JP2009047186A - ディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造 - Google Patents

ディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 制動中にブレーキ用キャリパに作用する曲げモーメントに対して剛性を向上させることができ、かつ、ディスクブレーキ用キャリパ本体に生じる変形を抑制することができるディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造を提案する。
【解決手段】 3点のボルト孔3,4,5で車体側メンバ2に取り付けたディスクブレーキ用キャリパ1において、前記3点3,4,5のうち第1取付点3および第2取付点4を、ブレーキディスク9周方向に離間して配置し、残りの第3取付点5を、第1取付点3および第2取付点4を結ぶ直線に対してオフセット配置し、第3取付点5のボルト径を他の点3,4のボルト径よりも小さくして、第3取付点5で車体側メンバ2がディスクブレーキ用キャリパ1を拘束する第3拘束力を、第1取付点3および第2取付点4で車体側メンバ2がディスクブレーキ用キャリパ1を拘束する第1拘束力および第2拘束力よりも小さくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブレーキパッドを収容し、ブレーキパッドでブレーキディスクを挟圧して制動するディスクブレーキ用キャリパの取り付けに関するものである。
ディスクブレーキ用キャリパの取り付けに関する発明としては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。
特許文献1に記載のディスクブレーキは、ディスクブレーキ用キャリパに三つ又状をなす取付部A,B,Cを設け、これら取付部A,B,Cで、ディスクブレーキ用キャリパを車体側メンバに取り付ける。そして取付部Cを、取付部A,B間を結んだ仮想直線からブレーキディスクの周方向に一定寸法だけオフセットした位置に配設したものである。これにより取付部A,B,Cを略二等辺三角形の3頂点位置にそれぞれ配設し、ディスクブレーキ用キャリパ全体を取付ブラケット21に対して所謂「3点支持構造」で強固に固着することが可能となり、ブレーキ操作時にディスクブレーキ用キャリパに作用する曲げモーメントに対してディスクブレーキ用キャリパの剛性を向上させ、ブレーキパッドに生じる偏摩耗等を防止するようにしたものである。
特開平9−242790号公報
しかし、上記従来のようなディスクブレーキにあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり3点の取付部A,B,Cの締結に用いるボルトが同サイズであり、3点の取付部A,B,Cが同様の拘束力で締結されているため、曲げモーメントに対して多点締結となる。従って、曲げモーメントに対する剛性を向上させることができても、特にブレーキ容量が大きい場合は、ブレーキ作動時にディスクブレーキ用キャリパ本体に生じる変形、例えばキャリパに設けられている開口部の形状が非線形に変形することを抑制することはできない。
本発明は、上述の実情に鑑み、ブレーキ用キャリパ本体に生じる変形を抑制することを目的とするディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造を提案するものである。
この目的のため本発明によるディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造は、請求項1に記載のごとく、
3点で車体側メンバに取り付けたディスクブレーキ用キャリパにおいて、
前記3点のうち第1取付点および第2取付点を、ブレーキディスク周方向に離間して配置し、
残りの第3取付点を、前記第1取付点および第2取付点を結ぶ直線に対してオフセット配置し、
該第3取付点で前記車体側メンバが前記ディスクブレーキ用キャリパを拘束する第3拘束力を、前記第1取付点および第2取付点で前記車体側メンバが前記ディスクブレーキ用キャリパを拘束する第1拘束力および第2拘束力よりも小さくしたことしたことを特徴としたものである。
