JP2009051926A - インクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体 - Google Patents

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重弘 田中
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政登 中澤
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Abstract

【課題】高濃度な画像が得られ、保存安定性を損なうことなく、速乾性、定着性及び耐水性などに優れたインクジェットプリンター水性インク用の顔料水分散体を提供すること。
【解決手段】塩の基を有する化合物(A)、ロジン骨格ポリオール及び/又は分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)を必須構成成分として含む水性ウレタン樹脂(I)と顔料及び水とからなることを特徴とする、インクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットプリンターの水性インク用として好適な顔料水分散体に関する。
インクジェットプリンターはノズル等から液状インクを紙などの媒体に吐出させることによって行われ、インクを吐出させる方法としては例えば圧電素子の振動圧力を利用する方法、熱により気泡を形成し成長させることにより生じる圧力を利用する方法等があり、これらの各種の方法による記録装置が、インクジェットプリンターとして製造、販売されている。
インクジェットプリンター用のインクには、(1)紙上で滲みがなく、高濃度、高解像度で均一な画像が得られること、(2)紙上においてインクの乾燥性が良好であること、(3)ノズル先端でのインク乾燥による目詰まりがなく吐出安定性が良好であること、(4)定着性や耐水性など画像の堅牢性が良好であること、(5)長期保存安定性が良好であること、などの特性が要求される。
このインクには主として染料が用いられてきたが、画像の耐水性、耐光性に劣るため、ビジネス文書用等のインクジェットプリンター用インクにはカーボンブラック等の顔料が用いられている。顔料は水溶性でないため界面活性剤などの分散剤を用いて水に対する分散安定性を図っている。しかし、界面活性剤などの分散剤を用いると表面張力の低下を招き、紙に浸透してしまうため、高濃度な画像が得られない問題がある。また、顔料に対して界面活性剤が時間経過とともに脱着してしまうため、長期保存した場合に凝集や沈降現象が生じるなど長期保存安定性が良くないという問題も生じる。
そこで、カーボンブラックを酸化処理してカーボンブラック粒子表面に親水性の官能基を生成させて水分散性能を改善した自己分散型カーボンブラック顔料(例えば、特許文献1)が提案されている。また、近年、印字速度の高速化に伴いコピー用紙等の普通紙に印字してもインクの乾燥が速く、かつ高画質であるインクが強く要求されている。しかし、顔料自体が分散している自己分散型顔料は紙に浸透しにくい分、紙上に着接したインクの乾燥が遅くなる問題がある。
また、紙に浸透させずに紙上においてインクの乾燥性を向上させる方法として、インクジェット方式の記録が複数のカートリッジのノズルを組み合わせて吐出して色を再現させることを利用し、カラーインクにブラックインクを凝集させる成分を含む方法が提案されている。
例えば、特許文献2にはブラックインクと混合されたときにブラックインク中の顔料の分散を不安定化させるカラーインク染料及び添加剤を含むインクセットが、また特許文献3にはブラックインクの印字領域にブラックインクを凝集させるカラーインクを印字するカラーインクセットが提案されている。しかし、いずれの場合もカラーインクとブラックインクを組み合わされていない部分がないよう設計しなければならない制約がある。
また、顔料インク単独で乾燥性を向上させる方法として、特許文献4には酸化処理して生成したカーボンブラック粒子表面の酸性基を塩基性アミノ酸類などで中和して酸性基中の水素基を塩基性アミノ酸で置換したカーボンブラック水性分散体が提案されている。しかし、この方法では長期間保存した時に分散安定性が悪くなる傾向があり、これは塩基性アミノ酸がグリセリンを主成分とするインクジェットインキ中で顔料の凝集を引き起こしているものと推定される。
特開平11−148026号公報 特開2001−152059号公報 特開2001−294788号公報 特開2007−045901号公報
そこで、本発明者らは上記の問題を解消するために高濃度、高解像度で、保存安定性を損なうことなく、速乾性に優れた、水性インク用顔料水分散体を得るために鋭意研究を行い、界面活性剤の機能を有する分子構造及び造膜性機能をもつ水性ウレタン樹脂を加えることにより保存安定性を損なうことなく、紙への定着性及び耐水性の向上を図ることができることを見出した。
