JP2009051899A - タイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤ - Google Patents

タイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立することができるタイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤのトレッドの形成に用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物であって、ゴム成分と、ゴム成分100質量部に対して30質量部以上100質量部以下のシリカと、を含み、ゴム成分には、アクリロニトリルとブタジエンとを重合して得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムがゴム成分全体の5質量部以上30質量部以下含有されており、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムにおけるアクリロニトリル共重合量が25質量%以上であり、シリカのBET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下であるタイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤである。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤに関し、特に、低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立することができるタイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤに関する。
従来から、タイヤの転がり抵抗を低減して発熱を抑えることにより、車両を低燃費化することが行なわれている。近年、タイヤによる車両の低燃費化への要請は大きくなっており、タイヤ部材の中でもタイヤにおける占有比率の高いトレッドの改良による低燃費化への要請は特に大きい。
そこで、タイヤのトレッドを形成するタイヤトレッド用ゴム組成物にシリカを含有させることにより、転がり抵抗を低減させて低燃費化を図ることがなされてきている。
しかしながら、シリカは、カーボンブラックと比べるとゴム成分に対する親和性が低いためにゴムの補強効果が小さい。
そこで、シリカの補強効果をカーボンブラックと同程度にするために、シリカの分散性を向上させたり、ゴム成分とシリカとを化学的に結合させたりすること等によって、シリカの補強効果を増大させるとともに、転がり抵抗を低減する方法が以下のように提案されている。
たとえば、特許文献1には、ジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤とともに、所定の錫化合物を添加したタイヤトレッド用ゴム組成物を用いてタイヤのトレッドを作製することにより、車両の低燃費化を図る技術が開示されている。
また、特許文献2には、乳化重合により得られる乳化重合ゴム、シリカ、およびシランカップリング剤を含有させたタイヤトレッド用ゴム組成物を用いてタイヤのトレッドを作製することにより、車両の低燃費化を図る技術が開示されている。
また、特許文献3には、窒素吸着比表面積が異なる2種類のシリカを所定比率で配合したタイヤトレッド用ゴム組成物を用いてタイヤのトレッドを作製することにより、車両の低燃費化を図る技術が開示されている。
特開平11−181161号公報 特開2000−248120号公報 特開2006−233177号公報
タイヤにおいては、転がり抵抗を低下して車両の低燃費化を図るとともに、タイヤの長寿命化の観点から耐磨耗性を改善することが望ましい。
しかしながら、タイヤの低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立することができるタイヤトレッド用ゴム組成物は現在までに知られてはいなかった。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立することができるタイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤを提供することにある。
本発明は、タイヤのトレッドの形成に用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物であって、ゴム成分と、ゴム成分100質量部に対して30質量部以上100質量部以下のシリカと、を含み、ゴム成分には、アクリロニトリルとブタジエンとを重合して得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムがゴム成分全体の5質量部以上30質量部以下含有されており、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムにおけるアクリロニトリル共重合量が25質量%以上であり、シリカのBET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下であるタイヤトレッド用ゴム組成物である。
ここで、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物においては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムにおけるアクリロニトリル共重合量が35質量%以上であることが好ましい。
また、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、ゴム成分は、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムと、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムとの混合ゴムであることが好ましい。
また、本発明は、上記のいずれかのタイヤトレッド用ゴム組成物から形成されたトレッドである。
さらに、本発明は、上記のトレッドを用いて製造されたタイヤである。
本発明によれば、低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立することができるタイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
本発明者は、BET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下であるシリカをゴム成分100質量部に対して30質量部以上100質量部以下という高い配合量で配合したときに、そのシリカと相互作用を有すると考えられるアクリロニトリルとブタジエンとを重合して得られる、アクリロニトリル共重合量が25質量%以上のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)をゴム成分に添加することによって、シリカの分散性を向上することができ、さらにはシリカとゴム成分との結合をより強固なものとすることで、低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立して実現することができるタイヤトレッド用ゴム組成物を作製できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
また、本発明者は、極性ゴムであるNBRは、通常のタイヤに用いられるような非極性ゴムとの接着性能が悪いという問題があるが、ゴム成分全体の5質量部以上30質量部以下という少量のNBRを添加することによって、そのような問題を解消でき、さらにはシリカとゴム成分との結合をより強固なものとすることができることも見いだした。
<ゴム成分>
本発明に用いられるゴム成分には、アクリロニトリル共重合量が25質量%以上のNBRがゴム成分全体の5質量部以上30質量部以下含有されており、NBR以外のゴムとしてはジエン系ゴムが含まれていることが好ましい。
ここで、本発明において、NBRは、従来から公知のものを用いることができ、たとえばアクリロニトリルとブタジエンのみを共重合させることによって得たもの等を用いることができる。また、NBRの形成に用いられるアクリロニトリルとブタジエンについてもそれぞれ従来から公知のものを用いることができる。
また、本発明に用いられるゴム成分に含有されるNBR以外のゴムとしては、たとえば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)およびスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム(SIBR)からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。
なかでも、タイヤの強度を十分なものとし、かつ優れた耐磨耗性を発現させる観点からは、本発明に用いられるゴム成分としては、SBRとNBRとの混合ゴムを用いることが好ましい。ここで、SBRとしては、たとえば、従来から公知のSBRを用いることができる。