かかる本発明の構成によれば、第1取付点および第2取付点で高い拘束力で車体側メンバに取り付けることで、ブレーキ操作中ディスクブレーキ用キャリパに作用する曲げモーメントに対してキャリパの剛性を向上させることができる。そして、第3取付点で低い拘束力でキャリパ本体1を取り付けることで、ブレーキ操作時に発生するキャリパ本体の変形を有効に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例になるディスクブレーキ用キャリパを示す平面図である。また図2は図1に示す一転鎖線A―Aで断面とし、矢の方向からみた状態を示す断面図であり、キャリパおよび車体側メンバ間の取り付け構造を示す。
ディスクブレーキ用キャリパ本体1は、車体の非回転体であるナックルに設けられた取付部2に取り付けられる。キャリパ本体1には車体側メンバである取付部2に対して取り付けるためのボルト孔3、4、5を穿設する。ボルト孔3、4、5はいずれも平行に延在する。ボルト孔3、4は、キャリパ本体1内に配置されたブレーキディスク9表面から等しい位置で配置される。ボルト孔5は、これらボルト孔3、4を結ぶ直線に対しオフセット配置される。
図2に示すようにボルト孔5は、ボルト孔3、4を結ぶ直線に関してブレーキディスク9とは反対側、すなわちブレーキディスク9から離れるよう配置されるが、これはブレーキディスク9をキャリパ本体1内に配置しているためである。図には示さなかったが、ボルト孔3、4をブレーキディスク9から十分離れるよう配置すれば、ボルト孔5をボルト孔3、4を結ぶ直線とブレーキディスク9との間に配置することも可能であることを付言しておく。
ボルト孔3、4、5にボルトを各々挿通し、ボルト先端部を取付部2に螺合する。これら3本のボルトのうち、ボルト孔4に挿通されたボルト6と、ボルト孔5に挿通されたボルト7とを図2に示す。
図2に示すボルト6,7を代表して説明すると、ボルト6,7先端部を取付部2に十分螺合することにより、キャリパ本体1は、ボルト頭部と、取付部材2側の取付部100との間に挟圧されて、ボルト孔3,4,5の延在方向に確りと締結される。
図2に示すように、これら3本のボルトは、頭部から中程にかけて雄ねじはなく、ボルト孔3、4、5にも雌ねじを設けていない。このため、ボルトは単にボルト孔3、4、5を貫通している。ボルト孔3、4、5の口径はボルト径よりも大きい。
第1取付点になるボルト孔3と、第2取付点になるボルト孔4とは、大きさ同一である。これに対し、第3取付点になるボルト孔5の口径は、ボルト孔3およびボルト孔4の口径よりも小さい。
また上述したボルト孔の口径に合わせて、ボルトの外径を選定する。すなわち、第1取付点のボルト孔3に挿通するボルトと、第2取付点のボルト孔4に挿通するボルト5とは同一外径である。これに対し、第3取付点のボルト孔5に挿通するボルト5の外径は、図2に示すようにボルト5の外径よりも小さい。
ボルトが太いほどボルトの締結力が増大する。つまり、ボルトの大きさとボルトの締結力は比例する。したがって本実施例では、第3取付点3の拘束力が、第1取付点4および第2取付点5の拘束力よりも小さいことが理解されよう。
キャリパ本体1は、車輪側に取り付けられたブレーキディスク9を跨ぐようコの字状に形成された公知のものであり、中央部には開口部8を設ける。またキャリパ本体1は2枚のブレーキパッド10を収容する。ブレーキパッド10,10は、ブレーキディスク9の両面側に配置される。ブレーキパッド10,10が、このブレーキディスク9を挟圧することによって車輪を制動する。開口部8はブレーキディスク9の周方向に沿って細長く形成される。そして開口部8の長手方向を横切るよう2箇所でブリッジ11を架設する。ブリッジ11は、ブレーキ操作時に生じる開口部8の変形を抑制する。
上述した第1実施例では、第1取付点〜第3取付点3,4,5でキャリパ本体1を取り付ける結果、車輪の制動中にキャリパ本体1に作用する曲げモーメントに対してキャリパ本体1の剛性を向上させることができる。
さらに、図2に示すように第3取付点のボルト7のボルト外径を、第2取付点のボルト6のボルト外径よりも小さくして、キャリパ本体1を取付部材2に取り付ける拘束力のうち、第3取付点の拘束力を、第1取付点および第2取付点の拘束力よりを小さくする。これにより、ボルト7による小さな拘束力が車輪の制動中に発生するキャリパ本体1の変形を有効に抑制することが可能となる。
次に本発明の第2実施例になるディスクブレーキ用キャリパを説明する。
図3、図4は、本発明の第2実施例を示し、図3は平面図、図4は図3に示す一転鎖線A―Aで断面とし、矢の方向からみた状態を示す断面図である。本実施例につき、上述した第1実施例と共通する構成については説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。本実施例では図4に示すように、ボルト7の外径がボルト6と同じであるが、ボルト孔5の口径がボルト孔4よりも大きくなっている点が第1実施例と異なる。