そして、水性ウレタン樹脂が分子中に塩の基又はポリオキシエチレンエーテル鎖の親水性部分と、ロジン骨格ポリオール及び/又は油や脂肪酸由来の親油性構造を有する場合には、より効果的であることを確認した。
すなわち、本発明の目的は、高濃度な画像が得られ、保存安定性を損なうことなく、速乾性、定着性及び耐水性などに優れたインクジェットプリンター水性インク用の顔料水分散体を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係るインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体は、塩の基を有する化合物(A)、ロジン骨格ポリオール及び/又は分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)を必須構成成分として含む水性ウレタン樹脂(I)と顔料及び水とからなることを構成上の特徴とする。
本発明によれば、保存安定性や印字濃度を損なうことなく、速乾性、定着性、耐水性などに優れたインクジェットプリンター水性インク用の顔料水分散体を提供することが可能となる。
水性ウレタン樹脂(I)は、塩の基を有する化合物(A)、ロジン骨格ポリオール及び/又は分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)を必須構成成分として含むことが必要であるが、これらの必須成分以外に公知任意のポリオール、ジイソシアネート化合物を併用することもできる。
塩の基を有する化合物類(A)としては、例えば、塩の基として、リン酸エステル基、スルホン酸基、三級アミノ基、カルボキシル基、或いはそれらの中和塩基等の何れかを有するジオール類、及びジアミン類が適する。具体的例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミノプロピルエーテル、トリメチロールプロパンモノリン酸エステル、トリメチロールプロパンモノ硫酸エステル、二塩基酸成分の少なくとも一部がナトリウムスルホ琥珀酸、或いはナトリウムスルホイソフタル酸であるポリエスレルジオール、Nーメチルジエタノールアミン、ジアミノカルボン酸類、例えばリシン、シスチン及び3,5−ジアミノカルボン酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸ならびに3,5ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、ジヒドロアルカン酸などのジアルカノールアルカン酸、さらにはジアルカノールアルカン酸にε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したジアルカノールアルカン酸のラクトン付加物、或いは、カルボキシル基含有ポリカプロラクトンジオール等が例示される。
この塩の基を有する化合物(A)の必要量は親水性基の種類、組合せで決まる。前記した例の中でも親水性基として特に好ましいものは、分子中にカルボキシル基、スルホン酸塩基から選ばれる何れか一種或いは二種を併せ有するか、またはこれらを有するものの混合物である。とりわけカルボキシル基を導入するのが種々の点でバランスが取り易く、操作しやすい。この場合の固形分酸価は10〜120KOHmg/gの範囲が好ましく、20〜70KOHmg/gの範囲がより好ましい。
前記した、塩の基の代表として挙げた中で、カルボキシル基を中和する塩基性の化合物としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリアルキルアミン類、ジメチルモノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールモノメチルアミン、などのアルキルアルカノールアミン類を例示することができる。
水性ウレタン樹脂(I)の必須の構成成分である化合物(A)以外の親水性成分としては、ジオール、トリオールを出発物質としてエチレンオキサイドを付加して得られるポリオキシエチレンエーテルジオール、ポリオキシエチレンエーテルトリオール等のポリオキシエチレンエーテル鎖の数平均分子量が400〜3000のポリオール等を挙げる事ができる。
更に、ポリオキシエチレンエーテル鎖の数平均分子量が400〜3000のジオールの末端がアクリレートであって、もう一方の末端がメトキシ基等のアルコキシル基になっているアルコキシポリオキシエチレングリコールアクリレートのアクリロイル基と、ジアルカノールアミン、モノアルカノールアミンとのマイケル付加反応によって得られるジオール、或いはアミノアルコールなども例示される。
なお、必須成分以外の親水成分として挙げたポリオキシエチレンエーテル鎖の数平均分子量が400〜3000のポリオール成分は、水性ウレタン樹脂成分中の0〜30重量%であることが好ましい。