また、転がり抵抗をさらに低くするとともに耐磨耗性をさらに高くする観点からは、本発明に用いられるゴム成分中のNBRの含有量は、ゴム成分全体の5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
また、さらに高い耐磨耗性を実現する観点からは、本発明に用いられるゴム成分中に含まれるNBRのアクリロニトリル共重合量は35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、NBR中のアクリロニトリル共重合量は、たとえばIRスペクトル法、ケルダール法またはガスクロマトグラフ法等の従来から公知の方法によって測定することができる。また、本発明において、アクリロニトリル共重合量は、NBR全体の質量に対するアクリロニトリルの質量の比率であることは言うまでもない。
<シリカ>
本発明に用いられるシリカとしては、BET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下のシリカであれば従来から公知のシリカを限定なく用いることができ、たとえば、乾式法により得られるシリカ(無水ケイ酸)および/または湿式法により得られるシリカ(含水ケイ酸)等を用いることができる。なかでも、本発明に用いられるシリカとしては、湿式法により得られるシリカ(含水ケイ酸)を用いることが好ましい。
また、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、シリカは、上記のゴム成分100質量部に対して30質量部以上100質量部以下含有される。本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物中のシリカの含有量をこのように設定することによって、低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立して実現することができるタイヤトレッド用ゴム組成物を得ることができる。
また、本発明に用いられるシリカのBET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下に設定される。シリカの窒素吸着比表面積が50m2/g未満の場合には加硫後の破壊強度が低下する傾向があり、500m2/gを超える場合には加工性が悪化する傾向にある。
なお、シリカのBET法による窒素吸着比表面積は、ASTM−D−4820−93に準拠した方法により測定することができる。
<その他成分>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、上記の材料以外にも、たとえば、タイヤ工業において一般的に用いられているシランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄または加硫促進剤等の各種材料が適宜配合されていてもよい。
ここで、シランカップリング剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系が挙げられる。なお、上記のシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、酸化亜鉛としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号等を用いることができる。
また、ステアリン酸としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、日本油脂(株)製の椿等を用いることができる。
また、老化防止剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)等を用いることができる。
また、硫黄としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄等を用いることができる。
また、加硫促進剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するもの等を用いることができる。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物等を使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系化合物を用いることができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物を用いることができる。チオウレア系としては、たとえばチオカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン系化合物を用いることができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウム等のジチオカルバミン酸系化合物を用いることができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物等のアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物等を用いることができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物等を用いることができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物等を用いることができる。これらの加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<タイヤ>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、上記のゴム成分およびシリカ等の材料をたとえば混練り等により混合することによって作製することができる。
そして、上記の本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を未加硫の状態で押出し加工等することによって、トレッドを形成することができる。
そして、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物から形成されたトレッドを含むタイヤ部材を所定の位置に配置すること等によってグリーンタイヤを作製し、その後、グリーンタイヤの各部材を構成するゴム組成物を加硫すること等によって、本発明のタイヤが製造される。
図1に、本発明のタイヤの一例の左上部半分の模式的な断面図を示す。ここで、タイヤ1は、タイヤ1の接地面となるトレッド2と、トレッド2の両端からタイヤ半径方向内方に延びてタイヤ1の側面を構成する一対のサイドウォール3と、各サイドウォール3のタイヤ半径方向内方端に位置するビードコア5とを備える。また、ビードコア5,5間にはプライ6が架け渡されるとともに、このプライ6の外側かつトレッド2の内側にはベルト7が設置されている。
プライ6は、たとえば、タイヤ赤道CO(タイヤ1の外周面の幅の中心をタイヤ1の外周面の周方向に1回転させて得られる仮想線)に対してたとえば70°〜90°の角度を為す複数のコードがゴム組成物中に埋設されたゴムシートから形成することができる。また、プライ6は、トレッド2からサイドウォール3を経てビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返されて係止される。
ベルト7は、たとえば、タイヤ赤道COに対してたとえば40°以下の角度を為す複数のコードがゴム組成物中に埋設されたゴムシートから形成することができる。
また、タイヤ1には、必要に応じてベルト7の剥離を抑止するためのバンド(図示せず)が設けられていてもよい。ここで、バンドは、たとえば、複数のコードがゴム組成物中に埋設されたゴムシートからなり、タイヤ赤道COとほぼ平行にベルト7の外側に螺旋巻きすることによって設置することができる。
また、タイヤ1には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に延びるビードエイペックス8が形成されているとともに、プライ6の内側にはインナーライナー9が設置されており、プライ6の折返し部の外側はサイドウォール3およびサイドウォール3からタイヤ半径方向内方に延びるクリンチ4で被覆されている。
なお、上記においては、本発明のタイヤ1として乗用車用のタイヤについて例示しているが、本発明はこれに限定されず、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用等の各種車両に用いられるタイヤとすることができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、アクリロニトリル共重合量が25質量%以上であるNBRがゴム成分全体の5質量部以上30質量部以下含まれているゴム成分とともに、BET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下であるシリカを上記のゴム成分100質量部に対して30質量部以上100質量部以下含んでいることから、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いてタイヤのトレッドを形成し、そのトレッドを用いたタイヤにおいては、タイヤの転がり抵抗を低減でき、さらには高い耐磨耗性を実現することができる。