この構成によって、ボルト7とキャリパ本体1の締結部分との接触部分がボルト6とキャリパ本体1の締結部分との接触部分よりも小さくなる。またボルト7とキャリパ本体1との隙間が大きい分、キャリパ本体1のボルト孔5の径方向における変形がある程度許容されるため、ボルト6による締結部分に比べ変形しやすくなるので、ボルト6で締結される第2取付点(および第1取付点)の拘束力よりも、ボルト7で締結される第3取付点の拘束力を小さくすることができ、第1実施例と同様の効果を奏することが可能となる。
次に本発明の第3実施例になるディスクブレーキ用キャリパを説明する。
図5、図6は、本発明の第3実施例を示し、図5は平面図、図6は図5に示す一転鎖線A―Aで断面とし、矢の方向からみた状態を示す断面図である。本実施例につき、上述した第1実施例および第1実施例と共通する構成については説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。本実施例では図6に示すように、ボルト7の外径がボルト6と同じであり、ボルト孔5の口径もボルト孔4と同じであるが、ボルト7を取付部材2の取付部100に螺合するにあたり、ボルト7の頭部とキャリパ本体1との間にゴム部材等の弾性部材12を介在させる。これにより、キャリパ本体1を拘束するボルト7頭部とキャリパ本体1との間に弾性部材を介挿する。この構成によって、ボルト6頭部で直接に拘束されて取り付けられる第2取付点(および第1取付点)の拘束力よりも、ボルト7頭部で間接的に拘束されて取り付けられる第3取付点の拘束力を小さくすることができ、第1実施例と同様の効果を奏することが可能となる。
ところで本実施例では、第1取付点〜第3取付点で車体側メンバの取付部2にキャリパ本体1を取り付けることから、車輪の制動中キャリパ本体1に作用する曲げモーメントに対してキャリパの剛性を向上させることができる。
そして、これら3個の取付点のうち第1取付点(ボルト孔3に相当)および第2取付点(ボルト孔4に相当)を、ブレーキディスク9周方向に離間して配置する。図5に示すように、第3取付点(ボルト孔5に相当)を、第1取付点3および第2取付点4を結ぶ一転鎖線で表される直線に対してオフセット配置する。第3取付点5で取付部2がキャリパ本体1を拘束する第3拘束力を、第1取付点3および第2取付点4で取付部2がキャリパ本体1を拘束する第1拘束力および第2拘束力よりも小さくする。このように、第3取付点で低い拘束力で車体側メンバに取り付けることで、制動中に発生するキャリパ本体1の変形を有効に抑制することが可能となる。
また第2実施例では第1取付点〜第3取付点で、キャリパ本体1または取付部2の一方であるキャリパ本体1にボルト孔3,4,5を設け、これらボルト孔3〜5にボルトを挿通し、これらボルトを他方の取付部2に螺合することにより、取付部2にキャリパ本体1を拘束するものである。そして図4に示すように、第3取付点におけるボルト孔5の口径に対するボルト7の外径の比率を、(第1取付点および)第2取付点におけるボルト孔4の口径に対するボルト6の外径の比率よりも小さくしたことから、
第3取付点で低い拘束力でキャリパ本体1を取り付けることが可能になる。したがって、制動中に発生するキャリパ本体1の変形を有効に抑制することが可能となる。
また第3実施例では、第3取付点におけるボルト7がキャリパ本体1を拘束するボルト頭部とキャリパ本体1との間に弾性部材12を介挿したことから、
第3取付点で低い拘束力でキャリパ本体1を取り付けることが可能になる。したがって、制動中に発生するキャリパ本体1の変形を有効に抑制することが可能となる。
そしてこれら各実施例につき、図5を代表して説明すると、第1取付点〜第3取付点3,4,5をブレーキディスク9の表面に対し一方側にオフセットさせ、第1取付点3および第2取付点4を結ぶ一点鎖線で表される直線がブレーキディスク9表面と平行となるよう、かつ、第3取付点5が第1取付点3および第2取付点4に関する垂直2等分上になるよう、これら第1取付点〜第3取付点3,4,5を配置したことから、
制動時にブレーキディスク9側からキャリパ本体1に作用する曲げモーメントに対し、好適に対抗することが可能となり、上述したキャリパ本体1の剛性向上およびキャリパ本体1の変形抑制を高い次元で両立することができる。