次に、必須の構成成分の一つである親油性のポリオールはロジン骨格ポリオール及び/又は分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)であり、ロジン骨格ポリオールとしてはアビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸などに代表されるロジン或いは水素添加したロジンとジグリシジルエーテルとの反応によって得られるロジン骨格を有するジオール、水素添加ロジンジオールを挙げることができる。例えば荒川化学社製のロジン含有ジオール、パインクリスタルD―6011、KE―615―3などが例示される。
また、分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)としては、ひまし油脂肪酸とグリコールによって得られるジオール、ひまし油と脂肪酸から得られるジオールなどのひまし油変性ポリオール、ひまし油(2,7官能)、油のアルコリシスによって得られるポリオールなどがあり、C6以上の直鎖または分岐アルキル、アルケニルジオールとC7以上の直鎖または分岐アルキル、アルケニル二塩基酸からなる親油性ポリエステルジオールなども油脂由来の成分と同効の親油性ジオール化合物として例示される。
なお、親油性ポリエステルジオール成分として挙げたC6以上のジオールとしてはヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどが例示され、ジオール同効化合物としてはC6以上の分子鎖をもつモノエポキシ化合物が挙げられる。
また、C7以上の二塩基酸としてはヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)などが挙げられる。またドデセニル無水コハク酸などのアルキル無水コハク酸などもその同効化合物として挙げることができる。
必須成分として挙げた化合物以外の公知任意のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキシルジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、等のポリオールを挙げることができる。
更には、各種ポリマーポリオール類が挙げられる。例えば、前記したポリオール類、及びこれらの同効成分として、エチルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のアルキルモノグリシジルエーテル類、或いは、アルキルグリシジルエステル(製品名カージュラE10:シェルジャパン製)等とアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸等の脂肪族二塩基酸、乃至は無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸等の芳香族多塩基酸、乃至は無水ヒドロフタル酸、ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多塩基酸等との縮合反応で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンの開環重合によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
更に、ポリエーテルポリオールなどの高分子ポリオール類として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルキレンオキシド付加物、及びポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
水性ウレタン樹脂の必須構成成分の一つである脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)としては、例えば、1,6ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート「リジントリイソシアネート、前記脂肪族ジイソシアネートの三量体、低分子トリオールと前記脂肪族イソシアネートのアダクト体」、イソホロンジイソシアネート、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、脂環族トリイソシアネート「前記脂環族ジイソシアネートの三量体、低分子トリオールと前記脂環族イソシアネートのアダクト体」、などが挙げられ、これらの二種類以上のイソシアネート化合物を混合して用いることもできる。
必須成分として挙げた化合物以外の公知任意のジイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネート、芳香脂肪族トリイソシアネート「キシリレンジイソシアネートの三量体、低分子トリオールと前記芳香脂肪族イソシアネートのアダクト体」、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート「トリフェニルメタントリイソシアネート、前記芳香族ジイソシアネートの三量体、低分子トリオールと前記芳香属イソシアネートのアダクト体」、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート、コスモネートLL(三井化学(株)製:カルボジイミド化した4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物)、これらの二種類以上のイソシアネート化合物を混合して用いることができる。
