JP2009051768A

JP2009051768A - チロシナーゼ活性阻害組成物

Info

Publication number: JP2009051768A
Application number: JP2007219686A
Authority: JP
Inventors: Marino Nakao; 麻里乃中尾; Motoyuki Tokuriki; 基之徳力
Original assignee: Kohjin Holdings Co Ltd; Kohjin Co
Current assignee: Kohjin Holdings Co Ltd; Kohjin Co
Priority date: 2007-08-27
Filing date: 2007-08-27
Publication date: 2009-03-12

Abstract

【課題】美白・美肌用組成物に好適に用いることができる、優れた相乗効果を奏するために少量でも十分にチロシナーゼ活性を阻害でき、また、生体に対する安全性も高い、チロシナーゼ活性阻害組成物を提供する。
【解決手段】α−リポ酸と還元型グルタチオンとを併用、好ましくは１００：０．０１〜５（重量比）で併用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、美白・美肌用組成物に好適に用いられるチロシナーゼ活性阻害組成物に関する。

皮膚の色素沈着、シミ・ソバカスなど発生機序については不明な点もあるが、ホルモンの異常や紫外線の刺激が原因となってメラニン色素が形成され、これが皮膚内に沈着するのが一因と考えられている。チロシナーゼは、チロシンあるいはドーパ等の酸化を触媒する酵素であり、チロシナーゼの活性を阻害することによりメラニン色素の生成を抑えることを利用して、チロシナーゼ活性の阻害剤が、化粧品などの美白剤あるいは食品の褐変防止剤として使用されている。
これらチロシナーゼ活性の阻害剤としては、アスコロビン酸、グルタチオン、コウジ酸、アルブチン等が知られており、これら化合物を併用することも開示されている（特許文献１）。
しかしながら、これら阻害剤は、安定性に欠けていたり、高価であったり、十分な効果が得られなかったりして、満足できるものではなかった。

α−リポ酸（チオクト酸）はビタミンの１種であるが、近年、抗酸化作用、あるいはチロシナーゼ活性阻害物質であることが見出され、美白効果があることが報告されている（特許文献２）。
更に、α−リポ酸と他の抗酸化剤、あるいはチロシナーゼ活性の阻害剤とを組み合わせた美白作用を有する化粧品等も報告されており、例えば、特許文献３には、リポ酸と各種ビタミン類を併用した皮膚外用剤が、特許文献４には、α−リポ酸と無機還元剤（チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム）、還元作用を有するビタミン類（ビタミンＥ、ビタミンＫ、ビタミンＣ、コエンザイム類）、あるいは有機還元剤（ハイドロキノン類）の内１種以上の成分を配合した化粧料が、特許文献５には、α−リポ酸とトラネキサム酸あるいはアルコキシサリチル酸を併用した美白剤が開示されている。
しかしながらこれらは、十分な効果が得られなかったり、安全性に疑問があったりし、更に安全で少量の投与でも効果的なチロシナーゼ活性の阻害剤が望まれていた。
特開平１１−９２３２６号公報特開昭６３−８３１５号公報、特開平１１−７９９３４号公報特開平１０−７５４１号公報特開２００６−２８２６０９号公報特開２００６−２６５１４０号公報

本発明は、安全で、少量でもチロシナーゼ活性を十分に阻害できるチロシナーゼ活性阻害組成物を提供することを課題とする。

本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究の結果、α−リポ酸と還元型グルタチオンを併用することにより、課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
（１）α−リポ酸と還元型グルタチオンとからなるチロシナーゼ活性阻害組成物、
（２）α−リポ酸と還元型グルタチオンとの組成比（重量比）が、１００：０．０１〜５である、上記（１）記載のチロシナーゼ活性阻害組成物、
を提供するものである。

本発明は、α−リポ酸と還元型グルタチオンを併用することにより、単に２つの効果を加えた相加効果ではなく、優れた相乗効果を奏することを見いだし完成されたものであり、特に、α−リポ酸に少量の還元型グルタチオンを添加することにより、チロシナーゼ活性の阻害率を相乗的に、かつ、飛躍的に向上できるものである。
したがって、少量でも十分にチロシナーゼ活性を阻害でき、また、α−リポ酸及び還元型グルタチオンを有効成分とするため、生体に対する安全性も高い。

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の活性阻害組成物の一方の成分であるα−リポ酸（チオクト酸）は、α−リポ酸、その塩類、及びその誘導体が挙げられ、具体的には、塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が、また、誘導体としては、アルキルエステル、アルケニルエステル、ジヒドロリポ酸等が、例示される。

本発明の活性阻害組成物のもう一方の成分である還元型グルタチオンは、粗グルタチオン、精製グルタチオンあるいはグルタチオン含有酵母エキス等、還元型グルタチオンを含有しているものであれば特に制限はない。