さらに各実施例では、図5に示すように、第1取付点3および第2取付点4を結ぶ一点鎖線で表される直線からブレーキディスク9表面までの距離L1を、この直線から第3取付点5までの距離2よりも小さくしたことから、
第3取付点のボルト7の拘束力を一層小さくしても、キャリパ本体1に作用する曲げモーメントに十分に対抗することができるとともに、キャリパ本体1の変形を効率よく抑制することができる。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨に逸脱しない範囲において種々変更が加えられうるものである。
本発明の第1実施例になるディスクブレーキ用キャリパを示す平面図である。 同実施例になるディスクブレーキ用キャリパの断面図である。 本発明の第2実施例になるディスクブレーキ用キャリパを示す平面図である。 同実施例になるディスクブレーキ用キャリパの断面図である。 本発明の第3実施例になるディスクブレーキ用キャリパを示す平面図である。 同実施例になるディスクブレーキ用キャリパの断面図である。
符号の説明
1 キャリパ本体
2 車体側メンバ取付部
3 第1取付点のボルト孔
4 第2取付点のボルト孔
5 第3取付点のボルト孔
6 第2取付点のボルト
7 第3取付点のボルト
9 ブレーキディスク
10 ブレーキパッド
12 弾性部材

Claims (5)

  1. 3点で車体側メンバに取り付けたディスクブレーキ用キャリパにおいて、
    前記3点のうち第1取付点および第2取付点を、ブレーキディスク周方向に離間して配置し、
    残りの第3取付点を、前記第1取付点および第2取付点を結ぶ直線に対してオフセット配置し、
    該第3取付点で前記車体側メンバに前記ディスクブレーキ用キャリパを拘束する第3拘束力を、前記第1取付点および第2取付点で前記車体側メンバに前記ディスクブレーキ用キャリパを拘束する第1拘束力および第2拘束力よりも小さくしたことを特徴とするディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造。
  2. 請求項1に記載のディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造において。
    前記3点は、前記ブレーキ用キャリパまたは前記車体側メンバの一方にボルト孔を設け、該ボルト孔にボルトを挿通し、該ボルトを他方に螺合することにより、前記車体側メンバに前記ディスクブレーキ用キャリパを拘束するものであり、
    前記第3取付点における前記ボルト孔の口径に対する前記ボルトの外径の比率を、前記第1取付点および第2取付点における前記ボルト孔の口径に対する前記ボルトの外径の比率よりも小さくしたことを特徴とするディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載のディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造において、
    前記3点は、前記ブレーキ用キャリパまたは前記車体側メンバの一方にボルト孔を設け、該ボルト孔にボルトを挿通し、該ボルトを他方に螺合することにより、前記車体側メンバに前記ディスクブレーキ用キャリパを拘束するものであり、
    前記第3取付点における前記ボルトが前記ブレーキ用キャリパまたは前記車体側メンバの一方を拘束する部位に弾性部材を介挿したことを特徴とするディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造において、
    前記第1取付点〜第3取付点を前記ブレーキディスクの表面に対し一方側にオフセットさせ、
    第1取付点および第2取付点を結ぶ直線が前記ブレーキディスク表面と平行となるよう、かつ、第3取付点が第1取付点および第2取付点に関する垂直2等分上になるよう、これら第1取付点〜第3取付点を配置したことを特徴とするディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造。
  5. 請求項4に記載のディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造において、
    前記第1取付点および第2取付点を結ぶ直線から前記ブレーキディスク表面までの距離を、該直線から前記第3取付点までの距離よりも小さくしたことを特徴とするディスクブレーキ用キャリパの取り付け構造。
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