水性ウレタン樹脂は公知の方法である塩の基を有する化合物(A)と、分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)、必要に応じて公知のポリオール(B−1)、と脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)、必要に応じて公知のポリイソシアネート(C−1)とを40〜120℃の温度で反応させることによって得られる。
例えば、塩の基を有する化合物(A)のモル数を(a)、分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)のモル数を(b)、公知のポリオール(B−1)のモル数を(b−1)、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)のモル数を(c)、公知のポリイソシアネート(C−1)のモル数を(c−1)とすると、本発明のウレタン樹脂は次のような方法にて得ることができる。
〔(a)+(b)+(b−1)〕/〔(c)+(c−1)〕≧1
(1)水酸基末端のウレタン樹脂を1段階の反応で得ることができる。
(2)同じモル比にて、〔(a)〕/〔(c)+(c−1)〕或いは〔(a)+(b)〕/〔(c)+(c−1)〕のようにポリオールの一部を第一段階で予め反応しイソシアネート基末端オリゴマーを得る。次いで残余のポリオールを第二段階で反応させることで得ることもできる。必要に応じ、第一段階反応後の反応物にジオール、アミン、アミノアルコールを反応し、分子の伸長をすることができる。
(3)NCO末端(2)のオリゴマー反応物を水に転相後、アミン、アミノアルコールなどにより分子伸張あるいは架橋することができる。
ウレタン樹脂の反応は、無溶媒下或いは有機溶媒中で行うことができ、反応溶媒はイソシアネート基と反応しない公知任意の有機溶媒を用いることができる。ウレタン樹脂が有機溶剤中で製造された場合、必要に応じて水に転送後、製造に用いられた有機溶媒を減圧溜去する。
ポリウレタンの製造反応には、必要に応じて公知任意の触媒を用いることができ、触媒としてはジブチル錫ジサクシネート、ジブチル錫ジラウリレート、オクチル酸第一錫、などの錫系触媒、トリエチレンジアミン、DBU(1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7)、DBU塩などのアミン系ウレタン触媒、などが代表例としてあげられる。
本発明のインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体は、以上のようにして作製した水性ウレタン樹脂を、水に分散した顔料を加えて攪拌して得られる。水性ウレタン樹脂の割合としては、顔料水分散体中に、固型分換算で顔料あたり0.1〜15wt%とすることが好ましく、更に0.5〜3wt%であることが望ましい。水性ウレタン樹脂の配合量が少ないと効果が十分でなく速乾性を改善することができない。一方、配合量が多すぎると高濃度な画像が得られない。
本発明で用いる顔料としてはカーボンブラック、特に自己分散型カーボンブラックが好ましく、例えば、東海カーボン(株)製の自己分散型カーボンブラックである商品名AquaBlack 162、AquaBlack164、AquaBlack174等が例示できる。ただし、これらに限定されるものではない。
通常市販されているインクジェットプリンター水性インクには、顔料水分散体以外に湿潤剤、定着剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤などの添加剤を加えるため表面張力は低下する。そのため、インクジェットインクとして表面張力を低めに設計することは容易であるが、高めに設計することが困難である。しかし、表面張力を低下させない方が紙上での高濃度な画像を実現するには有利である。本発明の顔料水分散体の表面張力は50〜72mN/mと比較的高いため、設計の自由度の高いインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体が提供できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例により何ら制約されるものではない。
実施例1