本発明の活性阻害組成物は、α−リポ酸と還元型グルタチオンを併用するものであり、両者の組成比（重量比）は任意であるが、好ましくは、α−リポ酸１００重量部に対して、還元型グルタチオン０．０１〜５重量部であることが好ましい。特に、α−リポ酸に対して少量の還元型グルタチオンを添加した場合に相乗効果が著しい。
α−リポ酸は、還元剤の作用を受けて構造中の−Ｓ−Ｓ−結合が切断され、チロシナーゼ活性の阻害効果の高いジヒドロリポ酸に変換されると言われている。しかしながら、α−リポ酸に対してごく少量の還元型グルタチオンを添加することにより、極めて高い相乗効果が得られたことは、本発明者らにとっても予想外の成果であった。

本発明の活性阻害組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他のチロシナーゼ活性の阻害剤、たとえば、ビタミンＣ、システイン、コウジ酸等を添加することができる。

本発明のチロシナーゼ活性阻害組成物は、公知の方法に準じて、例えば、錠剤、散剤、カプセル、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーションあるいは飲料等の、美白・美肌成分として用いることができる。

以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
なお、実施例で用いたチロシナーゼ活性測定は以下の方法によった。
まず、下記（Ａ）液〜（Ｄ）液を調整した。
（Ａ）液：リン酸二水素カリウム３．２２ｇ、リン酸水素二ナトリウム３．７４ｇを水に溶解し、全量を５００ｍｌとした（ｐＨ６．８）。
（Ｂ）液：クエン酸１．２９ｇ、リン酸水素二ナトリウム６．２３ｇを水に溶解し全量を５００ｍｌとした（ｐＨ６．８）。
（Ｃ）液：チロシナーゼ（Ｓｉｇｍａ社製、３９００ｕｎｉｔ／ｍｇ）を上記（Ａ）液に４００ｕｎｉｔ／ｍｌとなるように溶解した。
（Ｄ）液：チロシン６ｍｇを上記（Ａ）液３０ｍｌに溶解した（１．１１μｍｏｌｅ／ｍｌ）。
測定は、（Ｂ）液１．５ｍｌ、（Ｃ）液０．１５ｍｌ及びサンプル液０．１５ｍｌを混合し、３７℃で１０分間プレインキュベートした。
次いで、（Ｄ）液１．５ｍｌを加え、同温度で２０分間インキュベイトし、０分及び２０分後における４９０ｎｍの吸光度（０分：Ｑ、２０分後：Ｒ）を測定、２０分後のブランク（４０％エタノール）の４９０ｎｍの吸光度（Ｐ）から、下記数１により阻害率を求めた。
なお、サンプル液としては、α−リポ酸あるいは還元型グルタチオンを、いずれも４０％エタノール溶液として用いた。

実施例１
α−リポ酸（和光純薬工業製、ＤＬ−α−リポ酸。以下、リポ酸と略称する。）０．４ｍｇ／ｍＬ溶液に還元型グルタチオン（以下、ＧＳＨと略称する。）０．０００４６９ｍｇ／ｍＬ溶液を等量混合（リポ酸濃度：０．２ｍｇ／ｍＬ、ＧＳＨ濃度：０．０００２３４ｍｇ／ｍＬ）し、チロシナーゼ活性の阻害率を測定した。
結果を表１に示す。
なお、リポ酸及びＧＳＨのＩＣ_５０は、それぞれ１．０８ｍｇ／ｍＬ及び０．００９０ｍｇ／ｍＬであった。

実施例２〜８
実施例１において、リポ酸の濃度を一定とし、ＧＳＨを表２に記載の濃度に変更した以外は実施例１と同様に実施し、チロシナーゼ活性の阻害率を測定した。
結果を表２に示す。

実施例９〜１１
実施例１において、ＧＳＨの濃度を一定とし、リポ酸を表３に記載の濃度に変更した以外は実施例１と同様に実施し、チロシナーゼ活性の阻害率を測定した。
結果を表３に示す。

以上説明してきた通り、本発明によると、α−リポ酸と還元型グルタチオンを併用することにより、優れた相乗効果を奏するため、少量でも十分にチロシナーゼ活性を阻害でき、また、α−リポ酸及び還元型グルタチオンを有効成分とするため、生体に対する安全性も高い、チロシナーゼ活性阻害組成物が提供され、美白・美肌用組成物に好適に用いることができる。

Claims

α−リポ酸と還元型グルタチオンとからなるチロシナーゼ活性阻害組成物。
α−リポ酸と還元型グルタチオンとの組成比（重量比）が、１００：０．０１〜５である、請求項１記載のチロシナーゼ活性阻害組成物。