ブロック終点での工具方向ベクトル
(Ttx,Tty,Ttz) 工具方向補間ベクトル
(Xc,Yc,Zc) 直線軸の制御点
Ac、Cc 回転軸制御点位置
(TCx,TCy,TCz) 工具径補正ベクトル
(TLx,TLy,TLz) 工具長補正ベクトル
(CCx,CCy,CCz) コーナR補正ベクトル
Claims (4)
- コーナR部を持たないミル工具もしくはボールエンドミルを用い、予め設定されている工具径補正量および工具長補正量と、加工プログラムにより指令された切削点、切削面垂直方向および工具方向から、補間周期毎に直線軸制御点および回転軸制御点を求め該各制御点位置に各軸を駆動制御する直線軸3軸と回転軸2軸を有する5軸加工機を制御する数値制御方法において、
ブロック毎にブロック始点および終点での切削点位置、直線軸制御点を求め、
ブロック始点と終点における前記直線軸制御点間の距離が第1の設定値よりも小さく、かつ、ブロック始点と終点における前記切削点位置間の距離が第2の設定値よりも大きいと判断された場合、またはブロック始点と終点での前記直線軸制御点間の距離とブロック始点と終点での前記切削点位置間の距離の比が第3の設定値より小さいと判断された場合に、当該ブロック終点での直線軸制御点は当該ブロック始点での直線軸制御点と等しいとして当該ブロックでの指令による直線軸の動作を発生させないようにしたことを特徴とする5軸加工機の数値制御方法。 - コーナR部を持たないミル工具もしくはボールエンドミルを用い、予め設定されている工具径補正量および工具長補正量と、加工プログラムにより指令された切削点、切削面垂直方向および工具方向から、補間周期毎に直線軸制御点および回転軸制御点を求め該各制御点位置に各軸を駆動制御する直線軸3軸と回転軸2軸を有する5軸加工機を制御する数値制御方法において、
ブロック毎にブロック始点および終点での切削点位置、直線軸制御点を求め、
ブロック始点と終点における前記直線軸制御点間の距離が第1の設定値よりも小さく、かつ、ブロック始点と終点における前記切削点位置間の距離が第2の設定値よりも大きいと判断された場合、またはブロック始点と終点での前記直線軸制御点間の距離とブロック始点と終点での前記切削点位置間の距離の比が第3の設定値より小さいと判断された場合に、当該ブロックの指令を直線移動指令とすることを特徴とする5軸加工機の数値制御方法。 - コーナR部を持つミル工具を用い、予め設定されている工具径補正量、コーナR補正量および工具長補正量と、加工プログラムにより指令された切削点、切削面垂直方向および工具方向から、補間周期毎に直線軸制御点および回転軸制御点を求め該各制御点位置に各軸を駆動制御する直線軸3軸と回転軸2軸を有する5軸加工機を制御する数値制御方法において、
ブロック毎にブロック始点および終点での切削点位置、直線軸制御点を求め、
ブロック始点と終点における前記直線軸制御点間の距離が第1の設定値よりも小さく、かつ、ブロック始点と終点における前記切削点位置間の距離が第2の設定値よりも大きいと判断された場合、またはブロック始点と終点での前記直線軸制御点間の距離とブロック始点と終点での前記切削点位置間の距離の比が第3の設定値より小さいと判断された場合に、当該ブロック終点での直線軸制御点は当該ブロック始点での直線軸制御点と等しいとして当該ブロックでの指令による直線軸の動作を発生させないようにしたことを特徴とする5軸加工機の数値制御方法。 - コーナR部を持つミル工具を用い、予め設定されている工具径補正量、コーナR補正量および工具長補正量と、加工プログラムにより指令された切削点、切削面垂直方向および工具方向から、補間周期毎に直線軸制御点および回転軸制御点を求め該各制御点位置に各軸を駆動制御する直線軸3軸と回転軸2軸を有する5軸加工機を制御する数値制御方法において、
ブロック毎にブロック始点および終点での切削点位置、直線軸制御点を求め、
ブロック始点と終点における前記直線軸制御点間の距離が第1の設定値よりも小さく、かつ、ブロック始点と終点における前記切削点位置間の距離が第2の設定値よりも大きいと判断された場合、またはブロック始点と終点での前記直線軸制御点間の距離とブロック始点と終点での前記切削点位置間の距離の比が第3の設定値より小さいと判断された場合に、当該ブロックの指令を直線移動指令とすることを特徴とする5軸加工機の数値制御方法。
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