還流冷却管、及び窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器にひまし油変性ジオール(Mn731 豊国製油(株)製)117部、ロジン変性ジオール(パインクリスタルD-6011 Mn917 荒川化学(株)製)173部、ジメチロールプロピオン酸82部、ポリオキシエチレンエーテルグリコール(PEG#600日本油脂(株)製)25部、ひまし油41部、イソホロンジイソシアネート90部、1,6,−ヘキサメチレンジイソシアネート73部、メチルエチルケトン(MEK)400部を加えて75℃迄昇温し、昇温後1時間にジブチル錫ラウリレートを0.3部加えた。更に75℃に保温してNCO%が0.1%以下まで反応して得られた反応物(固形分酸価55)を45℃以下まで冷却し、撹拌しながらアンモニア水(NH25%aq)37部、純水1400部を加え転相した。撹拌しながら20〜60℃にてMEKを減圧溜去して、不揮発分33%、PH7.3の水性ウレタン樹脂−1を合成した。
この水性ウレタン樹脂−1を、AquaBlack162(東海カーボン(株)製自己分散型カーボンブラック;不揮発分20%)と、水性ウレタン樹脂−1が10重量%、AquaBlack162が90重量%の割合で混合し、70℃で3時間攪拌して、水性ウレタン樹脂−1を含有した顔料水分散体−1を調製した。
実施例2
還流冷却管、及び窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、酢酸エチル100部、ライトアクリレート130A36.5部を入れ、N,N′−ジエタノールアミン7.9部を10分間滴下した。40〜45℃で1時間攪拌し、メチルエチルケトン(MEK)200部、ひまし油変性ジオール(Mn732 豊国製油(株)製)55部、ロジン変性ジオール(パインクリスタルD-6011 Mn917 荒川化学(株)製)208部、ジメチロールブタン酸56部、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート111部、水添MDI(ジシクロヘキサンメタン−ジイソシアネート)120部を加えて75℃迄昇温し、昇温後1時間にジブチル錫ラウリレートを0.3部加えた。更に1時間後、N,N′−ジメチルエタノールアミン27部を加え、75℃に保温してNCO%が0.1%以下まで反応させた。得られた反応物を45℃以下まで冷却し、撹拌しながらN−エチルモロホリン43部、純水1400部を加え転相した。撹拌しながら20〜60℃にてMEKを減圧溜去して不揮発分33%、PH7.4の水性ウレタン樹脂−2を合成した。
次に、実施例1と同じ方法により、この水性ウレタン樹脂−2を含有した顔料水分散体−2を調製した。
実施例3
還流冷却管、及び窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応器に、酢酸エチル100部、ライトアクリレート130A45.8部を入れ、N,N′−ジエタノールアミン10部を10分間滴下した。40〜45℃で1時間攪拌し、メチルエチルケトン(MEK)200部、ロジン変性ジオール(パインクリスタルD-6011 Mn917 荒川化学(株)製)247部、ジメチロールブタン酸63部、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート100部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)106部を加えて75℃迄昇温し、昇温後1時間にジブチル錫ラウリレートを0.3部加えた。更に1時間後、N,N′−ジメチルエタノールアミン28.5部を加え、75℃に保温してNCO%が0.1%以下まで反応させた。得られた反応物を45℃以下まで冷却し、撹拌しながらモロホリン37部、純水1400部を加え転相した。撹拌しながら20〜60℃にてMEKを減圧溜去して不揮発分33%、PH7.4の水性ウレタン樹脂−3を合成した。
次に、実施例1と同じ方法により、この水性ウレタン樹脂−3を含有した顔料水分散体−3を調製した。
比較例1
実施例1の合成した水性ウレタン樹脂に代えて、構造の異なるウレタン樹脂であるハイドランHW−163(大日本インキ化学工業(株)製不揮発分33%)を用いて、実施例1と同じ方法により、このウレタン樹脂を含有した顔料水分散体−4を調製した。
比較例2
ウレタン樹脂を含有しない、自己分散型カーボンブラックのみの、AquaBlack162を顔料水分散体−5とした。
これらの顔料水分散体について、カーボンブラック固形分5wt%、2−ピロリジノン9wt%、1、5−ペンタンジオール2wt%、ユニオックスG−1200(日本油脂(株)製)5wt%、2−メチル−2,4−ペンタンジオール2wt%、2−メチル−1,3−プロパンジオール1wt%、サーフィノール465(日信化学(株)製)0.05wt%、緩衝剤(AMPSO)0.1wt%、酢酸アンモニウム0.05wt%、プロキセルXL−2(アーチケミカル(株)製)0.1wt%となるように調製し、純水で100wt%にしてインク化した。これらの顔料水分散体について、下記の方法でインクとしての評価試験を行った。
<評価1;保存安定性>