したがって、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物はタイヤのトレッドの形成に用いられるのが好適である。
<加硫ゴムシートの作製>
表1に示す配合に従って、ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸および老化防止剤を1.7Lのバンバリーミキサーを用いて4分間混練りした。そして、表1に示す配合に従って、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤NSおよび加硫促進剤Dを添加し、オープンロールを用いて4分間混練りして、実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの未加硫ゴム組成物を得た。
その後、実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫することによって、実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの加硫ゴムシートを作製した。
なお、表1のゴム成分の欄に示されている数値は、NBRとSBRとの混合ゴムからなるゴム成分の混合比(質量比)が表わされており、表1の添加剤の欄に示されている数値は、NBRとSBRとの混合ゴムからなるゴム成分の配合量を100質量部としたときの各添加剤の配合量が質量部で表わされている。
Figure 2009051899
(注1)NBR(1):日本ゼオン(株)製のNIPOL1001(アクリロニトリル共重合量:40質量%)
(注2)NBR(2):日本ゼオン(株)製のNIPOL1042(アクリロニトリル共重合量:35質量%)
(注3)SBR:日本ゼオン(株)製のNS116(スチレン共重合量:22質量%)
(注4)シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(BET法による窒素吸着比表面積:175m2/g)
(注5)シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266
(注6)酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
(注7)ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
(注8)老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
(注9)硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
(注10)加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
(注11)加硫促進剤D:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
<転がり抵抗試験>
上記の実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの加硫ゴムシートから試験片を作製し、粘弾性スペクトロメータVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度30℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で損失正接(tanδ)の測定を行なった。その結果を表1の転がり抵抗指数の欄に示す。
なお、表1の転がり抵抗指数の欄の数値は、比較例1の加硫ゴムシートからなる試験片の損失正接(tanδ)を100として、下記の式(1)により算出したものである。したがって、表1の転がり抵抗指数の欄の数値が大きいほど転がり抵抗が小さくなり、低燃費化できることを示している。
(転がり抵抗指数)=100×(比較例1の損失正接(tanδ))/(実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの損失正接(tanδ)) …(1)
<耐磨耗性試験>
上記の実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの加硫ゴムシートから試験片を作製し、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の条件でランボーン摩耗量を測定し、実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの容積損失量を測定した。その結果を表1の摩耗指数の欄に示す。
なお、表1の摩耗指数の欄の数値は、比較例1の加硫ゴムシートからなる試験片の容積損失量を100として、下記の式(2)により算出したものである。したがって、表1の摩耗指数の欄の数値が大きいほど耐磨耗性に優れていることを示している。
(摩耗指数)=100×(比較例1の容積損失量)/(実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの容積損失量) …(2)
<評価>
表1に示すように、実施例1〜4の加硫ゴムシートは、比較例1の加硫ゴムシートと比べて、転がり抵抗指数は同等程度であるが、摩耗指数は大幅に上昇することが確認された。
また、表1に示すように、実施例1〜4の加硫ゴムシートは、比較例2の加硫ゴムシートと比べて、摩耗指数は同等程度であるが、転がり抵抗指数は大幅に上昇することが確認された。
また、表1に示すように、NBR(1)がゴム成分全体の3質量部だけ配合された比較例3の加硫ゴムシートは、SBRがゴム成分全体の100質量部配合された比較例1の加硫ゴムシートと転がり抵抗および耐磨耗性が共に同等程度であるため、実施例4の加硫ゴムシートと比較すればわかるように、NBRがゴム成分全体の5質量部未満の場合にはNBRの配合効果が得られないことが確認された。
したがって、実施例1〜4の配合の未加硫ゴム組成物は、タイヤのトレッドの形成に用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物として用いるのが好適であると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、低い転がり抵抗と高い耐磨耗性とを両立することができるタイヤトレッド用ゴム組成物、トレッドおよびタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの一例の左上部半分の模式的な断面図である。
符号の説明
1 タイヤ、2 トレッド、3 サイドウォール、4 クリンチ、5 ビードコア、6 プライ、7 ベルト、8 ビードエイペックス、9 インナーライナー。

Claims (5)

  1. タイヤのトレッドの形成に用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物であって、
    ゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して30質量部以上100質量部以下のシリカと、を含み、
    前記ゴム成分には、アクリロニトリルとブタジエンとを重合して得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムが前記ゴム成分全体の5質量部以上30質量部以下含有されており、
    前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムにおけるアクリロニトリル共重合量が25質量%以上であり、
    前記シリカのBET法による窒素吸着比表面積が50m2/g以上500m2/g以下であることを特徴とする、タイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. 前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムにおけるアクリロニトリル共重合量が35質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分は、前記アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムと、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムとの混合ゴムであることを特徴とする、請求項1または2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物から形成された、トレッド。
  5. 請求項4に記載のトレッドを用いて製造された、タイヤ。
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