各試料をガラス製サンプル瓶(100ml)に入れ密封して、70℃で4週間放置し、放置前後での試料の粘度と粒子径を測定した。なお、粘度は回転振動式粘度計(VM−100A−L、山一電機(株)製)により、また粒子径はヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA model9340)により測定した。その結果を表1に示した。表1より、実施例及び比較例2では、70℃で4週間放置後も粘度や粒子径に殆ど変化は見られなかったが、比較例1では粘度が著しく上昇し、粒子径も大きくなってしまった。
Figure 2009051926
<評価2;印字濃度>
各試料について、ヒューレットパッカード社製インクジェットプリンタPhotosmartC3175を用いて3紙(Xerox4200紙、Ricopy6200紙、コクヨOA再生紙)にベタ印刷し、マクベス濃度計(コルモーゲン社製RD−927)を用いて光学濃度を測定し、その結果を表2に示した。表2より、印字濃度はRicopy6200で高く、コクヨOA再生紙で低い値を示したが、試料による相異は殆んど認められなかった。
Figure 2009051926
<評価3;速乾性>
前項の印字濃度試験と同一条件でベタ印刷をし、10秒後、20秒後にその印刷部分に新品の同紙を置いて300gの重りを乗せて10秒放置後に取り外し、後者の用紙にインクが付着しているかどうかを下記の基準で評価して、その結果を表3に示した。
○:10秒後でも付着が見られない。
△:10秒後に付着が見られるが、20秒後には付着が見られない。
×:20秒後にも付着が見られる。
Figure 2009051926
表3より、実施例1〜3及び比較例1は、全紙で10秒後でも付着が見られなかった。
しかし、比較例2は乾燥しにくく、Ricopy6200やコクヨ再生紙では20秒後でも付着が認められた。
<評価4;耐水性>
各試料について、ヒューレットパッカード社製インクジェットプリンタPhotosmartC3175を用いて、ヒューレットパッカードアドバンスフォト用紙(光沢)にアルファベットの大文字と小文字を各24文字を印刷し、10分後に印字部分に0.2mlのイオン交換水を滴下したときの状態を目視観察して、以下の基準で評価し、その結果を表4に示した。
○:変化無し。
△:印字部分から僅かにインクが流れ出し。
×:印字部分からインクの流れ出しがあり、文字の認識が困難である。
Figure 2009051926
表4より、実施例1〜3では変化が無かったが、比較例1では僅かにインクの流れ出しが認められ、比較例2ではインクが流れ出し、流出したインクにより文字が隠蔽され、文字の認識が困難であった。
<評価5;耐マーカー性>
評価2の印字濃度試験と同じ条件でベタ印刷し、30秒後に印刷領域をゼブラ社製イエロー水性蛍光ペンZEBRA PEN2(商標)を用いて、300g荷重で擦り、汚れの発生の有無を観察して、以下の基準で評価し、その結果を表5に示した。
○:2回擦っても全く汚れが生じない。
△:2回擦って僅かに汚れが生じる。
×:2回擦っても全く汚れが生じない
Figure 2009051926
表5から、実施例1〜3では全紙で2回擦っても全く汚れが生じなかった。比較例1は2回擦っても汚れが生じなかったが、Xerox4200で2回目に僅かに汚れが認められ、また比較例2では全紙で1回擦って汚れが発生した。
このように、実施例1〜3は保存安定性や印字濃度が損なわれずに、速乾性、耐水性、耐マーカー性(定着性)に優れていることが確認できた。

Claims (5)

  1. 塩の基を有する化合物(A)、ロジン骨格ポリオール及び/又は分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート(C)を必須構成成分として含む水性ウレタン樹脂(I)と顔料及び水とからなることを特徴とする、インクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体。
  2. 塩の基を有する化合物(A)がジアルカノールアルカン酸、又はジアルカノールアルカン酸のラクトン付加物である、請求項1記載のインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体。
  3. 水性ウレタン樹脂(I)中の油又は脂肪酸由来分子のポリオール(B)の重量分率が15〜75%である、請求項1記載のインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体。
  4. ロジン骨格ポリオール及び/又は分子中に油又は脂肪酸由来分子を有するポリオール(B)が水添ロジン骨格ポリオール及び/又はひまし油変性ポリオールである、請求項1記載のインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体。
  5. 顔料が自己分散型カーボンブラックである、請求項1記載のインクジェットプリンター水性インク用顔料水分散体。
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